説明

ファイル記録装置およびファイル記録方法

【課題】記録するファイルのファイル名の重複を防ぐとともに、ファイル名でファイルの作成順にソートができるようにする。
【解決手段】時刻を計時し、時刻の修正を受け付け可能な時計部と、ファイルを記録するHDDと、時計部が時刻の修正を受け付けた際に、修正直前に計時していた時刻Aを記録する記憶領域と、HDDにファイルを記録する際に、時計部から現在時刻Bを取得し、取得した時刻Bが時刻A以前の場合に、時刻Aを示す数値と、時刻Bを示す数値とで、値が異なる最上位の桁数を表わした追加桁数が設定済か否かを判断し、設定済でないときには追加桁数を設定するとともに、時刻Aを示す数値からなる文字列に、時刻Bを示す数値の下位から追加桁数を抽出した部分を付加した文字列をファイルのファイル名に含めるファイル名設定部とを備えた映像記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルを記録するファイル記録装置に係り、特に、ファイルの記録時刻に基づいてファイル名を決定するファイル記録装置およびファイル記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラを用いて商業施設や工業施設等を監視する監視システムが普及している。監視システムでは、施設内の警備室等で警備員が映像をモニタで監視したり、デジタルビデオレコーダ等の映像記録装置に監視カメラからの映像を記録することが行なわれている。ここで、映像記録装置での記録の際には、例えば、所定時間毎の映像フレームをJPEG方式等で圧縮し、映像記録装置が備えるハードディスク装置に画像ファイルとして記録する。
【0003】
画像ファイルを記録する際には、ファイル名を決定する必要があるが、新たに記録する画像ファイルのファイル名が記録済の画像ファイルのファイル名と重複すると、記録済の画像ファイルが上書きされ失われてしまう。このような事態を防ぐために特許文献1には、記録しようとする画像ファイルのファイル名が、既に記録された画像ファイルのファイル名と重複するかどうかを判断し、重複する場合には記録しようとする画像ファイルのファイル名を変更してから記録することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−33710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像ファイルのファイル名は、後からの検索を容易にするために、画像ファイルを記録するときの時刻を用いることが広く行なわれている。例えば、2009年1月23日12時34分56秒に映像ファイルを記録する場合には、ファイル名は20090123123456.jpgとなる。
【0006】
一般に、この時刻は、映像記録装置が内蔵する時計から取得するが、映像記録装置が内蔵する時計が計時する時刻は、真の時刻と差が生じることがある。このため、ユーザの操作やNTP(Network Time Protocol)サーバあるいは電波時計から取得した情報等に基づいて映像記録装置が内蔵する時計の時刻を修正することが行なわれる。
【0007】
時刻をファイル名として用いる場合、時刻は遡らないためファイル名の重複は原則として発生しない。しかしながら、時計の時刻を戻す修正を行なった場合には、戻った時刻から戻す前の時刻までの間でファイル名が重複するおそれがある。
【0008】
ファイル名が重複した場合に、特許文献1に記載されているように画像ファイル名を変更することも考えられるが、時刻を用いた画像ファイル名を変更すると、ファイル名でソートを行なった場合に、作成順に画像ファイルが並ばなくなり、画像ファイルの検索が不便になる。
【0009】
そこで、本発明は、記録するファイルのファイル名の重複を防ぐとともに、ファイル名でファイルの作成順にソートができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様であるファイル記録装置は、時刻を計時し、時刻の修正を受け付け可能な時計手段と、ファイルを記録するファイル記録手段と、前記時計手段が時刻の修正を受け付けた際に、修正直前に計時していた第1時刻を記録する時刻記録手段と、前記ファイル記録手段にファイルを記録する際に、前記時計手段から第2時刻を取得し、取得した第2時刻が前記時刻記録手段に記録された第1時刻以前の場合に、前記第1時刻を示す数値と、前記第2時刻を示す数値とで、値が異なる最上位の桁数を表わした追加桁数が設定済か否かを判断し、設定済でないときには追加桁数を設定するとともに、前記第1時刻を示す数値からなる文字列に、前記第2時刻を示す数値の下位から前記設定された追加桁数を抽出した部分を付加した文字列を前記ファイルのファイル名に含めるファイル名設定手段とを備える。
