説明

フィルターエレメントおよびこれを組み込んだ圧力調整弁

【課題】本発明は、液体に対する濾過面積を大きくすることができると共に、簡単な構成で且つ容易に着脱することができるフィルターエレメントを提供することを課題としている。
【解決手段】通液した機能液の異物除去に用いるフィルターエレメント131であって、流入経路95の周縁当接部94aに着座するフランジ部134と、フランジ部134に連なり、流入経路95に臨むエレメント本体135と、を備え、エレメント本体135が、機能液の流れ方向に突出する形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通液した流体の異物除去に用いるフィルターエレメントおよびこれを組み込んだ圧力調整弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のフィルターエレメントとして、圧力調整を行うバルブユニットの流入流路に組み込まれた円形平面状のフィルターエレメントが知られている(特許文献1参照)。このフィルターエレメントは、当該流入流路のフィルター設置段部に熱溶着して用いられている。
【特許文献1】特開2007−260949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、フィルターエレメントには、通液する液体からの異物が堆積するため、フィルターエレメントを取り外して、交換する必要がある。
しかしながら、上記のようにフィルターエレメントをフィルター設置段部に熱溶着して固定すると、フィルターエレメントが交換不能となってしまうという問題があった。また、フィルターエレメントを保持枠に溶着し、この保持枠を流入流路に着脱自在に設置することも考えられるが、かかる場合、フィルターエレメントの構造が複雑になってしまう。しかも、平面状のフィルターエレメントでは、流入流路の内径断面が、そのまま、液体に対する濾過面積となってしまうため、濾過面積が小さくなってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、液体に対する濾過面積を大きくすることができると共に、簡単な構成で且つ容易に着脱することができるフィルターエレメントおよびこれを組み込んだ圧力調整弁を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフィルターエレメントは、流体流路のフィルター設置段部に着座するフランジ部と、フランジ部に連なり、流体流路に臨むエレメント本体と、を備え、エレメント本体が、流体の流れ方向に突出する形状を有していることを特徴とする。
【0006】
この場合、フランジ部およびエレメント本体は、多数のフィルター孔を有すると共に、一体に成形されていることが好ましい。
【0007】
この場合、エレメント本体が、平坦な底部を有して皿状に突出形成されていることが好ましい。
【0008】
この場合、エレメント本体が、略半球状に突出形成されていることが好ましい。
【0009】
これらの構成によれば、流体流路に臨むエレメント本体が、流体の流れ方向に突出する形状を有しているため、エレメント本体が、流体流路に入り込んで流体流路と係合する。これにより、フィルターエレメントが固定され、流体流路に設置される。このように、溶着等を用いずにフィルターエレメントを設置することができるため、フィルターエレメントの着脱を容易に行うことができる。また、保持枠等の部材を必要とせず、簡単な構成でフィルターエレメントを着脱することができる。さらに、突出する形状を有しているため、平面状のものと比較して、濾過面積を大きくすることができると共に、安定にセットすることができる。またさらに、凹凸形状を有しているため、フィルターエレメントに剛性を持たせることができ、製造や保管上の都合で発生するフィルターエレメントの反りを抑えることができる。そのため、フィルターエレメントを容易に設置することができる。なお、ここにいう「皿状」とは、円錐台形の形状を示しており、カップ状のものであっても良い。また、2段の段付き円錐台形の形状を有していても良い。
【0010】
本発明の圧力調整弁は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、を接続する機能液流路に介設した圧力調整弁であって、流入ポートに形成したフィルター設置段部に上記のフィルターエレメントを組み込んだことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、上記フィルターエレメントを圧力調整弁の流入ポートに組み込むことにより、圧力調整弁内に異物が流入することを抑えることができるため、圧力調整を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明のフィルターエレメントを組み込んだ圧力調整弁を搭載する液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液(流体)を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、液晶表示装置のカラーフィルターや有機EL装置の各画素となる発光素子等を形成するものである。
