説明

ピッキングシステム

【課題】ピッキングシステムにおいて、ヒューマンエラーの低減と効率の向上を図る。
【解決手段】同一種類の複数の物品が収容される箱体200であって複数種類の物品に対応する複数の箱体200からオーダー情報に基づき複数の物品を組み合わせて出庫するピッキングシステム100であって、箱体200を保管する保管棚101と、箱体200を保持する保持部が複数箇所に設けられる移動棚102と、保管棚101と移動棚102との間で箱体200を移載する第一移載装置103と、組み合わせ作業を行う組み合わせエリアAと移動棚102に箱体200が移載される移載エリアBとの間で移動棚102を移載する第二移載装置104と、組み合わせエリアAにおいて、組み合わせに必要な組み合わせ情報を移動棚102に保持される箱体200に対応して報知する報知装置105とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オーダー情報に基づき複数種類の物品を同一種類の物品が収容される箱体から取り出し、取り出した物品をオーダー情報に合致した組み合わせ状態で出庫するピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば薬局など多品種の物品を扱う店舗を多数保有するチェーン店などにおいては、自動倉庫に他品種の物品を一括して保管しておき、それぞれの店舗が出すオーダー情報に合致した複数種類の物品を組み合わせた状態で各店舗に向けて物品を出庫するシステムが採用される場合がある。
【0003】
上記のような自動倉庫では、オーダー情報に合致した組み合わせ状態の物品を出庫するために、例えば、同一種類の物品が収容される箱体が保管され、複数種類の物品に対応した複数の箱体が保管されている保管棚からカートを押した作業者がオーダー情報に合致した複数種類の物品をピックアップし、組み合わせ物品群を形成するピッキングシステムが採用されている。
【0004】
従来、このようなピッキングシステムを効率化するために、自動移載装置とピッキングロボットを組み合わせたピッキングシステムが提案されている。例えば特許文献1に記載のピッキングシステムは、複数の箱体が保管されている保管棚からオーダー情報に対応した複数の箱体をピッキングロボットに自動移載装置を用いて移送し、移送された箱体からピッキングロボットが複数種類の物品をピックアップして組み合わせ物品群を形成するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−52878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、複数種類の物品の形状や大きさや重量が異なる場合などピッキングロボットでは対応しきれない場合もある。
【0007】
一方、ピックアップ作業を人間に委ねると、ピッキングシステムの効率が低下し、また、ヒューマンエラーも発生する。
【0008】
本願発明は上記課題に鑑みなされたものであり、作業者が高い効率でピックアップ作業を行うことができ、また、ヒューマンエラーの発生確率を抑制することができるピッキングシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるピッキングシステムは、同一種類の複数の物品が収容される箱体であって複数種類の物品に対応する複数の前記箱体からオーダー情報に基づき複数の物品を組み合わせて出庫するためのピッキングシステムであって、複数の前記箱体を保管する保管棚と、前記箱体を保持する保持部が複数箇所に設けられる移動棚と、前記保管棚と前記移動棚との間で前記箱体を移載する第一移載装置と、作業者が複数種類の物品の組み合わせ作業を行う組み合わせエリアと前記移動棚に前記箱体が移載される移載エリアとの間で前記移動棚を移載する第二移載装置と、前記組み合わせエリアにおいて、組み合わせに必要な組み合わせ情報を前記移動棚に保持される前記箱体に対応して報知する報知装置とを備えることを特徴とする。
【0010】
これにより、組み合わせに必要な物品が収容される複数の箱体のみが組み合わせエリアに配置され、報知装置には組み合わせエリアに配置される箱体に対応して組み合わせに必要な組み合わせ情報が報知される。従って、作業者は組み合わせに必要な箱体か否かを判断する必要がなくなり、ヒューマンエラーの発生確率を低減させた状態で組み合わせ作業を行うことが可能となる。さらに、作業者が待機する組み合わせエリアに箱体が移載されるため、作業者は大きく移動することなく作業を行うことができ、組み合わせ作業の効率を向上させることが可能となる。
