説明

フォトダイオードの製造方法及びフォトダイオード

【課題】シリコンフォトダイオードであって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有しているフォトダイオードの製造方法及びフォトダイオードを提供すること。
【解決手段】半導体基板2を絶縁層4が露出するまでドライエッチングすることにより、半導体基板2を貫通して絶縁層4に至る孔H1を光感応領域S1に対応する位置に形成する。次に、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7に、不規則な凹凸22を形成する。絶縁層4のn型埋込み層6の孔H1に露出する面にピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光が照射されると、絶縁層4が除去されると共に、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7がピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光に荒らされ、不規則な凹凸22が面7の全面に形成される。次に、不規則な凹凸22が形成された基板を熱処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトダイオードの製造方法及びフォトダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外の波長帯域に高い分光感度特性を有するフォトダイオードとして、化合物半導体を用いたフォトダイオードが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたフォトダイオードでは、InGaAsN、InGaAsNSb、及びInGaAsNPのいずれかからなる第1受光層と、第1受光層の吸収端より長波長の吸収端を有し、量子井戸構造からなる第2受光層と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような化合物半導体を用いたフォトダイオードは、未だ高価であり、製造工程も複雑なものとなってしまう。このため、安価で且つ製造が容易なシリコンフォトダイオードであって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度を有しているものの実用化が求められている。シリコンフォトダイオードは、一般に、分光感度特性の長波長側での限界は1100nm程度ではあるものの、1000nm以上の波長帯域における分光感度特性は十分なものではなかった。
【0005】
本発明は、シリコンフォトダイオードであって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有しているフォトダイオードの製造方法及びフォトダイオードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフォトダイオードの製造方法は、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、半導体基板の第2主面上に設けられた絶縁層と、絶縁層上に設けられた第1導電型の第1不純物領域と、第1不純物領域上に設けられていると共に第1不純物領域よりも不純物濃度が低い第1導電型の低濃度不純物領域と、を有するシリコン基板を準備する工程と、低濃度不純物領域内に、第2導電型の不純物領域を含む光感応領域を形成する工程と、第1不純物領域及び低濃度不純物領域をメサ状に整形することにより光感応領域を含む半導体メサ部を形成する工程と、低濃度不純物領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域を半導体メサ部の表面に形成すると共に低濃度不純物領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第3不純物領域を半導体メサ部の側面に形成し、第1不純物領域、第2不純物領域、及び第3不純物領域を電気的に接続させる工程と、半導体基板における光感応領域に対応する部分を該部分の周辺部分を残して第1主面側から薄化する工程と、シリコン基板の薄化されている部分に、第1主面側からパルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸を形成する工程と、不規則な凹凸を形成する工程の後に、シリコン基板を熱処理する工程と、シリコン基板を熱処理する工程の後に、光感応領域の不純物領域と電気的に接続するように半導体メサ部上に第1電極を形成すると共に、第2不純物領域と電気的に接続するように半導体メサ部上に第2電極を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るフォトダイオードの製造方法によれば、シリコン基板における光感応領域に対応する部分が薄化され、シリコン基板の薄化されている部分に不規則な凹凸が形成されているフォトダイオードを得ることができる。このフォトダイオードでは、シリコン基板の薄化されている部分に不規則な凹凸が形成されているために、フォトダイオードに入射した光は当該凹凸にて反射、散乱、又は拡散されて、低濃度不純物領域内を長い距離進む。これにより、フォトダイオードに入射した光は、その大部分がフォトダイオード(低濃度不純物領域)を透過することなく、低濃度不純物領域で吸収されることとなる。したがって、上記フォトダイオードでは、フォトダイオードに入射した光の走行距離が長くなり、光の吸収される距離が長くなるため、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0008】
