フィルム積層体、フィルム積層体の貼付方法、フィルム積層体を用いた接続方法及び接続構造体
【課題】貼付状態に不具合を生じさせることなく、極めて狭小幅の基板の電極端子部に貼付する。
【解決手段】フィルム積層体1は、剥離フィルム3の幅が異方性導電フィルム2の幅よりも大きく、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合っている。
【解決手段】フィルム積層体1は、剥離フィルム3の幅が異方性導電フィルム2の幅よりも大きく、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離フィルム上に異方性導電フィルムが形成されてなるフィルム積層体、フィルム積層体の貼付方法、フィルム積層体を用いて基板と電子部品とを接続する接続方法及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板に異方性導電フィルムを用いて電子部品を実装する実装法が行われている。例えば、液晶表示パネルの周縁部に異方性導電フィルムを介して液晶駆動回路であるICチップを実装するCOG(Chip on Glass)実装法が行われている。
【0003】
異方性導電フィルムを介した実装法においては、一般に、剥離フィルム上に異方性導電フィルムが積層されてなるテープ状のフィルム積層体が使用されている。しかしながら、フィルム積層体において、剥離フィルムの寸法と異方性導電フィルムの寸法とが同一であると、基板に押圧して貼付する際に、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端より外側にはみ出すことがあった。この場合、はみ出した異方性導電フィルムが剥離フィルム側面側に回り込み、剥離フィルムが異方性導電フィルムから剥離されない等の問題が生じていた。
【0004】
そこで、異方性導電フィルム及び剥離フィルムのサイズを調整することにより、基板に押圧して貼付する際に、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端からはみ出すことを防止する試みがなされている。例えば特許文献1には、剥離フィルム上の幅方向中央部に、剥離フィルムの幅よりも小さい幅の異方性導電フィルムが積層されてなるフィルム積層体が記載されている。この特許文献1のフィルム積層体によれば、押圧時に異方性導電フィルムが剥離フィルムの幅方向両端からはみ出してしまうことがない。
【0005】
また、例えば特許文献2には、ベースフィルムとカバーフィルムとの間に異方性導電フィルムが挟まれてなるフィルム積層体(積層テープ)が記載されている。この特許文献2に記載のフィルム積層体は、ベースフィルムの幅及びカバーフィルムの幅よりも小さい幅の異方性導電フィルムがベースフィルム(或いはカバーフィルム)の幅方向中央部に配置されている。これにより、特許文献1に記載のフィルム積層体と同様のはみ出し防止効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−142176号公報
【特許文献2】特許3921452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、基板の電極端子部の幅は、極めて狭小化の傾向にある。このため、剥離フィルム上の幅方向中央部に、剥離フィルムの幅よりも小さい幅の異方性導電フィルムが積層されてなるフィルム積層体を基板の狭小化された電極端子部に貼付しようとすると、剥離フィルムが電極端子部に近接する他の部材の側面に干渉し、貼付状態に不具合を生じさせることがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、貼付状態に不具合を生じさせることなく、極めて狭小幅の基板の電極端子部に確実に貼付することが可能なフィルム積層体、フィルム積層体の貼付方法、フィルム積層体を用いて基板と電子部品とを接続する接続方法及び接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明のフィルム積層体は、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなるフィルム積層体であって、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合っていることを特徴とする。
【0010】
また、上述の目的を達成するために、本発明の貼付方法は、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の電極端子部上に、電極端子部と異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、押圧ヘッドを剥離フィルム上面に押し当ててフィルム積層体を押圧することにより基板の電極端子部上にフィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程とを有し、フィルム積層体配置工程では、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体の側面と他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする。
【0011】
また、上述の目的を達成するために、本発明の接続方法は、基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続する接続方法において、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の電極端子部上に、電極端子部と異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、押圧ヘッドを剥離フィルム上面に押し当ててフィルム積層体を押圧することにより基板の電極端子部上にフィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、剥離フィルムを剥離して異方性導電フィルム上に電子部品を配置する電子部品配置工程と、押圧ヘッドを電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより導電性粒子を介して基板の電極と電子部品の電極とを接続する接続工程とを有し、フィルム積層体配置工程では、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体の側面と他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする。
【0012】
また、上述の目的を達成するために、本発明の接続構造体は、基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続させてなる接続構造体において、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の電極端子部上に、電極端子部と異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、押圧ヘッドを剥離フィルム上面に押し当ててフィルム積層体を押圧することにより基板の電極端子部上にフィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、剥離フィルムを剥離して異方性導電フィルム上に電子部品を配置する電子部品配置工程と、押圧ヘッドを電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより導電性粒子を介して基板の電極と電子部品の電極とを接続する接続工程とを有し、フィルム積層体配置工程では、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体の側面と他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする接続方法によって接続されてなるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィルム積層体において、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なっていることにより、貼付状態に不具合を生じさせることなく、極めて狭小幅の基板の電極端子部に確実に貼付することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フィルム積層体の構成を示す図である。
【図2】フィルム積層体を巻取部に巻回してなるリール体を示す図である。
【図3】フィルム積層体の作製方法の第1の例を説明するための図である。
【図4】フィルム積層体の作製方法の第2の例を説明するための図である。
【図5】フィルム積層体の作製方法の第3の例を説明するための図である。
【図6】フィルム積層体の作製方法の第4の例を説明するための図である。
【図7】フィルム積層体を貼付した液晶表示パネルを示す図である。
【図8】フィルム積層体を電極端子部に貼付する方法を説明するための図である。
【図9】フィルム積層体を電極端子部に貼付する方法を説明するための図である。
【図10】透明基板の電極端子部上に異方性導電フィルムを設けた様子を示す図である。
【図11】ICチップを異方性導電フィルム上に実装する方法を説明するための図である。
【図12】異方性導電フィルムを介して液晶表示パネルの透明基板の電極端子部とICチップとが接続されてなる接続構造体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.フィルム積層体
2.フィルム積層体の作製
3.フィルム積層体の貼付方法
4.基板と電子部品との接続方法
5.実施例
【0016】
<1.フィルム積層体>
図1は、本発明の一実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)に係るフィルム積層体の構成を示す図であり、図1(A)は外観図であり、図1(B)は断面図である。フィルム積層体1は、図1(B)に示すように、バインダ(接着剤)21に導電性粒子22が分散された異方性導電フィルム2が剥離フィルム3上に積層されてなる。
【0017】
フィルム積層体1は、例えば基板における複数の電極を設けた電極端子部に貼付して使用することができる。具体的には、基板の電極端子部にフィルム積層体1を押圧して貼付する。さらに、剥離フィルム3を異方性導電フィルム2から剥離した後、異方性導電フィルム2上に電子部品を配置して熱加圧することで、異方性導電フィルム2を介して基板と電子部品とを接続することができる。
【0018】
フィルム積層体1は、剥離フィルム3の幅が異方性導電フィルム2の幅よりも大きく、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合っている。すなわち、フィルム積層体1は、幅方向断面において、剥離フィルム3と異方性導電フィルム2とが重なり合う側と、異方性導電フィルム2が設けられておらず剥離フィルム3のみかからなる側とで非対称形を形成している。
