説明

ファインダユニットおよび撮像装置

【課題】ピント板の近傍はペンタプリズム、シャッタユニットなどの構成部材が集積されている。高機能な表示素子をピント板の近傍に配設すると、配線の取り廻しが煩雑となっていた。
【解決手段】ファインダユニットは、ミラー部に反射された被写体光束を結像させるピント板と、ピント板に結像された被写体光学像に重畳して情報を表示する表示パネルと、ミラー部に対して被写体光束が入射する側に穴部が設けられた、表示パネルを支持する支持部と、被写体光束の周縁側へ偏位した位置において穴部に挿通されて表示パネルに接続されるフレキシブル基板とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインダユニットおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影レンズユニットを通過した被写体光が結像するピント板の上面に液晶型の表示素子を設け、当該被写体光学像に重畳させてAFエリア等を表示するカメラが知られている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2009−253899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ピント板の近傍はペンタプリズム、シャッタユニットなどの構成部材が集積されており、高機能な表示素子を配設すると、配線の取り廻しが煩雑となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様におけるファインダユニットは、ミラー部に反射された被写体光束を結像させるピント板と、ピント板に結像された被写体光学像に重畳して情報を表示する表示パネルと、ミラー部に対して被写体光束が入射する側に穴部が設けられた、表示パネルを支持する支持部と、被写体光束の周縁側へ偏位した位置において穴部に挿通されて表示パネルに接続されるフレキシブル基板とを備える。また、本発明の第2の態様における撮像装置は、上記のミラー部とファインダユニットとを備える。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係る一眼レフカメラにおける、光学ファインダ周りを構成する主要部品の分解斜視図である。
【図2】組み立て時における主要部品の相対位置関係を示す斜視図である。
【図3】ペンタボックス周辺の主要部品の相対位置関係を示す斜視図である。
【図4】図3の斜視図に対して、入射開口部側から観察した場合の斜視図である。
【図5】穴部のうち、フレキシブル基板が挿通された部分の断面図である。
【図6】図3の斜視図に対して、一部部品を取り除いた様子を示す図である。
【図7】表示パネルとライトガイドの相対的な位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る一眼レフカメラにおける、光学ファインダ周りを構成する主要部品の分解斜視図である。本実施形態に係る一眼レフカメラは、交換可能な撮影レンズが装着されて、被写体像を光学像として観察できる光学ファインダを備えるタイプのデジタルカメラである。
【0009】
一眼レフカメラは、光学ファインダ周りを構成する主要部品として、レンズマウント10およびレンズ基板12を備える。レンズマウント10は、交換可能な撮影レンズを固定する固定部であり、例えばバヨネット方式が採用される。レンズマウント自体は、図示しない前板に固定されている。レンズ基板12は、レンズマウント10と同様に前板に固定された基板である。レンズ基板12は、撮影レンズがレンズマウント10に固定されたときに、撮影レンズ側から突出する例えば絞り端子が摺動する回路パターンを備える。したがって、図示するように、レンズ基板12は、被写体光束が入射するレンズマウント10の開口円形と同心に、円弧状の部分形状を含む。
【0010】
一眼レフカメラは、光学ファインダ周りを構成する主要部品として、ミラー部20、ペンタボックス30およびペンタプリズム60を備える。ミラー部20は、入射する被写体光束の光軸に直交する方向を回転軸として、前板により回動可能に軸支されている。ミラー部20は、図示する斜設状態において、入射する被写体光束をペンタプリズム60の方向へ反射する。また、ミラー部20は、被写体光束とは交差しない待避状態において、入射する被写体光束を図示しない撮像素子の方向へ導く。
【0011】
ペンタボックス30は、ペンタプリズム60を収容して支持する支持部材である。ペンタボックス30自体は、前板に支持されて固定される。ペンタプリズム60は、入射する被写体光学像を反転させて正立像としてユーザに観察させる光学素子である。もちろん、複数のミラーを組み合わせて同様に機能を有する中空ペンタミラーであっても構わない。したがって、ペンタボックス30は、図示するように、被写体光束をペンタプリズム60へ入射させる入射開口部32と、ペンタプリズム60が射出する被写体光束をユーザへ導く射出開口部33を備える。
【0012】
一眼レフカメラは、光学ファインダ周りを構成する主要部品として、ピント板40、表示パネル50および閉塞板80を備える。ピント板40は、撮像素子の受光面に対して共役の位置となるようにペンタボックス30に支持される拡散板である。したがって、ユーザは、ミラー部20で反射されてピント板40に結像する被写体光学像を、ペンタプリズム60を介して観察することができる。
【0013】
