説明

ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造

【課題】 AFブロックのファインダー地板への取り付け構造において、パラ調整に必要な動きのみを許容する構造とし、調整を容易にする。
【解決手段】 AFブロックとファインダー地板は、それぞれの球R凹部と球R凸部で当接。Z軸回りの回転を許容しないための回転防止部分をAFブロックに設けた。回転防止部分はファインダー地板との当接部がエッジになっており、エッジと球R凹部の中心とはYZ座標が一致している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造に関するもので、より詳しくは、例えばカメラの被写体認識のためのファインダー装置の光軸の向きに対して、自動合焦装置としての測距装置の光軸の向きを所定条件内に調整可能とするための構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在ほとんどのカメラにはオートフォーカス機能と呼ばれる自動合焦装置が搭載されている。自動合焦装置の方式としては様々なものが知られているが、コンパクトカメラと言われるカメラでは、自動合焦装置は被写体観察のためのファインダー装置とは独立した光学系を有するものが一般的である。この方式では、測距装置が被写体までの距離を測定し、その測距結果に基づいて撮影レンズを被写体に合焦する位置に駆動するが、一般的にはファインダーの中心にAFフレームなどと呼ばれる枠が形成してあり、測距装置はこのAFフレーム内にある被写体を測距する。従ってファインダー装置の光学系の光軸に対する測距装置の光学系の光軸が所定条件内にあることが必要である。これは以下のような理由による。仮にファインダー装置の光軸に対して測距装置の光軸が異なる方向を向いている場合、撮影者がファインダーを観察して画面の特定箇所、例えば人物の顔をファインダーのAFフレームに合わせて合焦させようとするとき、測距装置はこれとは異なる方向を向いてしまっているので、例えば背景を測距してしまったりする。その結果、撮影者の意図に反して背景にピントが合った、撮影者にとってはいわゆるピンボケ写真となってしまう。一般的に、測距装置とファインダー装置を構成する部品の製造誤差や組立誤差を勘案すると、ファインダー装置の光軸に対する測距装置の光軸調整(これを以下「AFパラ調整」と呼ぶ)は不可避であることが多い。このAFパラ調整は、測距装置がファインダー装置に隣接して配置されることが多いことから、撮影レンズの焦点距離が比較的短い場合は測距装置をY軸回りにのみ回転させての調整で実用上問題はない。しかし撮影レンズの焦点距離が長くなるにつれて、ファインダー装置の光軸に対する測距装置の光軸の許容相対誤差は小さくなるので、高倍率ズームレンズを搭載したカメラなどでは、ファインダー装置に対して測距装置をY軸まわりに回転させる調整のみならず、X軸回りにも回転させて調整する必要が生じてくる。
【0003】
図5は特開2001-208536に開示されている、第1の従来例としてのファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造であり、(A)は測距装置の正面図、(B)は測距装置の側面図、(C)はファインダー装置の測距装置収容部分の正面図、(D)はファインダー装置の測距装置収容部分の縦中央断面図、(E)は測距装置およびファインダー装置の測距装置収容部分の斜視図である。511は測距装置であり、結像レンズ512、測距地板部材513、測距センサー514、フレキシブルプリント配線板515からなる。521はファインダー地板522に図示しないファインダー光学系が組込まれてなるファインダー装置である。
【0004】
以上のようなファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造についてさらに説明する。結像レンズ512は、図示しない位置決め手段により位置決めされて測距地板部材513の所定位置に接着されている。測距センサー514は、予めフレキシブルプリント配線板515に実装され、必要に応じて結像レンズに対する位置調整をされたうえで測距地板部材513に接着されている。こうして測距装置511が完成する。一方のファインダー装置521は、図示しないファインダー光学系がしかるべき手順でファインダー地板部材522に組み込まれて完成する。この後、ファインダー装置521に測距装置511を装着して以下のAFパラ調整を行う。
【0005】
測距装置511をファインダー装置521に設置し、測距地板部材513の上面に形成された調整穴513cに図示しないAFパラ調整工具を挿入する(AFパラ調整工具に測距装置511を取付け、ファインダー装置521に装着してもよい)。ファインダー装置521の光軸に対して測距装置511の光軸がX方向に関して所定条件内になるよう、測距装置511をY軸回りに回転させる。測距装置511は測距地板部材513下面に下方に臨んで水平方向に設けられた凸円筒面部513aがファインダー地板部材522の受け面522bに当接するよう装着されているので、この受け面522b上を滑らせるようにしてY軸回りの回転動作が可能である。続いてファインダー装置521の光軸に対して測距装置511の光軸がY方向に関して所定条件内になるよう、測距装置511をX軸回りに回転させる。厳密には測距装置511下面の凸円筒面部513aが受け面522b上を転がり運動することにより、X軸回りに回転したのと擬似的に同一の結果が得られるものである。ファインダー装置521の光軸に対して測距装置511の光軸が所定条件内になっているかは、例えば、フレキシブルプリント配線板515を図示しないAFパラ測定工具に接続し、AFパラ調整用チャートにファインダー装置を正対させ、そのときに測距装置からしかるべき出力が得られるように調整するなどすればよい。
