説明

フェースギヤを使用したリミテッドスリップディファレンシャルとピニオンハウジング

ディファレンシャル(10)は、ディファレンシャルケース(50)と、螺旋状フェースギヤを含むサイドギヤ(32)と、サイドギヤ(32)に噛み合うように構成された螺旋状ピニオン(24)と、螺旋状ピニオン(24)を支持するように構成されたピニオンハウジング(12)とを含む。ピニオンハウジング(12)は、第1面(16)と、第1面(16)の反対側に位置する第2面(18)と、第1面(16)に配置された第1突起(20)と、第2面(18)に配置された第2突起(22)とを含んでいる。任意の実施形態では、ディファレンシャル(10)は、さらにピニオンハウジング(12)に噛み合うように構成されたアクチュエータ(36)と、アクチュエータ(36)とディファレンシャルケース(50)との間に配置された複数の摩擦プレート(48)とを含む。ピニオンハウジング(12)は、また環状リングの径方向外面(38)から径方向内側に延びる開口部または孔(26)と、第1面(16)から第2面(18)に延び、開口部または孔(26)の略径方向に位置合わせされる溝(30)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年4月15日に出願された米国仮出願12/760988号、及び2009年6月12日に出願された米国仮出願61/186618号の両方に関する優先権を主張して、その全体を参考文献としてここに包含する。
【0002】
本発明は、ディファレンシャル内のピニオンを支持するためのハウジングに関し、ピニオンを支持するために構成されたハウジングが組み込まれたディファレンシャルを含むものである。
【背景技術】
【0003】
ディファレンシャルに使用される螺旋状フェースギヤは、米国特許3253483号明細書及び4791832号明細書に記載されているように、従来から知られている。しかしながら、ディファレンシャルへの螺旋状フェースギヤの組込みは、例えば、ディファレンシャル及び/またはトルク制限適用装置にセットされるギヤの性能に悪影響を与えるギヤの強度に関する課題があるため、一般に適用されていない。
【発明の概要】
【0004】
ディファレンシャルは、ディファレンシャルケースと、螺旋状フェースギヤを含むサイドギヤと、サイドギヤを作動させるように、または噛み合うように構成された螺旋状ピニオンと、ピニオンハウジングとを含む。ピニオンハウジングは、螺旋状ピニオンを支持するように構成され、第1面と、第1面の反対側に位置する第2面と、第1面に配置された第1突起と、第2面に配置された第2突起とを含んでいる。任意の実施形態では、ディファレンシャルは、さらにピニオンハウジングに噛み合うように構成されたアクチュエータを含む。アクチュエータは、ピニオンハウジングの第1突起または第2突起の形状に略一致する凹部を含む第1面を有している。任意の実施形態では、ディファレンシャルは、さらにアクチュエータとディファレンシャルケースとの間に配置された複数の摩擦プレートを含む。
【0005】
ハウジングは、ディファレンシャルの少なくとも一つの螺旋状ピニオンを支持するように構成され、概略環状リングを含む。概略環状リングは、第1面と、第1面に配置され、概略環状リングの軸方向に延びる第1突起とを有する。概略環状リングは、また、第2面と、第2面に配置され、概略環状リングの軸方向に延びる第2突起とを有する。概略環状リングは、また、概略環状リングの径方向外面から径方向内側に延びる開口部または孔を有している。概略環状リングは、また、第1面から第2面に延びる溝を有し、溝は開口部または孔の略径方向に位置合わせされている。
【0006】
本発明の実施形態を、一例として、添付図を参照しながら次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明に実施形態に係るディファレンシャルの斜視図である。
【図2】図2は、本発明に実施形態に係るディファレンシャルの断面図である
【図3】図3は、図1のディファレンシャルのピニオンハウジングの斜視図である。
【図4】図4は、図1のディファレンシャルのピニオン及びサイドギヤの斜視図である。
【図5】図5は、図1のアクチュエータの斜視図である。
【図6】図6は、図1のディファレンシャルのディファレンシャルケースに配置された図5のアクチュエータの斜視図である。
【図7A】図7Aは、図2のピニオンハウジングに作用する力の概略図である。
