説明

ピッキング設備

【課題】高精度のピッキングができるピッキング設備を提供する。
【解決手段】ピッキング設備1は、互いに離間対向する物品保管手段2と、両物品保管手段2間に位置する物品搬送手段3とを備える。物品保管手段2は、複数の保管部6およびこれら複数の保管部6に対応して設けた複数の保管側ランプ8を有する。
ピッキング設備1は、物品Wを載置面20上に載せて待機させる待機状態と載置面20上の物品Wを物品搬送手段3に向けて案内する案内状態とに選択的に切り換え可能な複数の案内体21を備える。各案内体21には、案内側ランプ25をそれぞれ設ける。作業者Aは、点灯した案内側ランプ25に対応する案内体21の載置面20上に、点灯した保管側ランプ8に対応する保管部6から取り出した物品Wを1個だけ載せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度のピッキングができるピッキング設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のピッキング設備は、物品が保管される複数の保管部を有する物品保管手段と、集品容器を搬送する搬送手段と、搬送中の集品容器に対して物品を自動的に投入する複数の投入手段とを備えている。
【0003】
また、複数の保管部に対応してピッキング表示器が設けられ、各ピッキング表示器は、対応する保管部からピッキングする物品の数量を示す数量表示器と、ピッキング作業があることを表示するランプおよび完了ボタンスイッチを兼ねた表示・完了ボタンとにて構成されている。さらに、複数の投入手段に対応して投入表示器が設けられ、各投入表示器は、対応する投入手段に投入する物品の数量を示す数量表示器と、投入先であることを表示するランプおよび完了ボタンスイッチを兼ねた表示・完了ボタンとにて構成されている。そして、点灯したランプに対応する投入手段の本体内には、数量表示器に示された数量、例えば複数個の物品が一時的に収容される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−75635号公報(図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のピッキング設備では、例えば投入手段の本体内に一時的に収容する物品の数量を間違えてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、案内体の載置面上に載せる物品の数量を間違えることがなく、高精度のピッキングができるピッキング設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のピッキング設備は、物品が保管される複数の保管部およびこれら複数の保管部に対応して設けられた複数の保管側ランプを有する物品保管手段と、物品を搬送する物品搬送手段と、物品を載置面上に載せて待機させる待機状態と前記載置面上の物品を前記物品搬送手段に向けて案内する案内状態とに切り換えられる複数の案内体と、これら複数の案内体に対応して設けられた複数の案内側ランプとを備え、点灯した案内側ランプに対応する案内体の載置面上には、点灯した保管側ランプに対応する保管部から取り出した物品を1個だけ載せるものである。
【0007】
請求項2記載のピッキング設備は、請求項1記載のピッキング設備において、案内体は、略板状で上下方向に回動可能に設けられ、回動によって待機状態および案内状態に切り換えられ、案内側ランプは、前記案内体の物品搬送手段側の端部に設けられているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、点灯した案内側ランプに対応する案内体の載置面上には、点灯した保管側ランプに対応する保管部から取り出した物品を1個だけ載せる構成であるから、案内体の載置面上に載せる物品の数量を間違えることがなく、高精度のピッキングができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のピッキング設備の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1および図2において、1はピッキング設備で、このピッキング設備1は、互いに離間対向して配設された対をなす物品保管手段2と、これら両物品保管手段2間に配設された物品搬送手段3とを備えている。
【0011】
物品保管手段2は、枠体5を有している。枠体5には、冷凍食品等の物品WがケースKに複数入れられた状態で保管される複数の保管部(商品棚等)6が設けられている。各保管部6は、例えば物品搬送手段3側に向って下り傾斜する傾斜状のフリーローラコンベヤ7にて構成され、各フリーローラコンベヤ7の下端部には先頭のケースKと当接して保管中のケースKの移動を規制するストッパ(図示せず)が設けられている。物品Wが取り出されて空になった先頭のケースKを保管部6から除去すると、後続のケースKは自重でフリーローラコンベヤ7上を移動する。各フリーローラコンベヤ7の上端部には、物品Wが入ったケースKが作業者Bによる手作業によって供給される。
