説明

フィルタ付きベースブロック

【課題】目詰まりを起こすことなく、成形ロールのくい込み側に発生する水や粘結剤等の液抜き、或いは、粉体の造粒の際のガス抜きを円滑に行う。
【解決手段】一対の成形ロール15a,15bのくい込み点dよりも原料aの流れの上流側であり、かつ、押込みスクリュー18の先端18a付近の原料供給容器部4の原料供給孔6に位置する部位に設けられた第1排液孔8a,8b及び該第1排液孔8a,8bの下方に位置しているチークプレート16に設けられた第2排液孔24,24の入り口をそれぞれウェッジワイヤスクリーンブロック9,22で覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の粉体だけの原料及び水や粘結剤等の液を含んだ原料をペレット状に造粒する造粒機(ブリケットマシン)、或いは、前記原料をフレーク状又は板状に圧縮成型するコンパクター等に適用する原料供給ホッパ下部で一対の成形ロールのベースブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天然ガス等の原料ガスを安全、かつ、経済的に輸送又は貯蔵する手段として、原料ガスを原料水と反応させて生成した水和物(ガスハイドレート)を用いる方法が注目されている。
【0003】
一般に、ガスハイドレートは、天然ガス等の原料ガスと原料水を高圧・低温下で反応させることによって生成されるが、生成されたガスハイドレートは、未反応の原料水を伴ってスラリー状となる。そこで、輸送及び貯蔵時のハンドリング性を向上させるため、スラリー状のガスハイドレートを脱水した後、造粒機でペレット状に加工することが行われている。
【0004】
造粒機は、外周面に多数の成形型(ポケット)を備えた一対の成形ロール間に粉粒体状のガスハイドレートを供給してペレット状に圧縮成型するので、成形ロールのくい込み側にガスハイドレートに含まれている水(未反応水)が絞り出される。すると、成形ロールのくい込み側に水が溜まり、ガスハイドレートのくい込みが悪化して設計通りのペレットが製造できなくなる。
【0005】
このような問題を解消するため、成形ロールに供給するガスハイドレートを一時的に貯留するホッパの壁面にスリット又はラビリンス等の排水手段を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
ところが、ホッパの壁面に設けたスリット又はラビリンスから排水される水の量、或いは、排水に同伴するガスハイドレートによってスリット又はラビリンスが閉塞する等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−269908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、目詰まりを起こすことなく、成形ロールのくい込み側に発生する水や粘結剤等の液抜き、或いは、粉体の造粒の際のガス抜きを円滑に行うことができるウェッジワイヤスクリーン等のフィルター付きのベースブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係るベースブロックは、原料供給ホッパ下部に位置し、一対の成形ロールのベースブロックとなる。これは一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリューの先端付近の原料供給容器部の原料供給孔に位置する部位に設けられた第1排液孔及び該第1排液孔の下方に位置しているチークプレートに設けられた第2排液孔の入り口をそれぞれウェッジワイヤスクリーンブロックで覆うことを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2に係るベースブロックに、一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリューの先端付近の原料供給容器部の原料供給孔に位置する部位に設けられた第1排液孔の入り口を筒状又は漏斗状のウェッジワイヤスクリーンブロックで覆い、前記第1排液孔の下方に位置しているチークプレートに設けられた第2排液孔の入り口を面状のウェッジワイヤスクリーンブロックで覆うことを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3に係るベースブロックに、一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリューの先端付近の原料供給容器部の原料供給孔に位置する部位に設けられた第1排液孔及び該第1排液孔の下方に位置しているチークプレートに設けられた第2排液孔の入り口をそれぞれウェッジワイヤスクリーンブロック又は気体若しくは液体を分離するためのフィルター(例えば、多孔質体)で覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、本発明は、一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリューの先端付近の原料供給容器部の原料供給孔に位置する部位に設けられた第1排液孔及び該第1排液孔の下方に位置しているチークプレートに設けられた第2排液孔の入り口をそれぞれウェッジワイヤスクリーンブロックで覆ったので、造粒機(ブリケットマシン)、或いは、コンパクター等に適用しても目詰まりを起こすことなく、ロールのくい込み側に絞り出されたガス若しくは水や粘結剤等の液を排出することができる。
