説明

ファンの実装構造体、これに用いられるコンタクト部材及びファンの筐体

【課題】実装スペースを小さくでき、且つ、PCBに対するファンの確実な実装及び電気接続を実現する。
【解決手段】基板上への複数のファン7を実装する構造体であって、その構造体は、ファン7を回転自在に備えるファンブラケット12と、ファンブラケット12の傾斜面12bと、基板上に配置された一対のコンタクトガイド13と、筐体をロックするロック機構と、を有する。傾斜面12bは、ファンブラケット12の底面からファンブラケット12の対向する2つの側面の夫々に向けて形成されている。一対のコンタクトガイド13は、ファンブラケット12の対向する2つの側面の夫々に対向するように基板上に配置されており、傾斜面12bに対面する傾斜面13bを下部に有する。さらに、ロック機構は、傾斜面12b及び13bが接した状態でファンブラケット12をロックするロック溝12a及びロック爪13aからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスを冷却するファンを基板に実装する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータを始めとする図3に示すような電子ユニット1では、シャーシー2内に搭載されたメモリー4、ハードディスクユニット5、CPU6等の電子デバイスを冷却する為、ファン7による強制空冷が施されている。特に、高密度化された電子機器や、冷却の冗長化が求められる電子機器では、複数のファン7をプリント配線板(以下、PCBと略す。)3上に、所謂プラグイン実装方式で搭載している。
【0003】
具体的には、各々のファン7は図4に示すように底面に雌型コネクタ10を備えており、コネクタ10を、PCB3に実装された雄型コネクタ11と嵌合することでPCB3にファン7が搭載可能である。そして、ファン7の両サイドに対応するガイド9がPCB3に設けられ、これによって、PCB3上のコネクタ11に対しファン7のコネクタ10の位置出し、並びに、コネクタ11に嵌合されたファン7をロックしていた(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-244160号公報
【特許文献2】特開平3-244197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなファンのプラグイン実装方式では、ガイド9の位置精度の問題で、コネクタ10,11どうしを嵌合させる際に嵌合部分が互いに突き当たって実装を妨げることがある。
【0006】
そのため、ガイド9の位置精度の向上が要求されたり、コネクタ10,11のサイズアップやフローティングコネクタの実装などによって過大なスペースを必要とされたりしていた。
【0007】
本発明は、上記背景技術の問題に鑑み、実装スペースを小さくでき、且つ、PCBに対するファンの確実な実装及び電気接続を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基板上への複数のファンを実装する構造体に係るものである。その構造は、ファンを回転自在に備える筐体と、筐体の傾斜面と、基板上に配置された一対のコンタクト部材と、筐体をロックするロック機構と、を有する。
【0009】
筐体の傾斜面は、筐体の底面から該筐体の対向する2つの側面の夫々に向けて形成されている。一対のコンタクト部材は、筐体の対向する2つの側面の夫々に対向するように基板上に配置されており、筐体の傾斜面に対面する傾斜面を下部に有する。さらに、ロック機構は、筐体の傾斜面とコンタクト部材の傾斜面とが接した状態で筐体をロックするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、狭いスペースで、PCBに対するファンの確実な実装及び電気接続を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるファンの実装構造体を示す図。
【図2】図1のファンブラケットとコネクタガイドとを嵌合した状態での断面図。
【図3】一般的な電子機器の内部におけるファンの実装構造体を示す図。
【図4】従来のファンの実装構造体を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態によるファンの実装構造体を示す斜視図である。
【0014】
本実施形態のファン実装構造体は、図1に示すように、回転軸周りに複数枚の羽根を固定してなる正面視円形のファン7と、中央にファン7を回転可能に備えるファンブラケット(筐体)12と、PCBに固定されファンブラケット12を着脱可能に案内し保持する2個のコネクタガイド(コンタクト部材)13と、から構成される。
【0015】
コネクタガイド13はファンブラケット12を保持した際にファン7の回転軸をPCBの主面に対して所定の方向(例えば平行)に設定する。
【0016】
コネクタガイド13は、ファンブラケット12の、ファン7の回転軸を挟む左右二つの側面にそれぞれ対向するようにPCB上に配置される。
【0017】
各コネクタガイド13の、互いに対向する側の面の下部には、コネクタガイド13の底面側(PCB側)にいくほど2つのコネクタガイド13の間隔が狭くなるように、傾斜面13cが形成されている。
【0018】
傾斜面13cには、ファンブラケット12に設けられたコンタクト(図2の符号12c)と接続できるコンタクト13bの一部が露出しており、残りの部分はコネクタガイド13内に埋設されている。さらに、コンタクト13bの端部は各コネクタガイド13の底面から突出し、PCB上に半田付けされるものとなっている。
