説明

フォトマスク、露光方法、及び半導体装置の製造方法

【課題】センサ素子領域が形成されない領域を抑制し、センサ素子領域を広く確保したチップを形成することができる、フォトマスク、露光方法、及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】フォトマスク10では、センサ素子領域22の短辺側のみにガードリングパターン24aが設けられた第1エリア20と、センサ素子領域22の長辺に沿うような形状、かつガードリングパターン24aと接続されるように両端部が鉤状に曲折したガードリングパターン24bを線対称に一対形成された第2エリア40と、が形成されている。当該フォトマスク10を用いてウエハ基板50上に露光装置のブラインド機能を用いて各領域を露光する際は、ガードリングパターン24aの端部及びガードリングパターン24bの端部が接続されるように繰り返し露光すると共に、ガードリングパターン24aの端部同士が接続されるように繰り返し露光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク、露光方法、及び半導体装置の製造方法、特に放射線検出用センサ素子である半導体装置を製造するためのフォトマスク、露光方法、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、放射線画像撮影装置等において用いられるX線等の放射線を検出する放射線センサ素子として、図7に示すように、単純なPN接合ダイオードで表される半導体装置が知られている。当該放射線センサ素子は、基板間に光電変換層が設けられている。当該光電変換層は、照射された放射線に応じてプラス及びマイナスの電荷(電子−正孔キャリア対)を発生する光導電物質で構成されている。
【0003】
このようは放射線センサ素子では、光電変換層の空乏化していない領域で発生した電荷は収集されずに基板に対して横方向に拡がりやすく、撮影された放射線画像のボケの原因となる。そのため、電荷の収集効率を向上するために、基板に高バイアスの電位(Vsub)を印加して、基板の縦方向に空乏層を広げることが行われている。しかしながら、高バイアスの電位を印加すると、基板の縦方向(図8、縦方向参照)だけではなく、横方向に(図8、横方向参照)も空乏層が広がるため、チップ間のスクライブされた領域まで到達すると、スクライブ端の突端形状部に電界が集中し、電荷の収集効率の低下や静電破壊の原因となる(図8(A)参照)。そこで、センサ素子領域とスクライブ端のガードリングとしてN+層を形成することで、空乏層の基板横方向への広がりが抑制され、スクライブ端へ空乏層が到達するのを防止することが可能になる(図8(B)参照)。
【0004】
一般に、このような放射線センサ素子の製造方法では、露光装置を用いて、フォトマスクに形成されている回路パターンをウエハ基板上に繰り返し縮小投影することが行われている。
【0005】
図9に、放射線センサ素子の従来のフォトマスクの一例を示す。フォトマスク100は、センサ素子領域122と、当該センサ素子領域122を囲むように周囲に配置されたガードリングパターン124と、を備え、さらにその周囲にスクライブ用のスクライブ領域126を確保するパターンが形成されている。
【0006】
スクライブ領域126には、露光装置や重ね合わせ測定装置で下地層(ウエハ基板)との位置合わせに使用するアライメントマーク128と、アライメントマーク128に対向する位置にアライメントマーク128と同じ大きさで配置された遮光用のアライメントマークカバー129が、縦横方向に配置されている。
【0007】
従来のフォトマスク100を用いてウエハ基板上に放射線センサ素子を形成した具体的一例を図10に示す。
【0008】
ウエハ基板150上の放射線センサ素子は、ステップアンドリピート方式の露光装置によりフォトマスク100上に形成されたパターンを複数個配列して形成される。この際、フォトマスク100上の上下方向及び左右方向に対向した(フォトマスク100の周囲の)スクライブ領域126は、それぞれウエハ基板150上で重なり合うように繰り返し露光されて、ウエハ基板150のスクライブ領域126として形成される。なお、フォトマスク100上に形成されたアライメントマーク128は、繰り返し露光する際に、隣接ショットのアライメントマークカバー129と重なるため、二重露光によるアライメントパターンの消失や劣化等がなく、正常に形成することができる。
【0009】
特許文献1には、このようにして形成された従来の放射線センサ素子を用いた放射線検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−264273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、放射線センサ素子を例えば、医療用の放射線画像機器に適用する場合、様々な大きさの対象物(被写体)に対応する必要があるため、放射線センサ素子のチップサイズはなるべく大きく形成した方が望ましい。しかしながら、フォトマスク100上にパターンを形成可能な最大領域、及び露光装置の投影レンズの大きさ(径)に依存する最大露光領域によって、チップサイズが制約されてしまうという問題があった。
