説明

ピロホスフェートを含む滅菌透析溶液

ピロホスフェートを含む透析溶液、ならびに上記透析溶液を作製および使用するための方法が提供される。一実施形態において、本開示は、安定かつ治療上有効な量のピロホスフェートを含む透析溶液を提供する。上記透析溶液は、例えば、オートクレーブ、蒸気、高圧、紫外線、濾過もしくはこれらの組み合わせのような技術を使用して、滅菌され得る。上記透析溶液は、濃縮物の形態で存在し得る。上記透析溶液は、例えば、単一の容器中の単一の透析溶液として、または別個に収容されるかもしくは複数チャンバの容器の透析部分品として、使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本開示は、一般に、医療的処置に関する。より具体的には、本開示は、透析治療のために使用される解決策に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患、傷害もしくは他の原因に起因して、個体の腎臓系は衰え得る。任意の原因の腎不全において、いくつかの生理学的混乱が存在する。水、ミネラルおよび毎日の代謝負荷(metabolic load)の排出のバランスは、腎不全においてはもはや不可能である。腎不全の間に、窒素代謝(例えば、尿、クレアチニン、尿酸など)の毒性の最終生成物は、血液および組織中に蓄積され得る。
【0003】
腎不全および低下した腎機能は、透析で処置されてきた。透析は、正常に機能する腎臓から除去されている老廃物、毒素および過剰の水を、身体から別の方法で除去する。腎機能の置換のための透析処置は、多くの人々にとって極めて重要である。なぜなら、上記処置は、救命的措置であるからである。腎臓が衰えたヒトは、上記腎臓の少なくとも濾過機能を置換することなしに、生存し続けることはできない。
【0004】
過去の研究では、末期腎疾患(ESRD)患者が、ピロホスフェートが欠乏していることが示された。例えば、ピロホスフェートは、軟組織の石灰化の予防において助けになると考えられており、ピロホスフェート欠乏は、カルシフィラキシーにおけるリスク因子であり得る。ピロホスフェートを結合した血漿および細胞(赤血球)は、正常個体に対して、ピロホスフェートを循環から通常に除去する腎臓が、機能していないとしても、透析患者において約30%低下していた。これらレベルは、培養物において血管の石灰化を予防することが以前に示されたものより低い。透析患者におけるピロホスフェートの置換は、血管におけるカルシウム沈着の形成、従って血管石灰化を阻害し得る。従って、この化合物を含む安定な透析溶液は、非常に有益であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本開示は、一般に、透析溶液、ならびにこれを作製および使用するための方法に関する。より具体的には、本開示は、ピロホスフェートの安定かつ治療上有効な量を含む透析溶液に関する。例えば、上記透析溶液は、欠乏量を置換するか、または治療上有効な量のピロホスフェートを添加するために、腹膜透析および/もしくは血液透析に適切であり得る。上記透析溶液は、例えば、単一の容器中の単一の透析溶液として、または別個に収容されるかもしくは複数チャンバの容器の透析部分品として、使用され得る。
【0006】
一実施形態において、本開示は、治療上有効な量のピロホスフェートを含む透析溶液を提供する。上記透析溶液は、例えば、オートクレーブ、蒸気、高圧、紫外線、濾過もしくはこれらの組み合わせのような技術を使用して、滅菌され得る。上記透析溶液は、合わせられて、最終透析溶液を形成し得る、1種以上の濃縮物の形態で存在し得る。上記透析溶液/濃縮物は、上記透析溶液中のピロホスフェートが、滅菌している間および長期間の間(例えば、貯蔵の間)に安定であり続ける(例えば、分解しない)ように、厳密に処方され得る。
【0007】
別の実施形態において、本開示は、治療上有効な量のピロホスフェート、浸透物質、緩衝剤および電解質を含む腹膜透析溶液を提供する。例えば、上記浸透物質は、グルコース、グルコースポリマー(例えば、マルトデキストリン、イコデキストリン)、グルコースポリマー誘導体、シクロデキストリン、化工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、アミノ糖、グリセロール、N−アセチルグルコサミン(NAG)もしくはこれらの組み合わせを含み得る。上記緩衝剤は、炭酸水素塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス(すなわち、トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、アミノ酸、ペプチドもしくはこれらの組み合わせを含み得る。上記電解質は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよび塩化物を含み得る。
【0008】
代替の実施形態において、本開示は、2種以上の別個の透析部分品(例えば、個々の濃縮物)を、例えば、合わされ、患者に投与される1種以上の透析成分を含む各透析部分品とともに含む透析溶液を提供する。第1の透析部分品は、浸透物質を含み、第2の透析部分品は、緩衝剤を含む。上記第1および第2の透析部分品のうちの少なくとも一方は、1種以上の電解質塩およびピロホスフェートを含む。
