説明

フェニレフリンの徐放のための薬学的組成物

本発明は、徐放処方物中に、フェニレフリンを単独でかまたは別の活性物質と組み合わせて含有する薬学的組成物を開示する。この活性物質は、例えば、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、解熱薬または非ステロイド性抗炎症剤、あるいは2つ以上の他の活性物質の混合物である。好ましい実施形態において、この組成物は、フェニレフリンの徐放のためのマトリックスとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む固体投薬形態を構成する。フェニレフリンは、この固体投薬形態から、本質的にpHとは無関係に長期間にわたって放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明の分野は、フェニレフリンを活性成分として含有する薬学的組成物のための徐放処方物である。この組成物は、錠剤などの固体投薬形態を構成し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、この錠剤の主成分として含有し、そしてフェニレフリンが、この錠剤によって長期間にわたって放出される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
フェニレフリンおよびその薬学的に受容可能な塩は、当業者によって、ヒトに対する安全かつ効果的な鼻のうっ血除去薬として認識されている。市販の処方物としては、鼻ゼリー、点鼻薬、および鼻スプレー(すなわち、Alconefrin(登録商標)Nasal DropsまたはNeo−Synephrine(登録商標)Nasal Jelly)、および即時放出経口錠剤またはゼラチンカプセル(すなわち、Sudafed PETMまたはDayQuil(登録商標)LiquiCaps)、が挙げられる。インビボでの短い半減期に起因して、現在処方されているフェニレフリンおよびその薬学的に受容可能な塩は、通常、鼻のうっ血の軽減のために、4時間ごとに投与される。従って、低い頻度で(例えば、8時間ごとまたは12時間ごとに)投与され得る、フェニレフリンの徐放処方物が必要とされている。
【0003】
徐放処方物は、薬物投与の頻度の減少をもたらし、これによって、患者のコンプライアンスを改善する。さらに、薬物の徐放系は、従来の処方物の複数の用量が与えられる場合に見られる変動と比較される場合、活性成分の一貫した治療血漿中レベルを生じる。薬物徐放系は、複数の投薬またはパルス化放出系による副作用の重篤度および頻度を減少させ得る。
【0004】
特許文献1は、約45重量%までのアルギン酸のpH依存性塩、約35重量%までのpH非依存性親水コロイドゲル化剤、結合剤および賦形剤からなる錠剤処方物を開示する。従って、この薬物の放出は、胃腸管の様々なpHによって影響を受ける。豪州特許出願AU-B-56761/86は、特別なヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する、アスピリンおよびテオフィリンのための徐放処方物の例を開示する。AU-B-56761/86はまた、フェニレフリンを、代表的な水分感受性薬物である少なくとも27種の薬物または薬物の型のうちの1つとして記載する。
【特許文献1】米国特許第4,792,452号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の要旨)
本発明の目的は、薬物を、胃腸管の様々なpHによって影響を受けない、フェニレフリンについて特別なパターンで送達する徐放処方物として、1日に2回の基準で経口投与され得る、フェニレフリンを含有する薬学的組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、ロラタジンまたはデスロラタジンあるいは他の抗ヒスタミン薬の組み込みに適合性である、フェニレフリンを含有する薬学的組成物を提供することである。
【0006】
本発明のなお別の目的は、フェニレフリンを徐放形態で、単独でかまたは別の活性物質(例えば、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、解熱薬、非ステロイド性抗炎症剤のうちの1つ以上、または他の活性物質の2つ以上の混合物)と組み合わせて提供し、その結果、固体投薬形態が、感冒、インフルエンザまたはアレルギー(例えば、アレルギー性鼻炎)に関連する症状または徴候の軽減のために、1日1回または1日2回の基準で個体に投与され得る、固体投薬形態の薬学的組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的のうちの少なくとも1つに対処するために、1つの実施形態において、本発明は、フェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩を、親水性ポリマーのマトリックスまたは格子中に含有する、延長放出薬学的組成物を提供する。この親水性ポリマーのマトリックスまたは格子は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩との混合物を含有し、この組成物は、滑沢剤、グライダント、接着防止剤、およびこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される1つ以上の賦形剤をさらに含有し、この組成物は、固体投薬形態であり、そして個体に投与されるこの組成物の1用量は、この個体において、約8時間〜約14時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成する。