本発明により得られたフォトダイオードでは、低濃度不純物領域と絶縁層との間に、低濃度不純物領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域が形成されている。このため、低濃度不純物領域における絶縁層との接合面側で発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、第1不純物領域は、低濃度不純物領域の上記接合面付近で発生したキャリアを当該接合面でトラップされるのを抑制する。このため、発生したキャリアは、光感応領域へ効率的に移動し、フォトダイオードの光検出感度を向上することができる。
【0009】
ところで、パルスレーザ光の照射により、シリコン基板(第1不純物領域)に結晶欠陥などのダメージを及ぼす懼れがあるが、本発明では、不規則な上記凹凸を形成した後に、シリコン基板を熱処理しているので、シリコン基板の結晶性が回復し、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。
【0010】
好ましくは、不規則な凹凸を形成する工程では、パルスレーザ光としてピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射する。この場合、不規則な凹凸を適切で且つ容易に形成することができる。
【0011】
好ましくは、絶縁層が酸化シリコンからなり、薄化する工程では、絶縁層をエッチングストップ層として半導体基板を第1主面側からエッチングする。この場合、薄化する工程において、絶縁層でエッチングをストップすることができ、第1不純物領域の厚みの制御を精度良く且つ容易に行なうことができる。
【0012】
好ましくは、第1不純物領域の厚みを、不規則な上記凹凸の高低差よりも大きくする。この場合、パルスレーザ光を照射した際に、パルスレーザ光が第1不純物領域に到達して当該第1不純物領域に凹凸が形成されたとしても、第1不純物領域が残ることとなる。この結果、上述した第1不純物領域による作用効果を確保することができる。
【0013】
本発明に係るフォトダイオードは、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、半導体基板の第2主面上に設けられた絶縁層と、絶縁層上に設けられていると共に該絶縁層との接合面の反対側に形成された主面を有する半導体メサ部と、を有するシリコン基板部と、半導体メサ部の主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を備え、半導体メサ部は、絶縁層との接合面に設けられた第1導電型の第1不純物領域と、第1の不純物領域上に設けられており、第1不純物領域よりも不純物濃度が低い第1導電型の低濃度不純物領域と、低濃度不純物領域内に設けられており、第2導電型の不純物領域を含む光感応領域と、低濃度不純物領域内において半導体メサ部の主面に設けられており、低濃度不純物領域よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2不純物領域と、低濃度不純物領域内において半導体メサ部の側面に設けられており、低濃度不純物領域よりも不純物濃度が高い第1導電型の第3不純物領域と、を有し、シリコン基板部は、光感応領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して半導体基板側より薄化され、シリコン基板部の薄化されている部分における半導体メサ部の主面に対向する面には不規則な凹凸が形成されていると共に該面が光学的に露出しており、第3不純物領域は、第1不純物領域及び第2不純物領域と電気的に接続され、第1電極は、光感応領域の不純物領域と電気的に接続され、第2電極は、第2不純物領域と電気的に接続されている。
【0014】
本発明に係るフォトダイオードでは、上述したように、フォトダイオードに入射した光の走行距離が長くなり、光の吸収される距離が長くなるため、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。また、第1不純物領域により、暗電流を低減できると共に、フォトダイオードの光検出感度を向上することができる。
【0015】
好ましくは、第1不純物領域に不規則な前記凹凸が形成されると共に前記第1不純物領域が光学的に露出している。
【0016】
好ましくは、第1不純物領域の厚みが、不規則な上記凹凸の高低差よりも大きい。この場合、上述したように、第1不純物領域による作用効果を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シリコンフォトダイオードであって、近赤外の波長帯域に十分な分光感度特性を有しているフォトダイオードの製造方法及びフォトダイオードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るフォトダイオードの平面図である。
【図2】図1に示されたフォトダイオードの底面図である。
【図3】図1におけるIII−III線に沿った断面構成を示す図である。
【図4】図1におけるIV−IV線に沿った断面構成を示す図である。
【図5】n型埋込み層の孔に露出する面に形成された不規則な凹凸を観察したSEM画像である。
【図6】本実施形態に係るフォトダイオードの構成を示す図である。
