説明

ファルネソイドX受容体(FXR)活性化または阻害を通じてHCVの複製を調節するための方法、使用および組成物

本発明は、ファルネソイドX受容体(FXR)活性化または阻害を通じて、C型肝炎といったフラビウィルス科のウィルスの複製を調整するための使用、方法および組成物に関する。より詳細には、本発明は治療を必要とする対象において、フラビウィルス感染の治療を目的とした薬剤を製造するための、FXRのアンタゴニストおよびその発現の阻害剤の使用に関する。本発明には、ググルステロンといったFXRのアンタゴニストの使用や、FXR発現の阻害剤の使用が含まれる。本発明はまた、HCVの複製を可能とする細胞培養系および、HCV感染の診断、抗ウィルス化合物のスクリーニングおよびワクチンまたはウィルスタンパク質産生に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファルネソイドX受容体(FXR)活性化または阻害を通じて、C型肝炎ウィルス(HCV)といったフラビウィルス科に属するウィルスの複製を調節するための使用、方法および組成物に関する。より詳細には、この発明は、治療を必要とする対象における、HCVといったフラビウィルス科のメンバーによる感染の治療を目的とした薬剤を製造するための、FXRのアンタゴニストまたは感染の発症の阻害剤の使用に関する。この発明は、また、HCVの複製を可能とする細胞培養系、並びにその細胞培養系の、HCV感染を診断するための使用、抗ウィルス化合物または中和抗体をスクリーニングするための使用およびワクチンまたはウィルスタンパク産生のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
HCVは、フラビウィルス科、ヘパチウィルス(Hepacivirus)属に属する一本鎖のプラスRNAウィルスである。
【0003】
HCVの遺伝子は、非コード領域(NCR)が両末端に位置する、約3010のアミノ酸残基のポリタンパク質をコードする一本のプラス鎖RNAを含む。5’−NCRは、ポリタンパク質をコードする領域の第1の部分と折り重なってヘアピンループや不対領域からなる複雑な構造となり、内部リボソーム侵入部位として機能することができる。これは、このウィルス遺伝子の翻訳が、多くの5’−末端AUGというよりも、ポリタンパク質の初めのAUGコドンに向けられた翻訳の開始に対してキャップ非依存的であることを意味している。RNAの第2の構造は、3’−非翻訳領域としても記述されるものであり、この構造がウィルス遺伝子の複製においてある役割を果たしていると考えられているが、これに対して現在のところ直接的な確証はない。このポリタンパク質のN−末端は、3つの構造のタンパク質(コア、E1およびE2)から成り、このポリタンパク質からこれらのタンパク質を放出することは、細胞の小胞体と関連するシグナルペプチダーゼに依存している。このポリタンパク質の残りの部分から6つの非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5B)を放出することは、ウィルスNS2−NS3およびNS3−NS4Aプロテアーゼの介在による。
【0004】
世界中で170万人の患者、先進国における人口の約1%がC型肝炎ウィルスに感染していると見積もられている(Global surveillance and control of hepatitis,1999)。急性HCV感染症の多く(70から80%)は慢性化し、その一部は肝硬変や肝細胞癌へと進行する。
【0005】
HCVに感染した患者の約95%は、感染の急性期の間に黄疸を発症することはないが、症状として吐き気、食欲不振および/または倦怠感が生じることがある。ウィルスRNAはまず、暴露後1〜2月に検出され、通常、肝臓障害マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼの血液中レベルの上昇と同時にまたは続いて検出される。セロコンバージョンは暴露後約3月、NS3およびコア抗原の反応性の初期発見に伴って起こる。急性感染患者のうちの20から50%はウィルス感染を完治することができ、この結果には、E2タンパク質のHVRおよびNS3タンパク質の一部に対するCD4+応答に対する特定の抗体応答の存在が相関している。
【0006】
C型慢性肝炎は、長年に渡って臨床的に無症状であるが、血清中のアラニンミノトランスフエラーゼレベルにおいて、断続的な上昇が大抵の場合存在するであろう。慢性的に感染した患者に基づいた組織学的な検査によれば、肝臓病変の何らかの兆候を示すことがあるが、これらの兆候は、大抵の場合とても穏やかである。典型的な病気の特徴としては、門脈領域にリンパ濾胞が、門脈周辺の炎症や胆管への損傷を伴って出現することである。極端な場合には、肝臓が硬変し、肝細胞結節間の繊維性組織の蓄積によって最終的に肝不全となってしまうことになる。肝臓の病状の程度は大抵、何年というよりも何十年という時間スケールではあるが、感染期間と共に拡大する。何故この進行の程度が患者間で異なるかは、十分に理解されていない。ウィルス遺伝子型タイプと進行との間の関係には相反する兆候が存在する、これはおそらく、ウィルス遺伝子型タイプ、感染してしまった年齢、感染の期間の間に根本的に存在する疫学的な関係によるものであるが、比較的急速な進行は免疫不全によると言える。肝臓移植者に関する複数の研究によれば、移植肝臓のより深刻な疾患が遺伝子タイプ1bのHCVに感染した患者に起こることを示唆している。
【0007】
肝細胞癌の進行とHCVの感染との間には強い結びつきが存在すると言われているが、この進行は、HCV感染患者のわずかな割合においてしか見られず、肝硬変の進行に続いて極めてゆっくりと進む場合もある。生体内での腫瘍形成のメカニズムは不明であるが、HCVのコアタンパク質が組織培養細胞の変換活性を制限し、複数の細胞周期遺伝子の転写を抑制する一方で、NS5Aが転写活性化因子として振る舞い、インターフェロンによって生じる細胞タンパク質キナーゼであるPKRを抑制してしまうと考えられる(Gale.他、1997年)。
【0008】
自己免疫疾患やリンパ増殖症候群、慢性疲労、本態性2型混合性クリオグロブリン血症、膜性増殖性糸球体腎炎や晩発性皮膚紫斑病(purpura cutanea tardia)を含むさまざまな非肝疾患はHCV感染と関係している。これらの兆候は、HCVの肝外複製に対する証拠であるとの解釈がなされているが、慢性間疾患の結果または免疫複合体におけるHCVの蓄積によって間接的に引き起こされている可能性もある。
【0009】
最近の療法はペグインインターフェロン(IFN)とリバビリン(1―β―D―リボフラノシル―1,2,4―トリアゾール―3―カルボキサミド)の組み合わせによる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、C型肝炎ウィルス(HCV)感染の転帰は患者間で異なり、抗ウィルス治療に対する持続的な反応の程度は、ウィルスおよび宿主の特徴に依存する。HCVの自然発生的な変異体は、6つの主要な遺伝子タイプに分類される。ウィルス遺伝子タイプは、治療応答に関連する主要因子のひとつである。実際に、持続性ウィルス学的著効(SVR)は遺伝子タイプ1に感染した患者のたった45%でしかないのに、遺伝子タイプ2または3に感染した患者のSVRは80%にまで達している(Feld JJ.他、2005年)。その一方で宿主因子と関連する転帰は、年齢、種族、ボディーマスインデックスといった要因を含む。
【0011】
肝臓生検材料においてウィルスRNAの高レベルのものが現れ、また、アンチセンスウィルス遺伝子およびウィルス非構造タンパク質が共に肝細胞内で検出されることから、HCVの複製の主要部位は肝臓であると考えられている。しかしながら、ウィルスが体の他の部分でどの程度複製するかについては議論がある。第一に、肝臓は移植後常に再感染する。第二に、HCVは、HCVの高い変異率によって同一患者内に見られる変異体である擬似種として存在し、この変異体は異なる細胞のタイプから派生したものであると考えられる。そして最後に、低密度HCV粒子は近年、脂質−ウィルス粒子(lipo−viro−particles(LVPs))と説明されている。
【0012】
LVPsはトリグリセリドが豊富であり、アポリポタンパク質B(apoB)およびアポリポタンパク質E(apoE)を含むため、超低密度リポタンパク質(VLDLs)に似ている。これらVLDL−類似粒子はHCV RNA、コアタンパク質(Andre P.他、2002年)および外皮タンパク質E1、E2を含む。LVPsの性質および生化学的組成は、これらの合成がapoB含有リポタンパク質の生産に特化した臓器内で起こるであろうことを示唆している。HCVは肝臓内で複製を行い、VLDLsが肝臓によって合成されることから、LVPsの生産について、肝臓は明らかに候補である。しかしながら、RNA擬似種の比較をすると、肝臓とLVPとではその数が同じでないとの証拠を与える。肝臓に加えて、apoBリポタンパク質の唯一他の生産源として腸があり、腸はこれらの粒子の生産に重要な貢献をしている可能性がある。HCV複製が腸で起こるという仮説に賛同できる。慢性的に感染した患者の小腸の上皮細胞にHCVタンパク質が発見されているからである(Deforges S.他、2004年)。
【0013】
ウィルスの粒子形状であるリポタンパク質との関係とは別に、HCVの脂質代謝との相関について、多くの研究結果が示されている。C型肝炎は、肝臓脂肪症を促進するトリグリセリドの蓄積と頻繁に関係する(Ramalho F、2003年)。慢性HCVに感染した患者は、血液中の総コレステロール含量の減少を示した。この観察結果は他のウィルス肝炎では見られなかった(Fisher S.他、1996年)。細胞培養モデルや遺伝子導入マウスを用いて脂質代謝を変更するHCVのコアおよびNS5Aタンパク質が示されている(Shi ST.他、2002年)。Su他(Su Al.他、2002年)は脂質代謝に関与する宿主遺伝子が、チンパンジーにおける感染の早い段階で差別的に調節されることを示している。彼らはまた、脂質の生合成経路に影響を与える薬物がHCVレプリコン系におけるHCV複製を制御可能であることを示した。このことは、脂質生合成に関与するタンパク質が、形質移入されたHuh−7細胞の全長レプリコン中で上方制御される一方で脂肪酸酸化が下方制御される(Kapadia SB.他、2005年)という近年のプロテオームの研究と一致する。最後に、HCVの脂質ラフトとの関係はこのウィルスの十分な複製のために非常に重要であることが実証されている(Aizali H.他、2004年)。
【0014】
このリポタンパク質の生産とは別に、脂質ホメオスタシスを行う他の合成経路であって、肝臓および腸に共通するものとしては、胆汁酸(BA)の腸肝循環がある。
【0015】
血中胆汁酸は近年、SVRに到達しなかったことを予想する予後マーカーと説明されている(jorquera F.他、2005年)。慢性C型肝炎において、BAの血中濃度が高いことは、掻痒症やそれの進行症状と関係している。これら掻痒症の患者には、治療が功を奏しない場合が多い(Lebovics E.他、1997年)。したがって、血中BAの濃度が15μMであり、フェリチンが300μg/mlよりも高い場合には、治療が全く功を奏しないことが予測される(Jorquera F.他、2005年)。
【0016】
近年の研究(Chang KO.他、2004年)によれば、BAが豚の腸カリシウィルス(porcine enteric calicivirus(PEC))という、HCVと多くの共通点(両者ともに一本鎖のプラス鎖RNA遺伝子を含むウィルスであり、腸細胞内に見られる)を有するウィルスの成長に必須な因子であることを報告している。
【0017】
そこで、本発明は、HCV感染症の治療のための新規な方法およびHCVの体外複製のための新規な方法を含む、HCVの複製をインビトロするための新規な方法を提供する。本発明者らは、BAがHCV RNA複製に関与していることを実際に立証した。サブゲノムレプリコンで一時的に形質移入されたHuh−7細胞系を用い、本発明者らは、BAの生理学的かつ病理学的な濃度で細胞系を取り扱うことが、HCVの複製を大きく促進することを見出した。さらに、本発明者らは、FXR−選択アゴニストおよびFXR−特異siRNAを用いることで、Huh−7細胞内におけるFXR−依存性機構を経由して、遊離BAがHCV RNAの複製を促進したことを明確に立証した。最後に、BAによるHCV RNA複製の促進が、FXR−アンタゴニストとしてのググルステロン(guggulsterone)によって阻害されうることを本発明者らは示した。本発明者らは、このアンタゴニストがIFN−治療に対してよい影響をもたらすことを示した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明の第1の目的は、治療を必要とする対象におけるフラビウィルス科のメンバーによる感染の治療を目的とした薬剤を製造するための、ファルネソイドX受容体(FXR)のアンタゴニストの使用に関する。
【0019】
本発明の第2の目的は、治療を必要とする対象における、急性もしくは慢性C型肝炎といったHCV感染に関連する疾患の治療、あるいは肝線維症、肝硬変や肝細胞癌といった肝臓疾患の予防を目的とする薬剤を製造するためのFXRのアンタゴニストの使用に関する。
【0020】
本発明の第3の目的は、治療を必要とする対象の、フラビウィルス科のメンバーによる感染の治療を目的としたFXRの発現の阻害剤の使用に関する。
【0021】
本発明の第4の目的は、治療を必要とする対象の急性もしくは慢性C型肝炎といったHCV感染に関連する疾患の治療、あるいは肝線維症、肝硬変や肝細胞癌といった肝臓病の予防を目的とした薬剤を製造するためのFXRの発現の阻害剤の使用に関する。
【0022】
本発明の第5の目的は、フラビウィルス科のメンバーによる感染の治療のための、HCVの治療のための、またはHCV感染に関連する疾患の治療のための、FXRのアンタゴニストまたはFXR発現の阻害剤を含む薬剤と、インターフェロンαを含む薬剤、ヌクレオシド類似体を含む薬剤およびHCVプロテアーゼおよび/またはポリメラーゼを含む薬剤からなる群から選ばれた少なくとも1つの薬剤と、を含むキットに関する。
【0023】
本発明の第6の目的は、FXR発現細胞用の培養培地、FXR発現細胞および少なくとも1つのFXRのアゴニストを含む、HCVの複製を可能とする細胞培養系に関する。
【0024】
本発明の第7の目的は、上記細胞培養系の、HCV感染の診断、抗ウィルス化合物のスクリーニング、HCVウィルス粒子もしくはHCVウィルスタンパク質の産生または抗HCVワクチンの産生のための使用に関する。
【0025】
本発明の第8の目的は、対象のHCV感染の診断のためのインビトロの方法であって、該方法が、
a)FXR発現細胞の培養培地を提供するステップと、
b)前記FXR発現細胞を、該対象から得られた生体試料と共にインキュベートするステップと、
c)前記FXR発現細胞を、ステップ(b)の前、後または同時に、少なくとも1つのFXRのアゴニストと共にインキュベートするステップと、
d)前記細胞を、HCVの複製が可能となるために十分な時間培養するステップと、
e)HCV複製のレベルを検出するステップと、
からなるステップを含み、
このHCV複製の検出は、該対象がHCVに感染したことを示唆する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義:
本明細書において使用される「C型肝炎ウィルス」または「HCV」の用語は、病原株が引き起こす、非A非B肝炎としても知られるC型肝炎のウィルス種をいう。したがって、「HCVs」の用語は、C型肝炎ウィルスを意味する。
【0027】
「HCV粒子」の用語は、HCV構造タンパク質を含み、電子顕微鏡で観察可能なウィルス粒子を意味する。HCV粒子はサイズが異なり、直径が30〜60ナノメートルである。加えて、HCV粒子は、ショ糖密度勾配遠心分離法による浮遊密度が、低密度(<1.07g/ml)から高密度(1.25g/ml)にまで及ぶという特筆すべき不均一性を示す。粒子密度の不均一性は、サイズのばらつき、エンベロープを持たないヌクレオカプシド粒子、およびヌクレオカプシド粒子の抗体またはリポタンパク質との結びつきによる。
【0028】
本明細書において使用する「HCVウィルスRNA」の用語は、HCV RNAを含み、HCV遺伝子、その断片、その転写物およびこれら由来の変位配列を言う。
【0029】
「HCVの複製」の語句は、HCV RNAおよび/またはウィルス粒子の合成に繋がる分子過程またはプロセスを指す。
【0030】
RNA、ポリペプチド、タンパク質または酵素といった発現産物を「コードする」ある「配列コード」またはある配列は、それが発現すると、そのRNA、そのポリペプチド、そのタンパク質またはその酵素となるヌクレオチド配列であり、すなわち、ヌクレオチド配列は、アミノ酸配列をそのポリペプチド、そのタンパク質またはその酵素にコードする。あるタンパク質のためのコード配列は開始コドン(通常、ATG)および停止コドンを含む。
【0031】
用語「遺伝子」は、アミノ酸の特定配列のコードに関するまたは該当するDNA配列を意味し、このアミノ酸の特定配列は、1以上のタンパク質または酵素の全部または一部を含み、また、例えばどの条件下でその遺伝子が発現されるかを決定するプロモーター配列等の制御DNA配列を含有してもよいし、または含有しなくてもよい。いくつかの遺伝子は、非構造遺伝子であり、DNAからRNAに転写されうるが、アミノ酸配列にまで翻訳されることはない。他の遺伝子は、構造遺伝子の制御因子として、またはDNA転写の制御因子として機能しうる。具体的に言えば、遺伝子という用語は、タンパク質をコードする遺伝子配列、すなわち、制御因子、プロモーター、イントロンおよびエクソン配列を含む配列を対象としてもよい。
【0032】
本明細書において使用する「オリゴヌクレオチド」の用語は、核酸のことをいい、一般に少なくとも10個の、好ましくは少なくとも12個の、より好ましくは少なくとも15個の、さらに好ましくは少なくとも20個のヌクレオチドであり、好ましくは100個よりも少ないヌクレオチド、さらに好ましくは70個よりも少ないヌクレオチドであり、ゲノムDNA、cDNAまたはRNAとハイブリッド形成が可能なものをいう。