表示パネル50の表示部は、情報の非表示状態においては被写体光学像を透過する。一方、情報の表示状態においては、ピント板40に結像された被写体光学像に重畳して情報を表示する。例えば、焦点検出領域に対応して設けられたセグメントの液晶が拡散状態になり、特定の表示パターンが被写体光学像に重なって視認可能となる。具体的には、情報としての表示パターンが、被写体光学像にスーパーインポーズされ、ペンタプリズム60を介してユーザ側に導かれる。表示する情報としては、焦点検出領域以外にも、電池の残容量、水平垂直の指標、露出値などが挙げられる。表示パネルの詳細な構造については後述する。
【0014】
表示パネル50は、ペンタボックス30のうち、ミラー部20に対して被写体光束が入射する側の側面に設けられた穴部31に挿入されて組み込まれ、ペンタボックス30に支持される。このとき、穴部31と表示パネル50の隙間からペンタボックス30内へ進入する迷光および塵埃を遮断すべく、閉塞板80が、表示パネル50が挿入された穴部31を閉塞する。
【0015】
一眼レフカメラは、光学ファインダ周りを構成する主要部品として、ペンタ基板70、ライトガイド90およびLED92を備える。ペンタ基板70は、ペンタプリズム60のうちペンタボックス30に支持される面の側(ピント板40に対向する入射面側)とは反対側の上面に隣接して配置される。ペンタ基板70にはさまざまな回路が集積されており、後述するように、表示パネル50もペンタ基板70に電気的に接続される。ライトガイド90は、ペンタボックス30のうち、入射開口部32と射出開口部33が設けられた両面に直交する側面に配設される。ライトガイド90は、照明部としてのLED92の照射光を表示パネル50へ導入する。具体的な構成については後述する。
【0016】
図2は、組み立て時における光学ファインダ周りの主要部品の相対位置関係を示す斜視図である。上述のように、レンズ基板12は、円弧状の部分形状を有するが、この円弧形状の端付近から、表示パネル50を構成するフレキシブル基板51が引き出される。フレキシブル基板51の端は、ペンタ基板70から伸延する接続部71に設けられたコネクタ72に接続される。
【0017】
図3は、図2の主要部品のうち、レンズ基板12とその関連部品、および閉塞板80を取り除いた場合の、ペンタボックス30周辺の主要部品の組み立て斜視図である。上述のように、穴部31は、レンズマウント10の側である被写体光束が入射する側面に設けられている。そして、組み立て時においては、表示パネル50が挿入される。つまり、穴部31は、表示パネル50の長辺の長さに合わせて直線状の形状をなす。この場合、被写体光束の光軸からの距離は、穴部31の中央付近で短く、両端付近で長い。すなわち、レンズ基板12との相対的な関係においては、レンズマウント10の側から見た場合に、穴部31の中央付近とレンズ基板12の円弧形状内周部とが重なり合い、穴部31の端付近とレンズ基板12の円弧形状外周部とが重なり合う。
【0018】
このとき、フレキシブル基板51を穴部31の中央付近から引き出すと、レンズ基板12との干渉が大きくなり、過剰なストレスをフレキシブル基板51へ与えてしまう。ましてや、フレキシブル基板51が穴部31の全長に亘るような形状であると、取り回しの制限も大きくなる。したがって、フレキシブル基板51は、図示するように、穴部31の端部近傍、別言すれば穴部31のうち被写体光束に対して周縁側へ偏位した位置において引き出される配置および形状が望ましい。
【0019】
図4は、図3の斜視図に対して、入射開口部32側から観察した場合の斜視図である。ピント板40は、入射開口部32の開口下方から平行に持ち上げられてペンタボックス30へ突き当てられ、固定される。一方、表示パネル50は、上述のように、側面に設けられた穴部31から挿入されて、ペンタボックス30に固定される。したがって、ピント板40と表示パネル50は、ミラー部20からペンタプリズム60の入射面へ向かってこの順番に隣接して配設される。ピント板40の拡散面は被写体光束の一次結像面であるので、この近傍に配置された表示パネル50の情報も、ユーザによって良好に観察され得る。
【0020】
図5は、ペンタボックス30の穴部31のうち、フレキシブル基板51が挿通された部分の断面図である。表示パネル50は、セグメントを構成する液晶層を封入する第1透明板52と第2透明板53を有する。これらの透明板には透明電極が配されており、液晶層と駆動IC54とを結ぶ。駆動IC54は、COG(Chip On Glass)により第1透明板52の面上に載置されている。より具体的には、第1透明板52の面のうち、第2透明板53と対向する対向面に接して実装されている。駆動IC54は、フレキシブル基板51に接続されており、フレキシブル基板51を介して入力される駆動信号に従って、液晶層を駆動する。
【0021】
また、駆動IC54は、表示パネル50が穴部31に挿入されて固定されたときに、少なくともその一部が穴部31の厚みに納まるように配設されている。すなわち、組み立て後の駆動IC54の位置は、穴部31の深さ方向において、穴部31と少なくとも一部が一致する。さらに、駆動IC54の高さは、第2透明板53の高さよりも低い。すなわち、略矩形に設けられた穴部31の短辺方向の高さは、表示パネル50を挿通させることを考慮しても、第1透明板52と第2透明板53を重ね合わせた高さよりも大きければ十分である。このような相対的な位置関係を採用することにより、表示パネル50の端部が穴部31から突出させることなく、また、表示パネル50の表示面をより大きくすることができるので、スペース活用の観点から好ましい。
【0022】
