説明

ファクシミリ装置、ファクシミリ送信方法、及びプログラム

【課題】 ファクシミリ装置において、宛先番号の入力誤りを防止する。
【解決手段】 過去に行なった文書送信動作の、宛先番号と、送信相手先を示す相手先情報と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成してHDD28に記憶させる履歴情報生成手段202と、宛先番号が入力されたときに、入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴がHDD28に記憶されていることを条件として、当該送信履歴に含まれている相手先情報及び送信結果情報を表示する履歴表示手段204と、前記入力された宛先番号を用いた処理の実行の指示を取得する指示取得手段206と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置、ファクシミリ送信方法、及びプログラムに関し、特に、宛先番号の入力誤りを防止することのできるファクシミリ装置、ファクシミリ送信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置では、文書の原稿画像の画像データを送信する動作(以下、「文書送信動作」という)を行う際の、宛先番号(いわゆるファックス番号)の入力を容易にするため、送信頻度の高い送信相手先について、当該送信相手先の名称等と宛先番号とを含む登録情報を、予め記憶手段に記憶させておくことのできるファクシミリ装置が知られている。
【0003】
このようなファクシミリ装置では、例えば、送信する文書を画像読取部にセットすると、予め記憶された相手先名称が、タッチパネルを備えた液晶表示部に表示され、ユーザがタッチパネルにより所望の相手先名称を選択すると、選択された相手先の宛先番号に当該文書の画像データが送信される。
【0004】
上記のファクシミリ装置は、原稿送信の際に相手先の宛先番号をいちいち入力する必要がなく便宜であるが、誤った宛先番号が登録されている場合には、原稿画像の画像データが、ファクシミリ装置の接続されていない一般の電話番号へ送信される等、誤送信を発生させることとなり不都合である。
【0005】
このような誤送信を防止するファクシミリ装置として、従来、文書様式(記入枠等)の画像と送信先の宛先番号とを対応付けて記憶手段に記憶させておき、送信する文書(送信文書)が、記憶されている文書様式を持つ場合には、入力された宛先番号が記憶されている宛先番号と一致した場合にのみ、当該入力された宛先番号へ上記送信文書の画像データを送信するファクシミリ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
上記従来のファクシミリ装置では、文書送信の際に入力された宛先番号が誤っているときは、当該宛先番号と記憶されている宛先番号とが一致しないことから、誤送信が防止される。
しかしながら、送信先の宛先番号が誤った番号で記憶されている場合には、入力された宛先番号が正しい番号であっても画像データは送信されないこととなり不都合である。
【0007】
また、宛先番号の正誤は、例えば、その宛先番号による送信結果(正常終了又は異常終了(不達))から判断することができるが、上記従来のファクシミリ装置では、入力された宛先番号と記憶されている宛先番号とが一致しない場合、いずれの宛先番号に対しても画像データは送信されないことから、送信結果に基づいてこれら宛先番号の正誤を判断することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、ファクシミリ装置において、過去の送信履歴に基づいて、宛先番号の入力誤りを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、入力された宛先番号に基づいて所定の処理を行うファクシミリ装置であって、過去に行なった文書送信動作の、宛先番号と、送信相手先を示す相手先情報と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成して記憶手段に記憶させる履歴情報生成手段と、宛先番号が入力されたときに、前記記憶手段に記憶されている前記送信履歴から、前記入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴を取得して、前記取得した送信履歴に含まれている前記相手先情報及び前記送信結果情報を表示する履歴表示手段と、前記入力された宛先番号に基づく前記処理の実行の指示を取得する指示取得手段と、を有するファクシミリ装置である。