【0019】
フィルム積層体1の幅方向側面の内、剥離フィルム3と異方性導電フィルム2とが重なり合う側の側面は、基板上の電極端子部に近接する他の部材の側面と対向配置される対向側面部4をなしている。また、剥離フィルム3上の異方性導電フィルム2が設けられていない部分は、加圧された異方性導電フィルム2を保持して剥離フィルム3からのはみ出しを防止する保持スペース5を形成している。これにより、異方性導電フィルム2の幅をこれに対応させて極めて狭小とし(例えば1.2mm以下)、基板の電極端子部の幅が極めて狭小である場合であっても、貼付時に剥離フィルム3と他の部材とが干渉することなく、また、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端の外側へ流出することなくフィルム積層体1を基板の電極端子部に貼付することができる。また、後述するように、フィルム積層体1を長尺テープ形状として巻回状態とした場合であっても、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向端部からはみ出すことがない。このため、剥離フィルム3の幅が極めて小さい場合でも段差、隙間等の不具合を生じさせることなく良好な巻回状態を維持することができる。
【0020】
このように構成されるフィルム積層体1において、剥離フィルム3の幅をw(mm)、異方性導電フィルムの幅をa(mm)とした場合、a/w=0.25〜0.9であることが好ましく、a/w=0.5〜0.9であることが特に好ましい。aが0.25未満であると保持スペース5が占める面積が大きくなり、リールの巻回状態が維持できなくなるおそれがある。また、wが0.9よりも大きいと異方性導電フィルムが貼付時に流出したり、巻回状態においてはみ出しを生じさせるおそれがある。
【0021】
フィルム積層体1の形状は、特に限定されないが、例えば、図2に示すように、プラスチック等からなる巻取部(リール)8に巻回可能な長尺テープ形状とすることが可能である。すなわち、フィルム積層体1は、長尺テープ形状である場合、剥離フィルム3が外周側となるようにフィルム積層体1の幅方向両端にプラスチック等からなるフランジ6a,6bを備えた巻取部8に巻回され、リール体7として提供される。リール体7における長尺テープ形状のフィルム積層体1の長さは、50m〜1000m程度とすることが可能である。
【0022】
通常、フィルム積層体を巻取部に巻回すると、巻き締めによる圧力が異方性導電フィルムにかかる。このため、剥離フィルムの幅と異方性導電フィルムの幅とが同一である従来のフィルム積層体を巻取部に巻回すると、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端の外側へはみ出すことがあった。巻取部へのフィルム積層体の巻き数が多くなるにつれ、巻き締めによる圧力は上昇し、このはみ出しが生じやすくなる。
【0023】
フィルム積層体1は、巻き数が多いリール体7とされた場合であっても、剥離フィルム3上に保持スペース5が存在することにより、このようなはみ出しが生じるおそれがない。これにより、フィルム積層体1は、異方性導電フィルム2の幅a(mm)が極めて狭小の長尺テープとして巻取部8に巻回された状態において、異方性導電フィルム2のはみ出しが生じることがなくリール体7において良好な品質を維持することができる。
【0024】
剥離フィルムの幅と異方性導電フィルムの幅とが同一である従来のフィルム積層体では、巻回時に異方性導電フィルムが剥離フィルムの幅方向両端の外側へはみ出すことがあっても、剥離フィルム幅(=異方性導電フィルム幅)がある程度の大きさ以上であれば、剥離フィルムにおける異方性導電フィルムの担持力も大きいことから巻回可能である。しかしながら、このようなフィルム積層体における剥離フィルム幅が小さくなるとこの担持力も小さくなることから、フィルム積層体の位置ずれ、よれ等が生じやすくなる。このような影響により、フィルム積層体間に段差、隙間等の不具合が生じやすくなり、良好な巻回状態を維持することができない。
【0025】
これに対し、フィルム積層体1は、剥離フィルム3上に保持スペース5が存在する。このため、剥離フィルムの幅wが小さくなっても、異方性導電フィルム2のはみ出しを生じさせることがないため、段差、隙間等の不具合が生じることなく良好な巻回状態を維持することができる。
【0026】
なお、フィルム積層体1は、このようなリール体7として提供される長尺テープ形状に限定されるものではなく、短冊形状であってもよい。
【0027】
異方性導電フィルム2の幅a(mm)、剥離フィルム3の幅w(mm)は、何れも基板の電極端子部の幅に貼付することが可能な幅に調整することができる。
【0028】
異方性導電フィルム2の厚さは、特に限定されないが、接続構造体(実装体)の様式、電気的特性及び機械的特性による接続信頼性、フィルム積層体1の製造容易性等の観点から、10μm〜50μmであることが好ましく、12μm〜30μmであることが特に好ましい。
【0029】
剥離フィルム3の厚さは、特に限定されないが、剥離のし易さ(剥離性)、リール体7における巻回状態の良さ(巻回性)、使い勝手の良さ(取扱性)等の観点から、12μm〜100μmであることが好ましく、25μm〜75μmであることが特に好ましい。
【0030】
異方性導電フィルム2は、膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダ(接着剤)21に導電性粒子22が分散された異方性導電組成物を剥離フィルム3上に塗布することにより剥離フィルム3上に形成される。
【0031】
剥離フィルム3は、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等にシリコーン等の剥離剤を塗布してなり、異方性導電フィルム2の形状を維持することができる。
【0032】
バインダ21に含有される膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0033】
熱硬化性樹脂としては、常温で流動性を有していれば特に限定されず、例えば、市販のエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0034】
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0035】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、加熱硬化型、UV硬化型等の各種硬化剤が挙げられる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、熱、光、加圧等の用途に応じて選択される各種のトリガにより活性化し、反応を開始する。熱活性型潜在性硬化剤の活性化方法には、加熱による解離反応などで活性種(カチオンやアニオン)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤を高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる溶出・硬化方法等が存在する。熱活性型潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等や、これらの変性物があり、これらは単独でも、2種以上の混合体であってもよい。中でも、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が好適である。
【0037】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0038】
導電性粒子22としては、異方性導電フィルム2において使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子22としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。
【0039】
なお、フィルム積層体1は、このような構成に限定されず、異方性導電フィルム2の剥離フィルム3側との間に、例えばバインダ21のみからなる絶縁性樹脂層(NCF(Non Conductive Film)層)を積層するようにしてもよい。
【0040】
また、フィルム積層体1は、異方性導電フィルム2の剥離フィルム3が積層された面とは反対の面側にも剥離フィルムを設ける構成としてもよい。
【0041】
<2.フィルム積層体の作製>
フィルム積層体1は、何れの方法で作製するようにしてもよいが、例えば以下の方法によって作製することができる。
【0042】
図3は、フィルム積層体1の作製方法の第1の例を説明するための図である。この図3に示す例では、作製されるフィルム積層体1の剥離フィルム3の幅に対し、3倍幅の剥離フィルム3aを用意する。そして、剥離フィルム3aの一方の面上の全領域に、バインダ21に導電性粒子22が分散された異方性導電組成物を塗布、続いて有機溶媒を乾燥させる。これにより、剥離フィルム3a上に異方性導電フィルム2aが積層されたフィルム積層体1aを得る(図3(A))。
【0043】
図3(A),(B)において、直線(実線)A1A1’、A2A2’、直線(一点鎖線)B1B1’、B2B2’、B3B3’は、何れもフィルム積層体1aの長手方向に沿っている。直線A1A1’、A2A2’は、フィルム積層体1aを幅方向に3等分する位置上に存在する。フィルム積層体1aの長手方向に沿った左端部側の一辺から直線B1B1’までの距離、直線B2B2’から直線A2A2’までの距離、直線A2A2’から直線B3B3’までの距離は、何れも作製されるフィルム積層体1の異方性導電フィルム2の幅a(mm)に相当する。
【0044】
異方性導電フィルム2aにおいて、直線B1B1’、B2B2’、B3B3’の位置にそれぞれ切り込みを入れる。そして、図3(A)に示すように、異方性導電フィルム2aにおける直線B1B1’と直線A1A1’との間の領域、直線A1A1’と直線B2B2’との間の領域、直線B3B3’から長手方向に沿った右端部側の一辺までの領域をそれぞれ剥離する。これにより、剥離フィルム3a上に異方性導電フィルム2b,2cが積層されたフィルム積層体1bを得る(図3(B))。そして、フィルム積層体1bを直線A1A1’の位置、直線A2A2’の位置で裁断し、3個のフィルム積層体1を得る(図3(C))。
【0045】
図4は、フィルム積層体1の作製方法の第2の例を説明するための図である。この図4に示す例では、先ず、所定幅の剥離フィルム3と同一材料の剥離フィルム(図示せず)上にこれと同一寸法の異方性導電フィルム2と同一材料の異方性導電フィルム(図示せず)が積層されてなるフィルム積層体(図示せず)を用意する。このフィルム積層体を長手方向に沿って剥離フィルム3の幅に裁断し、剥離フィルム3上に異方性導電フィルム2dが積層されたフィルム積層体1cを得る(図4(A))。
【0046】