【0019】
各コネクタガイド13の、互いに対向する側の面の上部には、ファンブラケット12と嵌合してファンブラケット12をロックする凸状のロック爪13aが設けられている。
【0020】
一方、ファンブラケット12の、ファン7の回転軸を挟む左右二つの側面にはそれぞれ、コネクタガイド13のロック爪13aと嵌合するロック溝12aが形成されている。さらに、ファンブラケット12の底面から左右二つの側面の夫々に向けて、傾斜面12bが形成されている。
【0021】
図2に示すように、各傾斜面12bは各コネクタガイド13の傾斜面13cに対応するものであり、傾斜面12bには、ファン7の電極とケーブル14を介して接続されたコンタクト12cが設けられている。
【0022】
本実施形態では、ロック機構を構成するためにコネクタガイド13側にロック爪としての凸部を設け、ファンブラケット12側にロック溝としての凹部を設けている。しかし本発明はこの構成に限定されず、コネクタガイド13側にロック溝を設け、ファンブラケット12側にロック爪を設けてもよい。
【0023】
次に、本実施形態のファン実装構造体を用いたファンの実装方法について述べる。
【0024】
傾斜面13cを有する2個のコネクタガイド13がPCB上に配置される。このとき、各コネクタガイド13のコンタクト13bの端部がPCBに差し込まれ半田付けされる。
【0025】
それから、コネクタガイド13の間の隙間にファンブラケット12が配置され、かつPCB側へ挿入される。
【0026】
ファン7を備えたファンブラケット12は、コネクタガイド13の傾斜面13cに沿ってすべり込み、ファンブラケット12のコンタクト12cとコネクタガイド13のコンタクト13bとが互いに接触する位置に向かう。その後、ファンブラケット12のロック溝12aとコネクタガイド13のロック爪13aとが嵌合して、ファンブラケット12の位置がロックされる。このような傾斜面による案内とロック機構との相乗作用により、図2に示すように、ファンブラケット12のコンタクト12cと、これに対応するコネクタガイド13のコンタクト13bとが正確に位置合わせされ、かつ互いに圧接され、この状態で安定する。
【0027】
このように本実施形態のファン実装構造体は、ファンの筐体であるファンブラケット12をPCB上のコネクタガイド13に傾斜面を利用して、両者が位置ずれすることなく確実に誘い込む構造である。こうした正確に位置合わせされる傾斜面に電気接点を備えることにより、コネクタのピッチずれを容易に解消できる。
【0028】
また従来例のように雄型コネクタと雌型コネクタを使う実装方法では無いので、図4のガイド9のようにファンブラケット12の側面全体を保持する部材は必要なく、ファンの実装スペースを小さくすることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 電子ユニット
2 シャーシー
3 プリント配線板(PCB)
4 メモリーユニット
5 ディスクユニット
6 CPU
7 ファン
9 ガイド
10 雌コネクタ
11 雄コネクタ
12 ファンブラケット(筐体)
12a ロック溝
12b 傾斜面
12c コンタクト(電気接点)
13 コネクタガイド(コンタクト部材)
13a ロック爪
13b コンタクト(電気接点)
13c 傾斜面
14 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上への複数のファンを実装する構造体であって、
前記ファンを回転自在に備える筐体と、
前記筐体の底面から前記筐体の対向する2つの側面の夫々に向けて形成された傾斜面と、
前記筐体の対向する2つの側面の夫々に対向するように前記基板上に配置された一対のコンタクト部材であって前記傾斜面に対面する傾斜面を下部に有する一対のコンタクト部材と、
前記筐体の傾斜面と前記コンタクト部材の傾斜面とが接した状態で前記筐体をロックするロック機構と、
を有するファンの実装構造体。
【請求項2】
前記筐体の傾斜面と前記コンタクト部材の傾斜面とにそれぞれ電気接点を有し、
前記筐体が有する電気接点は前記ファンに電気的に接続され、前記コンタクト部材が有する電気接点は前記基板に電気的に接続されている、請求項1に記載されたファンの実装構造体。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記筐体の前記側面と前記コンタクト部材とのいずれか一方および他方にそれぞれ形成された爪部および溝部からなる、請求項1又は2に記載されたファンの実装構造体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載されたファンの実装構造体に用いられるコンタクト部材。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載されたファンの実装構造体に用いられる、ファンの筐体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−199135(P2010−199135A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39299(P2009−39299)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】