説明

ピッキング作業管理システム

【課題】多種多様な出荷オーダの特性に適応する最適なピッキング作業方式を選択し、配送センタでのピッキング作業の効率を飛躍的に向上させるピッキング作業管理システムを提供する。
【解決手段】基本管理サーバ1は、出荷商品引当部30で対象日に出荷オーダに対応する在庫があるか否かを引当処理し、引当てが可能な場合に、ピッキング選定部31によって出荷商品データベース22から対象日の出荷データを読み出し、出荷データに基づいて対象日に出荷予定の商品種類数と出荷オーダ数を集計し、商品種類数が第1基準値以上か否かを演算し、次いで、いずれの演算結果の場合であっても、出荷オーダ数が第2基準値以上か否かを演算し、その演算結果が第2基準値以上のときは、更に特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上か否かを演算することにより最適なピッキング方式を選定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信販売業者など、異なる多数の荷主から受注した多様な出荷オーダに応じて、倉庫等の配送センタで行う在庫商品のピッキング作業の効率化を図るのに好適なピッキング作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通販業などでは、配送設備の整った大規模な倉庫など、運送会社等の配送センタに、各種の顧客からのオーダ(注文)に備えて、多種多様な商品の在庫を大量に蓄えている。そのように配送センタに商品の在庫を大量に蓄えておけば、個人を含む多数の注文者からの多種多様な出荷オーダにも迅速に対応することができる。そこで、商品の在庫を抱えた在庫型の配送センタでは、通販業者等の荷主から出荷オーダを受け取ると、出荷オーダに対応した商品を広大な倉庫内から集め(当該作業をピッキングという。)、集めた商品を届け先毎に包装・梱包して出荷している。従って、配送センタでは、一連の出荷作業の中でも、特に商品のピッキング作業を作業員によって如何に効率よく行うかが、作業管理上、最も重要な要素になっている。
【0003】
そこで、一般には、ピッキング作業の効率を考えて、オーダ単位(届け先単位)に商品をピッキングして一つの出荷単位にまとめるオーダピッキング方式か、或いは、オーダに関係なく、商品の種類単位で集計し、商品種ごとにそれぞれ一括してピッキングし、それらを後工程でオーダに応じて届け先毎に仕分けするトータルピッキング方式が採られ、この2種類のピッキング方式のいずれかを単純に選んで作業されている。
【0004】
しかし、オーダピッキング方式は、比較的オーダ商品が多品種少数の出荷作業に主眼がおかれ、一方で、トータルピッキング方式は、比較的オーダ商品が少品種多数の出荷作業に主眼が置かれているため、いずれか一方の方式のみにより作業をしようとすると、多種多様な出荷オーダの特性に柔軟に対応しきれず、ピッキング作業の効率があまり上がらないという問題があった。
【0005】
そこで、従来のピッキング作業管理システムの中には(特許文献1参照)、オーダピッキング時間と、トータルピッキング時間および二次仕分け時間の合算時間とを、作業判定部で比較し、所用時間がより短時間であると判定されたのがオーダピッキングの作業であると、オーダ群を構成する出荷オーダ毎にオーダ数に応じた商品のピッキング作業を行うオーダピッキングリストを生成して出力する一方、所用時間がより短時間であると判定されたのがトータルピッキングおよび二次仕分けの作業であると、出荷オーダ群より特定した、同一オーダ商品の合算値が予め定めた閾値以上になる商品の、前記合算値に応じたピッキング作業を行うトータルピッキングリストを生成して出力し、それぞれピッキングリストを作業員に指示作業として示し、オーダ特性に応じてピッキング作業の効率化を図ろうとするシステムが提案されている。
【特許文献1】特開2005−206281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のピッキング作業管理システムでは、オーダピッキングとトータルピッキングという限られた作業方式の中から、作業の所用時間の算定に基づいて、いずれか一方が二者択一的に選択されるシステムになっている。ところが、一般に、配送センタでは、荷主が多様な商品を取り扱い、しかも注文客に多くの個人を抱える通販業者のような場合に、受注する出荷オーダが、その多種多様性から、オーダピッキング方式又はトータルピッキング方式による作業に馴染む多品種少数の場合や少品種多数の場合に限らず、多品種多数の場合もあれば、少品種少数の場合もあり、他方で、オーダが出荷頻度の多い特定種類の商品で完結する場合も混在しているのが実情である。