説明

ファクシミリ装置

【課題】呼制御プロトコルを利用して原稿の画像データを送受信するファクシミリ装置において、原稿の画像データを送信するとともに、受信側のユーザを電話口まで呼び出すことなく、音声によりメッセージを伝えることができるファクシミリ装置を提供すること。
【解決手段】SIPにより確立したメディアセッションで画像データを受信する画像データ受信手段と、SIPメソッドによりテキストデータを受信するテキストデータ受信手段と、該手段により受信したテキストデータを音声データに変換して音声出力する手段と、を備えるファクシミリ装置30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIP(Session Initiation Protocol)等の呼制御プロトコルを利用して、画像データ及びテキストデータの送受信を行うファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IP電話通信、電子メール通信など、IP網を通じて種々のデータ通信を行う通信装置が普及しており、音声データと画像データの両方についてデータ通信を行うファクシミリ装置も提案されている。例えば、特許文献1に開示されているように、IP電話通信機能とITU−T勧告T.38に準拠したIPファクシミリ通信機能を備え、IP電話通信とIPファクシミリ通信による送受信を同時に行うことができるファクシミリ装置がある。
【特許文献1】特開2002−101256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に係るファクシミリ装置では、画像データと音声データの両方について同時にデータ通信を行うことができるため、原稿送信者は、原稿の画像データを相手先へ送信しながら、音声通話によりその原稿についてのコメント等を受信者に伝えることができる。しかし、そのためには、電話を掛けて相手を電話口(ファクシミリ装置のハンドセット)まで呼び出さなければならず、相手が何時も忙しくしており、伝えるべきコメントの内容が些細な場合は、コメントを控えざるを得ない場合がある。簡単なコメントであれば、それを用紙に記載して原稿とともに画像データとして送信することも可能であるが、そうすると、送信側と受信側で各1枚の用紙を余分に消費しなければならならない。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、呼制御プロトコルを利用して原稿の画像データを送受信するファクシミリ装置において、原稿の画像データを送信するとともに、受信側のユーザを電話口まで呼び出すことなく、音声によりメッセージを伝えることができるファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のファクシミリ装置は、呼制御プロトコルにより確立したメディアセッションで画像データを受信する画像データ受信手段と、前記呼制御プロトコルのメソッドによりテキストデータを受信するテキストデータ受信手段と、該手段により受信したテキストデータを音声データに変換して音声出力する手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載のファクシミリ装置は、呼制御プロトコルにより確立したメディアセッションで画像データを受信する画像データ受信手段と、前記呼制御プロトコルのメソッドによりテキストデータを受信するテキストデータ受信手段と、複数の音声データを記憶する音声データ記憶手段と、受信したデータの種類に従って前記音声データ記憶手段が記憶している複数の音声データの中から何れかを選択し、選択した音声データを音声出力する手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のファクシミリ装置によれば、送信者が指定したテキストデータの内容が受信側において音声により読み上げられるため、受信側のユーザは、ファクシミリ装置の電話口(ハンドセット)まで足を運ぶことなく、送信者のコメント等を音声により確認することができる。また、電子メールの本文にテキストデータを記載して送信するインターネットファクシミリ装置などでは、原稿の画像データとテキストデータが1つの纏まったファイルとして送受信されるため、原稿の画像データの受信とテキストデータの受信を別個独立して行うことができなかったが、本発明によればそれが可能であり、種々の利点が生じる。例えば、本ファクシミリ装置によれば、送信側から「今から原稿100頁送信しますので、用紙を補充しておいて下さい。」等を内容とするテキストデータを原稿画像データの受信に先立って受信した場合には、その旨が受信側ファクシミリ装置において音声により報知されるので、受信側ファクシミリ装置のユーザは、用紙を補充して多数頁の原稿の受信にあらかじめ備えることができる。