【図7B】図7Bは、図2のピニオンハウジングに作用する力の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書は、本発明の実施形態を、例えば、ここに記載され、また添付した図面にて説明された一実施形態に基づいて詳細にしている。本発明を実施形態に基づいて記載するが、本発明がこれら実施形態に限定されることを意図するものではない。それどころか、本発明は、添付のクレームによって具体化されるような本発明の精神及び範囲内に含まれる他の実施形態、改良品及び同等品を含むことを意図している。
【0009】
図1及び図2には、本発明の教示に基づいて示されたディファレンシャル10の実施形態が記載されている。ディファレンシャル10はピニオンハウジング12を含む。次に、図1及び図3を参照すると、ピニオンハウジング12は、本発明の実施形態においては、一つの材料(例えば、単一の、一体の、及び/又は一体構造を含む)から構成される。ピニオンハウジング12は、本発明の実施形態では、概略リング形状である。ピニオンハウジング12は、ピニオンハウジング12の周りに円周方向に延びる径方向外面14を含む。ピニオンハウジング12は、さらに第1面16及び第2面18を含む。第2面18は第1面16の反対側に配置されている。
【0010】
ピニオンハウジング12は、第1面16に配置された第1突起20を含む。第1突起20は、ピニオンハウジング12を含む概略環状リングの軸方向に延びている。ピニオンハウジング12は、さらに第2面18に配置された第2突起22を含む。第2突起22は、ピニオンハウジング12を含む概略環状リングの軸方向に延びている。ピニオンハウジング12は、本実施形態では、第1面16に配置された一つの突起20と、第2面18に配置された一つの突起22とを含む。ピニオンハウジング12は、本発明の任意の実施形態では、第1面16に配置された複数の突起20及び/または第2面18に配置された複数の突起22を含む。第1突起20の少なくとも一つは、本発明の実施形態では、傾斜面またはくさびを含む。各第1突起20は、本発明の実施形態では、傾斜面またはくさびを含む。第2突起22の少なくとも一つは、本発明の実施形態では、傾斜面またはくさびを含む。各第2突起22は、本発明の実施形態では、傾斜面またはくさびを含む。
【0011】
本発明の実施形態では、第1突起20の少なくとも一つは複数の表面を含む。例えば限定はしないが、少なくとも一つの面は第1面16に略平行であり、少なくとも一つの面は第1面16に対して略傾斜している。本発明の実施形態では、第2突起22の少なくとも一つは複数の表面を含む。例えば限定はしないが、少なくとも一つの面は第2面18に略平行であり、少なくとも一つの面は第2面18に対して略傾斜している。本発明の実施形態では、第1突起20及び/または第2突起22の少なくとも一つは約3つの面を含む。傾斜面またはくさびを含む3つの面が詳細に記載されまた示されているが、第1及び第2突起20、22は、本発明の様々な実施形態では、それより少ない面、またはそれより多くの面を含んでもよい。
【0012】
ピニオンハウジング12は、一つまたはそれ以上のピニオン24を配置及び/または支持するために構成されている。各ピニオン24は放射状に配置され、すなわち、ピニオン24はピニオンハウジング12の外周に円周方向に間隔を置いて配置されている。ピニオンハウジング12は、複数の、径方向内側に延びる開口部または孔26を有している。開口部26は、ピニオンハウジング12の径方向外面14からピニオンハウジング12の径方向内側に延びている。開口部26はそれぞれ、ピニオンハウジング12の略中心から略径方向外側に延びる軸線を有している。ピニオンハウジング12の少なくとも一つの第1突起20は、開口部26に近接した位置に配置される。ピニオンハウジング12の少なくとも一つの第2突起22は、開口部26に近接した位置に配置される。一例として、限定はされないが、ピニオンハウジング12を通じて延びる約6つの開口部26が設けられる。6つの開口部26が詳細に説明されたけれど、他の実施形態において、それより少なくても、またはそれより多くてもよい。開口部26は、ピニオンハウジング12の外周に等角度の間隔で配置される。開口部26はピニオンハウジング12の外周に等角度の間隔で配置されるように記載されているが、開口部26は、他の実施形態において、他の配置及び/または構造で配置されてもよい。
【0013】