【0033】
ここで用いられているように、特定のタンパク質(例えばFXR)の参照は、未変性のアミノ酸配列と同様に、それらの素性や生成のモードに関わらず変異体や変形体を有するポリペプチドをも含むことができる。未変性のアミノ酸配列を有するタンパク質は、自然界から得られるのと同一のアミノ酸配列を有するタンパク質である(例えば自然発生FXR)。このような未変性配列のタンパク質は、自然界から単離することができ、または標準的な組み換え、および/または合成方法によって作製することができる。未変性配列のタンパク質は、特に、天然の切断型または可溶型、天然の変異型(例えば選択的スプライス型)、天然の対立遺伝子多型および転写後修飾を含む型を包含する。未変性の配列タンパク質は、グリコシル化、リン酸化反応、またはいくつかのアミノ酸残基の別の修飾といった転写後修飾によるタンパク質を含む。
【0034】
変異体とは、類似するアミノ酸配列を有し、ある程度、未変性なタンパク質の1以上の活性体を保有する未変性の配列タンパク質と機能的に等しいタンパク質をいう。変異体は、活性対を保有する断片をも含む。変異体は、未変性な配列と実質的に同一な(例えば80、85、90、95、97、99%、の配列同一性を有する)タンパク質をも含む。このような変異体は、欠失、挿入および/または置換といったアミノ酸変形体を有するタンパク質を含む。「欠失」とは、関連するタンパク質における1以上のアミノ酸残基の欠落をいう。「挿入」とは、関連するタンパク質における1以上のアミノ酸の追加をいう。「置換」とは、ポリペプチドにおける1以上のアミノ酸残基の他のアミノ酸残基による交換をいう。通常、このような変質は自然界では起こりにくいため、変異体タンパク質の活性化は実質的には天然の配列タンパク質に類似している(例えばCreighton (1984)Proteins,W.H.Freeman and Companyを参照のこと)。置換の場合、他のアミノ酸に交換されたアミノ酸は、類似する構造および/または化学的性質を有する場合が多い。挿入および欠失は、挿入位置に依存するものの、通常、1〜5個のアミノ酸の範囲で起こり、それ以上のアミノ酸が挿入または除去できる。変形体は、部位指定変異体導入法(Carter,他.(1986) Nucl.Acids Res.13:4331、Zoller他(1987) Nucl.Acids Res.10:6487)、選択制限変異体導入法(Wells他(1986) Philos.Trans.R.Soc.London SerA 317:415)、およびPCR変異体導入法(Sambrook.他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition, Cold Spring Harbor Press,N.Y.,(2001))といった、当技術分野で公知の方法を用いることにより作製できる。
【0035】
アミノ酸の80%以上、好ましくは85%以上、好ましくは90%が一致するか、または90%以上、好ましくは95%以上類似する(機能的に一致する)場合、2つのアミノ酸配列は「実質的に類似する」または「実質的に似ている」。似ているまたは類似する配列は、例えば、GCG(Genetics Computer Group,Program Manual for the GCG Package, Version 7,Madison,Wisconsin)Pileupプログラムを使うか、またはBLAST,FESTAなどといった他の配列比較アルゴリズムを使うことで識別されることが好ましい。
【0036】
用語「発現」は、遺伝子または核酸の発現という意味で使われた場合には、遺伝子に含まれる情報を遺伝子産物に変換することをいう。遺伝子産物は、遺伝子の直接転写産物(例えばmRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造RNAまたはRNAの他のタイプ)またはmRNAの翻訳によって生産されたタンパク質である可能性がある。遺伝子産物は、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、編集といったプロセスによって修飾されたメッセンジャーRNAや、例えばメチル化、アセチル化、ホスホン化、ユビキチン化、SUMO化、ADP−リボシル化、ミリスチン化、グリコシル化によって修飾されたタンパク質(例えばFXR)をも含む。
【0037】
「発現の阻害剤」は、遺伝子の発現を抑制する生物学的作用を有する天然または人工の化合物をいう。したがって、「FXRの発現の阻害剤」は、FXR遺伝子の発現を阻害する生物学的作用を有する天然のまたは人工の化合物を意味する。
【0038】
「受容体」または「受容体分子」は、受容体−リガンド複合体からリガンドが結合する1以上の領域を含む可溶性または膜結合型/結合性のタンパク質またはグリコタンパク質である。リガンドと結合することで、受容体は活性となりまたは不活性となりアゴニストまたはアンタゴニストとなりうると共に、経路シグナル伝達を開始しまたは遮断しうる。
【0039】
用語「FXR」は、ファルネソイドX受容体をいい、ファルネソールの超生理学的レベルによって活性化される核受容体である(Forman.他、Cell,1995,81,687−693)。FXRは、NR1H4、レチノイドX受容体共役タンパク質14(RIP14)および胆汁酸受容体(BAR)としても知られている。FXRは、リガンドが活性化する転写因子の核内受容体スーパーファミリーのメンバーであり、レチノイドX受容体(RXR)と共に、胆汁酸ホメオスタシスに欠かせないヘテロ二量体受容体を形成する(Forman.他、1995年)。FXRは、肝臓、腎臓、腸、結腸、卵巣や副腎を含む様々な組織で発現する(Forman.他、1995年)。保存されたDNA結合ドメイン(DBD)やC末端のリガンド結合ドメイン(LBD)を含むことで、FXRは、一次胆汁酸であるケノデオシコール酸(CDCA)や、そのタウリンおよびグリシン抱合体を含む様々な自然発生胆汁酸(BA)に結合し、活性化される(Makishima.他、1999年、Parks他1999年、Wang他1999年)。活性化に際しては、FXR−RXR二量体がターゲット遺伝子のプロモーター領域と結合し、胆汁酸ホメオスタシスに関与するいくつかの遺伝子の発現を制御する。肝臓のFXRターゲット遺伝子は2つの主なグループに分けられる(Edwards PA.他、2002年、Kapadia SB.他、2005年)。第1のグループは、外部排出を増加させ、その合成を低下させることによって肝臓の胆汁酸濃度を低下させる。リン脂質転移タンパク質PLTPやアポリポタンパク質といったFXRターゲット遺伝子の第2のグループは、血液中のリポタンパク質レベルを制御し、血漿トリグリセリド濃度を低下させる。BA濃度の変化に応答したホメオトロピック信号を運ぶことにより、FXRは肝臓の成長や再生の制御において重要な役割をも担っている(Huang W.他、2006年)。FXR−制御遺伝子のより詳細なリストについては、例えば、WO03/016288,22−23頁を参照されたい。米国特許第6,005,086号は哺乳類のFXRタンパク質をコードした核酸配列を開示している。FXRのためのヒトポリペプチド配列は、アクセスナンバーNM_005123,Q96Rl1,NP_005114, AAM53551,AAM53550,AAK60271の、nucleotide and protein databasesに預けられている。
【0040】
「リガンド」または「受容体リガンド」は、受容体分子と結合して受容体−リガンド複合体を形成する天然化合物または合成化合物を意味する。
【0041】
「アゴニスト」または「受容体アゴニスト」は、受容体と結合して受容体−アゴニスト複合体を形成する天然化合物または合成化合物であり、上記受容体や上記受容体−アゴニスト複合体を活性させることにより、経路シグナル伝達や更なる生体内過程にそれぞれ導く。
【0042】
「アンタゴニスト」または「受容体アンタゴニスト」は、アゴニストの持つ生物学的効果と逆の生物学的効果を有する天然化合物または合成化合物である。アンタゴニストは受容体と結合し、受容体アゴニストの作用を遮断する。アンタゴニストは、アゴニストの作用を遮断するというその能力によって定義されるものである。
【0043】
したがって、「FXRのアゴニスト」の用語は、FXRと結合し、遺伝子プロモーターにおけるFXR応答要素の依存のもとで、遺伝子の翻訳の促進といったFXRの機能を活性化させる物質を意味する。
【0044】
したがって、「FXRのアンタゴニスト」の用語は、FXRによって引き起こされる翻訳の促進といったFXRの活性を阻害する物質を意味する。より具体的には、FXRと受容体の補助活性因子との結合を阻害する物質を意味する。
【0045】
「有機小分子」の用語は、薬学業界で一般に用いられる有機分子に比べてサイズの小さいものをいう。この用語は、生態高分子を除く(例えば、タンパク質、核酸など)。小さい有機分子の好ましいサイズ範囲は、約5000Da以下であり、より好ましくは2000Da以下であり、最も好ましくは約1000Da以下である。
【0046】
ポリペプチド(すなわち、インターフェロン)またはヌクレオチド配列に関して言えば、「精製された」または「単離された」とは、同一のタイプの他の生体高分子が実質的に無い状況で、上記の分子が存在していることを意味する。本明細書で用いられる「精製された」とは、好ましくは重量で少なくとも75%、より好ましくは重量で少なくとも85%、更に好ましくは重量で95%、最も好ましくは重量で少なくとも98%の同一のタイプの生体高分子が存在していることを意味する。ある特定のポリペプチドをコードする「単離された」核酸分子とは、このポリペプチドをコードすることのない他の核酸分子を実質的に含まない核酸分子をいうが、この核酸分子は、化合物の基本的な特徴に悪影響を及ぼさない複数の付加的な塩基や塩基群を含んでいてもよい。
【0047】
本明細書において使用する「対象」の用語は、げっ歯類、ネコ科、イヌ科、霊長類といった哺乳類を意味する。本発明に関して好ましい対象は、人間である。
【0048】
「細胞培養系」の用語は、細胞の体外培養を可能にする系をいう。
【0049】
本明細書において使用する「治療」とは、疾患または病態を阻害すること、すなわち疾患の進行を止めること;疾患または病態を軽減すること、すなわち病態の逆行を引き起こすこと;疾患による病態すなわち疾患の兆候を軽減することをいう。
【0050】
本明細書において使用する「予防」とは、疾患または病態であることを診断されていない対象における疾患または病態の発生を予防することをいう。
【0051】
治療法および治療的使用
本発明は、治療を必要とする対象における、フラビウィルス科に属するウィルスによる感染を治療するための使用、方法および組成物(医薬組成物など)を提供する。
【0052】
一実施形態において、フラビウィルス科のメンバーは、日本脳炎ウィルスおよび西ナイルウィルスを含む、日本脳炎ウィルス群などのフラビウィルス属のメンバーであってよい。あるいは、フラビウィルス科のメンバーは黄熱病ウィルス群のメンバーであってよい。あるいは、フラビウィルス科のメンバーは、ウシウィルス性下痢ウィルス(BVDV−1および/またはBVDV−2)、ブタコレラウィルス、ボーダー病ウィルスなどのペスチウィルス属のメンバーであってよい。あるいは、フラビウィルス科のメンバーは、G型肝炎ウィルス(HGV)などのヘパシウィルス属のメンバーであってよい。
【0053】
特定の実施形態において、本発明は、C型肝炎ウィルス(HCV)感染を治療するための使用、方法および組成物を提供する。より具体的には、本発明は、急性または慢性のC型肝炎、または自己免疫およびリンパ球増殖の疾患、慢性疲労、本態性混合型クリオグロブリン血症(II型)、膜性増殖性糸球体腎炎ならびに晩発性皮膚紫斑病などのC型肝炎ウィルス感染に関連する疾患を治療するための使用、方法および組成物を提供する。本発明は、肝線維症、肝硬変または肝細胞癌などの、肝臓疾患の予防および治療のための使用、方法および組成物もまた包含する。
【0054】
本発明者らは、BAがFXR依存性シグナル伝達経路を介したHCV RNAの複製に関与することを実際に立証した。したがって、FXRのシグナル伝達または発現を阻害することが、C型肝炎感染の治療のための有望なツールである。さらに、本発明は、持続的ウィルス陰性化の達成のため、または現行の治療後の持続的ウィルス陰性化率の増加のために適した、新規の使用、方法および組成物を提供する。
【0055】
本明細書中で使用する場合、「持続的ウィルス陰性化」(SVR;「持続的陰性化(sustained response)」または「耐久性陰性化(durable response)」とも称する)という用語は、血清HCV力価に関するHCV感染のための治療計画に対する個人の応答を指す。一般的に、「持続的ウィルス陰性化」は、治療休止後少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月または少なくとも約6ヶ月の期間、患者の血清中に見出される、検出可能なHCV RNAがないことを指す(例えば、約500未満、約200未満または約50未満のゲノムコピー/血清ml)。
【0056】
それ故、本発明の目的は、治療を必要とする患者におけるフラビウィルス科のメンバーによる感染の治療を目的とする薬剤の製造のための、ファルネソイドX受容体(FXR)のアンタゴニストの使用である。
【0057】
本発明の別の目的は、治療を必要とする患者における、急性もしくは慢性のC型肝炎などのHCV感染の治療またはHCV感染に関連する疾患の治療あるいは肝線維症、肝硬変または肝細胞癌などの肝臓疾患の予防を目的とする薬剤を製造するための、ファルネソイドX受容体(FXR)のアンタゴニストの使用である。
【0058】
一実施形態において、FXRのアンタゴニストは、有機小分子であってよい。国際特許出願WO02064125、WO0220463、WO03015771、WO03016288、WO2004046068、米国特許出願第2004176426号および米国特許第6906057号により、本発明に従ったFXRのアンタゴニストとして使用できる有機小分子が開示されている(これらの各文献は、参照によりそれらの全体を組込む)。
【0059】
例えば、WO02064125は、化合物、N−(3,5−ジ−tert−ブチル−2,6ジヒドロキシフェニル)ベンズアミドを開示し、米国特許第6906057号は、化合物、(Z)−5−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−2−(トリメチルシリル)ビニル]チオフェン−2−カルボン酸を開示している。
【0060】
本発明に従って使用できる有機小分子の具体例は、ググルステロンであり得る。ググルツリー(コミフォラ・ムクル(Commiphora mukul))の樹脂の抽出液は、ヒトにおいてLDL(低比重リポタンパク)コレステロール濃度を低下させることが実際に示された。植物ステロールであるググルステロン、[4,17(20)−プレグナジエン−3,16−ジオン]は、この抽出液中の活性薬剤であり、非常に有効なFXRのアンタゴニストとして示された(Urizar NL他、1996年;Wu J.他、2002年)。ググルステロンには、2種の異性体:Z−およびE−ググルステロンが存在する。国際特許出願WO2004094450および米国特許出願第2005085452号は、両方の異性体の調製の方法を記載している。Z異性体(4,17(20)−トランス−プレグナジエン−3,16−ジオン)は、式
【化1】

の構造を有する。
【0061】
E異性体(4,17(20)−シス−プレグナジエン−3,16−ジオン)は、式
【化2】

の構造を有する。
【0062】
本発明に従って使用できる有機小分子の別の具体例は、ググルステロンの類似体である3−β−ヒドロキシ−5,16−プレグナジエン−20−オン(80−574としても既知、Wu J.他、2002年)であり得る。前記化合物は、式
【化3】

の構造を有する。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、前記FXRのアンタゴニストは、4,17(20)−トランス−プレグナジエン−3,16−ジオンまたは4,17(20)−シス−プレグナジエン−3,16−ジオンである。
【0064】
好ましい実施形態において、前記FXRのアンタゴニストは、ググルステロン、3−β−ヒドロキシ−5,16−プレグナジエン−20−オン(80−574)、N−(3,5−ジ−tert−ブチル−2,6ジヒドロキシフェニル)ベンズアミドおよび(Z)−5−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−2−(トリメチルシリル)ビニル]チオフェン−2−カルボン酸を含む群から選択される。より好ましくは、前記FXRのアンタゴニストは、ググルステロンまたは3−β−ヒドロキシ−5,16−プレグナジエン−20−オン(80−574)である。
【0065】
本発明の別の目的は、治療を必要とする対象における、フラビウィルス科のメンバーによる感染の治療を目的とする薬剤の製造ための、FXR発現の阻害剤の使用である。
【0066】
本発明の別の目的は、治療を必要とする患者における、急性または慢性のC型肝炎などのHCV感染の治療またはHCV感染に関連する疾患の治療あるいは肝線維症、肝硬変または肝細胞癌などの肝臓疾患の予防を目的とする薬剤の製造のための、FXR発現の阻害剤の使用である。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、前記FXR発現の阻害剤は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。
【0068】