【0006】
図6は第2の従来例としてのファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造であり、(A)は測距装置の正面図、(B)は測距装置の縦中央断面図、(C)はファインダー装置の正面図、(D)はファインダー装置の縦中央断面図、(E)は測距装置およびファインダー装置の測距装置収容部分の斜視図である。611は測距装置であり、結像レンズ612、測距地板部材613、測距センサー614、フレキシブルプリント配線板615からなる。621はファインダー地板622に図示しないファインダー光学系が組込まれてなるファインダー装置である。
【0007】
以上のようなファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造について、第1の従来例と異なる箇所について説明する。
【0008】
測距装置611をファインダー装置621に設置し、測距地板部材613の上面に形成された調整穴613cに図示しないAFパラ調整工具を挿入する(AFパラ調整工具に測距装置611を取付け、ファインダー装置621に装着してもよい)。ファインダー装置621の光軸に対して測距装置611の光軸がX方向に関して所定条件内になるよう、測距装置611をY軸回りに回転させる。測距装置611は測距地板部材613下面に下方に臨んで形成された凹球面部613aが、ファインダー装置621のファインダー地板部材622の測距装置収容部に上方に臨んで形成された凸球面部622aに当接するように装着されている上、凹球面部613aと凸球面部622aの球R径は等しく設定されているので、この両球面部622aの球Rを中心にしてY軸回りの回転動作が可能である。続いてファインダー装置621の光軸に対して測距装置611の光軸がY方向に関して所定条件内になるよう、測距装置611をX軸回りに回転させる。このファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造では、測距装置611は、更にZ軸回りにも回転が可能である。
【特許文献1】特開2001-208536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の第1の従来例には以下のような欠点がある。
【0010】
ファインダー装置521に対する測距装置511の位置決めがないため、測距装置511はファインダー装置521に対してX方向(水平方向)及びZ方向(前後方向)の位置が決められない。従って、調整時に周囲に干渉したり、これを防ぐために充分な空間を確保しなくてはならずカメラが大型化するうえ、AFパラ調整の作業性も悪い。X軸回りの回転動作は、厳密には回転動作ではなく転がり運動であるために回転中心が存在しない。従ってAFパラ調整工具が複雑化したり、測距装置511に無理な力が加わることによりAFパラ調整精度が悪化したりする。
【0011】
上記第2の従来例には以下のような欠点がある。
【0012】
AFパラ調整には不必要なZ軸回りの回転も許容するので、測距装置611が傾いてしまいAFパラ調整精度が悪化したり、これを防ぐためにはAFパラ調整工具が複雑化してしまう。または測距地板部材613の調整穴613cとAFパラ調整工具との掛かり量を増やすために測距地板部材が大型化してカメラが大型化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、少なくとも結像レンズと測距地板と測距センサーからなる測距装置を、少なくともファインダー光学系とファインダー地板からなるファインダー装置に取り付ける際の、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造において、本件の第1の発明では、測距装置は、凹球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に下方に臨んで有し、凹球面部の球R中心と角状の凸部先端とは、高さ及び前後位置がほぼ一致しており、ファインダー装置は、測距装置収容部に凸球面部とその左右に受け部を共に上方に臨んで有し、凸球面部の球R径は前記凹球面部の球R径とほぼ同一であり、受け部の上面の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凹球面部と凸球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記角状の凸部先端が接するか近接する高さであるようにし、本件の第2の発明では、測距装置は、凹球面部とその左右に受け部を共に下方に臨んで有し、凹球面部の球R中心と受け部の下面はほぼ同一の高さにあり、ファインダー装置は、測距装置収容部に凸球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に上方に臨んで有し、凸球面部の球R径は前記凹球面部の球R径とほぼ同一であり、凸球面部の球R中心と角状の凸部先端は前後位置がほぼ一致しており、角状の凸部先端の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凹球面部と凸球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記受け面に接するか近接する高さであるようにし、本件の第3の発明では、測距装置は、凸球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に下方に臨