従って、作業方式がオーダピッキングかトータルピッキングかの二者択一である従来のピッキング作業管理システムによっては、ここまで多種多様な出荷オーダの特性に対して、柔軟に適応することができない。しかも、あくまで作業時間のみを基準にピッキング作業方式を決定するのでは、オーダ特性によっては、作業時間は短いが作業員の人数がより多く必要になる非効率的な作業方式が選択されることがあるという問題もあり、結局は、ピッキング作業の効率を十分には向上させることができないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、多種多様な出荷オーダの特性に適応する最適なピッキング作業方式を選択し、配送センタでのピッキング作業の効率を飛躍的に向上させるピッキング作業管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上述した課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、配送センタSに備える基本管理サーバ1に、異なる複数の荷主にそれぞれ備える荷主端末2…をネットワークで結び、それら荷主端末から、前記配送センタS内に在庫の商品を届け先へ出荷する出荷オーダを前記基本管理サーバ1が受けると、荷主からの出荷オーダ情報に応じて商品を集める最適なピッキング方式を選定し、その選定ピッキング方式に従って出荷商品のピッキングを実行するためのピッキング作業管理システムであって、前記基本管理サーバ1は、前記配送センタSに入庫する商品毎に商品番号で関連付けて商品名や個数を含む商品在庫データを格納する商品別在庫データベース20と、前記入庫商品の在庫位置を示すロケーションを、商品毎に商品番号で関連付けて商品名や個数と共に在庫位置データとして格納するロケーション別在庫データベース21と、前記荷主端末2…から出荷オーダ情報を受信すると、それら出荷オーダ情報を取り込んで、出荷番号で関連付けて商品毎に商品番号・商品名・個数・種類・届け先を含む出荷データを格納する出荷商品データベース22と、該出荷商品データベース22から対象日の出荷データを読み出し、該出荷データに基づき商品番号単位で商品の出荷合計個数を算出する一方、前記商品別在庫データベース20から商品在庫データを読み出し、その商品在庫データに商品番号別の前記出荷合計個数を照合し、対象日に出荷オーダに対応する在庫があるか否かを引当処理する出荷商品引当部30と、前記出荷商品データベース22から対象日の出荷データを読み出し、その出荷データに基づいて対象日に出荷予定の商品種類数と出荷オーダ数を集計し、商品種類数が第1基準値以上か否かを演算し、次いで、いずれの演算結果の場合であっても、出荷オーダ数が第2基準値以上か否かを演算し、その演算結果が第2基準値以上のときは、更に特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上か否かを演算することにより最適なピッキング方式を選定するピッキング選定部31と、前記出荷商品データベース22から出荷番号をキーに出荷データを読み出すと共に、前記ロケーション別在庫データベース21から商品番号をキーに在庫位置データを読み出し、最適と選定されたピッキング方式に合わせて出荷データおよび在庫位置データを記録してピッキングリスト50・60・70を生成するピッキングリスト生成部32とを備え、前記ピッキング選定部31は、商品種類数が第1基準値以下で且つ出荷オーダ数が第2基準値以下の演算結果のときは、届け先別に仕切って商品を入れる仕切り部36を備えた特殊台車C1を、指定ロケーション順に移動しながら出荷商品を指定個数取り出して届け先別に前記仕切り部36に入れて集める第1ピッキング方式を選定し、商品種類数が第1基準値以上で且つ出荷オーダ数が第2基準値以下の演算結果のときは、前記配送センタS内でピッキングエリアa〜fを複数に区分けして配置する一方、商品をソーティング順に並べて載せる商品棚40を多段に重ねて備えた特殊台車C2を、前記ピッキングエリア別に指定ロケーションに沿って移動しながら出荷商品を1個ずつ取り出して前記商品棚40に載せて集めてから、中央のソートエリアgで届け先別に仕分けする第2ピッキング方式を選定し、商品種類数が第1基準値以下である一方、出荷オーダ数が第2基準値以上で且つ特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上の演算結果のときは、前記第1ピッキング方式と、作業員の周りに商品棚45を配置し、それら商品棚45に出荷頻度の多い特定種類の商品を配列した所定の作業箇所で、そのまま周りの商品棚45から出荷商品を取り出して届け先毎に集約する第3ピッキング方式とを組み合わせた、第4ピッキング方式を選