【0011】
ここで、前記ファイル名設定手段は、前記取得した第2時刻が前記時刻記録手段に記録された第1時刻より新しい場合には、前記第2時刻を示す数値からなる文字列を前記ファイルのファイル名に含めることができる。また、前記ファイル名設定手段は、前記取得した第2時刻が前記時刻記録手段に記録された第1時刻より新しい場合には、前記追加桁数が設定済であれば前記追加桁数を未設定の状態とすることが望ましい。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様であるファイル記録方法は、時刻を計時する計時ステップと、時刻の修正を受け付けた際に、修正直前に計時していた第1時刻を記録する時刻記録ステップと、ファイルを記録する際に、その時点の時刻である第2時刻を取得し、取得した第2時刻が前記記録した第1時刻以前の場合に、前記第1時刻を示す数値と、前記第2時刻を示す数値とで、値が異なる最上位の桁数を表わした追加桁数が設定済か否かを判断し、設定済でないときには追加桁数を設定するとともに、前記第1時刻を示す数値からなる文字列に、前記第2時刻を示す数値の下位から前記設定された追加桁数を抽出した部分を付加した文字列を前記ファイルのファイル名に含めるファイル名設定ステップとを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記録するファイルのファイル名の重複を防ぐとともに、ファイル名でファイルの作成順にソートができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した映像記録装置を含んだ監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】映像記録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】1秒毎に画像ファイルを作成し、記録する時刻をファイル名とした場合の従来設定されるファイル名の例を示している。
【図4】時計部が計時する時刻が修正された場合の処理について説明するフローチャートである。
【図5】監視カメラから映像データを受信して画像ファイルを記録する処理について説明するフローチャートである。
【図6】追加桁数について説明する図である。
【図7】追加文字列について説明する図である。
【図8】追加文字列を付加したファイル名について説明する図である。
【図9】1秒毎に画像ファイルを作成し、記録する時刻をファイル名とした場合の本実施形態で設定されるファイル名の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明を適用した映像記録装置を含んだ監視システムの構成を示すブロック図である。本図に示すように監視システムは、複数台の監視カメラ20(20a、20b、20c、20d)と映像記録装置100と表示装置200とを備えて構成される。複数台の監視カメラ20(20a、20b、20c、20d)と映像記録装置100とは、ケーブル30(30a、30b、30c、30d)を介して接続されている。映像記録装置100は、各監視カメラ20が出力する映像データを受信し、所定時間毎に画像ファイルとして記録するとともに、必要に応じて表示装置200に映像を表示する。映像記録装置100は、例えば、あらかじめ定められた監視プログラムにしたがって、各監視カメラ20からの映像データを入力し、記録することができる。
【0016】
図2は、映像記録装置100の構成を示すブロック図である。本図に示すように、映像記録装置100は、複数の映像入力端子101(101a、101b、101c、101d)、および、バス110によって相互に接続されたエンコーダ102、時計部103、操作受付部104、メモリ105、ハードディスクドライブ(HDD)106、CPU107を備えて構成される。
【0017】
映像入力端子101は、ケーブル30を介して監視カメラ20と接続し、監視カメラ20から送られた映像データを受信する。映像データは、例えば、NTSC方式のアナログ映像信号とすることができる。ただし、他の方式であったり、デジタル映像信号であってもよい。
