説明

フィルム成形ロール、フィルム成形ロール用外筒およびフィルム成形機

【課題】薄肉の外筒と側部部材とを、分解可能で、耐久性、安定性よく液密に接続したフィルム成形ロールを提供すること。
【解決手段】
側部部材57、58が外筒50の内周面に嵌合する外周部分に形成された凹溝61、62にゴム状弾性体製のOリング61、62を配置し、外筒50の両軸端部の外周には各々剛体構造の箍(たが)部材69、70を嵌合装着し、Oリング61、62は側部部材57、58と外筒50との間で圧縮状態で弾性変形し、当該Oリング61、62の弾性変形による反発力によって外筒50が膨らみ変形することを箍部材69、70が抑制する構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルム成形ロールに関し、特に、タッチロール方式のフィルム成形機に用いられるフィルム成形ロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチロール方式のフィルム成形機に用いられるゴムローラに代わるフィルム成形ロールとして、弾性変形可能な金属薄膜からなる外筒(金属製弾性筒体)を有するものがある(例えば、特許文献1、2、3)。
【0003】
このような可撓性構造の外筒によるフィルム成形ロールは、外筒が主ロールとの間に溶融樹脂を挟んだ状態で主ロールの外周面に倣って弾性変形することにより、転写性よく薄物のフィルム成形を行うことに貢献する。
【特許文献1】特許第3422798号公報
【特許文献2】特開平11−314263号公報
【特許文献3】特開2000−210964号公報
【特許文献4】特開2002−36332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のフィルム成形ロールにおいては、外筒は両軸端部に各々配置された剛体構造の側部部材より支持され、両側の側部部材の間で、弾性変形可能な可撓性構造になっている。しかも、ロール冷却、内圧調整のために、外筒の内部に熱媒体液を流す構造になっている。このため、薄肉の外筒と側部部材とを如何に耐久性よく液密に接続するかが、従来より課題になっている。
【0005】
このことに対して、下記のような従来技術がある。
(1)外筒と側部部材とを接着剤に接着したり、ろう付け(溶接)したりして一体化したもの(例えば、特許文献1)。
(2)外筒と側部部材との間にゴム状弾性体製のOリングや楔状シール部材を挟み込んでOリングあるいは楔状シール部材の弾性変形による反発力によって生じる摩擦抵抗により外筒と側部部材とを液密に接続したもの(例えば、特許文献1)。
(3)側部部材をラバープレートによって構成し、ラバープレートと楔係合する金属製の押圧プレートを締付ボルトによってラバープレートに押し付けることによりラバープレートを弾性変形させて外筒と側部部材とを液密に接続したもの(例えば、特許文献2)。
(4)外筒と側部部材とを金属製の弾性変形可能な蛇腹構造の金属シール部材によって外筒と側部部材とを一体化させたもの(例えば、特許文献3)。
【0006】
しかし、(1)のものは、分解することができず、保守性に欠ける。接着剤による接着では、耐熱性に限界があり、ろう付けでは作業者の技能による差が出やすく、何れにおいても耐久性にばらつきを生じ易い。
(2)のものは、Oリングあるいは楔状シール部材の弾性変形による反発力によって外筒が変形することにより、外筒と側部部材との液密接続の強度が安定せず、管理し難い。
(3)のものは、外筒の位置が安定せず、円筒度(同心度)に欠ける外筒支持になり易い。また、外筒が変形することにより、外筒と側部部材との液密接続の強度が安定せず、管理し難い。
(4)のものは、分解することができず、保守性に欠ける。金属シール部材の外筒、側部部材に対するろう付け、溶接の品質のばらつきによる問題を生じる。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、薄肉の外筒と側部部材とを、分解可能で、耐久性、安定性よく液密に接続したフィルム成形ロールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるフィルム成形ロールは、弾性変形可能な金属薄膜からなる外筒と、前記外筒の両軸端部に各々配置されて前記外筒を支持する剛体構造の側部部材と含み、内部に熱媒体液を流す構造を持つフィルム成形ロールにおいて、前記側部部材が前記外筒の内周面に嵌合する外周部分に形成された凹溝に装着されたゴム状弾性体製のOリングと、前記外筒の両軸端部の外周に各々嵌合装着された剛体構造の箍(たが)部材とを有し、前記Oリングは前記側部部材と前記外筒との間で圧縮状態で弾性変形し、当該前記Oリングの弾性変形による反発力によって前記外筒が膨らみ変形することを前記箍部材が抑制している構造である。
