説明

ファイル名作成装置およびファイル名作成プログラム

【課題】適切なファイル名を作成することのできるファイル名作成装置およびファイル名作成プログラムを提供する。
【解決手段】MFPは、画像のファイル名を作成するファイル名作成装置である。MFPは、ファイル名候補となる候補文字列であって先頭の文字が空白である候補文字列を、画像から抽出した文字列から選択する(S9でYes)。MFPは、候補文字列から先頭の文字である空白を削除する(S15)、または候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更する(S19)。MFPは、削除または変更により修正した文字列を画像のファイル名として作成する(S17、S19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファイル名作成装置およびファイル名作成プログラムに関し、より特定的には、適切なファイル名を作成することのできるファイル名作成装置およびファイル名作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置には、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなどがある。
【0003】
近年、画像形成装置は、画像読取部を備えるスキャナー、複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはデジタル複合機などとして、オフィスや家庭などに急速に普及している。画像形成装置の中には、一連の原稿をページ毎に一枚ずつ画像読取部に供給する自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えたものがある。ADFを備えた画像形成装置は、複数枚からなる原稿を順に自動で画像読取部へ供給することができる。
【0004】
画像読取部で読み取った原稿の画像(入力画像)のファイルは、画像形成装置の記憶部などに保存される。ファイルを保存した後で、ユーザーがそのファイルを記憶部から探す場合、ユーザーは探しているファイルか否かをファイル名から判断することが多い。このため、入力画像のファイルを保存する際には、ファイルの内容が反映されたファイル名が付けられることが望まれる。
【0005】
入力画像のファイル名を付ける方法として、画像形成装置が自動的にファイル名を作成する方法がある。この方法によれば、ユーザーが手動でファイル名を作成する手間を省くことができる。自動的にファイル名を作成する方法としては、入力画像からOCR(Optical Character Recognition)処理により抽出した複数の文字列の中から、1つの文字列を画像形成装置が選択し、その文字列を入力画像のファイル名とする方法がある。OCR処理によれば、文字間や文字列間の空白(スペース)は空白の文字コードとして出力可能である。ファイル名作成処理およびOCR処理に関する技術は、たとえば下記特許文献1および2に開示されている。
【0006】
下記特許文献1には、画像の一定領域(プリセット領域)を対象に文字認識を行ない、その文字認識で得られた文字または文字列のサイズや色を判断して、所定のサイズや色の文字を画像ファイルのファイル名とする技術が開示されている。
【0007】
下記特許文献2には、文書画像データを行単位で観測して、空白を置いて文字が連続する範囲を文字句として抽出し、抽出した文字句毎にこの文字句の始点、中点、および終点の座標の値を検出し、各行の同一配列順位の文字句の座標の値を比較検査する技術が開示されている。この技術では、始点座標が許容値範囲内で一致するときはこの配列順位の文字句の列を左詰めと判断し、中点座標が許容値範囲内で一致するときはこの配列順位の文字句の列を中央揃えと判断し、終点座標が許容差範囲内で一致するときはこの配列順位の文字句の列を中央揃えと判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−56315号公報
【特許文献2】特開平08−315069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
画像形成装置がOCR処理を行う際には、入力画像のレイアウトを可能な限り保持した状態で文字が抽出されることが望まれる。このため、文字列を構成する文字間に距離があるような入力画像に対してOCR処理を行う場合、画像形成装置は文字間に1文字または2文字以上の空白(空白文字コード)を挿入した文字列を出力する。
【0010】
一方、画像形成装置は、文字列を構成する文字同士の間に距離が無い場合にも、文字列の誤認識に起因して空白を挿入した文字列を出力することがあった。その結果、画像形成装置がファイル名に不要な空白を挿入し、入力画像のファイル名が適切でない(ユーザーが意図しない)ものとなるという問題があった。
【0011】
特にファイル名の候補となる文字列が、入力画像の写真領域やグラデーションがかかった背景上などにある場合には、文字列の誤認識が生じやすく、ユーザーの意図しないファイル名が作成されやすかった。誤認識を防ぐためには、本来、入力画像の写真領域に対してはOCR処理を行わず、文字領域に対してのみOCR処理を行うことが望ましい。しかし従来においては、写真領域に対してもOCR処理が行われていた。
【0012】
図8は、写真領域に文字列を含む入力画像を模式的に示す図である。なお図8では、文字列の大部分を「x」や「%」の文字で示している。
【0013】