【0013】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース2上に配設され、主走査方向となるX軸方向に延在して、ワークWをX軸方向(主走査方向)に移動させるX軸テーブル3と、複数本の支柱4を介してX軸テーブル3を跨ぐように架け渡された1対(2つ)のY軸支持ベース5上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在するY軸テーブル6と、インクジェット方式の複数の機能液滴吐出ヘッド7(図2参照)が搭載された10個のキャリッジユニット8と、から成り、10個のキャリッジユニット8は、Y軸テーブル6に移動自在に吊設されている。さらに、液滴吐出装置1は、これらの装置を温度および湿度が管理された雰囲気内に収容するチャンバ11と、チャンバ11を貫通して、チャンバ11の外部から内部の機能液滴吐出ヘッド7に機能液を供給する3組の機能液供給装置21を有した機能液供給ユニット12と、を備えている。X軸テーブル3およびY軸テーブル6の駆動と同期して機能液滴吐出ヘッド7を吐出駆動させることにより、機能液供給ユニット12から供給されたR・G・B3色の機能液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンが描画される。
【0014】
次に、図1および図2を参照して機能液供給ユニット12について説明する。機能液供給ユニット12は、R・G・B3色の機能液を供給する3組の機能液供給装置21を備えている。3組の機能液供給装置21は、それぞれR・G・B3色に対応した機能液滴吐出ヘッド7に接続されており、これにより、各色の機能液滴吐出ヘッド7には対応する色の機能液が供給される。
【0015】
図2に示すように、各色の機能液供給装置21は、機能液の供給源を構成する2つのメインタンク36,36を有するタンクユニット22と、各キャリッジユニット8に対応して設けた10個のサブタンク(機能液タンク)23と、タンクユニット22と10個のサブタンク23を接続する上流側機能液流路24と、各サブタンク23と各機能液滴吐出ヘッド7とを接続する10組の下流側機能液流路(機能液流路)25と、を備えている。なお、各タンクユニット22は、チャンバ11の側壁の一部に設けられたタンクキャビネット26内に収容されており、各サブタンク23は、対応する各キャリッジユニット8に搭載されたタンクケース27に収容されている(図1参照)。
【0016】
各メインタンク36,36内の機能液は、これに接続した窒素ガス供給設備31からの圧縮窒素ガスにより加圧され、上流側機能液流路24を介して10個のサブタンク23に選択的に供給される。その際、各種開閉弁に接続した圧縮エアー供給設備32の圧縮エアーにより、各種開閉弁が開閉制御される。また同時に、各サブタンク23は、これに接続したガス排気設備33を介して大気開放され、必要量の機能液を受容する。各サブタンク23の機能液は、これに連なる機能液滴吐出ヘッド7の駆動により、下流側機能液流路25を介して機能液滴吐出ヘッド7に供給される。
【0017】
タンクユニット22は、機能液の供給源となる一対のメインタンク36,36と、一対のメインタンク36,36の重量をそれぞれ測定する一対の重量測定装置37,37と、一対のメインタンク36,36に接続されると共に、上流側機能液流路24に接続した切換え機構38と、を備えている。各メインタンク36には、窒素ガス供給設備31に接続されており、機能液を圧送する際に加圧制御可能に構成されている。
【0018】
上流側機能液流路24は、上流側から、上流側をタンクユニット22に接続したタンク側主流路41と、分岐部42を介してタンク側主流路41から10方に分流し、下流側をサブタンク23に接続した10本の枝流路43と、を備えている。タンクユニット22から供給された機能液は、分岐部42により10方に分流して各サブタンク23に供給される。
【0019】
また、タンク側主流路41には、上流側から気泡除去ユニット51、第1開閉弁52、エアー抜きユニット53、第2開閉弁54がそれぞれ介設されている。さらに、各枝流路43には、各サブタンク23の近傍に位置して第3開閉弁55がそれぞれ介設されている。