【0009】
この発明によるフィルム成形ロールは、好ましくは、更に、前記凹溝に前記Oリングの横幅方向に隣接して配置されたカラー部材と、前記側部部材にねじ係合し、ねじ込み量に応じて前記カラー部材を前記Oリングに押し付ける調整ねじ部材とを有する。
【0010】
この発明によるフィルム成形ロールは、好ましくは、前記凹溝の深さが自由寸法状態での前記Oリングの線径に等しいか、それより大きい。
【0011】
この発明によるフィルム成形ロールは、両端に軸部を有し、当該軸部をもってフィルム成形機の軸受部より回転可能に支持される内筒部材と、前記内筒部材の外周面に装着されたラバーロールと、前記内筒部材の両端の前記軸部の各々に回転可能に装着された偏心側板とを有し、前記側部部材は円環形状で前記偏心側板の外周部により回転可能に支持された構造のフィルム成形ロールで、外筒は、前記ラバーロールの外径より大きい内径を有し、筒内に前記ラバーロールを偏心収容し、偏心近接側の内周面にて前記ラバーロールの外周面に接触している。
【発明の効果】
【0012】
この発明によるフィルム成形ロールは、Oリングが側部部材と外筒との間で圧縮状態で弾性変形し、Oリングとの摩擦抵抗により外筒と側部部材とが液密に接続され、Oリングの弾性変形による反発力によって外筒が膨らみ変形することが箍部材によって抑制されているから、外筒と側部部材との液密接続の強度が安定し、Oリングの弾性変形量を大きくすることもできる。この接続構造では、外筒と側部部材とを分解可能であり、保守性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明によるフィルム成形ロールの一つの実施形態を、図1〜図3を参照して説明する。
【0014】
図1に示されているように、フィルム成形ロール10は、金属製の内筒部材20と、ラバーロール40と、外筒50とを有する。外筒50は、ステンレス鋼等の金属薄膜製の円筒体であり、弾性変形可能で、可撓性を有する薄肉構造になっている。
【0015】
内筒部材20は、操作側(図1にて左側)の軸部材21と、駆動側(図1、図2にて右側)の軸部材22と、軸部材21、22の各々に一体形成されたフランジ部23、24に固定装着された円筒部材25とにより剛体構造の一体品として構成されている。軸部材21と22とは同心配置であり、円筒部材25は軸方向に所定間隔をおいて相対向するフランジ部23、24間にあって両軸端部をフランジ部23、24に溶接されており、軸部材21、22と円筒部材25とは同心になっている。
【0016】
内筒部材20は、左右の軸部材21、22の軸部21A、22Aをもってフィルム成形機の操作側軸受部26、駆動側軸受部27より各々軸受部材28、29を介して回転可能に支持され、自身の中心軸線周りに回転可能になっている。つまり、フィルム成形機の操作側軸受部26、駆動側軸受部27は、内筒部材20の左右両端の軸部材21、22を軸受部材28、29によって回転自在に支持している。
【0017】
駆動側の軸部材22は図示されていない電動機と駆動連結され、電動機によって回転駆動される。
【0018】
ラバーロール40は、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴム状弾性材により構成され、内筒部材20の円筒部材25の外周面全体に貼り合わせ装着されている。ラバーロール40は、この貼り合わせ装着により、内筒部材20と一体的に回転する。ラバーロール40の肉厚は、外筒50の肉厚より、十分厚い肉厚を有する。
【0019】
内筒部材20の軸部材21、22は、各々、ころがり軸受51、52によって円盤状の偏心側板53、54を回転可能に支持している。偏心側板53、54の中心Cbは、内筒部材20の中心Caに対して偏心量e(図3参照)をもって偏心している。偏心側板53、54は、図示されていないが、回り止め構造によって操作側軸受部26、駆動側軸受部27に対して回り止め係止されている。
【0020】
偏心側板53、54は、外周部において、各々、ころがり軸受55、56によって側部部材57、58の内側円環部材57A、58Aを回転可能に支持している。側部部材57、58は、この実施形態では、各々、内側円環部材57A、58Aと、外側円環部材57B、58Bとにより剛体構造に構成されている。
【0021】
側部部材57、58は、外筒50の両軸端部に各々配置されて外筒50を支持するものであり、内側円環部材57A、58Aをころがり軸受55、56によって偏心側板53、54より支持され、外側円環部材57B、58Bをもって外筒50の両軸端部に固定関係で接続されている。
【0022】
この接続構造について、図2を参照して説明する。左側の外側円環部材57Bと外筒50との接続構造と、右側の外側円環部材58Bと外筒50との接続構造は、左右対称で同一構造であるから、図2では右側の接続構造について図示し、左側の接続構造については、対応部分を同一の符号を付して図示を省略する。