ピニオンハウジング12は、さらに径方向内面28を含んでいる。ピニオンハウジング12の径方向内面28がピニオン24の軸方向移動を規制するように構成されている。径方向内面28は、各開口部26が出口のない盲開口を含むように、ピニオンハウジング12の周りを円周方向に延びている。例えば、開口部26の径方向外面14に臨む第1端部は開口され、一方、開口部26の径方向内面28に臨む第2端部は閉塞されている。開口部26の第2端部は開口部26の第1端部の反対側に位置している。ピニオンハウジング12は、さらにピニオンハウジング12の概略環状リングの第1面16から第2面18に延びる溝30を含んでいる。溝30は開口部26に略位置合わせされる(例えば、開口部26の略径方向に位置合わせされる)。さらに、ピニオンハウジング12において、溝30の数量は開口部の数量に略一致しているが、開口部26の数量よりも少ないまたは多い溝30が本発明の実施形態にて採用されてもよい。ピニオンハウジング12は、サイドギヤ32を作動または噛み合うためのピニオン24を支持するように構成されている。図4では説明のためにピニオンハウジング12を省略しており、図4では、ピニオン24とサイドギヤ32との間の作動または噛み合いを概略示している。概略記載及び示されているように、ピニオンハウジング24は、ピニオン24がサイドギヤ32の周り及び/又は略軸中心線に沿って回るようにピニオン24に圧力を付与する。
【0014】
また図1〜図3を参照すると、ディファレンシャル10はピニオン24を含んでいる。ピニオン24は螺旋状ピニオンを含んでいる。従って、ピニオン24は多数の螺旋状の歯を含んでいる。螺旋状の歯の数量及び螺旋状の歯の歯面の形状は、様々な本発明の実施形態に対応して変化させてもよい。本発明の実施形態では、螺旋状ピニオン24は略円筒状に形成されているが、螺旋状ピニオンの形状は様々な本発明の実施形態に対応して変化させてもよい。任意の本発明の実施形態にて複数のピニオン24が備えられる。ディファレンシャル10のピニオン24の数量は変化させてもよい。しかしながら、一般的に少なくとも2つのピニオン24が備えられる。本実施形態では、ピニオン24の数量は6つであるが、他の実施形態において、それよりも多くまたはそれよりも少ない数量のピニオン24を採用してもよい。ピニオン24の数量は、ピニオンハウジング12の開口部26の数量に略一致するが、開口部26の数量に対して少ない数量のピニオン24が本発明の実施形態にて採用されてもよい。これらの本発明の実施形態において、開口部26の少なくとも一つまたはそれより多くが開口したままの状態となる。ピニオン24の大きさもまた変化させてもよいが、ピニオン24の開口部26内での自由回転を許容するためにトルクリングの開口部26内で動作可能に適合した大きさに形成される。ピニオン24は通常ピニオンハウジング12の径方向内面28とディファレンシャルケース(またはピニオンハウジング12における他のハウジング)の内面との間で軸方向で閉じ込められている。
【0015】
次に、図1、図2及び図4を参照すると、ディファレンシャル10はさらにサイドギヤ32を含んでいる。サイドギヤ32は螺旋状フェース(つまり、螺旋状フェースギヤを含む)を有している。従って、サイドギヤ32は多数の歯を含む。螺旋状の歯の数量及び螺旋状の歯の歯面の形状は、様々な本発明の実施形態に対応して変化させてもよい。サイドギヤ32のための機械的な切断技術の代わりの鍛造技術の採用はサイドギヤ32の強度を十分に改善する。従って、サイドギヤ32を有する螺旋状フェースギヤは強固であり十分に支持できるであろう。高強度の螺旋状フェースギヤの採用は、より高トルクへの適用を許容して、より広範囲なトルクバイアス比率を提供する。加えて、ピニオンハウジング12に関連する螺旋状フェースギヤを含むサイドギヤ32のコンパクトサイズ化は、パッケージングやデザインにおけるより大きな自由度を許容して、それにより、サイドギヤ32を含むディファレンシャルの搬送可能性を増加させることができる。特に、螺旋状フェース技術は自動車の多様なモデルの多様なパッケージングデザインに関連するサイドギヤ32の採用を許容する。ピニオンハウジング12に関連する螺旋状フェースギヤを含むサイドギヤ32のコンパクトサイズ化は、また、より有益な方法にて動的力の方向性を許容する。
【0016】
各サイドギヤ32の螺旋状フェースは、ピニオンハウジング12に臨んでいる。サイドギヤ32はピニオン24を作動または噛み合うために構成されている。特に、サイドギヤ32の螺旋状歯は、ピニオン24の螺旋状歯を作動させ、または噛み合うためのものである。サイドギヤ32の螺旋状歯及びピニオン24の螺旋状歯はピニオンハウジング12の溝30に延びている。ピニオン24とサイドギヤ32との間の噛み合いを構成することによって、サイドギヤ32は軸方向周りを回転させられるようになる。サイドギヤ32は、ピニオン24から出力軸(例えば、自動車の車軸)にトルクを伝達させるために構成される。出力軸(例えば、車軸)が接地され、またサイドギヤ32に連結されるので、ディファレンシャル10が組み込まれた自動車は移動する。各サイドギヤ32が出力軸(例えば、車軸)を介して接地されて速度差で回転されるとき、ピニオン24がピニオンハウジング12内を、釣り合いをとるためにサイドギヤ32との噛み合いながら回転するようになる。第1及び第2サイドギヤ32は、ピニオンハウジング12の対向する側に配置される。各サイドギヤ32は、例えば、自動車の車軸(図示せず)を受け入れるために構成された第1の環状ハブ部位34を有している。サイドギヤ32の第1の環状ハブ部位34の径方向内面は複数のスプラインを含む。車軸は、スプラインによるスプライン相互連結を介してサイドギヤ32に連結される。