【0008】
請求項2記載のファクシミリ装置によれば、受信側ユーザは、受信したデータの種類、例えば画像データを受信したのか、テキストデータを受信したのか、或いはその両方を受信したのか、を音声により確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の第1の実施の形態に係るファクシミリ装置として、呼制御プロトコルを利用して原稿の画像データを送信するIPファクシミリ通信機能、G3ファクシミリ通信機能、クライアント装置からの要求に応じて前記各種のファクシミリ通信を行うファクシミリサーバ機能等を備える複合機型のファクシミリ装置を例に挙げて説明する。
【0010】
図1にファクシミリ装置1の構成例を示す。すなわち、ファクシミリ装置1は、CPU(中央処理装置)2、ROM(リードオンリーメモリー)3、RAM(ランダムアクセスメモリー)4、画像メモリ5、モデム6、NCU7、コーデック8、読取部9、記録部10、表示部11、操作部12、LANインタフェース13を備え、各部2乃至13はバス14によって接続されている。
【0011】
CPU2は、ROM3に格納された制御プログラムに従って、このファクシミリ装置1を構成する各部を制御する制御手段として機能する。RAM4は、CPU2の主メモリ、ワークエリア等として機能する。また、RAM4には、短縮番号やワンタッチキーに対応付けられた宛先ファクシミリ番号、宛先IP電話番号等を格納する電話帳4aが記憶されている。さらに、宛先IP電話番号(宛先情報)や送信する原稿の種別(送信する画像データの種別)と対応付けてテキストデータが登録されている。例えば、図2に示すように、宛先IP電話番号ごとにテキストデータを登録(記憶)する第1テーブル4b、図3に示すように、送信する原稿の種別ごとにテキストデータを登録(記憶)する第2テーブル4cがRAM4に形成されている。なお、テーブル4b、4cの「テキストデータ」欄に示す「メッセージA」、「メッセージB」等は、ユーザが任意に登録したテキストデータを意味する。
【0012】
画像メモリ5は、コーデック8によって圧縮符号化された画像データ等を記憶する。モデム6は、例えばITU−T(国際電気通信連合)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行う。NCU7は、PSTN(公衆交換電話網)15との回線の閉結及び開放の動作を行う回線網制御装置であり、G3ファクシミリ送受信時にモデム6をPSTN15と接続する。コーデック8は、ファクシミリ送信等に際して、画像データを、JPEG方式又はMH、MR、MMR方式等により圧縮符号化し、また、受信した画像データ等を復号する。
【0013】
読取部9は、原稿の画像データを読取るものであり、例えば、CCDカラーラインセンサ、A/Dコンバータ、画像処理回路等で構成される。記録部10は、給紙カセットから記録紙を取り出して、受信画像データ、読取画像データ等を記録紙上に記録する。表示部11は、例えば操作部12に並設されたLCD(Liquid Crystal Display)からなり、各種の画面情報を表示する。操作部12は、スタートキー、文字入力キー、ファンクションキーなど各種の操作キーを具備し、ユーザによる各種の操作は、この操作部7において行われる。
【0014】
LANインタフェース13は、ファクシミリ装置1とLAN(ローカルエリアネットワーク)16とを接続するインターフェースであり、これを通じてファクシミリ装置1は、同じくLAN16に接続されたクライアントPC、ルータ19等と通信を行う。更にはルータ19を通じてIP網17上の自装置1と同様のファクシミリ装置18とSIPを利用したIPファクシミリ通信を行う。
【0015】
上記構成を備えるファクシミリ装置1は、TCP/IP、SIP、RTP(Real-time Transport Protocol)、SDP(Session Description Protocol)などを実装して、SIPによりメディアセッションを確立した上で、例えばRTPにより原稿の画像データを相手先と送受信する。また、SIPメソッド「MESSAGE」を使用して相手先とテキストデータの送受信を行う機能をも備える。画像データの送受信を行うための通信プロトコルは、RTPに限定されず、これに代えてSMTP、HTTP等を採用してもよい。
