フィラメントワインディング装置
【課題】巻き付け処理後のマンドレルから巻き付け処理前のマンドレルへと移し替えられる受渡リングを用いた繊維束の終端部の受渡機構を具備するフィラメントワインディング装置において、繊維束の終端部を切り離す際に、繊維束がたるむ、あるいは解けるなどのトラブルの発生を防止する。
【解決手段】巻き付け処理後のマンドレル1と一体の第1受渡リング41および巻き付け処理前のマンドレル1に移し替えられる第2受渡リング42に巻き付けられた繊維束Rを、第1・第2の受渡リング41・42間で切断するカッタ46と、カッタ46による切断時に第2受渡部材42を位置保持する保持手段47とを設ける。保持手段47は、第2受渡リング42の外周面に押し当てられる摩擦ローラ53と、摩擦ローラ53を第2受渡リング42に向けて付勢する圧縮バネ55とを含む。
【解決手段】巻き付け処理後のマンドレル1と一体の第1受渡リング41および巻き付け処理前のマンドレル1に移し替えられる第2受渡リング42に巻き付けられた繊維束Rを、第1・第2の受渡リング41・42間で切断するカッタ46と、カッタ46による切断時に第2受渡部材42を位置保持する保持手段47とを設ける。保持手段47は、第2受渡リング42の外周面に押し当てられる摩擦ローラ53と、摩擦ローラ53を第2受渡リング42に向けて付勢する圧縮バネ55とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離して巻き付け処理前のマンドレルに受け渡す受渡機構を具備するフィラメントワインディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンドレルに対する繊維束の巻き付け処理を行うフィラメントワインディング装置の分野においては、連続生産を目標とした全自動化システムの開発が進められている。一連のワインディング処理の自動化の実現のためには、繊維束の巻付部において、巻き付け処理後のマンドレルと巻き付け処理前のマンドレルとを自動的に交換する必要がある。また、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離し、該終端部を、次に装填される巻き付け処理前のマンドレルに対して巻き付け処理を行う際の始端部として保持しておくための機構が必要となる。
【0003】
例えば特許文献1では、マンドレルの両側に設けた軸状の治具を、対向配置したスピンドルで支持し、一方のスピンドルをモータで回転駆動しながら、繊維束をトラバース装置でマンドレルの長手方向に沿って往復操作することにより、繊維束をマンドレルに巻き付けている。他方のスピンドルはウエストドラムで回転自在に軸支されている。マンドレルに対する巻き付け処理の終了後、繊維束をウエストドラム上に数回巻き付けて、専用のカッタで切断する。次に装填されるマンドレルに対しては、ウエストドラム上に巻き付けられた繊維束を巻付始端として、巻き付け処理が行われる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−338043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係るフィラメントワインディング装置では、繊維束の終端部を専用の受渡部材に巻き付けるように構成する。この受渡部材を、巻き付け処理後のマンドレルから、巻付部に次に装填される巻き付け処理前のマンドレルへと移し替えることで、繊維束の終端部を、次のマンドレルに対して巻き付け処理を行う際の始端部として受け渡すことができる。
これに対し、特許文献1のフィラメントワインディング装置では、マンドレルに固定された取付治具の先端部を支持するウエストドラムに、繊維束の終端部を巻き付けている。この特許文献1の構成によれば、ウエストドラム上の繊維束の終端部を次に装填されたマンドレルの取付治具へと移すため(ウエストドラム上に繊維束を残さないため)、ウエストドラムの逆回転駆動などが必要になって、マンドレルに対する巻き付け処理の開始までに手間が掛かる不利がある。
【0006】
本発明は、巻き付け処理後のマンドレルから巻き付け処理前のマンドレルへと移し替えられる受渡部材を用いた繊維束の終端部の受渡機構を具備するフィラメントワインディング装置において、繊維束の終端部を切り離す際に、繊維束がたるむ、あるいは解けるなどのトラブルの発生を防止することで、繊維束の巻き付け不良、あるいは全自動連続生産システムの遅延を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフィラメントワインディング装置は、繊維束をマンドレルに巻き付ける巻付部と、巻き付け処理前のマンドレルを該巻付部に装填し、巻き付け処理後にマンドレルを該巻付部から取り出す着脱部と、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離して巻き付け処理前のマンドレルに受け渡す受渡機構とを具備する。そして、巻き付け処理後のマンドレルと一体の第1受渡部材および巻き付け処理前のマンドレルに移し替えられる第2受渡部材に巻き付けられた繊維束を、該第1・第2の受渡部材間で切断するカッタと、該カッタによる切断時に該第2受渡部材を位置保持する保持手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
前記保持手段は、前記第2受渡部材の外周面に押し当てられる摩擦部材と、該摩擦部材を該第2受渡部材に向けて付勢する付勢部材とを含み、前記摩擦部材が、マンドレルに固定した軸状の取付治具と平行な軸で回転自在に支持された摩擦ローラであることが好ましい。
【0009】
前記保持手段は、前記付勢部材から付勢力を受けるローラ支持台を含み、複数個の前記摩擦ローラが、前記第2受渡部材の外周面の周方向に並んで配置されて、前記ローラ支持台に軸支される形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るフィラメントワインディング装置は、巻き付け処理後のマンドレルと一体の第1受渡部材および巻き付け処理前のマンドレルに移し替えられる第2受渡部材に巻き付けられた繊維束を、該第1・第2の受渡部材間で切断するカッタと、該カッタによる切断時に該第2受渡部材を位置保持する保持手段とを備えている。この保持手段によれば、繊維束の終端部を切り離した際の、第2受渡部材と巻付部との間に架け渡された繊維束の張力による第2受渡部材の変位を規制することができる。したがって、第2受渡部材間の変位に伴う繊維束のたるみなどを防止できる。これにて、繊維束の巻付不良、あるいは全自動連続生産システムの遅延を招くことなく、安定性の高い連続生産が可能なフィラメントワインディング装置を提供できる。
【0011】
第2受渡部材に巻き付けられた繊維束に押し当てる部材を摩擦ローラとした場合は、繊維束の終端部を切り離すためにマンドレル(取付治具)を回転させた時に、繊維束と摩擦ローラとの間の摩擦力により、摩擦ローラは第2受渡部材と同時に回転するようになる。摩擦部材をパッドなどで構成した場合は、第2受渡部材の外周面の繊維束が該パッドに擦れて該繊維束に傷が付くおそれがあるが、摩擦ローラは第2受渡部材と同時に回転するので先のような擦れは発生せず、これにて、繊維束の傷付きを確実に防止できる。
【0012】
複数個の摩擦ローラを繊維束に押し当てる場合には、付勢部材の付勢力が、繊維束の周面の複数箇所に分散して伝わるようになる。つまり、繊維束が摩擦ローラとの各接点において摩擦ローラから受ける負荷が小さくなるので、摩擦ローラを押し当てることによる繊維束の周面の凹みなどを防止できる。