本発明における使用のためのFXR発現の阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築体に基づいていてよい。アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、FXR mRNAに結合し、それ故タンパク質の翻訳を防止し、またはmRNA分解を促進し、それ故、細胞におけるFXRタンパク質のレベルひいては活性を減少させることによって、FXRmRNAの翻訳を直接遮断するために作用する。例えば、少なくとも約15塩基の、FXRをコードするmRNA転写配列のユニーク領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを、例えば、従来のリン酸ジエステル技術により合成でき、例えば、静脈注射または注入により投与できる。配列が既知遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するアンチセンス技術を使用する方法は、当分野において周知である(例えば、米国特許第6,566,135号、第6,566,131号、第6,365,354号、第6,410,323号、第6,107,091号、第6,046,321号および第5,981,732号を参照されたい)。
【0069】
阻害性低分子RNA(siRNA)もまた、本発明における使用のためにFXR発現の阻害剤として機能できる。FXRの遺伝子発現は、腫瘍、対象または細胞と、低分子二本鎖RNA(dsRNA)、またはベクターあるいはFXR発現が特異的に阻害されるような低分子二本鎖RNAの産物をもたらす構築体と接触させることによって、減少させることができる(すなわち、RNA干渉またはRNAi)。配列が既知な遺伝子に適切な、dsRNAまたはdsRNAをコードするベクターを選択する方法は、当分野において周知である(例えば、Tuschi,T.他(1999年)、Elbashir,S.M.他(2001年)、Hannon,GJ.(2002年)、McManus,MT.他(2002年)、Brummelkamp,TR.他(2002年)、米国特許第6,573,099号および第6,506,559号ならびに国際特許公開番号WO01/36646、WO99/32619およびWO01/68836を参照されたい)。
【0070】
例えば、FXRに特異的なsiRNA二重鎖は、Dharmacon(Lafayette,CO)によりSMARTpool(商標)(M−003414−00−0005ヒトNR1 H4)として販売されている。FXRに特異的な前記siRNA二重鎖は、以下のとおりである、
− D−003414−01、NR1H4(SENS:CAAGUGACCUCGACAACAAUU、配列番号9およびANTISENS:5’−PUUGUUGUCGAGGUCACUUGUU、配列番号10)、
− D−003414−02、NR1H4(SENS:GAAAGAAUUCGAAAUAGUGUU、配列番号11およびANTISENS:5’−PCACUAUUUCGAAUUCUUUCUU、配列番号12)、
− D−003414−03、NR1H4(SENS:CAACAGACUCUUCUACAUUUU、配列番号13およびANTISENS:5’−PAAUGUAGAAGAGUCUGUUGUU、配列番号14)、
− D−003414−04、NR1H4(SENS:GAACCAUACUCGCAAUACAUU、配列番号15およびANTISENS:5’−PUGUAUUGCGAGUAUGGUUCUU、配列番号16)。
【0071】
リボザイムもまた、本発明における使用のためにFXR発現の阻害剤として機能できる。リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒できる酵素的RNA分子である。リボザイムの作用機構は、リボザイム分子と相補的標的RNAとの配列特異的ハイブリダイゼーション、その後のエンドヌクレアーゼ的切断を含む。FXR mRNA配列のエンドヌクレアーゼ的切断を、特異的かつ効率的に触媒する、加工されたヘアピン型またはハンマーヘッド型モチーフのリボザイム分子は、したがって本発明の範囲内で有用である。任意の潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、リボザイム切断部位のための標的分子をスキャンすることにより初めに特定され、それらは典型的には以下の配列、GUA、GUUおよびGUCを含む。特定後、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対応する約15から20リボヌクレオチドの短鎖RNA配列の、オリゴヌクレオチド配列を不適切にし得る二次構造などの予測される構造特性が評価できる。候補標的の適性もまた、例えば、リボヌクレアーゼ・プロテクション・アッセイを使用して、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対するそれらの到達性を検査することにより評価できる。
【0072】
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびFXR発現の阻害剤として有用なリボザイムの両方は、既知の方法により調製できる。これらは、例えば、ホスホロアミダイト固相化学合成法などによる化学合成に関する技術を含む。あるいは、アンチセンスRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列の、インビトロまたはインビボの転写により発生させることができる。このようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組込む、幅広い種類のベクターに組込むことができる。本発明のオリゴヌクレオチドに対する様々な修飾が、細胞内安定性および半減期を上昇させる手段として導入できる。考えられる修飾は、限定するものではないが、分子の5’末端および/または3’末端への、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのフランキング配列の付加、あるいはオリゴヌクレオチド骨格内における、ホスホジエステラーゼ結合というよりもホスホロチオエートまたは2’−O−メチルを用いた修飾を含む。
【0073】
国際特許出願WO03044167およびWO2004030750は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびFXR発現を調節するためにそれらを使用する方法を提供している。
【0074】
WO03044167は、以下の配列:配列番号:11、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、26、27、28、30、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、44、45、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、64、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、78、80、82、83、84、85、87または88を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを開示している。
【0075】
WO2004030750は、以下の配列:配列番号1から配列番号2138を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを開示している。
【0076】
本発明の好ましい実施形態において、前記FXR発現の阻害剤は、WO03044167において開示された配列番号:11、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、26、27、28、30、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、44、45、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、64、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、78、80、82、83、84、85、87または88、WO2004030750において開示された配列番号1から配列番号2138または本明細書の上部に記載した配列番号9から配列番号16からなる群において選択されるsiRNA二重鎖を含む群から選択される。
【0077】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのsiRNAsおよびリボザイムは、単独またはベクターと合併してインビボで送達できる。広い意味では「ベクター」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAまたはリボザイム核酸の、細胞、好ましくはFXR発現細胞への送達を容易化する任意の媒体である。好ましくは、ベクターは、ベクターの不在下で生じるであろう分解の程度よりも低い分解の程度で上記核酸を細胞に輸送する。一般的に、本発明において有用なベクターは、限定するものではないが、プラスミド、ファージミド、ウィルス、アンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNAまたはリボザイム核酸配列の挿入または組込みにより操作されたウィルス源または細菌源に由来する他の媒体を含む。ウィルスベクターは、好ましい型のベクターであり、限定するものではないが、以下のウィルスに由来する核酸配列を含む:モロニーマウス白血病ウィルス、ハーベイマウス肉腫ウィルス、マウス乳腺腫瘍ウィルスおよびラウス肉腫ウィルスなどのレトロウィルス;アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス;SV40型ウィルス;ポリオーマウィルス;エプスタイン・バー・ウィルス;パピローマウィルス;ヘルペスウィルス;ワクシニアウィルス;ポリオウィルス;およびレトロウィルスなどのRNAウィルス。名前を挙げていないが、当分野で既知の他のベクターも容易に用いることができる。
【0078】
好ましいウィルスベクターは、非必須遺伝子が、対象となる遺伝子と取換えられている非細胞変性真核性ウィルスに基づく。非細胞変性ウィルスは、レトロウィルス(例えば、レンチウィルス)を含み、そのライフサイクルは、ウィルスのゲノムRNAのDNAへの逆転写、その後のプロウィルスの宿主の細胞DNAへの組込みを伴う。レトロウィルスはヒト遺伝子治療試験用に承認されている。複製欠損型(すなわち、所望のタンパク質の合成を誘導できるが、感染性粒子を作り出せない)レトロウィルスが最も有用である。このような遺伝的に改変されたレトロウィルス発現ベクターは、インビボの遺伝子の高効率形質導入にとって一般的有用性を有する。複製欠損型レトロウィルス作製の標準的プロトコル(外来性遺伝物質のプラスミドへの組込み、プラスミドのパッケージング細胞系への形質移入、パッケージング細胞系による組換えレトロウィルスの作製、組織培養培地からのウィルス粒子の回収、および標的細胞のウィルス粒子による感染のステップを含む)は、KRIEGLER(A Laboratory Manual,“W.H.Freeman C.O.,New York,1990年)およびMURRY(“Methods in Molecular Biology,”vol.7,Humana Press,Inc.,Cliffton,N.J.,1991年)により提供される。
【0079】
特定の用途に好ましいウィルスは、アデノウィルスおよびアデノ随伴ウィルスであり、それらは遺伝子治療においてヒトに使用することが既に承認されている二本鎖DNAである。アデノ随伴ウィルスは、複製欠損型に組換えることができ、広範囲の細胞型および種に感染できる。さらに、アデノ随伴ウィルスは、熱および脂質溶媒に対する安定性;造血細胞を含む多種多様の系統の細胞における高頻度の形質導入;および重複感染阻害がなくそれ故複数系列の形質導入が可能であるなどの利点を有する。アデノ随伴ウィルスは、部位特異的な形でヒト細胞DNAに組入れることができ、その結果レトロウィルス感染の特徴である挿入遺伝子発現の挿入変異およびばらつきの可能性を最小にすると報告されている。さらに、野生型のアデノ随伴ウィルスによる感染は、選択圧がない場合は組織培養で100継代を超えて継続されることから、アデノ随伴ウィルスのゲノムの組入れは、比較的安定な事象であることが示唆される。アデノ随伴ウィルスはさらに、染色体外のやり方でも機能できる。
【0080】
他のベクターはプラスミドベクターを含む。プラスミドベクターは、当分野において幅広く記載されており、当業者には周知である。例えば、SANBROOK他、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual,”第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989年を参照されたい。ここ数年において、プラスミドベクターは、インビボにおいて抗原をコードする遺伝子を細胞に送達するためのDNAワクチンとして使用されている。プラスミドベクターは、多くのウィルスベクターにあるのと同じ安全性の懸念を有していないため、特に有利である。しかし、宿主細胞に適合するプロモーターを有するこれらのプラスミドは、プラスミド内で動作可能なようにコードされた遺伝子からペプチドを発現できる。よく使用されるプラスミドのいくつかは、pBR322、pUC18、pUCl9、pRC/CMV、SV40およびpBlueScriptを含む。他のプラスミドは、当業者に周知である。さらにプラスミドは、特定のDNA断片を除去または付加するための制限酵素および連結反応を使用してカスタムデザインできる。プラスミドは、様々な非経口、粘膜および局所の経路により送達できる。例えば、DNAプラスミドは、筋肉内、皮内、皮下または他の経路により注射できる。DNAプラスミドはまた、鼻内スプレーまたは鼻内滴下、肛門坐薬および経口により投与できる。DNAプラスミドはまた、遺伝子銃を使用して表皮または粘膜表面に投与できる。このプラスミドは、水溶液で、金粒子上に乾燥させて、または限定するものではないが、リポソーム、デンドリマー、蝸牛状剤およびマイクロカプセル化を含む別のDNA送達系と合わせて与えることができる。
【0081】
本発明の別の目的は、HCV感染または急性または慢性のC型肝炎などのHCV感染に関連する疾患の治療、あるいは肝線維症、肝硬変または肝細胞癌などの肝臓疾患の予防のための、治療有効量の少なくとも1種のFXRのアンタゴニストまたはFXR発現の阻害剤を、それらを必要とする対象に投与することを含む方法に関する。
【0082】
本発明の文脈において、本明細書中で使用する場合「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」という用語は、このような用語が適用される疾患および病態あるいはこのような疾患および病態の症状の1つまたは複数の、進行の逆転、緩和、阻害、あるいは防止を意味する。
【0083】
本発明によれば、「対象」または「患者」および「それらを必要とする対象」または「それらを必要とする患者」という用語は、C型肝炎ウィルスに感染した、または感染したと思われるヒトまたは非ヒトの哺乳動物を意図する。
【0084】
上記のアンタゴニストまたは発現の阻害剤の「治療有効量」によってとは、任意の治療に適用できる、妥当なベネフィット/リスク比でC型肝炎ウィルス感染を治療するためのアンタゴニストまたは発現の阻害剤の十分な量を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、正常な医療的判断の範囲内で主治医により決定されることは理解されるであろう。任意の特定の患者のための、特定の治療的有効投与量は、治療される疾患および疾患の重症度;用いる特定の化合物の活性;用いる特定の組成物、患者の年齢、体重、全体的な健康、性別および食事;投与の時間、投与経路および用いる特定の化合物の排泄率;治療期間;用いる特定のポリペプチドと併用するまたは同時に使用する薬剤を含む様々な因子;ならびに当医療分野において周知の因子などに依存する。例えば、所望の治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルで化合物の投与量を開始すること、および所望の治療効果を達成するまで徐々に投与量を増加することは当分野の技術の十分範囲内である。しかし、製品の1日の投与量は、0.01から1000mg/成人/日の広範囲にわたって変更できる。治療される患者に対する症状による投与量の調整のために、組成物は、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250および500mgの活性成分を含むことが好ましい。薬剤は、典型的には約0.01から約500mgの活性成分を含み、好ましくは1mgから約100mgの活性成分を含む。薬剤の有効量は、0.0002mgから約20mg/kg体重/日、特に約0.001mgから7mg/kg体重/日の投与レベルで通常供給される。
【0085】
上記の投与計画のいずれによっても、HCV感染と診断された個人に投与できる。上記の治療計画のいずれによっても、HCV感染に関する今までの治療が失敗した個人(治療が失敗した患者)に投与できる。
【0086】
本明細書中で使用する場合「治療が失敗した患者」は全般に、HCVに関する今までの治療に対して応答が失敗した(「非応答者」と称する)または今までの治療に対して初めは応答したが、患者において治療応答が維持されなかった(「再燃者(relapser)と称する」、HCV感染患者を指す。今までの治療は一般的に、IFN−α単独療法またはIFN−α併用療法による治療を含むことができ、併用療法はIFN−αおよびリバビリンなどの抗ウィルス剤の投与を含み得る。
【0087】
HCVに感染していると臨床的に診断された個人は、多くの実施形態において特定の対象となる。HCVに感染している個人は、それらの血液中にHCV RNAを有する、および/またはそれらの血清中に抗HCV抗体を有すると特定される。このような個人は、抗HCV ELISAが陽性の個人を含む。このような個人は、必ずしもそうではないが、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルもまた上昇していると思われる。HCVに感染していると臨床的に診断された個人は、ナイーブな個人(例えばHCVに関していままで治療されたことがない個人、特にIFN−αに基づく治療および/またはリバビリンに基づく治療を今までに受けたことがない個人)およびHCVに関する前回の治療が失敗している個人(「治療の失敗した」患者)を含む。
