説明

ファン付きネジ装置

【課題】 ネジの回転に伴いファンを回転させるファン付きネジ装置を提出することにより、ネジが運転していると同時に、ファンが冷却機能を提供する。
【解決手段】 外周に転動溝と、該転動溝と交差するように形成される凹部とが設けられるネジと、一端に結合部を有すると共に、該ネジに被装されるナットと、該ネジを貫通させるための貫通孔が形成される回転軸と、該回転軸の周囲に配置されるブレードと、該貫通孔内に設置される突起とを有するファンであって、該突起と該凹部とを互いに嵌合させることにより、該ネジの回転に伴い該ファンを同期に回転させるファンと、一端が該ナットの結合部に固定され、内部に該ファンを収容するための収容空間を有する接続具と、を備えたファン付きネジ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン付きネジ装置に関し、特にネジの回転に伴いファンを回転させることにより、ナットに対して風冷却効果を発生し、他の動力源を使用せずにファンを回転させるファン付きネジ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のネジ冷却に係る技術は、実開昭63−1956号公報に記載されるように、ナットに冷却経路を設けると共に、ナットブラケットにも冷却経路を設けて、該ナットとナットブラケットとの冷却経路により冷却循環経路を構成させる。
【0003】
又、従来技術である特許第3721264号公報には、ネジ、ナット、モータブラケットの何れも冷却液通路を設けることにより、冷却液を循環させる技術が開示される。この従来技術では、冷却液温度調整装置により冷却液の冷・熱交換を行うことにより、冷却効果を図れるものである。
【0004】
しかしながら、実開昭63−1956号公報に係る冷却技術では、冷却循環経路を設置することは非常に煩雑であるだけでなく、ナットブラケットにも冷却経路を加工形成する必要もあるので、加工コストが高く且つ設置することが困難である。
又、特許第3721264号公報に係る従来技術では、冷却液を用いて冷却を行っているが、この冷却液のシール機構に故障が生じると、冷却液が外へ漏れてしまい、環境問題を引き起こすことがある。
【特許文献1】実開昭63−1956号公報
【特許文献2】特許第3721264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者らは、上記の従来技術に存在する問題点や不足を鑑み、長年に亘って鋭意研究を重ねた結果、本発明のファン付きネジ装置を開発することに至った。
【0006】
本発明の主な目的は、ネジの回転に伴いファンを回転させるファン付きネジ装置を提供するものである。この場合、ネジが運転していると同時に、ファンが冷却機能を提供する。
本発明の他の目的は、ファンの回転動力がネジの回転により提供されるファン付きネジ装置を提供するものである。この場合、冷却するのに他の動力源を使用する必要がないので、余計の電気回路の配置や電力の消耗が低減する。
本発明の他の目的は、ファンがナットに内蔵されると共に、ネジの回転と伴い回転されるファン付きネジ装置を提供するものである。この場合、ナットの動作に拘らず、ファンが効果的に放熱を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明によるファン付きネジ装置は、主に、外周に転動溝と、該転動溝と交差するように形成される凹部とが設けられるネジと、一端に結合部を有すると共に、前記ネジに被装されるナットと、前記ネジを貫通させるための貫通孔が形成される回転軸と、該回転軸の周囲に配置されるブレードと、前記貫通孔内に設置される突起とを有するファンであって、該突起と前記凹部とを互いに嵌合させることにより、前記ネジの回転に伴い該ファンを同期に回転させるファンと、一端が前記ナットの結合部に固定され、内部に前記ファンを収容するための収容空間を有する接続具と、を備えたものである。
【0008】
本発明の構成によれば、ネジが回転するように運転している際に、ファンが同時に回転していることから、ナットに対して良好な放熱効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0010】
図1〜図4に示されるように、本発明に係るファン付きネジ装置は、主にネジ1と、ナット2と、ファン3と、接続具4とを含む。
【0011】
ネジ1の外周には、転動溝11が設けられると共に、転動溝11と交差するように形成される凹部12が設置される。
ナット2は、ネジ1に被装されており、その一端に結合部21を有する。
ファン3は、回転軸31を有し、回転軸31の内部にネジを貫通させるための貫通孔32が形成されると共に、回転軸31の外部周囲にブレード33が配置される。又、貫通孔32の内縁に突起34が設置され、突起34とネジ1の凹部12とを互いに嵌合させることにより、ネジ1の回転に伴い、ファン3を同期に回転させることができる。
又、接続具4は、一端がナット2の結合部21に固定されると共に、その内部には、ファン3を収容するための収容空間41が形成される。