【0013】
また、摩擦ローラが単数の場合は、これを付勢する方向が第2受渡部材の中心から少しでもずれていれば、付勢部材の付勢力を効率良く第2受渡部材に伝えられない。最悪の場合には、繊維束と摩擦ローラとの間にすべりが生じて、摩擦ローラの支持台などが繊維束に接触し、繊維束に傷が付いてしまうおそれがある。その点本発明のように、第2受渡部材の周方向に並ぶ複数の摩擦ローラを用いる場合は、これらローラ群が第2受渡部材を挟むような状態となり、ローラ群及び支持台の不用意な位置変位が、マンドレルの取付治具を介して巻付部に確りと支持された第2受渡部材により規制されるようになる。これにて、付勢部材からの付勢力が的確に第2受渡部材へと伝わり、繊維束の張力による第2受渡部材の変位を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1ないし図11は本発明に係るフィラメントワインディング装置(以下、FW装置と記す)の実施形態を示す。FW装置は、一群のクリールを支持する供給部と、供給部から送給される繊維束Rをマンドレル1に巻き付ける巻付部と、巻き付け処理前のマンドレル1を巻付部に装填し、巻き付け処理後にマンドレル1を巻付部から取り出す着脱部と、巻き付け処理後のマンドレル1に巻き付けられた繊維束Rから該繊維束Rの終端部Eを切り離して巻き付け処理前のマンドレル1に受け渡す受渡機構とを具備する。
【0015】
マンドレル1は、高強度アルミニウム材、ステンレス材などの金属材、あるいは樹脂成形品などで、中央の円筒部と、円筒部の両端に連続するドーム部とを有する容器状に形成される。FW装置において繊維束Rの巻き付け処理が行われる間は、各ドーム部の頂部に突設した円柱状の口部2に、軸状の取付治具3がそれぞれ固定される(図6参照)。
繊維束Rは、例えばガラス繊維や炭素繊維などの繊維の束からなる。先のクリールに巻き込まれた繊維束Rには、予め熱硬化性の樹脂が含浸させてある。なお、クリールから繰出した繊維束Rに溶融した樹脂を含浸させた後、巻付部に送給してもよい。
【0016】
繊維束Rの巻付部は、主としてマンドレル1の円筒部に対して繊維束Rをフープ巻きするためのフープ巻ヘッド10と、マンドレル1の円筒部およびドーム部に対して繊維束Rをヘリカル巻きするためのヘリカル巻ヘッド20とを備えている。図2においてフープ巻ヘッド10は、中央に円形の開口11を有するフレーム12と、先の開口11に沿って旋回駆動される複数個のボビン13と、ボビン13を移行案内するガイド溝14と、図示していないボビン13の駆動機構などで構成してある。
巻き付け処理時におけるマンドレル1は、フレーム12と直交する状態で、開口11の中央部分に支持されており、ボビン13を旋回駆動することにより、ボビン13から繰り出される繊維束Rをマンドレル1に巻き付けることができる。また、フレーム12をベース5の長手方向に沿って往復操作することにより、マンドレル1に対する繊維束Rの巻付位置を変更できる。
【0017】
図3においてヘリカル巻ヘッド20は、ベース5の長手方向の中央部分に固定される門形のフレーム22と、フレーム22の中央に設けられる円形の開口21と、開口21の周縁に配置されるガイドリング23と、ガイドリング23の両側に配置される張力調整部24などで構成してある。図示していないが、ガイドリング23の周囲には一群の補助ガイドが配置され、ガイドリング23の内面には、ガイドリング23に貫通される一群のガイド穴に対応して開繊ガイドが設けてある。供給部から送給される繊維束Rは、フレーム22の外側方に配置したガイドローラで変向案内され、張力調整部24で所定の張力を付与されたのち、ガイドリング23のガイド穴へと案内される。
巻き付け処理時におけるマンドレル1は、フレーム22と直交する状態で開口21の中央部分に支持されており、このマンドレル1を往復操作しながら所定角度だけ回転操作することにより、ガイドリング23で案内された繊維束Rを、マンドレル1の周面の長手方向に沿って巻き付けることができる。
【0018】
巻付部へのマンドレル1の装填、及び、巻付部からのマンドレル1の取り出しを自動的に行う着脱部は、図6に示すように、マンドレル1の取付治具3を挟持可能な3個のチャック31・32・33を備えている。このうち第1チャック31は、取付治具3を介してマンドレル1に回転動力を伝えるための原動ギヤを備えており、この原動ギヤは、モータ35の駆動力を受けて回転駆動される。各チャック31・32・33は、水平方向に移動自在に構成される。
【0019】
不図示の搬送装置によりFW装置の近傍まで搬送されたマンドレル1は、両取付治具3・3を第1及び第2チャック31・32によりそれぞれ挟持された状態で、搬送装置の供給ラインからピックアップされる。ピックアップされたマンドレル1は、フープ巻ヘッド10及びヘリカル巻ヘッド20の開口11・21の中心線上に移動されて、第2チャック32で挟持されている側の取付治具3が開口11・21に挿通される。そして、開口11・21に挿通された取付治具3が、第2チャック32から第3チャック33に持ち替えられたところで、巻付部による巻き付け処理が開始される。巻き付け処理時におけるマンドレル1は、第1及び第3チャック31・33により往復及び回転操作される。
各ヘッド10・20による巻き付け処理の終了後、着脱部は、開口11・21に挿通されている取付治具3を、第3チャック33から第2チャック32に再び持ち替えた後、巻き付け処理後のマンドレル1を巻付位置から離す。そして、このマンドレル1は、搬送装置の搬出ラインに乗って、繊維束Rに含浸ないし付着された溶融樹脂を熱硬化させる加熱工程へと搬送される。以上が、着脱部によるマンドレル1の自動装填及び自動取り出しの概要であるが、その詳細については後述する。
【0020】
本実施形態に係るFW装置の受渡機構は、図1に示すように、マンドレル1の一方の取付治具3に装着される2つの受渡リング(受渡部材)41・42と、繊維束Rを切断可能な切断部45とを含む。2つの受渡リング41・42は同一形状であり、その外径寸法は口部2のそれに等しく設定される。取付治具3は、外周面に多数の突条を備えたスプライン軸状に形成されており、両受渡リング41・42には、これに噛み合うスプライン穴が形成されている(図5参照)。したがって、マンドレル1及び取付治具3が回転する際には、両受渡リング41・42も一体に回転する。また、取付治具3の各突条は軸方向に延びているため、両受渡リング41・42は、取付治具3に案内されて軸方向にスライド変位できる。
【0021】
図4は、1つのマンドレル1に対する繊維束Rの巻き付け処理が終了した直後における、両受渡リング41・42の周辺の状態を示しているが、このマンドレル1に対して巻き付け処理を行う際の始端部は、口部2に隣接して配置される第1受渡リング41の外周面に位置している。また、繊維束Rの終端部Eは、口部2との間で第1受渡リング41を挟むように配置される第2受渡リング42の外周面に巻き付けられている。
【0022】
切断部45は、巻き付け処理後のマンドレル1に巻き付けられた繊維束Rから、該繊維束Rの終端部Eを切り離すために設けられている。この終端部Eを、次に巻付部に装填される巻き付け処理前のマンドレル(以下、単に“次のマンドレル”と記す)1に受け渡すには、まず図1に示すように、切断部45のカッタ46で繊維束Rから終端部Eを切り離す。次に、終端部Eが巻き付けられた第2受渡リング42を、巻き付け処理後のマンドレル1の取付治具3から、次のマンドレル1の取付治具3へと移し替える。これにて終端部Eを、次のマンドレル1における巻付始端として受け渡すことができる。なお“移し替え”の詳細については後述する。