図4(A)において、直線(一点鎖線)B4B4’は、フィルム積層体1cの長手方向に沿っている。フィルム積層体1cの幅方向左端から直線B4B4’までの距離は、作製されるフィルム積層体1の異方性導電フィルム2の幅a(mm)に相当する。
【0047】
フィルム積層体1cにおいて、直線B4B4’の位置に切り込みを入れる。そして、異方性導電フィルム2dにおける直線B4B4’から長手方向に沿った右端部側の一辺までの領域を剥離する。これにより、剥離フィルム3上に異方性導電フィルム2が積層されたフィルム積層体1を得る(図4(B))。
【0048】
図5は、フィルム積層体1の作製方法の第3の例を説明するための図である。この図5に示す例では、図4(A)と同様の処理により得られたフィルム積層体1cにおいて(図5(A))、直線B4B4’から長手方向に沿った右端部側の一辺までの領域を加熱して熱収縮除去する。これにより、フィルム積層体1を得る(図5(B))。
【0049】
図6は、フィルム積層体1の作製方法の第4の例を説明するための図である。この図6に示す例では、剥離フィルム3b上にこれと同一寸法の異方性導電フィルム2を積層してなるフィルム積層体1dを用意する。異方性導電フィルム2と、フィルム積層体1dの幅よりも大きい幅の剥離フィルム3とを対向させてフィルム積層体1dの長手方向に沿った一辺と剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺とが重なるように剥離フィルム3上にフィルム積層体1dを積層させる。これにより、剥離フィルム3上に異方性導電フィルム2を転着させる(図6(A))。その後、剥離フィルム3bを異方性導電フィルム2から剥離してフィルム積層体1を得る(図6(B))。
【0050】
<3.フィルム積層体の貼付方法>
次に、フィルム積層体1の貼付方法について、フィルム積層体1を基板の一種である液晶表示パネルに貼付する例を挙げて説明する。
【0051】
図7の斜視図及び図8の断面図に示すように、液晶表示パネル30は、ガラス等からなる一対の透明基板31a,31bの間に液晶層32が挟まれており、液晶層32の周囲がシール材33で封止されている。透明基板31aの下面、透明基板31bの上面には、それぞれ偏光板34a,34bが配設されている。これにより、液晶表示部を形成している。また、透明基板31aの液晶表示部が設けられていない一方の端部上には、複数の電極を設けた狭小幅の電極端子部311aが形成されている。
【0052】
フィルム積層体1を透明基板31aの電極端子部311aに貼付する場合、透明基板31aの電極端子部311aと異方性導電フィルム2とが対向するように電極端子部311aにフィルム積層体1を配置する。この配置においては、図8の範囲R1に示すように、剥離フィルム3と異方性導電フィルム2とが重なり合うフィルム積層体1の対向側面部4が、液晶層32及びシール材33と透明基板31bとが積層された液晶表示部の側面A1と対向するようにフィルム積層体1を配置する。
【0053】
そして、フィルム積層体1の剥離フィルム3上面を押圧ヘッド35にて僅かな圧力(例えば0.1MPa〜2MPa程度)で矢印方向に押圧しながら加熱する。ただし、加熱温度は、異方性導電フィルム2中の熱硬化性樹脂が硬化しない程度の温度(例えば70〜100℃程度)とする。
【0054】
このような温度、圧力条件で熱加圧することにより、透明基板31aの電極端子部311a上にフィルム積層体1を貼付することができる(図7、8)。
【0055】
ここで、仮に図9に示すように、剥離フィルム103上の幅方向中央部に、剥離フィルム103の幅よりも小さい幅の異方性導電フィルム102が積層されてなるフィルム積層体101を電極端子部311aに貼付する場合について考える。この場合、範囲R2に示すように、剥離フィルム103の異方性導電フィルム102が積層されていない幅方向の一方の端部104が、液晶層32及びシール材33と透明基板31bとが積層された液晶表示部の側面A1に干渉し、貼付状態に不具合を生じさせるおそれがある。
【0056】
これに対し、フィルム積層体1においては、剥離フィルム3の幅が異方性導電フィルム2の幅よりも大きく、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合っている。これにより、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合ったフィルム積層体1の側面A1が、液晶層32及びシール材33と透明基板31bとが積層された液晶表示部の側面A1に干渉することなく、フィルム積層体1を狭小幅の電極端子部311a上に貼付することができる。
【0057】
<4.基板と電子部品との接続方法>
次に、フィルム積層体1を用いた基板と電子部品との接続方法について、透明基板31aの電極端子部311a上に電子部品としてICチップを実装する例を挙げて説明する。
【0058】
上述したように、透明基板31aの電極端子部311a上にフィルム積層体1を貼付することにより、異方性導電フィルム2を電極端子部311aに仮圧着する。
【0059】
異方性導電フィルム2を仮圧着した後、異方性導電フィルム2の位置合わせ状態を確認し、位置ずれ等の不具合が生じていない場合には、異方性導電フィルム2から剥離フィルム3を剥離する。これにより、図10に示すように、透明基板31aの電極端子部311a上に異方性導電フィルム2が設けられる。
【0060】
その後、図11に示すように、透明基板31aの電極端子部311aが備える電極とICチップ36の電極とが対向するようにICチップ36を異方性導電フィルム2上に配置する。
【0061】
続いて、ICチップ36上面を熱加圧ヘッド37により、例えば圧力3MPa〜50MPa程度の圧力で加圧しながら異方性導電フィルム2中の熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度(熱硬化性樹脂の種類によっても異なるが、例えば温度140〜220℃程度)で加熱する。これにより、異方性導電フィルム2を介して液晶パネル30の電極端子部311aとICチップ36とを本圧着する。
【0062】
このような接続方法により、図12に示すように、異方性導電フィルム2を介して液晶表示パネル30の透明基板31aの電極端子部311aとICチップ36とが接続されてなる接続構造体が製造される。すなわち、異方性導電フィルム2中の導電性粒子21を介して液晶表示パネル30の電極端子部311aの電極とICチップ36の電極とが接続されて電極間の導通が図られる。
【0063】
なお、異方性導電フィルム2の仮圧着の後、異方性導電フィルム2の位置合わせ状態を確認し、位置ずれ等の不具合が生じている場合には、フィルム積層体1を剥離して再度フィルム積層体1を配置するリペア処理(図示せず)を行うようにしてもよい。
【0064】
なお、フィルム積層体1を貼付する基板としては、液晶表示パネルに限定されず、狭小幅の電極端子部を設けた絶縁性基板であれば何れのものであってもよい。例えば、狭小幅の電極端子部を設けたガラス基板、プラスチック基板、ガラス強化エポキシ基板等を挙げることができる。
【0065】
また、電子部品は、ICチップ36に替えて他の電子部品であってもよい。例えば、LSI(Large Scale Integration)チップ等のICチップ以外の半導体チップやチップコンデンサ等の半導体素子、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)、液晶駆動用半導体実装材料COF(Chip On Film)等を挙げることができる。
【0066】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明が前述の実施の形態に限定されるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0067】
<5.実施例>
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0068】
(実施例1)
幅wが1.5mm、厚さが50μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを用意した。剥離フィルムの剥離処理された面上に、エポキシ系樹脂をバインダとする幅aが1mm、厚さが20μmの異方性導電フィルム(製品名CP6920F3(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製))を、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とを重ね合わせるようにして積層した(a/w=0.67)。これにより、フィルム積層体を得た。このフィルム積層体を長さが50m、100m、200mとなるまで、それぞれプラスチック製の巻取部(リール)に巻回してリール体形状とした。
【0069】
(実施例2)
異方性導電フィルムの幅aを0.8mmとした(a/w=0.53)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0070】
(実施例3)
異方性導電フィルムの幅aを0.4mmとした(a/w=0.27)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0071】
(実施例4)
剥離フィルムの幅wを1mm、異方性導電フィルムの幅aを0.6mmとした(a/w=0.60)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0072】
(実施例5)
剥離フィルムの幅wを0.8mm、異方性導電フィルムの幅aを0.4mmとした(a/w=0.50)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0073】
(実施例6)
実施例1の異方性導電フィルムに替えて、アクリル系樹脂をバインダとする厚さ20μmの異方性導電フィルム(製品名CP1720ISV(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0074】
(比較例1)
異方性導電フィルムの幅aを1.5mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0075】
(比較例2)
剥離フィルムの幅wを1mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0076】
(比較例3)
剥離フィルムの幅wを0.8mm、異方性導電フィルムの幅aを0.8mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0077】
(比較例4)
剥離フィルムの幅wを0.6mm、異方性導電フィルムの幅aを0.6mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0078】
(比較例5)
剥離フィルム上の幅方向中央部に異方性導電フィルムを積層形成した以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を作製した。