【0016】
次に、上記構成及び通信機能を備えるファクシミリ装置1が自装置1と同様の構成及び通信機能を備えるファクシミリ装置とIPファクシミリ通信により画像データ及びテキストデータを送信する際の処理動作について、図4に示すシーケンス図並びに図5及び図6に示すフローチャートに基づいて、より詳細に説明する。なお、これらの図に基づいて説明するファクシミリ装置1の処理動作は、それぞれ、ROM3に格納された制御プログラムに基づいて制御手段であるCPU2が発行する命令に従って実行される。以下説明の便宜のため、発呼側となるファクシミリ装置1を送信機1A、被呼側となるファクシミリ装置1を受信機1Bと称して説明する。
【0017】
まず、IPファクシミリ通信により送信機1Aと受信機1Bの間で画像データ及びテキストデータが送受信される際の通信手順を図4のシーケンス図に基づいて説明する。送信機1Aにおいて、送信操作がなされると、送信機1Aと受信機1Bの間で、図示するようなメディアセッションを確立するための呼制御セッションが形成される。すなわち、送信機1Aは、SIPサーバ20に対し受信機1BのIP電話番号を指定した、セッション参加リクエスト「INVITE」により受信機1Bの呼出を要求する(T1)。「INVITE」を受けたSIPサーバ20は、送信機1Aから指定されたIP電話番号に対応するIPアドレスを、IP電話番号とIPアドレスの対応付け情報を持つロケーションサーバ(不図示)に問い合わせて、取得した受信機1BのIPアドレスに対して、送信機1Aから受けた「INVITE」を送出することにより呼び出しを行う。SIPサーバ20の呼出しに対して受信機1Bが応答すると、受信機1Bは、「INVITE」を受信し、SIPサーバ20に対して成功応答コード「200」を送出する(R1)。前記成功応答コード「200」を受け取った送信機1Aは、成功応答コード「200」を受け取ったことを示す情報「ACK」をSIPサーバ20を介して受信機1Bに送信する(T2)。その後、送信機1Aと受信機1Bとの間に、メディアセッションが確立され、送信機から受信機1Bへ画像データが送信される。
【0018】
ユーザにより指定されたテキストデータは(テキストデータの指定については後述する。)、メディアセッションが確立されている間、メディアセッションにおける画像データの送信処理と別個独立したタイミングでSIPメソッド「MESSAGE」によって受信機1Bへ送信される(T3)。すなわち、ユーザにより指定されたテキストデータは、画像データの送信処理と同時に、或いは、前記画像データの送信処理に前後して、SIPメソッド「MESSAGE」によって受信機1Bへ送信される。なお、SIPメソッドは、指定された任意のテキストデータを相手先へ送信することができるものであれば、これに限定されず、その他のメソッドを使用してもよい。
【0019】
受信機1Bは、送信機1Aから受信した画像データ、テキストデータに対して、それぞれ所定の処理を施す。例えば、受信画像データに対しては、印刷処理、転送処理、画面表示処理等を行い、受信テキストデータに対しては、印刷処理、画面表示処理等を行う。また、受信機1Bにおいて、予めテキストデータと特定の処理動作を対応付けて記憶しておき、受信したテキストデータをコマンドとみなして対応する処理動作を実行するようにしてもよい。
【0020】
送信機1Aから受信機1Bへの画像データ及びテキストデータの送信処理が完了すると、送信機1Aからセッションの終了を要求する「BYE」がSIPサーバ20を介して受信機1Bへ送信され(T4)、受信機1Bが、成功応答コード「200」をSIPサーバ20を介して送信機1Aへ送信した後(R3)、通信が切断される。
【0021】
次に、送信機1Aの上記処理動作について、図5及び図6に示すフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。
【0022】
送信機1Aにおいて、宛先電話番号(宛先情報)が、直接入力指定され、あるいは、短縮・ワンタッチ機能を利用して指定されると(S1)、指定された宛先電話番号からIPファクシミリ送信を行うか、G3ファクシミリ送信を行うかが判断される(S2)。該判断は、例えば電話番号の特定の桁に基づいて行われる。
【0023】