【0020】
各下流側機能液流路25は、上流側から、上流側を各サブタンク23に接続したヘッド側主流路61と、上流側をヘッド側主流路61に接続した4分岐流路62と、上流側を4分岐流路62に接続した複数のヘッド側枝流路63と、により構成されている。これにより、機能液が各サブタンク23から4方に分岐して、それぞれの機能液滴吐出ヘッド7に接続されている。すなわち、上流側機能液流路24の10分岐と、下流側機能液流路25の4分岐により、10×4個の機能液滴吐出ヘッド7に機能液が供給される。加えて、機能液供給ユニット12は、R・G・Bで3組の機能液供給装置21を有しているため、10×12個の機能液滴吐出ヘッド7に機能液が供給される。更に、ヘッド側主流路61には、第4開閉弁66と、機能液滴吐出ヘッド7への圧力調整を行う圧力調整弁67と、が介設されている。
【0021】
サブタンク23は、各4個の機能液滴吐出ヘッド7に供給する機能液を貯留するものである。サブタンク23は貯留された機能液の液位を検出する液位検出機構を有し、機能液の液位を一定の高さに維持しつつ供給を行う。機能液滴吐出ヘッド7の吐出駆動により、機能液の液位が下限液位まで下降すると(減液状態)、第3開閉弁55を開放してメインタンク36から機能液を供給し、メインタンク36からの供給により機能液の液位が上限液位まで上昇すると、第3開閉弁55を閉弁してメインタンク36からの供給を停止する。
【0022】
次に、図3ないし図6を参照して、圧力調整弁67廻りについて説明する。図3に示すように、圧力調整弁67は、ヘッド側主流路61に介設されており、流入側の継手を構成すると共に、流入ポート91に連なる流入コネクター71(ユニオン継手)と、流出側の継手を構成すると共に、流出ポート110に連なる流出コネクター72(ユニオン継手)と、を有している。
【0023】
図3および図4に示すように、圧力調整弁67は、本体ケーシング81と、本体ケーシング81と共に内部に1次室82を形成する蓋ケーシング83と、本体ケーシング81と共に内部に2次室84を形成し本体ケーシング81にダイヤフラム85を固定するリングプレート86との3部材でバルブケーシングが構成されており、いずれもステンレス等の耐食性材料で形成されている。また、本体ケーシング81には、その中心位置に1次室82および2次室84を連通する連通流路87が形成されている。
【0024】
蓋ケーシング83およびリングプレート86は、本体ケーシング81に対し、前後からリングプレート86および蓋ケーシング83を重ね、複数本の段付平行ピン(図示省略)でそれぞれ位置決めした後、ねじ止めして組み立てられており、いずれも円形のダイヤフラム85の中心を通る軸線と同心円となる円形あるいは多角形(8角形)の外観を有している。そして、蓋ケーシング83および本体ケーシング81は、パッキン89を介して相互に気密に突合せ接合され、本体ケーシング81およびリングプレート86は、ダイヤフラム85の縁部およびパッキン89を挟込み込んで相互に気密に突合せ接合されている。
【0025】
本体ケーシング81と蓋ケーシング83とで形成された1次室82は、ダイヤフラム85と同心となる略円柱形状に形成されており、その開放端を蓋ケーシング83により閉蓋されている。また、本体ケーシング81の1次室82側背面上部に形成した上部ボス部の左部には1次室82から径方向斜めに延びる流入ポート91が形成されている。流入ポート91には上記の流入コネクター71が接続されている。
【0026】
図4に示すように、流入ポート91は、本体ケーシング81の外周面に開口した流入口92と、フィルターエレメント131を収容するフィルター収容部94と、フィルター収容部94と1次室82の内周面とを連通する流入経路(流体流路)95とから成る。流入口92には、流入コネクター71が螺合(テーパーネジ)される。なお、詳細は後述するが、フィルター収容部94にはフィルターエレメント131が収容され、フィルターエレメント131と、螺合した流入コネクター71との間にはフィルターエレメント131の押えばね96が収容される。
【0027】
流入コネクター71の内部に形成された流路は、下流端で拡開形成されており、流路に段部が生じないように且つ機能液の流速に大きな変化が生じないようになっている。
【0028】
図4および図5に示すように、2次室84は、ダイヤフラム85と、本体ケーシング81に形成した内面壁101とによって、全体としてダイヤフラム85を底面とする円錐台形状に形成されている。ダイヤフラム85は、鉛直姿勢を為して配設され、2次室84の1つの面を構成している。また、内面壁101は、2次室84のダイヤフラム85の面(1つの面)を除いた各面を構成している。