【0017】
次に、図1、図2及び図5を参照すると、ディファレンシャル10は、さらにアクチュエータ36を含む。アクチュエータ36はピニオンハウジング12に噛み合うように構成される。本発明の実施形態では、アクチェータ36は略リング状に形成される。アクチュエータ36はアクチュエータ36の周りを円周方向に延びる径方向外面38を含む。アクチュエータ36は、さらに第1面40及び第2面42を含む。第2面42は第1面40の反対側に位置する。本発明の実施形態では、アクチュエータ36は第1面40に配置された凹部44を含む。本発明の実施形態では、アクチュエータ36は第1面40に一つの凹部44を含む。本発明の任意の実施形態では、アクチュエータ36は第1面40に配置された複数の凹部44を含んでもよい。凹部44は、ピニオンハウジング12の第1突起20または第2突起22の形状に略一致する。本発明の実施形態では、第1面40がピニオンハウジング12に臨むように構成される。
【0018】
本発明の実施形態では、凹部44の少なくとも一つは複数の表面を含む。例えば限定はされないが、表面の少なくとも一つは、第1面40と略平行であり、また表面の少なくとも一つは、第1面40に対して略傾斜している。本発明の実施形態に基づいて、凹部44の少なくとも一つは約3つの表面を含む。3つの面を含む凹部が詳細に記載され、また概略示されているが、本発明の様々な実施形態では、凹部44はそれより少ない数の面、またはそれより多い数の面を含んでもよい。本発明の実施形態では、アクチェータ36の第2面42は概略的にまたは実質的に平面である。例えば限定はされないが、アクチュエータ36の第2面42は凹部を有していない。アクチュエータ36の径方向外面38は、少なくとも一つ及び/または複数の径方向に延びるツメ部46を含む。例えば限定はされないが、アクチュエータ36は3つのツメ部46を含む。3つのツメ部46が詳細に記載され、また概略示されているが、本発明の他の実施形態にて、アクチュエータは、それにより少ないまたはそれより多くのツメ部46を有している。ツメ部46は、アクチュエータ36の外周及び/又は周囲に沿って等角度の間隔で配置される。従って、本発明の実施形態では、ツメ部46は略120°間隔である。ツメ部46は、ディファレンシャルケース50に噛み合うように概略構成される。例えば限定はされないが、ツメ部46は、ディファレンシャルケース50の溝部に噛み合うように構成される。図6は、ディファレンシャルケース50に配置されたアクチュエータ36を概略示している。本発明の実施形態では、トルクはディファレンシャルケース50からアクチュエータ36に伝達される。アクチェータ36はピニオンハウジング12を駆動させるように構成される。アクチュエータ36は、両方のサイドギヤ32に備えたピニオン24をロックするように構成され、両方の摩擦プレートアッセンブリ48を押し付けて、トルクを自動車(図示せず)の両方の車輪に同時に伝達するものである。
【0019】
図1及び図2を参照すると、ディファレンシャル10は、さらに摩擦プレートアッセンブリ48(例えば、複数の摩擦プレート)を含む。摩擦プレートアッセンブリ48は、ピニオンハウジング12の両側に配置される。摩擦プレートアッセンブリ48はアクチュエータ36とディファレンシャルケース50との間に配置される。摩擦プレートアッセンブリ48の複数の摩擦プレートのうち少なくとも一つはコーティングを含んでいる。例えば、摩擦プレートアッセンブリ48の複数の摩擦プレートのうち少なくとも一つは、サイドギヤ32とディファレンシャルケース50との間の移動に反応するために摩擦プレートに補助するように構成されたコーティングを含んでいる。アクチュエータ36によって付与される軸方向の力は、入力トルクとアクチュエータ36の傾斜またはくさび角度とに依存する。自動車が高い係数の表面上を高速度で旋回している間、両方の車輪は相違した抵抗トルク及び回転速度を有している。摩擦プレートアッセンブリ48のトルク容量が両方のサイドギヤ32のトルク許容量より小さいとき、例えば、ディファレンシャル動作が摩擦プレートアッセンブリ48をスリップさせ、外側車輪が内側車輪よりも高速で回転するようになる。