フォーカシング制御装置、非接触測定装置およびフォーカシングサーボ制御方法
【課題】外乱光に影響されることなく、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して安定したオートフォーカスができるフォーカシング制御装置を提供する。
【解決手段】フォーカシング制御装置は、フォーカスエラー信号Sの合焦条件を満たしている場合であっても、受光した受光信号の光量が光量レベルしきい値を下回る場合は、信号生成回路65によってCPU67からのアクチュエータ23の制御信号に発振回路65aからの高周波信号を重畳する。アクチュエータドライバ66は、この高周波信号が重畳された制御信号に基づいて、アクチュエータ23を微細振動させ、対物レンズ5を動かして外乱光への合焦を防止する。
【解決手段】フォーカシング制御装置は、フォーカスエラー信号Sの合焦条件を満たしている場合であっても、受光した受光信号の光量が光量レベルしきい値を下回る場合は、信号生成回路65によってCPU67からのアクチュエータ23の制御信号に発振回路65aからの高周波信号を重畳する。アクチュエータドライバ66は、この高周波信号が重畳された制御信号に基づいて、アクチュエータ23を微細振動させ、対物レンズ5を動かして外乱光への合焦を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フォーカシング制御装置、非接触測定装置およびフォーカシングサーボ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆる合焦点検出方式による非接触変位計では、ワークからの反射光によるフォーカスエラー信号によって焦点位置を検出して、アクチュエータなどの移動手段を使い対物レンズが合焦位置に位置するように追従制御することでワークの変位測定を行っている。
【0003】
しかし、光の反射率が高いワークの段差測定などにおいては、段差や端面に当たり拡散した光(外乱光)が反射光として受光素子に入射すると、焦点位置ではない位置に合焦してしまうことがある。
【0004】
すなわち、焦点の自動検出手段であるフォーカシングサーボ機構は、フォーカスエラー信号が得られるように対物レンズの移動を制御しているが、上記のような反射率が高いワークの段差や端面、あるいは曲面などを対象とした測定では、乱反射した外乱光に対して合焦してしまう場合がある。この場合、測定データ(測定値)がいわゆるオーバーシュートあるいはアンダーシュートしてしまうことがある(例えば、下記特許文献1、非特許文献1参照)。
【0005】
このような現象に関して、具体的に説明する。例えば図10に示すように、合焦点検出方式による非接触変位計を用いて反射率が高いワークWを倣い測定する場合、段差Waにより本来の反射角度とは異なる外乱光DLが対物レンズ101に戻ってくるときがある。そして、このように対物レンズ101に入った外乱光DLを受光素子が受光して合焦条件を満たすと、本来は焦点ではない位置を焦点位置として誤認識してしまう場合がある。
【0006】
このような外乱光DLが正常な反射光として、例えば2つの受光素子の受光量を等しくしてしまい合焦条件を満たしてしまう仕組みを、いわゆるピンホール方式およびナイフエッジ方式のそれぞれの測定原理に基づき簡単に説明する。図11に示すように、ピンホール方式においては、レーザダイオード102から放射された光は、まず、偏光ビームスプリッタ103にて偏光され、コリメータレンズ104を介して平行光となり、対物レンズ101により集光されてワークWの表面へ照射される。
【0007】
そして、ワークWの表面の反射により対物レンズ101に戻った反射光は、偏光ビームスプリッタ103にて反射されたのち、無偏光ビームスプリッタ105により通過光、反射光に分離され、2つのピンホール106a,106bを介して2つの受光素子であるフォトダイオード107a,107bにて受光される。
【0008】
これらフォトダイオード107a,107bにて受光された光の光量は電気信号に変換され、これらの信号のレベルが等しく得られるようにリニアスケール108などを介して対物レンズ101を光軸に沿った方向に移動制御することで、焦点の自動検出を行っている。
【0009】
そして、図12に示すように、ワークWの表面が光軸に対して傾斜するような場合であると、通常は反射光が対物レンズ101に戻らないためフォトダイオード107a,107bにて光量が得られないため測定することはできない。ところが、光軸に対して最大角度θMAXで、図12中太線で示すように対物レンズ101に外乱光DLが入ってしまうと、フォトダイオード107a,107bにて僅かではあるが光量が得られてしまうことがある。
【0010】
このような場合、外乱光DLであっても、例えば合焦条件である2つのフォトダイオード107a,107bでの光量が等しいと判定されると、焦点位置として判断されてしまうこととなる。そして、このような外乱光DLが合焦条件を満たす位置は、光軸に対する最大角度θMAX上に、図12中一点鎖線で示すように多数存在するため、ワークWの段差や端面などによって生じる外乱光DLに合焦してしまうことがある。
【0011】
一方、図13に示すように、ナイフエッジ方式においては、受光素子として一般的に2分割フォトダイオード109a,109bを用い、これら2分割フォトダイオード109a,109bにて受光した光の光量が等しくなれば(すなわち、a+a’=b+b’)、合焦条件を満たすこととなる。
【0012】
このようにナイフエッジ方式を用いた場合であっても、図13中太線で示すように外乱光DLが光軸に対して最大角度θMAXで対物レンズ101に入ると、焦点位置ではなくても2分割フォトダイオード109a,109bにて得られる光量は等しくなる。
【0013】
すなわち、ナイフエッジ方式においてもこのような外乱光DLが合焦条件を満たす位置は、図13中一点鎖線で示すように光軸に対する最大角度θMAX上に多数存在するため、外乱光DLに合焦してしまうことがある。ただし、このナイフエッジ方式では偏光ビームスプリッタ103からの光をエッジミラー110にて分割していることから、光軸に対して最大角度θMAXで対物レンズ101に入った外乱光DLは、2分割フォトダイオード109a,109bのうち、一方のフォトダイオードでは受光されないこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−294124号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】清野 慧、孫 萍、大江 敦司 著、「光触針におけるオーバーシュート現象の考察」、精密工学会誌、Vol.62、No.1、1996年、p.140−p.144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この発明は、外乱光に影響されることなく、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して安定したオートフォーカスができるフォーカシング制御装置、非接触測定装置およびフォーカシングサーボ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明にかかるフォーカシング制御装置は、測定面に向けて光ビームを発生する光ビーム発生手段と、前記測定面に光ビームが照射されることにより前記測定面で反射された反射光が入射する対物レンズと、前記対物レンズを通った反射光を二つの分割光に分割すると共に、前記対物レンズの移動に伴って前記分割光の光量を増減させる光学系と、前記対物レンズと前記測定面とを前記光軸に沿った方向に相対移動させる移動手段と、前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理手段と、前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御手段と、を備えたフォーカシング制御装置において、前記移動制御手段は、高周波信号を生成する発振手段と、前記発振手段により生成された高周波信号を前記移動手段を制御する制御信号に重畳する信号合成手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるフォーカシング制御装置においては、前記受光信号処理手段は、前記受光信号の光量を判定する光量判定手段を備え、前記移動制御手段は、前記受光信号処理手段により出力されたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視手段を備え、前記フォーカスエラー信号監視手段により前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定手段により前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成手段を介して前記高周波信号を前記制御信号に重畳したうえで、前記移動手段を制御して前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させるようにすることができる。
【0019】
この発明にかかるフォーカシング制御装置においては、前記光学系は、ピンホール方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させるようにすることができる。
【0020】
また、前記光学系は、ナイフエッジ方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させるようにすることができる。
【0021】
この発明にかかる非接触測定装置は、測定面上の測定すべき測定ポイントを入力する入力手段と、前記入力手段を用いて入力された前記測定ポイントとの距離を変位量として非接触に検出する、上記本発明にかかるフォーカシング制御装置を含む光学式変位計とを備えたことを特徴とする。
【0022】
この発明にかかるフォーカシングサーボ制御方法は、測定面に向けて光ビーム発生手段により発生された光ビームを照射するとともに前記測定面で反射された反射光に基づいて、前記測定面に対して光軸に沿った方向に相対移動可能である対物レンズを移動させることにより、前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように制御するフォーカシングサーボ制御方法において、前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理工程と、前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御工程とを備え、前記移動制御工程は、高周波信号を生成する発振工程と、前記高周波信号を前記対物レンズを移動制御する制御信号に重畳する信号合成工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるフォーカシングサーボ制御方法においては、前記受光信号処理工程は、前記受光信号の光量を判定する光量判定工程を含み、前記移動制御工程は、前記受光信号処理工程にて得られたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視工程と、前記フォーカスエラー信号監視工程にて前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成工程にて前記発振工程で生成された高周波信号を前記制御信号に重畳し、前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させることができる。