【0009】
なお別の実施形態において、本開示は、複数部分品の透析溶液を作製するための方法を提供する。上記方法は、2種以上の透析部分品を提供する工程を包含し、各透析部分品は、1種以上の透析成分(例えば、浸透物質、緩衝剤、電解質もしくはこれらの組み合わせ)を含む。上記ピロホスフェートは、上記透析部分品のうちの少なくとも一方に添加され、上記透析部分品と一緒に滅菌される。上記滅菌は、例えば、熱(例えば、蒸気)、高圧、紫外線、もしくは濾過を使用して、行われ得る。上記透析部分品は、混合されて、上記最終透析溶液を形成する。
【0010】
代替の実施形態において、本開示は、透析(例えば、腹膜透析もしくは血液透析)を必要としている患者に提供するための方法を提供する。上記方法は、滅菌透析溶液を上記患者に投与する工程を包含する。上記透析溶液は、浸透物質、電解質、緩衝剤およびピロホスフェートを含む。別の実施形態において、上記方法は、2種以上の別個に収容された透析部分品を提供する工程を包含し、各部分品は、1種以上の透析成分(例えば、例えば、浸透物質、緩衝剤、電解質およびこれらの組み合わせ)を含む。上記透析部分品のうちの少なくとも一方は、ピロホスフェートを含む。上記透析部分品のうちの1種以上は、滅菌されている。次いで、上記透析部分品は混合されて、結果として生じる滅菌透析溶液を形成し、上記滅菌透析溶液は、上記患者に投与される。上記混合は、混合システムによって、または上記患者もしくはヘルスケア職員によって現場で行われ得る。
【0011】
なお別の実施形態において、本開示は、透析患者を処置するための方法を提供する。上記方法は、治療上有効な量のピロホスフェートを含む滅菌透析溶液を、血管石灰化を有する透析患者に提供する工程を包含する。
【0012】
本開示の利点は、改善された透析溶液を提供することである。
【0013】
本開示の別の利点は、ピロホスフェートを含む滅菌透析溶液を提供することである。
【0014】
本開示のさらに別の利点は、透析を患者に提供するための改善された方法を提供することである。
【0015】
本開示のなお別の利点は、透析溶液を作製するための改善された方法を提供することである。
【0016】
本開示の別の利点は、安定量のピロホスフェートを含む、直ぐに使用できる滅菌透析溶液を提供することである。
【0017】
本開示のさらに別の利点は、治療上有効な量のピロホスフェートを含む、直ぐに使用できる滅菌透析溶液を提供することである。
【0018】
さらに、本開示の利点は、透析を要する患者に対して改善された処置を提供することである。
【0019】
さらなる特徴および利点が本明細書に記載され、以下の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本開示は、一般に、透析溶液、ならびにこれを作製および使用するための方法に関する。より具体的には、本開示は、ピロホスフェートを含む透析溶液、ならびに上記透析溶液を作製および使用するための方法に関する。例えば、本開示の実施形態における上記透析溶液は、透析治療を現在受けている患者におけるピロホスフェート欠乏に起因する血管石灰化を軽減もしくは予防するように設計される。さらに、上記ピロホスフェートの量は、滅菌の前、その間もしくはその後、または特定期間(例えば、貯蔵の間)にわたって、上記透析溶液中で安定なままであり得る(例えば、容易に分解しない)。
【0021】
一般的実施形態において、本開示は、1種以上の透析成分(例えば、透析溶液の成分もしくは構成要素)、および安定かつ治療上有効な量のピロホスフェートを含む透析溶液もしくは透析濃縮物を提供する。上記透析溶液は、腹膜透析、血液透析または任意の他の透析治療に適切であり得る。一実施形態において、上記透析溶液は、約0.1μM〜約1000μMのピロホスフェートを含む。別の実施形態において、上記透析溶液は、約1μM〜約15μMのピロホスフェートを含む。本開示の代替の実施形態における上記透析溶液は、例えば、単一の容器中の単一の透析溶液として、または別個に収容されているかもしくはマルチチャンバ容器の透析部分品として、使用され得る。
【0022】
代替の実施形態において、本開示は、滅菌条件下で安定なピロホスフェートを含む透析溶液/濃縮物を提供する。例えば、驚くべきことに、より高いpHの(例えば、6より高い)ピロホスフェートを含む透析溶液を加熱滅菌することおよび特定の透析成分(例えば、緩衝剤)を使用することは、上記滅菌の間のピロホスフェート分解の量を減少させることが見いだされた。さらに、非加熱滅菌法(例えば、高圧、紫外線もしくは濾過)は、より低いpHの(例えば、6未満の)安定量のピロホスフェートを含む滅菌透析溶液を提供する。結果として、より多くの量の本来のピロホスフェートが、上記滅菌透析溶液中に残っており、これは、後の使用のために貯蔵され得る。
【0023】
上記透析溶液は、任意の適切な滅菌技術(例えば、オートクレーブ、蒸気、高圧、紫外線、濾過もしくはこれらの組み合わせ)を使用して滅菌され得る。上記透析溶液はまた、1種以上の透析成分および1種以上のピロホスフェートが合わされる前、その間もしくはその後に滅菌され得る。