一車輪が該車輪下の低摩擦表面との間でスリップすると、ピニオンハウジング12はアクチュエータ36に対して軸方向の力を発生させるように構成される。次に、図7A及び図7Bを参照すると、反力図が概略示されている。これが、サイドギヤ32に対して摩擦プレートアッセンブリ48の圧縮時の結果であり、それによって、ディファレンシャルケース50から摩擦プレートアッセンブリ48を経由してサイドギヤ32にトルクが伝達される。図7Bにおいて、ピニオンハウジング12の傾斜面またはくさび22によってアクチュエータ36に対して発生する軸方向の力Faは、次の方程式:Fa=F/tanθであり,Fは入力される力で、θはピニオンハウジング12の傾斜面またはくさび22の傾斜角度またはくさび角度である。
【0020】
ディファレンシャルケース50はカバー52との間に、ピニオンハウジング12、ピニオン24、サイドギヤ32及び/又はディファレンシャル10の他の多数の構成部材を保護するために備えられる。ディファレンシャル10は、さらにリングギヤ(図示せず)を含む。リングギヤは、ディファレンシャルケース50を回転させるために、従来方法にて入力源及び/または駆動源(図示せず)に接続される。ディファレンシャル10は、さらにスラストワッシャ54を含む。スラストワッシャ54は、ディファレンシャルケース50の押圧面とサイドギヤ32の押圧面との間、及びカバー52の押圧面とサイドギヤ32の押圧面との間に備えられる。スラストワッシャ54は、摩擦パックアッセンブリ48がサイドギヤ32の軸方向の押圧力から分離されるときのバッククラッシュを制御するために備えられている。
【0021】
本明細書で前述した本発明の実施形態が図面及び説明により提示される。それらが包括的にまたは本発明を開示されたまさに同じ形状に限定されることを意図せず、様々な改良及び変化が上記を考慮すると可能である。実施形態は選択され、また、本発明の原理及び実際の適用を説明するために記載され、それによって他の当業者が本発明を活用することができ、様々な改良を備えた多様な実施形態が特定の熟考された使用に適合する。本発明は、前述の明細書にてより詳細に記載されており、本発明の様々な他の実施形態及び改善が、当業者にて本明細書を読み理解することで明白になる。このような全ての他の実施形態及び改善は、添付されたクレームの範囲内にある限り本発明に含まれることを意図している。本発明の範囲が添付のクレーム及び同等品によって定義されることを意図している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディファレンシャル(10)は、
ディファレンシャルケース(50)と、
螺旋状フェースギヤを含むサイドギヤ(32)と、
サイドギヤ(32)に噛み合うように構成された螺旋状ピニオン(24)と、
螺旋状ピニオン(24)を支持するように構成されたピニオンハウジング(12)と、
を備え、
ハウジング(12)は、
第1面(16)と、
第1面(16)の反対側に位置する第2面(18)と、
第1面(16)に配置された第1突起(20)と、
第2面(18)に配置された第2突起(22)と、
を備えたことを特徴とするディファレンシャル(10)。
【請求項2】
第1及び第2突起(20、22)は、ピニオンハウジング(12)の軸方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項3】
第1突起(20)は傾斜面を含むことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項4】
第2突起(22)は傾斜面を含むことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項5】
第1突起(20)は複数の表面を含むことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項6】
第2突起(22)は複数の表面を含むことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項7】
複数の表面のうち少なくとも一つは、第1面(16)に略平行であることを特徴とする請求項5に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項8】
複数の表面のうち少なくとも一つは、第1面(16)に対して略傾斜していることを特徴とする請求項7に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項9】
ピニオンハウジング(12)は、トルクリングの径方向外面(14)から径方向内側に延びる開口部または孔(26)を含むことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項10】