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、フェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩を、親水性ポリマーのマトリックスまたは格子中に含有する延長放出薬学的組成物を提供する。この親水性ポリマーのマトリックスまたは格子は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩との混合物を含有し、この組成物は、滑沢剤、グライダント、接着防止剤、およびこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される1つ以上の賦形剤をさらに含有し、この組成物は、固体投薬形態であり、そして個体に投与されるこの組成物の1用量は、この個体において、約8時間〜約14時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成し;そしてこの組成物は、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、解熱薬、非ステロイド性抗炎症剤またはこのような活性物質の2つ以上の混合物などの、1つ以上の活性物質をさらに含有する。特定の好ましい実施形態において、この抗ヒスタミン薬は、この組成物中で即時放出形態で利用可能な、ロラタジンまたはデスロラタジンである。本発明のこの形態の特定の実施形態において、この固体投薬形態は、二層錠剤を構成し、この二層錠剤は、フェニレフリンをこれらの2つの層のうちの一方に徐放形態で含有し、そしてロラタジンまたはデスロラタジンのいずれか、あるいは鎮痛薬、解熱薬、またはNSAIDをこれらの層のうちの他方に即時放出形態で含有する。
【0009】
本発明は、これらの延長放出薬学的組成物を調製する方法および使用する方法をさらに提供する。一般に、フェニレフリンの延長放出処方物を調製する方法は、以下の工程を包含する:フェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩を、親水性ポリマーマトリックスに組み込む工程であって、この親水性ポリマーマトリックスは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩とを含有する、工程、この親水性ポリマーマトリックスを、滑沢剤、グライダント、接着防止剤、およびこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される1つ以上の賦形剤と混合する工程、ならびに得られた混合物を固体投薬形態に圧縮プレスする工程であって、この延長放出処方物の1用量が、個体において、少なくとも約8時間〜約14時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成する、工程。特定の実施形態において、この方法は、1つ以上のさらなる活性物質を、圧縮プレスの前にこの混合物と混合する工程をさらに包含する。
【0010】
1つの実施形態において、この薬学的組成物は、マレイン酸d−ブロムフェニラミンおよびフェニレフリン、またはその薬学的に受容可能な塩(例えば、塩酸塩)を含有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、以下の図面、詳細な説明および例示的な実施例を参照することによって理解され得る。
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つの実施形態による延長放出形態の薬学的組成物のための活性成分は、フェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩である。本発明の他の実施形態による薬学的組成物のための活性成分は、延長放出形態のフェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩、ならびに抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、解熱薬、および非ステロイド性抗炎症薬物(NSAID)のうちの少なくとも1つである。フェニレフリンの薬学的に受容可能な塩としては、塩酸フェニレフリンが挙げられる。本発明によれば、フェニレフリンは、不連続なバーストまたはパルスではなく、定常的な様式または本質的に一定の様式で放出される。本発明による組成物からのフェニレフリンの放出速度は、フェニレフリン活性成分についての溶解度パラメータに非常に依存する。驚くべきことに、他の活性成分(例えば、アスピリンまたはテオフィリン)についての結果は、本発明による組成物中のフェニレフリンの特定の放出速度について予測可能ではない。
【0013】