【0024】
上記ピロホスフェートは、例えば、ピロリン酸、ピロホスフェートの塩もしくはこれらの組み合わせであり得る。ピロホスフェートの塩は、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウムなどを含む。上記透析成分は、下記で詳細に議論されるように、浸透物質、緩衝剤、電解質もしくはこれらの組み合わせのうちの任意の1種以上であり得る。
【0025】
上記透析溶液はまた、以下の範囲における1種以上の電解質を含み得る:約100〜約140mEq/LのNa、約70〜約130mEq/LのCl、0.1〜約4mEq/LのCa2+、0.1〜約4mEq/LのMg2+および/もしくは0.1〜約4mEq/LのK
【0026】
別の実施形態において、上記透析溶液/濃縮物は、2種以上の透析部分品(例えば、混合される場合、最終透析溶液を構成する個々の溶液/濃縮物)を含み得、各透析部分品は、1種以上の透析成分を含む。上記ピロホスフェートは、上記透析部分品のうちの1種以上に添加され得、上記透析部分品と一緒に滅菌され得る。上記2種以上の透析部分品は貯蔵され得、そして例えば、別個の容器もしくはマルチチャンバ容器中で別個に滅菌され得る。
【0027】
種々の異なるかつ適切な酸性薬剤および/もしくは塩基性薬剤は、浸透物質、緩衝剤および/または電解質溶液もしくは濃縮物のpHを調節するために利用され得る。例えば、種々の無機酸および無機塩基が利用され得、これらとしては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、水酸化ナトリウムなどもしくはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
別の実施形態において、本開示は、少なくとも浸透物質を含む第1の透析部分品および緩衝剤を含む第2の透析部分品を含む複数部分品の透析溶液を提供する。上記別個の透析部分品のうちの1種以上は、電解質を含む。一実施形態において、上記第1の透析部分品のpHは、約2〜約6の間の範囲に及び得る。代替の実施形態において、上記第1の透析部分品のpHは、約2〜約2.5の間、約3〜約3.5の間、および約4〜約4.5の間の範囲に及び得る。上記電解質は、上記第1の透析部分品と上記第2の透析部分品との間で平衡状態であり得る。一実施形態において、上記第2の透析部分品は、上記治療上有効な量のピロホスフェートを含む。上記第1および第2の透析部分品は、上記第1および第2の部分品が、例えば、容易にかつ無菌的に混合されて、直ぐに使用できる透析処方物を形成し得、次いでこれが、必要とする固体に投与され得ることを確実にするように、種々の他の適切な透析成分を含み得る。
【0029】
さらに、本開示の実施形態における直ぐ使用できる処方物は、多くの適切な方法において調製され得る。一実施形態において、透析溶液のうちの第1および第2(もしくはそれ以上の)個々の部分品は、一緒に混合されて、混合溶液を形成するまで、互いから別個に貯蔵される(例えば、マルチチャンバ容器の別個のかつ液圧式に接続されたチャンバ)。この点に関して、上記直ぐに使用できる処方物は、その別個の透析部分品を上記容器内で混合することによって、上記容器内で調製され得る。このことは、上記透析部分品のうちの全てもしくは少なくとも部分品を、上記容器へと手動で注射して、上記混合溶液を形成する必要性を排除し得、従って、上記直ぐに使用できる処方物が、滅菌条件下で容易に調製され得ることを確実にする。
【0030】
さらに、上記容器は、上記透析部分品のうちの一方が、混合する前に上記患者と直接流体連絡状態にあるように配置される一方で、上記他方の部分品は、混合する前に上記患者と直接流体連絡状態にあるように配置され得ないように、構成され得る。このことは、本開示の直ぐに使用できる処方物の調製および投与に関して安全性のさらなるレベルを提供し得る。なぜなら、上記患者と直接流体連絡状態にあるように配置され得ない単一部分品は、上記他方の部分品と最初に混合されなければ、上記患者に物理的に供給され得ないからである。この点に関して、偶然に、上記患者と直接流体連絡状態に物理的に配置され得ない上記単一の透析部分品が、所望でない濃度の透析成分(例えば、カリウム、ナトリウムなど)を有したとすると、この構成は、上記所望でないレベルの構成要素が、上記患者に供給も投与もされないことを必然的に確実にする。
【0031】
代替の実施形態において、本開示は、安定かつ治療上有効な量のピロホスフェート、浸透物質、緩衝剤および電解質を含む腹膜透析溶液を提供する。例えば、上記浸透物質は、グルコース、グルコースポリマー、グルコースポリマー誘導体、シクロデキストリン、化工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、アミノ糖、グリセロール、N−アセチルグルコサミン(NAG)もしくはこれらの組み合わせを含み得る。上記緩衝剤は、炭酸水素塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス(すなわち、トリスヒドロキシメチルアミノメタン)、アミノ酸、ペプチドもしくはこれらの組み合わせを含み得る。上記電解質は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよび塩化物を含み得る。上記治療上有効な量のピロホスフェートを含む腹膜透析溶液は、任意の適切な様式(例えば、加熱滅菌)において滅菌され得る。