また、本発明は、入力された宛先番号に基づいて所定の処理を行うファクシミリ装置におけるファクシミリ送信方法であって、過去に行なった文書送信動作の、宛先番号と、送信相手先を示す相手先情報と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成して記憶手段に記憶させる工程と、宛先番号が入力されたときに、前記記憶手段に記憶されている前記送信履歴から、前記入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴を取得して、前記取得した送信履歴に含まれている前記相手先情報及び前記送信結果情報を表示する工程と、前記入力された宛先番号に基づく前記処理の実行の指示を取得する工程と、を有するファクシミリ送信方法である。
また、本発明は、入力された宛先番号に基づいて所定の処理を行うファクシミリ装置のコンピュータを、過去に行なった文書送信動作の、宛先番号と、送信相手先を示す相手先情報と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成して記憶手段に記憶させる履歴情報生成手段と、宛先番号が入力されたときに、前記記憶手段に記憶されている前記送信履歴から、前記入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴を取得して、前記取得した送信履歴に含まれている前記相手先情報及び前記送信結果情報を表示する履歴表示手段と、前記入力された宛先番号に基づく前記処理の実行の指示を取得する指示取得手段、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ファクシミリ装置における、宛先番号の入力誤りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本ファクシミリ装置における、送信宛先履歴情報テーブルの一例を示す図である。
【図3】本ファクシミリ装置の動作手順を示すフロー図である。
【図4】本ファクシミリ装置における、文書送信処理の手順を示すフロー図である。
【図5】本ファクシミリ装置における、宛先番号確認処理の手順を示すフロー図である。
【図6】本ファクシミリ装置における、送信処理の手順を示すフロー図である。
【図7】本ファクシミリ装置における、番号登録処理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態に係るファクシミリ装置は、ユーザが宛先番号を入力したときに、当該宛先番号と同じ宛先番号により行なわれた過去の文書送信動作の履歴(送信履歴)を参照し、当該送信履歴に含まれている相手先情報(相手先名称等)及びその送信結果を示す送信結果情報(正常終了や不達など)を表示して、ユーザに対し当該宛先番号についての正誤の判断機会を与え、当該宛先番号を用いた処理の続行又はキャンセルについての、ユーザからの指示入力を待って、文書画像データの送信処理等を行うものである。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
本ファクシミリ装置1は、送信する文書(送信文書)の原稿画像を読み取る画像読取部10と、公衆回線に接続され、送信文書の画像データを送信する通信部12と、ユーザに対し各種の情報を表示する表示部であり、かつ、上記送信文書の宛先番号を入力する操作部でもある、タッチパネル等で構成される操作表示部14と、操作表示部14とCPU20(後述)との間でデータのやりとりを行なうためのパネルI/F(Interface:インタフェース)16と、LAN(Local Area Network)等のネットワーク40を介して他のデータ処理装置と通信するためのネットワークI/F18と、を有している。
【0014】
ここで、ネットワーク40に接続されるデータ処理装置としては、例えば、ファクシミリ装置1に対し画像データを送信したりファックス送信要求を送信するクライアントPC(Personal Computer)42や、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能等を備えた複合機(MFP:Multifunction Printer)44がある。
【0015】
また、ファクシミリ装置1は、各種の設定情報を記憶する不揮発メモリであるNVRAM(Non-volatile Random Access Memory)26と、文書送信動作の送信履歴を記録した送信宛先履歴情報テーブル等を記憶し保存するHDD(Hard Disk Drive:固定ディスク装置)28と、外部装置であるUSB(Universal Serial Bus)デバイス34(例えばUSBメモリ等)とのインタフェースであるUSB I/F32と、ファクシミリ装置1に対する各種設定等を行なうためのホストコンピュータを接続するホストI/F30を有している。
【0016】
さらに、ファクシミリ装置1は、CPU(Central Processing Unit)20とROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)24からなるコンピュータを有している。
【0017】