定し、商品種類数が第1基準値以上で、出荷オーダ数も第2基準値以上で且つ特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上である演算結果のときは、前記第2ピッキング方式と前記第3ピッキング方式とを組み合わせた、第5ピッキング方式を選定してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、基本管理サーバが、出荷商品引当部で対象日に出荷オーダに対応する在庫があるか否かを引当処理し、引当てが可能な場合に、ピッキング選定部で出荷商品データベースから対象日の出荷データを読み出し、出荷データに基づいて対象日に出荷予定の商品種類数と出荷オーダ数を集計し、商品種類数が第1基準値以上か否かを演算し、次いで、いずれの演算結果であっても、出荷オーダ数が第2基準値以上か否かを演算し、その演算結果が第2基準値以上のときは、更に特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上か否かを演算してピッキング方式を選定することにより、出荷オーダが多品種多数の場合や少品種少数の場合や出荷頻度の多い特定種類の商品で完結する場合などであっても、それら多種多様な出荷オーダの特性に応じて最適なピッキング作業方式が選択され、その結果、配送センタでのピッキング作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の最良形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明によるピッキング作業管理システムの構成を含むネットワーク構成のブロック図である。本システムでは、運送会社の配送センタSに備える基本管理サーバ1を中心とし、基本管理サーバ1に、荷主、例えば通販会社(A・B・C等の各社)に備えた荷主端末2…を、それぞれ通信管理サーバ3を介してネットで接続して互いにデータ収受可能に構成する。一方、配送センタS内において、基本管理サーバ1には、社内LANを介して作業管理サーバ4を接続すると共に、配送センタS内へ入庫する商品の入庫管理端末5、配送センタSから出庫する商品の出庫管理理端末6、商品の検品管理端末7、商品の返品管理端末8等の各クライアント端末を接続している。なお、作業管理サーバ4は、運送会社のパート・アルバイト作業員が所持した携帯電話やパソコン等の通信端末9…と、Webサーバ10を介してネットで接続している。
【0012】
配送センタSは、荷主から、出荷オーダを一括集中的に受け付ける運送会社の受注窓口で、配送設備の整った倉庫などの施設である。配送センタSの基本管理サーバ1は、キーボード・マウス等のポインティングデバイスから成る入力装置11、入力データのモニタに用いる表示装置12、各種データを出力する出力装置13、本システムが有する機能を実現させるプログラム14を格納したメモリ15、各種データベース・マスタ・ファイルを格納した記憶装置16を、システム全体を統括的に制御処理する制御装置17に接続してなる。
【0013】
記憶装置16は、商品別在庫データベース20、ロケーション別在庫データベース21、出荷商品データベース22、出荷管理データベース23、作業効率データベース24等のデータベースの他に、ピッキング判定条件マスタ25、商品マスタ26等の各種マスタを備える。
【0014】
商品別在庫データベース20は、入庫処理端末5から取り込まれる入庫商品単位に、商品番号で関連付けて商品名や個数を含む商品在庫データを格納している。ロケーション別在庫データベース21は、入庫商品の在庫位置を示すロケーションを、商品毎に商品番号で関連付けて商品名や個数と共に在庫位置データとして格納している。出荷商品データベース22は、荷主端末2…から出荷オーダ情報を受信すると、それら出荷オーダ情報を取り込んで、出荷番号で関連付けて商品毎に商品番号・商品名・個数・種類・届け先を含む出荷データとして格納する。出荷データは、A・B・C各社等の荷主単位に分けて随時蓄積する。出荷管理データベース23は、出荷商品データベース22に取り込んだ出荷データにピッキング選別結果を、ピッキング判定条件を付加して格納する。作業効率データベース24には、過去に選定された各ピッキング方式のピッキングリスト単位に計時した作業時間等を格納している。
【0015】
ピッキング判定条件マスタ25は、ピッキング選定部31で演算するときなどに使用する基準値などの各種判定条件が格納されている。商品マスタ26は、商品別明細、即ち商品単位に商品名、商品番号、荷扱い上の注意事項等を格納している。
【0016】