【図7】本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図8】本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図9】本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図10】本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図11】本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図12】本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【図13】実施例1及び比較例1における、波長に対する分光感度の変化を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
図1〜図4を参照して、本実施形態に係るフォトダイオード1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係るフォトダイオードの平面図であり、図2は、図1に示されたフォトダイオードの底面図である。図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面構成を示す図である。図4は、図1におけるIV−IV線に沿った断面構成を示す図である。図1〜図4には、複数のフォトダイオード1が並列に設けられたフォトダイオードアレイが示されている。
【0021】
フォトダイオード1は、被検出光の入射によりキャリアを生成し、生成したキャリアを検出信号の形で出力する。図1に示されるように、フォトダイオード1は、互いに対向する第1主面M1及び第2主面M2を有する半導体基板2と、半導体基板2の上に配置された半導体メサ部5とを有する。半導体基板2は、半導体基板2上に配置された半導体メサ部5等を支持する基板であり、シリコン(Si)結晶からなる。半導体メサ部5は、メサ状のn型層8を含む半導体層である。フォトダイオード1は、いわゆるPINフォトダイオードを構成している。
【0022】
型層8は、n型の不純物(例えば、アンチモン、砒素、又はリン等)を含む半導体層である。フォトダイオード1は、n型領域14及びp型領域16と、入射光を検出する光感応領域S1とを更に有している。n型領域14及びp型領域16は、n型層8内において半導体メサ部5の主面(図3等に示される表面M5)に設けられている。n型領域14は、p型領域16を表面M5上で囲むように(光感応領域S1を囲むように)設けられている。
【0023】
型領域14は、n型の不純物をn型層8よりも高濃度に含む半導体領域である。p型領域16は、比較的高濃度(例えばn型層8よりも高濃度)のp型の不純物(例えば、ボロン等)を含む半導体領域である。光感応領域S1は、n型層8内に設けられており、p型領域16と、p型領域16及びn型層8の境界に形成されたpn接合部とを含む領域である。本実施形態では、「高濃度」とは例えば不純物の濃度が1×1017cm−3程度以上のことであって、「+」を導電型に付けて示し、「低濃度」とは不純物の濃度が1×1015cm−3程度以下であって「−」を導電型に付けて示すものとする。
【0024】
フォトダイオード1は、半導体メサ部5の主面(表面M5)上に設けられたカソード電極12及びアノード電極20を更に有する。すなわち、カソード電極12及びアノード電極20は同一の面(表面M5)上に設けられている。カソード電極12及びアノード電極20は、例えばアルミニウム等の導電性の金属から成る。カソード電極12は、n型領域14を覆うように設けられている。カソード電極12とn型領域14とは電気的に接続されている。アノード電極20は、表面M5において長手方向の端部寄りに設けられている。p型領域16は、表面M5の中央付近に設けられており、アノード電極20の下部に至るまで延在している。p型領域16(光感応領域S1の一部)とアノード電極20とは電気的に接続されている。p型領域16を表面M5の中央付近からアノード電極20の下部に至るまで延在させるかわりに、p型領域16は表面M5の中央付近のみとして、アノード電極をp型領域16まで延在させて電気的に接続してもよい。この場合、容量を低減することができる。
【0025】
フォトダイオード1は、絶縁層4、n型埋込み層6及び絶縁膜18を更に有する。絶縁層4上には半導体メサ部5が設けられており、半導体メサ部5は、n型埋込み層6とn型層8と、を有する。半導体メサ部5の主面(表面M5)は、絶縁層4との接合面の反対側に形成されている。絶縁層4は、半導体基板2の第2主面M2上に設けられており、n型埋込み層6は、絶縁層4の表面M3上に設けられている(換言すれば、n型埋込み層6は、半導体メサ部5の上記絶縁層4との接合面に設けられている)。絶縁層4は、例えば酸化シリコン等から成り、被検出光が半導体基板2に入射した時に発生するキャリアがn型埋込み層6及びn型層8に流入するのを防ぐ。n型埋込み層6の表面M4上にはn型層8が設けられている。n型埋込み層6は、n型不純物をn型層8よりも高濃度に含む半導体層である。
【0026】
フォトダイオード1は、n型接続領域10を更に有しており、n型接続領域10は、n型層8内において光感応領域S1を囲むようにn型層8の側面M6に設けられている。n型接続領域10は、n型埋込み層6やn型領域14と同様に、n型不純物をn型層8よりも高濃度に含む半導体領域である。n型接続領域10は、n型埋込み層6とn型領域14とに電気的に接続されている。
【0027】
フォトダイオード1は、絶縁膜18を更に有している。絶縁膜18は、半導体メサ部5の表面M5及び側面M6上に設けられており、例えば酸化シリコン等から成る。絶縁膜18には、コンタクトホールH2が形成されており、コンタクトホールH2は、n型領域14上に設けられている。