【0088】
治療が失敗した患者は、非応答者、すなわちHCV力価がHCVに関する今までの治療、例えば、今までのIFN−α単独療法、今までのIFN−αおよびリバビリン併用療法あるいは今までのペグ化IFN−αおよびリバビリン併用療法により、有意にまたは十分に減少しなかった個人を含む。治療が失敗した患者は、再燃者、すなわち今までのIFN−α単独療法、今までのIFN−αおよびリバビリン併用療法あるいは今までのペグ化IFN−αおよびリバビリン併用療法を受け、HCV力価が減少し、その後上昇した個人などの、HCVに関して以前に治療を受けた個人を含む。
【0089】
他の実施形態において、本発明は、上に述べたように治療を必要とする対象に治療有効量の上記のようなFXRのアンタゴニストまたはFXR発現の阻害剤を投与することを含み、前記対象が非応答者または再燃患者である、HCV感染の治療のための方法を提供する。
【0090】
一実施形態において、本発明は、上記のようなFXRのアンタゴニストまたはFXRの阻害剤の、インターフェロンαを用いた治療を受けた対象を治療するための使用に関する。
【0091】
他の実施形態において、本発明の方法は、対象に有効量のインターフェロンα(IFN−α)を投与することをさらに含む。
【0092】
任意の既知のIFN−αが、本発明に使用できる。本明細書中で使用する場合、「インターフェロン−α」または「IFN−α」という用語は、ウィルスの複製および細胞増殖を阻害し免疫応答を調節する、関連するポリペプチドのファミリーに関する。「IFN−α」という用語は、天然に存在するIFN−α;合成IFN−α;誘導体化IFN−α(例えば、ペグ化IFN−α、グリコシル化IFN−αなど);および天然に存在するIFN−αまたは合成IFN−αの類似体;天然に存在するIFN−αに関して記載したような抗ウィルス特性を有する、本質的に任意のIFN−αを含む。適切なインターフェロンαは、限定するものではないが、天然に存在するIFN−α(限定するものではないが、天然に存在するIFN−α2a、IFN−α2bを含む);Schering Corporation,Kenilworth,N.J.から入手可能なIntronAインターフェロンなどの組換えインターフェロンα−2b;Hoffmann−La Roche,Nutley,N.J.から入手可能なRoferonインターフェロンなどの組換えインターフェロンα−2a;Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.,Ridgefield,Conn.から入手可能なBerofor α2インターフェロンなどの組換えインターフェロンα−2C;Sumitomo,Japanから入手可能なSumiferonまたはGlaxo−Wellcome Ltd.,London,Great Britainから入手可能なWeliferonインターフェロンα−n1(INS)などの天然インターフェロンαの精製ブレンドであるインターフェロンα−n1;およびInterferon Sciencesにより作製され、Alferonの商標で、Purdue Frederick Co.,Norwalk,Conn.から入手可能な、天然インターフェロンαの混合体であるインターフェロンα−n3を含む。
【0093】
「IFN−α」という用語は、血清の半減期などの特定の特性を改変するために誘導体化された(例えば、化学修飾された)IFN−αの誘導体もまた包含する。このように、「IFN−α」という用語は、グリコシル化IFN−α;ポリエチレングリコールを用いて誘導体化されたIFN−α(「ペグ化IFN−α」);などを含む。ペグ化IFN−αおよびこれを作製する方法は、例えば、米国特許第5,382,657号;第5,981,709号および第5,951,974号に述べられている。ペグ化IFN−αは、限定するものではないが、PEGが結合した、インターフェロンα−2a(Roferon,Hoffman La−Roche,Nutley,N.J.)、インターフェロンα2b(Intron,Schering−Plough,Madison,N.J.)、インターフェロンα−2c(Berofor Alpha,Boehringer Ingelheim,Ingelheim,Germany);および天然に存在するインターフェロンαのコンセンサス配列の決定により定義されたコンセンサスインターフェロン(Infergen(lnterMune,Inc.,Brisbane,Calif.)を含む、PEGと上記のIFN−α分子のいずれかとの結合体を包含する。
【0094】
別の実施形態において、本発明は、上記のようなFXRのアンタゴニストまたはFXRの阻害剤の、ヌクレオシド類似体を用いた治療を受けた対象の治療のための使用に関する。
【0095】
他の実施形態において、本発明の方法は、持続的ウィルス陰性化を達成するために、有効量のヌクレオシド類似体を対象に投与することをさらに含む。前記ヌクレオシド類似体は、リバビリンまたはその誘導体であってよい。
【0096】
リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド)は、ICN Pharmaceuticals,Inc.,Costa Mesa,Calif.から入手可能なヌクレオシド類似体であり、Merck Index,化合物番号8199,第11版に記載されている。その製造および処方は、米国特許第4,211,771号に記載されている。
【0097】
本発明は、米国特許第6,277,830号または国際特許出願W02006067606に記載されたような、リバビリン誘導体の使用もまた企図する。他の誘導体は、リバビリンのL型光学異性体であるレボビリン(Levovirin)またはリバビリンの3−カルボキサミジン誘導体であるビラミジン(Viramidine)を含む。
【0098】
別の実施形態において、本発明は、インターフェロン−αおよびヌクレオシド類似体を用いた治療を受けた対象を治療するための、上記のようなFXRのアンタゴニストまたはFXRの阻害剤の使用に関する。
【0099】
他の実施形態において、本発明の方法は、有効量の、上記の物のようなインターフェロンα(IFN−α)およびヌクレオシド類似体を投与することをさらに含む。
【0100】
別の実施形態において、本発明は、上記のようなFXRのアンタゴニストまたはFXRの阻害剤の、HCVプロテアーゼおよび/またはポリメラーゼの阻害剤を用いた治療を受けた対象を治療するための使用に関する。
【0101】
他の実施形態において、本発明の方法は、有効量のHCVポリメラーゼの阻害剤を、対象に投与することをさらに含む。このような阻害剤は、限定するものではないが、米国特許第6,479,508号に開示された化合物;国際特許出願WO03010140、WO03007945、WO03010141、WO0147883のいずれかにおいて開示された化合物、Zhong他(2003年)に開示されたジヌクレオチド類似体;Dhanak他(2002年)に開示されたベンソチアジアジン化合物;WO02100846またはWO0200851、WO0185172、WO02098424、WO0006529、WO0206246、WO03000254、またはEP1 256,628A2に開示されたNS5B阻害剤を含む。
【0102】
他の実施形態において、本発明の方法は、対象に有効量のHCVプロテアーゼ阻害剤を投与することを、さらに含む。NS3プロテアーゼの阻害剤は、限定するものではないが、国際特許出願WO03066103、WO2004103996またはWO2004093915に開示されたような化合物を含む。HCV NS3プロテアーゼ阻害剤のペプチド類似体は、特許出願GB2,337,262;JP10298151;JP11126861;JP11292840;JP2001−103993;米国特許第6,159,938号;米国特許第6,187,905号;WO97/43310;WO98/17679;WO98/22496;WO98/46597;WO98/46630;WO99/38888;WO99/50230;WO99/64442;WO99/07733;WO99/07734;WO00/09543;WO00/09558;WO00/20400;WO00/59929;WO00/31129;WO01/02424;WO01/07407;WO01/16357;WO01/32691;WO01/40262;WO01/58929;WO01/64678;WO01/74768;WO01/77113;WO01/81325;WO02/08187;WO02/08198;WO02/08244;WO02/08251;WO02/08256;WO02/18369;WO02/60926およびWO02/79234に開示された任意の化合物を含む。HCV NS3プロテアーゼの阻害剤もまた、WO03/064456、WO03/064416、WO02/060926、WO03/053349、WO03/099316、WO03/099274、WO2004/032827およびWO2004/043339に開示されている。HCV NS3プロテアーゼのアシルスルファミド阻害剤もまた、WO2005/046712またはWO2006000085に記載されている。NS3−NS4Aプロテアーゼの阻害剤は、特許出願WO2005007681、WO2005035525またはWO2005028502に記載されている。
【0103】
他の実施形態において、本発明の方法は、対象に有効量のスタチン化合物を投与することをさらに含む。3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤であるスタチンは、抗HCV薬として有用である可能性がある(Ikeda M.他、2006年,Kapadia SB.他、2005年,Ye J.他、2003年)。
【0104】
別の実施形態において、本発明は、上記のようなFXRのアンタゴニストまたはFXRの阻害剤の、インターフェロン−α、ヌクレオシド類似体ならびに、HCVプロテアーゼおよび/またはポリメラーゼの阻害剤を用いた治療を受けた対象の治療のための使用に関する。
【0105】
本発明の別の目的は、フラビウィルス科のメンバーによる感染の治療のための、またはHCV感染の治療のための、またはHCV感染に関連する疾患の治療のための、FXRのアンタゴニストまたはFXR発現の阻害剤を含む薬剤、ならびにインターフェロン−αを含む薬剤、ヌクレオシド類似体を含む薬剤およびHCVプロテアーゼおよび/またはポリメラーゼの阻害剤を含む薬剤からなる群から選択される少なくとも1種の薬剤を含むキットである。
【0106】
スクリーニング方法
さらなる実施形態において、本発明によるFXRのアンタゴニストは、当分野において周知の、任意のスクリーニング方法により得られる。
【0107】
例えば、FXRのアンタゴニストのインビトロのスクリーニング方法は、(a)FXRをコードするDNAを形質移入し、発現させた細胞と、FXRに特異的に結合することが既知のリガンド(例えば、BAなどの天然のリガンド)とを接触させるステップ;(b)ステップ(a)の細胞を、候補化合物と接触させるステップ;(c)前記候補化合物の存在下での、FXRに結合することが既知のリガンドの結合と、前記候補化合物の不在下での、FXRに結合することが既知のリガンドの結合とを比較するステップおよび(d)FXRに結合することが既知のリガンドの結合を減少させる候補化合物を積極的に選択するステップからなるステップを含んでよい。
【0108】
本発明による、他の適切なインビトロのスクリーニング方法は、後でFXRのリガンドの結合ドメインを有するポリペプチド(例えば、完全長FXRポリペプチド)とさらにインキュベートする、標識した候補化合物を使用して実施できる。標識は放射性同位体、免疫化学的標識、蛍光色素分子などを含む。当業者は、遊離の標識候補治療薬から、結合した標識候補治療薬を分離する様々な方法を認識するであろう。標識候補治療薬の、FXRポリペプチドについての親和性は、標準的なリガンド結合方法を使用して計算できる。
【0109】
本発明による、別の型のスクリーニング方法は、試験化合物のFXRの、FXRのためのリガンドの結合を調節する能力を試験するステップからなり得る。例えば、これらは、候補治療薬の存在下での、標識FXRリガンドとの直接結合アッセイとして実施できる。本アッセイは、試験化合物を、FXRポリペプチドの少なくとも1つのリガンド結合ドメインおよびFXRのためのリガンドを含むアッセイ混合物に配置するステップを伴う。FXRリガンドとFXRとの結合に関する結果を確定する。FXRポリペプチドまたはFXRリガンド結合ドメインを有するポリペプチドに結合する、標識FXRリガンドの量を減少させる試験化合物は、HCVの複製を阻害するその能力に関するその後のスクリーニングの対象である。前記スクリーニング方法に使用できる適切な技術は、WO00/01663または米国特許第6,740,756号の文献に記載されたような均一時間分解蛍光(Homogeneous Time Resolved Fluorescence)(HTRF)アッセイであってよい。
【0110】
本発明のインビトロスクリーニング方法における使用に適したリガンドは、限定するものではないが、胆汁酸およびCDCA(ケノデオキシコール酸)、GCDCA(グリコケノデオキシコール酸)、TCDCA(タウロケノデオキシコール酸)、GCA(グリココール酸)、TCA(タウロコール酸)、DCA(デオキシコール酸)、LCA(リトコール酸)、DHCA(デヒドロコール酸)、UDCA(ウルソデオキシコール酸)およびCA(コール酸)などの関連する化合物を含む。さらなる胆汁酸および他のリガンドは、例えば、Makishima他、(1999年)、Science 284:1362〜1365ページに記載されている。本アッセイは、FXRが相互作用するコアクチベーターおよびコリプレッサーを用いることができる。
【0111】
国際特許出願WO0040965、WO02064125、WO03030612は、本発明によるFXRのアンタゴニストの特定に適切であり得る、インビトロのスクリーニング方法を記載している。
【0112】
さらに、国際特許出願WO2004046323は、結晶形態のファルネソイドX受容体(FXR)のリガンド結合ドメイン(LBD)を含む組成物を提供する。前記文献は、FXRのアンタゴニストをスクリーニングするためにこの構造情報を使用するインシリコの方法を、さらに提供する。
【0113】
本明細書においてこれまでに記載したインビトロまたはインシリコのスクリーニングの実施形態のいずれか1つの終りに積極的に選択された候補化合物を、その抗HCVの生物学的特性のさらなるアッセイを考慮して、さらなる選択ステップに供することができる。この目的に関して、上記のような一般的なインビトロのスクリーニング方法を用いて積極的に選択された候補化合物は、HCVの複製を阻害するそれらの能力に関してさらに選択できる。特定の実施形態において、実施例に記載されたようなレプリコン系を使用することによって、HCVの複製を阻害する能力を分析する。簡潔に言うと、レプリコンは、HCV IRESの下流にホタルルシフェラーゼ(フォチナス・フィラリス(Photinus pyralis))レポーターおよびEMCV IRESの下流にポリプロテインNS3からNS5Bをコードする配列を含むバイシストロニックRNAである。前記レプリコンは、その後、Huh7細胞などのFXRを発現する細胞に形質移入する。それ故、HCV RNAの複製の上方制御は、レプリコン系を形質移入された細胞内のルシフェラーゼ活性の増加をもたらす。
【0114】
したがって、本発明は、HCVの複製を阻害する化合物の細胞内スクリーニングのための方法を提供し、前記方法は、
a)上記の様なインビトロのスクリーニング方法に従って特定されたFXRのアンタゴニストを提供するステップと、
b)上記のようなレプリコン系を形質移入された細胞を提供するステップと、
c)ステップa)のFXRのアンタゴニストとステップb)の細胞とを接触させるステップと、
d)前記レプリコン系のルシフェラーゼ活性を検出するステップと、
e)前記ルシフェラーゼ活性と、前記FXRのアンタゴニストの不在下で得られたルシフェラーゼ活性とを比較するステップと
を含み、前記FXRアンタゴニストの不在下で得られたルシフェラーゼ活性と比較して、前記FXRアンタゴニストの存在下で得られたルシフェラーゼ活性が減少することが、前記FXRアンタゴニストがHCVの複製を阻害できることを示唆している。
【0115】
医薬組成物
本発明のアンタゴニストまたは発現の阻害剤は、医薬として許容可能な賦形剤と、場合により生分解性ポリマーなどの持続放出性のマトリックスと組み合わせて、治療用組成物を形成できる。
【0116】
「医薬として」または「医薬として許容可能な」は、哺乳類、特にヒトに、必要に応じて投与した場合に、拒絶反応、アレルギー反応または他の有害反応を引き起こさない分子的実体および組成物を指す。医薬として許容可能な担体または賦形剤は、非毒性の、固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、任意の型のカプセル化材料あるいは補助製剤を指す。
【0117】
経口、舌下の、皮下の、筋肉内の、静脈内の、経皮的な、局所的な、または直腸の投与用の本発明の医薬組成物において、有効成分は、単独または別の有効成分と組み合わせて、単位投与形態で、従来の医薬的支持体との混合物として、動物および人間に投与できる。適切な単位投与形態は、錠剤、ゲルカプセル、粉末、顆粒および経口の懸濁液または溶液などの経口経路形態、舌下および口腔投与形態、エアロゾル、インプラント、皮下の、経皮的な、局所的、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下の、経皮的な、髄腔内および鼻腔内の投与形態ならびに直腸内投与形態を含む。