好ましい実施形態において、この薬学的組成物は、フェニレフリンまたはその塩、および抗ヒスタミン薬を含有し得る。ロラタジン、デスロラタジン、アザタジン(azatidine)、フェキソフェナジン、テルフェナジン、セチリジン、アステミゾール、およびレボカバスチン、またはこれらの薬学的に受容可能な塩からなる群のうちの1つ以上より選択される、長期間作用する抗ヒスタミン薬が含有され得る。好ましい抗ヒスタミン薬としては、ロラタジンおよびデスロラタジンが挙げられる。ロラタジンは、米国特許第4,282,233号に、例えば、季節性アレルギー性鼻炎の症状(例えば、くしゃみおよびかゆみ)の軽減の際に有用な、非鎮静抗ヒスタミン薬として記載されている。ロラタジンの活性代謝産物は、デスロラタジンであり、これは、約15時間〜19時間の半減期(t1/2)を有する。米国特許第5,595,997号は、デスロラタジンを使用して季節性アレルギー性鼻炎の症状を処置するための方法および組成物を開示する。ロラタジンおよびデスロラタジンは、従来の錠剤の形態で入手可能であり、これらの錠剤は、この活性薬剤を、従来の様式で放出する。フェニレフリンと比較して長いロラタジンの半減期に起因して、本発明による処方物中のロラタジンは、好ましくは、即時放出のために利用可能である。例えば、ロラタジンまたはデスロラタジンは、固体投薬形態(例えば、錠剤)の表面の即時放出ポリマーコーティング中に存在し得る。このような即時放出コーティングは、水溶性ポリマーフィルムであり得る。あるいは、ロラタジンまたはデスロラタジンは、即時放出物質からなる即時放出層中に存在し得、フェニレフリンが錠剤用の徐放層賦形剤中に存在し、二層錠剤を形成する。
【0014】
本発明によれば、ある量のフェニレフリンが、徐放のために処方される。徐放とは、活性薬剤が長期間(例えば、約1時間〜約18時間、好ましくは、約5時間〜約12時間)にわたって胃腸管内で生体吸収のために利用可能にあることを意味する。用語徐放はまた、延長放出、制御放出、または持続送達を包含する。活性薬剤の放出速度は、主として、胃腸液中での活性薬剤の溶解、および錠剤からの引き続く拡散によって制御され、pHに無関係であり、錠剤の分解および侵食の物理的プロセスによってもまた影響を受け得る。フェニレフリンの比較的短い半減期に起因して、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度は、主として、長時間にわたる錠剤からのフェニレフリンの放出の結果である。本発明による薬学的組成物は、個体において、単回投与から少なくとも約8時間〜約14時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成する。いくつかの実施形態において、フェニレフリンは、この錠剤から放出されて、単回投与から約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、または約14時間にわたって、フェニレフリンンの治療的血中/血漿中濃度を生じる。別の好ましい実施形態において、フェニレフリンは、この錠剤から放出されて、単回投与から少なくとも約12時間にわたって、より好ましくは、約12時間で、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を生じる。錠剤からの放出速度は、pHに無関係であるが、フェニレフリンについての溶解度プロフィールに非常に依存する。フェニレフリン以外の活性薬剤は、フェニレフリンとは異なる放出速度を有し、従って、本発明による組成物について予測可能ではない。
【0015】
本明細書中で使用される場合、用語「フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度」とは、10mgのフェニレフリンまたはその塩を含有する標準的または従来の即時放出処方物の3用量がヒト被験体に投与される場合に得られるフェニレフリンのAUCおよび/またはCmaxの、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約80%〜約125%に等しい濃度を意味する。
【0016】
本発明によれば、上記固体投薬形態は、1つ以上の親水性ポリマーを含有する。本発明において使用され得る親水性ポリマーとしては、セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、または他の水溶性ポリマーまたは水膨潤性ポリマーなどが挙げられる。好ましい親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。本発明において使用され得るヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーの例としては、Dow Chemical Co.から商品名MethocelTMのもとで入手可能なもの(例えば、MethocelK15M、Methocel K100M、Methocel K4Mなど)が挙げられる。
【0017】
フェニレフリンの高い水溶性に起因して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース単独での使用は、不満足に迅速な活性薬剤の拡散および放出を生じる。さらなる親水性ポリマー(例えば、ポリアクリレートポリマーまたはアクリル酸コポリマー、あるいはナトリウムカルボキシメチルセルロース)が、上に列挙された親水性ポリマーと組み合わせられ得る。ヒドロキシプロピルメチルセルロースと組み合わせて使用するために好ましいポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩である。作用のいずれの特定の機構にも限定されることを意図しないが、ポリマーの組み合わせは、マトリックスまたは格子を形成し、このマトリックス中に活性成分が分布すると考えられる。陰イオン性のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩と非イオン性のヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせは、このマトリックスのより強い架橋を提供し得、フェニレフリンの特定の溶解度プロフィールについて、より高い粘度およびこのマトリックスを通るより低い拡散速度を生じる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩との組み合わせは、予測不可能なことに、フェニレフリンについて特殊かつ特定である放出プロフィールの設計を可能にする。