【0028】
カソード電極12は、絶縁層4の表面M3のうち半導体メサ部5を除いた領域からコンタクトホールH2に至るまで、表面M5及び側面M6上の絶縁膜18に沿って延在している。カソード電極12は、コンタクトホールH2を通してn型領域14と電気的に接続されている。
【0029】
絶縁膜18には、図4に示されるように、コンタクトホールH3が形成されている。コンタクトホールH3は、p型領域16上に設けられている。アノード電極20は、コンタクトホールH3を通してp型領域16と電気的に接続されている。
【0030】
図3及び4に示されるように、半導体基板2は、p型領域16(光感応領域S1の一部)に対応する部分が、当該部分の周辺領域を残して第1主面M1側から薄化されている。本実施形態では、半導体基板2及び絶縁層4におけるp型領域16(光感応領域S1の一部)に対応する部分も、除去されている。これにより、半導体基板2及び絶縁層4には、これらの半導体基板2及び絶縁層4を貫通する孔H1が形成され、n型埋込み層6が孔H1に露出することとなる。
【0031】
表面M5の反対側の第1主面M1には、孔H1の開口が設けられている(図2参照)。孔H1は、p型領域16(光感応領域S1の一部)に対応する位置に設けられており、半導体基板2及び絶縁層4を貫通しn型埋込み層6に至る。すなわち、光感応領域S1に対応する位置に設けられた孔H1は、半導体基板2の第1主面M1から、n型埋込み層6に至る。孔H1は、100μm程度の径(直径)の円形の断面を有する略円筒状を成す。
【0032】
カソード電極12及びアノード電極20は、孔H1に対応する位置に設けられていない。すなわち、カソード電極12及びアノード電極20は、半導体基板2における孔H1の周辺領域に対応する位置に設けられている。これにより、カソード電極12及びアノード電極20を通してフォトダイオード1に作用する応力の負荷が、半導体基板2により支えられることとなる。この結果、フォトダイオード1の構造強度の向上が図られる。複数のフォトダイオード1が並列に設けられたフォトダイオードアレイでは、0.25mm程度のピッチで各フォトダイオード1が並列配置されている。隣接する二つのフォトダイオード1の各孔H1の中心同士を結ぶ距離は、0.25mm程度である。
【0033】
型埋込み層6の孔H1に露出する面7には、図5に示されるように、不規則な凹凸22が形成されている。n型埋込み層6の孔H1に露出する面7は、光学的に露出している。面7が光学的に露出しているとは、面7が空気などの雰囲気ガスと接しているのみならず、面7上に光学的に透明な膜が形成されている場合も含む。
【0034】
上記構成のフォトダイオード1では、半導体メサ部5側から入射する光を検出する表面入射型のフォトダイオードとして機能すると共に、半導体基板2側から入射する光を検出する裏面入射型のフォトダイオードとしても機能する。フォトダイオード1が表面入射型のフォトダイオードとして機能する場合、半導体メサ部5の主面(表面M5)からn型層8に被検出光が入射することとなる。フォトダイオード1が裏面入射型のフォトダイオードとして機能する場合、孔H1からn型埋込み層6を介してn型層8に被検出光が入射することとなる。いずれの場合でも、n型層8に入射した光は、n型層8で吸収され、キャリアを発生させる。正電荷(ホール)のキャリアは、光感応領域S1に移動し、アノード電極20を介して電気信号として抽出される。
【0035】
フォトダイオード1では、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7に不規則な凹凸22が形成されているために、図6に示されるように、フォトダイオード1に入射した光Lは凹凸22にて反射、散乱、又は拡散されて、n型層8内を長い距離進む。図6では、フォトダイオード1が表面入射型のフォトダイオードとして機能する例を示している。
【0036】
通常、Siの屈折率n=3.5に対して、空気の屈折率n=1.0である。フォトダイオードでは、光入射面に垂直な方向から光が入射した場合、フォトダイオード(シリコン基板)内で吸収されなかった光は、光入射面の裏面にて反射する光成分とフォトダイオードを透過する光成分に分かれる。フォトダイオードを透過した光は、フォトダイオードの感度には寄与しない。光入射面の裏面にて反射した光成分は、フォトダイオード内で吸収されれば、光電流となり、吸収されなかった光成分は、光入射面において、光入射面の裏面に到達した光成分と同様に、反射又は透過する。
【0037】
フォトダイオード1では、光入射面(半導体メサ部5の主面(表面M5))に垂直な方向から光Lが入射した場合、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7に形成された不規則な凹凸22に到達すると、凹凸22からの出射方向に対して16.6°以上の角度にて到達した光成分は、凹凸22にて全反射される。凹凸22は、不規則に形成されていることから、出射方向に対して様々な角度を有しており、全反射した光成分は様々な方向に拡散する。このため、全反射した光成分は、n型層8内部で吸収される光成分もあれば、半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6に到達する光成分もある。
【0038】