G3ファクシミリ送信を行うと判断した場合は(S2:NO)、送信開始操作(スタートキーの押下など)があった後(S3:YES)、原稿の画像データをG3ファクシミリ通信により指定された電話番号の相手先装置へ送信する(S4)。
【0024】
IPファクシミリ送信を行うと判断した場合は(S2:YES)、テキストデータを送信するか否かの指示をユーザに求めるための処理動作として、例えば「テキストデータも送信しますか?」等の問合せ表示を行うとともに、その問合せ表示に対する肯定/否定指示操作(例えばY/Nの操作部12からの入力)を受付ける。そして、肯定指示操作が行われたことによりテキストデータも送信すると判断した場合に(S5:YES)、ユーザの所定操作によりテキストデータが指定される(S6)。
【0025】
ユーザによるテキストデータの指定は、前記S1で指定されたIP電話番号に対応付けて第1テーブル4bに登録されたテキストデータからの選択、原稿の種別に対応付けて第2テーブル4cに登録されたテキストデータからの選択、又はユーザが直接文字等を入力操作することにより行われる。より具体的には、送信機1Aは、前記S5で肯定判断をした後、例えば図7に示すような、テキストデータの指定方式を選択するための画面22を表示部11に表示する(S101)。該画面22においては、「IP電話番号に対応付けて登録したテキストデータから選択する。」、「原稿種別に対応付けて登録したテキストデータから選択する。」、「直接入力する。」等の選択可能な項目が表示される。所定操作により何れかの項目が選択されると、それぞれ対応する画面23、24、25が表示部11に表示される。
【0026】
「IP電話番号に対応付けて登録したテキストデータから選択する。」と表示された項目が選択されると(S102:宛先対応)、第1テーブル4bにおいて前記S1で指定されたIP電話番号に対応付けて記憶されているテキストデータを選択可能に表示するテキストデータ選択画面23が表示部11に表示される(S103)。該画面23において表示されたテキストデータの何れかが所定操作により選択されると、その選択結果が、後にテキストデータが送信されるまで、RAM4に記憶される(S104)。
【0027】
「原稿種別に対応付けて登録したテキストデータから選択する。」と表示された項目が選択されると(S102:原稿種別対応)、第2テーブル4cに登録されている原稿種別を選択可能に表示する原稿種別選択画面24が表示部11に表示される(S105)。該画面24において表示された原稿種別の何れかが所定操作により選択されると、その選択結果が、後にテキストデータが送信されるまで、RAM4に記憶される(S106)。
【0028】
「直接入力する。」と表示された項目が選択されると(S102:直接入力)、例えば図示するようなテキストデータの入力画面25を表示部11に表示し(S107)、操作部11のキー操作等によりテキストデータが直接入力操作された場合に、その入力されたテキストデータが後に送信されるまで記憶される(S108)。
【0029】
前記S6の処理動作を実行した後又は前記S5において否定判断した後、送信開始指示操作(スタートキーの押下など)がなされると(S7)、送信機1Aは、受信機1Bとの間で前記T1、T2等の呼制御セッションを形成して、メディアセッションを確立した上で(S8)、原稿の画像データの送信処理を行う(S9)。ここで送信される原稿の画像データは、読取部9によって読取られた原稿の画像データ、クライアントPCからファクシミリ送信命令とともに受け取った画像データ、予め自装置1に蓄積された画像データ等である。
【0030】
そして、前記S5で肯定判断をした場合は(S10:YES)、前記S104、S106又はS108において記憶した選択結果又は入力されたテキストデータに基づいて、指定された送信すべきテキストデータを読み出す。すなわち、S104の処理動作を実行した場合は、選択された宛先IP電話番号に対応付けられたテキストデータから選択されたものを、指定されたテキストデータとして、SIPメソッド「MESSAGE」により受信機1Bへ送信する(S11)。S106の処理動作を実行した場合は、選択された原稿種別(画像データの種別)に対応付けられたテキストデータを、指定されたテキストデータとして、SIPメソッド「MESSAGE」により受信機1Bへ送信する(S11)。S108の処理動作を実行した場合は、入力されたテキストデータを指定されたテキストデータとして、SIPメソッド「MESSAGE」により受信機1Bへ送信する(S11)。その後、セッション終了を要求する「BYE」を送出して受信機1Bとの間の通信を切断する。一方、前記S5で否定判断をした場合は(S10:NO)、前記S11の処理動作を行わずに「BYE」を送出して通信を切断する(T4)。