また、ファクシミリ装置1は、CPU20がプログラムを実行することによって実現する機能実現手段として、履歴情報生成手段202と、履歴表示手段204と、指示取得手段206と、画像抽出手段208と、文字情報抽出手段210と、送信制御手段212と、番号登録手段214と、問合せ応答手段216と、を有している。
【0018】
履歴情報生成手段202は、文書送信動作を行なったときに、当該文書送信動作に係る宛先番号と、送信相手を示す相手先情報(例えば送信相手の名称)と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成し、生成した送信履歴をHDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルに記録する。
【0019】
図2は、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルの一例を示す図である。この送信宛先履歴情報テーブルは、最上行のタイトル行を除く行毎に、文書送信動作ごとの送信履歴が記録されている。そして、各送信履歴には、左から1列目に宛先番号である「送信先番号」が、2列目及び3列目に相手先情報である「送信先名称」と「送信先画像」が、4列目に送信結果を示す「送信結果情報」が記録されている。
【0020】
ここで、「送信先画像」の列には、後述する画像抽出手段208が送信文書の先頭ページから抽出しHDD28に記憶した部分画像の、画像ファイル名が記録される。また、「送信結果情報」の欄に記載されている「送信未完了」とは、送信相手先からの受信完了信号が受信できず、送信動作が異常終了したこと(例えば画像データが不達となったこと)を意味する。
【0021】
履歴表示手段204は、操作表示部14から宛先番号が入力されたときに、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルを参照し、参照した送信宛先履歴情報テーブルに、上記入力された宛先番号と同じ宛先番号を含む送信履歴が記録されているか否かを判断し、記録されているときは、その送信履歴に含まれている相手先情報(送信先名称等)と送信結果情報とを取得して、操作表示部14に表示する。
【0022】
また、履歴表示手段204は、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルの中に、上記入力された宛先番号と同じ宛先番号を含む送信履歴が記録されていないときは、ネットワーク40を介して接続された他のファクシミリ装置1(不図示)に送信履歴検索要求を送信し、上記入力された宛先番号と同じ宛先番号を含む送信履歴があるか否かを問合せ、当該送信履歴があればこれを取得して、その送信履歴の内容を表示する。
【0023】
指示取得手段206は、履歴表示手段204が上記送信履歴を表示した後に、ユーザに対し、入力した宛先番号が正しいか否かの判断を求める確認メッセージを操作表示部14に表示して、上記入力された宛先番号を用いた処理の実行又はキャンセルについてのユーザ指示を、操作表示部14により取得する。
【0024】
送信制御手段212は、後述する文書送信処理(図4)において、指示取得手段206により取得されたユーザ指示(処理の実行又はキャンセル)に従い、送信文書の原稿画像データの送信処理を、実行又はキャンセルする。
【0025】
番号登録手段214は、後述する番号登録処理(図7)において、指示取得手段206により取得されたユーザ指示(処理の実行又はキャンセル)に従い、入力された宛先番号と相手先情報とで構成される番号登録情報をHDD28に記憶させる処理(登録処理)を、実行又はキャンセルする。
【0026】
画像抽出手段208は、送信文書の先頭ページの画像から、送信相手先を特定する情報を含む所定部分の部分画像、例えば送信相手先の名称が記載された部分を含む部分画像を抽出し、抽出した部分画像をHDD28に記憶させる。なお、当該部分画像の記憶後に、履歴情報生成手段202は、HDD28に記憶された上記部分画像のファイル名を、送信宛先履歴情報テーブル(図2)の、当該文書送信動作についての送信履歴の行における、「送信先画像」の列に記録する。
【0027】
ここで、上記「送信相手先を特定する情報を含む所定部分」は、例えば、先頭ページである送り状の、送信相手先の名称が記載された所定位置を含む部分とすることができる。
【0028】
文字情報抽出手段210は、履歴情報生成手段202が送信履歴を作成するときに、送信文書の先頭ページの画像について文字認識(OCR:Optical Character Recognition)を実行し、文字認識により得られたテキストから、送信相手先を特定する情報、例えば名称を抽出する。なお、当該名称の抽出後に、履歴情報生成手段202は、抽出された送信相手先の名称を、送信宛先履歴情報テーブル(図2)の、当該文書送信動作についての送信履歴の行における「送信先名称」の列に記録する。
【0029】