んで有し、凸球面部の球R中心と角状の凸部先端とは、高さ及び前後位置がほぼ一致しており、ファインダー装置は、測距装置収容部に凹球面部とその左右に受け部を共に上方に臨んで有し、凹球面部の球R径は前記凸球面部の球R径とほぼ同一であり、受け部の上面の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凸球面部と凹球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記角状の凸部先端が接するか近接する高さであるようにし、本件の第4の発明では、測距装置は、凸球面部とその左右に受け部を共に下方に臨んで有し、凸球面部の球R中心と受け部の下面はほぼ同一の高さにあり、ファインダー装置は、測距装置収容部に凹球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に上方に臨んで有し、凹球面部の球R径は前記凸球面部の球R径とほぼ同一であり、凹球面部の球R中心と角状の凸部先端は前後位置がほぼ一致しており、角状の凸部先端の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凸球面部と凹球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記受け面に接するか近接する高さであるようにしたので、測距装置はファインダー装置に対してXYZ全ての方向に対して位置が決まる一方、XおよびY軸回りの回転は許容するがZ軸回りの回転は許容しないようなファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造を実現できる。
【0014】
従ってAFパラ調整時の周囲との干渉防止には必要最小限の空間を確保すればよく、カメラの小型化につながる。XYZ方向の位置が決まるのでAFパラ調整の作業性もよい。X軸回りにも正しく回転運動をするので、AFパラ調整工具が簡素なものでよく、その上測距装置に無理な力が加わることもないので、AFパラ調整精度が高精度に行える。測距装置がZ軸回りには傾かないので、やはりAFパラ調整工具が簡素なものでよく、カメラの小型化にもつながる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、少なくとも結像レンズと測距地板と測距センサーからなる測距装置を、少なくともファインダー光学系とファインダー地板からなるファインダー装置に取り付ける際の、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造において、本件の第1の発明では、測距装置は、凹球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に下方に臨んで有し、凹球面部の球R中心と角状の凸部先端とは、高さ及び前後位置がほぼ一致しており、ファインダー装置は、測距装置収容部に凸球面部とその左右に受け部を共に上方に臨んで有し、凸球面部の球R径は前記凹球面部の球R径とほぼ同一であり、受け部の上面の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凹球面部と凸球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記角状の凸部先端が接するか近接する高さであるようにし、本件の第2の発明では、測距装置は、凹球面部とその左右に受け部を共に下方に臨んで有し、凹球面部の球R中心と受け部の下面はほぼ同一の高さにあり、ファインダー装置は、測距装置収容部に凸球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に上方に臨んで有し、凸球面部の球R径は前記凹球面部の球R径とほぼ同一であり、凸球面部の球R中心と角状の凸部先端は前後位置がほぼ一致しており、角状の凸部先端の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凹球面部と凸球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記受け面に接するか近接する高さであるようにし、本件の第3の発明では、測距装置は、凸球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に下方に臨んで有し、凸球面部の球R中心と角状の凸部先端とは、高さ及び前後位置がほぼ一致しており、ファインダー装置は、測距装置収容部に凹球面部とその左右に受け部を共に上方に臨んで有し、凹球面部の球R径は前記凸球面部の球R径とほぼ同一であり、受け部の上面の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凸球面部と凹球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記角状の凸部先端が接するか近接する高さであるようにし、本件の第4の発明では、測距装置は、凸球面部とその左右に受け部を共に下方に臨んで有し、凸球面部の球R中心と受け部の下面はほぼ同一の高さにあり、ファインダー装置は、測距装置収容部に凹球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に上方に臨んで有し、凹球面部の球R径は前記凸球面部の球R径とほぼ同一であり、凹球面部の球R中心と角状の凸部先端は前後位置がほぼ一致しており、角状の凸部先端の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凸球面部と凹球