【0018】
エンコーダ102は、入力された映像データの所定時間毎の画像フレームを圧縮して画像データを作成する。所定時間毎は、例えば、1秒毎とし、圧縮処理は、例えば、JPEG方式を用いることができる。この結果、エンコーダ102から、1秒毎に画像ファイルが生成されることになる。
【0019】
時計部103は、自身が備えるクロックに基づいて計時を行なう。計時は年月日時秒で行なうものとする。時計部103が計時する時刻がタイムスタンプ等の映像記録装置100における時刻として取り扱われる。時計部103は、自身が備えるクロックに従うため、計時する時刻が真の時刻と乖離する場合がある。このようなときは、ユーザの手動により、あるいは、外部から基準時刻を取得する等により時刻の修正が行なわれる。
【0020】
操作受付部104は、ユーザから操作を受け付ける機能部であり、複数の操作ボタンを備えている。本実施形態ではメニューボタン104a、上ボタン104b、下ボタン104c、左ボタン104d、右ボタン104e、+ボタン104f、−ボタン104g、決定ボタン104hが備えられているものとする。ユーザは、これらのボタンを操作することで時計部103の時刻を修正することができる。時計部103の時刻の修正は、例えば、以下のような手順で行なうことができる。
【0021】
すなわち、ユーザは、メニューボタン104aを操作して表示装置200にメニュー項目を表示させる。そして、上ボタン104bあるいは下ボタン104cを操作してメニュー項目の中から「時刻設定項目」を選択し、決定ボタン104hを押下する。これにより、表示装置200には、時計部103が計時する現在の時刻が表示される。ユーザは、左ボタン104dあるいは右ボタン104eを操作して、年、月、日、時、分、秒のうち修正したい項目を選択する。そして、+ボタン104eで数値を進め、−ボタン104fで数値を戻すことにより、時刻を修正することができる。最後に決定ボタン104hを押下することで修正内容が時計部103に反映される。
【0022】
メモリ105は、不揮発性の記憶装置であるROMと、揮発性の記憶装置であるRAMとを含んでいる。ROMには、映像記録装置100を制御するための制御用プログラム105aが格納されている。揮発性の記憶装置であるRAMには、時計部103が修正されたときに修正直前の時間である時刻Aを記録する時刻A記録領域105bと、画像ファイルを記録する際に、補正後の時刻と時刻Aとの相違箇所に基づいて定められる追加桁数を記録する追加桁数記録領域105cとが配置される。
【0023】
ハードディスクドライブ(HDD)106は、画像ファイル106aを記録する。画像ファイル106aは、監視カメラ20毎に、所定の時間毎、例えば、1秒毎に作成され、それぞれ個別のファイル名を付されてハードディスクドライブ(HDD)106に格納される。画像ファイル106aは、例えば、監視カメラ20毎に設けられたディレクトリ内に格納することで、各画像ファイルの撮像元である監視カメラ20を特定することができる。あるいは、ファイル名の先頭に監視カメラ20を特定するため識別子を付して記録するようにしてもよい。なお、画像ファイル106aを記録する記録媒体は、ハードディスクドライブに限らず、半導体メモリなどの他の記録媒体でもよい。
【0024】
CPU107は、制御用プログラム105aにしたがって処理を行なうことで、映像記録装置100における各種動作を制御する。本実施形態では、画像ファイル106aを記録する際のファイル名を設定するファイル名設定部107aが構成される。ファイル名設定部107aは、以下に説明するファイル名設定処理を制御する。
【0025】
次に、本実施形態における画像ファイルのファイル名設定処理について説明する。上述のように、従来から、画像ファイルを記録する際に現在時刻を取得して、取得した時刻をファイル名として設定することが行なわれている。図3は、1秒毎に画像ファイルを作成し、記録する時刻をファイル名とした場合に従来設定されるファイル名の例を示している。
【0026】
すなわち、2008年9月22日10時18分16秒に画像ファイルが作成された場合には、「20080922101816.jpg」というファイル名が付される。また、