【0024】
この発明にかかるフォーカシングサーボ制御方法においては、前記移動制御工程では、ピンホール方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることができる。
【0025】
また、前記移動制御工程では、ナイフエッジ方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、外乱光に影響されることなく、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して安定したオートフォーカスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図2】ピンホール方式で生成されたフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図3】ナイフエッジ方式で生成されたフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図4】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の具体的な構成の例を示すブロック図である。
【図5】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の倣い測定を説明するための図である。
【図7】測定データを示す説明図である。
【図8】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置にナイフエッジ方式を採用した場合を説明するための説明図である。
【図9】この発明の一実施形態にかかる非接触測定装置の全体構成の例を示す斜視図である。
【図10】外乱光を説明するための説明図である。
【図11】ピンホール方式の合焦原理を説明するための説明図である。
【図12】ピンホール方式の外乱光への合焦原理を説明するための説明図である。
【図13】ナイフエッジ方式の外乱光への合焦原理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、添付の図面を参照して、この発明にかかるフォーカシング制御装置、非接触測定装置およびフォーカシングサーボ制御方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
[フォーカシング制御装置]
(フォーカシング制御装置の機能的な構成)
図1は、この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、フォーカシング制御装置1は、例えば光ビーム発生部3と、対物レンズ5と、光学系7と、信号生成部9とを備えて構成されている。
【0030】
光ビーム発生部3にて発生された光ビーム(光)L1は、対物レンズ5を介してワークWの測定面に照射される。測定面で反射された反射光L2は、対物レンズ5に入射して光学系7に導かれる。この反射光L2は、光学系7にて例えば2つの分割光L3,L3にそれぞれ分けられる。
【0031】
光学系7は、いわゆるピンホール方式やナイフエッジ方式により反射光L2を分割する構造を備え、ここでの光学系7には、2つの分割光のうち、一方および他方の分割光L3がそれぞれ通過可能な複数のピンホール(図示せず)が設けられている。これらピンホールは、それぞれ一方の分割光L3の結像点の前と他方の分割光L3の結像点の後とに配置されている。このように、この光学系7はピンホール方式を採用していることとなる。
【0032】
そして、これらのピンホールを通過した一方および他方の分割光L3,L3は、信号生成部9で受光されて光電変換される。これにより、信号生成部9からは受光された光量を示す受光量信号Rやフォーカスエラー信号Sが出力される。ここで、この信号生成部9により生成されるフォーカスエラー信号Sの波形の一例を図2に示す。
【0033】
図2に示すように、ワークWの測定面の位置が対物レンズ5の焦点位置Fと一致する場合は、フォーカスエラー信号Sは0(ゼロ)となる。換言すれば、フォーカスエラー信号Sは、合焦位置でゼロクロスするといえる。そして、フォーカスエラー信号Sの負のピーク値がフォーカスエラー信号Sの最小値MINであり、フォーカスエラー信号Sの正のピーク値がフォーカスエラー信号Sの最大値MAXである。
【0034】
この図2に示したフォーカスエラー信号Sは、上述したようにピンホール方式を採用した場合に生成される波形を示している。一方、後述するナイフエッジ方式にて生成される場合のフォーカスエラー信号Sの波形は、例えば図3に示すようになる。
【0035】
これら図2および図3に示された波形を比較すれば分かるように、ピンホール方式では、フォーカスエラー信号Sのカーブ波形のピーク値が大きく、かつS/N比も大きいので、いわゆるノイズを小さくすることができるといえる。したがって、ピンホール方式によればナイフエッジ方式に比べて、良好な波形形状のフォーカスエラー信号Sを得ることができる。
【0036】
また、フォーカシング制御装置1は、記憶部11と、制御部13と、移動制御部15とを備えて構成されている。記憶部11には、図2に示すようなフォーカスエラー信号Sの最小値MINや最大値MAXが記憶されるとともに、信号生成部9からの出力(受光量信号Rを含む)の最小値および最大値や、この出力のレベルを判定するためのレベルしきい値などが記憶される。
【0037】
制御部13は、フォーカシング制御装置1の全体の制御を司るとともに、例えば信号生成部9からの出力に基づいて、フォーカスエラー信号Sが対物レンズ5の合焦条件を満たしているか否かを判定したり、フォーカスエラー信号Sのレベルをレベルしきい値(信号)と比較したり、受光量信号Rのレベルをレベルしきい値(光量)と比較したり、高周波信号を生成する処理を行う。また、制御部13は、移動制御部15を制御する制御信号に、生成した高周波信号を重畳する。
【0038】
移動制御部15は、制御部13からの制御信号に基づいて、対物レンズ5を図1中矢印AおよびBで示す方向(すなわち、光軸に沿った方向)に移動させる制御を行う。また、移動制御部15は、制御部13からの制御信号に重畳された高周波信号に基づいて、対物レンズ5を上記AおよびBで示す方向に微細に振動させる制御を行う。この他、移動制御部15は、ワークWを支持する図示しないテーブルを光軸と直交する方向に移動させる制御を含んでいても良い。
【0039】
(フォーカシング制御装置の構造)
次に、本実施形態に係るフォーカシング制御装置の具体的な構成について、光学式変位計を用いて説明する。図4は、光学式変位計を示すブロック図である。光学式変位計21は、対物レンズ5および光軸方向(すなわち、上方向である図4中矢印Aで示す方向、下方向である矢印Bで示す方向)に対物レンズ5を移動させるアクチュエータ23を備える。
【0040】
また、このアクチュエータ23には、リニアエンコーダ25が設けられている。リニアエンコーダ25は、アクチュエータ23の駆動により対物レンズ5の移動に伴って移動されるスケール27と、このスケール27を読み取る検出器29とを備えて構成されている。
【0041】
さらに、光学式変位計21は、半導体レーザ31と、ビームスプリッタ(偏光)33と、集光レンズ35とを備える。半導体レーザ31は、例えば光ビーム発生手段として機能する。半導体レーザ31で発生された光ビームL1は、ビームスプリッタ33、集光レンズ35および対物レンズ5を介してワークWの測定面Mに照射される。
【0042】
そして、ワークWの測定面Mで反射された反射光L2は、対物レンズ5に入射したのち、集光レンズ35で集光されてビームスプリッタ33に再び導かれる。なお、この例の光学式変位計21は、ビームスプリッタ33で反射された反射光L2を2つの分割光L3に分けるビームスプリッタ(無偏光)37をさらに備えている。
【0043】
このビームスプリッタ37を介して出射される一方の分割光L3の結像点Pの前には、ピンホール39を有する板41が配置されている。また、ビームスプリッタ37を介して出射される他方の分割光L3の結像点Qの前には、ピンホール43を有する板45が配置されている。すなわち、この光学式変位計21は、ピンホール方式を採用している。
【0044】
そして、これら集光レンズ35と、ビームスプリッタ33と、ビームスプリッタ37と、ピンホール39,43を有する板41,45とが、例えば光学系の一例として機能する。板41,45のピンホール39,43を通った各分割光L3,L3は、それぞれフォトダイオード47,49で受光されて光電変換され、電流電圧変換器51,53にて電圧に変換される。
【0045】
これら電圧電流変換器51,53にて電圧に変換された信号は、オペアンプなどの差演算器55および和演算器57にそれぞれ入力される。差演算器55は、フォトダイオード47,49の出力の差(A−B)を演算する。和演算器57は、フォトダイオード47,49の出力の和(A+B)を演算し、受光量信号Rを出力する。
【0046】
さらに、これら差演算器55および和演算器57には、除算器59が接続されている。この除算器59は、差演算器55の出力電圧を和演算器57の出力電圧で割って((A−B)/(A+B))、フォーカスエラー信号Sを出力する。そして、これらフォトダイオード47,49と、電流電圧変換器51,53と、差演算器55と、和演算器57と、除算器59とが、信号生成手段の一例として機能する。
【0047】
フォーカスエラー信号Sは、例えば図2に示すように、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fと一致する場合は0となり、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに対して近い場合には正の値をとる。これに対して、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fから遠い場合には負の値をとる。このように、フォーカスエラー信号Sは、ほぼS字曲線状の信号波形を有する。
【0048】