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記受け面に接するか近接する高さであるようにしたので、測距装置はファインダー装置に対してXYZ全ての方向に対して位置が決まる一方、XおよびY軸回りの回転は許容するがZ軸回りの回転は許容しないようなファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造を実現できるので、AFパラ調整時の周囲との干渉防止には必要最小限の空間を確保すればよいためカメラの小型化につながり、AFパラ調整の作業性がよく、X軸回りにも正しく回転運動をするのでAFパラ調整工具が簡素なものでよく、その上測距装置に無理な力が加わることもないのでAFパラ調整精度が高精度に行え、測距装置がZ軸回りには傾かないためやはりAFパラ調整工具が簡素なものでよく、カメラの小型化にもつながる、という多くの優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施例)
図1は本発明による測距装置とファインダー装置との互いの位置調整構造接着構造であり、(A)は測距装置の正面図、(B)は測距装置の縦中央断面図、(C)はファインダー装置の正面図、(D)はファインダー装置の縦中央断面図、(E)は測距装置およびファインダー装置の測距装置収容部分の斜視図である。111は測距装置であり、結像レンズ112、測距地板部材113、測距センサー114、フレキシブルプリント配線板115からなる。121はファインダー地板122に図示しないファインダー光学系が組込まれてなるファインダー装置である。
【0017】
以上のような測距装置とファインダー装置との互いの位置調整構造についてさらに説明する。結像レンズ112は、図示しない位置決め手段により位置決めされて測距地板部材113の所定位置に接着されている。測距センサー114は、予めフレキシブルプリント配線板115に実装され、必要に応じて結像レンズに対する位置調整をされたうえで測距地板部材113に接着されている。こうして測距装置111が完成する。一方のファインダー装置121は、図示しないファインダー光学系がしかるべき手順でファインダー地板部材122に組み込まれて完成する。この後、ファインダー装置121に測距装置111を装着するが、このとき測距装置111の光軸とファインダー装置121の光軸の相対関係が所定条件を満足するように位置調整、すなわちAFパラ調整をする必要がある。図示しないファインダー光学系の光軸と測距装置111の光軸とは互いに隣接して配置される場合が多く、更に撮影光学系の焦点距離が比較的短い場合は、AFパラ調整は測距装置111をY軸回りに回転させての調整で実用上の問題はないが、撮影光学系の焦点距離が長い場合はY軸に加えて更にX軸回りにも回転させて調整する必要がある。
【0018】
以上のような背景に対して本発明の特徴的な部分を以下に説明する。
【0019】
AFパラ調整は以下のように行う。測距装置111をファインダー装置121に設置し、測距地板部材113の上面に形成された調整穴113cに図示しないAFパラ調整工具を挿入する(AFパラ調整工具に測距装置111を取付け、ファインダー装置121に装着してもよい)。ファインダー装置121の光軸に対して測距装置111の光軸がX方向に関して所定条件内になるよう、測距装置111をY軸回りに回転させる。続いてファインダー装置121の光軸に対して測距装置111の光軸がY方向に関して所定条件内になるよう、測距装置111をX軸回りに回転させる。ファインダー装置121の光軸に対して測距装置111の光軸が所定条件内になっているかは、例えば、フレキシブルプリント配線板115を図示しないAFパラ測定工具に接続し、AFパラ調整用チャートにファインダー装置を正対させ、そのときに測距装置からしかるべき出力が得られるように調整するなどすればよい。
【0020】
測距装置111の一部を構成する測距地板部材113の底面には凹球面部113aが形成されている。一方、ファインダー装置121を構成するファインダー地板部材122の測距装置111を収容する部分には凸球面部122aが形成されている。このファインダー地板部材122の凸球面部122aに、測距地板部材113の凹球面部113aが当接するように測距装置111を装着する。この結果、測距装置111とファインダー装置121とは、凹球面部113aと凸球面部122aとが互いに当接することによりX方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、凹球面部113aと凸球面部122aの中心Cを中心としてX軸Y軸Z軸回りに回転可能な状態となる。
【0021】
さらに、測距地板部材113の底面の左右両端付近には、底面に面して頂点を有する角部113bが設けられている。この角部113bの頂点は、凹球面部113aの球R中心とY方向位置およびZ方向位置が一致するような位置、すなわち図1(B)において、凹球面部113aの球R中心と角部113bの頂点とが一致するような位置に設けられている。一方、ファインダー地板部材122の測距装置111を収容する部分の凸球面部122aの左右には、上面に水平面を有する受け部122bが形成されている。この受け部122bの水平面は、先述のようにファインダー装置121に測距装置111を装着したとき、測距地板部材113の角部113bの頂点と接するか近接するような高さに形成されている。この結果、ファインダー装置121に対して測距装置111をZ軸回りに回転させようとしても、角部113bと受け部122bとが干渉してZ軸回りの回転を規制された状態となる。先に説明したように、凹球面部113aの球R中心と角部113bの頂点とはY方向位置およびZ方向位置が一致しているのでX軸およびY軸回りの回転は規制されない。