【0079】
<フィルム積層体の巻回状態の評価>
実施例1〜6、比較例1〜5のフィルム積層体において、異方性導電フィルムのはみ出しによって段差、隙間等が生じることがなく一様に良好な巻回状態であるものを○、巻回状態の一部に、不連続な部分があるが、実施可能であるものを△、段差、隙間等があることにより巻回状態が著しく劣り、実施不可能であるものを×として巻回状態の評価を行った。評価結果を[表1]に示す。なお、ここで「不連続な部分」とは、巻回時にフィルム積層体間に空気が入り込むこと等により生じる、フィルム積層体同士が密着していない部分のことである。
【0080】
<フィルム積層体の干渉性の評価>
実施例1〜6、比較例1〜5のフィルム積層体を液晶表示パネルの透明基板の電極端子部(幅1.2mm)に貼付する試験を行った。この試験においては、透明基板の電極端子部と異方性導電フィルムとを対向させるとともに、剥離フィルムと異方性導電フィルムとが重なり合うフィルム積層体の側面を、液晶表示パネルの液晶表示部の側面と対向するようにフィルム積層体の貼付を試みた(先の図8等参照)。この貼付においては、フィルム積層体の剥離フィルム上面を押圧ヘッドにて1.0MPaで押圧しながら80℃で加熱した。液晶表示パネルの液晶表示部の側面にフィルム積層体が干渉せず良好に貼付できたものを○、液晶表示パネルの液晶表示部の側面にフィルム積層体が干渉して良好に貼付できなかったものを×として干渉性の評価を行った。評価結果を[表1]に示す。
【0081】
<総合評価>
実施例1〜6、比較例1〜5のフィルム積層体について、以上の全ての評価結果が○であるフィルム積層体を実施可能なフィルム積層体(○)とし、以上の評価結果において△又は×が1つ以上あるフィルム積層体を実施に不適であるフィルム積層体(×)として評価した。総合評価結果を[表1]に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
[表1]に示すように、バインダとしてエポキシ系樹脂を用いた実施例1〜5のフィルム積層体では、長さ200mまで良好な巻回状態が維持されていた。また、実施例1〜5のフィルム積層体においては、貼付時に剥離フィルムと液晶表示パネルの液晶表示部の側面との干渉がなく、透明基板の電極端子部上に良好に貼付することができた。また、実施例1〜5のフィルム積層体は、良好な巻回状態を維持することができた。バインダとしてアクリル系樹脂を用いた実施例6のフィルム積層体においても同様に良好な結果を得ることができた。
【0084】
実施例1〜6のフィルム積層体は、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合っていることにより、剥離フィルムと液晶表示パネルの液晶表示部の側面とが干渉することなく、透明基板の電極端子部上に貼付することができたと考えられる。また、実施例1〜6のフィルム積層体では、剥離フィルムの幅wが異方性導電フィルムの幅aよりも大きいことから、剥離フィルム上に保持スペースが存在する。また、剥離フィルムの幅wが小さくなっても、巻回状態において、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端の外側へはみ出すことがないため、段差、隙間等の不具合が生じることなく良好な巻回状態を維持することができたと考えられる。
【0085】
比較例2〜4のフィルム積層体は、貼付時に干渉を生じさせることはなかった。しかしながら、比較例1では、剥離フィルムの幅w、異方性導電フィルムの幅aが共に1.5mmのために液晶表示パネルの液晶表示部の側面との干渉が生じた。また、比較例2では、剥離フィルムの幅w、異方性導電フィルムの幅aが共に1.0mmのために液晶表示パネルの液晶表示部の側面との干渉は生じなかったが、長さ200mの長尺テープの巻回状態の一部に不連続な部分が観察された。また、比較例3、4の結果に示すように、剥離フィルムの幅wが更に小さくなると、少ない巻き数でも、異方性導電フィルムのはみ出しによるフィルム積層体の位置ずれ、よれ等が生じ、段差、隙間等の不具合が生じてしまった。
【0086】
また、比較例5のフィルム積層体では、長さ200mまで良好に巻回することができたが、異方性導電フィルムが剥離フィルムの中央部に存在するために、液晶表示パネルの液晶表示部の側面と干渉が生じた。
【符号の説明】
【0087】
1 フィルム積層体、2 異方性導電フィルム、3 剥離フィルム、5 保持スペース、6a,6b フランジ、7 リール体、8 巻取部、30 液晶表示パネル、31a,31b 透明基板、32 液晶層、33 シール材、34a,34b 偏光板、35 押圧ヘッド、36 ICチップ、37 熱加圧ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離フィルム上に異方性導電フィルムが形成されてなるフィルム積層体、フィルム積層体の貼付方法、フィルム積層体を用いて基板と電子部品とを接続する接続方法及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板に異方性導電フィルムを用いて電子部品を実装する実装法が行われている。例えば、液晶表示パネルの周縁部に異方性導電フィルムを介して液晶駆動回路であるICチップを実装するCOG(Chip on Glass)実装法が行われている。
【0003】
異方性導電フィルムを介した実装法においては、一般に、剥離フィルム上に異方性導電フィルムが積層されてなるテープ状のフィルム積層体が使用されている。しかしながら、フィルム積層体において、剥離フィルムの寸法と異方性導電フィルムの寸法とが同一であると、基板に押圧して貼付する際に、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端より外側にはみ出すことがあった。この場合、はみ出した異方性導電フィルムが剥離フィルム側面側に回り込み、剥離フィルムが異方性導電フィルムから剥離されない等の問題が生じていた。
【0004】
そこで、異方性導電フィルム及び剥離フィルムのサイズを調整することにより、基板に押圧して貼付する際に、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端からはみ出すことを防止する試みがなされている。例えば特許文献1には、剥離フィルム上の幅方向中央部に、剥離フィルムの幅よりも小さい幅の異方性導電フィルムが積層されてなるフィルム積層体が記載されている。この特許文献1のフィルム積層体によれば、押圧時に異方性導電フィルムが剥離フィルムの幅方向両端からはみ出してしまうことがない。
【0005】
また、例えば特許文献2には、ベースフィルムとカバーフィルムとの間に異方性導電フィルムが挟まれてなるフィルム積層体(積層テープ)が記載されている。この特許文献2に記載のフィルム積層体は、ベースフィルムの幅及びカバーフィルムの幅よりも小さい幅の異方性導電フィルムがベースフィルム(或いはカバーフィルム)の幅方向中央部に配置されている。これにより、特許文献1に記載のフィルム積層体と同様のはみ出し防止効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−142176号公報
【特許文献2】特許3921452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、基板の電極端子部の幅は、極めて狭小化の傾向にある。このため、剥離フィルム上の幅方向中央部に、剥離フィルムの幅よりも小さい幅の異方性導電フィルムが積層されてなるフィルム積層体を基板の狭小化された電極端子部に貼付しようとすると、剥離フィルムが電極端子部に近接する他の部材の側面に干渉し、貼付状態に不具合を生じさせることがあった。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、貼付状態に不具合を生じさせることなく、極めて狭小幅の基板の電極端子部に確実に貼付することが可能なフィルム積層体、フィルム積層体の貼付方法、フィルム積層体を用いて基板と電子部品とを接続する接続方法及び接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明のフィルム積層体は、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなるフィルム積層体であって、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合っていることを特徴とする。
【0010】
また、上述の目的を達成するために、本発明の貼付方法は、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の電極端子部上に、電極端子部と異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、押圧ヘッドを剥離フィルム上面に押し当ててフィルム積層体を押圧することにより基板の電極端子部上にフィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程とを有し、フィルム積層体配置工程では、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体の側面と他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする。
【0011】
また、上述の目的を達成するために、本発明の接続方法は、基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続する接続方法において、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の電極端子部上に、電極端子部と異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、押圧ヘッドを剥離フィルム上面に押し当ててフィルム積層体を押圧することにより基板の電極端子部上にフィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、剥離フィルムを剥離して異方性導電フィルム上に電子部品を配置する電子部品配置工程と、押圧ヘッドを電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより導電性粒子を介して基板の電極と電子部品の電極とを接続する接続工程とを有し、フィルム積層体配置工程では、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体の側面と他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする。
【0012】