【0011】
さらに、複数の前記移動棚を保管する移動棚保管エリアを備え、前記第二移載装置は、前記組み合わせエリアと前記移動棚保管エリアとの間、および、前記移動棚保管エリアと移載エリアとの間で前記移動棚を移載するものでもかまわない。
【0012】
これによれば、例えば、移載エリアと組み合わせエリアとの距離が長い場合などにおいても、作業者が組み合わせ作業を終えると、移動棚保管エリアとの間で迅速に移動棚の入れ替えを行うことが可能となる。
【0013】
また、前記第二移載装置は、複数の前記移動棚を保持して搬送可能であり、前記組み合わせエリア、および、前記移載エリアとの間で独立して単数の前記移動棚を移載する移動棚保持手段を備えてもよい。
【0014】
これによれば、組み合わせ作業が終了した移動棚と新たに組み合わせ作業に供される移動棚との入れ替え作業を迅速に行うことが可能となる。
【0015】
さらに、オーダー情報に基づき前記保管棚から前記移動棚に移載する前記箱体を決定する移載制御装置であって、オーダー情報である第一オーダー情報に基づいて決定される前記箱体である第一箱体を前記移動棚に全て移載するとした場合に、前記第一箱体を保持する前記移動棚の空いている前記保持部の数である空保持部数を導出し、オーダー情報に基づいて決定される前記箱体の総数を全箱体数とした場合に、前記全箱体数が前記空保持部数以下である第二オーダー情報を探索し、第二オーダー情報が発見された場合、第二オーダー情報に基づいて決定される前記箱体である第二箱体の全てを前記第一箱体を保持する前記移動棚に移載する移載制御装置を備えてもよい。
【0016】
これによれば第二移載装置の移動量を低減させることができ、ピッキングシステム全体の効率を向上させることが可能となる。
【0017】
また、前記報知装置は、前記オーダー情報に基づき、組み合わせ情報として前記移動棚における前記箱体の位置を示す位置情報に対応する位置に前記箱体から取り出す物品の数を示す数情報とを報知してもよい。
【0018】
これによれば、作業者は箱体にどの種類の物品が入っているかを意識することなく、必要な種類の物品と必要な数とを報知装置に報知される組み合わせ情報にのみ基づき取り出すことが可能となる。従って、ヒューマンエラーの発生確率を低下させ、組み合わせ作業の効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、組み合わせ作業を人に委ねる場合でも、ヒューマンエラーの発生確率を低下させるとともに、作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、ピッキングシステムを示す平面図である。
【図2】図2は、保管棚と第一移載装置の一部を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、保管棚と第一移載装置の一部を模式的に示す側面図である。
【図4】図4は、リフトコンベアと移動棚とを示す側面図である。
【図5】図5は、移動棚を示す側面図である。
【図6】図6は、報知装置を背部に存在する移動棚とともに示す側面図である。
【図7】図7は、ピッキングシステムの機能構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、ピッキングシステムの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本願発明に係るピッキングシステムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係るピッキングシステムの一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0022】
図1は、ピッキングシステムを示す平面図である。
【0023】
同図に示すように、ピッキングシステム100は、同一種類の複数の物品が収容される箱体200であって複数種類の物品に対応する複数の前記箱体200からオーダー情報に基づき複数の物品を組み合わせて出庫するためのシステムであって、保管棚101と、移動棚102と、第一移載装置103と、第二移載装置104と、報知装置105とを備えている。
【0024】
図2は、保管棚と第一移載装置の一部を模式的に示す斜視図である。
【0025】
図3は、保管棚と第一移載装置の一部を模式的に示す側面図である。
【0026】