また、光学式変位計21は、除算器59の出力が入力されるサーボ制御回路61と、これとスイッチ63を介して接続されている信号合成回路65と、この信号合成回路65からの出力が入力されるアクチュエータドライバ66とを備える。サーボ制御回路61は、移動させるワークWの表面である測定面MがワークWの移動により変動することになって焦点が合わなくなった場合に、例えばPID制御により対物レンズ5を焦点位置Fまで移動させるようにアクチュエータドライバ66を制御してアクチュエータ23を駆動させる。
【0049】
すなわち、フォーカシングが終了したのちに、スイッチ63をD/A変換器71側からサーボ制御回路61側へ切り替え、ワークWの移動による測定面Mにサーボ制御回路61にて焦点合わせすることにより、ワークWの表面の粗さなどが測定される。フォーカシングが終了したのちは、フォーカスエラー信号Sは大きく変化しないので、サーボ制御回路61によるPID制御にて焦点位置Fとなるように追従処理される。
【0050】
信号合成回路65は、例えばI/O(入出力ポート)75を介してCPU67から出力されたON/OFF制御信号により、アクチュエータドライバ66の制御信号に発振回路65aで発生された高周波信号を重畳するように合成する。なお、このON/OFF制御信号は、ワークWの反射率が高く、段差を有している場合等に、オペレータなどがキーボード等の入力手段を介してCPU67に対して任意に指示する。また、このON/OFF制御信号は、CPU67が特定の条件を判断して出力することもできる。また、検出器29からの出力を後述するカウンタIC73やCPU67にてフィルタリングする処理をON/OFF操作により選択的に追加することにより、発振の影響を弱めるようにして測定データの変動を抑えるようにしてもよい。アクチュエータドライバ66は、アクチュエータ23の駆動を制御する。
【0051】
さらに、光学式変位計21は、CPU67と、A/D(アナログ/デジタル)変換器69と、D/A(デジタル/アナログ)変換器71と、カウンタIC73と、I/O(入出力ポート)75とを備える。これら各部は、データバス77により互いに接続されている。
【0052】
A/D変換器69は、和演算器57および除算器59に接続され、受光量信号Rやフォーカスエラー信号Sをデジタル信号に変換する。D/A変換器71は、スイッチ63および信号合成回路65を介してアクチュエータドライバ66に接続されている。カウンタIC73は、リニアエンコーダ25の検出器29に接続されている。
【0053】
このカウンタIC73は、検出器29から出力される二相信号に基づいて計数する。I/O(入出力ポート)75は、スイッチ63の切り替え操作部と接続されている。そして、このI/O(入出力ポート)75を介したCPU67からの切り替え制御信号に基づき、スイッチ63の切り替え制御が実行される。
【0054】
アクチュエータドライバ66は、CPU67からの制御信号に基づいて対物レンズ5が光軸に沿った方向に振動する状態にアクチュエータ23を駆動制御(加振制御)する。また、アクチュエータドライバ66は、上記制御信号に発振回路65aからの高周波信号が重畳されている場合は、アクチュエータ23を微細振動するように制御する。
【0055】
そして、この光学式変位計21は、フォーカスエラー信号Sが得られた場合に、焦点位置Fを認識する処理が実行される。すなわち、例えばカウンタIC73にて検出器29からの二相信号(リニアスケールA相信号、B相信号)に基づいて、CPU67は対物レンズ5の位置を認識する。
【0056】
また、CPU67は、フォーカスエラー信号Sを認識した対物レンズ5との位置関係を認識し、位置補償制御により逐次対物レンズ5を移動させる制御をする。そして、CPU67では、PID制御するとともに位置補償制御し、対物レンズ5を焦点位置Fまで移動させるようにアクチュエータドライバ66を制御し、アクチュエータ23を駆動させてフォーカシング(焦点合わせ)を行う。
【0057】
なお、アクチュエータドライバ66と、アクチュエータ23と、リニアエンコーダ25とは、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに位置するように対物レンズ5をその光軸に沿って移動させる制御を、フォーカスエラー信号Sと判断されたことに基づいて実行する移動制御手段の一例として機能する。
【0058】
(フォーカシング制御装置の動作)
本実施形態にかかるフォーカシング制御装置の具体的な一部の動作について、上述した光学式変位計21を用いて説明する。図5は、フォーカシング制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。まず、半導体レーザ31から光ビーム(照射光)L1が発射される(ステップS100)。発射された光ビームは集光レンズ35および対物レンズ5を通ってワークWの測定面Mに照射される。
【0059】
測定面Mからの反射光L2は、光ビームL1と逆の経路をたどって対物レンズ5から集光レンズ35を経てフォトダイオード47,49にて受光される。そして、測定開始位置における初期焦点合わせが行われる。すなわち、フォトダイオード47,49からの受光信号が差演算器55、和演算器57および除算器59により信号処理され、例えば和演算器57から受光量信号Rが出力されるとともに(ステップS101)、除算器59からフォーカスエラー信号Sが出力される(ステップS102)。
【0060】
次に、焦点合わせ処理(ステップS103)が行われる。この焦点合わせ処理においては、スイッチ63がD/A変換器71側に切り替えられ、CPU67からアクチュエータドライバ66の制御信号が信号合成回路65を経てアクチュエータドライバ66に対して出力される。これにより、対物レンズ5が測定面Mに接近および離隔するように光軸方向に沿って上下に往復する。この往復移動の際のフォーカスエラー信号SのS字カーブがゼロクロスポイントとともに認識され、対物レンズ5の位置が認識されて、ゼロクロスポイントにおける対物レンズ5の合焦位置が算出される。
【0061】
そして、CPU67は、認識した現在の対物レンズ5の位置と算出した合焦位置との偏差に基づいて、対物レンズ5を合焦位置に引き込む制御信号を発生し、信号合成回路65を介してアクチュエータドライバ66に対して出力する。アクチュエータドライバ66は、この制御信号に基づいてアクチュエータ23を駆動し、対物レンズ5を合焦位置に移動させる。
【0062】
このような焦点合わせ処理を経て、サーボ制御回路61によりサーボ制御が行われる(ステップS104)。このサーボ制御においては、スイッチ63がサーボ制御回路61側に切り替えられ、サーボ制御回路61からCPU67の制御信号に応じた駆動信号が信号合成回路65を経てアクチュエータドライバ66に出力され、アクチュエータ23が駆動される(ステップS105)。
【0063】
そして、アクチュエータ23により対物レンズ5が光軸に沿った方向に移動され(ステップS106)、対物レンズ5の位置が合焦位置に制御される。このように対物レンズ5が合焦位置に制御されたら、フォーカスエラー信号Sの監視処理が行われる(ステップS107)。この監視処理では、除算器59から出力されたフォーカスエラー信号SがCPU67にて信号レベルしきい値と比較される。
【0064】
例えば、フォーカスエラー信号Sの信号レベルが信号レベルしきい値内である場合は、ステップS104のサーボ制御が継続して実行される。すなわち、このような場合は、対物レンズ5と測定面Mとの距離が焦点距離からあまりずれていない領域であるサーボエリアに入っていると判断される。このとき、サーボ制御回路61は、フォーカスエラー信号Sのゼロクロスポイントからずれた量に基づく位置偏差を求め、この位置偏差を特性補償した制御信号をアクチュエータドライバ66へ向けて信号合成回路65を介して出力する。
【0065】
続いて、受光量信号Rの光量レベル監視処理が行われる(ステップS108)。この監視処理では、和演算器57から出力された受光量信号RがCPU67にて光量レベルしきい値と比較される。例えば受光量信号Rの光量レベルが光量レベルしきい値以上である場合は、受光光量は十分であると判断され、対物レンズ5が正常に合焦位置に達したとされて(ステップS109のY)、対物レンズ5の位置がサンプリングされる(ステップS110)。その後、処理を終了するか否かが判断され(ステップS111)、終了すると判断された場合(ステップS111のY)は、本フローチャートによる一連の動作を終了する。
【0066】
なお、このように動作するフォーカシング制御装置が非接触測定装置等に採用された場合は、上記ステップS110にて対物レンズ5の位置をサンプリングするときに、この対物レンズ5とともに移動されたスケール27の変位を検出器29にて検出する。そして、この検出器29からのパルス信号をカウンタIC73にてカウントしたカウント値を取得して、このカウント値からCPU67などで対物レンズ5の位置を算出した後、終了条件を満たすまでワークWを移動させて同様の処理を繰り返し、ワークWの測定データを得ればよい。
【0067】
一方、上記フォーカスエラー信号Sの監視処理(ステップS107)にて、フォーカスエラー信号Sの信号レベルが信号レベルしきい値を超えている場合は、サーボエリアを超えて対物レンズ5と測定面Mとの距離が焦点距離から比較的大きくずれていると判断される。この場合は、ステップS104のサーボ制御を停止するとともに、ステップS103に移行して焦点合わせ処理が行われる。
【0068】
このとき、例えば信号レベルしきい値を超えた直後の不安定な状態に基づいて焦点合わせを実行することを避け、安定時間経過後に十分に安定したフォーカスエラー信号Sに基づいて正確な焦点合わせを行うため、安定時間を確保するための所定時間(例えば、500μs)のカウントが行われる。そして、安定時間が経過したところで、サーボ制御が停止され、動作を中止して処理を終了する。
【0069】
また、光量レベル監視処理(ステップS108)にて、受光量信号Rの光量レベルが光量レベルしきい値を下回っている場合は、例えばその継続時間がカウントされ、光量レベルしきい値を下回る時間が所定時間(例えば、250ms)以内であれば、光量レベルは十分であると判断されて、ステップS109における合焦位置の判断処理が行われる。
【0070】
本実施形態では、ワークWの反射率が高く、段差を有している場合、オペレータの入力操作でCPU67にON/OFF制御信号をアクティブにするように指示を与える。これにより、アクチュエータ23を微細振動させて対物レンズ5を細かく上下に振動させることができる。この結果、意図的に合焦スポットを外して合焦条件を満足させないようにすることができるので、外乱光に合焦してしまった場合を除外することができる。
【0071】