図8を参照して、写真領域における点線で示す各領域内に文字列が存在している。これらの文字列に対してOCR処理を行う場合、画像形成装置は文字列を誤認識しやすく、特に図8中領域Aなどにおいて、先頭の文字を空白として文字列を認識する場合が多かった。その結果、入力画像のファイル名として先頭に不要な空白を含む文字列が作成されることがあった。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、適切なファイル名を作成することのできるファイル名作成装置およびファイル名作成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一の局面に従うファイル名作成装置は、画像のファイル名を作成するファイル名作成装置であって、ファイル名候補となる候補文字列であって先頭の文字が空白である候補文字列を、画像から抽出した文字列から選択する文字列選択手段と、候補文字列を修正する候補文字列修正手段と、候補文字列修正手段にて修正した文字列を画像のファイル名として作成するファイル名作成手段とを備え、候補文字列修正手段は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除する先頭文字列削除手段、および候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更する文字列変更手段のうち少なくともいずれか一方を含む。
【0016】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、候補文字列修正手段は、連続する2文字以上の空白を候補文字列が含む場合に、候補文字列における連続する2文字以上の空白を修正する連続空白修正手段をさらに含む。
【0017】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、連続空白修正手段は、候補文字列における連続する2文字以上の空白を1文字の空白で置き換える第1の連続空白修正手段を含む。
【0018】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、連続空白修正手段は、候補文字列における連続する2文字以上の空白を全て削除する第2の連続空白修正手段を含む。
【0019】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、連続空白修正手段は、候補文字列における連続する2文字以上の空白以降の文字を全て削除する第3の連続空白修正手段を含む。
【0020】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、候補文字列修正手段は、第1の文字種で記載された第1の文字列と、第1の文字種とは異なる第2の文字種で記載された第2の文字列と、第1の文字列と第2の文字列との間の空白とを候補文字列が含む場合に、第1の文字列、第2の文字列、および第1の文字列と第2の文字列との間の空白のうち少なくともいずれかを修正する異文字種修正手段をさらに含む。
【0021】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、異文字種修正手段は、第1の文字列と第2の文字列との間の空白を1文字の空白に置き換える第1の異文字種修正手段を含む。
【0022】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、異文字種修正手段は、第1の文字列と第2の文字列との間の空白を全て削除する第2の異文字種修正手段を含む。
【0023】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、異文字種修正手段は、第1の文字列と第2の文字列との間の空白以前の文字を全て削除する第3の異文字種修正手段を含む。
【0024】
上記ファイル名作成装置において好ましくは、異文字種修正手段は、第1の文字列と第2の文字列との間の空白以降の文字を全て削除する第4の異文字種修正手段を含む。
【0025】
本発明の他の局面に従うファイル名作成プログラムは、画像のファイル名を作成するファイル名作成プログラムであって、ファイル名候補となる候補文字列であって先頭の文字が空白である候補文字列を、画像から抽出した文字列から選択する文字列選択ステップと、候補文字列を修正する候補文字列修正ステップと、候補文字列修正ステップにて修正した文字列を画像のファイル名として作成するファイル名作成ステップとをコンピュータに実行させ、候補文字列修正ステップは、候補文字列から先頭の文字である空白を削除する先頭文字列削除ステップ、および候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更する文字列変更ステップのうち少なくともいずれか一方を含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、適切なファイル名を作成することのできるファイル名作成装置およびファイル名作成プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるファイル名作成方法を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるMFP100のファイル名作成処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるファイル名作成方法を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるMFP100のファイル名作成処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施の形態におけるファイル名作成方法を説明する図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるMFP100のファイル名作成処理を示すフローチャートである。