【0013】
すなわち、ウェッジワイヤスクリーンブロックは、スクリーンを構成している線材が三角断面形状のため、固形物(原料)が通過するときの接触点が小さい。このため、固形物の通過性が良く、目詰まりしにくいことから脱水性が高い。
【0014】
また、一般の金網(メッシュ)と比べ太い線材を用いるため、目開きの小さいスリットであっても強度・精度が高い。また、加工性に富むため、円錐形や円筒状の形状にも対応することが可能である。また、スクリーン面がフラットなため、固形物の原料がスクリーン表面をスムースに流れ易い。更に、分離したい気体及び液体の通過性が高く、開孔率を大きくすることも可能である。
【0015】
また、本発明は、一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、スクリューフィーダの先端付近の原料供給容器部の壁面に位置する部位に設けられた第1排液孔の入り口を筒状又は漏斗状のウェッジワイヤスクリーンブロックで覆うため、ウェッジワイヤスクリーンブロックの着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るベースブロックを備えたブリケットマシン若しくはコンパクターの断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係るベースブロックの平面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図4のC−C断面図である。
【図6】漏斗状のウェッジワイヤスクリーンブロックの一部断面を含む側面図である。
【図7】ウェッジワイヤスクリーンブロックの作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0018】
図1に示すように、コンパクター1は、原料供給ホッパ2の下部に本発明に係るフィルタ付きのベースブロック3を装着している。ベースブロック3は、図3乃至図5に示すように、平面視でほぼ正方形の原料供給容器部4と、原料供給容器部4の下面に前記原料供給容器部4と一体的に形成された前後一対の脚部5a,5bから構成されている。前記原料供給容器部4は、鉛直方向に貫通する漏斗状の原料供給孔6を有し、前後一対の脚部5a,5bは、その内側にそれぞれチークプレート16を装着している。
【0019】
上記ベースブロック3は、図4に示すように、原料供給容器部4の前後両面に原料供給孔6に達する2本の第1排液孔8a,8bを設けている。その上、上記原料供給孔6内に漏斗状の第1ウェッジワイヤスクリーンブロック9を着脱自在に装着している。
【0020】
より詳しくは、上記第1排液孔8a,8bは、一対の成形ロール15a,15bのくい込み点dより原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリュー18の先端付近に設けられる(図1参照。)。尚、符号tは、成形ロール15aの中心点O1を通る水平線に対するくい込み点dの角度である。
【0021】
このため、第1排液孔8a,8bの入り口は、漏斗状の第1ウェッジワイヤスクリーンブロック9の側面によって覆われることになる。また、第1排液孔8a,8bの入り口は、原料供給孔6の周囲に設けた円環状の連通溝10によって連通されている。
【0022】
他方、上記チークプレート16は、図4に示すように、その内側に平板状の第2ウェッジワイヤスクリーンブロック22を設けている。平板状の第2ウェッジワイヤスクリーンブロック22は、チークプレート16の内面と面一となるようにチークプレート16の内面側に設けた溝23内に装着されている。この溝23には、チークプレート16及び脚部5a,5bを貫通する第2排液孔24が連通している。
【0023】
このため、第2排液孔24の入り口は、平板状の第2ウェッジワイヤスクリーンブロック22によって覆われることになる。尚、所望により、第2ウェッジワイヤスクリーンブロック22を第2排液孔24側に凸状となる湾曲面状に形成させてもよい。
【0024】
なお、平板状の第2ウェッジワイヤスクリーンブロック22は、押込みスクリュー18の先端18aと一対の成形ロール15a,15bの中心O1,O2を結ぶ直線の中間点eとの間に対応する位置に配置されている(図1参照。)。
【0025】
第1,第2のウェッジワイヤスクリーンブロック9,22は、図7に示すように、逆三角形の断面をした金属製の線体11を支持体13上に等間隔に並べて目(スリット)12を形成したものであり、粉粒体などの目詰まりが少なく、スクリーンも強靱で隙間(スリット)の精度も高い形状となっている。
【0026】