【0012】
一方、例えば、図10に示した場合において、破線Aで示した領域で切り出すことにより、複数個(図10では、6個)のチップをまとめて1つとすることにより、チップサイズを大きく切り出すことが可能であるが、まとめられた個々のチップ間に形成されたスクライブ領域126やガードリングパターン124によって、センサ素子領域122が形成されない領域、すなわち画像認識できない領域が広く形成されてしまうという問題が生じる。
【0013】
本発明は、上述した問題を解決するために提案されたものであり、センサ素子領域が形成されない領域を抑制し、センサ素子領域を広く確保したチップを形成することができる、フォトマスク、露光方法、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のフォトマスクは、デバイスパターンが形成された素子領域と、前記素子領域の第1の方向の対向する両辺側に前記素子領域と並行に形成された第1のスクライブ領域と、前記素子領域と前記第1のスクライブ領域との間に形成された第1のガードリング領域と、を備えた第1の領域と、前記素子領域の前記第1の方向と直交する第2の方向にわたって形成され、かつ露光した際にウエハ基板上において前記第1のガードリング領域の端部と接続するように形成された第2のガードリング領域と、前記第2のガードリング領域の両端部側に形成された第2のスクライブ領域と、を備えた第2の領域と、を備える。
【0015】
請求項7に記載の露光方法は、前記請求項1から前記請求項6のいずれか1項に記載の前記フォトマスクを用いて前記フォトマスクの前記第1の領域を遮光板により遮光して前記第2の領域に光を透過させて前記ウエハ基板上に前記第2の領域を形成し、かつ前記フォトマスクを用いて前記フォトマスクの前記第2の領域を遮光板により遮光して前記第1の領域に光を透過させて前記ウエハ基板上に前記第1の領域を形成する。
【0016】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法は、デバイスパターンが形成された素子領域と、前記素子領域の第1の方向の対向する両辺側に前記素子領域と並行に形成された第1のスクライブ領域と、前記素子領域と前記第1のスクライブ領域との間に形成された第1のガードリング領域と、を備えた第1の領域と、前記素子領域の前記第1の方向と直交する第2の方向にわたって形成され、かつ露光した際にウエハ基板上において前記第1のガードリング領域の端部と接続するように形成された第2のガードリング領域と、前記第2のガードリング領域の両端部側に形成された第2のスクライブ領域と、を備えた第2の領域と、を備えたフォトマスクを用いて、前記第1の領域、または前記第2の領域を露光して半導体装置を製造する際に、前記フォトマスクの前記第1の領域を遮光して前記第2の領域を露光する工程と、前記第2の領域の前記第2のガードリング領域の両端部及び前記第1のガードリング領域の片側端部が接続するように、前記フォトマスクの前記第2の領域を遮光して前記第1の領域を露光する工程と、前記第1の領域の前記第1のガードリング領域の片側端部及び前記第2の領域の前記第2のガードリング領域の両端部が接続するように、前記フォトマスクの前記第1の領域を遮光して前記第2の領域を露光する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、センサ素子領域が形成されない領域を抑制し、センサ素子領域を広く確保したチップを形成することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る従来のフォトマスクの具体的一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る位置ずれ測定用マークを説明するための概略図であり、(A)は図1の領域Aの拡大図であり、(B)は図1の領域(B)の拡大図である。
【図3】本実施の形態に係るフォトマスクを用いてウエハ基板上に放射線センサ素子を形成した具体的一例を示す概略図である。
【図4】本実施の形態に係る露光装置のブラインド機能を説明するための説明図である。
【図5】本実施の形態に係る露光装置のブラインド機能を説明するための説明図であり、(A)は第1エリアを露光する場合を示しており、(B)は第2エリアを露光する場合を示している。
【図6】第1エリア及び第2エリアの隣接露光について説明するための説明図であり、本実施の形態に係る図3の領域Bの拡大図である。
【図7】放射線センサ素子を表す記号図である。
【図8】放射線センサ素子におけるガードリング機能を説明するための説明図であり、(A)は、ガードリングが無い場合を示しており、(B)は、ガードリングが有る場合を示している。