【図8】写真領域に文字列を含む入力画像を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0029】
以下の実施の形態においては、ファイル名作成装置が画像形成装置である場合について説明する。画像形成装置は、画像形成機能を有しており、たとえばMFP、ファクシミリ装置、複写機、またはプリンタなどであってもよい。さらにファイル名作成装置は、画像形成装置である場合の他、たとえばスキャナー(画像読取装置)などの画像形成機能を有さないものであってもよい。
【0030】
本願明細書においては、OCR処理により得られた文字のうち空白(空白文字コード)を「□」として表記している。「空白」とは、語と語の区切りや段落の開始を表すためなどに空けるスペースを意味している。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0032】
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置としてのMFP100は、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えている。MFP100は、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)53と、RAM(Random Access Memory)55と、補助記憶装置57と、ネットワーク接続部59と、プリント処理部61と、画像処理部63と、操作パネル65と、画像形成部67と、OCR処理部69と、スキャナー処理部71と、スキャナー部73とを備えている。
【0033】
CPU51は、MFP100全体の制御を行う。CPU51は、ROM53に記憶されたファイル名作成プログラムなどのプログラムを実行して動作する。
【0034】
ROM53は、CPU51を動作させる為のプログラムを格納している。
【0035】
RAM55は、CPU51がプログラムを動作する為に必要なデータや画像データを一時的に記憶する。
【0036】
補助記憶装置57は、MFP100用のボックスデータを格納する領域であり、たとえばHDD(Hard Disk Drive)などよりなっている。
【0037】
ネットワーク接続部59は、イーサネット(登録商標)やUSBを通じて外部機器との通信を行う。またネットワーク接続部59は、WWW(World Wide Web)やネットワーク上の外部機器とでデータを送受信する際には、図示しない通信デバイスを用いる。
【0038】
プリント処理部61は、原稿画像と付加情報の印刷処理を行う。
【0039】
画像処理部63は、画像データの文字幅の調整やコントラストや配色の変換を行う。
【0040】
操作パネル65は、ユーザーからMFPの操作を受け付けたり、ユーザーへの各種情報の表示を行ったりするユーザーインタフェースである。
【0041】
画像形成部67は、おおまかに、トナー像形成部、定着装置、および用紙搬送部などで構成される。画像形成部67は、たとえば電子写真方式で用紙に画像を形成する。トナー像形成部は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙(記録媒体)にカラー画像を形成可能に構成される。トナー像形成部は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について設けられた感光体と、感光体からトナー像が転写(1次転写)される中間転写ベルトと、中間転写ベルトから用紙に画像を転写(2次転写)する転写部などで構成される。定着装置は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを有する。定着装置は、加熱ローラーと加圧ローラーとでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行なう。これにより、定着装置は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。用紙搬送部は、給紙ローラー、搬送ローラー、およびそれらを駆動するモーターなどで構成されている。用紙搬送部は、用紙を給紙カセットから給紙して、MFP100の筐体の内部で搬送する。また、用紙搬送部は、画像が形成された用紙をMFP100の筐体から排紙トレイなどに排出する。
【0042】
OCR処理部69は、画像から文字列を抽出する。文字列の抽出の際には、たとえば品詞毎に区切られた文字列が抽出されてもよいし、フォントやサイズが同じものが1つの文字列として抽出されてもよいし、改行や句読点によって区切られた文字列が抽出されてもよい。OCR処理部69は、抽出した文字列の中から適切な文字列をファイル名の候補としてもよい。
【0043】
スキャナー処理部71は、スキャナー部73から読み込んだ原稿の画像(原稿画像、入力画像)から画像データを作成する。
【0044】
MFP100は、原稿から画像をスキャナー部73にて読み取り、たとえば補助記憶装置57のボックス内などに原稿画像のファイルを保存する際に、その原稿画像のファイル名を次の方法で作成する。MFP100は、原稿画像に対してたとえばOCR処理部69にて文字認識を行うことで、原稿画像から文字列を抽出する。MFP100は、抽出した文字列からファイル名の候補となる候補文字列を選択する。候補文字列の先頭の文字が空白である場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除することによって、または候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更することによって、候補文字列を修正する。MFP100は、修正した文字列を画像のファイル名として作成する。本実施の形態のファイル名作成方法の詳細について、以下に説明する。