漏斗状の第1ウェッジワイヤスクリーンブロック9は、図6に示すように、くさび形の線体11を多段に配して漏斗状にすると共に、その背面を上下方向に配した多数の金属製の細長い支持体13に溶接により固着させた構造になっている。そして、大径部側にフランジ14を設けてベースブロック3の原料供給容器4の上面に固定できるようになっている。なお、原料供給孔6が円筒状の場合には、円筒状に形成したウェッジワイヤスクリーンブロックを適用する。
【0027】
図1及び図2に戻って説明すると、本発明に係るベースブロック3の原料供給孔6に臨むように、一対の成形ロール15a,15bが配置されている。そして、ベースブロック3の脚部5a,5bの内側に装着したチークプレート16,16によって一対の成形ロール15a,15bのくい込み側の前後両端が密閉されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、上記原料供給ホッパ2内に螺旋羽根17を有する押込みスクリュー18が設けられている。この押込みスクリュー18は、その軸部19にへら形状の付着防止部材20を有し、原料供給ホッパ2の内壁面に付着した原料を掻き取るようになっている。原料供給ホッパ2の下部21は、漏斗状になっている。また、一対の成形ロール15a,15bの外周面は、ポケットのない平坦面となっている。
【0029】
しかして、コンパクター1における一対の成形ロール15a,15b及び押込みスクリュー18を駆動させると、図1及び図2に示すように、原料供給ホッパ2内の水や粘結剤等の液を含んだ原料(例えば、ガスハイドレート)aがベースブロック3の原料供給孔6を通って一対の成形ロール15a,15bのくい込み側に供給される。
【0030】
そして、一対の成形ロール15a,15bにくい込まれて圧搾された原料aは、フレーク状又は板状の製品cとなって一対の成形ロール15a,15bの間から下方に押し出される。その際、原料aに含まれている水や粘結剤等の液bが一対の成形ロール15a,15bのくい込み側に絞り出されるが、この液bは、ベースブロック3の原料供給孔6内に装着した漏斗状の第1ウェッジワイヤスクリーンブロック9のスリット12(図7参照。)を通って第1排液孔8a,8bから排出される一方、平板状の第2ウェッジワイヤスクリーンブロック22のスリット12を通って第2排液孔24,24から排出される。
【0031】
以上の説明では、本発明に係るベースブロック3を、水や粘結剤等の液を含んだ原料をフレーク状又は板状に圧縮成型するコンパクターに適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、前記原料をペレット状に造粒する造粒機(ブリケットマシン)に適用することもできる。
【0032】
また、原料としては、上記のように、水や粘結剤等の液を含んだ原料のほか、例えば、通常の粉体だけの原料等を挙げることができる。
【0033】
また、第1,第2ウェッジワイヤスクリーンブロック9,22のスリット12の方向は、原料供給孔の穿孔方向、或いは、前記穿孔方向に対して交差する方向の何れの方向でもよい。
【0034】
更に、第1,第2ウェッジワイヤスクリーンブロック9,22の代わりに気体若しくは液体を分離するためのフィルター(例えば、多孔質体)を使用することも考えられる。
【符号の説明】
【0035】
a 原料
d くい込み点
4 原料供給容器部
6 原料供給孔
8a,8b 第1排液孔
9,22 ウェッジワイヤスクリーンブロック
15a,15b 成形ロール
16 チークプレート
18a 遅込みスクリューの先端
24 第2排液孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリューの先端付近の原料供給容器部の原料供給孔に位置する部位に設けられた第1排液孔及び該第1排液孔の下方に位置しているチークプレートに設けられた第2排液孔の入り口をそれぞれウェッジワイヤスクリーンブロックで覆うことを特徴とするベースブロック。
【請求項2】
一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリューの先端付近の原料供給容器部の原料供給孔に位置する部位に設けられた第1排液孔の入り口を筒状又は漏斗状のウェッジワイヤスクリーンブロックで覆い、前記第1排液孔の下方に位置しているチークプレートに設けられた第2排液孔の入り口を面状のウェッジワイヤスクリーンブロックで覆うことを特徴とする請求項1記載のベースブロック。
【請求項3】
一対のロールのくい込み点よりも原料の流れの上流側であり、かつ、押込みスクリューの先端付近の原料供給容器部の原料供給孔に位置する部位に設けられた第1排液孔及び該第1排液孔の下方に位置しているチークプレートに設けられた第2排液孔の入り口をそれぞれウェッジワイヤスクリーンブロック又は気体若しくは液体を分離するためのフィルター(例えば、多孔質体)で覆うことを特徴とする請求項1又は2記載のベースブロック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−245499(P2012−245499A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121424(P2011−121424)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】