【図9】従来のフォトマスクの具体的一例を示す概略構成図である。
【図10】従来のフォトマスクを用いてウエハ基板上に放射線センサ素子を形成した具体的一例を示す概略図である。の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の半導体集積回路について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、半導体装置として、放射線センサ素子を製造する場合について詳細に説明する。
【0020】
本実施の形態に係るフォトマスクの具体的一例の概略構成図を図1に示す。本実施の形態のフォトマスク10は、第1エリア20、及び第2エリア40の二つのエリアに分かれてパターンが形成されている。
【0021】
第1エリア20には、矩形状のセンサ素子領域22、ガードリングパターン24a、及びスクライブ領域26が形成されている。センサ素子領域22は、放射線センサ素子のデバイスパターン(回路パターン)が形成される領域である。本実施の形態では、図1に示すように具体的一例として、センサ素子領域22は、一対の長辺と一対の短辺とにより形成される矩形状を有している。
【0022】
ガードリングパターン24aは、センサ素子領域22の一対の短辺(図1中では、上下方向の辺)に沿って、当該一対の短辺の外周に沿って形成されている。本実施の形態のガードリングパターン24aは、上述のように放射線センサ素子に高バイアスの電位を印加した際に空乏層が基板に対して横方向に広がるのを抑制する機能を有するものである。
【0023】
スクライブ領域26は、ガードリングパターン24aに沿って、さらにセンサ素子領域22の外側にガードリングパターン24aと並行に形成されている。本実施の形態では、スクライブ領域26に沿ってダイシングすることによりウエハ基板50から個々のチップが切り出される。
【0024】
また、第1エリア20のスクライブ領域26には、アライメントマーク28及びアライメントマークカバー29が形成されている。アライメントマーク28は、ウエハ基板50上に繰り返し露光する際に基準位置を合わせるためのアライメントパターンを有するマークであり、アライメントマークカバー29は、繰り返し露光する際に隣接ショットのアライメントマーク28と二重露光してアライメントパターンが消失や劣化するのを防止する機能を有しており、隣接ショットのアライメントマーク28と重なる位置に形成されている。
【0025】
一方、第2エリア40には、左右対称に配置された一対のガードリングパターン24b、及びスクライブ領域26が形成されている。
【0026】
ガードリングパターン24bは、第1エリア20のセンサ素子領域22の長辺に沿った形状をしており、本実施の形態では、両端部が鉤状に曲折している。ガードリングパターン24bは、その両端部の少なくとも一部が、ウエハ基板50上で第1エリア20のガードリングパターン24aと重なりあうように露光される。また、本実施の形態のガードリングパターン24bは、図1に示すように、鉤上に曲折した端部が外側に向かうように、線対称に一対のガードリングパターン24bとして形成されている。
【0027】
スクライブ領域26は、一対のガードリングパターン24b同士の間、及びガードリングパターン24bの両端側(図1中では、上下方向側)に形成されている。
【0028】
また、第1エリア20及び第2エリア40の上下方向のスクライブ領域26の両端部には、ガードリングパターン24a、24bの近傍に、位置ずれ測定用マーク30a及び位置ずれ測定用マーク30bが形成されている。図1における領域Aの拡大図を図2(A)に示し、領域Bの拡大図を図2(B)に示す。図2(A)、(B)に示すように、位置ずれ測定用マーク30a、30bは、スリット枠で形成されており、それぞれ大きさが異なっている。位置ずれ測定用マーク30a、30bが、重なり合うように繰り返し露光する。位置ずれが生じた場合は、位置ずれ量を検出するためのものである。そのため、本実施の形態では、重なり合った状態を識別し易いように、位置ずれ測定用マーク30aと位置ずれ測定用マーク30bとを異なる大きさとしている。なお、これに限らず、位置ずれ測定用マーク30a、30bは、重なり合った状態及び位置ずれ量を測定できればよく、スリット枠以外でもよいし、大きさではなく、形状が異なるように形成してもよい。
【0029】
また、本実施の形態では、第1エリア20のセンサ素子領域22の一対の長辺側、及び第2エリア40のガードリングパターン24bの左右側には、遮光領域32が形成されている。
【0030】
フォトマスク10を用いてウエハ基板50上に放射線センサ素子を形成した具体的一例を図3に示す。
【0031】