【0118】
好ましくは、医薬組成物は、注射可能な製剤のための、医薬として許容可能な媒体を含む。これらは、具体的には、等張性の滅菌した塩水(モノナトリウムまたはジナトリウムのリン酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムなど、あるいはこのような塩の混合物)または状況次第で、滅菌した水または生理食塩水に添加した後に注射溶液の構築を可能にする、乾燥、特に凍結乾燥組成物であってよい。
【0119】
注射使用に適した医薬形態は、滅菌水溶液または水分散液;ゴマ油、ピーナッツ油または含水プロピレングリコールを含む製剤;ならびに滅菌注射溶液または分散液のその場の調製用の滅菌粉末を含む。全ての場合において、形態は、滅菌されなくてはならず、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度まで流動性であるべきである。形態は、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌およびカビなどの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
【0120】
遊離の塩基または薬理学的に許容可能な塩として、本発明の化合物を含む溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合して水で調製できる。分散液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物ならびに油で調製できる。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製品は、微生物の増殖を防止するために、保存料を含む。
【0121】
本発明のアンタゴニストまたは発現の阻害剤は、中性または塩の形態で組成物中に処方できる。医薬として許容可能な塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離のアミノ酸と共に形成される)を含み、例えば、塩酸またはリン酸などの無機酸あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と共に形成される。遊離のカルボキシル基と共に形成される塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化鉄などの無機塩基およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基に由来し得る。
【0122】
担体はさらに、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体プロピレングリコールなど)、それらの適切な混合物および植物油を含む、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要とされる粒子径の保持によって、および界面活性剤の使用によって維持できる。微生物の作用からの保護は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって達成できる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによって達成できる。
【0123】
滅菌注射用組成物は、適切な溶媒において、必要とされる量で、活性ポリペプチドと、上に列挙した様々な他の原料とを組み合わせ、必要に応じてその後ろ過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、様々な滅菌活性成分を、塩基性分散媒および上に列挙されたものから必要とされる他の原料を含む滅菌媒体と組み合わせることによって調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、活性成分に任意の追加の所望の原料を加えた粉末を、あらかじめろ過滅菌してあるそれらの溶液から得る真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0124】
製剤後、溶液は、投与形態に適した形で、治療的に有効な量で投与される。製剤は、上記の注射溶液の型などの様々な投与形態で、容易に投与できるが、薬剤放出カプセルなどもまた用い得る。
【0125】
水溶液での非経口投与に関しては、例えば、溶液は、必要に応じて適切に緩衝化されるべきであり、液体希釈剤は、はじめに十分な塩水またはグルコースを用いて等張にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下のおよび腹腔内の投与に、特に適している。これに関連して、採用可能な滅菌水性媒体は、本開示を考慮すれば当業者には既知であろう。例えば、一投与量を1mlの等張NaCl溶液に溶解し、1000mlの皮下注入流動体に加えるか、または注入予定部位に注入するかのいずれかが可能である。用量のいくらかの変更は、治療される対象の病態次第で必然的に行われる。いずれにしても、投与に責任をもつ人物が、個々の対象のための適切な投与量を決定する。
【0126】
本発明のアンタゴニストまたは発現の阻害剤は、治療用混合物内に、約0.0001から1.0mgまたは約0.001から0.1mgまたは約0.1から1.0またはさらに約10mg/投与量ほどまで含むように処方できる。複数投与量もまた投与できる。
【0127】
静脈内または筋肉内注射などの非経口投与用に処方された、本発明の化合物に加えて、他の医薬として許容可能な形態は、例えば、錠剤または他の経口投与用固体;リポソーム製剤;持続放出カプセル;および現在使用されている任意の他の形態を含む。
【0128】
HCVのインビトロ複製のための系
本発明者らは、BAがFXR依存性シグナル伝達経路を介したHCV RNAの複製に関与することを、実際に立証した。したがって、特定の理論にも拘泥するものではないが、本発明者らは、この観察結果が、天然の肝細胞または肝臓癌細胞系がHCVウィルスによってインビトロで感染できない理由を説明していると考える。したがって、本発明は、大量のHCVの、インビトロの複製を達成するために適した方法を提供する。
【0129】
したがって、本発明の目的は、FXR発現細胞のための培養培地、FXR発現細胞および少なくとも1種のFXRのアゴニストを含む、HCVの複製を可能にする細胞培養系に関する。
【0130】
「FXR発現細胞」という用語は、天然に、または天然にではなくFXRを発現する細胞を意味する。
【0131】
一般的に、FXRは、肝臓、腎臓、腸、結腸、卵巣および副腎を含む様々な組織で発現する(Forman他、1995年)。したがって、FRX発現細胞は、上記の組織から単離された任意の細胞を含む。特定の実施形態において、FXR発現細胞は、単離された肝細胞および腸細胞を含む。他の特定の実施形態において、FXR発現細胞は、肝臓または腸の一次組織培養からなる。FXR発現細胞はまた、上記の組織に由来する細胞系から単離され得る。本発明の好ましい実施形態において、前記発現FXR細胞はヒト肝癌細胞系Huh7(Nakabayashi H.他、1982年)またはHuh7−Lunet(Quinkert D.他、2005年)またはHepG2の細胞単層から選択される。
【0132】
他の実施形態において、FXR発現細胞は、FXRをコードする遺伝子を形質移入された細胞であってよい。
【0133】
他の実施形態において、FXR発現細胞は、細胞がFXRを過剰発現するような方法で形質移入された細胞であってよく、これは、前記細胞により発現したFXRのレベルが、天然にFXRを発現する細胞において発現したFXRのレベルより、少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.5およびより好ましくは少なくとも2倍高いことを意味する。
【0134】
「形質移入」という用語は、外来核酸の細胞への導入を意味し、それ故「形質移入」という用語は、本発明において「形質導入」および「感染」という用語を含む。導入遺伝子または導入配列はさらに、「クローン」または「外来」の遺伝子または配列とも呼ぶことができ、開始、終止、プロモーター、シグナル、分泌などの制御または調節の配列、あるいは細胞の分子機構によって使用される他の配列を含む。導入されたDNAまたはRNAを受容し、発現する宿主細胞は、「形質移入され」ており、「形質移入体」または「組換え細胞」である。
【0135】
組換えDNA技術は、当分野において周知である。例えば、FXRをコードする遺伝子またはその断片を、発現ベクターに組込むことができる。その後、このようなベクターを、所望のポリペプチドを発現する適切な真核生物宿主細胞に導入する。
【0136】
広範囲の宿主/発現ベクターの組み合わせを、FXRをコードする核酸の発現に用いることができる。使用できる有用な発現ベクターは、例えば、染色体、非染色体および合成DNAの配列セグメントを含む。適切なベクターは、限定するものではないが、SV40およびpcDNAの誘導体ならびにcol El、pCR1、pBR322、pMal−C2、pET、pGEX、pMB9およびそれらの誘導体などの既知の細菌プラスミド、RP4などのプラスミド、NM989などのファージIの多くの誘導体などのファージDNA、ならびにM13および線維状一本鎖ファージDNAなどの他のファージDNA、2ミクロンプラスミドまたは2ミクロンプラスミドの誘導体などの酵母プラスミド、ならびにセントロメアおよび統合的酵母シャトルベクター;昆虫または哺乳動物の細胞において有用なベクターなどの、真核生物細胞において有用なベクター;ファージDNAまたは発現調節配列などを用いるために修飾されたプラスミドなどの、プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクターを含む。
【0137】
結果として、哺乳動物の、典型的にはヒトの細胞は、本明細書中において定義されたように核酸または組換えベクターによって形質移入できる。適切な細胞の例は、限定するものではないが、VERO細胞、ATCC番号CCL2などのHELA細胞、ATCC番号CCL61などのCHO細胞系、COS−7細胞およびATCC番号CRL1650細胞などのCOS細胞、W138、BHK、ATCC番号CRL6361などの3T3、A549、PC12、K562細胞、293T細胞、ATCC番号CRL1711などのSf9細胞ならびにATCC番号CCL70などのCv1細胞を含む。
【0138】
FXRアゴニストは、胆汁酸およびCDCA(ケノデオキシコール酸)、GCDCA(グリコケノデオキシコール酸)、TCDCA(タウロケノデオキシコール酸)、GCA(グリココール酸)、TCA(タウロコール酸)、DCA(デオキシコール酸)、LCA(リトコール酸)、DHCA(デヒドロコール酸)、UDCA(ウルソデオキシコール酸)およびCA(コール酸)を含む関連する化合物などのFXRの天然のアゴニストの中から選択できる。さらなる胆汁酸および他のアゴニストは、例えば、Makishima他、(1999年)に記載されている。FXRアゴニストはまた、限定するものではないが、特許出願WO03090745、WO03080803、WO03016288、WO2004046162、WO2004048349、WO2005082925、WO2005097097、WO2005092328、US2006128764、US2005080064およびJP2005281155に記載されたものを含む。FXRのアゴニストはまた、限定するものではないが、コレステロール(Cho)、22−ヒドロキシコレステロール(22−OH−cho)、25−ヒドロキシコレステロール(25−OH−cho)、プレグネノロン、プロゲステロン、デキサメタゾン(DXM)、(E)−[(テトラヒドロテトラメチルナフタレニル)プロペニル]安息香酸(TTNPB)、ファルネソールおよびレチノイン酸(RA)を含む。
【0139】
本発明の好ましい実施形態において、FXRのアゴニストは、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、デヒドロコール酸、ウルソデオキシコール酸、コール酸、ファルネソールまたは(E)−[(テトラヒドロテトラメチルナフタレニル)プロペニル]安息香酸である。
【0140】
本発明の一実施形態において、上記のような細胞培養系は、HCVウィルスをさらに含む。HCVウィルスは、様々な起源および任意の遺伝子型から単離できる。HCVウィルスは、HCVに感染した対象から単離できる。本発明の別の実施形態において、該細胞培養系は、HCVレプリコンなどの複製HCVウィルス材料を形質移入されたFXR発現細胞を含む。レプリコンは、限定するものではないが、任意のHCV遺伝子型または生体試料から構築できる。前記レプリコンは、後述の実施例において記載されるものであってよい。
【0141】
本発明の1つの目的は、上記のような細胞培養系の、HCV感染の診断あるいは抗ウィルス化合物のスクリーニングあるいはHCVウィルス粒子またはHCVウィルスタンパク質の作製あるいは抗HCVワクチンの作製のための使用である。
【0142】
本発明はまた、対象においてHCV感染の診断をするためのインビトロの方法を提供し、前記方法は、
a)FXR発現細胞の培養物を提供するステップと、
b)FXR発現細胞の前記培養物を、対象から得た生体試料と共にインキュベートするステップと、
c)FXR発現細胞の前記培養物を、ステップ(b)の前、後または、ステップ(b)と同時に、少なくとも1種のFXRのアゴニストと共にインキュベートするステップと、
d)前記細胞を、HCVの複製が可能となるために十分な時間培養するステップと、
e)HCVの複製のレベルを検出するステップ
からなるステップを含み、HCVの複製の検出が、前記対象がHCVに感染していることを示唆する。
【0143】
生体試料は、限定するものではないが、血液、血清、血漿または生体検査の際に単離された試料に由来し得る。
【0144】
HCV複製の検出は、当分野において既知の任意の技術により実施できる。このような技術は、抗HCV ELISAアッセイ(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay)を含むことができ、これは、HCVタンパク質に関して試験する。RNAの増幅試験(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応つまりPCR、分岐DNA法)による、HCVの複製に関する試験が使用できる。HCV RNAの合成は、リアルタイムPCRのために設計された装置を使用して単一ステップでRT−PCRにより、またはHCV特異的放射性プローブを使用して、フィルター上でのRNAのハイブリダイゼーションにより実際に分析できる。例として、単離RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)による逆転写および増幅などの、HCVゲノムの増幅を可能にする特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用した、逆転写および増幅の連結に供し得る。その後、直接配列決定を実施し、前記対象に感染しているHCVの遺伝子型を決定できる。
【0145】
陽性結果は、試料中の感染ウィルスの存在を示唆する、したがって、活動性感染および感染の広がりの可能性および/または肝線維症、肝硬変および肝細胞癌などの肝臓疾患の進行を示唆する。
【0146】
本発明はまた、対象においてHCV感染の診断をするための別のインビトロの方法を提供する。この代替の方法は、対象からの生体試料におけるHCVに対する抗体の検出を可能にし、前記方法は、
a)FXR発現細胞の培養物を提供するステップと、
b)FXR発現細胞の前記培養物をHCVウィルスと共にインキュベートする、または複製HCVウィルス材料を前記細胞に形質移入するステップと、
c)FXR発現細胞の前記培養物を、ステップ(b)の前、後または、ステップ(b)と同時に、少なくとも1種のFXRのアゴニストと共にインキュベートするステップと、
d)前記細胞を、HCVウィルスタンパク質を産生させるために培養するステップと、
e)FXR発現細胞の前記培養物を、対象から得られた生体試料と共に、試料中のHCV特異的抗体と、HCVタンパク質とが相互作用可能な条件下でインキュベートするステップと、
f)試料中の抗体と、HCV由来タンパク質との結合を検出するステップ
を含み、前記結合が、試料が由来した対象におけるHCV感染の存在を示唆する。
【0147】
前述の方法において、生体試料は、限定されることなく、血液、血清、血漿、血液細胞、リンパ球または肝臓組織の生体検査に由来できる。前述の診断方法に有用なタンパク質および細胞分画の単離に関する技術もまた、当分野において周知である。
【0148】
上記の様な細胞培養系はまた、大量のウィルス粒子および/またはHCV由来タンパク質を産生するために有用であり得る。HCV粒子は、実際に以下に記載する方法に従って得られる細胞培養物から(またはそれらの培養培地から)、ウィルス粒子の形成が可能な条件下で単離できる。
【0149】
本発明はまた、HCVウィルス粒子またはHCVウィルスタンパク質を産生する方法にも関し、前記方法は、
a)FXR発現細胞の培養物を提供するステップと、
b)FXR発現細胞の前記培養物をHCVウィルスと共にインキュベートする、または複製HCVウィルス材料を前記細胞に形質移入するステップと、
c)FXR発現細胞の前記培養物を、ステップ(b)の前、後または、ステップ(b)と同時に、少なくとも1種のFXRのアゴニストと共にインキュベートするステップと、
d)前記細胞を培養するステップ
からなるステップを含む。
【0150】
特定の実施形態において、上記のような細胞培養系により産生されたウィルス粒子は、抗ウィルス免疫応答を惹起するために個体に投与できる弱毒化組換えワクチンを作製するのに有用であり得る。
【0151】
あるいは、上記の様な細胞培養系により発現される、単離されたHCV由来タンパク質は、HCVワクチンを作製するための出発物質であり得る。
【0152】