【0023】
ただし、切断部45で終端部Eを切り離す際には、この終端部Eと巻付部の各ヘッド10・20との間に、繊維束Tが架け渡されていることを考慮する必要がある(図11参照)。つまり、第2受渡リング42を位置保持することなく終端部Eを切り離した場合は、架け渡された繊維束Tの張力によって、第2受渡リング42が取付治具3の軸方向先端側に変位して、繊維束Tがたるむ、あるいは解けるおそれがある。
【0024】
そこで本実施形態に係る受渡機構の切断部45は、図1に示すように、カッタ46による切断時に第2受渡リング42を位置保持する保持手段47を備えている。保持手段47は、第2受渡リング42の外周面の終端部Eに押し当てられる摩擦部材53を備えており、この摩擦部材53を終端部Eに押し当てておくことで、繊維束Tの張力による第2受渡リング42の変位を規制することができる。これにて、繊維束Tのたるみなどの諸問題の発生を防止できる。
【0025】
切断部45は、図示しない駆動機構で取付治具3の径方向に変位可能に構成されており、駆動機構に連結された基体49の先端側(取付治具3の側)に、先のカッタ46と保持手段47が配置されている。なお以下では、説明の便宜上、取付治具3の径方向を前後方向(基体49の先端側が前側)と規定する。
【0026】
図1及び図5に示すように、カッタ46は円盤状に形成され、その中央部を支軸51で回転自在に支持されている。支軸51は、カッタ支持板52を介して基体49に固定されている。保持手段47は、終端部Eに押し当てられる一対の摩擦ローラ(摩擦部材)53・53と、両摩擦ローラ53・53を回転自在に支持するローラ支持台54と、ローラ支持台54を基体49に対して前方に付勢する圧縮バネ(付勢部材)55とを含む。
【0027】
ローラ支持台54は、前後方向に直交する平板57の後面で、圧縮バネ55の前端を受け止めている。圧縮バネ55は、平板57の後面の中央部に突設した前後に長いロッド58に外嵌装着されており、圧縮バネ55の後端は、基体49の前端部に形成した横板59に受け止められている。このように、基体49(横板59)とローラ支持台54(平板57)との間に圧縮バネ55を設けることで、ローラ支持台54が基体49に対して前方に付勢される。
【0028】
基体49における横板59の後方には、横板59と平行な第2横板60が形成されている。両横板59・60にはそれぞれ貫通孔が開設され、各貫通孔に、ロッド58を前後にスライド案内するためのガイド61が装着固定されている。ロッド58は断面六角形状に形成されており、これとガイド61・61の通孔とが係合することで、ロッド58及びローラ支持台54の回転変位が規制される。ロッド58の後端にはフランジ62が張り出し形成されており、このフランジ62と第2横板60とにより、ロッド58の横板59からの突出寸法の限界量が規定されている。
【0029】
一方、ローラ支持台54の平板57の前面には、各摩擦ローラ53の支持部65が突出形成されている。各支持部65は、取付治具3と平行な摩擦ローラ53の回転軸66を一体に備えている。
【0030】
本実施形態に係るFW装置による、繊維束Rを巻き付けたマンドレル1の全自動連続生産システムを、図6から図11を用いて説明する。ここでのFW装置は、2組の着脱部(第1〜第3チャック)を備えており、1つの巻付部に対して両着脱部が交互にマンドレル1の装填、取り出しを行うものとした。2組の着脱部を用いることで、一方の着脱部により支持されるマンドレル1に対して巻き付け処理が行われている間、他方の着脱部を、次のマンドレル1を支持した状態で待機させておくことができる。そして、巻き付け処理が終了し、巻き付け処理後のマンドレル1が一方の着脱部により取り出されてすぐに、他方の着脱部により次のマンドレル1を巻付部に装填できるので、全自動連続生産システムの高速化を図ることができる。
なお、以下の各図においては、2組の着脱部のうち、図6に向かって右側の着脱部の第1〜第3のチャックを、左側の各チャック31・32・33と区別するために、符号131・132・133で示している。また、繊維束Rの巻き付け処理後のマンドレル、口部、取付治具、第1受渡リング及び第2受渡リングを、巻き付け処理前のものと区別するために、符号101、102、103、141及び142で示している。
【0031】
図6は、右側の着脱部に支持される巻き付け処理後のマンドレル101において、巻き付けられた繊維束Rから終端部Eが切り離された直後の状態を示している。このとき第2受渡リング142は、上述の切断部45の保持手段47により位置保持されている。この終端部Eの切り離しまでの間に、左側の着脱部は、第1チャック31と第2チャック32により次のマンドレル1を搬送ラインからピックアップして、巻付部を構成する各ヘッド10・20の開口11・21の中心線上に移動させている。
【0032】
終端部Eの切り離し後、左側の着脱部は、第1チャック31と第2チャック32で支持するマンドレル1をマンドレル101の側に移動させて、取付治具3・103の側端どうしを当接させる。その後、左右の着脱部は、マンドレル1・101を同時に右方へ僅かに移動させる。
このとき、第2受渡リング142は保持手段47に位置保持されている。したがって、マンドレル101及び取付治具103が移動することにより、第2受渡リング142は取付治具103に対して相対変位して、第1受渡リング141から離れる。
【0033】
次に、右側の着脱部は、図7に矢印aで示すように、取付治具103における第1受渡リング141と第2受渡リング142との間を第2チャック132でつかみ、それまでこの取付治具103を保持していた第3チャック133を、矢印bで示すように分離する。その後、左右の着脱部は、マンドレル1・101を同時に矢印c方向へ移動させる。これにより、巻き付け処理後のマンドレル101に代わって、巻き付け処理前のマンドレル1の一方の取付治具3が、巻付部の各ヘッド10・20の開口11・21をくぐり抜ける。
このときも、第2受渡リング142は先と同様に位置保持されている。したがって、両マンドレル1・101が移動して、互いに当接する両取付治具3・103の側端が第2受渡リング142の通孔内を通過した時点で、第2受渡リング142が、マンドレル101の取付治具103から次のマンドレル1の取付治具3へと移し替えられる。この移し替えにより、第2受渡リング142に巻き付けられた終端部Eが次のマンドレル1に受け渡されて、その後、次のマンドレル1における巻付始端となる。つまり、巻き付け処理後のマンドレル101における第2受渡リング142は、その取付治具103から取り外されて、次のマンドレル1の取付治具3に、第1受渡リング41として装着される。
【0034】
第1受渡リング41が装着されたマンドレル1の取付治具3には、図8に示すように、新たに第2受渡リング42が装着される。マンドレル1に対する巻き付け処理の際には、この第2受渡リング42に繊維束Rの終端部Eが巻き付けられることとなる。次に、左側の着脱部は、取付治具3の側端を矢印dのように第3チャック33でつかんだ後、第2チャック32を、矢印eで示すように取付治具3から分離する。その後、マンドレル1を矢印f方向へ移動させる。