本実施の形態では、所定のチップ単位で行われる露光を、チップサイズに応じて、階段的に場所を移動し、次のチップを形成する露光を行う動作を繰り返すことでウエハ基板50全面に対する露光を行う、いわゆるステップアンドリピート方式の露光装置のブラインド機能により、フォトマスク10を用いてウエハ基板50上に露光を行う。具体的には、フォトマスク10の第2エリア40を遮光(ブラインド)して、第1エリア20を露光させて得られた露光ショット60aと、フォトマスク10の第1エリア20を遮光(ブラインド)して、第2エリア40を露光させて得られた露光ショット60bとが、横方向(センサ素子領域22の短辺に沿った方向)に、露光ショット60b、露光ショット60a、露光ショット60a、・・・露光ショット60a、露光ショット60bの順で隣接するように形成する。
【0032】
ここで、本実施の形態で用いられる露光装置のブラインド機能について図4及び図5を参照して説明する。
【0033】
露光装置80は、投影レンズ82、遮光板86、及び露光光88を照射するための光源(図示省略)を備えて構成されている。フォトマスク10及び投影レンズ82を通過した紫外光等の露光光88がウエハ基板50に到達することにより、ウエハ基板50上に塗布されたフォトレジスト84が感光し、フォトマスク10に形成されたパターンをウエハ基板50上に形成することができる。フォトマスク10と露光光88を照射する光源との間には、遮光板86(図5では、2枚)が設けられておりフォトマスク10面上の任意の位置に光透過領域89を形成することによって、フォトマスク10上の所望のエリアのみを露光することが可能となる。
【0034】
本実施の形態では、第1エリア20を露光して露光ショット60aをウエハ基板50上に形成する場合は、図5(A)に示すように、第2エリア40を覆うように遮光板86が2枚設けられており、第1エリア20に対応する領域を光透過領域89として、フォトマスク10上に露光光88を照射する。一方、第2エリア40を露光して露光ショット60bをウエハ基板50上に形成する場合は、図5(B)に示すように、第1エリア20を覆うように遮光板86が2枚設けられており、第2エリア40に対応する領域を光透過領域89として、フォトマスク10上に露光光88を照射する。
【0035】
なお、遮光板86で反射された露光光88の再入射により、遮光板86の端では、光の外乱を受けやすいため、複数のエリア同士(第1エリア20、第2エリア40)の間隔は、ある一定量(露光装置80の仕様等に準じて予め定められた量)、確保することが望ましい。本実施の形態では、図1に示すように、第1エリア20と第2エリア40との間には、間隔Rsが確保されている。
【0036】
露光ショット60aと露光ショット60bとを隣接させる際は、ガードリングパターン24aの端部とガードリングパターン24bの端部とが重なり、かつ端部に配置された位置ずれ測定用マーク30aと位置ずれ測定用マーク30bとが重なるように形成する。また、露光ショット60a同士を隣接させる際は、ガードリングパターン24a同士の端部が重なり、かつ端部に配置された位置ずれ測定用マーク30aと位置ずれ測定用マーク30bとが重なるように形成する。
【0037】
また、縦方向(センサ素子領域22の長辺に沿った方向)は、スクライブ領域26に形成されたアライメントマーク28とアライメントマークカバー29とが重なるように形成する。
【0038】
このように露光することにより、横方向(センサ素子領域22の短辺に沿った方向)に複数個、並んで配置されたセンサ素子領域22全体の周囲を取り囲むようにガードリングパターン24(ガードリングパターン24a、24b)が形成された放射線センサ素子を形成することができる。
【0039】
図3の領域Bの拡大図を図6に示す。まず、横方向のエリア(第1エリア20、第2エリア40)同士の隣接について、第1エリア20(露光ショット60a)及び第2エリア40(露光ショット60b)の露光で形成されるパターンについて説明する。第1エリア20のガードリングパターン24aと第2エリア40のガードリングパターン24bとが接続された部分ガードリングパターン24ab、及び第1エリア20のガードリングパターン24a同士が接続されたガードリングパターン24aaは、上下方向の位置ズレにより線幅が変動するため、寸法変動がガードリング部の電位変動に詠唱しないように、ガードリングパターン24の線幅を設計することが望ましい。
【0040】
第1エリア20(露光ショット60a)の露光で形成された位置ずれ測定用マーク30aと、第2エリア40(露光ショット60b)の露光で形成された位置ずれ測定用マーク30bが重なる事により、二重のスリットマークとして位置ずれ測定用マーク30が形成される。当該位置ずれ測定用マーク30は、位置ずれ測定用マーク30aと位置ずれ測定用マーク30bとの相対的な位置ずれを光学式の重ね合せ測定機で測定することにより、ガードリングパターン24の接続部(ガードリングパターン24ab、aa)の位置ずれ量を把握することができる。なお、このようにして位置ずれ量を把握した後、当該位置ずれ量を補正するように、露光位置を定めて、露光装置80により露光することにより、位置ずれを補正することができる。
【0041】