【0022】
従って、ファインダー装置121に対して測距装置111を装着した際、X方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、回転に関してはAFパラ調整に必要なX軸およびY軸回りには回転可能でAFパラ調整には不必要なZ軸回りの回転は不可能な構造を実現できる。このとき互いの凸球面部122aと凹球面部113aとが当接した状態で回転するので、ファインダー装置121に対して測距装置111が転がり運動をすることはなく、AFパラ調整時の回転中心が明確に決まることは言うまでも無い。
【0023】
(第2の実施例)
図2は本発明による測距装置とファインダー装置との互いの位置調整構造接着構造であり、(A)は測距装置の正面図、(B)は測距装置の縦中央断面図、(C)はファインダー装置の正面図、(D)はファインダー装置の縦中央断面図、(E)は測距装置およびファインダー装置の測距装置収容部分の斜視図である。211は測距装置であり、結像レンズ212、測距地板部材213、測距センサー214、フレキシブルプリント配線板215からなる。221はファインダー地板222に図示しないファインダー光学系が組込まれてなるファインダー装置である。
【0024】
以上のようなファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造について、第1の実施例と異なる本発明の特徴的な部分箇所について説明する。
【0025】
測距装置211の一部を構成する測距地板部材213の底面には凹球面部213aが形成されている。一方、ファインダー装置221を構成するファインダー地板部材222の測距装置211を収容する部分には凸球面部222aが形成されている。このファインダー地板部材222の凸球面部222aに、測距地板部材213の凹球面部213aが当接するように測距装置211を装着する。この結果、測距装置211とファインダー装置221とは、凹球面部213aと凸球面部222aとが互いに当接することによりX方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、凹球面部213aと凸球面部222aの中心Cを中心としてX軸Y軸Z軸回りに回転可能な状態となる。
【0026】
さらに、測距地板部材213の底面の左右両端付近には、底面に水平面を有する受け部213bが形成されている。一方、ファインダー地板部材222の測距装置211を収容する部分の凸球面部222aの左右には、上面に面して頂点を有する角部222bが設けられている。この角部222bの頂点は、凸球面部222aの球R中心とY方向位置およびZ方向位置が一致するような位置、すなわち図2(D)において、凸球面部222aの球R中心と角部222bの頂点とが一致するような位置に設けられている。測距地板部材213の受け部213bの水平面は、先述のようにファインダー装置221に測距装置211を装着したとき、ファインダー部材222の角部222bの頂点と接するか近接するような高さに形成されている。この結果、ファインダー装置221に対して測距装置211をZ軸回りに回転させようとしても、受け部213bと角部222bとが干渉してZ軸回りの回転を規制された状態となる。先に説明したように、凸球面部222aの球R中心と角部222bの頂点とはY方向位置およびZ方向位置が一致しているのでX軸およびY軸回りの回転は規制されない。
【0027】
従って、ファインダー装置221に対して測距装置211を装着した際、X方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、回転に関してはAFパラ調整に必要なX軸およびY軸回りには回転可能でAFパラ調整には不必要なZ軸回りの回転は不可能な構造を実現できる。このとき互いの凸球面部222aと凹球面部213aとが当接した状態で回転するので、ファインダー装置221に対して測距装置211が転がり運動をすることはなく、AFパラ調整時の回転中心が明確に決まることは言うまでも無い。
【0028】
(第3の実施例)
図3は本発明による測距装置とファインダー装置との互いの位置調整構造接着構造であり、(A)は測距装置の正面図、(B)は測距装置の側面図、(C)はファインダー装置の正面図、(D)はファインダー装置の縦中央断面図、(E)は測距装置およびファインダー装置の測距装置収容部分の斜視図である。311は測距装置であり、結像レンズ312、測距地板部材313、測距センサー314、フレキシブルプリント配線板315からなる。321はファインダー地板322に図示しないファインダー光学系が組込まれてなるファインダー装置である。
【0029】
以上のようなファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造について、上記の各実施例と異なる本発明の特徴的な部分箇所について説明する。
【0030】
測距装置311の一部を構成する測距地板部材313の底面には凸球面部313aが形成されている。一方、ファインダー装置321を構成するファインダー地板部材322の測距装置311を収容する部分には凹球面部322aが形成されている。このファインダー地板部材322の凹球面部322aに、測距地板部材313の凸球面部313aが当接するように測距装置311を装着する。この結果、測距装置311とファインダー装置321とは、凸球面部313aと凹球面部322aとが互いに当接することによりX方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、凸球面部313aと凹球面部322aの中心Cを中心としてX軸Y軸Z軸回りに回転可能な状態となる。