また、上述の目的を達成するために、本発明の接続構造体は、基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続させてなる接続構造体において、バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の電極端子部上に、電極端子部と異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、押圧ヘッドを剥離フィルム上面に押し当ててフィルム積層体を押圧することにより基板の電極端子部上にフィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、剥離フィルムを剥離して異方性導電フィルム上に電子部品を配置する電子部品配置工程と、押圧ヘッドを電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより導電性粒子を介して基板の電極と電子部品の電極とを接続する接続工程とを有し、フィルム積層体配置工程では、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体の側面と他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする接続方法によって接続されてなるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィルム積層体において、剥離フィルムの幅が異方性導電フィルムの幅よりも大きく、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なっていることにより、貼付状態に不具合を生じさせることなく、極めて狭小幅の基板の電極端子部に確実に貼付することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フィルム積層体の構成を示す図である。
【図2】フィルム積層体を巻取部に巻回してなるリール体を示す図である。
【図3】フィルム積層体の作製方法の第1の例を説明するための図である。
【図4】フィルム積層体の作製方法の第2の例を説明するための図である。
【図5】フィルム積層体の作製方法の第3の例を説明するための図である。
【図6】フィルム積層体の作製方法の第4の例を説明するための図である。
【図7】フィルム積層体を貼付した液晶表示パネルを示す図である。
【図8】フィルム積層体を電極端子部に貼付する方法を説明するための図である。
【図9】フィルム積層体を電極端子部に貼付する方法を説明するための図である。
【図10】透明基板の電極端子部上に異方性導電フィルムを設けた様子を示す図である。
【図11】ICチップを異方性導電フィルム上に実装する方法を説明するための図である。
【図12】異方性導電フィルムを介して液晶表示パネルの透明基板の電極端子部とICチップとが接続されてなる接続構造体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.フィルム積層体
2.フィルム積層体の作製
3.フィルム積層体の貼付方法
4.基板と電子部品との接続方法
5.実施例
【0016】
<1.フィルム積層体>
図1は、本発明の一実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)に係るフィルム積層体の構成を示す図であり、図1(A)は外観図であり、図1(B)は断面図である。フィルム積層体1は、図1(B)に示すように、バインダ(接着剤)21に導電性粒子22が分散された異方性導電フィルム2が剥離フィルム3上に積層されてなる。
【0017】
フィルム積層体1は、例えば基板における複数の電極を設けた電極端子部に貼付して使用することができる。具体的には、基板の電極端子部にフィルム積層体1を押圧して貼付する。さらに、剥離フィルム3を異方性導電フィルム2から剥離した後、異方性導電フィルム2上に電子部品を配置して熱加圧することで、異方性導電フィルム2を介して基板と電子部品とを接続することができる。
【0018】
フィルム積層体1は、剥離フィルム3の幅が異方性導電フィルム2の幅よりも大きく、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合っている。すなわち、フィルム積層体1は、幅方向断面において、剥離フィルム3と異方性導電フィルム2とが重なり合う側と、異方性導電フィルム2が設けられておらず剥離フィルム3のみかからなる側とで非対称形を形成している。
【0019】
フィルム積層体1の幅方向側面の内、剥離フィルム3と異方性導電フィルム2とが重なり合う側の側面は、基板上の電極端子部に近接する他の部材の側面と対向配置される対向側面部4をなしている。また、剥離フィルム3上の異方性導電フィルム2が設けられていない部分は、加圧された異方性導電フィルム2を保持して剥離フィルム3からのはみ出しを防止する保持スペース5を形成している。これにより、異方性導電フィルム2の幅をこれに対応させて極めて狭小とし(例えば1.2mm以下)、基板の電極端子部の幅が極めて狭小である場合であっても、貼付時に剥離フィルム3と他の部材とが干渉することなく、また、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端の外側へ流出することなくフィルム積層体1を基板の電極端子部に貼付することができる。また、後述するように、フィルム積層体1を長尺テープ形状として巻回状態とした場合であっても、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向端部からはみ出すことがない。このため、剥離フィルム3の幅が極めて小さい場合でも段差、隙間等の不具合を生じさせることなく良好な巻回状態を維持することができる。
【0020】
このように構成されるフィルム積層体1において、剥離フィルム3の幅をw(mm)、異方性導電フィルムの幅をa(mm)とした場合、a/w=0.25〜0.9であることが好ましく、a/w=0.5〜0.9であることが特に好ましい。aが0.25未満であると保持スペース5が占める面積が大きくなり、リールの巻回状態が維持できなくなるおそれがある。また、wが0.9よりも大きいと異方性導電フィルムが貼付時に流出したり、巻回状態においてはみ出しを生じさせるおそれがある。
【0021】
フィルム積層体1の形状は、特に限定されないが、例えば、図2に示すように、プラスチック等からなる巻取部(リール)8に巻回可能な長尺テープ形状とすることが可能である。すなわち、フィルム積層体1は、長尺テープ形状である場合、剥離フィルム3が外周側となるようにフィルム積層体1の幅方向両端にプラスチック等からなるフランジ6a,6bを備えた巻取部8に巻回され、リール体7として提供される。リール体7における長尺テープ形状のフィルム積層体1の長さは、50m〜1000m程度とすることが可能である。
【0022】
通常、フィルム積層体を巻取部に巻回すると、巻き締めによる圧力が異方性導電フィルムにかかる。このため、剥離フィルムの幅と異方性導電フィルムの幅とが同一である従来のフィルム積層体を巻取部に巻回すると、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端の外側へはみ出すことがあった。巻取部へのフィルム積層体の巻き数が多くなるにつれ、巻き締めによる圧力は上昇し、このはみ出しが生じやすくなる。
【0023】
フィルム積層体1は、巻き数が多いリール体7とされた場合であっても、剥離フィルム3上に保持スペース5が存在することにより、このようなはみ出しが生じるおそれがない。これにより、フィルム積層体1は、異方性導電フィルム2の幅a(mm)が極めて狭小の長尺テープとして巻取部8に巻回された状態において、異方性導電フィルム2のはみ出しが生じることがなくリール体7において良好な品質を維持することができる。
【0024】
剥離フィルムの幅と異方性導電フィルムの幅とが同一である従来のフィルム積層体では、巻回時に異方性導電フィルムが剥離フィルムの幅方向両端の外側へはみ出すことがあっても、剥離フィルム幅(=異方性導電フィルム幅)がある程度の大きさ以上であれば、剥離フィルムにおける異方性導電フィルムの担持力も大きいことから巻回可能である。しかしながら、このようなフィルム積層体における剥離フィルム幅が小さくなるとこの担持力も小さくなることから、フィルム積層体の位置ずれ、よれ等が生じやすくなる。このような影響により、フィルム積層体間に段差、隙間等の不具合が生じやすくなり、良好な巻回状態を維持することができない。
【0025】
これに対し、フィルム積層体1は、剥離フィルム3上に保持スペース5が存在する。このため、剥離フィルムの幅wが小さくなっても、異方性導電フィルム2のはみ出しを生じさせることがないため、段差、隙間等の不具合が生じることなく良好な巻回状態を維持することができる。
【0026】
なお、フィルム積層体1は、このようなリール体7として提供される長尺テープ形状に限定されるものではなく、短冊形状であってもよい。
【0027】
異方性導電フィルム2の幅a(mm)、剥離フィルム3の幅w(mm)は、何れも基板の電極端子部の幅に貼付することが可能な幅に調整することができる。
【0028】
異方性導電フィルム2の厚さは、特に限定されないが、接続構造体(実装体)の様式、電気的特性及び機械的特性による接続信頼性、フィルム積層体1の製造容易性等の観点から、10μm〜50μmであることが好ましく、12μm〜30μmであることが特に好ましい。
【0029】
剥離フィルム3の厚さは、特に限定されないが、剥離のし易さ(剥離性)、リール体7における巻回状態の良さ(巻回性)、使い勝手の良さ(取扱性)等の観点から、12μm〜100μmであることが好ましく、25μm〜75μmであることが特に好ましい。
【0030】
異方性導電フィルム2は、膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダ(接着剤)21に導電性粒子22が分散された異方性導電組成物を剥離フィルム3上に塗布することにより剥離フィルム3上に形成される。
【0031】
剥離フィルム3は、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等にシリコーン等の剥離剤を塗布してなり、異方性導電フィルム2の形状を維持することができる。
【0032】
バインダ21に含有される膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0033】
熱硬化性樹脂としては、常温で流動性を有していれば特に限定されず、例えば、市販のエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0034】