【0031】
なお、本実施の形態においては、S9の画像データの送信処理を行った後、S11のテキストデータの送信処理を行っているが、S9の画像データの送信処理を行う前に、S10及びS11の処理動作を行って、テキストデータの送信処理を行うようにしてもよい。また、S9の画像データを送信処理をしながら、S10及びS11の処理動作を行って、テキストデータを送信するようにしてもよい。
【0032】
また、本実施の形態においては、テキストデータを宛先IP電話番号や原稿種別と対応させて記憶しているが、テキストデータを他の情報と対応付けずに独立した形でRAM4の所定領域に複数登録しておき、前記S6において、登録されたそれらのテキストデータを選択可能に表示部11に表示し、選択されたものを指定された送信すべきテキストデータとして前記S11において送信するようにしてもよい。後に説明する第2の実施の形態においても同様である。
【0033】
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係るファクシミリ装置について、図面に基づいて説明する。第2の実施の形態に係るファクシミリ装置は、第1の実施の形態に係るファクシミリ装置と概ね同様の構成及び通信機能を備え、更に、SIPメソッド「MESSAGE」により受信したテキストデータの内容を音声により読み上げる機能等を備える。なお、第2の実施の形態においてもテキストデータを送信するためのSIPメソッドは、「MESSAGE」に限定されず、ユーザにより指定された任意のテキストデータを送信できるものであれば、その他の種類のものを使用してもよい。
【0034】
図8に第2の実施の形態に係るファクシミリ装置30の構成例を示す。すなわち、第2の実施の形態に係るファクシミリ装置30は、図1に示した第1の実施の形態に係るファクシミリ装置1の構成において、音声信号発生部Xと、該音声信号発生部Xから出力された音声信号により音声を発生するスピーカZとを更に備える。
【0035】
音声信号発生部Xは、受信テキストデータを音声データに変換し、D/A変換等のデータ処理を施してスピーカZへ出力する。具体的には、音声信号発生部Xは、各種テキストデータに対応した音声信号を保有しており、CPU2から受信テキストデータの文字情報を受けて、各種テキストデータに対応する音声信号を保有データの中から順次読み出し、D/A変換等のデータ処理を施してスピーカZへ出力する。これにより、SIPメソッド「MESSAGE」により受信したテキストデータの内容がスピーカZから音声出力される(即ち、受信したテキストデータの内容が読み上げられる)。なお、音声出力される前記テキストデータは、主に、「あいうえお」、「ABC」などのように人が発音可能な文字に対応した文字データである。また、音声信号発生部Xは、CPU2から音声データを受けた場合にその音声データに対してD/A変換等のデータ処理を施してスピーカZへ出力する手段としても機能する。
【0036】
RAM4の所定領域には、図8に示すように、3種類の音声データW1乃至W3が登録(記憶)されている。音声データW1は、ファクシミリを受信した旨、例えば「ファックスを受信しました。」をその音声内容とするものである。音声データW2は、テキストデータを受信した旨、例えば「メッセージを受信しました。」をその音声内容とするものである。音声データW3は、ファクシミリとテキストデータの両方を受信した旨、例えば「ファックスとメッセージを受信しました。」をその音声内容とするものである。CPU2は、送信側ファクシミリ装置から受信したデータの種類に従って、これら複数の音声データW1乃至W3から何れかを選択し、選択した音声データを音声信号発生部Xに送出する。そして、音声信号発生部Xによって音声データW1等に、D/A変換処理等が施されてスピーカからその内容が音声出力される。なお、受信するデータの種類としては、画像データのみを受信する場合、テキストデータのみを受信する場合、あるいは画像データとテキストデータの両方を受信する場合がある。
【0037】
以下、第2の実施の形態に係るファクシミリ装置30が画像データを受信する際に実行する処理動作について図面に基づいて詳細に説明する。なお、第1の実施の形態に係るファクシミリ装置と同様の構成及び処理動作については、図面において同一符号を付してその説明を省略する。例えば、ファクシミリ装置30が画像データ及びテキストデータを送信する際に実行する処理動作は第1の実施の形態と同様であるのでその説明は省略する。また、説明の便宜のため、第2の実施の形態においても、発呼側となるファクシミリ装置30を送信機30A、被呼側となるファクシミリ装置30を受信機30Bと称して説明する。