【0029】
また、内面壁101のうち円錐台形状の頂面となる端壁101aには、ダイヤフラム85と同心となる2次室側開口部102が開口し、内面壁101のうち円錐台形状のテーパー面となる周壁101bの下側斜面における上下中間部には、後述する流出流路103の流出開口部104が形成されている。この場合、2次室側開口部102は、後述する受圧板付勢ばね105を収容するばね室を兼ねており、連通流路87の主流路106より太径に形成されている。
【0030】
図5に示すように流出ポート110は、本体ケーシング81の下部に位置する傾斜ボス部111に形成されており、傾斜ボス部111の下部に開口した流出口112と、2次室84の流出開口部104と、これらを連通する流出流路103とで構成されている。流出流路103は、内面壁101の周壁101bから斜めに延びて下向きの流出口112に連通している。流出口112には、流出流路103の軸線方向から流出コネクター72が螺合している。流出コネクター72の内部に形成された流路は、上流端で拡開形成されており、流路に段部が生じないように且つ機能液の流速に大きな変化が生じないようになっている。2次室84から流出する機能液は、流出開口部104から流出流路103の勾配に従って斜めに流下し、機能液滴吐出ヘッド7側に流出する。
【0031】
図4および図5に示すように、本体ケーシング81には、1次室82と2次室84とを連通する連通流路87が形成されている。連通流路87は、主流路106と、これに連なる2次室側開口部102とで構成されている。これら1次室82、2次室84および連通流路87は、いずれもダイヤフラム85と同心の円形断面を有している。ただし、主流路106は、後述する弁体113の軸部114がスライド自在に収容される円形断面の軸遊挿部115と、軸遊挿部115から径方向四方に延びる十字状断面の流路部116とで構成されている(図3(b)参照)。
【0032】
ダイヤフラム85は、樹脂フィルムで構成したダイヤフラム本体121と、ダイヤフラム本体121の内側に貼着した樹脂製の受圧板122とで構成されている。受圧板122は、ダイヤフラム本体121と同心の円板状に、且つダイヤフラム本体121に対し十分に小さい径に形成されており、その中央に後述する弁体113の軸部114が当接する。ダイヤフラム本体121は、耐熱PP(ポリプロピレン)と特殊PPとシリカを蒸着したPET(ポリエチレンテレフタレート)とを積層して構成されており、本体ケーシング81の前面と同径の円形に形成されている。
【0033】
弁体113は、円板状の弁体本体124と、弁体本体124の中心から断面横「T」字状を為すように一方向に延びる軸部114と、軸部114の基端部側(弁体本体124側)に設けた(取り付けた)環状のOリング125とで構成されている。弁体本体124および軸部114は、ステンレス等の耐食材料で一体に形成されている。Oリング125は、例えば軟質のシリコンゴムで環状に形成されている。このため、弁体113の閉弁時には、弁座となる連通流路87の開口縁にOリング125が強く当接して、連通流路87が1次室82側から液密に閉塞される。
【0034】
軸部114は、連通流路87(の主流路106)にスライド自在に遊嵌され、閉弁状態でその先端(前端)が中立位置にあるダイヤフラム85の受圧板122に当接する。すなわち、ダイヤフラム85が外部に向かって膨出するプラス変形の状態では、軸部114の前端と受圧板122との間には所定の間隙が生じており、この状態からダイヤフラム85がマイナス側に変形してゆくと、中立状態で軸部114の前端と受圧板122が当接し、さらにダイヤフラム85のマイナス変形がすすむと、受圧板122が軸部114を介して弁体本体124を押し開弁させることになる。したがって、2次室84の容積のうち、ダイヤフラム85がプラス変形から中立状態となる容積分は、1次室82側の圧力を一切受けることなく、機能液の供給が為される。
【0035】
弁体113の背面と1次室82の壁体126との間には、弁体113を2次室84側、すなわち閉弁方向に付勢する弁体付勢ばね127が介設されている。同様に、受圧板122と内面壁101の間には、受圧板122を介してダイヤフラム本体121を外部に向かって付勢する受圧板付勢ばね105が介設されている。この場合、弁体付勢ばね127は、弁体113の背面に加わるサブタンク23の水頭を補完するものであり、サブタンク23の水頭とこの弁体付勢ばね127のばね力により、弁体113が閉塞方向に押圧される。一方、受圧板付勢ばね105は、ダイヤフラム85のプラス変形を補完するものであり、大気圧に対し2次室84が負圧になるように作用する。
【0036】