半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6に到達する光成分は、凹凸22での拡散により様々な方向に進むため、半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6に到達した光成分が半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6にて全反射する可能性は極めて高い。半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6にて全反射した光成分は、異なる面での全反射を繰り返し、半導体メサ部5の内部で伝播する距離が更に長くなる。このように、フォトダイオード1に入射した光Lは、n型層8の内部を長い距離進むうちに、n型層8で吸収され、光電流として検出されることとなる。
【0039】
このように、フォトダイオード1に入射した光Lは、その大部分がフォトダイオード1を透過することなく、フォトダイオード1内部での伝播距離が長くされて、n型層8で吸収されることとなる。したがって、フォトダイオード1では、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。フォトダイオード1が裏面入射型のフォトダイオードとして機能する場合も、表面入射型のフォトダイオードとして機能する場合と同様に、近赤外の波長帯域での分光感度特性が向上する。
【0040】
型埋込み層6の孔H1に露出する面7に規則的な凹凸を形成した場合、半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6に到達する光成分は、凹凸にて拡散されているものの、一様な方向に進むため、半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6に到達した光成分が第2主面M2や側面M6にて全反射する可能性は低くなる。このため、半導体メサ部5の主面(表面M5)や側面M6、更にはn型埋込み層6の孔H1に露出する面7にて透過する光成分が増加し、フォトダイオードに入射した光のフォトダイオード内部での伝播距離は短くなってしまう。このため、近赤外の波長帯域での分光感度特性を向上することは困難となる。
【0041】
次に、図7〜図12を参照して、本実施形態に係るフォトダイオード1の製造方法を説明する。図7〜図12は、本実施形態に係るフォトダイオードの製造方法を説明するための図である。
【0042】
まず、Si結晶からなるn型半導体基板8aを準備する。n型半導体基板8aの厚さは300μm程度、比抵抗は1kΩ・cm程度である(図7(a)参照)。n型半導体基板8aに対して、その表面からアンチモン(Sb)を拡散する。不純物濃度は、2×1019cm−3程度である。これにより、n型半導体基板8aの表層にn型半導体層6aが形成される(図7(b)参照)。n型半導体層6aの厚みは、3μm程度である。別に準備したSi結晶からなる支持基板2aの表面を酸化させることにより、支持基板2a上に酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁層4aを形成する。支持基板2aの厚みは、300μm程度である。絶縁層4aの厚みは、1μmである(図7(c)参照)。
【0043】
次に、n型半導体層6a及びn型半導体基板8aから成る構造体を、支持基板2a上に絶縁層4aを形成した基板に1000℃程度で加熱しながら貼り合わせる。このとき、絶縁層4aの表面をn型半導体層6aとの貼合わせ面とする(図7(d)参照)。さらに、n型半導体基板8aの表面を研磨することにより平坦化する。この研磨により、n型半導体基板8aとn型半導体層6aとの厚みの和を所望の厚さ、例えば、9μm程度に調整する。これにより、半導体基板2(支持基板2aに対応)の第2主面M2上に絶縁層4(絶縁層4aに対応)が位置し、第1導電型のn型埋込み層6(n型半導体層6aに対応)が絶縁層4の表面M3上に位置し、n型不純物をn型埋込み層6よりも低濃度に含むn型層8(n型半導体基板8aに対応)がn型埋込み層6の表面M4上に位置する、図8(a)に示される構造の基板、いわゆるSOI(Silicon on Insulator)基板を得る。
【0044】
次いで、図8(b)に示されるように、n型層8内において表面M5にp型不純物を比較的高濃度に拡散させることによりp型領域16を形成し、p型領域16を含む光感応領域S1を形成する。次いで、図8(c)に示されるように、絶縁層4が露出するまで、n型埋込み層6及びn型層8を、p型領域16とその周囲(すなわち光感応領域S1と電極領域)を残してドライエッチングすることによりメサ状に整形する。これにより、光感応領域S1を含む半導体メサ部5が形成される。この場合、絶縁層4はエッチングストッパとしての機能を果たす。次いで、図8(d)に示されるように、半導体メサ部5の表面M5に光感応領域S1を囲むようにn型不純物をn型層8よりも高濃度に拡散させることによりn型領域14を形成する。また、半導体メサ部5の側面M6に光感応領域S1を囲むようにn型不純物をn型層8よりも高濃度に拡散させることによりn型接続領域10を形成する。これにより、n型埋込み層6、n型領域14及びn型接続領域10は電気的に接続される。
【0045】
次いで、図9に示されるように、半導体基板2を絶縁層4が露出するまでドライエッチング等することにより、半導体基板2を貫通して絶縁層4に至る孔H1を光感応領域S1に対応する位置に形成する。この場合、絶縁層4はエッチングストップ層としての機能を果たす。
【0046】