例えば、図7(a)に示すように、測定データSD中にワークWの測定面Mの段差や端面に起因する外乱光に反応したオーバーシュート(あるいはアンダーシュート)SUが発生してしまうようなワークWを測定する場合、上述したように、アクチュエータ23を微細振動させて、フィルタリングする処理をONにすると、図7(b)に示すように測定データSD中にオーバーシュート(あるいはアンダーシュート)SUが発生することを確実に抑制することが可能となる。
【0072】
このため、このフォーカシング制御装置1によれば、特に非接触測定装置等に採用された場合に反射率の高いワークWの測定面Mにおける段差や端面においても外乱光に影響されることなく、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して安定したオートフォーカスを実現することができ、外乱光に追従する時間を抑えて無効測定データの取得を抑制することができる。
【0073】
また、このようにアクチュエータ23を微細振動させることは、本例のフォーカシング制御装置1のようにピンホール方式を採用した場合であっても、ナイフエッジ方式を採用した場合であっても有効であるが、ナイフエッジ方式を採用する場合は、さらに次のようにしてもよい。
【0074】
図8は、上記フォーカシング制御装置にナイフエッジ方式を採用した場合を説明するための説明図である。図8(a)に示すように、ビームスプリッタ33からの光をエッジミラー85で分割し、2分割フォトダイオード81,83にて受光するナイフエッジ方式の場合は、図8(b)に示すように動作する。
【0075】
すなわち、受光面a,b,a’,b’を備える2分割フォトダイオード81,83にてそれぞれ受光されて光電変換された受光信号を、電流電圧変換器87a,87b,89a,9bにて電圧に変換する。そして、和演算器82,82にて光量a+b,a’+b’を得て、上記ステップS108にて光量レベルを監視する。
【0076】
光量レベルは、例えば上記光量a+b,a’+b’が等しい(すなわち、a+b=a’+b’)か否かにより判定される。そして、光量レベルしきい値との比較に代わり、あるいは加えて、光量レベルが0を含む近傍値であるか否かの判断(すなわち、a+b≒0およびa’+b’≒0の少なくとも一つであるかの判断)を行い、近傍値であると判断された場合は、アクチュエータ23を微細振動させて合焦スポットを外せばよい。
【0077】
このようにすれば、フォーカシング制御装置1にナイフエッジ方式を採用した場合であっても、光軸に対して最大角度で対物レンズ5に入ってしまう外乱光への合焦を防止して、上記と同様に測定面Mの段差や端面で発生する測定データのオーバーシュートやアンダーシュートを効果的に抑制することが可能となる。
【0078】
[非接触測定装置]
非接触測定装置は、ワークWの測定面Mとの距離を変位量として非接触に検出し、これを基にして各種測定を実行する(例えば、図6に示したような測定面Mの形状評価や粗さ評価、倣い測定など)。この発明の一実施形態にかかる非接触測定装置は、上記光学式変位計21を含む構成であるため、この光学式変位計21をワークW上で移動させて測定面Mを測定した際の測定面Mの段差や端面における外乱光に合焦した場合は、次のように動作することができる。
【0079】
すなわち、図5に示したステップS108での光量レベル監視処理にて、光量レベルが微小であったり(ピンホール方式、ナイフエッジ方式の両方に有効)、光量レベルが0を含む近傍値であったり(ナイフエッジ方式に有効)して外乱光に合焦したと判断された場合は、非接触測定装置は、光学式変位計21に上述した合焦スポットを外させるためのアクチュエータ23を微細振動させる処理を実行させる。
【0080】
そして、ワークWに対して光学式変位計21を測定方向とは反対に僅かに戻したところで、再度上記ステップS103の焦点合わせ処理を行わせ、再び測定を再開することで、ワークWの測定面Mの段差や端面での測定データのオーバーシュートやアンダーシュートを抑えつつ測定を行うことができる。この場合、光学式変位計21を戻した場所の位置は、非接触測定装置の座標情報により把握することができるので、測定を開始位置から再開しなくてもワークWの測定データを繋いで得ることが可能となる。なお、光学式変位計21を測定開始位置に戻し、アクチュエータ23を微細振動させた上で測定をやり直すことで測定データを得るようにしてもよい。
【0081】
このような非接触測定装置は、例えば次のように構成される。図9は、この発明の一実施形態にかかる非接触測定装置90の全体構成の例を示す斜視図である。非接触測定装置90は、三次元測定機91と、この三次元測定機91を駆動制御するとともに必要なデータ処理等を実行するコンピュータシステム93とにより構成されている。
【0082】
三次元測定機91は、架台95と、この架台95に取り付けられた測定テーブル97とを備える。測定テーブル97には、測定面を有するワークWが載置される。この測定テーブル97は、図示しないY軸駆動機構によって、図9中矢印Yで示すY軸方向に駆動される。
【0083】
架台97の両側縁中央部には、上方に延びる支持アーム111,113が固定されている。また、各支持アーム111,113の両上端部を連結するように、X軸ガイド115が固定されている。このX軸ガイド115には、撮像ユニット117が支持されている。撮像ユニット117は、図示しないX軸駆動機構によって、図9中矢印Xで示すX軸方向にX軸ガイド115に沿って駆動される。
【0084】
撮像ユニット117には、本実施形態にかかる光学式変位計21が配置されている。この光学式変位計21は、図示しないZ軸駆動機構によって、図9中矢印Zで示すZ軸方向に沿って駆動される。
【0085】
コンピュータシステム93は、測定情報処理および各種制御を司るコンピュータ121と、各種指示情報等を入力するためのキーボード123、ジョイスティックボックス125およびマウス127と、測定画面、指示画面および測定結果を示す情報等を表示するディスプレイ装置129と、測定結果を示す情報等を印刷出力するプリンタ131とを備える。なお、キーボード123やマウス127等が、オペレータの指示(信号合成回路65へのON/OFF制御信号等を含む)等を入力する入力手段として機能する。
【0086】
なお、その他の例として、この非接触測定装置においても、上述したように反射率の高いワークWを測定する場合は、例えばワークWの測定開始前にアクチュエータ23を常時微細振動させる設定として測定を開始するようにすれば、光学式変位計21の外乱光への焦点追従を効果的に防止しつつ、外乱光に追従する時間を抑えて無効測定データの取得を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1…フォーカシング制御装置、3…光ビーム発生部、5…対物レンズ、7…光学系、9…信号生成部、11…記憶部、13…制御部、15…移動制御部、21…光学式変位計、23…アクチュエータ、25…リニアエンコーダ、27…スケール、29…検出器、31…半導体レーザ、33…ビームスプリッタ、35…集光レンズ、37…ビームスプリッタ、39…ピンホール、41…板、43…ピンホール、45…板、47,49…フォトダイオード、51,53…電流電圧変換器、55…差演算器、57…和演算器、59…除算器、61…サーボ制御回路、63…スイッチ、65…信号合成回路、65a…発振回路、66…アクチュエータドライバ、67…CPU、69…A/D変換器、71…D/A変換器、73…カウンタIC、75…I/O、77…データバス、81,83…2分割フォトダイオード、82…和演算器、85…エッジミラー、87a,87b,89a,89b…電流電圧変換器、90…非接触測定装置、91…三次元測定機、93…コンピュータシステム、95…架台、97…測定テーブル、111,113…支持アーム、115…X軸ガイド、117…撮像ユニット、121…コンピュータ、123…キーボード、125…ジョイスティックボックス、127…マウス、129…ディスプレイ装置、131…プリンタ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、フォーカシング制御装置、非接触測定装置およびフォーカシングサーボ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆる合焦点検出方式による非接触変位計では、ワークからの反射光によるフォーカスエラー信号によって焦点位置を検出して、アクチュエータなどの移動手段を使い対物レンズが合焦位置に位置するように追従制御することでワークの変位測定を行っている。
【0003】
しかし、光の反射率が高いワークの段差測定などにおいては、段差や端面に当たり拡散した光(外乱光)が反射光として受光素子に入射すると、焦点位置ではない位置に合焦してしまうことがある。
【0004】
すなわち、焦点の自動検出手段であるフォーカシングサーボ機構は、フォーカスエラー信号が得られるように対物レンズの移動を制御しているが、上記のような反射率が高いワークの段差や端面、あるいは曲面などを対象とした測定では、乱反射した外乱光に対して合焦してしまう場合がある。この場合、測定データ(測定値)がいわゆるオーバーシュートあるいはアンダーシュートしてしまうことがある(例えば、下記特許文献1、非特許文献1参照)。
【0005】
このような現象に関して、具体的に説明する。例えば図10に示すように、合焦点検出方式による非接触変位計を用いて反射率が高いワークWを倣い測定する場合、段差Waにより本来の反射角度とは異なる外乱光DLが対物レンズ101に戻ってくるときがある。そして、このように対物レンズ101に入った外乱光DLを受光素子が受光して合焦条件を満たすと、本来は焦点ではない位置を焦点位置として誤認識してしまう場合がある。
【0006】
このような外乱光DLが正常な反射光として、例えば2つの受光素子の受光量を等しくしてしまい合焦条件を満たしてしまう仕組みを、いわゆるピンホール方式およびナイフエッジ方式のそれぞれの測定原理に基づき簡単に説明する。図11に示すように、ピンホール方式においては、レーザダイオード102から放射された光は、まず、偏光ビームスプリッタ103にて偏光され、コリメータレンズ104を介して平行光となり、対物レンズ101により集光されてワークWの表面へ照射される。
【0007】
そして、ワークWの表面の反射により対物レンズ101に戻った反射光は、偏光ビームスプリッタ103にて反射されたのち、無偏光ビームスプリッタ105により通過光、反射光に分離され、2つのピンホール106a,106bを介して2つの受光素子であるフォトダイオード107a,107bにて受光される。
【0008】
これらフォトダイオード107a,107bにて受光された光の光量は電気信号に変換され、これらの信号のレベルが等しく得られるようにリニアスケール108などを介して対物レンズ101を光軸に沿った方向に移動制御することで、焦点の自動検出を行っている。
【0009】