これら図に示すように、保管棚101は、搬入された複数の箱体200を保管する棚である。本実施の形態の場合、保管棚101は、箱体200をX軸方向に並べて保持することのできる保管棚板111を上下方向(Z軸方向)に複数段備える棚である。従って、保管棚101は、XZ平面内にマトリクス状に箱体200を保管することができるものとなっている。なお、図示されていない他の保管棚101も同様であり、保管棚板111の高さも一致している。
【0027】
第一移載装置103は、保管棚101と移動棚102との間で箱体200を移載する装置である。本実施の形態の場合、第一移載装置103は、水平搬送手段131と、鉛直搬送手段132と、コンベア133と、リフトコンベア134とを備えている。
【0028】
水平搬送手段131は、保管棚101と鉛直搬送手段132との間で任意の箱体200を移送する設備である。水平搬送手段131は、保管棚101の保管棚板111に対応する高さにそれぞれX軸方向に沿ってレールが敷設され、当該レール上を往復動し、鉛直搬送手段132との間で箱体200を移載することができる走行車135を備えたいわゆるシャトル式の装置である。
【0029】
走行車135は、保管棚板111が配置される各段において保管棚板111に載置されている箱体200を受け取り、X軸方向(保管棚板111の延在方向)に沿って移動し、同じ高さの保管棚板111の異なる場所に箱体200を受け渡すことができる車両である。
【0030】
鉛直搬送手段132は、水平搬送手段131から受け取った箱体200を鉛直方向に搬送することができるいわゆるバーチカルコンベアである。
【0031】
以上のように、水平搬送手段131が、各保管棚板111に対応して複数の走行車135が設けられるシャトル型の移送装置を備えることで、複数の箱体200を段毎に同時に高速に移動させることが可能となり、鉛直搬送手段132を用いることで、箱体200を保管棚101からコンベア133へ高速に移送することが可能となる。また、箱体200をコンベア133から保管棚101にも高速に移送することが可能となる。
【0032】
なお、本実施の形態では、水平搬送手段131と鉛直搬送手段132とを組み合わせて用いているが、スタッカークレーンなど、箱体200を水平および鉛直方向に自在に搬送できる搬送装置を用い、保管棚101からコンベア133等に箱体200を搬送してもかまわない。
【0033】
コンベア133は、鉛直搬送手段132から箱体200を順次受け取り、水平方向に箱体200を図中のX軸方向に順次搬送し、箱体200をX軸方向に並べて一時的に保持しておくことができる搬送装置である。
【0034】
図4は、リフトコンベアと移動棚とを示す側面図である。
【0035】
リフトコンベア134は、コンベア133とほぼ同様の機能を備え、さらに、水平方向(X軸方向)に並べて保持する複数の箱体200を鉛直方向(Z軸方向)に昇降させることが可能となっている。また、リフトコンベア134は、押し出し装置136を備えている。押し出し装置136は、リフトコンベア134から移動棚102に向かってY軸方向に沿って箱体200を押し出して移載する移載装置である。
【0036】
なお、移動棚102から保管棚101へ箱体200を移載する場合は、前記説明の逆(押し出し装置136は除く)を行えば良い。
【0037】
また、押し出し装置136は、リフトコンベア134に設ける必要は無く、別体の装置であってもかまわない。さらに、リフトコンベア134と移動棚102との間で箱体200を移載できる装置であれば、特に押し出し装置136に限定されることはない。
【0038】
また、箱体200の昇降機構としてパンタグラフを図示しているが、特にこれに限定されるものでは無い。
【0039】
図5は、移動棚を示す側面図である。
【0040】
移動棚102は、箱体200を保持する保持部121が複数箇所に設けられる棚であり、第二移載装置104によって移動させることができるものとなっている。本実施の形態の場合、移動棚102は、矩形平板状の移動棚板122を上下方向複数段備え、移動棚板122上に箱体200を載せ置くことによって箱体200を保持する。従って、移動棚102が有する保持部121の数は箱体200の大きさによって変わるものとなっている。なお本実施の形態では、移動棚102は、水平方向(X軸方向)に保持部121を3箇所備え、鉛直方向(Z軸方向)には保持部121を4段備えており、保持部121を合計12箇所備えている。
【0041】