【0012】
なお、図1に示されるように、複数の保管部6、すなわち例えば5列4段の保管部6にて、1人の作業者Aがピッキング作業である取り出し作業を担当するピッキング領域(ピッキングゾーン)が構成されている。複数のピッキング領域が物品搬送手段3の両側に搬送方向に沿って並設されている。
【0013】
また、物品保管手段2は、複数の保管部6に対応して設けられた複数の保管側ランプ8を有している。すなわち各保管部6ごとに保管側ランプ8が1個ずつ設けられている。保管側ランプ8は、対応する保管部6の前面部、すなわち例えばフリーローラコンベヤ7の下端部に作業者Aと対向する状態に設けられている。保管側ランプ8は、次に取り出すべき物品Wが保管されている保管部6を作業者Aに知らせるためのランプである。なお、保管部6から物品Wが取り出されたことを検出する取出検出手段(図示せず)が各保管部6ごとに設けられている。
【0014】
物品搬送手段3は、例えば比較的幅広の水平状のベルトコンベヤ11にて構成されている。ベルトコンベヤ11は、オーダ情報に応じて作業者Aによって保管部6から取り出された物品Wを往路面である上面の平面状の搬送面12に直接載せてオーダ単位で搬送する無端状の搬送ベルト13を有している。搬送ベルト13の搬送面12は、各オーダ単位ごとに区分けされている。すなわち、搬送ベルト13の搬送面12は、搬送方向に並んだ複数のオーダ単位ゾーンで構成されている。搬送ベルト13は、互いに離間対向するコンベヤフレーム14間に架設された複数のローラ15に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源からの動力で回行する。コンベヤフレーム14は、搬送ベルト13側に向って下り傾斜する傾斜面部16を有している(図2参照)。
【0015】
そして、物品搬送手段3の各コンベヤフレーム14の上端部には、物品Wを1個ずつ上面の載置面20上に載せて待機させる略水平状の待機状態と、載置面20上の物品Wを物品搬送手段3の搬送ベルト13の搬送面12上に向けて自重で滑落させて案内する傾斜状の案内状態とに選択的に切り換えられる略板状の複数の案内体(回動トレイ等)21が搬送方向に並んだ状態で設けられている。図1に示されるように、各ピッキング領域ごとに、複数、例えば5つの案内体21が1組となってそれぞれ配設されている。各案内体21は、物品搬送手段3の搬送方向に沿った軸方向を有する水平状の支軸22を中心として上下方向に回動可能に設けられている。各案内体21は、駆動手段であるシリンダ23の伸縮に応じてそれぞれ個別に上下方向に回動する。
【0016】
各案内体21は、略矩形板状をなすもので、この各案内体21の物品搬送手段3側の端部の略中央には、案内側ランプ25が作業者Aと対向する状態に設けられている。すなわち各案内体21ごとに案内側ランプ25が1個ずつ設けられている。案内側ランプ25は、保管部6から取り出した物品Wを載せるべき案内体21を作業者Aに知らせるためのランプである。なお、載置面20上に物品Wが載せられたことを検出する載置検出手段(図示せず)が各案内体21ごとに設けられている。
【0017】
次に、ピッキング設備1の作用等を説明する。
【0018】
作業者Aは、自分が担当するピッキング領域における複数(例えば20)の保管側ランプ8中、唯一点灯している保管側ランプ8に対応する1つの保管部6から、物品Wを1個だけ取り出す。なお、物品Wが取り出されたことが取出検出手段にて検出されると、点灯していた保管側ランプ8が消え、次の保管側ランプ8が点灯する。
【0019】
続いて、作業者Aは、物品搬送手段3側に振り向いた後、図3(a)に示すように、その取り出した1個の物品Wを、複数(例えば5つ)の案内側ランプ25中、唯一点灯している案内側ランプ25に対応する1つの案内体21の載置面20上に載せる。
【0020】
1個の物品Wを案内体21の載置面20上に載せると、図3(b)に示すように、案内体21が支軸22を中心として下方に若干回動し、物品Wはその略水平状の待機状態の案内体21の載置面20上で待機する。なお、物品Wが載置面20上に載置されたことが載置検出手段にて検出されると、点灯していた案内側ランプ25が消え、次の案内側ランプ25が点灯する。
【0021】
そして、搬送ベルト13の搬送面12の所望領域であるオーダ単位ゾーンが案内体21の対向位置に到達すると、図3(c)に示すように、シリンダ23の作動に基づいて、案内体21が支軸22を中心として下方に回動して傾斜状の案内状態となる。
【0022】
案内体21が待機状態から案内状態に切り換わると、案内体21の載置面20上の物品Wは、その載置面20上を自重で滑落して、搬送ベルト13の搬送面12上に乗り移る。つまり物品Wが案内体21にて搬送ベルト13の搬送面12上に自動投入される。このようにして保管部6から取り出された各オーダ単位ごとの物品Wが搬送面12上に直接載せられた状態で搬送ベルト13にて搬送され、その後、所定の工程を経た後、出荷される。
【0023】