【0038】
図9に第2の実施の形態に係るファクシミリ装置30同士で原稿の画像データ及びテキストデータを送受信する際に形成される手順を示す。すなわち、送信機30Aと受信機30Bはメディアセッションを確立した上で画像データの送受信を行うとともに、T3において送信機30Aは、前記画像データの送信処理と別個独立したタイミングでSIPメソッド「MESSAGE」により、例えば図示するような、テキストデータ32を受信機30Bへ送信する。すなわち、テキストデータは、画像データの送信処理と同時に、或いは、前記画像データの送信処理に前後して、SIPメソッド「MESSAGE」によって受信機1Bへ送信される。なお、原稿の画像データの送信処理を1回行うに当たりSIPメソッド「MESSAGE」によるテキストデータの送信処理を複数回行うようにしてもよい。
【0039】
受信機30Bは、送信機30Aから、原稿の画像データとテキストデータ32を受信すると、画像データについては記録部10にて印刷出力し、テキストデータ32については、その内容を読み上げる処理動作を実行する。
【0040】
かかる受信機30Bが実行する処理動作を、図10に示すフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。すなわち、受信機30Bにおいて、メディアセッションで画像データが受信され、さらにSIPメソッド「MESSAGE」によりテキストデータが受信された場合に(S201:YES)、RAM4に音声データW3が登録(記憶)されているか否かを判別される。登録されていると判別された場合に(S202:YES)、当該音声データW3が読み出され、音声信号発生部XによってD/A変換処理等が施されてスピーカZから例えば「ファックスとメッセージを受信しました。」とのアナウンス音声が再生(出力)される(S203)。
【0041】
次いで、SIPメソッド「MESSAGE」により受信したテキストデータ32が抽出されて(S204)、そのテキストデータ32の文字情報が音声信号発生部Xへ送出され、音声信号発生部Xにおいて、その文字情報に対応する音声信号が順次読み出されてD/A変換等のデータ処理が施された後にスピーカZへ出力される。これによりスピーカZからSIPメソッド「MESSAGE」により受信したテキストデータの内容、例えば「・・さん宛に見積書を送付します」が音声出力される(S205)。そして最後に、受信した画像データに対する処理、例えば機器設定に従った画像データの配信処理、印刷処理等が実行される(S206)。
【0042】
一方、受信機30Bにおいて、メディアセッションで画像データを受信したものの、テキストデータを受信しなかった場合は(S201:NO、S207:画像データのみを受信)、RAM4に「音声データW2」が登録されているか否かが判別され、登録されている場合に(S208:YES)、当該音声データW2が読み出され、音声信号発生部XによってD/A変換処理等が施されてスピーカZから例えば「ファックスを受信しました。」とのアナウンス音声が再生(出力)される(S209)。そして、通常のファクシミリ受信処理、例えば機器設定に従った画像データの配信処理、印刷処理等が実行される(S210)。
【0043】
また一方、受信機30Bにおいて、SIPメソッド「MESSAGE」によりテキストデータを受信したものの、画像データを受信しなかった場合は(S207:テキストデータのみを受信)、RAM4に「音声データW3」が登録されているか否かが判別され、登録されている場合に(S211:YES)、当該音声データW3が読み出され、音声信号発生部XによってD/A変換処理等が施されてスピーカZから例えば「メッセージを受信しました。」とのアナウンス音声が再生(出力)される(S212)。次いで、SIPメソッド「MESSAGE」により受信したテキストデータが抽出され(S213)、そのテキストデータの文字情報が音声信号発生部Xへ送出される。そして、音声信号発生部Xにおいて、テキストデータに対応する音声信号が順次読み出されてD/A変換等のデータ処理が施された後にスピーカZへ出力される。これによりスピーカZからSIPメソッド「MESSAGE」により受信したテキストデータの内容、例えば「先ほど送信した見積書を・・・さんにも回覧してください」等の内容、が音声出力される(S214)。