そして、図12に示すように、ワークWの表面が光軸に対して傾斜するような場合であると、通常は反射光が対物レンズ101に戻らないためフォトダイオード107a,107bにて光量が得られないため測定することはできない。ところが、光軸に対して最大角度θMAXで、図12中太線で示すように対物レンズ101に外乱光DLが入ってしまうと、フォトダイオード107a,107bにて僅かではあるが光量が得られてしまうことがある。
【0010】
このような場合、外乱光DLであっても、例えば合焦条件である2つのフォトダイオード107a,107bでの光量が等しいと判定されると、焦点位置として判断されてしまうこととなる。そして、このような外乱光DLが合焦条件を満たす位置は、光軸に対する最大角度θMAX上に、図12中一点鎖線で示すように多数存在するため、ワークWの段差や端面などによって生じる外乱光DLに合焦してしまうことがある。
【0011】
一方、図13に示すように、ナイフエッジ方式においては、受光素子として一般的に2分割フォトダイオード109a,109bを用い、これら2分割フォトダイオード109a,109bにて受光した光の光量が等しくなれば(すなわち、a+a’=b+b’)、合焦条件を満たすこととなる。
【0012】
このようにナイフエッジ方式を用いた場合であっても、図13中太線で示すように外乱光DLが光軸に対して最大角度θMAXで対物レンズ101に入ると、焦点位置ではなくても2分割フォトダイオード109a,109bにて得られる光量は等しくなる。
【0013】
すなわち、ナイフエッジ方式においてもこのような外乱光DLが合焦条件を満たす位置は、図13中一点鎖線で示すように光軸に対する最大角度θMAX上に多数存在するため、外乱光DLに合焦してしまうことがある。ただし、このナイフエッジ方式では偏光ビームスプリッタ103からの光をエッジミラー110にて分割していることから、光軸に対して最大角度θMAXで対物レンズ101に入った外乱光DLは、2分割フォトダイオード109a,109bのうち、一方のフォトダイオードでは受光されないこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2006−294124号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】清野 慧、孫 萍、大江 敦司 著、「光触針におけるオーバーシュート現象の考察」、精密工学会誌、Vol.62、No.1、1996年、p.140−p.144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この発明は、外乱光に影響されることなく、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して安定したオートフォーカスができるフォーカシング制御装置、非接触測定装置およびフォーカシングサーボ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明にかかるフォーカシング制御装置は、測定面に向けて光ビームを発生する光ビーム発生手段と、前記測定面に光ビームが照射されることにより前記測定面で反射された反射光が入射する対物レンズと、前記対物レンズを通った反射光を二つの分割光に分割すると共に、前記対物レンズの移動に伴って前記分割光の光量を増減させる光学系と、前記対物レンズと前記測定面とを前記光軸に沿った方向に相対移動させる移動手段と、前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理手段と、前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御手段と、を備えたフォーカシング制御装置において、前記移動制御手段は、高周波信号を生成する発振手段と、前記発振手段により生成された高周波信号を前記移動手段を制御する制御信号に重畳する信号合成手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるフォーカシング制御装置においては、前記受光信号処理手段は、前記受光信号の光量を判定する光量判定手段を備え、前記移動制御手段は、前記受光信号処理手段により出力されたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視手段を備え、前記フォーカスエラー信号監視手段により前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定手段により前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成手段を介して前記高周波信号を前記制御信号に重畳したうえで、前記移動手段を制御して前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させるようにすることができる。
【0019】
この発明にかかるフォーカシング制御装置においては、前記光学系は、ピンホール方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させるようにすることができる。
【0020】
また、前記光学系は、ナイフエッジ方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させるようにすることができる。
【0021】
この発明にかかる非接触測定装置は、測定面上の測定すべき測定ポイントを入力する入力手段と、前記入力手段を用いて入力された前記測定ポイントとの距離を変位量として非接触に検出する、上記本発明にかかるフォーカシング制御装置を含む光学式変位計とを備えたことを特徴とする。
【0022】
この発明にかかるフォーカシングサーボ制御方法は、測定面に向けて光ビーム発生手段により発生された光ビームを照射するとともに前記測定面で反射された反射光に基づいて、前記測定面に対して光軸に沿った方向に相対移動可能である対物レンズを移動させることにより、前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように制御するフォーカシングサーボ制御方法において、前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理工程と、前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御工程とを備え、前記移動制御工程は、高周波信号を生成する発振工程と、前記高周波信号を前記対物レンズを移動制御する制御信号に重畳する信号合成工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるフォーカシングサーボ制御方法においては、前記受光信号処理工程は、前記受光信号の光量を判定する光量判定工程を含み、前記移動制御工程は、前記受光信号処理工程にて得られたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視工程と、前記フォーカスエラー信号監視工程にて前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成工程にて前記発振工程で生成された高周波信号を前記制御信号に重畳し、前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させることができる。
【0024】
この発明にかかるフォーカシングサーボ制御方法においては、前記移動制御工程では、ピンホール方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることができる。
【0025】
また、前記移動制御工程では、ナイフエッジ方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、外乱光に影響されることなく、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して安定したオートフォーカスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図2】ピンホール方式で生成されたフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図3】ナイフエッジ方式で生成されたフォーカスエラー信号の波形を示す波形図である。
【図4】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の具体的な構成の例を示すブロック図である。
【図5】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の倣い測定を説明するための図である。
【図7】測定データを示す説明図である。
【図8】この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置にナイフエッジ方式を採用した場合を説明するための説明図である。
【図9】この発明の一実施形態にかかる非接触測定装置の全体構成の例を示す斜視図である。
【図10】外乱光を説明するための説明図である。
【図11】ピンホール方式の合焦原理を説明するための説明図である。
【図12】ピンホール方式の外乱光への合焦原理を説明するための説明図である。
【図13】ナイフエッジ方式の外乱光への合焦原理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、添付の図面を参照して、この発明にかかるフォーカシング制御装置、非接触測定装置およびフォーカシングサーボ制御方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
[フォーカシング制御装置]
(フォーカシング制御装置の機能的な構成)
図1は、この発明の一実施形態にかかるフォーカシング制御装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、フォーカシング制御装置1は、例えば光ビーム発生部3と、対物レンズ5と、光学系7と、信号生成部9とを備えて構成されている。
【0030】
光ビーム発生部3にて発生された光ビーム(光)L1は、対物レンズ5を介してワークWの測定面に照射される。測定面で反射された反射光L2は、対物レンズ5に入射して光学系7に導かれる。この反射光L2は、光学系7にて例えば2つの分割光L3,L3にそれぞれ分けられる。
【0031】
光学系7は、いわゆるピンホール方式やナイフエッジ方式により反射光L2を分割する構造を備え、ここでの光学系7には、2つの分割光のうち、一方および他方の分割光L3がそれぞれ通過可能な複数のピンホール(図示せず)が設けられている。これらピンホールは、それぞれ一方の分割光L3の結像点の前と他方の分割光L3の結像点の後とに配置されている。このように、この光学系7はピンホール方式を採用していることとなる。