【0045】
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるファイル名作成方法を説明する図である。なお、図2ならびに以降の図4および図6においては、原稿画像に含まれる一部の文字を黒丸、四角形、または三角形などで表している。
【0046】
図2を参照して、OCR処理では、文字間または文字列間の空欄を認識した場合、その空白は空白の文字コードとして抽出されことがある。(a)の原稿画像では、「見積書」という文字列が上部において中央揃えされている。このため、この文字列の左部の空欄は、OCR処理によって空白の文字コードとして抽出される。その結果、原稿画像の「見積書」という文字列は、OCR処理によって「□見積書」という文字列として抽出される。
【0047】
MFP100が、OCR処理により抽出した文字列から「□見積書」という文字列を候補文字列として選択した場合を想定する。この場合MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除し、削除後の「見積書」という文字列をファイル名として作成する。
【0048】
なお、OCR処理により抽出した複数の文字列から候補文字列を選択する技術としては、公知のものを使用することができる。候補文字列は、たとえば文字列のフォントの大きさ、文字列の色、または文字列の位置などに基づいて選択可能である。候補文字列は1文字以上の文字(記号や数字などを含む)よりなっていればよい。
【0049】
従来のファイル名作成装置は、抽出した文字列からファイル名として選択した文字列を、修正せずにそのままファイル名として作成していた。しかし、ユーザーの立場では、ファイル名における先頭の空白は不要である。そこで、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除し、削除後の「見積書」という文字列をファイル名として作成する。
【0050】
(a)の原稿画像の場合と同様に、(b)の原稿画像では、「見積書」という文字列が、文字同士の間隔を空けて中央揃えされている。この文字列における左部の空欄および文字同士の間の空欄は、OCR処理によって空白の文字コードとして抽出される。その結果、中央揃えされた「見積書」という文字列は、OCR処理によって「□見□積□書」という文字列として抽出される。
【0051】
MFP100が、OCR処理により抽出した文字列から、「□見□積□書」という文字列を候補文字列として選択した場合を想定する。この場合MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除し、削除後の「見□積□書」という文字列をファイル名として作成する。
【0052】
候補文字列の先頭の文字が空白である場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除する代わりに、候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更することにより、候補文字列以外の文字列をファイル名として作成してもよい。
【0053】
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP100のファイル名作成処理を示すフローチャートである。
【0054】
図3を参照して、MFP100のCPU51は、たとえばスキャナー部73を用いて原稿画像をスキャンすることにより、入力画像を取得する(S1)、次にCPU51は、入力画像全面に対してOCR処理を行い(S3)、文字または文字列をOCR処理の結果として出力する(S5)。続いてCPU51は、抽出した文字または文字列から、候補文字列を選択し(S7)、候補文字列の先頭の文字が空白(空白文字コード)であるか否かを判別する(S9)。
【0055】
ステップS9において、空白であると判別した場合(S9でYes)、CPU51は、候補文字列および候補文字列以外の文字列のうちいずれの文字列をファイル名として用いるかに関するユーザーからの選択を受け付ける(S11)。次にCPU51は、ファイル名として候補文字列を使用することをユーザーが選択したか否かを判別する(S13)。
【0056】
ステップS13において、候補文字列を使用することをユーザーが選択したと判別した場合(S13でYes)、CPU51は、候補文字列の先頭の文字である空白を削除することにより、候補文字列を修正する(S15)。その後CPU51は、先頭の文字である空白を削除後(修正後)の文字列をファイル名として作成し(S17)、処理を終了する。
【0057】
ステップS9において、空白でないと判別した場合(S9でNo)、CPU51は、候補文字列をそのままファイル名として作成し(S21)、処理を終了する。
【0058】
ステップS13において、候補文字列以外の文字列を使用することをユーザーが選択したと判別した場合(S13でNo)、CPU51は、候補文字列以外の文字列をファイル名として作成し(S19)、処理を終了する。
【0059】
なお、ステップS11におけるユーザーによる選択の処理は省略されてもよい。この場合、候補文字列および候補文字列以外の文字列のうちいずれの文字列をファイル名として使用するかの設定が、ROM53に予め記憶されていてもよい。
【0060】