【0031】
さらに、測距地板部材313の両側面には、底面に面して頂点を有する角部312bが設けられている。この角部312bの頂点は、凸球面部312aの球R中心とY方向位置およびZ方向位置が一致するような位置、すなわち図3(B)において、凸球面部312aの球R中心と角部312bの頂点とが一致するような位置に設けられている。一方、ファインダー地板部材322の測距装置311を収容する部分の左右内壁面には、上面に水平面を有する受け部322bが形成されている。この受け部322bの水平面は、先述のようにファインダー装置321に測距装置311を装着したとき、測距地板部材312の角部312bの頂点と接するか近接するような高さに形成されている。この結果、ファインダー装置321に対して測距装置311をZ軸回りに回転させようとしても、角部312bと受け部322bとが干渉してZ軸回りの回転を規制された状態となる。先に説明したように、凸球面部312aの球R中心と角部312bの頂点とはY方向位置およびZ方向位置が一致しているのでX軸およびY軸回りの回転は規制されない。
【0032】
従って、ファインダー装置321に対して測距装置311を装着した際、X方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、回転に関してはAFパラ調整に必要なX軸およびY軸回りには回転可能でAFパラ調整には不必要なZ軸回りの回転は不可能な構造を実現できる。このとき互いの凹球面部322aと凸球面部313aとが当接した状態で回転するので、ファインダー装置321に対して測距装置311が転がり運動をすることはなく、AFパラ調整時の回転中心が明確に決まることは言うまでも無い。
【0033】
(第4の実施例)
図4は本発明による測距装置とファインダー装置との互いの位置調整構造接着構造であり、(A)は測距装置の正面図、(B)は測距装置の側面図、(C)はファインダー装置の正面図、(D)はファインダー装置の縦中央断面図、(E)は測距装置およびファインダー装置の測距装置収容部分の斜視図である。421は測距装置であり、結像レンズ412、測距地板部材413、測距センサー414、フレキシブルプリント配線板415からなる。421はファインダー地板422に図示しないファインダー光学系が組込まれてなるファインダー装置である。
【0034】
以上のようなファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造について、上記の各実施例と異なる本発明の特徴的な部分箇所について説明する。
【0035】
測距装置421の一部を構成する測距地板部材413の底面には凸球面部413aが形成されている。一方、ファインダー装置421を構成するファインダー地板部材422の測距装置421を収容する部分には凸球面部422aが形成されている。このファインダー地板部材422の凹球面部422aに、測距地板部材413の凸球面部413aが当接するように測距装置421を装着する。この結果、測距装置421とファインダー装置421とは、凸球面部413aと凹球面部422aとが互いに当接することによりX方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、凸球面部413aと凹球面部422aの中心Cを中心としてX軸Y軸Z軸回りに回転可能な状態となる。
【0036】
さらに、測距地板部材413の両側面には、底面に水平面を有する受け部413bが形成されている。一方、ファインダー地板部材422の測距装置411を収容する部分の左右内壁面には、上面に面して頂点を有する角部422bが設けられている。この角部422bの頂点は、凹球面部422aの球R中心とY方向位置およびZ方向位置が一致するような位置、すなわち図2(D)において、凹球面部422aの球R中心と角部422bの頂点とが一致するような位置に設けられている。測距地板部材413の受け部413bの水平面は、先述のようにファインダー装置421に測距装置421を装着したとき、ファインダー部材422の角部422bの頂点と接するか近接するような高さに形成されている。この結果、ファインダー装置421に対して測距装置421をZ軸回りに回転させようとしても、受け部413bと角部422bとが干渉してZ軸回りの回転を規制された状態となる。先に説明したように、凹球面部422aの球R中心と角部422bの頂点とはY方向位置およびZ方向位置が一致しているのでX軸およびY軸回りの回転は規制されない。
【0037】
従って、ファインダー装置421に対して測距装置421を装着した際、X方向Y方向Z方向が正しく位置決めされる一方、回転に関してはAFパラ調整に必要なX軸およびY軸回りには回転可能でAFパラ調整には不必要なZ軸回りの回転は不可能な構造を実現できる。このとき互いの凹球面部422aと凸球面部413aとが当接した状態で回転するので、ファインダー装置421に対して測距装置421が転がり運動をすることはなく、AFパラ調整時の回転中心が明確に決まることは言うまでも無い。このことは、AFパラ調整時の周囲との干渉防止には必要最小限の空間を確保すればよいためカメラの小型化につながり、AFパラ調整の作業性がよく、X軸回りにも正しく回転運動をするのでAFパラ調整工具が簡素なものでよく、その上測距装置に無理な力が加わることもないのでAFパラ調整精度が高精度に行え、測距装置がZ軸回りには傾かないためやはりAFパラ調整工具が簡素なものでよく、カメラの小型化にもつながる、という多くの優れた効果につながるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施例