第二移載装置104は、図1に示すように、作業者Wが複数種類の物品の組み合わせ作業を行う組み合わせエリアAと移動棚102に箱体200が移載される移載エリアBとの間で移動棚102を移載する装置である。第二移載装置104は、組み合わせエリアAに沿って延び、組み合わせエリアAと移載エリアBとの間に敷設されるレール142と、移動棚102を保持した状態でレール142に沿って移動する移動棚保持手段141とを備えている。本実施の形態の場合、移動棚保持手段141は、複数の移動棚102を同時に保持し、組み合わせエリアAと移動棚保持手段141との間、および、移載エリアBと移動棚保持手段141の間でそれぞれ独立して移動棚102を移載することのできるものとなっている。
【0042】
当該移動棚保持手段141により、移動棚102の入れ替え作業を効率よく行うことが可能となる。
【0043】
なお、移動棚102の移載構造は特に限定されるものではないが、例えば、移動棚保持手段141がX軸方向に移動棚102を移動させることのできるコンベアを単数、または、複数備えることで移動棚102を移載することができる。
【0044】
また本実施の形態の場合、組み合わせエリアAと移載エリアBとの間であって、移動棚保持手段141の移動経路の近傍に、移動棚保管エリアCが設けられている。第二移載装置104は、組み合わせエリアAと移動棚保管エリアCとの間、および、移動棚保管エリアCと移載エリアBとの間で移動棚102を移載することが可能となっている。
【0045】
以上により、組み合わせエリアAと移載エリアBとが遠く離れている場合でも、移動棚保管エリアCにこれから組み合わせ作業に供される移動棚102や、組み合わせ作業が終了した移動棚102を保管しておくことで、ピッキングシステム100の効率を高めることが可能となる。
【0046】
なお、組み合わせエリアA、および、移載エリアB、および、移動棚保管エリアCには、移動棚102を同じ高さで保持できる載置台129が設けられている。
【0047】
図6は、報知装置を背部に存在する移動棚とともに示す側面図である。
【0048】
報知装置105は、組み合わせエリアAにおいて、物品の組み合わせに必要な組み合わせ情報を移動棚102に保持される箱体200に対応して報知する装置である。本実施の形態の場合、報知装置105は、組み合わせエリアAに配置される移動棚102の作業者W側に設けられる枠体151と、移動棚102の保持部121に対応する位置の枠体151に取り付けられる表示装置152と、箱体200から物品を取り出した際に作業者Wが押す釦ランプ153とを備えている。本実施の形態の場合、釦ランプ153は、作業者Wが押す押しボタン式のスイッチであるとともに、LEDが設けられ必要に応じて光るものとなっている。
【0049】
なお、報知装置105は上記実施の形態に限定されるわけではない。例えば、作業者Wが保持部121近傍に端末を配置した場合に、物品を取り出す個数を音声で報知するものでもかまわない。また、報知装置105は、モニタを備え、画面上に枠体151に類似する像と、当該像の保持部121に対応する位置に物品を取り出す個数を表示するものでもかまわない。
【0050】
次に、ピッキングシステム100の機能構成を説明する。
【0051】
図7は、ピッキングシステムの機能構成を示すブロック図である。
【0052】
同図に示すように、ピッキングシステム100は、移載制御装置106と、報知制御装置107とを備えている。
【0053】
移載制御装置106は、他のコンピュータなどから受信したオーダー情報に基づき保管棚101から移動棚102に移載する箱体200を決定し、決定した内容で第一移載装置103を制御する装置である。移載制御装置106は、いずれの箱体200をいずれの移動棚102のどの位置の保持部121に移載したかの情報を送信することができるものとなっている。
【0054】
なお本実施の形態の場合、箱体200は、箱体200を識別する箱体識別子をそれぞれ備えており、移動棚102は、移動棚102を識別する棚識別子をそれぞれ備えている。なお、箱体識別子や棚識別子は、ICタグやバーコードなど任意の識別子を採用しうる。また、保持部121の位置は番地情報が割り付けられている。
【0055】
また、移載制御装置106は、移動棚102を組み合わせエリアAのどの位置に搬送し、組み合わせエリアAに配置されるいずれの移動棚102を回収するかを判断し、判断した内容で第二移載装置104を制御する。
【0056】
報知制御装置107は、移載制御装置106から受信した情報に基づき、作業者Wが組み合わせエリアAにおいて物品の組み合わせ作業を行うための組み合わせ情報を作成し、作成した情報を報知装置105に送信する装置である。