【0044】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施の形態に係るファクシミリ装置30によれば、原稿の画像データを送信するとともに、ユーザが任意に指定したコメントが受信側において音声により読み上げられるため、受信側のユーザは、ファクシミリ装置の電話口(ハンドセット)まで足を運ぶことなく、送信者のコメントを音声により確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば、SIPにより確立したメディアセッションで画像データを送受信するファクシミリ装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置の構成例等を示した図である。
【図2】宛先IP電話番号(宛先情報)とテキストデータを対応付けて登録したテーブルの一例を示す図である。
【図3】原稿種別とテキストデータを対応付けて登録したテーブルの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置同士がIPファクシミリ通信を実行する際に形成する通信手順の一例の概略を示したシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るファクシミリ装置がIPファクシミリ送信又はG3ファクシミリ送信する際に実行する処理動作を示したフローチャートである。
【図6】テキストデータの指定が行われる際に実行される発呼側ファクシミリ装置の処理動作を示したフローチャートである。
【図7】テキストデータの指定が行われる際に発呼側ファクシミリ装置において表示される表示画面の具体例を示した図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るファクシミリの構成例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るファクシミリ装置同士がIPファクシミリ通信を実行する際に形成する通信手順の一例の概略を示したシーケンス図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る被呼側ファクシミリ装置が各種のデータを受信する際に実行する処理動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1、1A、1B、30、30A、30B ファクシミリ装置
2 CPU
3 ROM
4 RAM
4b 宛先情報とテキストデータを対応付けて記憶する第1テーブル
4c 原稿種別とテキストデータを対応付けて記憶する第2テーブル
20 SIPサーバ
23 テキストデータの選択指定画面
24 原稿種別の選択指定画面
25 テキストデータの入力画面
32 呼制御プロトコルのメソッドにより送信されるテキストデータ
W1乃至W3 音声データ
X 音声信号発生部
Z スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼制御プロトコルにより確立したメディアセッションで画像データを受信する画像データ受信手段と、前記呼制御プロトコルのメソッドによりテキストデータを受信するテキストデータ受信手段と、該手段により受信したテキストデータを音声データに変換して音声出力する手段と、を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
呼制御プロトコルにより確立したメディアセッションで画像データを受信する画像データ受信手段と、前記呼制御プロトコルのメソッドによりテキストデータを受信するテキストデータ受信手段と、複数の音声データを記憶する音声データ記憶手段と、受信したデータの種類に従って前記音声データ記憶手段が記憶している複数の音声データの中から何れかを選択し、選択した音声データを音声出力する手段と、を備えることを特徴とするファクシミリ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−25180(P2006−25180A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201498(P2004−201498)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】