次に、図10に示されるように、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7に、不規則な凹凸22を形成する。ここでは、図11に示されるように、孔H1が形成された基板をチャンバC内に配置し、チャンバCの外側に配置されたパルスレーザ発生装置PLDからパルスレーザ光PLを基板に照射する。チャンバCはガス導入部GIN及びガス排出部GOUTを有しており、不活性ガス(例えば、窒素ガスやアルゴンガスなど)をガス導入部GINから導入してガス排出部GOUTから排出することにより、チャンバC内に不活性ガス流Gが形成されている。パルスレーザ光PLを照射した際に生じる塵などが不活性ガス流GによりチャンバC外に排出され、基板への加工屑や塵などの付着を防いでいる。本実施形態では、パルスレーザ発生装置PLDとしてピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ発生装置を用い、n型埋込み層6の孔H1に露出する絶縁層4の全面にわたってピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射している。
【0047】
絶縁層4のn型埋込み層6の孔H1に露出する面にピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光が照射されると、絶縁層4が除去されると共に、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7がピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光に荒らされ、図5に示されるように、不規則な凹凸22が面7の全面に形成される。不規則な凹凸22は、半導体メサ部5の主面(表面M5)に直交する方向に対して交差する面を有している。凹凸22の高低差は、例えば0.5〜10μm程度であり、凹凸22における凸部の間隔は0.5〜10μm程度である。ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光のパルス時間幅は例えば50fs〜2ps程度であり、強度は例えば4〜16GW程度であり、パルスエネルギーは例えば200〜800μJ/pulse程度である。より一般的には、ピーク強度は、3×1011〜2.5×1013(W/cm)、フルエンスは、0.1〜1.3(J/cm)程度である。
【0048】
次に、不規則な凹凸22が形成された上記基板を熱処理(アニール)する。ここでは、不規則な凹凸22が形成された上記基板を、Nガスといった雰囲気下で、800〜1000℃程度の範囲で、0.5〜1時間程度にわたって加熱する。
【0049】
次いで、図12(a)に示されるように、表面M5及び側面M6に絶縁膜18を形成する。そして、n型領域14上の絶縁膜18にコンタクトホールH2を形成し、p型領域16上の絶縁膜18にコンタクトホールH3を形成する。次いで、図12(b)に示されるように、カソード電極12を、絶縁層4の表面M3のうち半導体メサ部5を除いた領域からコンタクトホールH2に至るまで、表面M5及び側面M6上の絶縁膜18に沿って形成し、コンタクトホールH2を介してn型領域14と電気的に接続させる。すなわち、n型領域14と電気的に接続するように半導体メサ部5上にカソード電極12を形成する。そして、同時にアノード電極20を、コンタクトホールH3を含むp型領域16上に設け、コンタクトホールH3を介してp型領域16と電気的に接続させる。すなわち、光感応領域S1と電気的に接続するように半導体メサ部5上にアノード電極20を形成する。
【0050】
以上により、フォトダイオード1が完成する。
【0051】
ここで、本実施形態による近赤外の波長帯域での分光感度特性の向上効果を確認するための実験を行なった。
【0052】
上述した構成を備えたフォトダイオード(実施例1と称する)と、孔H1及び不規則な凹凸22を形成していないフォトダイオード(比較例1と称する)と、を作製し、それぞれの分光感度特性を調べた。比較例1として、n型の低比抵抗の第1半導体基板と、第1半導体基板上に貼り合わせられたn型の高比抵抗の第2半導体基板と、を備え、第2半導体基板の表面側にp型の半導体領域が形成され、第2半導体基板における半導体領域の周囲の領域が、第1半導体基板が露出するまでエッチングされており、第1及び第2電極が、第1半導体基板の露出表面及び半導体領域に、それぞれ電気的に接続されているフォトダイオードを作製した。比較例1には、実施例1における孔H1及び不規則な凹凸22に相当する構成は採用していない。比較例1での第2半導体基板の厚みは7.5μmに設定し、実施例1でのn型層8の厚みは6μmに設定した。実施例1及び比較例1とも、フォトダイオードのサイズは0.5mm×0.5mmに設定し、光感応領域のサイズはφ0.1mmに設定した。フォトダイオードに印加するバイアス電圧VRは、0Vに設定した。
【0053】
結果を図13に示す。図13において、実施例1を表面入射型のフォトダイオードとして用いたときの分光感度特性はT1で示され、同じく裏面入射型のフォトダイオードとして用いたときの分光感度特性はT2で示されている。比較例1の分光感度特性は特性T3で示されている。また、図13において、縦軸は分光感度(mA・W)を示し、横軸は光の波長(nm)を示している。一点鎖線にて示されている特性は、量子効率(QE)が100%となる分光感度特性を示している。
【0054】
図13から分かるように、例えば850nmにおいて、比較例1では分光感度が0.18A/W(QE=25%)であるのに対して、実施例1では分光感度が0.42A/W(QE=60%)及び0.38A/W(QE=55%)となっており、近赤外の波長帯域での分光感度が大幅に向上している。
【0055】