【0023】
外側円環部材57B、58Bは、各々、外筒50の両軸端部において外筒50の内側に挿入嵌合されている。外側円環部材57B、58Bが外筒50の内周面に嵌合する外周部分には幅広の凹溝(周溝)59、60が形成されている。凹溝59、60にはゴム状弾性体製のOリング61、62が嵌め込み装着されている。
【0024】
凹溝59、60は、深さが自由寸法状態でのOリング61、62の線径に等しいか、それより大きく(一般的な規定値より0.05〜0.3mm程度深い)、幅寸法がOリング61、62の線径より十分に広い(線径の2〜2.5倍程度)幅広のOリング溝として構成されている。自由寸法状態とは、Oリング61、62が弾性変形していない状態を云う。
【0025】
凹溝59、60にはOリング61、62の横幅方向に隣接して金属製のカラー部材63、64が配置されている。カラー部材63、64は、凹溝59、60に嵌め込むために、少なくとも2分割されており、Oリング61、62より外側円環部材57B、58Bの外側(右側の外側円環部材58Bの凹溝60ではOリング62より右側)に隣接配置され、凹溝59、60内において軸線方向(左右方向)に移動可能になっている。凹溝59、60に装着されたカラー部材63、64の外径は、外側円環部材57B、58Bの外径に等しいか、それより小さい寸法に設定されている。
【0026】
外側円環部材57B、58Bには、外側円環部材57B、58Bの外側端面より凹溝59、60の溝側壁面に開口したねじ孔65、66が貫通形成されている。ねじ孔65、66は、外側円環部材57B、58Bの円周廻りに複数個設けられており、その各々に調整ねじ部材67、68がねじ係合している。調整ねじ部材67、68は先端にてカラー部材63、64の側面に当接し、ねじ込み量に応じてカラー部材63、64をOリング61、62に押し付ける。
【0027】
外筒50の両軸端部(凹溝59、60に対応する部位)の外周には、各々、金属製の剛体構造の箍(たが)部材69、70が嵌合装着されている。箍部材69、70は、外筒50の外周に嵌め込まれて、外筒50が拡径方向に膨らみ変形することを抑制する。
【0028】
外側円環部材57B、58Bの取り付けに際しては、凹溝59、60に、Oリング61、62とカラー部材63、64を嵌め込み装着し、調整ねじ部材67、68を緩めた状態、つまり、カラー部材63、64をOリング61、62に押し付けず、Oリング61、62が自由寸法状態にある状態で、且つ箍部材69、70を取り付けない状態で、外側円環部材57B、58Bを外筒50の左右軸端の開口より外筒50内に挿入する。
【0029】
この挿入時には、Oリング61、62は自由寸法状態にあり、凹溝59、60の深さが自由寸法状態でのOリング61、62の線径に等しいか、それより大きく、Oリング61、62の全てが凹溝59、60内に収められ、Oリング61、62が外側円環部材57B、58Bの外周面より外側にはみ出していないから、Oリング61、62が外筒50の内周面に押し付けられることなく、低摩擦抵抗のもとに、外側円環部材57B、58Bを薄肉の外筒50内に、円滑に楽に挿入することができる。また、このことにより、挿入作業時に、Oリング61、62に傷が付くことも回避される。
【0030】
この挿入作業が、更に行い易く行われるよう、外側円環部材57B、58Bの外筒50に対する挿入端側は、先細のテーパ外周面571、581になっており、しかも、テーパ外周面571、581と凹溝59、60が形成されているストレート外周面572、582との接続部573、583はR面になっている。
【0031】
上述の挿入作業完了後に、箍部材69、70を外筒50の両軸端部の外周に嵌合装着する。その後、ねじ部材67、68をねじ込み、カラー部材63、64をOリング61、62に押し付け、Oリング61、62を弾性変形させる。Oリング61、62は、ねじ部材67、68ねじ込み量に応じて外側円環部材57B、58Bと外筒50との間で圧縮状態で弾性変形する。Oリング61、62の弾性変形による反発力によって外筒50が膨らみ変形することは箍部材69、70によって抑制される。
【0032】
これにより、外側円環部材57B、58Bと外筒50とが、Oリング61、62の弾性変形による反発力によって当該両者間に生じる摩擦抵抗によって、相対変位不能に、液密に連結接続される。これと同時に、外筒50と箍部材69、70も、Oリング61、62の弾性変形による反発力によって当該両者間に生じる摩擦抵抗によって、相対変位不能に、連結接続される。
【0033】