圧力調整弁67は、大気圧と機能液滴吐出ヘッド7に連なる2次室84との圧力バランスによりダイヤフラム85(およびこれが当接する弁体113)が変形(進退)することで開閉し、2次室84側を所定の圧力まで減圧するようにしている。その際、弁体付勢ばね127および受圧板付勢ばね105に力が分散して作用し、且つ軟質シリコンゴムのOリング125(の弾性力)により、弁体113は極めてゆっくり開閉動作する。このため、弁体113の開閉による圧力変動(キャビテーション)が抑制され、機能液滴吐出ヘッド7の吐出駆動に影響を与えないようになっている。もちろん、サブタンク23側(1次室82側)で発生する脈動等も、弁体113で縁切りされるため、これを吸収する(ダンパー機能)ことができる。
【0037】
次に、図6を参照して流入ポート91廻りについて説明する。上記したように、流入ポート91は、流入口92、フィルター収容部94および流入経路95により構成されている。流入口92の内周面に形成されたネジ部に、ユニオン継手である流入コネクター71を螺合して接続することにより、サブタンク23からの流路が接続される。フィルター収容部94には、上流側からの機能液に混入した異物を除去(濾過)するフィルターエレメント131が収容されており、フィルターエレメント131と流入コネクター71との間には、フィルターエレメント131を押える押えばね96が収容されている。
【0038】
フィルター収容部94は、本体ケーシング81に形成したザグリ穴状のものであり、本体ケーシング81内側の先端がテーパー状(先細り)を成す略円筒状に形成されている。すなわち、フィルター収容部94には、フィルターエレメント131の周縁部(後述するフランジ部134)が着座するよう、流入経路95に対し段部となるテーパー状の周縁当接部(フィルター設置段部)94aが形成されている。
【0039】
押えばね96は、コイルばねで構成されており、一端が、流入コネクター71の内部に形成した流路において本体ケーシング81側に拡開した拡開部71aに当接し、他端がフィルターエレメント131に当接する。流入コネクター71をねじ接合すると、押えばね96を介して、フィルターエレメント131が周縁当接部94aに押圧され、固定される。なお、押えばね96は、円筒状のコイルばねであっても良いが、テーパー状の拡開部71aと、テーパー状の周縁当接部94aに着座したフィルターエレメント131とに当接するため、これらのテーパー面に垂直に当接するように、中細りのコイルばね(鼓形コイルばね)を用いても良い。
【0040】
フィルターエレメント131は、厚さ15μm程度のステンレス製の金属シートをプレス加工(外形の切断、成形およびフィルター孔の孔開けを、同時にプレス加工)して形成されたものであり、周縁当接部94aに着座すると共に、押えばね96が当接するフランジ部134と、フランジ部134に連なると共に、流入経路95に臨むエレメント本体135とから成る。エレメント本体135は、多数の開口部(フィルター孔)が形成されると共に、流入経路95側(機能液の流れ方向)に突出する形状を有している。各開口部は、円形もしくは方形に形成されており、30μm以上の異物が補足可能なよう、その外接円の直径が30μm以下となるように形成されている。エレメント本体135の突出形状は、半球状(略半球状)の形状であり、流入経路95の上流端に軽く嵌り込む(係合する)ようになっている。フィルターエレメント131を投入する際、半球状の突出形状がガイドとなって、流入経路95の上流端に嵌り込む。これにより、フィルターエレメント131は、径方向に位置決めされる。
【0041】
ここで、図6を参照して、流入コネクター71とフィルターエレメント131の取付け方法および取外し方法について説明する。流入コネクター71とフィルターエレメント131の取付けでは、まず、フィルターエレメント131をフィルター収容部94に投入し、次に、押えばね96をフィルター収容部94に投入する(押えばね96は、フィルター収容部94から流入口92にかけて収容される)。その後、流入コネクター71を流入口92に螺合して接続する。流入コネクター71の螺合により、流入コネクター71とフィルターエレメント131とに接触した押えばね96が、フィルターエレメント131を周縁当接部94aに押圧してフィルターエレメント131を固定する。すなわち、流入コネクター71が押えばね96を介して、フィルターエレメント131を押圧固定する。このように、フィルターエレメント131は、流入コネクター71の締付けを利用して取り付けられているため、流入コネクター71を取り外すことで、フィルターエレメント131も一緒に取り外すことができる。
【0042】