また、図5は、表示パネル50が穴部31に挿通されて固定された後に、閉塞板80が穴部31を閉塞する様子を示す。具体的には、閉塞板80は、駆動IC54に接続されるフレキシブル基板51が挿通される挿通位置においては、フレキシブル基板51がペンタプリズム60の方向へ折り曲げられる曲率半径を考慮して設定された間隙の分だけペンタボックス30から離間して穴部31を閉塞する。その他の位置においては、ペンタボックス30に接して穴部31を閉塞する。閉塞板80は、例えばプレス加工により挿通位置が折り曲げられて形成される。
【0023】
図6は、図3の斜視図に対して、ペンタプリズム60およびペンタ基板70を取り除いた様子を示す図である。上述のように、ペンタボックス30は、ペンタプリズム60を収容して支持する開放型の箱形形状をなすと共に、ピント板40、表示パネル50、ライトガイド90などを支持すべく、所々に位置決め部、固定部等を有する。さらには、射出開口部33の外側において接眼光学系を保持する保持機能も有する。なお、各部品の支持、固定に対しては、各部品とペンタボックス30との間で支持部材、緩衝部材、押さえ部材、ビス、接着剤などを適宜利用することができる。ペンタボックス30は、例えばモールド成形により一体的に形成される。これにより、ピント板40から接眼光学系へ至る光学関連部品の相対的な位置関係を厳密に保つことができる。
【0024】
図7は、表示パネル50とライトガイド90の相対的な位置関係を示す図である。ライトガイド90は、表示パネル50の短辺側、すなわち表示パネル50のうちフレキシブル基板51が引き出される長辺に直交する短辺を含む側面へ照射光を入射させる。具体的には、ライトガイド90は、LED92からの照射光を入射面93で入射し、反射面94で表示パネル50の側面方向へ反射して、射出面95から射出する。表示パネル50へ入射された照射光は、拡散状態にある液晶で拡散され、ユーザに視認される。したがって、一眼レフカメラの制御部は、周辺環境が暗い状況等においてLED92を点灯させれば、表示パターンの視認性を向上させることができる。
【0025】
以上の実施形態においては、表示パネル50の例として、液晶層が2枚の透明板に密封され、特定の表示パターンを表示する液晶パネルを例に説明した。しかし、表示パネル50としては、透過型の表示パネルであれば、ドットマトリックスにより任意の情報を表示できる液晶パネルを採用することもできるし、液晶パネル以外の例えば有機ELパネルを採用することもできる。また、上記の説明においては、一眼レフカメラの例としてデジタルカメラを採用したが、もちろん本実施形態に係る概念は、フィルムカメラにおいても適用することができる。
【0026】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0027】
10 レンズマウント、12 レンズ基板、20 ミラー部、30 ペンタボックス、31 穴部、32 入射開口部、33 射出開口部、40 ピント板、50 表示パネル、51 フレキシブル基板、52 第1透明板、53 第2透明板、54 駆動IC、60 ペンタプリズム、70 ペンタ基板、71 接続部、72 コネクタ、80 閉塞板、90 ライトガイド、92 LED、93 入射面、94 反射面、95 射出面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部に反射された被写体光束を結像させるピント板と、
前記ピント板に結像された被写体光学像に重畳して情報を表示する表示パネルと、
前記ミラー部に対して前記被写体光束が入射する側に穴部が設けられた、前記表示パネルを支持する支持部と、
前記被写体光束の周縁側へ偏位した位置において前記穴部に挿通されて前記表示パネルに接続されるフレキシブル基板と
を備えるファインダユニット。
【請求項2】
前記表示パネルは、
液晶層と、
前記液晶層を封入する2枚の透明板と、
前記液晶層を駆動する駆動ICと
を有し、
前記駆動ICは、前記2枚の透明板のうち他方と対向する一方の対向面上に載置され、
前記支持部は、前記駆動ICの少なくとも一部が前記穴部の厚みに収まるように前記表示パネルを支持する請求項1に記載のファインダユニット。
【請求項3】
前記駆動ICの高さは、前記2枚の透明板の前記他方の高さよりも低い請求項2に記載のファインダユニット。
【請求項4】
前記支持部は、前記ピント板も支持する請求項1から3のいずれか1項に記載のファインダユニット。
【請求項5】
前記フレキシブル基板が挿通される挿通位置において前記支持部から離間するように前記穴部を閉塞する閉塞板を有する請求項1から4のいずれか1項に記載のファインダユニット。
【請求項6】
前記支持部に支持され、前記被写体光学像および表示された前記情報をユーザ側へ導くペンタ部と、
前記ペンタ部のうち前記支持部に支持される面とは反対側の上面に配置された回路基板と
を備え、
前記フレキシブル基板は前記回路基板へ接続される請求項1から5のいずれか1項に記載のファインダユニット。
【請求項7】
前記表示パネルを照明する照明部と、
前記表示パネルのうち前記フレキシブル基板が引き出される長辺に直交する短辺を含む側面へ前記照明部の照射光を導入するライトガイド部と
を備える請求項1から6のいずれか1項に記載のファインダユニット。
【請求項8】
前記ミラー部と、
請求項1から7のいずれか1項に記載のファインダユニットと
を備える撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−237847(P2012−237847A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106191(P2011−106191)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】