一方、基本管理サーバ1は、プログラム14として、出荷商品引当部30、ピッキング選定部31、ピッキングリスト生成部32、作業予定者抽出部33および作業予定者特定部34等を備える。出荷商品引当部30は、出荷商品データベース22から対象日の出荷データを読み出し、その出荷データに基づき商品番号単位で商品の出荷合計個数を算出する一方、商品別在庫データベース20から商品在庫データを読み出し、その商品在庫データに商品番号別の商品の出荷合計個数を照合し、対象日に出荷オーダに対応する在庫があるか否かを引当処理するようにプログラムされている。
【0017】
ピッキング選定部31は、出荷商品データベース22から対象日の出荷データを読み出し、出荷データに基づいて対象日に出荷予定の商品種類数と出荷オーダ数を集計する。そして、商品種類数が第1基準値以上か否かを演算し、次いで、いずれの演算結果であっても、出荷オーダ数が第2基準値以上か否かを演算し、その演算結果が第2基準値以上のときは、更に特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上か否かを演算することにより最適なピッキング方式を選定するようにプログラムされている。そのため、ピッキング判定条件マスタ25には、ピッキング選定時に読み出して使用する、商品種類数の第1基準値(例えば1,500種類)と、出荷オーダ数の第2基準値(例えば5,000件)と、特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数の第3基準値(例えば100件)及びそのときの商品の特定種類数(例えば50種類)が記録されている。
【0018】
そこで、ピッキング選定部31は、商品種類数が第1基準値(例えば1,500種類)以下で且つ出荷オーダ数が第2基準値(例えば5,000件)以下の演算結果のときは(図2参照)、届け先別に仕切って出荷商品35を入れる仕切り部36を有した特殊台車C1を、指定ロケーション順に移動しながら出荷商品35を指定個数取り出して届け先別に仕切り部36内に入れて集める第1ピッキング方式(例えばカートピッキングとも云う。)を選定する。
【0019】
商品種類数が第1基準値以上で且つ出荷オーダ数が第2基準値以下の演算結果のときは(図3・図4参照)、配送センタS内でピッキングエリア(a)〜(f)を複数に区分けして配置する一方、商品をソーティング順に並べて載せるプット(置き場所)39を設けた商品棚40を多段に備えた特殊台車C2を、ピッキングエリア別に指定ロケーションに沿って移動しながら出荷商品を1個ずつ取り出して商品棚40のプット39上に載せて集めてから、中央のソートエリア(g)で届け先別に仕分けする第2ピッキング方式(例えばピースピッキングとも云う。)を選定する。
【0020】
商品種類数が第1基準値以下である一方、出荷オーダ数が第2基準値以上で且つ特定種類数(例えば50種類)で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値(例えば100件)以上の演算結果のときは(図6参照)、第1ピッキング方式と、作業員の周りに商品棚45を配置し、それら商品棚45に出荷頻度の多い特定種類の商品を配列した所定の作業場所で、台車移動することなく、そのまま商品棚45から出荷商品を取り出して届け先毎に集約する第3ピッキング方式(例えばブースピッキングとも云う。)とを組み合わせた、第4ピッキング方式を選定する。
【0021】
商品種類数が第1基準値以上で、出荷オーダ数も第2基準値以上で且つ特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上の演算結果のときは、第2ピッキング方式と第3ピッキング方式とを組み合わせた、第5ピッキング方式を選定するようにプログラムされている。
【0022】
ピッキングリスト生成部32は、出荷商品データベース22から出荷番号をキーに出荷データを読み出すと共に、ロケーション別在庫データベース21から商品番号をキーに在庫位置データを読み出し、最適と選定されたピッキング方式に合わせて出荷データおよび在庫位置データを記録してピッキングリストを生成するようにプログラムされている。ピッキングリスト生成部32で生成されるピッキングリストは、第1のカートピッキング方式に関するものか、第2のピースピッキング方式に関するものか、第3のブースピッキング方式に関するものかで異なり、それは出荷管理データベース23に格納される。
【0023】
第1のカートピッキングリスト50は、図2に示すように、在庫位置(ロケーション)、商品番号(商品コード)、商品種類(商品区分)、個数(総出荷数量)、届け先等のピッキング情報を関連付けて記録される。従って、作業員は、第1のカートピッキングリスト50を確認し、例えば特殊台車C1を移動して3A-01-002-02へ向かい、該ロケーションから、商品番号999433-1の化粧品を8個取り出し、届け先(A02,A09,A10,A11,A12,A19,A21,A22)別に1個ずつ仕切り部36内に入れて集める。すべてのロケーションを回ると、48届け先への出荷指示(オーダ)のピッキングを完了する。