【0018】
本発明による投薬形態は、固体であり、そして経口投与のための任意の従来の形態(例えば、錠剤、丸剤、カプセルなど)を採り得る。固体投薬形態の好ましい例は、圧縮された錠剤である。この錠剤は、活性成分の放出のためのマトリックスを形成し得る。本発明による投薬形態は、標準的な賦形剤(例えば、崩壊剤、グライダント、結合剤、および接着防止剤のうちの1つ以上)をさらに含有し得る。標準的な賦形剤としては、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。好ましい接着防止剤は、商品名Kollidon CL-MTM(BASF)のもとで入手可能な架橋不溶性ポリビニルピロリドンである。KollidonCL-Mは、好ましくは、この固体投薬形態の約0.1重量%〜約10重量%の量で存在する。好ましい実施形態において、Kollidon CL-Mは、粒子の約90%が20ミクロン未満であり、そして粒子の約99%が400ミクロン未満である粒度分布、および約3m/g〜約6m/gの比表面積を有する。
【0019】
本発明の薬学的組成物はまた、薬学的組成物の処方において従来使用される、1つ以上の他の任意の添加剤または賦形剤を含有し得ることが理解される。
【0020】
本発明による組成物が投与されるべき被験体は、制限されない。フェニレフリンの投薬量は、患者の大きさおよび年齢、症状の重篤度などに依存して変動する。投与は、好ましくは、被験体の応答に基づいて投薬量を調節することにより行われ、そして好ましくは、1日に1回または2回投与される。投薬量は、フェニレフリンの数種の異なる量のうちの1つ(例えば、10mg、15mg、20mg、25mgおよび30mg)で存在し得、これらのすべては、徐放マトリックス中に含有され、好ましくは、1日に1回または2回投与される。
【0021】
ロラタジンまたはデスロラタジンなどの抗ヒスタミン薬の投薬量は、種々の量(例えば、1mg〜20mg;好ましくは、2.5mg、5mg、または10mg)で存在し得る。
【0022】
鎮痛薬および/または解熱薬(例えば、アスピリン、アセトアミノフェンなど)の投薬量は、当業者に公知であり、そして80mg〜500mgの範囲であり得る。
【0023】
NSAIDの投薬量は、当業者に公知であり、そして80mg〜500mgの範囲であり得る。
【実施例】
【0024】
以下の非限定的な実施例は、本発明がより容易に理解されるために示される。
【0025】
(処方実施例1)
徐放錠剤は、以下の成分(重量基準)を用いて得られ得る:
塩酸フェニレフリン: 5%〜30%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース: 20%〜70%
カルボキシメチルセルロースナトリウム: 5%〜50%
Kollidon CL−M: 0.1%〜10%
コロイド状二酸化ケイ素: 0.05%〜5%
ステアリン酸マグネシウム: 0.5%〜2%。
【0026】
上記成分を、均一な混合物が得られるまで混合し、そして圧縮圧力下でパンチを使用して打錠し、成形された錠剤を作製する。硬度、もろさおよび活性成分の放出速度を、通常の様式で決定する。
【0027】
30mgのフェニレフリンを含有する上記徐放錠剤を、ヒト被験体に投与し、そして血液中/血漿中の遊離フェニレフリンの濃度を決定した。比較のために、従来の即時放出処方物中の10mgのフェニレフリンの3用量を、ヒト被験体に投与し、そして血液中/血漿中の遊離フェニレフリンの濃度を決定した。結果を図1に図示する。図1に示されるように、フェニレフリンを徐放形態で含有する本発明の例示的な薬学的組成物の投与は、少なくとも8時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成した。
【0028】
1つの実施形態において、上記薬学的組成物は、マレイン酸d−ブロムフェニラミンおよびフェニレフリン、またはその薬学的に受容可能な塩(例えば、塩酸塩)を含有する。
【0029】
上記説明から、本発明の本質的な特徴が確認され得、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の用途および条件に適合させるために、本発明の種々の変更および改変が行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明による例示的な組成物(30mgのフェニレフリン(Pe)またはその塩を徐放形態で含有する)の1用量の投与後の、遊離Peの血液/血漿中の濃度(−●−Pe徐放)を、標準的な即時放出処方物(10mgのPeまたはその塩を含有する)の3用量の投与後のPeの血液/血漿中の濃度(−▲−Pe即時放出)と比較して図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩を、親水性ポリマーのマトリックスまたは格子中に含有する、延長放出薬学的組成物であって、該親水性ポリマーのマトリックスまたは格子は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩との混合物を含有し、該組成物は、滑沢剤、グライダント、接着防止剤、およびこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される1つ以上の賦形剤をさらに含有し、該組成物は、固体投薬形態であり、そして該組成物の1用量は、個体において、約8時間〜約14時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成する、延長放出薬学的組成物。