ファイル名の候補となる候補文字列の先頭の文字が空白である場合、OCR処理の際に原稿画像に含まれる文字列を画像形成装置が誤認識することによってその候補文字列が抽出されているか、その空白が誤って原稿画像に挿入されたものであるかの可能性が高く、その空白は、ファイル名に不要である可能性が高い。本実施の形態によれば、候補文字列の先頭の空白を削除することにより、または候補文字列以外の文字列を使用することにより、適切なファイル名を作成することができる。
【0061】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、連続する2文字以上の空白を候補文字列が含む場合に、MFP100が候補文字列における連続する2文字以上の空白を修正する場合について説明する。MFP100の構成などについては、第1の実施の形態と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0062】
図4は、本発明の第2の実施の形態におけるファイル名作成方法を説明する図である。
【0063】
図4を参照して、(a)〜(c)の原稿画像では、「My name is KONICAMINOLTA」という文字列が上部において中央揃えされている。
【0064】
OCR処理では、この文字列の左部の空欄は、空白の文字コードとして抽出される。またこの文字列における各単語の間隔は大きいので、各単語の間隔は2文字の空白の文字コードとして抽出される。その結果、「□My□□name□□is□□KONICAMINOLTA」という文字列が抽出される。
【0065】
MFP100が、原稿画像からOCR処理により抽出した文字列から、「□My□□name□□is□□KONICAMINOLTA」という文字列を候補文字列として選択した場合を想定する。(a)の場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除した上で、連続する2文字以上の空白を1文字の空白で置き換える。その結果MFP100は、「My□name□is□KONICAMINOLTA」という文字列をファイル名として作成する。(b)の場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除した上で、連続する2文字以上の空白を全て削除する。その結果MFP100は、「MynameisKONICAMINOLTA」という文字列をファイル名として作成する。(c)の場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除した上で、候補文字列における連続する2文字以上の空白以降の文字列を全て削除する。その結果MFP100は、「My」という文字列をファイル名として作成する。
【0066】
なお、(a)〜(c)のいずれに示す方法で修正するかの設定をROM53などに予め記憶しておき、MFP100はその設定に従って、連続する2文字以上の空白の修正方法を決定してもよい。(a)〜(c)のいずれに示す方法で修正するかの設定をユーザーから受け付け、MFP100はユーザーから受け付けた設定に従って、連続する2文字以上の空白の修正方法を決定してもよい。
【0067】
図5は、本発明の第2の実施の形態におけるMFP100のファイル名作成処理を示すフローチャートである。
【0068】
図5を参照して、このフローチャートは、ステップS15以降の処理に関して、図3に示すフローチャートとは異なっている。ここでは、図3に示すフローチャートと同一である処理についてはその説明を繰り返さない。ステップS15の処理に続いて、MFP100のCPU51は、候補文字列が連続する2文字以上の空白を含んでいるか否かを判別する(S31)。
【0069】
ステップS31において、連続する2文字以上の空白を含んでいると判別した場合(S31でYes)、CPU51は、図4(a)〜(c)のいずれかに示す方法で、候補文字列における連続する2文字以上の空白を修正する(S33)。その後CPU51は、連続する2文字以上の空白を修正後の文字列をファイル名として作成し(S35)、処理を終了する。
【0070】
ステップS31において、連続する2文字以上の空白を含んでいないと判別した場合(S31でNo)、CPU51は、先頭の文字である空白を削除後の文字列をファイル名として作成し(S37)、処理を終了する。
【0071】
OCR処理では、原稿画像のレイアウトが可能な限り忠実に再現される。このため、候補文字列を構成する文字同士の間隔が広い場合、原稿画像のレイアウトを保持する目的で、文字同士の間に連続する2文字以上の空白が挿入されることがある。これらの空白は、ファイル名に不要である可能性が高い。本実施の形態によれば、連続する2文字以上の空白を修正することにより、適切なファイル名を作成することができる。
【0072】
[第3の実施の形態]
本実施の形態では、第1の文字種で記載された第1の文字列と、第1の文字種とは異なる第2の文字種で記載された第2の文字列と、第1の文字列と第2の文字列との間の空白とを候補文字列が含む場合に、MFP100が、第1の文字列、第2の文字列、および第1の文字列と第2の文字列との間の空白のうち少なくともいずれかを修正する場合について説明する。MFP100の構成などについては、第1の実施の形態と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0073】
図6は、本発明の第3の実施の形態におけるファイル名作成方法を説明する図である。
【0074】