2008年9月22日10時18分18秒に画像ファイルが作成された場合には、「20080922101818.jpg」というファイル名が付される。この時刻は時計部103が計時する時刻に基づいている。
【0027】
ここで、2008年9月22日10時18分21秒に「20080922101821.jpg」という画像ファイルを生成した直後に、時計部103の時刻が、2008年9月22日10時18分18秒に修正されたとする。すなわち、時刻修正により、3秒戻されたとする。この場合、修正直後に作成された画像ファイルは、時計部103が計時する時刻にしたがって、「20080922101818.jpg」というファイル名が付される。このため、既に記録された画像ファイルのファイル名と重複し、記録済の画像ファイルが上書きされてしまう。この状況は、時計部103の時刻が、2008年9月22日10時18分22秒になるまで毎秒続くことになる。
【0028】
画像ファイルの上書きを防ぐために、新たに作成した画像ファイルのファイル名を変更することも考えられるが、そうすると、後にファイル名でソートを行なった場合、ファイルが作成順に並ばなくなってしまい、画像ファイルの検索処理が不便になる。
【0029】
そこで、本実施形態では、画像ファイルのファイル名の重複を防ぐとともに、ファイル名で作成順にソートができるようにするため、以下に示すような処理を行なう。
【0030】
まず、時計部103が計時する時刻が修正された場合の処理について図4のフローチャートを参照して説明する。本処理は、ユーザによってメニューボタン104aが操作され、時刻設定項目が呼び出された場合に開始する。ただし、NTPサーバからの時刻情報、電波時計からの時刻情報の取得等を行なった場合も開始するようにする。
【0031】
時刻設定項目が呼び出されると、上ボタン104b、下ボタン104c、左ボタン104d、右ボタン104e等によって、時刻修正操作をユーザから受け付ける(S101)。時刻修正操作を受け付けても、決定ボタン104hの押下を受け付けることなく操作が終了した場合(S102:No)は、修正はキャンセルとなり、本処理を終了する。
【0032】
一方、決定ボタン104hの押下を受け付けると(S102:Yes)、修正された時刻で時計部103を更新する前に、修正前の時刻、すなわち、更新前の時計部103が計時している最新の時刻を時刻Aとしてメモリ105の時刻A記録領域105bに記録する(S103)。その後、修正された時刻で時計部103が計時する時刻を更新して(S104)、本処理を終了する。
【0033】
次に、監視カメラ20から映像データを受信して画像ファイルを記録する処理について図5のフローチャートを参照して説明する。本処理は、監視カメラ20から映像データを受信することで開始する。わかりやすくするため1台の監視カメラ20から映像データを入力する場合を例に説明する。複数台の監視カメラ20から映像データを入力する場合には、本処理が並行して行なわれる。
【0034】
映像データを受信すると(S201)、エンコーダ102は、所定時間毎、例えば、1秒毎に映像フレームを抽出し、JPEG等の所定の圧縮方式で圧縮して画像ファイルを生成する(S202)。そして、時計部103から現在時刻を取得する(S203)。現在時刻は「時刻B」と称する。
【0035】
時刻Bを取得すると、取得した時刻Bとメモリ105の時刻A記録領域105bに記録されている時刻Aとの前後関係を調べ、時刻Bが時刻Aよりも新しいかどうかを判断する(S204)。この結果、時刻Bが時刻Aよりも新しくない場合(S204:No)、すなわち、時刻Bが時刻A以前の場合は、時計部103の時刻が戻される修正が行なわれたことを示している。このため、取得した時刻Bをそのままファイル名とするとファイル名が重複するおそれがある。
【0036】
この場合、メモリ105の追加桁数記録領域105cを参照して、追加桁数が既に設定されているかどうかを判断する(S205)。ここで、追加桁数について図6を参照して説明する。追加桁数とは、時計部103の修正直前の時刻である時刻Aを示す数値と、最新に取得した現在時刻Bを示す数値とで、値が異なる最上位桁の桁数を意味する。
【0037】
例えば、本図に示すように、修正前の時刻Aが2008年9月22日10時18分21秒であり、20080922101821で表わされるとする。このとき、最新に取得した現在時刻Bが、図6(a)に示すように、20080922101816で表わされたとすると、値が異なる部分は下位2桁である。このため、値が異なる最上位桁の桁数である追加桁数は2桁となる。