【請求項2】
抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、解熱薬および非ステロイド性抗炎症剤からなる群より選択される1つ以上の活性物質を、即時放出形態でさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ロラタジンまたはデスロラタジンを即時放出形態でさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
二層錠剤を構成する延長放出薬学的組成物であって、1つの層が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩との混合物を含有する徐放マトリックスからなり、フェニレフリンまたはその塩と一緒に投与され、そして他方の層が、1つ以上の抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、解熱薬および非ステロイド性抗炎症剤からなる群より選択される別の活性物質を含有する即時放出層からなり、該組成物の1回で投与される用量が、個体において、約8時間〜約14時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成する、延長放出薬学的組成物。
【請求項5】
前記他の活性物質が、ロラタジンまたはデスロラタジンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記フェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩が、前記固体投薬形態の約5重量%〜約30重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、前記固体投薬形態の約20重量%〜約70重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記カルボキシメチルセルロースナトリウム塩が、前記固体投薬形態の約5重量%〜約50重量%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記接着防止剤が、前記固体投薬形態の約0.1重量%〜約10重量%の量のポリビニルピロリドンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリビニルピロリドンが、粒子の約90%が20ミクロン未満であり、そして粒子の約99%が400ミクロン未満である粒度分布を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリビニルピロリドンが、約3m/g〜約6m/gの比表面積を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
水溶性ポリマーフィルムコーティングをさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記水溶性ポリマーフィルムが、ロラタジンまたはデスロラタジンを含有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
フェニレフリンの延長放出処方物を調製する方法であって、
フェニレフリンまたはその薬学的に受容可能な塩を親水性ポリマーマトリックスに組み込む工程であって、該親水性ポリマーマトリックスが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩との混合物を含有する、工程、
該親水性ポリマーマトリックスを、滑沢剤、グライダント、接着防止剤、およびこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される1つ以上の賦形剤と混合する工程、ならびに
得られた混合物を固体投薬形態に圧縮プレスする工程であって、該延長放出処方物の1用量が、個体において、約8時間〜約14時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成する、工程、
を包含する、方法。
【請求項15】
前記延長放出処方物の1用量が、約12時間にわたって、フェニレフリンの治療的血清中濃度を達成する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
個体において感冒、インフルエンザ、またはアレルギーの症状を処置する方法であって、請求項1に記載の組成物をヒトに投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
前記組成物の1用量が、約12時間にわたって、フェニレフリンの治療的血中/血漿中濃度を達成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物中のフェニレフリンが、前記固体投薬形態から胃腸液内へと、pHに無関係な速度で放出される、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−538921(P2009−538921A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513322(P2009−513322)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/013056
【国際公開番号】WO2007/143163
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】