さらにあるいは、該細胞培養系により発現される、単離されたHCV由来タンパク質および/またはウィルス粒子は、前記HCV由来タンパク質および/またはウィルス粒子に対する抗体、特に中和特性を有する抗体の作製に有用であり得る。細胞培養物から単離されたHCV由来タンパク質の量を、抗HCV抗体を作製するために動物に投与できる。HCVに対する抗体を作製するさらなる方法は、HCV由来タンパク質との反応性に関するヒト抗体ライブラリィをスクリーニングするステップおよび反応性抗体を発現するライブラリィからクローンを選択するステップを含む。あるいは、モノクロナール抗HCV抗体は、当分野において周知の技術を使用して、ハイブリドーマ細胞系において作製できる。
【0153】
上述の方法により作製された抗体は、HCV感染を治療するための治療目的において有用であり得る。前記抗体は、対象においてHCV感染を診断するために有用であり得る。したがって、前記抗体は、対象においてHCV感染を診断するためのキットの作製に使用できる。本発明に従って調製されたHCV特異的抗体は、様々な生体試料において、HCVの存在および/または繁殖を検出するために使用できる。
【0154】
本発明の細胞培養系は、特定の遺伝型の使用に限定されるものではないので、前記系は、したがって新規のワクチンおよび/または抗ウィルス分子のスクリーニングおよび/または作製、特にウィルス周期の段階の1つに対する活性分子のスクリーニングのために有用であり得る。前記培養系は、HCV感染および/または複製および/またはビリオンの構築を調節できる薬剤の、インビトロのスクリーニングに有用であり得る。
【0155】
本発明は、抗ウィルス分子をスクリーニングする方法に関し、前記方法は、
a)FXR発現細胞の培養物を提供するステップと、
b)FXR発現細胞の前記培養物をHCVウィルスと共にインキュベートする、または複製HCVウィルス材料を前記細胞に形質移入するステップと、
c)FXR発現細胞の前記培養物を、ステップ(b)の前、後または、ステップ(b)と同時に、少なくとも1種のFXRのアゴニストと共にインキュベートするステップと、
d)FXR発現細胞の前記培養物を、ステップ(b)または(c)の前、後または、ステップ(b)または(c)と同時に、候補化合物と共にインキュベートするステップと、
e)HCVの複製および/またはHCV関連タンパク質の発現および/またはHCVウィルス粒子のレベルを測定するステップ
からなるステップを含む。
【0156】
候補化合物の不在下で観察された、HCVの複製および/またはHCV関連タンパク質の発現および/またはHCVウィルス粒子のレベルに対する、候補化合物の存在下で観察された、HCVの複製および/またはHCV関連タンパク質の発現および/またはHCVウィルス粒子のレベルの低下は、候補化合物の阻害活性を示唆する。
【0157】
例えば、ウィルス粒子形成の阻害は、顕微鏡によって検出できる(直接または免疫染色後に実施できる);また、産生されたHCVウィルス粒子の感染性の変化は、細胞培養培地からそれらを単離し、ナイーブ細胞または感受性の動物モデルに適用することによって分析できる。
【0158】
具体的な実施形態において、本発明の細胞培養系は、潜在的抗HCV治療薬のハイスループット一次スクリーニングのための簡便な系を提供する。このようなハイスループットスクリーニング系は、試験化合物の細胞培養系への適用するステップ(例えば、96または324ウェルのマイクロタイタープレートにおいて増殖させる)、その後の、HCVの複製および/またはHCV関連タンパク質の発現および/またはHCV粒子の産生における変化を測定する(例えば、マルチプレートリーダーまたはスキャナーを使用する)ステップを伴う。
【0159】
本発明によれば、候補治療化合物は、限定されることなく、小分子、阻害性ペプチド、阻害性(例えば、トランスドミナントネガティブ)タンパク質、抗体、具体的には中和抗体、リボザイムならびにアンチセンス核酸を含む。
【0160】
本明細書中に記載のように、上記のようなインビトロのスクリーニング方法を使用して特定された抗HCV治療化合物を、感受性の動物モデルにおける二次スクリーニングを使用して、HCVの繁殖に作用するそれらの能力に関してさらなる特徴付けができる。HCVの親和性に基づく、本発明の好ましい小動物モデルは、ツパイの、ツパイア・ベランゲリ・キネンシス(Tupaia belangeri chinensis)である。好ましい大型動物モデルはチンパンジーである。実験動物を、最も強力な阻害効果を生みだす候補化合物を用いて治療する(対照の動物は治療せず、可能な場合は陽性対照もまた用い得る)。動物をウィルスによる感染から保護する、および/または病原性をもたらすウィルスの繁殖を阻害する化合物は、HCV感染の治療/予防用薬剤の開発のための魅力的な候補である。さらに、動物モデルは、薬物動態的および毒物学的研究に関する基盤を提供する。
【0161】
本発明を、以下の図面および実施例を鑑みて、さらに例示する。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】DCAによる、HCVレプリコン1bの複製の増強を示す図である。DCAの短期効果:Huh7細胞に、エレクトロポレーションにより、複製レプリコンR1b(四角)または欠損型レプリコンRp−del(三角、破線)のどちらかを形質移入した。エレクトロポレーションの4時間後、細胞を、DCA(100μM)で処理した(黒いドット)、または処理しなかった(白いドット)。DCA処理の、表示の日数の後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性(相対光度単位、RLU)を測定した。結果は、4時間後のルシフェラーゼの相対比率として示し、三連の平均±S.D.である。
【図2】DCAによる、HCVレプリコン1bの複製の増強を示す図である。DCAの長期効果:Huh7細胞を、Aに記載のように処理した。DCAは、横座標のすぐ上のハッチング棒により示されたように、各継代後24時間を除いて、培養の間ずっと培養培地に存在した。細胞を、破線で示したように、形質移入後72時間、その後7、10および14日に1:3に希釈して継代した。細胞を、ルシフェラーゼ活性(矢印)を測定するための所与の時点で回収した。結果を、図1で前述したように表す。
【図3】ルシフェラーゼ活性とHCVマイナス鎖RNAのコピー数との相関関係を示す図である。Huh7−Lunet細胞に、エレクトロポレーションにより、R1bを形質移入した。エレクトロポレーションの4時間後、細胞を、DCA(25μMおよび100μM)で処理した、または処理しなかった。細胞を、1:3の希釈で、1回継代した。形質移入後6日目に、細胞の一部を、ルシフェラーゼ活性の測定のために溶解し、他の部分をRNAレベルの定量化に使用した。HCV RNAレベルを、RQ−PCRにより測定し、全RNA定量法を使用して正規化した。
【図4】BAを含むFXRのリガンドが、HCVの複製を上方制御することを示す図である。 A.遊離および抱合BAの、サブゲノムHCV RNAの複製に関する用量応答効果。Huh7細胞に、エレクトロポレーションにより、複製レプリコンR1bを形質移入した。エレクトロポレーションの4時間後、Huh7細胞を、10、50または100μMの、遊離の胆汁酸DCA(左のパネルの黒い棒)およびCDCA(右のパネルの黒い棒)ならびにそれらのグリコ(G)、またはタウロ(T)抱合誘導体(白い棒)で72時間処理した。未処理細胞を、(R1bのみを用いた)を、破線の棒として示した。結果を、図1で前述したように表す。 B.ファルネソイドX受容体(FXR)のアゴニストのみがHCV RNAの複製を上方制御する。細胞を、100μMの、表示の胆汁酸[ケノデオキシコール酸(CDCA)、デオキシコール酸(DCA)、リトコール酸(LCA)、コール酸(CA)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)]または以下のステロイド:それぞれ10μMの、コレステロール(Cho)、デキサメタゾン(DXM)、プレグネノロン、ファルネソール、TTNPB;5μMの、22−ヒドロキシコレステロール(22−OH−Cho)、プロゲステロン;1μMの、25−ヒドロキシコレステロール(25−OH−cho)および9−cisレチノイン酸、の1つで72時間処理した。FXRのアゴニストは、黒い棒として示し、一方、他のNR1のアゴニストは、白い棒として示す。結果を、図1で前述したように表す。
【図5】FXRの阻害によりHCV RNAの複製が減少することを示した図である。 A.ググルステロンが、基本の、およびBAにより誘導されるHCVの複製を阻害することを示す。Huh7−Lunet細胞に、R1bを形質移入した。エレクトロポレーションの4時間後、細胞を、100μMのCDCAおよび異なる濃度のググルステロン(0.01μMから20μMまで)で72時間処理した、または処理しなかった。結果を、図1で前述したように表す。 B.FXRのサイレンシングが、Huh7細胞におけるCDCAによるHCVの複製の上方制御を消失させる。Huh7細胞に、60nMの、FXRに特異的な低分子干渉RNA(siRNA)二重鎖(黒い棒)またはGAPDH(白い棒)を形質移入した。一晩インキュベートした後で、細胞に、R1bを形質移入し、CDCAで処理した(100μM、右のパネル)または処理しなかった(左のパネル、R1bのみ)。ルシフェラーゼ活性を、エレクトロポレーションの72時間後に測定した。結果を、図1で前述したように表す。グラフの下の値は、FXRの不活性化による、複製の阻害パーセントを示す。これらの阻害率の有意性は、スチューデントt検定によるp値としてその下に示す。 C.FXR、GAPDHおよびRibS12の発現のRT−PCR分析を示した図である。siRNAの形質移入後48時間で、全RNAをHuh7細胞から抽出し、FXR、GAPDHおよびRibS12に関するRT−PCRを、材料と方法に記載したように実施した。RibS12に関するRT−PCRは、内部対照として実施した。RT−PCR産物(FXRに関して362pb、GAPDHに関して199pbおよびRibS12に関して338pb)を、3%アガロースゲル電気泳動の後で、臭化エチジウムを用いて染色することによって検出した。
【図6】IFNおよびFXRの調節因子は、独立してHCV RNAの複製に作用する。形質移入されたHuh7−Lunet細胞を、用量を漸増させたIFN−α2bで72時間処理した。使用した条件は、R1b単独(白い四角)、R1b+10μMのGGS(白い三角)、Rib+100μMのCDCA(黒い四角)およびRib+前と同じ濃度のCDCA+前と同じ濃度のGGS(×と破線)であった。結果を、図1で前述したように表す。
【図7】異なるHCV遺伝型に関するFXRの異なる活性を示す図である。Huh7−Lunet細胞に、遺伝型1aのレプリコン(R1a、左のパネル)または遺伝型1bのレプリコン(R1b、右のパネル)のどちらかを形質移入した。エレクトロポレーションの4時間後、細胞を、100μMのCDCA(黒い棒)または10μMのGGS(破線の棒)のどちらかで処理した。mock処理細胞を、白い棒として示す。結果を、図1で前述したように表す。
【実施例】
【0163】
材料と方法
材料:Schering−Ploughから入手したIFNa−2bは別として、本研究で使用したすべての化学薬品は、Sigma(Saint−Quentin,France)から購入した。
【0164】
被験BAは、コール酸(CA)、ケノデオキシコール酸(CDCA)、グリコケノデオキシコール酸(GCDCA)、タウロケノデオキシコール酸(TCDCA)、デオキシコール酸(DCA)、グリコデオキシコール酸(GDCA)、タウロデオキシコール酸(TDCA)、リトコール酸(LCA)およびウルソデオキシコール酸(UDCA)を含む。
【0165】
使用した核内受容体アゴニストは、コレステロール(Cho)、22−ヒドロキシコレステロール(22−OH−cho)、25−ヒドロキシコレステロール(25−OH−cho)、プレグネノロン、プロゲステロン、デキサメタゾン(DXM)、(E)−[(テトラヒドロテトラメチルナフタレニル)プロペニル]安息香酸(TTNPB)、ファルネソールおよびレチノイン酸(RA)であった。
【0166】
ググルステロン(GGS)[トランス−4,17(20)−プレグナジエン−3,16−ジオン]を、FXRのアンタゴニストとして使用した。
【0167】
全ての化合物を、それらの溶解性に従って、水、エタノールまたはジメチルスルホキシドにおいて10mMのストック溶液として調製した。これらのストック溶液を、完全DMEMで使用溶液として10倍に即時希釈し、エレクトロポレーションの4時間後に細胞培養物に加え、最終的な所望の濃度を得た。
【0168】
抗体:NS4A(2E3C2)(Ferrieu−Weisbuch C.他、2006年)、NS5A(4F3H2)(Deforges,S.他、2004年)モノクロナール抗体は、Biomerieuxのご厚意により提供された。FITC−結合F(ab’)2ヤギ抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch)を、二次抗体として使用した。
【0169】
細胞培養:ヒト肝癌細胞系Huh7(Nakabayashi H.他、1982年)またはHuh7−Lunet(Quinkert D.他、2005年)の細胞単層を、37℃において、加湿5%CO雰囲気で、2mMのL−グルタミン、1mMのHEPES、1%の非必須アミノ酸、50Uのペニシリン、50μgのストレプトマイシン(すべてLife Technologies、Cergy−Pontoise、Franceから入手)および10%ウシ胎児血清(PAN Biotech GmbH、Aidenbach、Germany)を添加したダルベッコ変法最小基礎培地(Dulbecco’s modified minimal essential medium)(DMEM)を指す「完全培地」で日常的に増殖させた。ナイーブ細胞を、0.05%トリプシン−0.02%EDTA(Life Technologies)を使用して、一週間に二回継代し、1:3から1:5の希釈で播いた。
【0170】
レプリコン:3種のサブゲノムレプリコン:それらの遺伝型の起源によりR1aおよびR1bと呼ばれる2種の複製型、およびRNA−依存性RNAポリメラーゼ(Rp−del)に変異を有し、それ故複製ができず、全ての実験において陰性対照として使用した、R1bレプリコンの誘導体を、本研究に使用した。それらは、ホタルルシフェラーゼ(Photinus pyralis)レポーター遺伝子をHCV IRESの下流に含むバイシストニックRNAであり、脳心筋炎ウィルス(EMCV)IRESの下流のポリプロテインNS3からNS5Bをコードする配列である。レプリコンを作製するために使用したプラスミド構築体のpFK−I−341−PI−Iuc/NS3−3’/ET(27)(R1b用)、pFK−I−341−PI−luc/NS3−3’/GND(Rp−del用)およびpFK−I−341−PI−Iuc/NS3−3’/H77/DR(R1a)は、Ralf Bartenschlager(University of Heidelberg,Germany)から入手した(Kronke J.他、2004年;Lohmann V.他、2003年)。
【0171】
HCVレプリコンの転写産物を作製するために、プラスミドDNAをまずAsel(New Englands Biolabs,Saint Quentin,France)およびScal(Roche Diagnostics,Meylan,France)により制限した。その後、フェノール−クロロホルムによる抽出およびエタノール沈殿の後で、RNaseを含まない水にDNAを溶解し、RiboMax large Scale RNA production system T7(Promega)によるインビトロの転写に使用した。反応混合物は、80mMのHEPES(pH7.5)、24mMのMgCl2、2mMのスペルミジン、40mMのジチオストレイトール(DTT)、それぞれ3mMのヌクレオシドトリフォスフェート、5μgの制限プラスミドDNAおよび10UのT7 RNAポリメラーゼを含んだ。転写を、4時間の間37℃で実施し、プラスミドDNAμg当たり2UのRNaseを含まないDNase(Promega)と共に、37℃において、20分インキュベートして終了した。
【0172】
転写産物を抽出し、酸性のフェノール−クロロホルムを用いて精製し、その後イソプロパノールを用いて沈殿させ、RNaseを含まない水に溶解した。RNAの完全性を、変性アガロースゲル電気泳動により調べ、260nmにおける吸光度を測定することにより、濃度を測定した。
【0173】
RNAの形質移入:レプリコンを、Huh7細胞にエレクトロポレーションにより形質移入した。
【0174】
Huh7細胞のサブコンフルエントな単層を培養皿からトリプシン処理によって分離し、完全DMEMですすいだ。細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて1度洗浄し、計測し、細胞10個/mLでCytomix buffer(Van den Hoff,MJ.他、1992年)に再懸濁した。400μLの細胞懸濁液を、8μgのRNA(R1a、R1bまたはRp−del)と、穏やかにピぺッティングすることにより混合し、0.4cm幅のエレクトロポレーション用キュベット(BioRad)に移した。混合物を、速やかに270V、950μFおよび最大抵抗において、Gene Pulser System(BioRad)を使用して、1回の電気パルスに供した。
【0175】
エレクトロポレーション後、400μLの各細胞懸濁液を9mLの完全DMEMで希釈し、24−ウェルプレート(1mL/ウェル)に播くまで一緒にプールした。
【0176】
ルシフェラーゼアッセイ:細胞を、PBSで洗浄し、80μLの1×ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Luciferase Cell Culture Lysis Reagent)(Promega)を用いてプレートから掻き取った。40μLの溶解物を、96ウェルプレートに移し、200μLのLuciferase Assay Reagent(Promega)と混合した。相対光度単位(RLU)として表した発光を、シンチレーションカウンター(Top Count NXT,Perkin Elmer)で、10秒間、速やかに測定した。