【0032】
上記マルチ部分品透析溶液のうちの個々の透析部分品は、任意の適切な様式において収容もしくは含まれ得ることが認識される。例えば、上記透析溶液は、効果的に調製および投与され得る。種々の容器が、上記2種以上の透析部分品を収容するために使用され得る(例えば、適切な流体連絡機構によって接続される別個の容器(例えば、フラスコもしくはバッグ))。上記透析溶液の2種以上の別個の部分品は、別個に滅菌され得、上記容器中に貯蔵され得る。上記ピロホスフェートは、上記透析部分品のうちの少なくとも一方に添加され得、その透析部分品と一緒に滅菌され得る。上記ピロホスフェートを含まない透析部分品もまた、滅菌され得る。
【0033】
一実施形態において、上記透析部分品は、例えば、同じ容器(例えば、マルチチャンバのもしくは対をなすチャンバのバッグの)の中の別個の区画もしくはチャンバ中に別個に貯蔵され得、透析処置の前もしくはその間に合わせられ得る。遮断物(例えば、チャンバ間の剥離シールもしくは脆いシール)の作動(activation)は、両方のチャンバの内容物の混合を許容し得る。上記容器は、気体不浸透性の外側容器で覆われ得る。あるいは、上記滅菌透析部分品は、上記で議論されるように、任意の時間に合わされて、完全な直ぐに使用できる透析溶液を形成し得る。
【0034】
なお別の実施形態において、本開示は、ピロホスフェートを含む安定な複数部分品透析溶液を作製するための方法を提供する。上記方法は、2種以上の透析部分品を提供する工程を包含し、各部分品は、1種以上の透析成分(例えば、浸透物質、緩衝剤もしくは電解質)を含む。ピロホスフェートは、上記透析部分品のうちの1種以上に添加され、上記透析部分品と一緒に滅菌される。上記透析部分品は混合されて、最終透析溶液を形成する。上記滅菌は、例えば、オートクレーブ、蒸気、高圧、紫外線、濾過もしくはこれらの組み合わせによって行われ得る。上記滅菌は、上記透析溶液中のピロホスフェートの顕著な分解を生じない温度およびpHで行われ得る。例えば、適切な緩衝剤が、ピロホスフェート分解を最小化するレベルで上記pHを維持するために使用され得る。代替の実施形態において、上記方法は、浸透物質、電解質および緩衝剤のうちの1種以上を、ピロホスフェートとともに含む単一の透析溶液を調製する工程、ならびに上記透析溶液を滅菌する工程を包含する。
【0035】
一実施形態において、上記ピロホスフェートを含む透析溶液もしくは個々の透析部分品のpHは、上記滅菌の間に6以上である。別の実施形態において、上記ピロホスフェートを含む透析溶液もしくは個々の透析部分品のpHは、上記滅菌の間に7以上である。代替の実施形態において、上記ピロホスフェートを含む透析溶液もしくは個々の透析部分品のpHは、上記滅菌の間に8以上である。なお別の実施形態において、上記ピロホスフェートを含む透析溶液もしくは個々の透析部分品のpHは、上記滅菌の間に9以上である。好ましくは、上記ピロホスフェートを含む透析溶液もしくは透析部分品はまた、滅菌の間に適切な緩衝剤を含む。
【0036】
代替の実施形態において、本開示は、透析を、その必要な患者に提供するための方法を提供する。例えば、上記患者は、血管石灰化を有するかもしくは血管石灰化しやすい可能性があるか、またはホスフェートもしくはピロホスフェート欠乏を有する可能性がある。上記方法は、滅菌透析溶液を上記患者に投与する工程を包含する。上記透析溶液は、浸透物質、電解質および緩衝剤のうちの1種以上を、ピロホスフェートとともに含む。一実施形態において、上記ピロホスフェートは、約0.01μM/日〜約20mM/日の量で上記患者に投与され得る。
【0037】
代替の実施形態において、本開示は、透析を患者に提供するための方法を提供する。上記方法は、2種以上の別個に収容された透析部分品を提供する工程を包含し、各部分品は、透析成分(例えば、浸透物質、緩衝剤、電解質およびこれらの組み合わせ)を含む。上記透析部分品のうちの少なくとも一方は、ピロホスフェートを含む。上記透析部分品のうちの1種以上は、任意の適切な滅菌技術を使用して滅菌される。次いで、上記透析部分品は混合されて、結果として生じる滅菌透析溶液を形成し、上記滅菌透析溶液は、上記患者に投与される。上記混合は、任意の適切な混合システムによって、または上記患者もしくはヘルスケア提供者によって、現場で行われ得る。例えば、上記透析部分品は、容器の別個にチャンバ中に貯蔵され得、遮断物(例えば、上記チャンバ間の剥離シールもしくは脆いシール)は、上記部分品を混合することを可能にするために壊され得る。
【0038】