【0032】
そして、これらのピンホールを通過した一方および他方の分割光L3,L3は、信号生成部9で受光されて光電変換される。これにより、信号生成部9からは受光された光量を示す受光量信号Rやフォーカスエラー信号Sが出力される。ここで、この信号生成部9により生成されるフォーカスエラー信号Sの波形の一例を図2に示す。
【0033】
図2に示すように、ワークWの測定面の位置が対物レンズ5の焦点位置Fと一致する場合は、フォーカスエラー信号Sは0(ゼロ)となる。換言すれば、フォーカスエラー信号Sは、合焦位置でゼロクロスするといえる。そして、フォーカスエラー信号Sの負のピーク値がフォーカスエラー信号Sの最小値MINであり、フォーカスエラー信号Sの正のピーク値がフォーカスエラー信号Sの最大値MAXである。
【0034】
この図2に示したフォーカスエラー信号Sは、上述したようにピンホール方式を採用した場合に生成される波形を示している。一方、後述するナイフエッジ方式にて生成される場合のフォーカスエラー信号Sの波形は、例えば図3に示すようになる。
【0035】
これら図2および図3に示された波形を比較すれば分かるように、ピンホール方式では、フォーカスエラー信号Sのカーブ波形のピーク値が大きく、かつS/N比も大きいので、いわゆるノイズを小さくすることができるといえる。したがって、ピンホール方式によればナイフエッジ方式に比べて、良好な波形形状のフォーカスエラー信号Sを得ることができる。
【0036】
また、フォーカシング制御装置1は、記憶部11と、制御部13と、移動制御部15とを備えて構成されている。記憶部11には、図2に示すようなフォーカスエラー信号Sの最小値MINや最大値MAXが記憶されるとともに、信号生成部9からの出力(受光量信号Rを含む)の最小値および最大値や、この出力のレベルを判定するためのレベルしきい値などが記憶される。
【0037】
制御部13は、フォーカシング制御装置1の全体の制御を司るとともに、例えば信号生成部9からの出力に基づいて、フォーカスエラー信号Sが対物レンズ5の合焦条件を満たしているか否かを判定したり、フォーカスエラー信号Sのレベルをレベルしきい値(信号)と比較したり、受光量信号Rのレベルをレベルしきい値(光量)と比較したり、高周波信号を生成する処理を行う。また、制御部13は、移動制御部15を制御する制御信号に、生成した高周波信号を重畳する。
【0038】
移動制御部15は、制御部13からの制御信号に基づいて、対物レンズ5を図1中矢印AおよびBで示す方向(すなわち、光軸に沿った方向)に移動させる制御を行う。また、移動制御部15は、制御部13からの制御信号に重畳された高周波信号に基づいて、対物レンズ5を上記AおよびBで示す方向に微細に振動させる制御を行う。この他、移動制御部15は、ワークWを支持する図示しないテーブルを光軸と直交する方向に移動させる制御を含んでいても良い。
【0039】
(フォーカシング制御装置の構造)
次に、本実施形態に係るフォーカシング制御装置の具体的な構成について、光学式変位計を用いて説明する。図4は、光学式変位計を示すブロック図である。光学式変位計21は、対物レンズ5および光軸方向(すなわち、上方向である図4中矢印Aで示す方向、下方向である矢印Bで示す方向)に対物レンズ5を移動させるアクチュエータ23を備える。
【0040】
また、このアクチュエータ23には、リニアエンコーダ25が設けられている。リニアエンコーダ25は、アクチュエータ23の駆動により対物レンズ5の移動に伴って移動されるスケール27と、このスケール27を読み取る検出器29とを備えて構成されている。
【0041】
さらに、光学式変位計21は、半導体レーザ31と、ビームスプリッタ(偏光)33と、集光レンズ35とを備える。半導体レーザ31は、例えば光ビーム発生手段として機能する。半導体レーザ31で発生された光ビームL1は、ビームスプリッタ33、集光レンズ35および対物レンズ5を介してワークWの測定面Mに照射される。
【0042】
そして、ワークWの測定面Mで反射された反射光L2は、対物レンズ5に入射したのち、集光レンズ35で集光されてビームスプリッタ33に再び導かれる。なお、この例の光学式変位計21は、ビームスプリッタ33で反射された反射光L2を2つの分割光L3に分けるビームスプリッタ(無偏光)37をさらに備えている。
【0043】
このビームスプリッタ37を介して出射される一方の分割光L3の結像点Pの前には、ピンホール39を有する板41が配置されている。また、ビームスプリッタ37を介して出射される他方の分割光L3の結像点Qの前には、ピンホール43を有する板45が配置されている。すなわち、この光学式変位計21は、ピンホール方式を採用している。
【0044】
そして、これら集光レンズ35と、ビームスプリッタ33と、ビームスプリッタ37と、ピンホール39,43を有する板41,45とが、例えば光学系の一例として機能する。板41,45のピンホール39,43を通った各分割光L3,L3は、それぞれフォトダイオード47,49で受光されて光電変換され、電流電圧変換器51,53にて電圧に変換される。
【0045】
これら電圧電流変換器51,53にて電圧に変換された信号は、オペアンプなどの差演算器55および和演算器57にそれぞれ入力される。差演算器55は、フォトダイオード47,49の出力の差(A−B)を演算する。和演算器57は、フォトダイオード47,49の出力の和(A+B)を演算し、受光量信号Rを出力する。
【0046】
さらに、これら差演算器55および和演算器57には、除算器59が接続されている。この除算器59は、差演算器55の出力電圧を和演算器57の出力電圧で割って((A−B)/(A+B))、フォーカスエラー信号Sを出力する。そして、これらフォトダイオード47,49と、電流電圧変換器51,53と、差演算器55と、和演算器57と、除算器59とが、信号生成手段の一例として機能する。
【0047】
フォーカスエラー信号Sは、例えば図2に示すように、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fと一致する場合は0となり、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに対して近い場合には正の値をとる。これに対して、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fから遠い場合には負の値をとる。このように、フォーカスエラー信号Sは、ほぼS字曲線状の信号波形を有する。
【0048】
また、光学式変位計21は、除算器59の出力が入力されるサーボ制御回路61と、これとスイッチ63を介して接続されている信号合成回路65と、この信号合成回路65からの出力が入力されるアクチュエータドライバ66とを備える。サーボ制御回路61は、移動させるワークWの表面である測定面MがワークWの移動により変動することになって焦点が合わなくなった場合に、例えばPID制御により対物レンズ5を焦点位置Fまで移動させるようにアクチュエータドライバ66を制御してアクチュエータ23を駆動させる。
【0049】
すなわち、フォーカシングが終了したのちに、スイッチ63をD/A変換器71側からサーボ制御回路61側へ切り替え、ワークWの移動による測定面Mにサーボ制御回路61にて焦点合わせすることにより、ワークWの表面の粗さなどが測定される。フォーカシングが終了したのちは、フォーカスエラー信号Sは大きく変化しないので、サーボ制御回路61によるPID制御にて焦点位置Fとなるように追従処理される。
【0050】
信号合成回路65は、例えばI/O(入出力ポート)75を介してCPU67から出力されたON/OFF制御信号により、アクチュエータドライバ66の制御信号に発振回路65aで発生された高周波信号を重畳するように合成する。なお、このON/OFF制御信号は、ワークWの反射率が高く、段差を有している場合等に、オペレータなどがキーボード等の入力手段を介してCPU67に対して任意に指示する。また、このON/OFF制御信号は、CPU67が特定の条件を判断して出力することもできる。また、検出器29からの出力を後述するカウンタIC73やCPU67にてフィルタリングする処理をON/OFF操作により選択的に追加することにより、発振の影響を弱めるようにして測定データの変動を抑えるようにしてもよい。アクチュエータドライバ66は、アクチュエータ23の駆動を制御する。
【0051】
さらに、光学式変位計21は、CPU67と、A/D(アナログ/デジタル)変換器69と、D/A(デジタル/アナログ)変換器71と、カウンタIC73と、I/O(入出力ポート)75とを備える。これら各部は、データバス77により互いに接続されている。
【0052】
A/D変換器69は、和演算器57および除算器59に接続され、受光量信号Rやフォーカスエラー信号Sをデジタル信号に変換する。D/A変換器71は、スイッチ63および信号合成回路65を介してアクチュエータドライバ66に接続されている。カウンタIC73は、リニアエンコーダ25の検出器29に接続されている。
【0053】
このカウンタIC73は、検出器29から出力される二相信号に基づいて計数する。I/O(入出力ポート)75は、スイッチ63の切り替え操作部と接続されている。そして、このI/O(入出力ポート)75を介したCPU67からの切り替え制御信号に基づき、スイッチ63の切り替え制御が実行される。
【0054】
アクチュエータドライバ66は、CPU67からの制御信号に基づいて対物レンズ5が光軸に沿った方向に振動する状態にアクチュエータ23を駆動制御(加振制御)する。また、アクチュエータドライバ66は、上記制御信号に発振回路65aからの高周波信号が重畳されている場合は、アクチュエータ23を微細振動するように制御する。
【0055】
そして、この光学式変位計21は、フォーカスエラー信号Sが得られた場合に、焦点位置Fを認識する処理が実行される。すなわち、例えばカウンタIC73にて検出器29からの二相信号(リニアスケールA相信号、B相信号)に基づいて、CPU67は対物レンズ5の位置を認識する。
【0056】
また、CPU67は、フォーカスエラー信号Sを認識した対物レンズ5との位置関係を認識し、位置補償制御により逐次対物レンズ5を移動させる制御をする。そして、CPU67では、PID制御するとともに位置補償制御し、対物レンズ5を焦点位置Fまで移動させるようにアクチュエータドライバ66を制御し、アクチュエータ23を駆動させてフォーカシング(焦点合わせ)を行う。
【0057】
なお、アクチュエータドライバ66と、アクチュエータ23と、リニアエンコーダ25とは、ワークWの測定面Mが対物レンズ5の焦点位置Fに位置するように対物レンズ5をその光軸に沿って移動させる制御を、フォーカスエラー信号Sと判断されたことに基づいて実行する移動制御手段の一例として機能する。
【0058】
(フォーカシング制御装置の動作)