【0177】
データは、3連の培養の平均である。Krieger他に従って、エレクトロポレーションの4時間後に回収した細胞のルシフェラーゼ活性を、形質移入効率を確定するために使用した(Krieger N.他、2001年)。この値を、エレクトロポレーションの4時間後に得られた値の相対比率として表した。特に明示しない限り、RLU値は、細胞がコンフルエントであった場合、形質移入の72時間後に確定した。
【0178】
HCV RNAの定量化:エレクトロポレーションを行った細胞を、25および100μMのDCAで6日間処理した、または処理しなかった。全RNAを、培養細胞から、RNeasy Mini kit(Qiagen S.A.,Courtaboeuf,France)を使用して、製造業者の指示に従って抽出し、分光光度法により260nmにおいて定量化した。Rpのマイナス鎖の定量化は、前述のような5’HCV非翻訳領域のリアルタイム定量的RT−PCR(RQ−PCR)により実施した(Komurian−Pradel F.他、2004年)。簡潔に言うと、全RNAの4μLを、Thermoscript(商標)逆転写キット(Invitrogen)を使用して、HCV 5’UTRのマイナス鎖に特異的なプライマータグRC1(配列番号1、5’ GGC CGT CAT GGT GGC GAA TAA GTC TAG CCA TGG CGT TAG TA 3’)を用いて逆転写し、8分70℃、その後5分4℃の変性ステップの後、RNAの鋳型を、60℃で1時間、7.5UのThermoscript(商標)逆転写酵素および20UのRNaseOUTと共にインキュベートした。転写を、5分95℃、その後5分4℃でインキュベートすることにより終了させた。2μLの合成cDNAを、LightCycler apparatus(Roche Diagnostics,Meylan,France)で、5pmolのプライマー対タグRC1およびRC21(配列番号2、5’CTC CCG GGG CAC TCG CAA GC 3’)を使用して、最終容量20μLで、LightCycler FastStart DNA Master SYBR Green I kitを用いて、リアルタイム定量的PCRに供した。熱サイクル条件は以下の通りであった:95℃で120秒の初めの変性ステップの後、PCRは、変性(95℃で2秒)、アニーリング(60℃で5秒)および伸長(72℃で15秒)の45サイクルからなった。各ステップに関して、温度遷移速度は、20℃/秒であり、蛍光観察は各伸長ステップの後に行った。選択されたプライマーにより提供される特異性は、増幅産物の溶融曲線分析によって確認できた。定量化は、外部標準曲線を使用して実施した。
【0179】
低分子干渉RNA実験:Huh7細胞を、100mmのペトリ皿に、細胞5.10個/皿で播いた。一晩接着させた後、低分子干渉RNA(siRNA)の形質移入を、10μg/mLのLipofectamine 2000(商標)(Invitrogen)および100nMのsiRNAを含むOptiMEM培地(Life Technologies)で、4時間実施した。その後、培地を新鮮な完全DMEMに交換した。一晩インキュベートした後で、R1bを、エレクトロポレーションにより、先に記載したプロトコルに従って形質移入した。FXRに特異的なsiRNA二重鎖(siFXR)は、Dharmakon(Lafayette,CO)から、SMARTpool(商標)(M−003414−00−0005ヒトNR1 H4)として購入した。グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼであるGAPDHに特異的なsiRNAは、Ambion(Austin,TX)から購入し、非特異的効果を試験するための対照として使用した。
【0180】
RNAノックダウンの効率を、Thermoscript reverse transcriptase kit(Invitrogen)を使用して、製造業者のプロトコルに従って、RT−PCRにより調べた。全RNAを、エレクトロポレーションの4時間後に、TRIzol reagent(Invitrogen)を使用して単離した。PCRのプライマーは、FXR用には5’GCAGCCTGAAGAGTGGTACTCTC3’(配列番号3)、5’CATTCAGCCAACATTCCCATCTC3’(配列番号4)、GAPDH用には、5’GGAAGGTGAAGGTCGGAGTC3’(配列番号5)、5’CACAAGCTTCCCGTTCTCAG3’(配列番号6)、内部対照として使用したハウスキーピング遺伝子リボソームS12用には、5’GGAGGTGTAATGGACGTTA3’(配列番号7)、5’CTGAGACTCCTTGCCATAG3’(配列番号8)であった。PCRのパラメーターは、2分94℃の変性後、94℃で30秒、52℃(FXRおよびRibS12用)または60℃(GAPDH用)で30秒、72℃で45秒を、25(GAPDH用)または30(FXRおよびRibS12用)サイクルであった。
【0181】
免疫蛍光染色:エレクトロポレーションの3日後、細胞を、8ウェルのチャンバースライドに、細胞5×10個/ウェルの濃度で播いた。24時間後、スライドを、PBSで洗浄し、2/3アセトン−エタノールで5分間、−20℃において固定し、その後50分間、0.2MのPBS−グリシンで遮断した。一次抗体を、0.2MのPBS−グリシンで1:500に希釈して細胞に加え、1時間、室温においた。PBSで3回洗浄した後、フルオレセイン結合二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を、0.2MのPBS−グリシンで1:50に希釈して細胞に加え、40分間、室温においた。その間に、細胞を、Evans Blue(Merck)を用いて対比染色した。
【0182】
FACS分析:エレクトロポレーションの72時間後、単一細胞懸濁液を、FACS分析のために調製した。簡潔に言うと、細胞0.8.10個を固定し、Cytofix/Cytoperm(PharMingen)を用いて15分間室温で膜透過性にした。細胞を、Perm/Wash Buffer(PharMingen)で1:500に希釈した一次抗体で30分間染色した。結合モノクロナール抗体を、Perm/Wash Bufferで1:100に希釈した二次抗体と共に30分間、4℃においてインキュベートすることにより検出した。染色細胞をPBS中で再懸濁した後、FACSCalibur 3C(BD Biosciences)を使用して分析した。
【0183】
結果
Huh7およびHuh7−Lunetの形質移入細胞におけるHCV RNAの複製についてのBAの効果:Huh7細胞をまず、BAの全プールのおよそ20%に相当する、ヒトの胆汁において見出される主要な二次BAである、DCAで処理した(Kullak−Ublick GA.他、2004年)。DCAを、細胞培養培地に、肝炎の際に通常測定される血清BAの濃度に対応する100μMの濃度で、加えた(Fischer S.他、1996年)。遺伝型lbレプリコン(R1b)の複製についての効果を、HCV RNAのレプリコンの発現に依存した状態でルシフェラーゼ活性を測定することにより、細胞がコンフルエントになるまで、毎日観察した。未処理の細胞と比較して、DCA処理した細胞の死亡率が増加しなかったことに気がつかされる。エレクトロポレーションの4時間後、レプリコンR1bおよび複製欠損対照レプリコン(Rp−del)により処理された細胞におけるルシフェラーゼ活性は、非常に似ており、エレクトロポレーションされたRNAの翻訳、したがって形質移入効率を反映していた。それ以降、Rp−del処理細胞におけるルシフェラーゼ活性は、継続的に減少し、72時間には、バックグラウンドレベルに達し、(図1)複製が起こらない場合にルシフェラーゼ活性が消失することが確認された。DCA処理Rp−del細胞のルシフェラーゼ活性曲線は、未処理Rp−del細胞の曲線に正確に重なり、DCAがRNAの安定性またはHCVタンパク質の半減期を増加しなかったことを暗示する。R1bを形質移入した細胞において、ルシフェラーゼ活性は、はじめは減少し、その後48時間で安定し、低いレベルで安定を維持する。それに反して、DCA処理R1b細胞のルシフェラーゼ活性は、細胞がコンフルエントになった場合、DCA処理後特に72時間で有意に高く、15倍の増加を示す。本発明者らはその後、これらの高い複製レベルが、いくらか継代した後に時間と共に維持され得るかどうかを評価したかった。細胞を、それらがコンフルエントになった時に(3または4日毎)分割し、1:3に希釈して再度播いた。BAを、細胞を回復させ、BAの分泌の自然な剰余を刺激するために、それぞれの継代後24時間に加えた。ルシフェラーゼ活性の高いレベルは、2週間を超えて維持できた(図2)。しかし、ルシフェラーゼ活性は、処理の72時間後にわずかに増加しただけで、それ故この時点をその後の実験において選択した。
【0184】
BA処理に関して、ルシフェラーゼ活性は、高度に許容な細胞系Huh7−Lunetにおいて、Huh7においてと同じ割合で変化する(データ非掲載)。本発明者らは、その後観察された効果が、複製についての直接の効果であったことを確認したかった。複製率は、Huh7−Lunet細胞において、Huh7細胞におけるより高い(Fischer S.他、1996年)ので、それらの細胞を、RQ−PCRによる、HCV RNAのマイナス鎖中間体の定量化に使用した。図3に示すように、HCV RNAのレベルは、DCA処理についてのルシフェラーゼ活性と同じ割合で増加した。
【0185】
これらのデータ全体は、ルシフェラーゼ活性のDCAにより誘導された増加は、タンパク質またはRNAの安定からではなく、HCV RNAの複製の上方制御からもたらされることを示唆する。
【0186】
BAの効果は、核内受容体FXRにより仲介される:用量応答実験を、その後主な一次および二次BA(それぞれ、CDCAおよびDCA)の遊離型(疎水性)および抱合型(水溶性)を用いて実施した(図4A)。BAを、健康な個体の血清において観察される濃度(およそ5から10μM)、または慢性胆汁うっ滞性肝炎の際に観察される濃度(およそ100μM)で加えた(Fischer S.他、1996年)。ルシフェラーゼ活性についての遊離のDCAおよびCDCAの効果は、用量応答であり、いくらかの特異的活性は、CDCAに関しては10μMほどの低い濃度でもすでに検出可能であり、100μMで最大濃度に達する。より高い濃度(200μMを超える)は、レプリコンを形質移入した細胞にとっては有害であった(非掲載)。CDCAは、DCAより効果的にHCV RNAの複製を上方制御すると思われた。30を超える同様の実験の結果は、これらの遊離のBAの明確に高い効果を常に示した。100μMのCDCAを用いて処理したR1bのHuh7またはHuh7−Lunet細胞におけるルシフェラーゼ活性は、基礎レベルの10から20倍で一定であった。それに反して、グリコ−、またはタウロ−抱合誘導体は、効果が観察されない、または非常にわずかな効果のみが観察できた。抱合型または遊離のBAの両方とも、細胞膜受容体TGR5に結合するが、遊離のBAのみが、肝癌細胞系において発現しない活性化核内受容体である特定の輸送体の存在なしに細胞膜を越えられる(Brown MS.他、1997年)。したがって、遊離BA型に限定されたBAのHCV RNAの複製についての効果は、核内受容体により仲介される機序を示唆する。
【0187】
BA、ステロールおよび脂肪酸は、肝臓および腸において発現する核内受容体のNR1ファミリーの天然のリガンドに構造的に関連がある。ナノモル範囲で標準ステロイド受容体を活性化する内分泌分子とは反対に、これらの受容体のリガンド(BA、脂質およびステロイド)は、高濃度で生理学的に存在し(μM範囲)(Francis GA.他、2003年)、それらの受容体を、10〜15μMのEC50が活性化する(Edwards PA.他、2002年)。本研究に使用したNR1アゴニストの濃度は、Parks他、の研究(Parks DJ.他、1999年)に従って選択し、顕微鏡観察およびトリパンブルーを用いた色素排除試験(Trypan blue exclusion assay)による評価の後で、Huh7細胞に細胞毒性を示さなかった最も高い濃度であった。BAは、FXRのための天然のリガンドとして、近年記載された(Makishima M.他、2002年;Parks DJ.他、1999年)。BAが、FXRを介してHCV RNAの複製に関するこれらの効果を仲介したかどうかを調べるために、本発明者らは、超生理学的濃度でFXRを活性化する先に記載した2種のFXRリガンド、つまりファルネソールおよび合成レチノイドのTTNPBをそれぞれ10μMで、およびCA、LCAおよびUDCAなどの他のBAを全て100μMの濃度で含む、FXRリガンドのパネルを試験した(図4B)。本発明者らは、CDCAが最も有力な活性因子であり、続いて二次BAであるDCAおよびLCAが有力であることを見出した。CAおよびUDCAは、ほんのわずかな活性を示した。ルシフェラーゼ活性もまた、ファルネソールおよびTTNPBによりわずかに増加した。これらの結果は、全てのFXRアゴニストが、HCVの複製を増強できることを示唆する。HCVの複製についての活性のプロフィールは、FXRの活性化に関して公になっているリガンドのパターンに非常に類似しており(Makishima M.他、2002年)、FXRが、Huh7細胞においてHCV RNAの複製についてのBAの効果を仲介する受容体であることを示唆する。
【0188】
LCAもまた、PXRのためのリガンドであるので、本発明者らは、PXRを活性化することが示されている、プレグネノロン(10μM)、プロゲステロン(5μM)、デキサメタゾン(合成グルココルチコイド)(10μM)を含む天然発生のステロイドを試験した(Goodwin B.他、2003年)。これらの化合物はどれも、ルシフェラーゼ活性の上方制御を少しも誘導しなかった。他の核内受容体との交差反応の可能性をさらに排除するために、本発明者らは、肝臓X受容体であるLXRのためのリガンドであるオキシステロール(コレステロール(10μM)、22−ヒドロキシコレステロール(5μM)または25−ヒドロキシコレステロール(1μM))などのNR1ファミリーの受容体に結合することが既知の、構造的に関連した化合物を試験した。それらはいずれも、複製についての効果を少しも示さなかった。これらの受容体のヘテロダイマーパートナーであるRXRの9−cis−レチノイン酸による活性化すらも示さなかった。
【0189】
それ故、HCV RNAの複製は、ファルネソイド核内受容体であるFXRのアゴニストによる上方制御である。
FXRの阻害により、HCV RNAの複製が減少される:本発明者らは、次に、HCV RNAの複製についてのBAの効果が、FXRのアンタゴニストにより遮断できるかどうかを疑問に思った。ググルステロン(GGS)は、インディアン・ググルツリー(コミフォラ・ムクル)から抽出される天然のステロールであり、これはマイクロモル範囲でFXRに拮抗する(Urizar NL.他、2002年)。GGSを、細胞培養物に加えた場合、CDCAの効果は用量依存的な形で阻害された(図5A)。同様の結果を、DCAで処理した細胞に関しても得ることができた(データ非掲載)。明らかにGGSは、BAの刺激無しに、HCVの基礎複製をさらに阻害できた。胆汁塩排泄ポンプのプロモーターに推進されるルシフェラーゼ構築体を有するHepG2細胞におけるトランス活性化アッセイにおいて、GGS単独ではFXRの活性に効果はなかったことは興味深い(Urizar NL.他、2002年)。これは、細胞のBA合成およびBAの細胞内含有量による可能性がある、Huh7細胞におけるFXRの基礎活性と思われる。FXR活性の基礎レベルは、他の関連プロモーターを活性化するために十分であり得(Laffitte BA.他、2000年)、したがって外因性のFXRの活性化が存在しない場合のGGSの阻害に感受性がある。基礎活性の半分(IC50)の減少を起こす阻害濃度は、およそ2μMであり、これはFXRの特異的阻害の範囲内である(Nakabayashi H.他、1982年)。20μMのGSSは、複製をほぼ全て阻害した(95%まで)。より高い濃度(40μM)は、レプリコンを形質移入した細胞にとって有害であった。
【0190】
GGSが、いくつかの他のステロイド受容体のための高親和性リガンドであったことが最近公開された(Burris TP.他、2005年)。本発明者らは、FXR遺伝子サイレンシング実験を実施することにより、HCV RNA複製の調節におけるFXRの役割をさらに確認した。エレクトロポレーションおよびBAの添加の24時間前に、Huh7細胞にsiRNA二重鎖を形質移入し、FXRまたはGAPDHの遺伝子サイレンシングを誘導した。図5Bに示したように、CDCAの活性は、エレクトロポレーションの3日後に、有意に77%減少した(スチューデントt検定、p=0.0001)。siRNAの効率は、FXRおよびGAPDHの転写産物のRT−PCR分析により、それらの形質移入の48時間後に確認した(図5C)。全体として、これらの結果は、この受容体の特異的拮抗作用が、外来性BAを添加しなくてもHCV RNAの複製を阻害できることを示唆している。
【0191】
FXR調節因子は、HCVタンパク質の発現を修飾する:その後本発明者らは、HCV RNA複製の調節が、タンパク質の発現における調節と相関したかどうかを調査した。この目的のために、本発明者らは、FXR調節因子の効果を、非構造タンパク質であるNS4aおよびNS5aを免疫標識することによって、個々の細胞レベルで調べた。Rp−del形質移入細胞を、陰性対照として使用した。これらの対照細胞において複製は起こらないので、HCVタンパク質は培養の3日後にも検出されなかった。これに反して、細胞においては複製が起こり(すなわち、R1bが形質移入された)、有意な数の陽性細胞が、抗NS4aまたは抗NS5a抗体のどちらかと共に検出できた。これらの陽性細胞を、NS5a標識のFACS分析により定量化し、22%であった。CDCA処理培養物は、陽性細胞の数において中程度の増加(27%)のみを示したが、陽性細胞における平均蛍光強度は実質的に16から39に増加した。これらの結果は、レプリコンを含有する細胞の繁殖における増加ではなく、大部分は感染細胞内の複製およびゲノムの発現の増加であることを示唆した。再度GGSは、ほぼ完全にNS4aおよびNS5aの発現を破壊し、処理の3日後には残存する陽性細胞がわずか4%であり、これらの細胞における蛍光強度は非常に弱かった。このことは、FXRのアンタゴニストが、感染細胞においてHCVのクリアランスの達成に役立っていた可能性を示唆する。