上記で議論されるように、上記ピロホスフェートに加えて、本開示の滅菌透析溶液および個々の透析部分品は、透析処置の部分品としてもしくは透析処置の間に代表的には使用される任意の適切な数、タイプおよび量の透析成分を含み得る。例示すると、上記透析成分は、1種以上の適切な浸透物質、緩衝剤、電解質およびこれらの組み合わせを含み得る。浸透物質の例としては、グルコース、グルコースポリマー(例えば、マルトデキストリン、イコデキストリン)、グルコースポリマー誘導体、シクロデキストリン、化工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール(例えば、キシリトール)、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、アミノ糖、グリセロール、N−アセチルグルコサミン(NAG)および/もしくは類似物、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。上記緩衝剤の例としては、炭酸水素塩、乳酸/乳酸塩、ピルビン酸/ピルビン酸塩、酢酸/酢酸塩、クエン酸/クエン酸塩、トリス、アミノ酸、クレブス回路の中間体および/もしくは類似のもの、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。電解質の例としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、塩化物および/もしくは類似物、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
上記腹膜透析溶液は、好ましくは、上記溶液の浸透圧を生理学的浸透圧より高く(例えば、約285mOsmol/kgより高く)維持するために透析成分(例えば、浸透物質)を含み得る。例えば、グルコースは、迅速な限外濾過速度を提供するので、好ましい浸透物質であり得る。他の適切なタイプの浸透物質(例えば、アミノ酸)は、グルコースに加えて、もしくはグルコースの代わりとして使用され得る。上記透析溶液は、上記浸透物質および上記ピロホスフェートが合わされた後に、続いて滅菌され得る。
【0040】
腹膜透析溶液中で浸透物質として働くことができる化合物の別のファミリーは、グルコースポリマーもしくはそれらの誘導体(例えば、イコデキストリン、マルトデキストリン、ヒドロキシエチルデンプンなど)のファミリーである。これら化合物は、浸透物質として使用するのに適しているが、それらは、低pHおよび高pHに対して、特に、滅菌および長期間の貯蔵の間に、感受性であり得る。グルコースポリマー(例えば、イコデキストリン)は、腹膜透析溶液中でグルコースに加えて、もしくはグルコースの代わりに使用され得る。一般に、イコデキストリンは、コーンスターチの加水分解から誘導された、グルコースのポリマーである。それは、12〜20,000ダルトンの分子量を有する。イコデキストリン中のグルコース分子の大部分は、α(1−4)グルコシド結合(>90%)で直線状に連結されるが、少量(<10%)は、α(1−6)結合によって連結される。
【0041】
本開示の滅菌透析溶液は、種々の適切な適用において使用され得る。例えば、上記透析溶液は、腹膜透析(例えば、自動化腹膜透析、持続性携帯式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis)、連続流(continuous flow peritoneal dialysis)など)の間に使用され得る。本開示が、腎不全を処置するために、種々の異なるかつ適切な透析治療において使用され得ることは、認識されるべきである。
【0042】
本開示は、一実施形態において、慢性腎不全もしくは慢性腎疾患を有する患者のための透析治療を提供する方法において利用され得るが、本開示が、急性の透析要求(例えば、救急救命室の状況において)に使用され得ることが認識されるべきである。最後に、当業者が認識するように、周期性の形態の治療(例えば、血液濾過、血液透析、腹膜透析および血液透析濾過)が、施設、セルフケア/制限されたケア、ならびに自宅の状況で使用され得る。
【0043】
上記透析成分はまた、炭酸水素塩および炭酸水素酸を含み得る。上記炭酸水素塩は、ガス遮断外側パウチ(gas barrier overpouch)などの使用なしで安定なままであり得るように、アルカリ性溶液を構成し得る。上記個々の炭酸水素塩溶液は、約8.6より高い、好ましくは約9の範囲に及ぶpHを有し得る。上記炭酸水素塩溶液部分品のpHは、任意の適切なタイプの成分(例えば、水酸化ナトリウムおよび/もしくは類似物)で調製され得る。本開示の炭酸水素塩溶液の実例は、米国特許第6,309,673号(発明の名称:BICARBONATE−BASED SOLUTION IN TWO PARTS FOR PERITONEAL DIALYSIS OR SUBSTITUTION IN CONTINUOUS RENAL REPLACEMENT THERAPY、2001年10月31日発行)(その開示は、本明細書に参考として援用される)において見いだされ得る。
【0044】