ここで、図2に示す送信宛先履歴情報テーブルの記録内容のうち、相手先情報である「送信先名称」と「送信先画像」(画像ファイル名)とは、そのいずれかが記録されていれば送信先を特定することができる。したがって、送信履歴の作成に際しては、「送信先名称」又は「送信先画像」のいずれかの情報を含めればよい。
【0030】
このため、本実施形態では、文字情報抽出手段210によりOCRを実施するか否かを示す情報を、設定情報として予めNVRAM26に記憶させておき、後述する送信処理(図6)において送信履歴を作成する際に、NVRAM26が記憶する上記設定情報を参照し、OCRを実施して「送信先名称」を記録するか、又はOCRを実施せず「送信先画像」を記録するかを決定するものとしている。
【0031】
問合せ応答手段216は、ネットワーク40を介して接続された他のファクシミリ装置1から、送信履歴検索要求を受信したときに、当該送信履歴問合せ要求に含まれる宛先番号と同じ宛先番号についての送信履歴が、HDD28の記憶する送信宛先履歴情報テーブルに記録されているか否かを判断し、その判断結果を示す情報を、当該送信履歴検索要求の送信元である他のファクシミリ装置1に送信すると共に、当該送信履歴が記録されているときはその送信履歴を、上記他のファクシミリ装置1に送信する。
【0032】
上記の構成を備えるファクシミリ装置1は、ユーザが電源を投入し、送信文書を画像読取部10にセットして宛先番号を入力すると、履歴表示手段204が、HDD28の記憶する送信宛先履歴情報テーブルの中に、入力された宛先番号と同じ宛先番号を含む送信履歴があるか否かを判断し、当該送信履歴があれば、その送信履歴に含まれている相手先情報(送信先名称又は送信先画像)と送信結果情報を、操作表示部14に表示する。
【0033】
このとき、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルの中に上記送信履歴が含まれていない場合には、履歴表示手段204は、ネットワーク40に接続されている他のファクシミリ装置1があれば、当該他のファクシミリ装置1に、上記入力された宛先番号と同じ宛先番号を含む送信履歴があるか否かを問合せ、当該送信履歴があればこれを取得して、その送信履歴に含まれている相手先情報と送信結果情報を、操作表示部14に表示する。
【0034】
この表示によりユーザは、表示された相手先情報から、入力した宛先番号が、ユーザの意図する送信相手先の宛先番号であるか否かを確認すると共に、表示された送信結果情報から、当該宛先番号により正常に送信処理を行うことができるか否かを確認して、上記入力した宛先番号が正しい番号であるか否かを判断することができる。これにより、ファクシミリ装置1は、過去の送信履歴に基づいて、ユーザが宛先番号の入力誤りを把握できるようにして、宛先番号の入力誤りを防止することができる。
【0035】
なお、ファクシミリ装置1は、ユーザによる上記判断の結果として、送信処理等の実行又はキャンセルについてのユーザ指示を操作表示部14から取得し、当該指示に基づいて送信処理等を実行又はキャンセルする。
【0036】
次に、ファクシミリ装置1の動作手順について、図3に示すフロー図にしたがって説明する。
ファクシミリ装置1は、ユーザが電源を投入すると(S101)、操作表示部14からの動作指示の入力を待機する。ここでユーザは、動作指示として、例えば「文書の送信」又は「番号登録」を、操作表示部14に入力することができる。
【0037】
次に、操作表示部14に動作指示が入力されたことを確認し(S102)、入力された動作指示が「文書の送信」か否かを判断する(S103)。そして、動作指示が「文書の送信」であるときは(S103、Yes)、文書送信処理を実行した後(S104)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。
【0038】
一方、動作指示が「文書の送信」でないとき、すなわち、「番号登録」であるときは(S103、No)、番号登録処理を実行した後(S105)、ステップS102に戻って処理を繰り返す。
なお、本処理は、ユーザがファクシミリ装置1の電源を断にすることにより処理を終了する。
【0039】
次に、文書送信処理(図3のステップS104)の手順について、図4に示すフロー図にしたがって説明する。
処理を開始すると、ファクシミリ装置1は、宛先番号の入力方法を選択するための番号入力選択画面を表示する(S201)。この表示に対し、ユーザは、HDD28に記憶された登録情報に登録された宛先番号を選択する「番号選択」、又は、宛先番号を直接入力する「直接入力」のいずれかを入力することができる。
【0040】
次に、ファクシミリ装置1は、「直接入力」が入力されたか否かを判断し(S202)、「直接入力」が入力されたときは(S202、Yes)、宛先番号を入力するための宛先番号入力画面を操作表示部14に表示する(S203)。そして、操作表示部14に送信相手先の宛先番号が入力されたことを確認した後(S204)、宛先番号確認処理を実行する(S205)。
【0041】