【0057】
なお、移載制御装置106、および、報知制御装置107は、前記制御をソフトウエアに基づいて実行するコンピュータにより実現することができる。また、移載制御装置106、および、報知制御装置107は、独立した装置として示したが、他の処理も行うコンピュータの1機能として存在してもかまわない。
【0058】
次に、ピッキングシステム100の処理内容を説明する。
【0059】
図8は、ピッキングシステムの処理フローを示す図である。
【0060】
同図に示すように、ピッキングシステム100の移載制御装置106は、受信したオーダー情報に基づき保管棚101から移動棚102に移載する箱体200を決定する(S101)。
【0061】
ここで、オーダー情報とは、組み合わせられた組み合わせ物品の搬出先を示す情報と、物品の種類、および、個数を示す情報とを含む情報である。
【0062】
本実施の形態の場合次に、移載制御装置106は、オーダー情報である第一オーダー情報に基づいて決定される箱体200である第一箱体を移動棚102に全て移載するとした場合に、前記第一箱体を保持する移動棚102の空いている保持部121の数である空保持部数を導出する(S104)。例えば、移動棚102の保持部121の数が12であり、決定された第一箱体の数が7である場合、保持部121の数から第一箱体の数を減算した差が空保持部数となる。また、第一箱体の数が保持部121の数以上の場合、第一箱体の数から保持部121の数を除した差異の余を算出し、保持部121の数から前記余を現在した差が空保持部数となる。
【0063】
次に、オーダー情報に基づいて決定される箱体200の総数を全箱体数とした場合に、前記全箱体数が前記空保持部数以下である第二オーダー情報を探索する(S107)。
【0064】
第二オーダー情報が発見された場合、第二オーダー情報に基づいて決定される箱体200である第二箱体の全てを前記第一箱体とともに移動棚102に移載する制御を行う(S116)。
【0065】
一方、第二オーダー情報が発見されない場合、第一箱体のみを移動棚102に移載する制御を行う(S113)。
【0066】
次に、報知制御装置107は、移載制御装置106から、箱体200の情報と箱体200が移載された移動棚102の情報と、箱体200を保持する保持部121の位置情報と、移動棚102が移載される組み合わせエリアAにおける位置情報を取得し、対応するオーダー情報に基づき組み合わせ情報を作成する。
【0067】
次に、報知制御装置107は、組み合わせエリアAに複数配置される報知装置105内の組み合わせ情報に対応する報知装置105に対し組み合わせ情報を報知するよう制御する。具体的には、報知制御装置107は、保持部121に保持される箱体200から取得する物品の数を位置情報に対応する位置に配置される表示装置152に表示させる。
【0068】
以上でピッキングシステム100の処理の1サイクルは終了する。
【0069】
作業者Wが受け持つ位置に配置される移動棚102に保持される箱体200は、全て組み合わせ作業に必要な箱体200であることを認識しているため、例えば、左上隅の保持部121に保持される箱体200から順番に、対応する表示装置152に表示される数の物品を取り出して、出庫用容器201(図1参照)に収容すれば良い。これにより、作業者Wは、必要な箱体200か否かを判断するような余計な判断をする必要がなくなり、不必要な物品を組み合わせてしまうなどのヒューマンエラーの発生確率を低減することができる。
【0070】
なお具体的には、表示装置152に箱体200から取り出す物品の数が表示され、釦ランプ153が点灯しており、表示された数の物品を作業者Wが取り出した後に、作業者Wが釦ランプ153を押すことで、点灯していた釦ランプ153が消灯するものとなっている。これにより、物品の取り出しが完了した箱体200であるか否かを作業者Wが容易に判断することができる。
【0071】
また、箱体200から物品を一つ取り出す毎に釦ランプ153を作業者Wが押すと、表示装置152に表示される数が一つ減るものとしてもよい。これにより、組み合わせる物品の数を間違えるヒューマンエラーの発生確率を低減することができる。
【0072】
さらに、作業者Wは、組み合わせエリアAでの定点作業になり、作業者Wの移動量を大幅に削減できるため、作業者Wの肉体的な負担を軽減することができ、ピッキングシステム100全体の効率を向上することが可能となる。