このように箍部材69、70によって外筒50が膨らみ変形することが抑制された状態で、Oリング61、62が弾性変形していることにより、外筒50と外側円環部材57B、58Bとの液密接続の強度が安定し、Oリング61、62の弾性変形量を大きくして耐圧強度を高くすることもできる。このOリング61、62の弾性変形量は、ねじ部材67、68ねじ込み量調整により、任意値に自由に設定することができる。
【0034】
この接続構造では、上述した挿入作業と逆の作業を行うことにより、外筒50と外側円環部材57B、58Bとを容易に分解することができ、保守性に優れたものになる。
【0035】
この実施形態では、内側円環部材57A、58Aと外側円環部材57B、58Bとの接続も、上述した外側円環部材57B、58Bと外筒50との接続構造と同等の接続構造により行われている。以下に、この接続構造について説明する。
【0036】
内側円環部材57A、58Aが外側円環部材57B、58Bの内周面に嵌合する外周部分には幅広の凹溝(周溝)71、72が形成されている。凹溝71、72にはゴム状弾性体製のOリング73、74が嵌め込み装着されている。
【0037】
凹溝71、72は、深さが自由寸法状態でのOリング73、74の線径に等しいか、それより大きく(一般的な規定値より0.05〜0.3mm程度深い)、幅寸法がOリング73、74の線径より十分に広い(線径の2〜2.5倍程度)幅広のOリング溝として構成されている。ここでも、自由寸法状態とは、Oリング73、74が弾性変形していない状態を云う。
【0038】
凹溝71、72にはOリング73、74の横幅方向に隣接して金属製のカラー部材75、76が配置されている。カラー部材75、76は、凹溝59、60に嵌め込むために、少なくとも2分割されており、Oリング73、74より内側円環部材57A、58Aの外側(右側の内側円環部材58Aの凹溝72ではOリング74より右側)に隣接配置され、凹溝71、72内において軸線方向(左右方向)に移動可能になっている。凹溝71、72に装着されたカラー部材75、76の外径は、内側円環部材57A、58Aの外径に等しいか、それより小さい寸法に設定されている。
【0039】
内側円環部材57A、58Aには、内側円環部材57A、58Aの外側端面より凹溝71、72の溝側壁面に開口したねじ孔77、78が貫通形成されている。ねじ孔77、78は、内側円環部材57A、58Aの円周廻りに複数個設けられており、その各々に調整ねじ部材79、80がねじ係合している。調整ねじ部材79、80は先端にてカラー部材75、76の側面に当接し、ねじ込み量に応じてカラー部材75、76をOリング73、74に押し付ける。
【0040】
なお、内側円環部材57A、58Aと外側円環部材57B、58Bとの接続構造においては、外側円環部材57B、58Bが外筒50とは異なって剛体構造であることから、箍部材は不要である。
【0041】
内側円環部材57A、58Aと外側円環部材57B、58Bとの接続は、内側円環部材57A、58Aをころがり軸受55、56を介して偏心側板53、54の外周部に取り付け、外筒50を配置し、外筒50と内側円環部材57A、58Aとの間の環状空隙に、外側円環部材57B、58Bを差し込むことにより行うことができる。
【0042】
この作業も、調整ねじ部材67、68ならびに79、80を緩めた状態で、上述した外筒50と外側円環部材57B、58Bとの接続作業と同等に行えばよく、内側円環部材57A、58Aと外側円環部材57B、58Bとの接続部においても、上述した外筒50と内側円環部材57A、58Aとの接続部と同等の作用、効果を得ることができる。

【0043】
なお、側部部材57、58が内側円環部材57A、58Aと外側円環部材57B、58Bとにより構成されているのは、組立性を考慮してのことであり、側部部材57、58は、必ずしも、内側円環部材57A、58Aと外側円環部材57B、58Bとに分割形成されている必要はない。
【0044】
外筒50は、図3によく示されているように、ラバーロール40の外径より十分に大きい内径を有し、筒内81にラバーロール40を収容し、ラバーロール40に対する偏心により、偏心接近側(図3で見て右側)で、主ロール100と対向する側にて内周面50Aがラバーロール40の外周面40Aに接触している。
【0045】
このラバーロール40と外筒50との接触部の摩擦により、内筒部材20、ラバーロール40の回転が外筒50に伝達され、外筒50が、回り止めされている偏心側板53、54より回転自在に支持された状態で、自身の中心軸線周りに回転する。
【0046】
図1に示されているように、内筒部材20の軸部材21、22と偏心側板53、54との間には、回転シール部材82、83が取り付けられている。また、偏心側板53、54と外側円環部材57B、58Bとの間にも回転シール部材84、85が取り付けられている。これにより外筒50の筒内81が液密構造になっている。
【0047】
操作側の軸部材21には中心孔86が貫通形成されている。中心孔86内には内管87が同心配置されており、内管87の内側が熱媒供給路88に、外側が熱媒排出路89になっている。