【0024】
第2のピースピッキングリスト60は、図5に示すように、ピッキング対象商品の1個ずつと対応するピッキングラベル51・52…を作成して1枚のピッキングシート上に剥離自在に貼り付けて形成してなる。ピッキングラベル51・52…には、それぞれ商品名や商品番号54の他に、ロケーション番号55、棚番号56、届け先番号57等のピッキング情報を関連付けて記録される。棚番号56には、特殊台車C2のカート番号56aや、プット部39を識別するプット番号56bを含む。一方、特殊台車C2の商品棚40上の各プット部39には、届け先順にプット番号56bが割り付けられている。従って、作業員は、ピッキングリスト60をぶら下げて特殊台車C2を移動し、担当するピッキングエリアへ赴いてから、例えばピッキングラベル51を確認し、ロケーション2A-1-14-24へ向かって、ピッキングラベル51を剥がす一方、ロケーション2A-1-14-24から商品番号767022311-7のキャミソールを取り出してピッキングラベル51を貼り付け、商品棚40にあって該当するプット番号(15)のプット部39の上に置く。それから、ピッキング対象商品のすべて(例えば最大72個)をピッキングして後、中央のソートエリア(g)へ移動して届け先別に仕分けする。そのとき、プット番号が若い順に商品を商品棚40から取り出して届け先別に仕分けする(種蒔きする)。図示例では、プット番号が15番のプット部39から商品番号767022311-7のキャミソールを取り出して届け先番号がF11-1の仕分け箱59aに投入して仕分けする。仕分け箱59aは、12個口で1つのソート間口59を構成する。そして、特殊台車C2の商品のプット番号を、ソートエリア(g)における届け先のソート間口59の順序に合わせて割り付けてあり、ソートスタート位置から仕分けを開始すると、後へ戻ることなく一方通行で仕分けして完了するようになっている。
【0025】
第3のブースピッキングリスト70は、図7に示すように、出荷番号65、ソート番号(届け先番号)66、総Pcs数(個数)67、商品棚番号68等のピッキング情報を関連付けて記録される。従って、作業員は、所定の作業場所で、第3のブースピッキングリスト70を確認し、商品棚番号68を元に、商品種類単位に並べて置いた商品棚45から、該当種類の商品を取り出して届け先別に仕分け箱に入れて集約する。
【0026】
なお、作業予定者抽出部33は、作業効率データベース24から過去に選定された各ピッキング方式のピッキングリスト単位に計時した作業時間等を読み出し、出荷対象日にピッキング作業を行うに必要な作業員の人数(例えば100人)を抽出するようにプログラムされている。作業予定者特定部34は、作業管理サーバ4に備えた労務管理データベース41から作業員個々の各ピッキング方式による作業時間を読み出し、携帯電話等の通信端末9…から出勤予定の登録のあった作業候補者(例えば120人)の中から特定の作業員100人に絞り込んで特定するようにプログラムされている。
【0027】
一方、作業管理サーバ4は、記憶装置40に、労務管理データベース41、作業計画データベース42、作業者マスタ43等を備える。労務管理データベース41には、各作業員単位のピッキング作業時間等を格納している。作業計画データベース42は、出荷対象日のピッキング作業を行うに必要な作業員数とその特定作業員データ等を取り込んで作業計画データとして格納する。
【0028】
さて次に、上述した構成のピッキング作業管理システムの作用について、基本管理サーバ1の処理動作を中心に、図8・図9に示す処理手順に沿って説明する。
【0029】
基本管理サーバ1は、荷主端末2…から、所定の届け先へ必要個数の特定商品を運送する出荷オーダを通信管理サーバ3を経由して受信する(S1)。出荷オーダを受信すると、出荷オーダ情報を出荷商品データベース22に取り込んで、出荷番号で関連付けて商品毎に商品番号・商品名・個数・種類・届け先を含む出荷データとして格納する(S2)。出荷データは、A・B・C各社等の荷主単位に分けて随時蓄積され、荷主別に情報処理されるが、以下は、荷主1社の情報処理について説明する。
【0030】