フォトダイオード1では、n型埋込み層6に不規則な凹凸22が形成されている。これにより、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7側で発生する不要キャリアが再結合され、暗電流を低減できる。また、n型埋込み層6は、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7付近で発生したキャリアを当該面7でトラップされるのを抑制する。すなわち、n型埋込み層6はアキュムレーション層として機能する。このため、発生したキャリアは、光感応領域S1へ効率的に移動し、フォトダイオード1の光検出感度を更に向上することができる。
【0056】
不規則な凹凸22を形成する際のパルスレーザ光PLの照射により、n型埋込み層6及びn型層8などの半導体層に結晶欠陥などのダメージを及ぼす懼れがある。しかしながら、本実施形態では、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7に不規則な凹凸22を形成した後に熱処理しているので、n型埋込み層6及びn型層8などの半導体層の結晶性が回復する。この結果、暗電流の増加等の不具合を防ぐことができる。
【0057】
本実施形態では、不規則な凹凸22を形成して熱処理した後に、カソード電極12及びアノード電極20を形成している。これにより、カソード電極12及びアノード電極20に比較的融点の低い金属を用いる場合でも、熱処理によりカソード電極12及びアノード電極20が溶融するようなことはなく、熱処理の影響を受けることなくカソード電極12及びアノード電極20を適切に形成することができる。
【0058】
本実施形態では、n型埋込み層6の厚みを、不規則な凹凸22の高低差よりも大きくしている。このため、n型埋込み層6を形成した後に、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸22を形成しても、n型埋込み層6が確実に残ることとなる。したがって、n型埋込み層6による作用効果を確保することができる。
【0059】
本実施形態では、ピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸22を形成している。これにより、不規則な凹凸22を適切で且つ容易に形成することができる。
【0060】
本実施形態では、酸化シリコンからなる絶縁層4をエッチングストップ層として半導体基板2をエッチングしている。これにより、絶縁層4でエッチングをストップすることができ、n型層8の厚みの制御を精度良く且つ容易に行なうことができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0062】
例えば、カソード電極12が半導体メサ部5の側面M6及び絶縁層4の表面M3を覆う構成としたが、これに限らず、カソード電極12が表面M3を覆わずに側面M6を覆う構成であってもよいし、表面M3及び側面M6をともに覆わない構成であってもよい。また、絶縁膜18を、半導体メサ部5の表面M5及び側面M6上に設け、カソード電極12を絶縁膜18上を覆うように設け、コンタクトホールH2を通してカソード電極12とn型領域14とを電気的に接続する構成としたが、これに限らず、絶縁膜18を設けず、カソード電極12を半導体メサ部5の表面M5及び側面M6上に設けて直接n型領域14と電気的に接続してもよい。
【0063】
フォトダイオード1のp型及びn型の各導電型を上述したものとは逆になるよう入れ替えてもよい。すなわち、n型埋込み層6をp型埋込み層とし、n型層8をp型層とし、n型接続領域10をp型接続領域とし、n型領域14をp型領域とし、p型領域16をn型領域としてもよい。
【0064】
本実施形態のフォトダイオード1においては、半導体メサ部5の側面M6は表面M3に対して垂直に近い形となっているが、表面M3に対し斜めになるように側面M6が設けられていてもよい。
【0065】
型領域14及びn型接続領域10と、p型領域16とは、拡散によらずイオン注入によって形成されてもよい。
【0066】
本実施形態では、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7に不規則な凹凸22を形成しているが、これに限られない。例えば、半導体基板2を薄化する際に、半導体基板2の一部を残すように半導体基板2を薄化し、半導体基板2の残された部分に、パルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸22を形成してもよい。この場合には、半導体基板2の残された部分に、アキュムレーション層として機能する、半導体基板2と同じ導電型であり且つ高い不純物濃度を有する半導体層を形成する必要があり、工程や構成が複雑化する懼れがある。したがって、本実施形態のように、n型埋込み層6の孔H1に露出する面7に不規則な凹凸22を形成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、半導体光検出素子及び光検出装置に利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1…フォトダイオード、2…半導体基板、2a…支持基板、4,4a…絶縁層、5…半導体メサ部、6…n型埋込み層、6a…n型半導体層、7…n型埋込み層の孔に露出する面、8…n型層、8a…n型半導体基板、10…n型接続領域、12…カソード電極、14…n型領域、16…p型領域、20…アノード電極、22…凹凸、H1…孔、M1…第1主面、M2…第2主面、PL…パルスレーザ光、S1…光感応領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、前記半導体基板の前記第2主面上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられた第1導電型の第1不純物領域と、前記第1不純物領域上に設けられていると共に前記第1不純物領域よりも不純物濃度が低い第1導電型の低濃度不純物領域と、を有するシリコン基板を準備する工程と、