第1突起(20)は、開口部(26)に近接して配置されることを特徴とする請求項9に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項11】
さらに、ピニオンハウジング(12)に噛み合うように構成されたアクチュエータ(36)を含むことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項12】
アクチュエータ(36)は、ピニオンハウジング(12)に臨むように構成される第1面(40)を含み、アクチュエータ(36)の第1面(40)は凹部(44)を含むことを特徴とする請求項11に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項13】
凹部(44)は、第1突起(20)の形状に略一致していることを特徴とする請求項12に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項14】
凹部(44)は複数の表面を含み、複数の表面のうち少なくとも一つは第1面(40)に略平行であり、複数の表面のうち少なくとも一つは第1面(40)に対して略傾斜していることを特徴とする請求項12に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項15】
アクチュエータ(36)は、ディファレンシャルケース(50)に噛み合うように構成された径方向に延びるツバ部(46)を含むことを特徴とする請求項11に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項16】
さらに、アクチュエータ(36)とディファレンシャルケース(50)との間に配置された複数の摩擦プレート(48)を含むことを特徴とする請求項11に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項17】
複数の摩擦プレート(48)のうち少なくとも一つはコーティングを含むことを特徴とする請求項16に記載のディファレンシャル(10)。
【請求項18】
ディファレンシャル(10)の少なくとも一つの螺旋状ピニオン(24)を支持するように構成されたハウジング(12)であって、
該ハウジング(12)は、環状リングを含み、
該環状リングは、
第1面(16)と、
第1面(16)に配置され、概略環状リングの軸方向に延びる第1突起(20)と、
第1面(16)と反対側に位置する第2面(18)と、
第2面(18)に配置され、概略環状リングの軸方向に延びる第2突起(22)と、
概略環状リングの径方向外面(14)から径方向内側に延びる開口部または孔(26)と、
概略環状リングの第1面(16)から第2面(18)に延び、開口部または孔(26)の略径方向に位置合わせされる溝(30)と、
有することを特徴とするハウジング(12)。
【請求項19】
第1突起(20)及び第2突起(22)それぞれは傾斜面を含むことを特徴とする請求項18に記載のハウジング(12)。
【請求項20】
ディファレンシャル(10)は、
ディファレンシャルケース(50)と、
螺旋状フェースギヤを含むサイドギヤ(32)と、
サイドギヤ(32)に噛み合うように構成された螺旋状ピニオン(24)と、
螺旋状ピニオン(24)を支持するように構成され、第1面(16)、第1面(16)の反対側に位置する第2面(18)、第1面(16)に配置された第1突起(20)及び第2面(18)に配置された第2突起(22)を含むピニオンハウジング(12)と、
ピニオンハウジング(12)に噛み合うように構成され、第1突起(20)または第2突起(22)の形状に一致する凹部(44)を含む第1面(40)を有するアクチュエータ(36)と、
アクチュエータ(36)とディファレンシャルケース(50)との間に配置される複数の摩擦プレート(48)と、
を備えたことを特徴とするディファレンシャル(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2012−530221(P2012−530221A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515140(P2012−515140)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/038183
【国際公開番号】WO2010/144710
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】