本実施形態にかかるフォーカシング制御装置の具体的な一部の動作について、上述した光学式変位計21を用いて説明する。図5は、フォーカシング制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。まず、半導体レーザ31から光ビーム(照射光)L1が発射される(ステップS100)。発射された光ビームは集光レンズ35および対物レンズ5を通ってワークWの測定面Mに照射される。
【0059】
測定面Mからの反射光L2は、光ビームL1と逆の経路をたどって対物レンズ5から集光レンズ35を経てフォトダイオード47,49にて受光される。そして、測定開始位置における初期焦点合わせが行われる。すなわち、フォトダイオード47,49からの受光信号が差演算器55、和演算器57および除算器59により信号処理され、例えば和演算器57から受光量信号Rが出力されるとともに(ステップS101)、除算器59からフォーカスエラー信号Sが出力される(ステップS102)。
【0060】
次に、焦点合わせ処理(ステップS103)が行われる。この焦点合わせ処理においては、スイッチ63がD/A変換器71側に切り替えられ、CPU67からアクチュエータドライバ66の制御信号が信号合成回路65を経てアクチュエータドライバ66に対して出力される。これにより、対物レンズ5が測定面Mに接近および離隔するように光軸方向に沿って上下に往復する。この往復移動の際のフォーカスエラー信号SのS字カーブがゼロクロスポイントとともに認識され、対物レンズ5の位置が認識されて、ゼロクロスポイントにおける対物レンズ5の合焦位置が算出される。
【0061】
そして、CPU67は、認識した現在の対物レンズ5の位置と算出した合焦位置との偏差に基づいて、対物レンズ5を合焦位置に引き込む制御信号を発生し、信号合成回路65を介してアクチュエータドライバ66に対して出力する。アクチュエータドライバ66は、この制御信号に基づいてアクチュエータ23を駆動し、対物レンズ5を合焦位置に移動させる。
【0062】
このような焦点合わせ処理を経て、サーボ制御回路61によりサーボ制御が行われる(ステップS104)。このサーボ制御においては、スイッチ63がサーボ制御回路61側に切り替えられ、サーボ制御回路61からCPU67の制御信号に応じた駆動信号が信号合成回路65を経てアクチュエータドライバ66に出力され、アクチュエータ23が駆動される(ステップS105)。
【0063】
そして、アクチュエータ23により対物レンズ5が光軸に沿った方向に移動され(ステップS106)、対物レンズ5の位置が合焦位置に制御される。このように対物レンズ5が合焦位置に制御されたら、フォーカスエラー信号Sの監視処理が行われる(ステップS107)。この監視処理では、除算器59から出力されたフォーカスエラー信号SがCPU67にて信号レベルしきい値と比較される。
【0064】
例えば、フォーカスエラー信号Sの信号レベルが信号レベルしきい値内である場合は、ステップS104のサーボ制御が継続して実行される。すなわち、このような場合は、対物レンズ5と測定面Mとの距離が焦点距離からあまりずれていない領域であるサーボエリアに入っていると判断される。このとき、サーボ制御回路61は、フォーカスエラー信号Sのゼロクロスポイントからずれた量に基づく位置偏差を求め、この位置偏差を特性補償した制御信号をアクチュエータドライバ66へ向けて信号合成回路65を介して出力する。
【0065】
続いて、受光量信号Rの光量レベル監視処理が行われる(ステップS108)。この監視処理では、和演算器57から出力された受光量信号RがCPU67にて光量レベルしきい値と比較される。例えば受光量信号Rの光量レベルが光量レベルしきい値以上である場合は、受光光量は十分であると判断され、対物レンズ5が正常に合焦位置に達したとされて(ステップS109のY)、対物レンズ5の位置がサンプリングされる(ステップS110)。その後、処理を終了するか否かが判断され(ステップS111)、終了すると判断された場合(ステップS111のY)は、本フローチャートによる一連の動作を終了する。
【0066】
なお、このように動作するフォーカシング制御装置が非接触測定装置等に採用された場合は、上記ステップS110にて対物レンズ5の位置をサンプリングするときに、この対物レンズ5とともに移動されたスケール27の変位を検出器29にて検出する。そして、この検出器29からのパルス信号をカウンタIC73にてカウントしたカウント値を取得して、このカウント値からCPU67などで対物レンズ5の位置を算出した後、終了条件を満たすまでワークWを移動させて同様の処理を繰り返し、ワークWの測定データを得ればよい。
【0067】
一方、上記フォーカスエラー信号Sの監視処理(ステップS107)にて、フォーカスエラー信号Sの信号レベルが信号レベルしきい値を超えている場合は、サーボエリアを超えて対物レンズ5と測定面Mとの距離が焦点距離から比較的大きくずれていると判断される。この場合は、ステップS104のサーボ制御を停止するとともに、ステップS103に移行して焦点合わせ処理が行われる。
【0068】
このとき、例えば信号レベルしきい値を超えた直後の不安定な状態に基づいて焦点合わせを実行することを避け、安定時間経過後に十分に安定したフォーカスエラー信号Sに基づいて正確な焦点合わせを行うため、安定時間を確保するための所定時間(例えば、500μs)のカウントが行われる。そして、安定時間が経過したところで、サーボ制御が停止され、動作を中止して処理を終了する。
【0069】
また、光量レベル監視処理(ステップS108)にて、受光量信号Rの光量レベルが光量レベルしきい値を下回っている場合は、例えばその継続時間がカウントされ、光量レベルしきい値を下回る時間が所定時間(例えば、250ms)以内であれば、光量レベルは十分であると判断されて、ステップS109における合焦位置の判断処理が行われる。
【0070】
本実施形態では、ワークWの反射率が高く、段差を有している場合、オペレータの入力操作でCPU67にON/OFF制御信号をアクティブにするように指示を与える。これにより、アクチュエータ23を微細振動させて対物レンズ5を細かく上下に振動させることができる。この結果、意図的に合焦スポットを外して合焦条件を満足させないようにすることができるので、外乱光に合焦してしまった場合を除外することができる。
【0071】
例えば、図7(a)に示すように、測定データSD中にワークWの測定面Mの段差や端面に起因する外乱光に反応したオーバーシュート(あるいはアンダーシュート)SUが発生してしまうようなワークWを測定する場合、上述したように、アクチュエータ23を微細振動させて、フィルタリングする処理をONにすると、図7(b)に示すように測定データSD中にオーバーシュート(あるいはアンダーシュート)SUが発生することを確実に抑制することが可能となる。
【0072】
このため、このフォーカシング制御装置1によれば、特に非接触測定装置等に採用された場合に反射率の高いワークWの測定面Mにおける段差や端面においても外乱光に影響されることなく、オーバーシュートやアンダーシュートを抑制して安定したオートフォーカスを実現することができ、外乱光に追従する時間を抑えて無効測定データの取得を抑制することができる。
【0073】
また、このようにアクチュエータ23を微細振動させることは、本例のフォーカシング制御装置1のようにピンホール方式を採用した場合であっても、ナイフエッジ方式を採用した場合であっても有効であるが、ナイフエッジ方式を採用する場合は、さらに次のようにしてもよい。
【0074】
図8は、上記フォーカシング制御装置にナイフエッジ方式を採用した場合を説明するための説明図である。図8(a)に示すように、ビームスプリッタ33からの光をエッジミラー85で分割し、2分割フォトダイオード81,83にて受光するナイフエッジ方式の場合は、図8(b)に示すように動作する。
【0075】
すなわち、受光面a,b,a’,b’を備える2分割フォトダイオード81,83にてそれぞれ受光されて光電変換された受光信号を、電流電圧変換器87a,87b,89a,9bにて電圧に変換する。そして、和演算器82,82にて光量a+b,a’+b’を得て、上記ステップS108にて光量レベルを監視する。
【0076】
光量レベルは、例えば上記光量a+b,a’+b’が等しい(すなわち、a+b=a’+b’)か否かにより判定される。そして、光量レベルしきい値との比較に代わり、あるいは加えて、光量レベルが0を含む近傍値であるか否かの判断(すなわち、a+b≒0およびa’+b’≒0の少なくとも一つであるかの判断)を行い、近傍値であると判断された場合は、アクチュエータ23を微細振動させて合焦スポットを外せばよい。
【0077】
このようにすれば、フォーカシング制御装置1にナイフエッジ方式を採用した場合であっても、光軸に対して最大角度で対物レンズ5に入ってしまう外乱光への合焦を防止して、上記と同様に測定面Mの段差や端面で発生する測定データのオーバーシュートやアンダーシュートを効果的に抑制することが可能となる。
【0078】
[非接触測定装置]
非接触測定装置は、ワークWの測定面Mとの距離を変位量として非接触に検出し、これを基にして各種測定を実行する(例えば、図6に示したような測定面Mの形状評価や粗さ評価、倣い測定など)。この発明の一実施形態にかかる非接触測定装置は、上記光学式変位計21を含む構成であるため、この光学式変位計21をワークW上で移動させて測定面Mを測定した際の測定面Mの段差や端面における外乱光に合焦した場合は、次のように動作することができる。
【0079】
すなわち、図5に示したステップS108での光量レベル監視処理にて、光量レベルが微小であったり(ピンホール方式、ナイフエッジ方式の両方に有効)、光量レベルが0を含む近傍値であったり(ナイフエッジ方式に有効)して外乱光に合焦したと判断された場合は、非接触測定装置は、光学式変位計21に上述した合焦スポットを外させるためのアクチュエータ23を微細振動させる処理を実行させる。
【0080】
そして、ワークWに対して光学式変位計21を測定方向とは反対に僅かに戻したところで、再度上記ステップS103の焦点合わせ処理を行わせ、再び測定を再開することで、ワークWの測定面Mの段差や端面での測定データのオーバーシュートやアンダーシュートを抑えつつ測定を行うことができる。この場合、光学式変位計21を戻した場所の位置は、非接触測定装置の座標情報により把握することができるので、測定を開始位置から再開しなくてもワークWの測定データを繋いで得ることが可能となる。なお、光学式変位計21を測定開始位置に戻し、アクチュエータ23を微細振動させた上で測定をやり直すことで測定データを得るようにしてもよい。
【0081】
このような非接触測定装置は、例えば次のように構成される。図9は、この発明の一実施形態にかかる非接触測定装置90の全体構成の例を示す斜視図である。非接触測定装置90は、三次元測定機91と、この三次元測定機91を駆動制御するとともに必要なデータ処理等を実行するコンピュータシステム93とにより構成されている。