そこで、基本管理サーバ1は、まず、出荷商品引当部30によって出荷対象日に出荷オーダ情報に対応する商品の在庫があるか否か引当処理する(S3)。その場合、出荷商品引当部30は、出荷商品データベース22から対象日の出荷データを読み出し、出荷データに基づき商品番号単位で商品の出荷合計個数を算出する(S3a)。一方、商品別在庫データベース20から商品在庫データを読み出し、商品在庫データに商品番号別の出荷合計個数を照合し、対象日に出荷オーダに対応する在庫があるか否かを引当処理する(S3b)。引当てが可能な場合、出荷商品引当部30は、引当済みフラグを付加して出荷データを更新し、商品の明細(商品名・個数・届け先)単位で出荷商品データベース22に格納する(S3c)。引当て不可の場合は、引当不可フラグを付加して出荷データを更新して出荷商品データベース22に格納する(S3d)。こうして出荷データを確定処理する。
【0031】
次いで、基本管理サーバ1は、引当てが可能な場合に初めて、図9に示すように、最適ピッキング方式を選定するステップへ移行する。その場合、事前にピッキング選定部31が出荷商品データベース22から対象日の出荷データを読み出し、その出荷データに基づいて対象日に出荷予定の商品種類数と出荷オーダ数(出荷指示件数)を集計する(S4)。それから、ピッキング選定ステップを開始する。
【0032】
そこで、ピッキング選定部31は、まず商品種類数が第1基準値(例えば1,500種類)以上か否かを演算する(S5)。次いで、いずれの演算結果の場合であっても、出荷オーダ数が第2基準値(例えば1,500種類)以上か否かを演算する(S6a・S6b)。そのうち、商品種類数が第1基準値以下で、且つ出荷オーダ数が第2基準値以下の演算結果のときは、第1のカートピッキング方式を選定する(S7)。
【0033】
一方、商品種類数が第1基準値以上で、出荷オーダ数が第2基準値以下の演算結果のときは、第2のピースピッキングを選定する(S8)。
【0034】
また、ピッキング選定部31は、出荷オーダ数が第2基準値以上か否かを演算したときに、その演算結果が第2基準値以上のときは、更に特定種類数(例えば50種類)で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値(例えば100件)以上か否かを演算する(S9a・S9b)。その演算結果が、商品種類数が第1基準値以下である一方、出荷オーダ数が第2基準値以上で且つ特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上のときは、第1のカートピッキング方式と第3のブースピッキング方式とを組み合わせた、第4ピッキング方式を選定する(S10)。
【0035】
更に、商品種類数が第1基準値以上で、出荷オーダ数も第2基準値以上で且つ特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上の演算結果のときは、第2のピースピッキング方式と第3のブースピッキング方式とを組み合わせた、第5ピッキング方式を選定する(S11)。しかる後、以上のピッキング選別結果を、ピッキング判定条件(基準値等)を付加して出荷データと共に出荷管理データベース23に格納してピッキング選定動作を終了する。
【0036】
そこで、ピッキング方式の選定を終えると、基本管理サーバ1は、ピッキングリスト生成部32が出荷商品データベース22から出荷番号をキーに出荷データを読み出すと共に、ロケーション別在庫データベース21から商品番号をキーに在庫位置データを読み出し、最適と選定されたピッキング方式に合わせて出荷データおよび在庫位置データを記録して各ピッキングリストを生成し、出力装置13によって出力する。そして、各ピッキングリストは、ピッキング作業用の帳票として各々の仕様にプリントアウトされ、例えば100名の特定ピッキング作業員に手渡される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明によるピッキング作業管理システムの構成を含むネットワーク構成のブロック図である。
【図2】第1のカートピッキングリストとピッキング作業を説明する斜視図である。
【図3】第2のピースピッキング方式のために区画した配送センタのピッキングエリア構成を示す概略平面図である。
【図4】第2のピースピッキング作業を説明する斜視図である。
【図5】第2のピースピッキングリストを示す平面図である。
【図6】第3のブースピッキング作業を説明する平面図である。
【図7】第3のブースピッキングリストを示す平面図である
【図8】基本管理サーバの商品引当て処理動作を説明するフローチャートである。
【図9】基本管理サーバのピッキング選定理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
C1・C2 特殊台車
S 配送センタ
a〜f ピッキングエリア
g ソートエリア
1 基本管理サーバ
2 荷主端末
20 商品別在庫データベース
21 ロケーション別在庫データベース