センサ素子領域22と、ガードリングパターン24との間は、第1エリア20の左端側及び第2エリア40の右端側に形成された遮光領域32によって二重露光によるお互いのパターン消失を防ぐことができるが、若干幅の緩衝領域33を形成し、露光装置80の配列ずれによる二重露光の影響を受けないように設定することが好ましい。
【0042】
第1エリア20(露光ショット60a)同士の隣接露光に関しても、上述の第1エリア20(露光ショット60a)及び第2エリア40(露光ショット60b)の隣接露光と同様である。
【0043】
次に、縦方向のエリア(第1エリア20、第2エリア40)同士の隣接について、第1エリア20(露光ショット60a)同士(図6、露光ショット60a1、60a2)の露光で形成されるパターンについて説明する。スクライブ領域26には、第1エリア20(露光ショット60a1)のアライメントマーク28と、第1エリア20(露光ショット60a2)のアライメントマーク28とが形成されるが、前述の位置ずれ測定用マーク30(30a、30b)よりも外端側(フォトマスク10の端部側)に配置することにより、アライメントマーク28とアライメントマークカバー29とを重ねて露光しても、二重露光により位置ずれ測定用マーク30(30a、30b)が消失しないようになっている。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態のフォトマスク10では、センサ素子領域22の短辺側のみにガードリングパターン24aが設けられた第1エリア20と、センサ素子領域22の長辺に沿うような形状、かつガードリングパターン24aと接続(または重ね合せ)されるように両端部が鉤状に曲折したガードリングパターン24bを線対称に一対形成された第2エリア40と、が形成されている。当該フォトマスク10を用いてウエハ基板50上に露光装置のブラインド機能を用いて各領域を露光する際は、ガードリングパターン24aの端部及びガードリングパターン24bの端部が接続(または重ね合わせ)されるように繰り返し露光すると共に、ガードリングパターン24aの端部同士が接続(または重ね合わせ)されるように繰り返し露光する。
【0045】
このように第1エリア20と第2エリア40とを繰り返し露光することにより、従来(図9、10参照)では、1つのセンサ素子領域122の周囲にガードリングパターン124が形成されていたが、本実施の形態では、複数のセンサ素子領域22をガードリングパターン24で囲うことができる。ガードリングパターン24で周囲を囲まれた複数個(図3では6個)の放射線センサ素子(センサ素子領域22)を1チップの放射線センサ素子として切り出して動作させることが可能となる。従って、フォトマスク10上の配置面積や露光装置の最大露光領域に制約されることなく、チップ面積を広く確保できる。これにより、例えば医療用の放射線画像機器として様々な大きさの対象物(被写体)に対応することが可能となる。
【0046】
またさらに、従来(図9、10参照)よりも放射線センサ素子間の幅を狭く形成することができるため、センサ素子領域22が形成されない領域を抑制するため、画像認識できない領域を少なくすることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、位置ずれ測定用マーク30(30a、30b)を重ね合せ測定器等で計測することにより、ガードリングパターン24(24a、24b)の接続部の位置ずれ量を測定することができ、測定した位置ずれ量を、露光装置80により補正することができるため、適切に放射線センサ素子を製造できる。
【0048】
なお、本実施の形態では、半導体装置として放射線センサ素子を製造する場合のフォトマスク10、及び製造方法(ウエハ基板50の露光方法)について詳細に説明したが、他の素子等を製造する場合においても、本発明が適用可能なことは言うまでもない。
【0049】
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で説明した、フォトマスク10や露光方法等の構成等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更されることは言うまでもない。
【0050】
また、本実施の形態では、フォトマスク10の第2エリア40に一対のガードリングパターン24bを形成しているがこれに限らず、当該一対の一方のみを形成するようにしてもよい。また、本実施の形態では、ガードリングパターン24bの両端を鉤状に曲折させた形状としているがこれに限らず、ウエハ基板50上に露光した際に、第1エリア20のガードリングパターン24aと接続(または重なり合う)形状であればよい。
【符号の説明】
【0051】
10 フォトマスク
20 第1エリア
24 ガードリングパターン
26 スクライブ領域
28 アライメントマーク
30 位置ずれ測定用マーク
40 第2エリア