前記低濃度不純物領域内に、第2導電型の不純物領域を含む光感応領域を形成する工程と、
前記第1不純物領域及び前記低濃度不純物領域をメサ状に整形することにより前記光感応領域を含む半導体メサ部を形成する工程と、
前記低濃度不純物領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域を前記半導体メサ部の表面に形成すると共に前記低濃度不純物領域よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第3不純物領域を前記半導体メサ部の側面に形成し、前記第1不純物領域、前記第2不純物領域、及び前記第3不純物領域を電気的に接続させる工程と、
前記半導体基板における前記光感応領域に対応する部分を該部分の周辺部分を残して前記第1主面側から薄化する工程と、
前記シリコン基板の薄化されている部分に、前記第1主面側からパルスレーザ光を照射して、不規則な凹凸を光学的に露出させて形成する工程と、
不規則な前記凹凸を形成する前記工程の後に、前記シリコン基板を熱処理する工程と、
前記シリコン基板を熱処理する工程の後に、前記光感応領域の前記不純物領域と電気的に接続するように前記半導体メサ部上に第1電極を形成すると共に、前記第2不純物領域と電気的に接続するように前記半導体メサ部上に第2電極を形成する工程と、を備え、
不規則な前記凹凸が形成された面から入射した光が前記低濃度不純物領域内を進む、裏面入射型のフォトダイオードを製造することを特徴とするフォトダイオードの製造方法。
【請求項2】
不規則な前記凹凸を形成する前記工程では、パルスレーザ光としてピコ秒〜フェムト秒パルスレーザ光を照射することを特徴とする請求項1に記載のフォトダイオードの製造方法。
【請求項3】
前記絶縁層が酸化シリコンからなり、
薄化する前記工程では、前記絶縁層をエッチングストップ層として前記半導体基板を前記第1主面側からエッチングすることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトダイオードの製造方法。
【請求項4】
前記第1不純物領域の厚みを、不規則な前記凹凸の高低差よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフォトダイオードの製造方法。
【請求項5】
互いに対向する第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、前記半導体基板の第2主面上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられていると共に該絶縁層との接合面の反対側に形成された主面を有する半導体メサ部と、を有するシリコン基板部と、
前記半導体メサ部の前記主面上に設けられた第1電極及び第2電極と、を備え、
前記半導体メサ部は、
前記絶縁層との接合面に設けられた第1導電型の第1不純物領域と、
前記第1の不純物領域上に設けられており、前記第1不純物領域よりも不純物濃度が低い第1導電型の低濃度不純物領域と、
前記低濃度不純物領域内に設けられており、第2導電型の不純物領域を含む光感応領域と、
前記低濃度不純物領域内において前記半導体メサ部の前記主面に設けられており、前記低濃度不純物領域よりも不純物濃度が高い第1導電型の第2不純物領域と、
前記低濃度不純物領域内において前記半導体メサ部の側面に設けられており、前記低濃度不純物領域よりも不純物濃度が高い第1導電型の第3不純物領域と、を有し、
前記シリコン基板部は、前記光感応領域に対応する部分が該部分の周辺部分を残して前記半導体基板側より薄化され、
前記シリコン基板部の薄化されている部分における前記半導体メサ部の前記主面に対向する面には不規則な凹凸が形成されていると共に該面が光学的に露出しており、
前記第3不純物領域は、前記第1不純物領域及び前記第2不純物領域と電気的に接続され、
前記第1電極は、前記光感応領域の前記不純物領域と電気的に接続され、前記第2電極は、前記第2不純物領域と電気的に接続され、
前記半導体メサ部の前記主面に対向する前記面が光入射面とされて、前記半導体メサ部の前記主面に対向する前記面から入射した光が前記低濃度不純物領域内を進む、裏面入射型であることを特徴とするフォトダイオード。
【請求項6】
前記第1不純物領域に不規則な前記凹凸が形成されると共に前記第1不純物領域が光学的に露出していることを特徴とする請求項5に記載のフォトダイオード。
【請求項7】
前記第1不純物領域の厚みが、不規則な前記凹凸の高低差よりも大きいことを特徴とする請求項5又は6に記載のフォトダイオード。
【請求項8】
前記半導体メサ部の前記主面に対向する前記面から入射し、前記低濃度不純物領域内を進む光が、不規則な前記凹凸により反射、散乱、又は拡散されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のフォトダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−65908(P2013−65908A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6061(P2013−6061)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2009−42352(P2009−42352)の分割
【原出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】