上記酸は、1種以上の生理学的に受容可能な酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、酢酸、クエン酸、塩酸など)を含み得る。上記酸は、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、約1以下、の範囲のpHおよび任意の他の適切な酸性pHを有する個々の溶液中に存在し得る。酸溶液中での、単独でもしくは別の適切な酸(例えば、塩酸を含む適切な無機酸)、別の適切な有機酸(例えば、乳酸/乳酸塩、ピルビン酸/ピルビン酸塩、酢酸/酢酸塩、クエン酸/クエン酸塩)などと組み合わせた有機酸(例えば、乳酸)の使用は、ある実施形態によれば、より生理学的に許容可能である容積を作製し得る。
【0045】
本開示の透析溶液が、上記に記載される要素に加えて、透析処置のための任意の他の適切な要素/成分を含み得ることは認識されるべきである。一実施形態において、上記(混合)透析溶液のpHは、広い範囲、好ましくは、約4〜約9の間を有し得る。別の実施形態において、上記(混合)透析溶液のpHは、広い範囲、好ましくは、約5〜約8の間を有し得る。
【実施例】
【0046】
例示によっておよび限定なしに、以下の実施例は、本開示の種々の実施形態を示し、ピロホスフェートを含む透析溶液で行われる実験的試験をさらに示す。
【0047】
(実施例1:透析溶液中のピロホスフェート安定性)
ピロリン酸にナトリウム塩を含むDianeal(登録商標)およびPhysioneal(登録商標)腹膜透析(PD)溶液(Baxter Healthcare Corporation)を、この研究についての試験物品として供した。
【0048】
ピロホスフェート(PPi)の2.5ミリモル濃度(mM)溶液のストック溶液を、ピロリン酸二ナトリウム塩および二酸化炭素を含まない脱イオン水を使用して調製した。所定容量のこのストック溶液を、個々の容積のPD溶液で1Lに希釈して、「直ぐに使用できる」生成物で、PPiを含む1L溶液(表1を参照のこと)を生成した。
【0049】
各試験サンプル(すなわち、PPiを含む1LのPD溶液)に関して、アリコートを、オートクレーブ用パイレックス(登録商標)ボトルの中に入れた。各試験サンプルのその残りの容積の溶液を、T=0として分析するために残しておいた。
【0050】
(データ分析)
上記研究は、種々のオートクレーブにおいて種々のオートクレーブ時間を用いる蒸気滅菌の際のピロホスフェート濃度の変化を評価した。改変イオンクロマトグラフィー法を使用して、PPi分析を行った。上記方法は、パーツ・パー・ミリオン(ppm)単位の結果を提供する。表1に含まれる上記試験サンプル中のPPiレベルの結果を、ppmから変換し、1LあたりのμM(μmol/L)単位および%(最初の)ピロホスフェートの回収(%PPi)で報告する。
【0051】
【表1】

上記結果は、以下を実証する:
1.PPiを有するDianeal(登録商標)の蒸気滅菌試験サンプルは、PPi濃度の減少を示す。
2.PPiを有するPhysioneal(登録商標)緩衝剤の蒸気滅菌サンプルは、PPiレベルにおいて小さな変化を示す。この安定性は、Dianeal(登録商標)と比較して、上記試験サンプルの高pH条件に原因があり得る。
【0052】
(実施例2:ピロホスフェート安定性に対する緩衝剤の効果)
緒言:この研究は、蒸気滅菌の間および40℃での貯蔵の後に、4〜10のpH範囲に対して異なる緩衝剤を有するピロリン酸塩の安定性を評価するために設計した。2種のピロリン酸塩および4種の緩衝剤を、上記研究のために入手した。トリスを、pH安定化剤として全ての溶液に添加した。上記溶液のうちの2つを、同様に、比較のために、トリスなしで調製した。上記溶液のpHを、1N HClもしくは1N NaOHでpH 4〜10に調節した。上記溶液を、121℃で40分間にわたって滅菌した。ピロホスフェート濃度を、滅菌前後および貯蔵の後に決定した。上記pHをまた、滅菌後および貯蔵後に決定した。
【0053】
試験した塩は、以下であった:
ピロリン酸二ナトリウム(Na
ピロリン酸四カリウム(K
上記研究を、以下に示す緩衝剤とともに、ピロリン酸のナトリウム塩およびカリウム塩を使用して行った。溶液を、pH7より低い炭酸水素塩では調製しなかった。なぜなら、炭酸水素塩は、より低いpHでは分解するからである。
乳酸ナトリウム
炭酸水素ナトリウム
クエン酸ナトリウム
ピルビン酸ナトリウム
上記溶液要素の濃度を、以下の表2に示す。
【0054】
【表2】

(結果および考察)
この研究の結果を、以下の4つの表にまとめる。
【0055】
【表3】

非滅菌ピロリン酸二ナトリウム(表3):
・回収は、pH6以上で全ての緩衝剤に対して95%以上であった。
・pH4および5におけるクエン酸での回収は、それぞれ、81%および89%であり、この低pH範囲では、他の緩衝剤において90〜102%の範囲に及んだ。
・炭酸水素塩(トリスありまたはトリスなし)の間で回収に何ら差異はなく、乳酸塩の値でも同様であり、トリスではわずかに高かった。
【0056】
【表4】

滅菌ピロリン酸二ナトリウム(表4):
・滅菌後のpHに変化は何らなかった。全ての溶液に対して40℃で最大2ヶ月にわたる貯蔵後に、0.1 pH単位未満の変化があった。
・pH6以下で全ての緩衝剤での滅菌後にピロホスフェートの20%未満の回収、ならびpH7および8での乳酸塩と、トリスとピルビン酸塩とで、20%未満の回収が存在した。
・滅菌後の回収は、全ての緩衝剤で、pHがpH7から10へと増大するにつれて増大した。