このとき、第1受渡リング41が保持手段47に継続して位置保持されている他、第2受渡リング42も不図示のアームにより位置保持されているため、マンドレル1及び取付治具3が移動することで、両受渡リング41・42が取付治具3に対して相対変位する。これにて、口部2、第1受渡リング41、第2受渡リング42の三者が隣接する。
【0035】
口部2と第1受渡リング41が隣接した時点で、第1受渡リング41の外周面に位置する先の終端部Eが巻付始端となって、巻き付け処理が開始される。巻付部は最初に、第1受渡リング41と口部2との間に繊維束Rを数回巻き付ける。これにより、第1受渡リング41が口部2及び取付治具3に対して変位不能となるので、ここで初めてFW装置は、切断部45の保持手段47を第1受渡リング41から離間させる。以後は、着脱部の第1チャック31と第3チャック33とによりマンドレル1を往復及び回転操作しながら、巻付部の各ヘッド10・20によりマンドレル1に繊維束Rを巻き付ける。マンドレル1の外表面に、繊維束Rによる補強層が完成したら、各ヘッド10・20は、繊維束Rの終端部Eを第2受渡リング42に巻き付けて、巻き付け処理を終了する(図9参照)。なお、第2受渡リング42には終端部Eのみを巻き付ければよいため、必ずしも第2受渡リング42を巻き付け処理の開始前に第1受渡リング41に隣接させる必要はなく、マンドレル1に対する巻き付け処理の途中、あるいは補強層が完成した時点で、第2受渡リング42を第1受渡リング41に隣接させてもよい。
【0036】
こうして巻き付け処理が終了したマンドレル101に対して、FW装置は、図10及び図11に示すように、第2受渡リング142の外周面に位置する終端部Eを切り離す。なお、このFW装置には、着脱部を2組設けたことに伴って2つの切断部45が設けられており、今回の切り離しには、直前に使用したものとは別の切断部45が使用される。
FW装置は、終端部Eを切り離すべく、切断部45をマンドレル101の取付治具103に向けて移動させる。これにより、保持手段47の摩擦ローラ53・53が終端部Eに、カッタ46が第1受渡リング141と第2受渡リング142との間に、それぞれ押し当てられる。この状態で取付治具103を1回転させることにより、両受渡リング141・142の隣接縁上において繊維束Rが切断されて、終端部Eが切り離される。なおこのとき、摩擦ローラ53・53は、繊維束Rとの間の摩擦力により第2受渡リング142と同時に回転するので、擦れにより繊維束Rに傷が付くことが防止される。
なお、この終端部Eの切り離しが終了するまでの間に、右側の着脱部は、巻き付け処理後のマンドレル101を搬出ラインに乗せた後、次のマンドレル1を搬送ラインからピックアップして、これを各ヘッド10・20の開口11・21の中心線上に移動させている。以後、上記の手順を繰返し行うことにより、圧力容器のブランク体を連続して製造することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態においては、終端部Eを切り離した際の第2受渡リング142の変位が保持手段47により規制されるので、第2受渡リング142の変位に伴う、終端部Eと巻付部との間に架け渡された繊維束Tのたるみなどを確実に防止できる。したがって、マンドレル1に対する繊維束Rの巻付不良、あるいは全自動連続生産システムの遅延を招くことなく、安定性の高い連続生産が可能なFW装置を提供できる。
【0038】
本実施形態では、一対の摩擦ローラ53・53で保持手段47を構成したが、摩擦ローラ53を1つあるいは3つ以上とすることもできる。摩擦ローラを3つ以上とする場合は、ローラ支持台54の平板57を側面視で部分円弧状に形成して、各摩擦ローラ53を、受渡リング42の外周面の周方向に並べることが望ましい。複数個の摩擦ローラ53を繊維束R(終端部E)に押し当てる場合には、付勢部材の付勢力が、終端部Eの周面の複数箇所に分散して伝わるようになるので、摩擦ローラ53を押し当てることによる終端部Eの周面の凹みなどを防止できる。
【0039】
また、本実施形態では、巻き付け処理後のマンドレル101の取付治具103から次のマンドレル1の取付治具3に、受渡リングを直接的に移し替えているが、これを専用の軸状部材などを介して間接的に移し替えることもできる。具体的にはまず、巻き付け処理後のマンドレル101の取付治具103に装着された受渡リングを軸状部材に移し替える。そして、このマンドレル101を巻付部から取り出した後、次のマンドレル1を装填するが、この装填の際に、軸状部材に装着された状態にある受渡リングを、マンドレル1の取付治具3に移し替えるように構成する。この構成は、着脱部を1組のみ備えるFW装置(図6などにおいて左右のうち一方の着脱部を省略した形態)に好適である。
【0040】
その他、カッタ支持板52を基体49に対して前後スライド可能として、カッタ46を保持手段47とは独立して前後変位させることができる。着脱部は、巻き付け処理前のマンドレル1を巻付部に装填し、巻き付け処理が行われる間マンドレル1を支持し、巻き付け処理後にマンドレル101を巻付部から取り出すという3つの役割を担うものであるが、これら3者を別々に構成してもよい。例えば、マンドレル1の支持部を巻付部に設けて、この支持部に対する装填操作と取り出し操作を、それぞれ別のチャックを用いて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】繊維束からその終端部を切り離した状態を示す、フィラメントワインディング装置の要部の正面図である。
【図2】フープ巻ヘッドを示す側面図である。
【図3】ヘリカル巻ヘッドを示す側面図である。
【図4】繊維束からその終端部を切り離す直前の状態を示す正面図である。
【図5】繊維束からその終端部を切り離す直前の状態を示す側面図である。
【図6】ワインディング製品の製造過程の第1過程を示す説明図である。
【図7】ワインディング製品の製造過程の第2過程を示す説明図である。
【図8】ワインディング製品の製造過程の第3過程を示す説明図である。
【図9】ワインディング製品の製造過程の第4過程を示す説明図である。
【図10】ワインディング製品の製造過程の終段過程を示す説明図である。
【図11】終段過程における要部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 マンドレル
2 口部
3 取付治具
41 第1受渡リング(第1受渡部材)
42 第2受渡リング(第2受渡部材)
46 カッタ
47 保持手段
53 摩擦ローラ
54 ローラ支持台
55 圧縮バネ(付勢部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離して巻き付け処理前のマンドレルに受け渡す受渡機構を具備するフィラメントワインディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンドレルに対する繊維束の巻き付け処理を行うフィラメントワインディング装置の分野においては、連続生産を目標とした全自動化システムの開発が進められている。一連のワインディング処理の自動化の実現のためには、繊維束の巻付部において、巻き付け処理後のマンドレルと巻き付け処理前のマンドレルとを自動的に交換する必要がある。また、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離し、該終端部を、次に装填される巻き付け処理前のマンドレルに対して巻き付け処理を行う際の始端部として保持しておくための機構が必要となる。
【0003】