【0048】
熱媒供給路88は、内筒部材20内の中心部においてフランジ部23、24との間に掛け渡された中空管体90による内部通路91に連通し、更に駆動側の軸部材22に形成されている熱媒供給孔92を介して熱媒供給ポート93に連通している。熱媒排出路89は軸部材21に形成されている熱媒回収ポート94に連通している。熱媒供給ポート93と熱媒回収ポート94は、軸線方向に互いに異なる位置で、ともに外筒50の筒内81に向けて開口している。
【0049】
これにより、冷却水は、熱媒供給路88より内部通路91、熱媒供給孔92を通って熱媒供給ポート93より金属製弾性外筒50の筒内81に供給される。これにより、金属製弾性外筒50の筒内81は冷却水によって満たされる。筒内81の冷却水は、熱媒回収ポート94より熱媒排出路89へ流れ、外部に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明によるフィルム成形ロールの一つの実施形態を示す断面図である。
【図2】本実施形態によるフィルム成形ロールの要部の拡大断面図である。
【図3】図1の線A−Aに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 フィルム成形ロール
20 内筒部材
21、22 軸部材
21A、22A 軸部
23、24 フランジ部
25 円筒部材
26 操作側軸受部
27 駆動側軸受部
28、29 軸受部材
40 ラバーロール
40A 外周面
50 金属製弾性外筒
50A 内周面
51、52 ころがり軸受
53、54 偏心側板
55、56 ころがり軸受
57、58 側部部材
57A、58A 内側円環部材
57B、58B 外側円環部材
571、581 テーパ外周面
572、582 ストレート外周面
573、583 接続部
59、60 凹溝
61、62 Oリング
63、64 カラー部材
65、66 ねじ孔
67、68 ねじ部材
69、70 箍部材
71、72 凹溝
73、74 Oリング
75、76 カラー部材
77、78 ねじ孔
79、80 調整ねじ部材
81 筒内
82、83、84、85 回転シール部材
86 中心孔
87 内管
88 熱媒供給路
89 熱媒排出路
90 中空管体
91 内部通路
92 熱媒供給孔
93 熱媒供給ポート
94 熱媒回収ポート
100 主ロール
Cb 偏心側板の中心
Ca 内筒部材の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形可能な金属薄膜からなる外筒と、前記外筒の両軸端部に各々配置されて前記外筒を支持する剛体構造の側部部材と含み、内部に熱媒体液を流す構造を持つフィルム成形ロールにおいて、
前記側部部材が前記外筒の内周面に嵌合する外周部分に形成された凹溝に装着されたゴム状弾性体製のOリングと、
前記外筒の両軸端部の外周に各々嵌合装着された剛体構造の箍(たが)部材とを有し、
前記Oリングは前記側部部材と前記外筒との間で圧縮状態で弾性変形し、当該前記Oリングの弾性変形による反発力によって前記外筒が膨らみ変形することを前記箍部材が抑制している構造であることを特徴とするフィルム成形ロール。
【請求項2】
前記凹溝に前記Oリングの横幅方向に隣接して配置されたカラー部材と、
前記側部部材にねじ係合し、ねじ込み量に応じて前記カラー部材を前記Oリングに押し付ける調整ねじ部材と、
を有することを特徴とする請求項1記載のフィルム成形ロール。
【請求項3】
前記凹溝の深さが自由寸法状態での前記Oリングの線径に等しいか、それより大きいことを特徴とする請求項2に記載のフィルム成形ロール。
【請求項4】
両端に軸部を有し、当該軸部をもってフィルム成形機の軸受部より回転可能に支持される内筒部材と、
前記内筒部材の外周面に装着されたラバーロールと、
前記内筒部材の両端の前記軸部の各々に回転可能に装着された偏心側板とを有し、
前記側部部材は円環形状で前記偏心側板の外周部により回転可能に支持されており、
外筒は、前記ラバーロールの外径より大きい内径を有し、筒内に前記ラバーロールを偏心収容し、偏心近接側の内周面にて前記ラバーロールの外周面に接触していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のフィルム成形ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−45634(P2008−45634A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220283(P2006−220283)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】