【0012】
ファン3と接続具4との接続伝動手段としては、ブレード33の周囲にリング部材35が設けられると共に、接続具4の収容空間41内に、リング部材35の両側に位置するように止め部42(図4参照)が設けられる。この止め部42は、接続具4と一体成形されるか、或いは回転可能に接続具4に嵌設されるものである。
この構成によると、ファン3の移動が接続具4により制限されるので、ファン3がナット2と同期して移動せざるを得ないことになる。一方、止め部42がリング部材35の両側のみに当接していることから、ブレード33の回転が接続具4により制限されることはない。
【0013】
なお、接続具4は、更にベース43とカバー44とを備え、ベース43とカバー44とがその間にファン3が配置されるように結合される。ここで、止め部42はベース43又はカバー44と一体成形される(或いは回転可能に接続具4に設けられる。)。
【0014】
又、止め部42とリング部材35との間に過大の摩擦が発生し、ブレード33の回転に障害を及ぼすことを避けるためには、止め部42とリング部材35との接触面をなるべく減少するか、或いは止め部42としてボールを使用すべきである。
止め部42としてボールを使用した場合には、リング部材35との間には点接触のみとなるので、摩擦が低い。その上に、ファン3が回転している際に、ボールはリング部材35と共に回転するので、摩擦が一層低減する。
【0015】
前述した冷却循環経路を用いて放熱を行う従来技術では、加工が困難であると共に、加工コストが高いとの問題点を抱えるのに対して、本発明では、ファンによる放熱の設計を採用しているから、設置が容易である上に、コストが低いという利点を有する。
又、冷却液の循環による冷却を行う前述の従来技術では、冷却液の漏洩による環境問題を引き起こすという問題点を抱えているのに対し、本発明では空気の流れにより冷却を行っているので、汚染の恐れが全く無い環境に優しい技術を提供できる。
【0016】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をその実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明に係るファン付きネジ装置は、ネジ装置の冷却に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るファン付きネジ装置の実施例の斜視図である。
【図2】本発明に係るファン付きネジ装置の分解斜視図である。
【図3】図3(A)は、本発明に係るファン付きネジ装置の正面断面図であり、図3(B)は、本発明に係るファン付きネジ装置における突起と凹部との結合部分を拡大した図面である。
【図4】図4(A)は、本発明に係るファン付きネジ装置の側面断面図であり、図4(B)は、図4(A)の一部を拡大した模式図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ネジ
11 転動溝 12 凹部
2 ナット
21 結合部
3 ファン
31 回転軸 32 貫通孔
33 ブレード 34 突起
35 リング部材
4 接続具
41 収容空間 42 止め部
43 ベース 44 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に転動溝と、該転動溝と交差するように形成される凹部とが設けられるネジと、
一端に結合部を有すると共に、前記ネジに被装されるナットと、
前記ネジを貫通させるための貫通孔が形成される回転軸と、該回転軸の周囲に配置されるブレードと、前記貫通孔内に設置される突起とを有するファンであって、該突起と前記凹部とを互いに嵌合させることにより、前記ネジの回転に伴い該ファンを同期に回転させるファンと、
一端が前記ナットの結合部に固定され、内部に前記ファンを収容するための収容空間を有する接続具と、
を備えることを特徴とするファン付きネジ装置。
【請求項2】
前記ファンの周囲にはリング部材が環装されることを特徴とする請求項1記載のファン付きネジ装置。
【請求項3】
前記接続具は、前記収容空間に前記リング部材の両側に位置するように止め部が設けられることを特徴とする請求項2記載のファン付きネジ装置。
【請求項4】
前記止め部は、前記接続具と一体成形されることを特徴とする請求項3記載のファン付きネジ装置。
【請求項5】
前記止め部はボールであることを特徴とする請求項4記載のファン付きネジ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−144848(P2010−144848A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323216(P2008−323216)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(395011229)上銀科技股▲分▼有限公司 (110)
【Fターム(参考)】