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0035】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、加熱硬化型、UV硬化型等の各種硬化剤が挙げられる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、熱、光、加圧等の用途に応じて選択される各種のトリガにより活性化し、反応を開始する。熱活性型潜在性硬化剤の活性化方法には、加熱による解離反応などで活性種(カチオンやアニオン)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤を高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる溶出・硬化方法等が存在する。熱活性型潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等や、これらの変性物があり、これらは単独でも、2種以上の混合体であってもよい。中でも、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が好適である。
【0037】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0038】
導電性粒子22としては、異方性導電フィルム2において使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子22としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。
【0039】
なお、フィルム積層体1は、このような構成に限定されず、異方性導電フィルム2の剥離フィルム3側との間に、例えばバインダ21のみからなる絶縁性樹脂層(NCF(Non Conductive Film)層)を積層するようにしてもよい。
【0040】
また、フィルム積層体1は、異方性導電フィルム2の剥離フィルム3が積層された面とは反対の面側にも剥離フィルムを設ける構成としてもよい。
【0041】
<2.フィルム積層体の作製>
フィルム積層体1は、何れの方法で作製するようにしてもよいが、例えば以下の方法によって作製することができる。
【0042】
図3は、フィルム積層体1の作製方法の第1の例を説明するための図である。この図3に示す例では、作製されるフィルム積層体1の剥離フィルム3の幅に対し、3倍幅の剥離フィルム3aを用意する。そして、剥離フィルム3aの一方の面上の全領域に、バインダ21に導電性粒子22が分散された異方性導電組成物を塗布、続いて有機溶媒を乾燥させる。これにより、剥離フィルム3a上に異方性導電フィルム2aが積層されたフィルム積層体1aを得る(図3(A))。
【0043】
図3(A),(B)において、直線(実線)A1A1’、A2A2’、直線(一点鎖線)B1B1’、B2B2’、B3B3’は、何れもフィルム積層体1aの長手方向に沿っている。直線A1A1’、A2A2’は、フィルム積層体1aを幅方向に3等分する位置上に存在する。フィルム積層体1aの長手方向に沿った左端部側の一辺から直線B1B1’までの距離、直線B2B2’から直線A2A2’までの距離、直線A2A2’から直線B3B3’までの距離は、何れも作製されるフィルム積層体1の異方性導電フィルム2の幅a(mm)に相当する。
【0044】
異方性導電フィルム2aにおいて、直線B1B1’、B2B2’、B3B3’の位置にそれぞれ切り込みを入れる。そして、図3(A)に示すように、異方性導電フィルム2aにおける直線B1B1’と直線A1A1’との間の領域、直線A1A1’と直線B2B2’との間の領域、直線B3B3’から長手方向に沿った右端部側の一辺までの領域をそれぞれ剥離する。これにより、剥離フィルム3a上に異方性導電フィルム2b,2cが積層されたフィルム積層体1bを得る(図3(B))。そして、フィルム積層体1bを直線A1A1’の位置、直線A2A2’の位置で裁断し、3個のフィルム積層体1を得る(図3(C))。
【0045】
図4は、フィルム積層体1の作製方法の第2の例を説明するための図である。この図4に示す例では、先ず、所定幅の剥離フィルム3と同一材料の剥離フィルム(図示せず)上にこれと同一寸法の異方性導電フィルム2と同一材料の異方性導電フィルム(図示せず)が積層されてなるフィルム積層体(図示せず)を用意する。このフィルム積層体を長手方向に沿って剥離フィルム3の幅に裁断し、剥離フィルム3上に異方性導電フィルム2dが積層されたフィルム積層体1cを得る(図4(A))。
【0046】
図4(A)において、直線(一点鎖線)B4B4’は、フィルム積層体1cの長手方向に沿っている。フィルム積層体1cの幅方向左端から直線B4B4’までの距離は、作製されるフィルム積層体1の異方性導電フィルム2の幅a(mm)に相当する。
【0047】
フィルム積層体1cにおいて、直線B4B4’の位置に切り込みを入れる。そして、異方性導電フィルム2dにおける直線B4B4’から長手方向に沿った右端部側の一辺までの領域を剥離する。これにより、剥離フィルム3上に異方性導電フィルム2が積層されたフィルム積層体1を得る(図4(B))。
【0048】
図5は、フィルム積層体1の作製方法の第3の例を説明するための図である。この図5に示す例では、図4(A)と同様の処理により得られたフィルム積層体1cにおいて(図5(A))、直線B4B4’から長手方向に沿った右端部側の一辺までの領域を加熱して熱収縮除去する。これにより、フィルム積層体1を得る(図5(B))。
【0049】
図6は、フィルム積層体1の作製方法の第4の例を説明するための図である。この図6に示す例では、剥離フィルム3b上にこれと同一寸法の異方性導電フィルム2を積層してなるフィルム積層体1dを用意する。異方性導電フィルム2と、フィルム積層体1dの幅よりも大きい幅の剥離フィルム3とを対向させてフィルム積層体1dの長手方向に沿った一辺と剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺とが重なるように剥離フィルム3上にフィルム積層体1dを積層させる。これにより、剥離フィルム3上に異方性導電フィルム2を転着させる(図6(A))。その後、剥離フィルム3bを異方性導電フィルム2から剥離してフィルム積層体1を得る(図6(B))。
【0050】
<3.フィルム積層体の貼付方法>
次に、フィルム積層体1の貼付方法について、フィルム積層体1を基板の一種である液晶表示パネルに貼付する例を挙げて説明する。
【0051】
図7の斜視図及び図8の断面図に示すように、液晶表示パネル30は、ガラス等からなる一対の透明基板31a,31bの間に液晶層32が挟まれており、液晶層32の周囲がシール材33で封止されている。透明基板31aの下面、透明基板31bの上面には、それぞれ偏光板34a,34bが配設されている。これにより、液晶表示部を形成している。また、透明基板31aの液晶表示部が設けられていない一方の端部上には、複数の電極を設けた狭小幅の電極端子部311aが形成されている。
【0052】
フィルム積層体1を透明基板31aの電極端子部311aに貼付する場合、透明基板31aの電極端子部311aと異方性導電フィルム2とが対向するように電極端子部311aにフィルム積層体1を配置する。この配置においては、図8の範囲R1に示すように、剥離フィルム3と異方性導電フィルム2とが重なり合うフィルム積層体1の対向側面部4が、液晶層32及びシール材33と透明基板31bとが積層された液晶表示部の側面A1と対向するようにフィルム積層体1を配置する。
【0053】
そして、フィルム積層体1の剥離フィルム3上面を押圧ヘッド35にて僅かな圧力(例えば0.1MPa〜2MPa程度)で矢印方向に押圧しながら加熱する。ただし、加熱温度は、異方性導電フィルム2中の熱硬化性樹脂が硬化しない程度の温度(例えば70〜100℃程度)とする。
【0054】
このような温度、圧力条件で熱加圧することにより、透明基板31aの電極端子部311a上にフィルム積層体1を貼付することができる(図7、8)。
【0055】
ここで、仮に図9に示すように、剥離フィルム103上の幅方向中央部に、剥離フィルム103の幅よりも小さい幅の異方性導電フィルム102が積層されてなるフィルム積層体101を電極端子部311aに貼付する場合について考える。この場合、範囲R2に示すように、剥離フィルム103の異方性導電フィルム102が積層されていない幅方向の一方の端部104が、液晶層32及びシール材33と透明基板31bとが積層された液晶表示部の側面A1に干渉し、貼付状態に不具合を生じさせるおそれがある。
【0056】
これに対し、フィルム積層体1においては、剥離フィルム3の幅が異方性導電フィルム2の幅よりも大きく、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合っている。これにより、剥離フィルム3の長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルム2の長手方向に沿った一辺とが重なり合ったフィルム積層体1の側面A1が、液晶層32及びシール材33と透明基板31bとが積層された液晶表示部の側面A1に干渉することなく、フィルム積層体1を狭小幅の電極端子部311a上に貼付することができる。
【0057】
<4.基板と電子部品との接続方法>
次に、フィルム積層体1を用いた基板と電子部品との接続方法について、透明基板31aの電極端子部311a上に電子部品としてICチップを実装する例を挙げて説明する。
【0058】
上述したように、透明基板31aの電極端子部311a上にフィルム積層体1を貼付することにより、異方性導電フィルム2を電極端子部311aに仮圧着する。
【0059】
異方性導電フィルム2を仮圧着した後、異方性導電フィルム2の位置合わせ状態を確認し、位置ずれ等の不具合が生じていない場合には、異方性導電フィルム2から剥離フィルム3を剥離する。これにより、図10に示すように、透明基板31aの電極端子部311a上に異方性導電フィルム2が設けられる。
【0060】
その後、図11に示すように、透明基板31aの電極端子部311aが備える電極とICチップ36の電極とが対向するようにICチップ36を異方性導電フィルム2上に配置する。
【0061】
続いて、ICチップ36上面を熱加圧ヘッド37により、例えば圧力3MPa〜50MPa程度の圧力で加圧しながら異方性導電フィルム2中の熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度(熱硬化性樹脂の種類によっても異なるが、例えば温度140〜220℃程度)で加熱する。これにより、異方性導電フィルム2を介して液晶パネル30の電極端子部311aとICチップ36とを本圧着する。
【0062】
このような接続方法により、図12に示すように、異方性導電フィルム2を介して液晶表示パネル30の透明基板31aの電極端子部311aとICチップ36とが接続されてなる接続構造体が製造される。すなわち、異方性導電フィルム2中の導電性粒子21を介して液晶表示パネル30の電極端子部311aの電極とICチップ36の電極とが接続されて電極間の導通が図られる。
【0063】
なお、異方性導電フィルム2の仮圧着の後、異方性導電フィルム2の位置合わせ状態を確認し、位置ずれ等の不具合が生じている場合には、フィルム積層体1を剥離して再度フィルム積層体1を配置するリペア処理(図示せず)を行うようにしてもよい。