この宛先番号確認処理では、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルの中、又は、ネットワーク40を介して接続された他のファクシミリ装置1のHDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルの中に、入力された宛先番号と同じ宛先番号についての送信履歴が記録又は記憶されているか否かを判断する。そして、当該送信履歴がないときは、処理結果を「履歴なし」として処理を終了する。一方、当該送信履歴があるときは、当該送信履歴の内容を操作表示部14に表示する。
【0042】
また、ユーザは、この表示に基づいて、入力された宛先番号が正しいか否かについて判断し、その判断結果として、正しいときは「実行」、誤りであるときは「キャンセル」のいずれかの動作指示を、操作表示部14に入力する。そして、処理結果を、上記「実行」又は「キャンセル」として処理を終了する。これらの処理結果(「履歴なし」、「実行」、又は「キャンセル」)は、例えばNVRAM26に記憶される。なお、宛先番号確認処理の手順については、後述する。
【0043】
次に、送信制御手段212は、NVRAM26に記憶された上記処理結果を参照し、処理結果が「実行」又は「履歴なし」であるか否かを判断する(S206)。そして、処理結果が「実行」又は「履歴なし」であるときは(S206、Yes)、画像読取部10に文書原稿がセットされていることを確認した後(S207)、送信処理を実行して(S208)、処理を終了する。
【0044】
この送信処理では、文書原稿の先頭ページの画像から送信相手先の名称等の情報(相手先情報)を取得した後、当該文書原稿の全画像を送信すると共に、宛先番号、相手先情報、送信結果を含む送信履歴を、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルに記録する。なお、送信処理の手順については後述する。
【0045】
一方、宛先番号確認処理の処理結果が「実行」又は「履歴なし」でないとき、すなわち「キャンセル」であるときは(S206、No)、送信処理を行なわずに処理を終了する。
【0046】
また一方、ステップS202において「直接入力」が入力されなかったとき、すなわち「番号選択」が入力されたときは(S202、No)、HDD28に登録されている宛先番号を、その相手先情報と共に操作表示部14に表示する(S209)。
【0047】
この表示に対しユーザは、表示された宛先番号の中から、所望の宛先番号を選択する。この選択は、例えば、タッチパネルである操作表示部14に表示された所望の宛先番号を、押下することにより行うことができる。
【0048】
次に、送信制御手段212は、宛先番号が選択されたことを確認し(S210)、選択された宛先番号を、入力された宛先番号として、ステップS208に処理を移し、当該宛先番号へ文書を送信する。
【0049】
次に、宛先番号確認処理(図4のステップS205)の手順について、図5に示すフロー図にしたがって説明する。
処理を開始すると、履歴表示手段204は、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルを参照し(S301)、当該送信宛先履歴情報テーブルに、入力された宛先番号と同じ宛先番号についての送信履歴があるか否かを判断し(S302)、当該送信履歴があるときは(S302、Yes)、当該送信履歴に含まれている相手先情報と送信結果情報とを操作表示部14に表示すると共に、指示取得手段206が、入力された宛先番号を用いて処理を継続してよいか否かの確認メッセージを表示する(S303)。
【0050】
これに対しユーザは、表示された送信履歴情報の内容に基づいて、入力した宛先番号が正しいか否かを判断し、正しいときは処理の継続を指示する「実行」を、誤っているときは処理の中止を指示する「キャンセル」を、判断結果として操作表示部14に入力することができる。例えば、ユーザは、相手先情報の示す相手先が、意図する相手先と一致し、かつ、送信結果が「送信正常完了」であったときに、入力した宛先番号を正しい番号と判断し、操作表示部14に「実行」を入力することができる。
【0051】
次に、指示取得手段206は、判断結果が入力されたことを確認し(S304)、入力された判断結果(「実行」又は「キャンセル」)を確認処理結果として(S305)、処理を終了する。この確認処理結果は、例えばNVRAM26に記憶して、次の処理に受け渡すことができる。
【0052】
一方、ステップS302において、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルの中に、入力された宛先番号と同じ宛先番号についての送信履歴がないときは(S302、No)、履歴表示手段204は、ネットワークI/F18を介して、ネットワーク40に接続されている他のファクシミリ装置1に対し送信履歴検索要求を送信し、上記入力された宛先番号と同じ宛先番号についての送信履歴が記憶されているか否かを問い合わせ(S306)、当該送信履歴検索要求に対する他のファクシミリ装置1からの応答を受信して、当該入力された宛先番号と同じ宛先番号についての送信履歴があるか否かを判断する(S307)。