・炭酸水素塩は、7〜10のあらゆるpHで滅菌後に最高の回収を与え、pH10では99%に達した。トリスなしの炭酸水素塩は、pH7および8においてトリスありの炭酸水素塩より高い回収を与えた。
・滅菌後の回収は、pH7〜10のトリスありの乳酸塩およびクエン酸について類似していた。
・滅菌後の最高の回収は、トリスありの乳酸よりも、pH9および10におけるクエン酸について観察された。滅菌後の回収は、pH7および8において、トリスなしの乳酸塩およびクエン酸塩について類似であった。
・ピロホスフェートは、pH7におけるトリスなしの乳酸を除いて、pH7〜10で、全ての緩衝剤で40℃において1週間にわたって安定であった。pH4〜6を有する溶液は、滅菌後にpHが低かったので、1週間後には試験しなかった。
【0057】
【表5】

非滅菌ピロリン酸四カリウム(表5):
・ピロリン酸四カリウムの回収は、全てのpHにおける全ての緩衝剤について、ピロリン酸二ナトリウムについての回収と同様であった。
【0058】
【表6】

滅菌ピロリン酸四カリウム(表6):
・滅菌後のpHに変化は何らなかった。1週間にわたる貯蔵後に、0.1 pH単位未満の変化があった。
・ピロリン酸ナトリウムに対して認められたように、pH6以下で全ての緩衝剤での滅菌後にピロホスフェートの20%未満の回収が存在した。
・滅菌後の回収は、全ての緩衝剤で、リン酸二ナトリウム塩で認められたように、pHがpH7から10へと増大するにつれて増大した。
・ピロリン酸ナトリウムに対して認められたように、炭酸水素塩は、7〜10のあらゆるpHで滅菌後に最高の回収を与えた。
・ピロホスフェートは、pH7〜10で、全ての緩衝剤で40℃において1週間にわたって安定であった。pH4〜6を有する溶液は、滅菌後に回収が低かったので、1週間後には試験しなかった。
【0059】
(結論:)
滅菌後および40℃での1週間にわたる貯蔵後に、ナトリウム塩の溶液もカリウム塩の溶液も、pHの変化は何らなかった。pH6以下では、全ての緩衝液に関して、滅菌の間にナトリウム塩およびカリウム塩両方で、ピロホスフェートの実質的喪失があった。ナトリウム塩およびカリウム塩はともに、pH9〜10において炭酸水素酸との滅菌の間に最も安定であった。ナトリウム塩およびカリウム塩はともに、pH7〜10で、全ての緩衝剤との40℃での1週間にわたる貯蔵に際しても変化しないままであった。
【0060】
本明細書に記載される現在好ましい実施形態に対する種々の変更および改変は、当業者に明らかであることが理解されるべきである。このような変更および改変は、発明の事項の趣旨および範囲から逸脱することなく、およびその意図された利点を減少させることなく行われ得る。従って、このような変更および改変は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌透析溶液であって、浸透物質、緩衝剤、電解質およびこれらの組み合わせ、ならびに治療上有効な量のピロホスフェートからなる群より選択される透析成分を含む、滅菌透析溶液。
【請求項2】
前記透析溶液は、濃縮物を含む、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項3】
前記滅菌は、オートクレーブ、蒸気、高圧、紫外線、濾過およびこれらの組み合わせからなる群より選択される技術によって行われる、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項4】
前記ピロホスフェートは、ピロリン酸、ピロホスフェートの塩およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項5】
約6より大きいpHを構成する、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項6】
前記浸透物質は、グルコース、グルコースポリマー、グルコースポリマー誘導体、シクロデキストリン、化工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、アミノ糖、グリセロール、N−アセチルグルコサミン(NAG)およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項7】
前記緩衝剤は、炭酸水素塩である、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項8】
前記緩衝剤は、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス、アミノ酸、ペプチド、クレブス回路の中間体およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項9】
別個に収容された少なくとも2種の透析部分品を含み、そして前記ピロホスフェートは、該透析部分品のうちの少なくとも一方とともに存在し、該透析部分品と一緒に滅菌される、請求項1に記載の透析溶液。
【請求項10】
前記ピロホスフェートを含む透析部分品は、約7より大きいpHを有する、請求項9に記載の透析溶液。
【請求項11】
前記ピロホスフェートを含む透析部分品は、約8より大きいpHを有する、請求項9に記載の透析溶液。