図6を参照して、(a)〜(d)の原稿画像では、「見積書」という第1の文字列と、「20110701」という第2の文字列とが上部において中央揃えされている。これらの文字列は間隔を空けて並べられている。第1の文字列と第2の文字列とは互いに異なる文字種(たとえばフォントの種類、フォントのサイズ、またはフォントの色など)を有している。図6では、第1の文字列はたとえば20のフォントサイズを有しており、第2の文字列はたとえば9のフォントサイズを有している。
【0075】
OCR処理では、第1の文字列の左部の空欄は、空白の文字コードとして抽出される。また第1の文字列と第2の文字列との間隔は大きいので、この間隔は2文字の空白の文字コードとして抽出される。その結果、第1および第2の文字列は、「□見積書□20110701」という文字列として抽出される。
【0076】
MFP100が、原稿画像からOCR処理により抽出した文字列から、「□見積書□□20110701」という文字列を候補文字列として選択した場合を想定する。(a)の場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除した上で、第1の文字列と第2の文字列との間の2文字の空白を1文字の空白に置き換える。その結果、「見積書□20110701」という文字列をファイル名として作成する。(b)の場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除した上で、第1の文字列と第2の文字列との間の空白を全て削除することにより、第1の文字列と第2の文字列とを結合する。その結果MFP100は、「見積書20110701」という文字列をファイル名として作成する。(c)の場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除した上で、第1の文字列と第2の文字列との間の空白以前の文字列を全て削除する。その結果MFP100は、「20110701」という文字列をファイル名として作成する。(d)の場合、MFP100は、候補文字列から先頭の文字である空白を削除した上で、第1の文字列と第2の文字列との間の空白以降の文字列を全て削除する。その結果MFP100は、「見積書」という文字列をファイル名として作成する。
【0077】
第1の文字列と、第2の文字列と、第1の文字列と第2の文字列との間の空白とを候補文字列が含む場合、MFP100は、第1の文字列、第2の文字列、および第1の文字列と第2の文字列との間の空白のうち少なくともいずれかを修正する代わりに、候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更することにより、候補文字列以外の文字列をファイル名として作成してもよい。
【0078】
なお、(a)〜(d)のいずれに示す方法で修正するかの設定をROM53などに予め記憶しておき、MFP100はその設定に従って、第1の文字列と第2の文字列との間の空白の修正方法を決定してもよい。(a)〜(d)のいずれに示す方法で修正するかの設定をユーザーから受け付け、MFP100はユーザーから受け付けた設定に従って、第1の文字列と第2の文字列との間の空白の修正方法を決定してもよい。
【0079】
図7は、本発明の第3の実施の形態におけるMFP100のファイル名作成処理を示すフローチャートである。
【0080】
図7を参照して、このフローチャートは、ステップS15以降の処理に関して、図3に示すフローチャートとは異なっている。ここでは、図3に示すフローチャートと同一である処理についてはその説明を繰り返さない。ステップS15の処理に続いて、MFP100のCPU51は、第1の文字種で記載された第1の文字列と、第1の文字種とは異なる第2の文字種で記載された第2の文字列と、第1の文字列と第2の文字列との間の空白とを候補文字列が含むか否かを判別する(S51)。
【0081】
ステップS51において、第1の文字列と、第2の文字列と、第1の文字列と第2の文字列との間の空白とを候補文字列が含むと判別した場合(S51でYes)、CPU53は、候補文字列および候補文字列以外の文字列のうちいずれの文字列をファイル名として用いるかに関するユーザーからの選択を受け付ける(S53)。次にCPU51は、ファイル名として候補文字列を使用することをユーザーが選択したか否かを判別する(S55)。
【0082】
ステップS55において、候補文字列を使用することをユーザーが選択したと判別した場合(S55でYes)、CPU51は、第1の文字列、第2の文字列、および第1の文字列と第2の文字列との間の空白のうち少なくともいずれかを修正する(S57)。その後CPU51は、第1の文字列、第2の文字列、および第1の文字列と第2の文字列との間の空白のうち少なくともいずれかを修正した後の文字列をファイル名として作成し(S59)、処理を終了する。
【0083】
ステップS51において、第1の文字列と、第2の文字列と、第1の文字列と第2の文字列との間の空白とを候補文字列が含まないと判別した場合(S51でNo)、CPU53は、先頭の文字である空白を削除後の文字列をファイル名として作成し(S63)、処理を終了する。
【0084】
ステップS55において、候補文字列以外の文字列を使用することをユーザーが選択したと判別した場合(S55でNo)、CPU51は、候補文字列以外の文字列をファイル名として作成し(S61)、処理を終了する。
【0085】
第1の文字種で記載された第1の文字列と、第1の文字種とは異なる第2の文字種で記載された第2の文字列と、第1の文字列と第2の文字列との間の空白とを候補文字列が含む場合には、第1の文字列と第2の文字列との各々が示す情報の意味が互いに異なる可能性が高い。このため、候補文字列をそのままファイル名とした場合にはファイル名として適切でない可能性がある。本実施の形態によれば、第1の文字列、第2の文字列、および第1の文字列と第2の文字列との間の空白のうち少なくともいずれかを修正することにより、適切なファイル名を作成することができる。