22 出荷商品データベース
30 出荷商品引当部
31 ピッキング選定部
32 ピッキングリスト生成部
36 仕分け部
40・45 商品棚
50・60・70 ピッキングリスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送センタに備える基本管理サーバに、異なる複数の荷主にそれぞれ備える荷主端末をネットワークで結び、それら荷主端末から、前記配送センタ内に在庫の商品を届け先へ出荷する出荷オーダを前記基本管理サーバが受けると、荷主からの出荷オーダ情報に応じて商品を集める最適なピッキング方式を選定し、その選定ピッキング方式に従って出荷商品のピッキングを実行するためのピッキング作業管理システムであって、
前記基本管理サーバは、
前記配送センタに入庫する商品毎に商品番号で関連付けて商品名や個数を含む商品在庫データを格納する商品別在庫データベースと、
前記入庫商品の在庫位置を示すロケーションを、商品毎に商品番号で関連付けて商品名や個数と共に在庫位置データとして格納するロケーション別在庫データベースと、
前記荷主端末から出荷オーダ情報を受信すると、それら出荷オーダ情報を取り込んで、出荷番号で関連付けて商品毎に商品番号・商品名・個数・種類・届け先を含む出荷データを格納する出荷商品データベースと、
該出荷商品データベースから対象日の出荷データを読み出し、該出荷データに基づき商品番号単位で商品の出荷合計個数を算出する一方、前記商品別在庫データベースから商品在庫データを読み出し、その商品在庫データに商品番号別の前記出荷合計個数を照合し、対象日に出荷オーダに対応する在庫があるか否かを引当処理する出荷商品引当部と、
前記出荷商品データベースから対象日の出荷データを読み出し、その出荷データに基づいて対象日に出荷予定の商品種類数と出荷オーダ数を集計し、商品種類数が第1基準値以上か否かを演算し、次いで、いずれの演算結果の場合であっても、出荷オーダ数が第2基準値以上か否かを演算し、その演算結果が第2基準値以上のときは、更に特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上か否かを演算することにより最適なピッキング方式を選定するピッキング選定部と、
前記出荷商品データベースから出荷番号をキーに出荷データを読み出すと共に、前記ロケーション別在庫データベースから商品番号をキーに在庫位置データを読み出し、最適と選定されたピッキング方式に合わせて出荷データおよび在庫位置データを記録してピッキングリストを生成するピッキングリスト生成部とを備え、
前記ピッキング選定部は、
商品種類数が第1基準値以下で且つ出荷オーダ数が第2基準値以下の演算結果のときは、届け先別に仕切って商品を入れる仕切り部を備えた特殊台車を、指定ロケーション順に移動しながら出荷商品を指定個数取り出して届け先別に前記仕切り部に入れて集める第1ピッキング方式を選定し、
商品種類数が第1基準値以上で且つ出荷オーダ数が第2基準値以下の演算結果のときは、前記配送センタ内でピッキングエリアを複数に区分けして配置する一方、商品をソーティング順に並べて載せる商品棚を多段に重ねて備えた特殊台車を、前記ピッキングエリア別に指定ロケーションに沿って移動しながら出荷商品を1個ずつ取り出して前記商品棚に載せて集めてから、中央のソートエリアで届け先別に仕分けする第2ピッキング方式を選定し、
商品種類数が第1基準値以下である一方、出荷オーダ数が第2基準値以上で且つ特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上の演算結果のときは、前記第1ピッキング方式と、作業員の周りに商品棚を配置し、それら商品棚に出荷頻度の多い特定種類の商品を配列した所定の作業箇所で、そのまま周りの商品棚から出荷商品を取り出して届け先毎に集約する第3ピッキング方式とを組み合わせた、第4ピッキング方式を選定し、
商品種類数が第1基準値以上で、出荷オーダ数も第2基準値以上で且つ特定種類数で出荷が完結する出荷オーダ数が第3基準値以上である演算結果のときは、前記第2ピッキング方式と前記第3ピッキング方式とを組み合わせた、第5ピッキング方式を選定してなることを特徴とする、ピッキング作業管理システム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−239337(P2008−239337A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86217(P2007−86217)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591135440)日本通運株式会社 (39)
【Fターム(参考)】