【0053】
そして、当該送信履歴があるときは(S307、Yes)、他のファクシミリ装置1から当該送信履歴を受信した後(S308)、ステップS303に処理を移す。
一方、入力された宛先番号と同じ宛先番号についての送信履歴がないときは(S307、No)、確認処理結果を「履歴なし」として(S309)、処理を終了する。この確認処理結果は、上述したように、例えばNVRAM26に記憶して次の処理に受け渡すことができる。
【0054】
次に、送信処理(図4のステップS208)の手順について、図6に示すフロー図にしたがって説明する。
処理を開始すると、送信制御手段212は、画像読取部10により送信文書の原稿画像を読み取った後(S401)、NVRAM26に記憶されている設定情報を参照して、OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)を実施するか否かを判断する(S402)。
【0055】
そして、OCRを実施するときは(S402、Yes)、文字情報抽出手段210により、送信文書の先頭ページについてOCRを実行し(S403)、OCRにより取得されたテキストから、送信相手先を示すキーワード、例えば「送信先」や「会社名」などのキーワードを手がかりとして、送信先名称や会社名等を抽出する(S404)。次に、履歴情報生成手段202は、上記入力された宛先番号と、上記抽出された送信先名称等を含む相手先情報とを、現在の送信処理についての送信履歴として、HDD28が記憶する送信宛先履歴情報テーブルに、記録する(S405)。
【0056】
続いて、送信制御手段212は、読み取った文書原稿の画像を、入力された宛先番号へ送信し(S406)、履歴情報生成手段202は、当該送信の結果を示す送信結果情報を上記送信履歴に記録して(S407)、処理を終了する。
【0057】
一方、OCRを実施しないときは(S402、No)、画像抽出手段208が、送信文書の最初の原稿ページ(先頭ページ)の画像から、送信相手先を特定する情報(例えば、相手先名称)が表示されている所定部分の部分画像を抽出し(S408)、抽出した部分画像を画像データファイルとしてHDD28に記憶する(S409)。次に、履歴情報生成手段202は、入力された宛先番号と、HDD28に記憶された上記部分画像のファイル名を含む相手先情報とを、送信宛先履歴情報テーブルに記録した後(S410)、ステップS406に処理を移す。
【0058】
次に、番号登録処理(図3のステップS105)の手順について、図7に示すフロー図にしたがって説明する。
処理を開始すると、ファクシミリ装置1は、宛先番号を入力するための宛先番号入力画面を操作表示部14に表示する(S501)。そして、操作表示部14に送信相手先の宛先番号が入力されたことを確認した後(S502)、宛先番号確認処理を実行する(S503)。
【0059】
次に、番号登録手段214は、処理結果が「実行」又は「履歴なし」であるか否かを判断し(S504)、処理結果が「実行」又は「履歴なし」であるときは(S504、Yes)、相手先を示す情報を入力するための画面、例えば送信先名称を入力するための名称入力画面を、操作表示部14に表示する(S505)。
【0060】
続いて、番号登録手段214は、送信先名称が入力されたことを確認した後(S506)、入力された宛先番号と送信先名称とを含む登録情報を生成して、HDD28に記憶した後(S507)、処理を終了する。
【0061】
一方、宛先番号確認処理の処理結果が「実行」又は「履歴なし」でないとき、すなわち「キャンセル」であるときは(S504、No)、登録情報を生成することなく、処理を終了する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、宛先番号が入力されたときに、HDD28に記憶されている送信宛先履歴情報テーブルの中、又は、ネットワーク40に接続された他のファクシミリ装置1のHDD28に記憶されている送信宛先履歴情報テーブルの中に、上記入力された宛先番号と同じ宛先番号を用いた過去の送信履歴があるか否かを判断する。そして、当該送信履歴があるときは、当該送信履歴に含まれている相手先名称等の相手先情報と送信結果情報とを表示し、当該宛先番号を用いた処理の続行又はキャンセルについての、ユーザからの指示入力に従って、文書画像データの送信処理等を行う。
【0063】