【請求項12】
前記ピロホスフェートを含む透析部分品は、約9より大きいpHを有する、請求項9に記載の透析溶液。
【請求項13】
前記電解質は、前記第1の透析部分品と前記第2の透析部分品との間で平衡化されている、請求項9に記載の透析溶液。
【請求項14】
治療上有効な量のピロホスフェートと、グルコース、グルコースポリマー、グルコースポリマー誘導体、シクロデキストリン、化工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、フルクトース、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、アミノ糖、グリセロール、N−アセチルグルコサミン(NAG)およびこれらの組み合わせからなる群より選択される浸透物質と、炭酸水素塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス、アミノ酸、ペプチドおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤と、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよび塩化物を含む電解質と、を含む安定な腹膜透析溶液。
【請求項15】
透析溶液を作製するための方法であって、該方法は、
ピロホスフェート、ならびに浸透物質、電解質、緩衝剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の透析成分を含む透析溶液を調製する工程;ならびに
該透析溶液を滅菌する工程、
を包含する、方法。
【請求項16】
前記透析溶液は、濃縮物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記滅菌は、オートクレーブ、蒸気、高圧、紫外線、濾過およびこれらの組み合わせからなる群より選択される技術によって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記透析溶液は、少なくとも2種の別個に収容された透析部分品を含み、各透析部分品は、浸透物質、緩衝剤、電解質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の透析成分を含み、該透析部分品のうちの少なくとも一方は、ピロホスフェートを含み、そしてここで該透析部分品のうちの少なくとも一方は、滅菌されている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記透析部分品を混合して、結果として生じる透析溶液を形成する工程を包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ピロホスフェートを含む透析部分品は滅菌されており、かつ約7より大きいpHを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ピロホスフェートを含む透析部分品は、炭酸水素塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、トリス、アミノ酸、ペプチド、クレブス回路の中間体およびこれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
患者に透析を提供するための方法であって、該方法は、
少なくとも2種の別個に収容された透析部分品を提供する工程であって、各透析部分品は、浸透物質、緩衝剤、電解質およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の透析成分を含み、該透析部分品のうちの少なくとも一方は、ピロホスフェートを含む、工程;
該透析部分品のうちの少なくとも一方を滅菌する工程;
該透析部分品を混合して、結果として生じる滅菌透析溶液を形成する工程;ならびに
該滅菌透析溶液を患者に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項23】
前記混合する工程は、混合システムによって現場で行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
透析患者を処置するための方法であって、該方法は、
治療上有効な量のピロホスフェートを含む滅菌透析溶液を、血管石灰化を有する透析患者に提供する工程、
を包含する、方法。
【請求項25】
前記透析は、腹膜透析である、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2011−500578(P2011−500578A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528968(P2010−528968)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/079010
【国際公開番号】WO2009/048849
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】