例えば特許文献1では、マンドレルの両側に設けた軸状の治具を、対向配置したスピンドルで支持し、一方のスピンドルをモータで回転駆動しながら、繊維束をトラバース装置でマンドレルの長手方向に沿って往復操作することにより、繊維束をマンドレルに巻き付けている。他方のスピンドルはウエストドラムで回転自在に軸支されている。マンドレルに対する巻き付け処理の終了後、繊維束をウエストドラム上に数回巻き付けて、専用のカッタで切断する。次に装填されるマンドレルに対しては、ウエストドラム上に巻き付けられた繊維束を巻付始端として、巻き付け処理が行われる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−338043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係るフィラメントワインディング装置では、繊維束の終端部を専用の受渡部材に巻き付けるように構成する。この受渡部材を、巻き付け処理後のマンドレルから、巻付部に次に装填される巻き付け処理前のマンドレルへと移し替えることで、繊維束の終端部を、次のマンドレルに対して巻き付け処理を行う際の始端部として受け渡すことができる。
これに対し、特許文献1のフィラメントワインディング装置では、マンドレルに固定された取付治具の先端部を支持するウエストドラムに、繊維束の終端部を巻き付けている。この特許文献1の構成によれば、ウエストドラム上の繊維束の終端部を次に装填されたマンドレルの取付治具へと移すため(ウエストドラム上に繊維束を残さないため)、ウエストドラムの逆回転駆動などが必要になって、マンドレルに対する巻き付け処理の開始までに手間が掛かる不利がある。
【0006】
本発明は、巻き付け処理後のマンドレルから巻き付け処理前のマンドレルへと移し替えられる受渡部材を用いた繊維束の終端部の受渡機構を具備するフィラメントワインディング装置において、繊維束の終端部を切り離す際に、繊維束がたるむ、あるいは解けるなどのトラブルの発生を防止することで、繊維束の巻き付け不良、あるいは全自動連続生産システムの遅延を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフィラメントワインディング装置は、繊維束をマンドレルに巻き付ける巻付部と、巻き付け処理前のマンドレルを該巻付部に装填し、巻き付け処理後にマンドレルを該巻付部から取り出す着脱部と、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離して巻き付け処理前のマンドレルに受け渡す受渡機構とを具備する。そして、巻き付け処理後のマンドレルと一体の第1受渡部材および巻き付け処理前のマンドレルに移し替えられる第2受渡部材に巻き付けられた繊維束を、該第1・第2の受渡部材間で切断するカッタと、該カッタによる切断時に該第2受渡部材を位置保持する保持手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
前記保持手段は、前記第2受渡部材の外周面に押し当てられる摩擦部材と、該摩擦部材を該第2受渡部材に向けて付勢する付勢部材とを含み、前記摩擦部材が、マンドレルに固定した軸状の取付治具と平行な軸で回転自在に支持された摩擦ローラであることが好ましい。
【0009】
前記保持手段は、前記付勢部材から付勢力を受けるローラ支持台を含み、複数個の前記摩擦ローラが、前記第2受渡部材の外周面の周方向に並んで配置されて、前記ローラ支持台に軸支される形態を採ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るフィラメントワインディング装置は、巻き付け処理後のマンドレルと一体の第1受渡部材および巻き付け処理前のマンドレルに移し替えられる第2受渡部材に巻き付けられた繊維束を、該第1・第2の受渡部材間で切断するカッタと、該カッタによる切断時に該第2受渡部材を位置保持する保持手段とを備えている。この保持手段によれば、繊維束の終端部を切り離した際の、第2受渡部材と巻付部との間に架け渡された繊維束の張力による第2受渡部材の変位を規制することができる。したがって、第2受渡部材間の変位に伴う繊維束のたるみなどを防止できる。これにて、繊維束の巻付不良、あるいは全自動連続生産システムの遅延を招くことなく、安定性の高い連続生産が可能なフィラメントワインディング装置を提供できる。
【0011】
第2受渡部材に巻き付けられた繊維束に押し当てる部材を摩擦ローラとした場合は、繊維束の終端部を切り離すためにマンドレル(取付治具)を回転させた時に、繊維束と摩擦ローラとの間の摩擦力により、摩擦ローラは第2受渡部材と同時に回転するようになる。摩擦部材をパッドなどで構成した場合は、第2受渡部材の外周面の繊維束が該パッドに擦れて該繊維束に傷が付くおそれがあるが、摩擦ローラは第2受渡部材と同時に回転するので先のような擦れは発生せず、これにて、繊維束の傷付きを確実に防止できる。
【0012】
複数個の摩擦ローラを繊維束に押し当てる場合には、付勢部材の付勢力が、繊維束の周面の複数箇所に分散して伝わるようになる。つまり、繊維束が摩擦ローラとの各接点において摩擦ローラから受ける負荷が小さくなるので、摩擦ローラを押し当てることによる繊維束の周面の凹みなどを防止できる。
【0013】
また、摩擦ローラが単数の場合は、これを付勢する方向が第2受渡部材の中心から少しでもずれていれば、付勢部材の付勢力を効率良く第2受渡部材に伝えられない。最悪の場合には、繊維束と摩擦ローラとの間にすべりが生じて、摩擦ローラの支持台などが繊維束に接触し、繊維束に傷が付いてしまうおそれがある。その点本発明のように、第2受渡部材の周方向に並ぶ複数の摩擦ローラを用いる場合は、これらローラ群が第2受渡部材を挟むような状態となり、ローラ群及び支持台の不用意な位置変位が、マンドレルの取付治具を介して巻付部に確りと支持された第2受渡部材により規制されるようになる。これにて、付勢部材からの付勢力が的確に第2受渡部材へと伝わり、繊維束の張力による第2受渡部材の変位を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1ないし図11は本発明に係るフィラメントワインディング装置(以下、FW装置と記す)の実施形態を示す。FW装置は、一群のクリールを支持する供給部と、供給部から送給される繊維束Rをマンドレル1に巻き付ける巻付部と、巻き付け処理前のマンドレル1を巻付部に装填し、巻き付け処理後にマンドレル1を巻付部から取り出す着脱部と、巻き付け処理後のマンドレル1に巻き付けられた繊維束Rから該繊維束Rの終端部Eを切り離して巻き付け処理前のマンドレル1に受け渡す受渡機構とを具備する。
【0015】
マンドレル1は、高強度アルミニウム材、ステンレス材などの金属材、あるいは樹脂成形品などで、中央の円筒部と、円筒部の両端に連続するドーム部とを有する容器状に形成される。FW装置において繊維束Rの巻き付け処理が行われる間は、各ドーム部の頂部に突設した円柱状の口部2に、軸状の取付治具3がそれぞれ固定される(図6参照)。
繊維束Rは、例えばガラス繊維や炭素繊維などの繊維の束からなる。先のクリールに巻き込まれた繊維束Rには、予め熱硬化性の樹脂が含浸させてある。なお、クリールから繰出した繊維束Rに溶融した樹脂を含浸させた後、巻付部に送給してもよい。
【0016】
繊維束Rの巻付部は、主としてマンドレル1の円筒部に対して繊維束Rをフープ巻きするためのフープ巻ヘッド10と、マンドレル1の円筒部およびドーム部に対して繊維束Rをヘリカル巻きするためのヘリカル巻ヘッド20とを備えている。図2においてフープ巻ヘッド10は、中央に円形の開口11を有するフレーム12と、先の開口11に沿って旋回駆動される複数個のボビン13と、ボビン13を移行案内するガイド溝14と、図示していないボビン13の駆動機構などで構成してある。