これにより、ファクシミリ装置1は、過去の送信履歴に基づいて、ユーザが宛先番号の入力誤りを把握できるようにし、宛先番号の入力誤りを防止することができる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・ファクシミリ装置、10・・・画像読取部、12・・・通信部、14・・・操作表示部、16・・・パネルI/F、18・・・ネットワークI/F、20・・・CPU、22・・・ROM、24・・・RAM、26・・・NVRAM、28・・・HDD、30・・・ホストI/F、32・・・USB I/F、202・・・履歴情報生成手段、204・・・履歴表示手段、206・・・指示取得手段、208・・・画像抽出手段、210・・・文字情報抽出手段、212・・・送信制御手段、214・・・番号登録手段、216・・・問合せ応答手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2002−344715号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された宛先番号に基づいて所定の処理を行うファクシミリ装置であって、
過去に行なった文書送信動作の、宛先番号と、送信相手先を示す相手先情報と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成して記憶手段に記憶させる履歴情報生成手段と、
宛先番号が入力されたときに、前記記憶手段に記憶されている前記送信履歴から、前記入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴を取得して、前記取得した送信履歴に含まれている前記相手先情報及び前記送信結果情報を表示する履歴表示手段と、
前記入力された宛先番号に基づく前記処理の実行の指示を取得する指示取得手段と、
を有するファクシミリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたファクシミリ装置において、
前記文書送信動作の際に、送信する文書の原稿画像から、前記送信相手先を特定する情報を含む所定部分の部分画像を抽出する画像抽出手段を有し、
前記送信履歴に含まれる相手先情報は、前記部分画像又は当該部分画像を示す情報で構成されているファクシミリ装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたファクシミリ装置において、
前記文書送信動作の際に、前記文書の原稿画像に含まれた文字を抽出して、前記送信相手先を特定する文字情報を抽出する文字情報抽出手段を有し、
前記送信履歴情報に含まれる相手先情報は、前記文字情報を含むファクシミリ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたファクシミリ装置において、
前記記憶手段が記憶する前記送信履歴の検索要求を受信し、前記検索要求に含まれた宛先番号についての前記送信履歴が前記記憶手段に記憶されているときは、前記宛先番号についての前記送信履歴を送信する問合せ応答手段を有し、
前記履歴表示手段は、宛先番号が入力されたときに、前記入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴が前記記憶手段に記憶されていないときは、前記検索要求を送信し、受信した前記送信履歴に含まれている前記相手先情報及び前記送信結果情報を表示するファクシミリ装置。
【請求項5】
入力された宛先番号に基づいて所定の処理を行うファクシミリ装置におけるファクシミリ送信方法であって、
過去に行なった文書送信動作の、宛先番号と、送信相手先を示す相手先情報と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成して記憶手段に記憶させる工程と、
宛先番号が入力されたときに、前記記憶手段に記憶されている前記送信履歴から、前記入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴を取得して、前記取得した送信履歴に含まれている前記相手先情報及び前記送信結果情報を表示する工程と、
前記入力された宛先番号に基づく前記処理の実行の指示を取得する工程と、
を有するファクシミリ送信方法。
【請求項6】
入力された宛先番号に基づいて所定の処理を行うファクシミリ装置のコンピュータを、
過去に行なった文書送信動作の、宛先番号と、送信相手先を示す相手先情報と、送信結果を示す送信結果情報とを含む送信履歴を生成して記憶手段に記憶させる履歴情報生成手段と、
宛先番号が入力されたときに、前記記憶手段に記憶されている前記送信履歴から、前記入力された宛先番号と同じ宛先番号に係る送信履歴を取得して、前記取得した送信履歴に含まれている前記相手先情報及び前記送信結果情報を表示する履歴表示手段と、
前記入力された宛先番号に基づく前記処理の実行の指示を取得する指示取得手段、
として機能させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−231400(P2012−231400A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99711(P2011−99711)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】