【0086】
[その他]
第2の実施の形態では、MFP100は、連続する2文字以上の空白の前後の文字の種類に基づいて、図4(a)〜(c)のいずれに示す方法で修正するかを決定してもよい。たとえば、連続する2文字以上の空白の前後の文字がいずれもアルファベットである場合には、図4(a)に示すように、連続する2文字以上の空白を1文字の空白で置き換えてもよい。欧州言語では単語間の空白が重要であり、1文字の空白を残すことが望ましいからである。連続する2文字以上の空白の前後の文字のうちいずれか一方がアルファベット以外の文字(漢字、カタカナ、ひらがななど)である場合には、図4(b)または(c)に示すように、連続する2文字以上の空白を全て削除してもよい。
【0087】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0088】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
51 CPU
53 ROM
55 RAM
57 補助記憶装置
59 ネットワーク接続部
61 プリント処理部
63 画像処理部
65 操作パネル
67 画像形成部
69 処理部
71 スキャナー処理部
73 スキャナー部
100 MFP



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像のファイル名を作成するファイル名作成装置であって、
ファイル名候補となる候補文字列であって先頭の文字が空白である候補文字列を、前記画像から抽出した文字列から選択する文字列選択手段と、
前記候補文字列を修正する候補文字列修正手段と、
前記候補文字列修正手段にて修正した文字列を前記画像のファイル名として作成するファイル名作成手段とを備え、
前記候補文字列修正手段は、前記候補文字列から先頭の文字である空白を削除する先頭文字列削除手段、および前記候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更する文字列変更手段のうち少なくともいずれか一方を含む、ファイル名作成装置。
【請求項2】
前記候補文字列修正手段は、連続する2文字以上の空白を前記候補文字列が含む場合に、前記候補文字列における連続する2文字以上の空白を修正する連続空白修正手段をさらに含む、請求項1に記載のファイル名作成装置。
【請求項3】
前記連続空白修正手段は、前記候補文字列における連続する2文字以上の空白を1文字の空白で置き換える第1の連続空白修正手段を含む、請求項2に記載のファイル名作成装置。
【請求項4】
前記連続空白修正手段は、前記候補文字列における連続する2文字以上の空白を全て削除する第2の連続空白修正手段を含む、請求項2または3に記載のファイル名作成装置。
【請求項5】
前記連続空白修正手段は、前記候補文字列における連続する2文字以上の空白以降の文字を全て削除する第3の連続空白修正手段を含む、請求項2〜4のいずれかに記載のファイル名作成装置。
【請求項6】
前記候補文字列修正手段は、第1の文字種で記載された第1の文字列と、前記第1の文字種とは異なる第2の文字種で記載された第2の文字列と、前記第1の文字列と前記第2の文字列との間の空白とを前記候補文字列が含む場合に、前記第1の文字列、前記第2の文字列、および前記第1の文字列と前記第2の文字列との間の空白のうち少なくともいずれかを修正する異文字種修正手段をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載のファイル名作成装置。
【請求項7】
前記異文字種修正手段は、前記第1の文字列と前記第2の文字列との間の空白を1文字の空白に置き換える第1の異文字種修正手段を含む、請求項6に記載のファイル名作成装置。
【請求項8】
前記異文字種修正手段は、前記第1の文字列と前記第2の文字列との間の空白を全て削除する第2の異文字種修正手段を含む、請求項6または7に記載のファイル名作成装置。
【請求項9】
前記異文字種修正手段は、前記第1の文字列と前記第2の文字列との間の空白以前の文字を全て削除する第3の異文字種修正手段を含む、請求項6〜8のいずれかに記載のファイル名作成装置。
【請求項10】
前記異文字種修正手段は、前記第1の文字列と前記第2の文字列との間の空白以降の文字を全て削除する第4の異文字種修正手段を含む、請求項6〜9のいずれかに記載のファイル名作成装置。
【請求項11】
画像のファイル名を作成するファイル名作成プログラムであって、
ファイル名候補となる候補文字列であって先頭の文字が空白である候補文字列を、前記画像から抽出した文字列から選択する文字列選択ステップと、
前記候補文字列を修正する候補文字列修正ステップと、
前記候補文字列修正ステップにて修正した文字列を前記画像のファイル名として作成するファイル名作成ステップとをコンピュータに実行させ、
前記候補文字列修正ステップは、前記候補文字列から先頭の文字である空白を削除する先頭文字列削除ステップ、および前記候補文字列を構成する全ての文字を他の文字に変更する文字列変更ステップのうち少なくともいずれか一方を含む、ファイル名作成プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−74609(P2013−74609A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214616(P2011−214616)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】