50 ウエハ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスパターンが形成された素子領域と、前記素子領域の第1の方向の対向する両辺側に前記素子領域と並行に形成された第1のスクライブ領域と、前記素子領域と前記第1のスクライブ領域との間に形成された第1のガードリング領域と、を備えた第1の領域と、
前記素子領域の前記第1の方向と直交する第2の方向にわたって形成され、かつ露光した際にウエハ基板上において前記第1のガードリング領域の端部と接続するように形成された第2のガードリング領域と、前記第2のガードリング領域の両端部側に形成された第2のスクライブ領域と、を備えた第2の領域と、
を備えたフォトマスク。
【請求項2】
前記第2のガードリング領域は、端部が前記第2の領域の外側に向けて鉤上に曲折している、請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
前記第2の領域は、前記第2のガードリング領域が、線対称に形成されている請求項2に記載のフォトマスク。
【請求項4】
前記第1のスクライブ領域及び前記第2のスクライブ領域は、前記第2の方向の両端部に、両端部各々で大きさが異なる位置ずれ測定用マークが形成された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフォトマスク。
【請求項5】
前記第1のスクライブ領域は、前記位置ずれ測定用マークよりも前記素子領域の外側にアライメントマーク領域を備えた、請求項4に記載のフォトマスク。
【請求項6】
前記素子領域は、放射線を検出するセンサ素子のデバイスパターンが形成された、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフォトマスク。
【請求項7】
前記請求項1から前記請求項6のいずれか1項に記載の前記フォトマスクを用いて前記フォトマスクの前記第1の領域を遮光板により遮光して前記第2の領域に光を透過させて前記ウエハ基板上に前記第2の領域を形成し、かつ前記フォトマスクを用いて前記フォトマスクの前記第2の領域を遮光板により遮光して前記第1の領域に光を透過させて前記ウエハ基板上に前記第1の領域を形成する、露光方法。
【請求項8】
デバイスパターンが形成された素子領域と、前記素子領域の第1の方向の対向する両辺側に前記素子領域と並行に形成された第1のスクライブ領域と、前記素子領域と前記第1のスクライブ領域との間に形成された第1のガードリング領域と、を備えた第1の領域と、前記素子領域の前記第1の方向と直交する第2の方向にわたって形成され、かつ露光した際にウエハ基板上において前記第1のガードリング領域の端部と接続するように形成された第2のガードリング領域と、前記第2のガードリング領域の両端部側に形成された第2のスクライブ領域と、を備えた第2の領域と、を備えたフォトマスクを用いて、前記第1の領域、または前記第2の領域を露光して半導体装置を製造する際に、
前記フォトマスクの前記第1の領域を遮光して前記第2の領域を露光する工程と、
前記第2の領域の前記第2のガードリング領域の両端部及び前記第1のガードリング領域の片側端部が接続するように、前記フォトマスクの前記第2の領域を遮光して前記第1の領域を露光する工程と、
前記第1の領域の前記第1のガードリング領域の片側端部及び前記第2の領域の前記第2のガードリング領域の両端部が接続するように、前記フォトマスクの前記第1の領域を遮光して前記第2の領域を露光する工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の領域を露光した後、前記第1の領域の前記第1のガードリング領域の片側端部同士が接続するようにさらに前記第1の領域を露光する工程を備えた、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記フォトマスクの前記第1のスクライブ領域及び前記第2のスクライブ領域は、左右端部に、左右それぞれで大きさが異なる位置ずれ測定用マークが形成されており、
前記各工程は、位置ずれ測定用マークが重なるように前記第1の領域または前記第2の領域を露光し、さらに露光後に、重なり合わせた前記位置ずれ測定用マーク同士の相対的な位置ずれ量を測定機で測定する工程を備えた、請求項8または請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記位置ずれ量を測定機で測定する工程により測定された位置ずれ量に基づいて、露光位置を補正して、前記第1の領域または前記第2の領域を露光する工程を備えた、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−237933(P2012−237933A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108220(P2011−108220)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】