そして、このようなピッキング設備1によれば、点灯した案内側ランプ25に対応する案内体21の載置面20上には、点灯した保管側ランプ8に対応する保管部6から取り出した物品Wを1個だけ載せる構成、すなわち案内体21の載置面20上に物品Wを2個以上載せることがない構成であるから、案内体21の載置面20上に載せる物品の数量を間違えることがなく、高精度のピッキングができる。
【0024】
また、物品の数量を示す数量表示器を設ける必要がないため、シンプルで安価なシステム構築ができる。
【0025】
なお、載置面20上に物品Wが載せられたことを検出する載置検出手段は、案内体21の下部に設けられ案内側ランプ25の点灯時に載置面20上に物品Wを載せるときにその案内体21を軽く下方に押し込むことでオンするリミットスイッチでもよく、また載置面20上に載せられた物品Wの自重でオンする重量センサ等でもよい。
【0026】
また、取出検出手段や載置検出手段は、作業者Aがオン操作するボタン等でもよい。
【0027】
さらに、保管側ランプ8と案内側ランプ25とが1対1で対応する構成には限定されず、例えば取り出すべき物品の数量、例えば「3」を示す数量表示器を保管側ランプ8の近傍に設けて、その数量表示器に示された数量と同数、例えば3つの案内側ランプ25が点灯する構成でもよい。この場合、作業者Aは、点灯した保管側ランプ8に対応する1つの保管部6から物品Wを3個取り出し、この取り出した3個の物品Wを点灯した案内側ランプ25に対応する3つの案内体21の載置面20上にそれぞれ載せる。このため、作業者Aの保管部6に対するアクション数、つまり取り出し作業やランプ消灯作業等を削減でき、効率化および高精度の両方を向上できる。
【0028】
また、作業者Aが1人ずつ担当する各ピッキング領域ごとに設けられた1組の案内体21の数は5つには限定されず、例えば6つ以上でもよく、また1組の案内体21の数を超えるオーダ情報があった場合は、オーダ分割を行って対応する。すなわち例えば1組の案内体21の数が4つの場合に、同一の物品Wについて5個のオーダ情報があったときは、ピッキング領域「A1」で物品Wを4個取り出しかつ隣りのピッキング領域「A2」で物品Wを1個取り出す。なお、複数種の物品Wで1組の案内体21の数を超えるオーダ情報があった場合も同様にオーダ分割を行う。
【0029】
さらに、オーダ情報の対象分の案内体21で物品Wが検出されていない場合に、物品搬送手段3のベルトコンベヤ11を異常停止させるようにしてもよい。すなわち例えば全10オーダで、ピッキング対象が5オーダ目の場合において、搬送ベルト13における5オーダ目のオーダ単位ゾーンが到着した際に、オーダ情報の対象分の案内体21のいずれか1つでも物品Wが検出されていないときには、ベルトコンベヤ11が異常停止し、全案内体21での物品検出後に再発進する。
【0030】
また、物品Wは、例えば商品として1個のものには限定されず、複数商品が箱詰めされた1個のもの等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキング設備の斜視図である。
【図2】同上ピッキング設備の正面図である。
【図3】(a)〜(c)は同上ピッキング設備の案内体の動作説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ピッキング設備
2 物品保管手段
3 物品搬送手段
6 保管部
8 保管側ランプ
20 載置面
21 案内体
25 案内側ランプ
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が保管される複数の保管部およびこれら複数の保管部に対応して設けられた複数の保管側ランプを有する物品保管手段と、
物品を搬送する物品搬送手段と、
物品を載置面上に載せて待機させる待機状態と前記載置面上の物品を前記物品搬送手段に向けて案内する案内状態とに切り換えられる複数の案内体と、
これら複数の案内体に対応して設けられた複数の案内側ランプとを備え、
点灯した案内側ランプに対応する案内体の載置面上には、点灯した保管側ランプに対応する保管部から取り出した物品を1個だけ載せる
ことを特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
案内体は、略板状で上下方向に回動可能に設けられ、回動によって待機状態および案内状態に切り換えられ、
案内側ランプは、前記案内体の物品搬送手段側の端部に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のピッキング設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−179426(P2008−179426A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12421(P2007−12421)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】