巻き付け処理時におけるマンドレル1は、フレーム12と直交する状態で、開口11の中央部分に支持されており、ボビン13を旋回駆動することにより、ボビン13から繰り出される繊維束Rをマンドレル1に巻き付けることができる。また、フレーム12をベース5の長手方向に沿って往復操作することにより、マンドレル1に対する繊維束Rの巻付位置を変更できる。
【0017】
図3においてヘリカル巻ヘッド20は、ベース5の長手方向の中央部分に固定される門形のフレーム22と、フレーム22の中央に設けられる円形の開口21と、開口21の周縁に配置されるガイドリング23と、ガイドリング23の両側に配置される張力調整部24などで構成してある。図示していないが、ガイドリング23の周囲には一群の補助ガイドが配置され、ガイドリング23の内面には、ガイドリング23に貫通される一群のガイド穴に対応して開繊ガイドが設けてある。供給部から送給される繊維束Rは、フレーム22の外側方に配置したガイドローラで変向案内され、張力調整部24で所定の張力を付与されたのち、ガイドリング23のガイド穴へと案内される。
巻き付け処理時におけるマンドレル1は、フレーム22と直交する状態で開口21の中央部分に支持されており、このマンドレル1を往復操作しながら所定角度だけ回転操作することにより、ガイドリング23で案内された繊維束Rを、マンドレル1の周面の長手方向に沿って巻き付けることができる。
【0018】
巻付部へのマンドレル1の装填、及び、巻付部からのマンドレル1の取り出しを自動的に行う着脱部は、図6に示すように、マンドレル1の取付治具3を挟持可能な3個のチャック31・32・33を備えている。このうち第1チャック31は、取付治具3を介してマンドレル1に回転動力を伝えるための原動ギヤを備えており、この原動ギヤは、モータ35の駆動力を受けて回転駆動される。各チャック31・32・33は、水平方向に移動自在に構成される。
【0019】
不図示の搬送装置によりFW装置の近傍まで搬送されたマンドレル1は、両取付治具3・3を第1及び第2チャック31・32によりそれぞれ挟持された状態で、搬送装置の供給ラインからピックアップされる。ピックアップされたマンドレル1は、フープ巻ヘッド10及びヘリカル巻ヘッド20の開口11・21の中心線上に移動されて、第2チャック32で挟持されている側の取付治具3が開口11・21に挿通される。そして、開口11・21に挿通された取付治具3が、第2チャック32から第3チャック33に持ち替えられたところで、巻付部による巻き付け処理が開始される。巻き付け処理時におけるマンドレル1は、第1及び第3チャック31・33により往復及び回転操作される。
各ヘッド10・20による巻き付け処理の終了後、着脱部は、開口11・21に挿通されている取付治具3を、第3チャック33から第2チャック32に再び持ち替えた後、巻き付け処理後のマンドレル1を巻付位置から離す。そして、このマンドレル1は、搬送装置の搬出ラインに乗って、繊維束Rに含浸ないし付着された溶融樹脂を熱硬化させる加熱工程へと搬送される。以上が、着脱部によるマンドレル1の自動装填及び自動取り出しの概要であるが、その詳細については後述する。
【0020】
本実施形態に係るFW装置の受渡機構は、図1に示すように、マンドレル1の一方の取付治具3に装着される2つの受渡リング(受渡部材)41・42と、繊維束Rを切断可能な切断部45とを含む。2つの受渡リング41・42は同一形状であり、その外径寸法は口部2のそれに等しく設定される。取付治具3は、外周面に多数の突条を備えたスプライン軸状に形成されており、両受渡リング41・42には、これに噛み合うスプライン穴が形成されている(図5参照)。したがって、マンドレル1及び取付治具3が回転する際には、両受渡リング41・42も一体に回転する。また、取付治具3の各突条は軸方向に延びているため、両受渡リング41・42は、取付治具3に案内されて軸方向にスライド変位できる。
【0021】
図4は、1つのマンドレル1に対する繊維束Rの巻き付け処理が終了した直後における、両受渡リング41・42の周辺の状態を示しているが、このマンドレル1に対して巻き付け処理を行う際の始端部は、口部2に隣接して配置される第1受渡リング41の外周面に位置している。また、繊維束Rの終端部Eは、口部2との間で第1受渡リング41を挟むように配置される第2受渡リング42の外周面に巻き付けられている。
【0022】
切断部45は、巻き付け処理後のマンドレル1に巻き付けられた繊維束Rから、該繊維束Rの終端部Eを切り離すために設けられている。この終端部Eを、次に巻付部に装填される巻き付け処理前のマンドレル(以下、単に“次のマンドレル”と記す)1に受け渡すには、まず図1に示すように、切断部45のカッタ46で繊維束Rから終端部Eを切り離す。次に、終端部Eが巻き付けられた第2受渡リング42を、巻き付け処理後のマンドレル1の取付治具3から、次のマンドレル1の取付治具3へと移し替える。これにて終端部Eを、次のマンドレル1における巻付始端として受け渡すことができる。なお“移し替え”の詳細については後述する。
【0023】
ただし、切断部45で終端部Eを切り離す際には、この終端部Eと巻付部の各ヘッド10・20との間に、繊維束Tが架け渡されていることを考慮する必要がある(図11参照)。つまり、第2受渡リング42を位置保持することなく終端部Eを切り離した場合は、架け渡された繊維束Tの張力によって、第2受渡リング42が取付治具3の軸方向先端側に変位して、繊維束Tがたるむ、あるいは解けるおそれがある。
【0024】
そこで本実施形態に係る受渡機構の切断部45は、図1に示すように、カッタ46による切断時に第2受渡リング42を位置保持する保持手段47を備えている。保持手段47は、第2受渡リング42の外周面の終端部Eに押し当てられる摩擦部材53を備えており、この摩擦部材53を終端部Eに押し当てておくことで、繊維束Tの張力による第2受渡リング42の変位を規制することができる。これにて、繊維束Tのたるみなどの諸問題の発生を防止できる。
【0025】
切断部45は、図示しない駆動機構で取付治具3の径方向に変位可能に構成されており、駆動機構に連結された基体49の先端側(取付治具3の側)に、先のカッタ46と保持手段47が配置されている。なお以下では、説明の便宜上、取付治具3の径方向を前後方向(基体49の先端側が前側)と規定する。
【0026】
図1及び図5に示すように、カッタ46は円盤状に形成され、その中央部を支軸51で回転自在に支持されている。支軸51は、カッタ支持板52を介して基体49に固定されている。保持手段47は、終端部Eに押し当てられる一対の摩擦ローラ(摩擦部材)53・53と、両摩擦ローラ53・53を回転自在に支持するローラ支持台54と、ローラ支持台54を基体49に対して前方に付勢する圧縮バネ(付勢部材)55とを含む。
【0027】
ローラ支持台54は、前後方向に直交する平板57の後面で、圧縮バネ55の前端を受け止めている。圧縮バネ55は、平板57の後面の中央部に突設した前後に長いロッド58に外嵌装着されており、圧縮バネ55の後端は、基体49の前端部に形成した横板59に受け止められている。このように、基体49(横板59)とローラ支持台54(平板57)との間に圧縮バネ55を設けることで、ローラ支持台54が基体49に対して前方に付勢される。
【0028】