【0038】
また、最新に取得した現在時刻Bが、図6(b)に示すように、20080922101621で表わされたとすると、値が異なる部分は下から3桁目である。このため、値が異なる最上位桁の桁数である追加桁数は3桁となる。
【0039】
また、最新に取得した現在時刻Bが、図6(c)に示すように、20080922091831で表わされたとすると、値が異なる部分は下から2桁目と5桁目と6桁目である。このため、値が異なる最上位桁の桁数である追加桁数は6桁となる。
【0040】
図5のフローチャートの説明に戻って、追加桁数が既に設定されているかどうかを判断した結果、設定されていない場合(S205:No)には、上記の定義に従って、追加桁数を設定し、メモリ105の追加桁数記録領域105cに記録する(S206)。一方、既に設定されている場合(S205:Yes)には、再設定は不要である。
【0041】
次いで、最新に取得した現在時刻Bと追加桁数に基づいて追加文字列を生成する(S207)。ここで、追加文字列は、現在時刻Bを示す数値の下位から追加桁数を抽出した部分である。例えば、現在時刻Bが、図7(a)に示すように、20080922101816で表わされ、追加桁数が2桁であるとすると、追加文字列は16となる。また、現在時刻Bが、図7(b)に示すように、20080922101621で表わされ、追加桁数が3桁であるとすると、追加文字列は621となる。また、現在時刻Bが、図7(c)に示すように、20080922091831で表わされ、追加桁数が6桁であるとすると、追加文字列は091831となる。
【0042】
追加文字列を生成すると、時刻Aを示す数値からなる文字列に追加文字列を付加した文字列をファイル名として設定する(S208)。例えば、修正前の時刻Aが2008年9月22日10時18分21秒であり、20080922101821で表わされるとする。このとき、図8(a)に示すように、追加文字列が16であるとすると、ファイル名は、「2008092210182116.jpg」となる。また、図8(b)に示すように、追加文字列が621であるとすると、ファイル名は、「20080922101821621.jpg」となる。また、図8(c)に示すように、追加文字列が091831であるとすると、ファイル名は、「20080922101821091831.jpg」となる。
【0043】
図5のフローチャートの説明に戻って、ファイル名を設定すると、設定されたファイル名で画像ファイル106aをハードディスクドライブ(HDD)106に記録する(S209)。この際に、監視カメラ20に対応したディレクトリに画像ファイル106aを記録したり、監視カメラ20の識別子を設定されたファイル名の先頭に付して記録するようにしてもよい。
【0044】
一方、時刻Bが時刻Aよりも新しい場合(S204:Yes)は、現在時刻Bをファイル名として用いてもファイル名が重複するおそれがない。このため、以下のような処理を行なう。
【0045】
まず、メモリ105の追加桁数記録領域105cを参照して追加桁数が設定されているかどうかを判断し(S211)、設定されている場合(S211:Yes)には、メモリ105の追加桁数記録領域105cに記録されている追加桁数をクリアする(S212)。追加桁数が設定されていなければ(S211:No)、この処理は不要である。
【0046】
そして、時刻Bを示す数値からなる文字列をファイル名として設定し(S213)、設定されたファイル名で画像ファイル106aをハードディスクドライブ(HDD)106に記録する(S209)。この際に、監視カメラ20に対応したディレクトリに画像ファイル106aを記録したり、監視カメラ20の識別子を設定されたファイル名の先頭に付して記録するようにしてもよい。
【0047】
以上の処理を、映像データが入力される間繰り返し(S214:Yes)、映像データの入力が終了すると(S214:No)、本処理を終了する。図9は、1秒毎に画像ファイルを作成し、記録する時刻をファイル名とした場合に、本実施形態で設定されるファイル名の例を示している。
【0048】
本図に示すように、「20080922101821.jpg」という画像ファイルを生成した直後に、時計部103の時刻が、2008年9月22日10時18分18秒に修正されたとする。すなわち、時刻修正により、3秒戻されたとする。この場合、追加桁数は2桁となるため、修正直後の2008年9月22日10時18分18秒に作成された画像ファイルのファイル名は、「2008092210182118.jpg」となり、既に記録された画像ファイルとファイル名は重複しない。