【0064】
なお、フィルム積層体1を貼付する基板としては、液晶表示パネルに限定されず、狭小幅の電極端子部を設けた絶縁性基板であれば何れのものであってもよい。例えば、狭小幅の電極端子部を設けたガラス基板、プラスチック基板、ガラス強化エポキシ基板等を挙げることができる。
【0065】
また、電子部品は、ICチップ36に替えて他の電子部品であってもよい。例えば、LSI(Large Scale Integration)チップ等のICチップ以外の半導体チップやチップコンデンサ等の半導体素子、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)、液晶駆動用半導体実装材料COF(Chip On Film)等を挙げることができる。
【0066】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明が前述の実施の形態に限定されるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0067】
<5.実施例>
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0068】
(実施例1)
幅wが1.5mm、厚さが50μmのPETフィルムの表面がシリコーンにより剥離処理されてなる剥離フィルムを用意した。剥離フィルムの剥離処理された面上に、エポキシ系樹脂をバインダとする幅aが1mm、厚さが20μmの異方性導電フィルム(製品名CP6920F3(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製))を、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とを重ね合わせるようにして積層した(a/w=0.67)。これにより、フィルム積層体を得た。このフィルム積層体を長さが50m、100m、200mとなるまで、それぞれプラスチック製の巻取部(リール)に巻回してリール体形状とした。
【0069】
(実施例2)
異方性導電フィルムの幅aを0.8mmとした(a/w=0.53)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0070】
(実施例3)
異方性導電フィルムの幅aを0.4mmとした(a/w=0.27)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0071】
(実施例4)
剥離フィルムの幅wを1mm、異方性導電フィルムの幅aを0.6mmとした(a/w=0.60)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0072】
(実施例5)
剥離フィルムの幅wを0.8mm、異方性導電フィルムの幅aを0.4mmとした(a/w=0.50)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0073】
(実施例6)
実施例1の異方性導電フィルムに替えて、アクリル系樹脂をバインダとする厚さ20μmの異方性導電フィルム(製品名CP1720ISV(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0074】
(比較例1)
異方性導電フィルムの幅aを1.5mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0075】
(比較例2)
剥離フィルムの幅wを1mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0076】
(比較例3)
剥離フィルムの幅wを0.8mm、異方性導電フィルムの幅aを0.8mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0077】
(比較例4)
剥離フィルムの幅wを0.6mm、異方性導電フィルムの幅aを0.6mmとした(a/w=1.00)以外は、実施例1と同様の処理を行った。
【0078】
(比較例5)
剥離フィルム上の幅方向中央部に異方性導電フィルムを積層形成した以外は、実施例1と同様にしてフィルム積層体を作製した。
【0079】
<フィルム積層体の巻回状態の評価>
実施例1〜6、比較例1〜5のフィルム積層体において、異方性導電フィルムのはみ出しによって段差、隙間等が生じることがなく一様に良好な巻回状態であるものを○、巻回状態の一部に、不連続な部分があるが、実施可能であるものを△、段差、隙間等があることにより巻回状態が著しく劣り、実施不可能であるものを×として巻回状態の評価を行った。評価結果を[表1]に示す。なお、ここで「不連続な部分」とは、巻回時にフィルム積層体間に空気が入り込むこと等により生じる、フィルム積層体同士が密着していない部分のことである。
【0080】
<フィルム積層体の干渉性の評価>
実施例1〜6、比較例1〜5のフィルム積層体を液晶表示パネルの透明基板の電極端子部(幅1.2mm)に貼付する試験を行った。この試験においては、透明基板の電極端子部と異方性導電フィルムとを対向させるとともに、剥離フィルムと異方性導電フィルムとが重なり合うフィルム積層体の側面を、液晶表示パネルの液晶表示部の側面と対向するようにフィルム積層体の貼付を試みた(先の図8等参照)。この貼付においては、フィルム積層体の剥離フィルム上面を押圧ヘッドにて1.0MPaで押圧しながら80℃で加熱した。液晶表示パネルの液晶表示部の側面にフィルム積層体が干渉せず良好に貼付できたものを○、液晶表示パネルの液晶表示部の側面にフィルム積層体が干渉して良好に貼付できなかったものを×として干渉性の評価を行った。評価結果を[表1]に示す。
【0081】
<総合評価>
実施例1〜6、比較例1〜5のフィルム積層体について、以上の全ての評価結果が○であるフィルム積層体を実施可能なフィルム積層体(○)とし、以上の評価結果において△又は×が1つ以上あるフィルム積層体を実施に不適であるフィルム積層体(×)として評価した。総合評価結果を[表1]に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
[表1]に示すように、バインダとしてエポキシ系樹脂を用いた実施例1〜5のフィルム積層体では、長さ200mまで良好な巻回状態が維持されていた。また、実施例1〜5のフィルム積層体においては、貼付時に剥離フィルムと液晶表示パネルの液晶表示部の側面との干渉がなく、透明基板の電極端子部上に良好に貼付することができた。また、実施例1〜5のフィルム積層体は、良好な巻回状態を維持することができた。バインダとしてアクリル系樹脂を用いた実施例6のフィルム積層体においても同様に良好な結果を得ることができた。
【0084】
実施例1〜6のフィルム積層体は、剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合っていることにより、剥離フィルムと液晶表示パネルの液晶表示部の側面とが干渉することなく、透明基板の電極端子部上に貼付することができたと考えられる。また、実施例1〜6のフィルム積層体では、剥離フィルムの幅wが異方性導電フィルムの幅aよりも大きいことから、剥離フィルム上に保持スペースが存在する。また、剥離フィルムの幅wが小さくなっても、巻回状態において、異方性導電フィルムが剥離フィルム幅方向両端の外側へはみ出すことがないため、段差、隙間等の不具合が生じることなく良好な巻回状態を維持することができたと考えられる。
【0085】
比較例2〜4のフィルム積層体は、貼付時に干渉を生じさせることはなかった。しかしながら、比較例1では、剥離フィルムの幅w、異方性導電フィルムの幅aが共に1.5mmのために液晶表示パネルの液晶表示部の側面との干渉が生じた。また、比較例2では、剥離フィルムの幅w、異方性導電フィルムの幅aが共に1.0mmのために液晶表示パネルの液晶表示部の側面との干渉は生じなかったが、長さ200mの長尺テープの巻回状態の一部に不連続な部分が観察された。また、比較例3、4の結果に示すように、剥離フィルムの幅wが更に小さくなると、少ない巻き数でも、異方性導電フィルムのはみ出しによるフィルム積層体の位置ずれ、よれ等が生じ、段差、隙間等の不具合が生じてしまった。
【0086】
また、比較例5のフィルム積層体では、長さ200mまで良好に巻回することができたが、異方性導電フィルムが剥離フィルムの中央部に存在するために、液晶表示パネルの液晶表示部の側面と干渉が生じた。
【符号の説明】
【0087】
1 フィルム積層体、2 異方性導電フィルム、3 剥離フィルム、5 保持スペース、6a,6b フランジ、7 リール体、8 巻取部、30 液晶表示パネル、31a,31b 透明基板、32 液晶層、33 シール材、34a,34b 偏光板、35 押圧ヘッド、36 ICチップ、37 熱加圧ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなるフィルム積層体であって、
前記剥離フィルムの幅が前記異方性導電フィルムの幅よりも大きく、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合っていることを特徴とするフィルム積層体。
【請求項2】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項1記載のフィルム積層体。
【請求項3】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフィルム積層体。
【請求項4】
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、該剥離フィルムの幅が該異方性導電フィルムの幅よりも大きく、該剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と該異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の該電極端子部上に、該電極端子部と前記異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、
押圧ヘッドを前記剥離フィルム上面に押し当てて前記フィルム積層体を押圧することにより前記基板の電極端子部上に前記フィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程とを有し、
前記フィルム積層体配置工程では、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合う前記フィルム積層体の側面と前記他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする貼付方法。
【請求項5】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項4記載の貼付方法。
【請求項6】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の貼付方法。