基体49における横板59の後方には、横板59と平行な第2横板60が形成されている。両横板59・60にはそれぞれ貫通孔が開設され、各貫通孔に、ロッド58を前後にスライド案内するためのガイド61が装着固定されている。ロッド58は断面六角形状に形成されており、これとガイド61・61の通孔とが係合することで、ロッド58及びローラ支持台54の回転変位が規制される。ロッド58の後端にはフランジ62が張り出し形成されており、このフランジ62と第2横板60とにより、ロッド58の横板59からの突出寸法の限界量が規定されている。
【0029】
一方、ローラ支持台54の平板57の前面には、各摩擦ローラ53の支持部65が突出形成されている。各支持部65は、取付治具3と平行な摩擦ローラ53の回転軸66を一体に備えている。
【0030】
本実施形態に係るFW装置による、繊維束Rを巻き付けたマンドレル1の全自動連続生産システムを、図6から図11を用いて説明する。ここでのFW装置は、2組の着脱部(第1〜第3チャック)を備えており、1つの巻付部に対して両着脱部が交互にマンドレル1の装填、取り出しを行うものとした。2組の着脱部を用いることで、一方の着脱部により支持されるマンドレル1に対して巻き付け処理が行われている間、他方の着脱部を、次のマンドレル1を支持した状態で待機させておくことができる。そして、巻き付け処理が終了し、巻き付け処理後のマンドレル1が一方の着脱部により取り出されてすぐに、他方の着脱部により次のマンドレル1を巻付部に装填できるので、全自動連続生産システムの高速化を図ることができる。
なお、以下の各図においては、2組の着脱部のうち、図6に向かって右側の着脱部の第1〜第3のチャックを、左側の各チャック31・32・33と区別するために、符号131・132・133で示している。また、繊維束Rの巻き付け処理後のマンドレル、口部、取付治具、第1受渡リング及び第2受渡リングを、巻き付け処理前のものと区別するために、符号101、102、103、141及び142で示している。
【0031】
図6は、右側の着脱部に支持される巻き付け処理後のマンドレル101において、巻き付けられた繊維束Rから終端部Eが切り離された直後の状態を示している。このとき第2受渡リング142は、上述の切断部45の保持手段47により位置保持されている。この終端部Eの切り離しまでの間に、左側の着脱部は、第1チャック31と第2チャック32により次のマンドレル1を搬送ラインからピックアップして、巻付部を構成する各ヘッド10・20の開口11・21の中心線上に移動させている。
【0032】
終端部Eの切り離し後、左側の着脱部は、第1チャック31と第2チャック32で支持するマンドレル1をマンドレル101の側に移動させて、取付治具3・103の側端どうしを当接させる。その後、左右の着脱部は、マンドレル1・101を同時に右方へ僅かに移動させる。
このとき、第2受渡リング142は保持手段47に位置保持されている。したがって、マンドレル101及び取付治具103が移動することにより、第2受渡リング142は取付治具103に対して相対変位して、第1受渡リング141から離れる。
【0033】
次に、右側の着脱部は、図7に矢印aで示すように、取付治具103における第1受渡リング141と第2受渡リング142との間を第2チャック132でつかみ、それまでこの取付治具103を保持していた第3チャック133を、矢印bで示すように分離する。その後、左右の着脱部は、マンドレル1・101を同時に矢印c方向へ移動させる。これにより、巻き付け処理後のマンドレル101に代わって、巻き付け処理前のマンドレル1の一方の取付治具3が、巻付部の各ヘッド10・20の開口11・21をくぐり抜ける。
このときも、第2受渡リング142は先と同様に位置保持されている。したがって、両マンドレル1・101が移動して、互いに当接する両取付治具3・103の側端が第2受渡リング142の通孔内を通過した時点で、第2受渡リング142が、マンドレル101の取付治具103から次のマンドレル1の取付治具3へと移し替えられる。この移し替えにより、第2受渡リング142に巻き付けられた終端部Eが次のマンドレル1に受け渡されて、その後、次のマンドレル1における巻付始端となる。つまり、巻き付け処理後のマンドレル101における第2受渡リング142は、その取付治具103から取り外されて、次のマンドレル1の取付治具3に、第1受渡リング41として装着される。
【0034】
第1受渡リング41が装着されたマンドレル1の取付治具3には、図8に示すように、新たに第2受渡リング42が装着される。マンドレル1に対する巻き付け処理の際には、この第2受渡リング42に繊維束Rの終端部Eが巻き付けられることとなる。次に、左側の着脱部は、取付治具3の側端を矢印dのように第3チャック33でつかんだ後、第2チャック32を、矢印eで示すように取付治具3から分離する。その後、マンドレル1を矢印f方向へ移動させる。
このとき、第1受渡リング41が保持手段47に継続して位置保持されている他、第2受渡リング42も不図示のアームにより位置保持されているため、マンドレル1及び取付治具3が移動することで、両受渡リング41・42が取付治具3に対して相対変位する。これにて、口部2、第1受渡リング41、第2受渡リング42の三者が隣接する。
【0035】
口部2と第1受渡リング41が隣接した時点で、第1受渡リング41の外周面に位置する先の終端部Eが巻付始端となって、巻き付け処理が開始される。巻付部は最初に、第1受渡リング41と口部2との間に繊維束Rを数回巻き付ける。これにより、第1受渡リング41が口部2及び取付治具3に対して変位不能となるので、ここで初めてFW装置は、切断部45の保持手段47を第1受渡リング41から離間させる。以後は、着脱部の第1チャック31と第3チャック33とによりマンドレル1を往復及び回転操作しながら、巻付部の各ヘッド10・20によりマンドレル1に繊維束Rを巻き付ける。マンドレル1の外表面に、繊維束Rによる補強層が完成したら、各ヘッド10・20は、繊維束Rの終端部Eを第2受渡リング42に巻き付けて、巻き付け処理を終了する(図9参照)。なお、第2受渡リング42には終端部Eのみを巻き付ければよいため、必ずしも第2受渡リング42を巻き付け処理の開始前に第1受渡リング41に隣接させる必要はなく、マンドレル1に対する巻き付け処理の途中、あるいは補強層が完成した時点で、第2受渡リング42を第1受渡リング41に隣接させてもよい。
【0036】
こうして巻き付け処理が終了したマンドレル101に対して、FW装置は、図10及び図11に示すように、第2受渡リング142の外周面に位置する終端部Eを切り離す。なお、このFW装置には、着脱部を2組設けたことに伴って2つの切断部45が設けられており、今回の切り離しには、直前に使用したものとは別の切断部45が使用される。
FW装置は、終端部Eを切り離すべく、切断部45をマンドレル101の取付治具103に向けて移動させる。これにより、保持手段47の摩擦ローラ53・53が終端部Eに、カッタ46が第1受渡リング141と第2受渡リング142との間に、それぞれ押し当てられる。この状態で取付治具103を1回転させることにより、両受渡リング141・142の隣接縁上において繊維束Rが切断されて、終端部Eが切り離される。なおこのとき、摩擦ローラ53・53は、繊維束Rとの間の摩擦力により第2受渡リング142と同時に回転するので、擦れにより繊維束Rに傷が付くことが防止される。