【0073】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0074】
例えば、一つの移動棚102に異なるオーダー情報にかかる箱体200を保持させることは本願発明の必須の要件ではない。ただし、移動棚102を移載する際に、空保持部数が少ない方が、ピッキングシステム100全体の効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本願発明は、複数のメーカーで製造された複数種類の物品(商品)を一旦倉庫などに集中させ、集められた物品を販売用の店舗毎に仕分ける物流倉庫などに適用可能である。特に、医薬品や食品など作業者の手でハンドリング可能な物品を仕分ける作業に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
100 ピッキングシステム
101 保管棚
102 移動棚
103 第一移載装置
104 第二移載装置
105 報知装置
106 移載制御装置
107 報知制御装置
111 保管棚板
121 保持部
122 移動棚板
129 載置台
131 水平搬送手段
132 鉛直搬送手段
133 コンベア
134 リフトコンベア
135 走行車
136 押し出し装置
141 移動棚保持手段
142 レール
151 枠体
152 表示装置
153 釦ランプ
200 箱体
201 出庫用容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種類の複数の物品が収容される箱体であって複数種類の物品に対応する複数の前記箱体からオーダー情報に基づき複数の物品を組み合わせて出庫するためのピッキングシステムであって、
複数の前記箱体を保管する保管棚と、
前記箱体を保持する保持部が複数箇所に設けられる移動棚と、
前記保管棚と前記移動棚との間で前記箱体を移載する第一移載装置と、
作業者が複数種類の物品の組み合わせ作業を行う組み合わせエリアと前記移動棚に前記箱体が移載される移載エリアとの間で前記移動棚を移載する第二移載装置と、
前記組み合わせエリアにおいて、組み合わせに必要な組み合わせ情報を前記移動棚に保持される前記箱体に対応して報知する報知装置と
を備えるピッキングシステム。
【請求項2】
さらに、
複数の前記移動棚を保管する移動棚保管エリアを備え、
前記第二移載装置は、
前記組み合わせエリアと前記移動棚保管エリアとの間、および、前記移動棚保管エリアと移載エリアとの間で前記移動棚を移載する
請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記第二移載装置は、
複数の前記移動棚を保持して搬送可能であり、前記組み合わせエリア、および、前記移載エリアとの間で独立して単数の前記移動棚を移載する移動棚保持手段を備える
請求項1または2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
さらに、
オーダー情報に基づき前記保管棚から前記移動棚に移載する前記箱体を決定する移載制御装置であって、
オーダー情報である第一オーダー情報に基づいて決定される前記箱体である第一箱体を前記移動棚に全て移載するとした場合に、前記第一箱体を保持する前記移動棚の空いている前記保持部の数である空保持部数を導出し、
オーダー情報に基づいて決定される前記箱体の総数を全箱体数とした場合に、前記全箱体数が前記空保持部数以下である第二オーダー情報を探索し、
第二オーダー情報が発見された場合、第二オーダー情報に基づいて決定される前記箱体である第二箱体の全てを前記第一箱体を保持する前記移動棚に移載する移載制御装置
を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記報知装置は、前記オーダー情報に基づき、組み合わせ情報として前記移動棚における前記箱体の位置を示す位置情報に対応する位置に前記箱体から取り出す物品の数を示す数情報を報知する
請求項1〜4のいずれか1項に記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−79141(P2013−79141A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221056(P2011−221056)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】