【0049】
追加桁数の2桁は、時刻Bが時刻Aよりも新しくなる2008年9月22日10時18分22秒まで有効であるため、追加文字列が付加されたファイル名の画像ファイル「2008092210182121.jpg」まで作成される。ファイル名で画像ファイルをソートすると、追加文字列が付加されたファイル名は、「20080922101821.jpg」と「20080922101822.jpg」との間に作成順に並ぶため、画像ファイルのファイル名の重複を防ぐとともに、ファイル名で作成順にソートされることになる。
【0050】
このように、本実施形態では、追加桁数は処理(S212)でクリアされるまで同じ値が用いられるため、時計部103の修正で大きく時刻が戻されて、時刻Bが時刻Aよりも新しくない場合(S204:No)が複数の画像ファイルで大量に連続しても、ファイルの作成順とファイル名のソート順とが一致することになる。年月日等が修正された場合にも同様に対応することができる。
【符号の説明】
【0051】
20…監視カメラ
30…ケーブル
100…映像記録装置
101…映像入力端子
102…エンコーダ
103…時計部
104…操作受付部
105…メモリ
106…ハードディスクドライブ(HDD)
107…CPU
110…バス
200…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を計時し、時刻の修正を受け付け可能な時計手段と、
ファイルを記録するファイル記録手段と、
前記時計手段が時刻の修正を受け付けた際に、修正直前に計時していた第1時刻を記録する時刻記録手段と、
前記ファイル記録手段にファイルを記録する際に、前記時計手段から第2時刻を取得し、取得した第2時刻が前記時刻記録手段に記録された第1時刻以前の場合に、
前記第1時刻を示す数値と、前記第2時刻を示す数値とで、値が異なる最上位の桁数を表わした追加桁数が設定済か否かを判断し、設定済でないときには追加桁数を設定するとともに、
前記第1時刻を示す数値からなる文字列に、前記第2時刻を示す数値の下位から前記設定された追加桁数を抽出した部分を付加した文字列を前記ファイルのファイル名に含めるファイル名設定手段とを備えたことを特徴とするファイル記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファイル記録装置であって、
前記ファイル名設定手段は、前記取得した第2時刻が前記時刻記録手段に記録された第1時刻より新しい場合には、前記第2時刻を示す数値からなる文字列を前記ファイルのファイル名に含めることを特徴とするファイル記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のファイル記録装置であって、
前記ファイル名設定手段は、前記取得した第2時刻が前記時刻記録手段に記録された第1時刻より新しい場合には、前記追加桁数が設定済であれば前記追加桁数を未設定の状態とすることを特徴とするファイル記録装置。
【請求項4】
時刻を計時する計時ステップと、
時刻の修正を受け付けた際に、修正直前に計時していた第1時刻を記録する時刻記録ステップと、
ファイルを記録する際に、その時点の時刻である第2時刻を取得し、取得した第2時刻が前記記録した第1時刻以前の場合に、
前記第1時刻を示す数値と、前記第2時刻を示す数値とで、値が異なる最上位の桁数を表わした追加桁数が設定済か否かを判断し、設定済でないときには追加桁数を設定するとともに、
前記第1時刻を示す数値からなる文字列に、前記第2時刻を示す数値の下位から前記設定された追加桁数を抽出した部分を付加した文字列を前記ファイルのファイル名に含めるファイル名設定ステップとを有することを特徴とするファイル記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−218601(P2010−218601A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61634(P2009−61634)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】