以上のような構成によれば、流入経路95に臨むエレメント本体135が、流体の流れ方向に突出する形状を有しているため、エレメント本体135が、流入経路95に入り込んで流入経路95と係合する。これにより、フィルターエレメント131が固定され、流入経路95に設置される。このように、溶着等を用いずにフィルターエレメント131を設置することができるため、フィルターエレメント131の着脱を容易に行うことができる。また、保持枠等の部材を必要とせず、簡単な構成でフィルターエレメント131を着脱することができる。さらに、突出する形状を有しているため、平面状のものと比較して、濾過面積を大きくすることができると共に、安定にセットすることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、フィルターエレメント131として、エレメント本体135が半球状に突出して形成されているものを用いたが、これに限るものではない。例えば、図7(a)に示すように、平坦な底部を有した皿状に突出して形成されているものであっても良い。また、図7(b)に示すように、段付きの皿状に突出して形成されているものであっても良い。
【0044】
また、本実施形態では、押えばね96を用いて、フィルターエレメント131を押圧固定したが、図8に示すように、Oリング141を用いて、フィルターエレメント131を押圧固定するものであっても良い。かかる場合、Oリング141は、上流側の一端を流入コネクター71の先端面71bに当接し、他端をフィルターエレメント131に当接して、押圧固定する。なお、フィルターエレメント131が着座する周縁当接部94aは、上記先端面71bに対し平行で、且つ平坦な着座面を有していることが好ましい。
【0045】
さらに、本実施形態では、フランジ部134とエレメント本体135とを一体に成形したものを用いたが、これらを別々に成形し、接合(例えば、溶接や超音波溶着)したものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態に係る液滴吐出装置の斜視図である。
【図2】機能液供給装置の配管系統図である。
【図3】圧力調整弁の背面図(a)、および正面図(b)である。
【図4】圧力調整弁を流入ポートの軸線方向に切断した縦断面図である。
【図5】圧力調整弁を流出ポートの軸線方向に切断した縦断面図である。
【図6】流入ポート廻りについて示した断面図である。
【図7】フィルターエレメントの変形例を示した断面図である。
【図8】フィルターエレメントの設置構造の変形例を示した断面図である。
【符号の説明】
【0047】
7:機能液滴吐出ヘッド、 23:サブタンク、 25:下流側機能液流路、 67:圧力調整弁、 71:流入ポート、 94a:周縁当接部、 131:フィルターエレメント、 134:フランジ部、 135:エレメント本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路のフィルター設置段部に着座するフランジ部と、
前記フランジ部に連なり、前記流体流路に臨むエレメント本体と、を備え、
前記エレメント本体が、流体の流れ方向に突出する形状を有していることを特徴とするフィルターエレメント。
【請求項2】
前記フランジ部および前記エレメント本体は、多数のフィルター孔を有すると共に、一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルターエレメント。
【請求項3】
前記エレメント本体は、平坦な底部を有して皿状に突出形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルターエレメント。
【請求項4】
前記エレメント本体が、略半球状に突出形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルターエレメント。
【請求項5】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドと前記機能液滴吐出ヘッドに機能液を供給する機能液タンクと、を接続する機能液流路に介設した圧力調整弁であって、
流入ポートに形成した前記フィルター設置段部に請求項1ないし4のいずれかに記載のフィルターエレメントを組み込んだことを特徴とする圧力調整弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−142755(P2010−142755A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324176(P2008−324176)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】