【0192】
IFNおよびFXRの調節因子は、独立してHCV RNAの複製に作用する:BAが、2’5’オリゴアデニル酸シンターゼ活性(OAS)を阻害することにより、IFNシグナル伝達経路を調節できたこと(Podevin P.他、1999年)およびそれらがIFNにより誘導されるSTAT1のリン酸化を下方制御し、それ故、PECの複製が可能であることが提唱されたこと(Chang KO.他、2004年)が示唆されてきたので、本発明者らは、BAによるHCV RNAの上方制御もまた、本発明者らの系におけるIFN活性に対する干渉により起こるのかどうか疑問に思った。この疑問に対処するために、本発明者らは、R1b形質移入細胞を、0から50U/mLの濃度範囲のIFNを用いて、CDCA処理と併せて、またはCDCA処理はせずに処理した。
【0193】
CDCAの存在下で期待されたように、HCV RNAの複製は、未処理細胞におけるよりも非常に大幅に上昇した(図6)。それにもかかわらず、BA未処理細胞に関しては、IFN処理は、この複製を依然として徐々に阻害できた。両方の条件において、IFN処理は、0.1U/mLから有効になり始め、IC50は、非常に近い(それぞれ0.25U/mLおよび0.3U/mL)。したがって、BAは、IFN−αの活性に影響を与えていない。BAによるHCV RNAの複製の上方制御は、これらの細胞において、IFN経路の阻害に関して独立している。
【0194】
さらに、10μMのGGSと、所与の濃度のIFNとを合わせることにより、ルシフェラーゼ活性をさらに約10倍減少させることができた。90%の複製阻害が、0.9U/mLのIFNを、mockおよびCDCA処理細胞に用いることで達成できた。GGSの10μMを培養物に加えた場合、同じレベルの阻害が、わずか0.1(mock)または0.2U/mL(CDCA)のIFNを用いて達成できた。それ故、IFNおよびGGSの効果は独立していると思われた。それ故、FXRは、SVR率の上昇またはIFN毒性二次効果の減少のどちらかを行う、IFNと組み合わせた抗HCV治療に関する標的として予測できた。
【0195】
異なるHCV遺伝型についてのFXR調節の比較効果:今まで本研究に使用したCon1−遺伝型lbレプリコンは別として、1つの他の遺伝型に由来する1つの他のレプリコンが開発された。H77株に由来する遺伝型laレプリコンは、Huh7−LunetまたはHuh7.5などの高度に許容な細胞系を、複製のために必要とする(Blight KJ.他、2002年。これらのレプリコンもまた、FXRの調節に感受性であるかどうかを評価するために、Huh7−Lunet細胞に、R1bおよびR1aを並行して形質移入し、FXRのアゴニストとしてCDCA、またはFXRのアンタゴニストとしてGGSを用いて処理した(図7)。遺伝型laレプリコンは、FXRの調節に対する応答において、処理後72時間で遺伝型1bと同じ挙動を示した。
【0196】
考察:
細胞を、生理的および病理学的な濃度のBAを用いて処理することにより、HCVの5’非翻訳領域の制御の下で、ルシフェラーゼ遺伝子を担持する遺伝型1のバイシストロニック サブゲノム HCV レプリコンを含有する細胞において、ルシフェラーゼ活性が非常に、10倍を超えるまでに増強された。RNaseに対する保護などの、BAによるレプリコンの安定効果の可能性を除いて、複製欠損レプリコンについてはBAの効果は見られなかった。BA処理の後で、ルシフェラーゼ活性変化と同じ割合での、HCV RNAのマイナス鎖の数の直接の増加、強制的複製仲介もまた観察された。それ故、遺伝型1のHCVのサブゲノムレプリコンの複製は、Huh7細胞系においてBA誘導性経路により高度に刺激されると思われた。細胞膜を自由に超えられる非抱合BAのみが、HCV RNAの複製を調節でき、機序が核内受容体に依存することを示唆する。実際に、遊離のBAの中で、FXRのリガンドのみが、HCV RNAの複製について活性であり、一方、FXRのアンタゴニストであるGGSおよびsiRNAによるFXRの無効化により、BA誘導性のHCV RNAの複製が無効になった。さらに、HCV RNAの複製の基礎レベルでさえ、外来性BAの不在の下、GGSにより阻害され、活性化FXRの基礎細胞レベルが、HCV RNAの複製を維持するために必要であることを示唆する。
【0197】
これらの結果は、少なくとも遺伝型1のHCV RNAの複製に必要なFXRに依存する、BAシグナル伝達系を特定するものである。この経路をさらに特徴付けるために、本発明者らは、この経路とインターフェロン1型の抗ウィルス活性との関連の可能性を問うた。実際に、抱合および非抱合のBA両方による細胞膜受容体TGR5の活性化は、細胞内cAMPレベルを増加させる、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ経路を活性化し、1型IFNによるSTAT1のリン酸化を阻害する(Chang KO.他、2004年)。BAは、TGR5の刺激を介したブタ腸内ウィルスの複製のために、インビトロで必要とされることが示された。しかし、本研究において、抱合BAの効果がなければ、HCV RNAの複製の調節においてTGR5の役割は与えられそうになかった。さらに、BA、さらにより具体的には非抱合CDCAが、肝癌細胞系においてIFNシグナル伝達経路の異なるステップを調節でき、OAS、MxAおよびIFN応答の主要なタンパク質であるRNA活性化タンパク質キナーゼであるPKRの発現の誘導および活性化を阻害することが提唱されている(Podevin P.他、1999年)。HCV RNAの複製についてのBAの効果は、未処理細胞においてと同様に、CDCA処理細胞において活性であった、HCV RNAの複製を抑制するためのIFN処理の有効性を、CDCAが阻害しなかったので、IFNの調節から独立していると思われた。したがって、HCV RNAの複製のFXR依存性活性化は、IFNの抗ウィルス活性の阻害に頼ってはいない。
【0198】
コレステロールは、肝臓によるBA合成の第1ステップを調節するコレステロール7a−ヒドロキシラーゼCYP7A1によって、BAに分解される。BAの細胞内レベルにより、2つの機序を介したこの酵素に関するネガティブフィードバックによって、コレステロールの分解が制御される。まず、FXRのBA誘導性活性化により、スモールヘテロダイマーパートナー(SHP)の発現が調節され、これにより、その後7aヒドロキシラーゼCYP7A1プロモーターが抑制される(Goodwin B.他、2003年)。ネガティブフィードバックの第2の機序はJNK経路であることが暗示され、SHPおよびFXRから独立している(Li T.他、2006年)。コレステロールの分解を遮断することは、細胞のコレステロール負荷を増加させるはずであると思われる。高レベルのコレステロールは、順に、コレステロール及び非ステロールのイソプレノイド産物を産生するメバロン酸経路の第1酵素であるHMG CoAレダクターゼを、小胞体膜内にその転写活性因子のSREBP−1を維持することによって、下方制御する(Brown MS.他、1997年)。さらに、FXRのBA誘導性活性化もまた、SREBP−1cの発現を減少させる(Watanabe M.他、2004年)。それ故、細胞をBAで処理することにより、いくつかの機序を介してSREBP活性が抑制され、続いてメバロン酸経路が阻害され、ゲラニルゲラニオールを含むイソプレノイドのプールが少なくなる。HCV RNAの複製は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤であるスタチンによって阻害される(Ikeda M.他、2006年、Kapadia SB.他、2005年、Ye J.他、2003年)。スタチンのHCV RNAの複製についての阻害剤効果は、メバロン酸の添加により、およびより強力にはゲラニルゲラニオールの添加により救済することができる。実際に、Fbl2のプレニル化、すなわち、システインチオエステルの形成を介したゲラニルゲラニオールの共有結合が、HCV RNAの複製に必要とされることが示された(Wang C.他、2005年)。BAが、タンパク質のプレニル化の修飾を介して作用していた場合、それらは、HCV RNAの複製を助けるのではなく、その複製を減少させることになる。この仮定に一致して、BA処理細胞は、感受性を維持し、ゲラニルゲラニオールの添加に対して、HCV RNAの複製に関して未処理細胞よりもさらにより感受性であった(データ非掲載)。興味深いことに、スタチンは、RNAおよびタンパク質のレベルの両方でFXRの発現を減少させ、そのDNA結合活性を下方制御する(Habeos I.他、2005年)。それ故、スタチンによるHCV RNAの複製の阻害もまた、FXRの下方制御に一部関連している可能性がある。
【0199】
コレステロールおよびBA合成経路の調節に加えて、FXRは、脂質およびトリクリセリドの代謝の他の多くの遺伝子をさらに制御する(Kalaany NY.他、2006年)。これらの細胞内脂質の修飾により、細胞膜の脂質組成を修正できる。いくつかのグループがHCV RNAの複製は、コレステロールおよびスフィンゴリピドに富んだ膜ミクロドメインである脂質ラフトドメイン内で起こることを立証しているので、このような修飾は、HCVの複製に有利に働く(Aizaki H.他、2004年)。興味深いことに、最近、FXRのBA依存性活性化が、正常な肝臓の再生に必要とされることが示された(Huang W.他、2006年)。BAレベルの上昇は肝臓の再生を加速し、レベルの低下は部分的肝切除後の肝臓の成長を阻害する。FXRは、恒常性を、適切な代謝標的遺伝子の発現を制御することによってのみではなく、ホメオトロフィック(homeotrophic)な肝臓の成長を駆動することによっても促進することが提唱された。HCVの複製は、細胞増殖に依存するので(Pietschmann T.他、2001年)、BAは、FXRの活性化を介して肝臓の成長を促進することによって、HCVの複製をさらに刺激する可能性がある。
【0200】
BAは、肝臓において、高濃度で見出される天然のリガンドである。被験BAのなかでも、CDCAは、HCV RNAの複製について最も大きな活性を示した。BAのレベル、特に一次BAであるCDCAのレベルは、慢性肝炎において増強される。これらの肝臓において、CDCAは、全BAの60%を占める(Fischer S.他、1996年)。高レベルのBAを有する患者、特に掻痒を有する患者は、抗ウィルス療法に対してあまり応答しない(Jorquera F.他、2005年、Lebovics E.他、1997年)。この問題は、ナチュラルキラー細胞についてのCDCAの免疫抑制効果によって一部説明できる(Hirata M.他、2002年)ことが提唱された。HCV RNAの刺激に依存するFXRのBA誘導性活性化から、治療のためのSVRに対する高レベルのBAの陰性適中率についてのより率直な説明がもたらされる。BAの陰性適中率は、特定のHCVの遺伝子型には相関していないように見える(Jorquera F.他、2005年)。
【0201】
腸細胞は、HCVのための保有および複製部位であることが提唱されている(Blight KJ.他、2002年、Deforges S.他、2004年)。BAの腸−肝循環は、腸細胞を高濃度のBAに曝す。FXRはまた、腸において発現するので、(Forman BM.他、1995年)、HCV RNAの複製を刺激するFXR依存性BAシグナル伝達経路は、腸がHCVの血漿ウィルス量、特にカイロミクロン様粒子に関連するウィルスの循環に関して貢献しているという仮定をさらに強固にしている(Diaz O.他、2006年)。
【0202】
それ故本研究は、FXRが、少なくともHuh7細胞における高度のHCV RNAの複製、および遺伝型1のレプリコンにとって重要であることを立証した。それ故、FXRは、特にそれらの複製のために高レベルのBAを得る遺伝型1に感染した患者のための、抗HCV療法のための治療標的として予測され得る。さらに、HCV RNAの複製のFXR依存性刺激は、IFNの作用から独立しているように思われたので、それ故FXRのアンタゴニストは、IFNの投与量を低下させ、したがってIFNの有害な二次効果を減少させるため、または標準的療法プロトコルの後のSVRの比率を増加させるためのどちらかに使用できるであろう。
【0203】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象におけるフラビウィルス科のメンバーによる感染の治療を目的とした薬剤を製造するためのファルネソイドX受容体(FXR)のアンタゴニストの使用。
【請求項2】
治療を必要とする対象における、急性又は慢性C型肝炎といったHCV感染の治療やHCV感染に関連する疾患の治療、あるいは肝線維症、肝硬変や肝細胞癌といった肝臓疾患の予防を目的とする薬剤を製造するためのFXRのアンタゴニストの使用。
【請求項3】
前記アンタゴニストが4,17(20)−トランス−プレグナジエン−3,16−ジオン又は4,17(20)−シス−プレグナジエン−3,16−ジオンである請求項1又は2の使用。
【請求項4】
治療を必要とする対象におけるフラビウィルス科のメンバーによる感染の治療を目的とした薬剤を製造するためのFXR発現の阻害剤の使用。
【請求項5】
治療を必要とする対象における、急性又は慢性C型肝炎といったHCV感染の治療やHCV感染に関連する疾患の治療、あるいは肝線維症、肝硬変や肝細胞癌といった肝臓疾患の予防を目的とする薬剤を製造するためのFXR発現の阻害剤の使用。
【請求項6】
前記FXR発現の阻害剤がsiRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである請求項4又は5の使用。
【請求項7】
インターフェロンαを用いた治療を受けた対象を治療するための請求項1〜6何れか1項の使用。
【請求項8】
ヌクレオシド類似体を用いた治療を受けた対象治療するための請求項1〜7何れか1項の使用。
【請求項9】
HCVプロテアーゼおよび/またはポリメラーゼの阻害剤を用いた治療を受けた対象を治療するための請求項1〜8何れか1項の使用。
【請求項10】
フラビウィルス科のメンバーによる感染を治療するための、HCV感染を治療するための、またはHCVに関連した疾患を治療するための、FXRのアンタゴニストまたはFXR発現の阻害剤と、インターフェロンαを含む薬剤、ヌクレオシド類似体を含む薬剤およびHCVプロテアーゼおよび/またはポリメラーゼの阻害剤からなる群から選ばれた少なくとも1つの薬剤と、を含むキット。
【請求項11】
FXR発現細胞用の培養培地、FXR発現細胞および少なくとも1つのFXRのアゴニストを含む、HCVの複製を可能とする細胞培養系。
【請求項12】
前記少なくとも1つのFXRのアゴニストが、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、デヒドロコール酸、ウルソデオキシコール酸、コール酸、ファルネソールまたは(E)−[(テトラヒドロテトラメチルナフタレニル)プロペニル]安息香酸である請求項11の細胞培養系。
【請求項13】
前記FXR発現細胞が、ヒト肝癌細胞系Huh7、Huh7−LunetまたはHepG2の細胞単層から選択される、請求項11〜12何れか1項の細胞培養系。
【請求項14】
前記FXR発現細胞が、FXRをコードする遺伝子を形質移入された細胞である、請求項11〜13何れか1項の細胞培養系。
【請求項15】
HCVウィルスをさらに含む、請求項11〜14何れか1項の細胞培養系。
【請求項16】
前記FXR発現細胞が、複製HCVウィルス材料を形質移入された細胞である、請求項11〜15何れか1項の細胞培養系。
【請求項17】
HCV感染の診断、抗ウィルス化合物のスクリーニング、HCVウィルス粒子またはHCVウィルスタンパク質の産生、または抗HCVワクチンの産生のための、請求項11〜16何れか1項の細胞培養系の使用。
【請求項18】
対象においてHCV感染の診断をするためのインビトロの方法であって、
前記方法が、
a)FXR発現細胞の培養物を提供するステップと、
b)FXR発現細胞の前記培養物を、対象から得た生体試料と共にインキュベートするステップと、
c)FXR発現細胞の前記培養物を、ステップ(b)の前、後または同時に、少なくとも1種のFXRのアゴニストと共にインキュベートするステップと、
d)前記細胞を、HCVの複製が可能となるために十分な時間培養するステップと、
e)HCVの複製のレベルを検出するステップ
からなるステップを含み、HCVの複製の検出が、前記対象がHCVに感染していることを示唆する。
【請求項19】
前記生体試料が、血液、血清、血漿または生体検査の際に単離された試料である請求項18の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−500328(P2010−500328A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523289(P2009−523289)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058239
【国際公開番号】WO2008/017692
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509040916)アンセルム(アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル) (1)
【Fターム(参考)】