【請求項7】
基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続する接続方法において、
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、該剥離フィルムの幅が該異方性導電フィルムの幅よりも大きく、該剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と該異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の該電極端子部上に、該電極端子部と前記異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、
押圧ヘッドを前記剥離フィルム上面に押し当てて前記フィルム積層体を押圧することにより前記基板の電極端子部上に前記フィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、
前記剥離フィルムを剥離して前記異方性導電フィルム上に前記電子部品を配置する電子部品配置工程と、
押圧ヘッドを前記電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより前記導電性粒子を介して前記基板の電極と前記電子部品の電極とを接続する接続工程と
を有し、
前記フィルム積層体配置工程では、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合う前記フィルム積層体の側面と前記他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする接続方法。
【請求項8】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項7記載の接続方法。
【請求項9】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の接続方法。
【請求項10】
基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続させてなる接続構造体において、
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、該剥離フィルムの幅が該異方性導電フィルムの幅よりも大きく、該剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と該異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の該電極端子部上に、該電極端子部と前記異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、
押圧ヘッドを前記剥離フィルム上面に押し当てて前記フィルム積層体を押圧することにより前記基板の電極端子部上に前記フィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、
前記剥離フィルムを剥離して前記異方性導電フィルム上に前記電子部品を配置する電子部品配置工程と、
押圧ヘッドを前記電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより前記導電性粒子を介して前記基板の電極と前記電子部品の電極とを接続する接続工程と
を有し、
前記フィルム積層体配置工程では、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合う前記フィルム積層体の側面と前記他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする接続方法によって接続されてなる接続構造体。
【請求項11】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項10記載の接続構造体。
【請求項12】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項10又は請求項11記載の接続構造体。
【請求項1】
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなるフィルム積層体であって、
前記剥離フィルムの幅が前記異方性導電フィルムの幅よりも大きく、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合っていることを特徴とするフィルム積層体。
【請求項2】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項1記載のフィルム積層体。
【請求項3】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフィルム積層体。
【請求項4】
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、該剥離フィルムの幅が該異方性導電フィルムの幅よりも大きく、該剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と該異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の該電極端子部上に、該電極端子部と前記異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、
押圧ヘッドを前記剥離フィルム上面に押し当てて前記フィルム積層体を押圧することにより前記基板の電極端子部上に前記フィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程とを有し、
前記フィルム積層体配置工程では、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合う前記フィルム積層体の側面と前記他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする貼付方法。
【請求項5】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項4記載の貼付方法。
【請求項6】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の貼付方法。
【請求項7】
基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続する接続方法において、
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、該剥離フィルムの幅が該異方性導電フィルムの幅よりも大きく、該剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と該異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の該電極端子部上に、該電極端子部と前記異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、
押圧ヘッドを前記剥離フィルム上面に押し当てて前記フィルム積層体を押圧することにより前記基板の電極端子部上に前記フィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、
前記剥離フィルムを剥離して前記異方性導電フィルム上に前記電子部品を配置する電子部品配置工程と、
押圧ヘッドを前記電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより前記導電性粒子を介して前記基板の電極と前記電子部品の電極とを接続する接続工程と
を有し、
前記フィルム積層体配置工程では、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合う前記フィルム積層体の側面と前記他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする接続方法。
【請求項8】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項7記載の接続方法。
【請求項9】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の接続方法。
【請求項10】
基板の電極と電子部品の電極とを異方性導電接続させてなる接続構造体において、
バインダに導電性粒子が分散された異方性導電フィルムが剥離フィルム上に積層されてなり、該剥離フィルムの幅が該異方性導電フィルムの幅よりも大きく、該剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と該異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合うフィルム積層体を、電極端子部と他の部材とが設けられた基板の該電極端子部上に、該電極端子部と前記異方性導電フィルムとが対向するように配置するフィルム積層体配置工程と、
押圧ヘッドを前記剥離フィルム上面に押し当てて前記フィルム積層体を押圧することにより前記基板の電極端子部上に前記フィルム積層体を貼付するフィルム積層体貼付工程と、
前記剥離フィルムを剥離して前記異方性導電フィルム上に前記電子部品を配置する電子部品配置工程と、
押圧ヘッドを前記電子部品上面に押し当てて熱加圧することにより前記導電性粒子を介して前記基板の電極と前記電子部品の電極とを接続する接続工程と
を有し、
前記フィルム積層体配置工程では、前記剥離フィルムの長手方向に沿った一辺と前記異方性導電フィルムの長手方向に沿った一辺とが重なり合う前記フィルム積層体の側面と前記他の部材の側面とが対向するように配置することを特徴とする接続方法によって接続されてなる接続構造体。
【請求項11】
前記剥離フィルムの幅をwとし、前記異方性導電フィルムの幅をaとした場合、a/w=0.25〜0.9であることを特徴とする請求項10記載の接続構造体。
【請求項12】
前記バインダは、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項10又は請求項11記載の接続構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−29207(P2011−29207A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−246461(P2010−246461)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246461(P2010−246461)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】
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