【図2】第2の実施例
【図3】第3の実施例
【図4】第4の実施例
【図5】第1の従来例
【図6】第2の従来例
【符号の説明】
【0039】
111、211、311 測距装置
112、212、312 結像レンズ
113、213、313 測距地板部材
114、214、314 測距センサー
115、215、315 フレキシブルプリント配線板
121、221、321 ファインダー装置
122、222、322 ファインダー地板部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結像レンズと測距地板と測距センサーからなる測距装置を、少なくともファインダー光学系とファインダー地板からなるファインダー装置に取り付ける際の、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造において、測距装置は、凹球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に下方に臨んで有し、凹球面部の球R中心と角状の凸部先端とは、高さ及び前後位置がほぼ一致しており、ファインダー装置は、測距装置収容部に凸球面部とその左右に受け部を共に上方に臨んで有し、凸球面部の球R径は前記凹球面部の球R径とほぼ同一であり、受け部の上面の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凹球面部と凸球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記角状の凸部先端が接するか近接する高さであることを特徴とする、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造。
【請求項2】
少なくとも結像レンズと測距地板と測距センサーからなる測距装置を、少なくともファインダー光学系とファインダー地板からなるファインダー装置に取り付ける際の、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造において、測距装置は、凹球面部とその左右に受け部を共に下方に臨んで有し、凹球面部の球R中心と受け部の下面はほぼ同一の高さにあり、ファインダー装置は、測距装置収容部に凸球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に上方に臨んで有し、凸球面部の球R径は前記凹球面部の球R径とほぼ同一であり、凸球面部の球R中心と角状の凸部先端は前後位置がほぼ一致しており、角状の凸部先端の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凹球面部と凸球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記受け面に接するか近接する高さであることを特徴とする、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造。
【請求項3】
少なくとも結像レンズと測距地板と測距センサーからなる測距装置を、少なくともファインダー光学系とファインダー地板からなるファインダー装置に取り付ける際の、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造において、測距装置は、凸球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に下方に臨んで有し、凸球面部の球R中心と角状の凸部先端とは、高さ及び前後位置がほぼ一致しており、ファインダー装置は、測距装置収容部に凹球面部とその左右に受け部を共に上方に臨んで有し、凹球面部の球R径は前記凸球面部の球R径とほぼ同一であり、受け部の上面の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凸球面部と凹球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記角状の凸部先端が接するか近接する高さであることを特徴とする、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造。
【請求項4】
少なくとも結像レンズと測距地板と測距センサーからなる測距装置を、少なくともファインダー光学系とファインダー地板からなるファインダー装置に取り付ける際の、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造において、測距装置は、凸球面部とその左右に受け部を共に下方に臨んで有し、凸球面部の球R中心と受け部の下面はほぼ同一の高さにあり、ファインダー装置は、測距装置収容部に凹球面部とその左右に先端が角状の凸部を共に上方に臨んで有し、凹球面部の球R径は前記凸球面部の球R径とほぼ同一であり、凹球面部の球R中心と角状の凸部先端は前後位置がほぼ一致しており、角状の凸部先端の高さは、測距装置がファインダー装置にそれぞれの凸球面部と凹球面部とが互いに当接する状態かつ測距装置自身が水平な状態で装着されたときに、前記受け面に接するか近接する高さであることを特徴とする、ファインダー装置に対する測距装置の光軸調整構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−171198(P2006−171198A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361444(P2004−361444)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】