なお、この終端部Eの切り離しが終了するまでの間に、右側の着脱部は、巻き付け処理後のマンドレル101を搬出ラインに乗せた後、次のマンドレル1を搬送ラインからピックアップして、これを各ヘッド10・20の開口11・21の中心線上に移動させている。以後、上記の手順を繰返し行うことにより、圧力容器のブランク体を連続して製造することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態においては、終端部Eを切り離した際の第2受渡リング142の変位が保持手段47により規制されるので、第2受渡リング142の変位に伴う、終端部Eと巻付部との間に架け渡された繊維束Tのたるみなどを確実に防止できる。したがって、マンドレル1に対する繊維束Rの巻付不良、あるいは全自動連続生産システムの遅延を招くことなく、安定性の高い連続生産が可能なFW装置を提供できる。
【0038】
本実施形態では、一対の摩擦ローラ53・53で保持手段47を構成したが、摩擦ローラ53を1つあるいは3つ以上とすることもできる。摩擦ローラを3つ以上とする場合は、ローラ支持台54の平板57を側面視で部分円弧状に形成して、各摩擦ローラ53を、受渡リング42の外周面の周方向に並べることが望ましい。複数個の摩擦ローラ53を繊維束R(終端部E)に押し当てる場合には、付勢部材の付勢力が、終端部Eの周面の複数箇所に分散して伝わるようになるので、摩擦ローラ53を押し当てることによる終端部Eの周面の凹みなどを防止できる。
【0039】
また、本実施形態では、巻き付け処理後のマンドレル101の取付治具103から次のマンドレル1の取付治具3に、受渡リングを直接的に移し替えているが、これを専用の軸状部材などを介して間接的に移し替えることもできる。具体的にはまず、巻き付け処理後のマンドレル101の取付治具103に装着された受渡リングを軸状部材に移し替える。そして、このマンドレル101を巻付部から取り出した後、次のマンドレル1を装填するが、この装填の際に、軸状部材に装着された状態にある受渡リングを、マンドレル1の取付治具3に移し替えるように構成する。この構成は、着脱部を1組のみ備えるFW装置(図6などにおいて左右のうち一方の着脱部を省略した形態)に好適である。
【0040】
その他、カッタ支持板52を基体49に対して前後スライド可能として、カッタ46を保持手段47とは独立して前後変位させることができる。着脱部は、巻き付け処理前のマンドレル1を巻付部に装填し、巻き付け処理が行われる間マンドレル1を支持し、巻き付け処理後にマンドレル101を巻付部から取り出すという3つの役割を担うものであるが、これら3者を別々に構成してもよい。例えば、マンドレル1の支持部を巻付部に設けて、この支持部に対する装填操作と取り出し操作を、それぞれ別のチャックを用いて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】繊維束からその終端部を切り離した状態を示す、フィラメントワインディング装置の要部の正面図である。
【図2】フープ巻ヘッドを示す側面図である。
【図3】ヘリカル巻ヘッドを示す側面図である。
【図4】繊維束からその終端部を切り離す直前の状態を示す正面図である。
【図5】繊維束からその終端部を切り離す直前の状態を示す側面図である。
【図6】ワインディング製品の製造過程の第1過程を示す説明図である。
【図7】ワインディング製品の製造過程の第2過程を示す説明図である。
【図8】ワインディング製品の製造過程の第3過程を示す説明図である。
【図9】ワインディング製品の製造過程の第4過程を示す説明図である。
【図10】ワインディング製品の製造過程の終段過程を示す説明図である。
【図11】終段過程における要部を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 マンドレル
2 口部
3 取付治具
41 第1受渡リング(第1受渡部材)
42 第2受渡リング(第2受渡部材)
46 カッタ
47 保持手段
53 摩擦ローラ
54 ローラ支持台
55 圧縮バネ(付勢部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束をマンドレルに巻き付ける巻付部と、巻き付け処理前のマンドレルを該巻付部に装填し、巻き付け処理後にマンドレルを該巻付部から取り出す着脱部と、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離して巻き付け処理前のマンドレルに受け渡す受渡機構とを具備し、
巻き付け処理後のマンドレルと一体の第1受渡部材及び巻き付け処理前のマンドレルに移し替えられる第2受渡部材に巻き付けられた繊維束を、該第1・第2の受渡部材間で切断するカッタと、該カッタによる切断時に該第2受渡部材を位置保持する保持手段とを備えていることを特徴とするフィラメントワインディング装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記第2受渡部材の外周面に押し当てられる摩擦部材と、該摩擦部材を該第2受渡部材に向けて付勢する付勢部材とを含み、
前記摩擦部材が、マンドレルに固定した軸状の取付治具と平行な軸で回転自在に支持された摩擦ローラである請求項1記載のフィラメントワインディング装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記付勢部材から付勢力を受けるローラ支持台を含み、
複数個の前記摩擦ローラが、前記第2受渡部材の外周面の周方向に並んで配置されて、前記ローラ支持台に軸支されている請求項2記載のフィラメントワインディング装置。
【請求項1】
繊維束をマンドレルに巻き付ける巻付部と、巻き付け処理前のマンドレルを該巻付部に装填し、巻き付け処理後にマンドレルを該巻付部から取り出す着脱部と、巻き付け処理後のマンドレルに巻き付けられた繊維束から該繊維束の終端部を切り離して巻き付け処理前のマンドレルに受け渡す受渡機構とを具備し、
巻き付け処理後のマンドレルと一体の第1受渡部材及び巻き付け処理前のマンドレルに移し替えられる第2受渡部材に巻き付けられた繊維束を、該第1・第2の受渡部材間で切断するカッタと、該カッタによる切断時に該第2受渡部材を位置保持する保持手段とを備えていることを特徴とするフィラメントワインディング装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記第2受渡部材の外周面に押し当てられる摩擦部材と、該摩擦部材を該第2受渡部材に向けて付勢する付勢部材とを含み、
前記摩擦部材が、マンドレルに固定した軸状の取付治具と平行な軸で回転自在に支持された摩擦ローラである請求項1記載のフィラメントワインディング装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記付勢部材から付勢力を受けるローラ支持台を含み、
複数個の前記摩擦ローラが、前記第2受渡部材の外周面の周方向に並んで配置されて、前記ローラ支持台に軸支されている請求項2記載のフィラメントワインディング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−66883(P2009−66883A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237193(P2007−237193)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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