【0082】
三次元測定機91は、架台95と、この架台95に取り付けられた測定テーブル97とを備える。測定テーブル97には、測定面を有するワークWが載置される。この測定テーブル97は、図示しないY軸駆動機構によって、図9中矢印Yで示すY軸方向に駆動される。
【0083】
架台97の両側縁中央部には、上方に延びる支持アーム111,113が固定されている。また、各支持アーム111,113の両上端部を連結するように、X軸ガイド115が固定されている。このX軸ガイド115には、撮像ユニット117が支持されている。撮像ユニット117は、図示しないX軸駆動機構によって、図9中矢印Xで示すX軸方向にX軸ガイド115に沿って駆動される。
【0084】
撮像ユニット117には、本実施形態にかかる光学式変位計21が配置されている。この光学式変位計21は、図示しないZ軸駆動機構によって、図9中矢印Zで示すZ軸方向に沿って駆動される。
【0085】
コンピュータシステム93は、測定情報処理および各種制御を司るコンピュータ121と、各種指示情報等を入力するためのキーボード123、ジョイスティックボックス125およびマウス127と、測定画面、指示画面および測定結果を示す情報等を表示するディスプレイ装置129と、測定結果を示す情報等を印刷出力するプリンタ131とを備える。なお、キーボード123やマウス127等が、オペレータの指示(信号合成回路65へのON/OFF制御信号等を含む)等を入力する入力手段として機能する。
【0086】
なお、その他の例として、この非接触測定装置においても、上述したように反射率の高いワークWを測定する場合は、例えばワークWの測定開始前にアクチュエータ23を常時微細振動させる設定として測定を開始するようにすれば、光学式変位計21の外乱光への焦点追従を効果的に防止しつつ、外乱光に追従する時間を抑えて無効測定データの取得を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1…フォーカシング制御装置、3…光ビーム発生部、5…対物レンズ、7…光学系、9…信号生成部、11…記憶部、13…制御部、15…移動制御部、21…光学式変位計、23…アクチュエータ、25…リニアエンコーダ、27…スケール、29…検出器、31…半導体レーザ、33…ビームスプリッタ、35…集光レンズ、37…ビームスプリッタ、39…ピンホール、41…板、43…ピンホール、45…板、47,49…フォトダイオード、51,53…電流電圧変換器、55…差演算器、57…和演算器、59…除算器、61…サーボ制御回路、63…スイッチ、65…信号合成回路、65a…発振回路、66…アクチュエータドライバ、67…CPU、69…A/D変換器、71…D/A変換器、73…カウンタIC、75…I/O、77…データバス、81,83…2分割フォトダイオード、82…和演算器、85…エッジミラー、87a,87b,89a,89b…電流電圧変換器、90…非接触測定装置、91…三次元測定機、93…コンピュータシステム、95…架台、97…測定テーブル、111,113…支持アーム、115…X軸ガイド、117…撮像ユニット、121…コンピュータ、123…キーボード、125…ジョイスティックボックス、127…マウス、129…ディスプレイ装置、131…プリンタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定面に向けて光ビームを発生する光ビーム発生手段と、
前記測定面に光ビームが照射されることにより前記測定面で反射された反射光が入射する対物レンズと、
前記対物レンズを通った反射光を二つの分割光に分割すると共に、前記対物レンズの移動に伴って前記分割光の光量を増減させる光学系と、
前記対物レンズと前記測定面とを前記光軸に沿った方向に相対移動させる移動手段と、
前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理手段と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御手段と、を備えたフォーカシング制御装置において、
前記移動制御手段は、高周波信号を生成する発振手段と、前記発振手段により生成された高周波信号を前記移動手段を制御する制御信号に重畳する信号合成手段とを備える
ことを特徴とするフォーカシング制御装置。
【請求項2】
前記受光信号処理手段は、前記受光信号の光量を判定する光量判定手段を備え、
前記移動制御手段は、前記受光信号処理手段により出力されたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視手段を備え、前記フォーカスエラー信号監視手段により前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定手段により前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成手段を介して前記高周波信号を前記制御信号に重畳したうえで、前記移動手段を制御して前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させる
ことを特徴とする請求項1記載のフォーカシング制御装置。
【請求項3】
前記光学系は、ピンホール方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、
前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させる
ことを特徴とする請求項2記載のフォーカシング制御装置。
【請求項4】
前記光学系は、ナイフエッジ方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、
前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させる
ことを特徴とする請求項2記載のフォーカシング制御装置。
【請求項5】
測定面上の測定すべき測定ポイントを入力する入力手段と、
前記入力手段を用いて入力された前記測定ポイントとの距離を変位量として非接触に検出する、請求項1〜4のいずれか1項記載のフォーカシング制御装置を含む光学式変位計と
を備えたことを特徴とする非接触測定装置。
【請求項6】
測定面に向けて光ビーム発生手段により発生された光ビームを照射するとともに前記測定面で反射された反射光に基づいて、前記測定面に対して光軸に沿った方向に相対移動可能である対物レンズを移動させることにより、前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように制御するフォーカシングサーボ制御方法において、
前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理工程と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御工程とを備え、
前記移動制御工程は、高周波信号を生成する発振工程と、前記高周波信号を前記対物レンズを移動制御する制御信号に重畳する信号合成工程とを含む
ことを特徴とするフォーカシングサーボ制御方法。
【請求項7】
前記受光信号処理工程は、前記受光信号の光量を判定する光量判定工程を含み、
前記移動制御工程は、前記受光信号処理工程にて得られたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視工程と、前記フォーカスエラー信号監視工程にて前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成工程にて前記発振工程で生成された高周波信号を前記制御信号に重畳し、前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させる
ことを特徴とする請求項6記載のフォーカシングサーボ制御方法。
【請求項8】
前記移動制御工程では、ピンホール方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることを特徴とする請求項7記載のフォーカシングサーボ制御方法。
【請求項9】
前記移動制御工程では、ナイフエッジ方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることを特徴とする請求項7記載のフォーカシングサーボ制御方法。
【請求項1】
測定面に向けて光ビームを発生する光ビーム発生手段と、
前記測定面に光ビームが照射されることにより前記測定面で反射された反射光が入射する対物レンズと、
前記対物レンズを通った反射光を二つの分割光に分割すると共に、前記対物レンズの移動に伴って前記分割光の光量を増減させる光学系と、
前記対物レンズと前記測定面とを前記光軸に沿った方向に相対移動させる移動手段と、
前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理手段と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御手段と、を備えたフォーカシング制御装置において、
前記移動制御手段は、高周波信号を生成する発振手段と、前記発振手段により生成された高周波信号を前記移動手段を制御する制御信号に重畳する信号合成手段とを備える
ことを特徴とするフォーカシング制御装置。
【請求項2】
前記受光信号処理手段は、前記受光信号の光量を判定する光量判定手段を備え、
前記移動制御手段は、前記受光信号処理手段により出力されたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視手段を備え、前記フォーカスエラー信号監視手段により前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定手段により前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成手段を介して前記高周波信号を前記制御信号に重畳したうえで、前記移動手段を制御して前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させる
ことを特徴とする請求項1記載のフォーカシング制御装置。
【請求項3】
前記光学系は、ピンホール方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、
前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させる
ことを特徴とする請求項2記載のフォーカシング制御装置。
【請求項4】
前記光学系は、ナイフエッジ方式により前記反射光を複数の受光素子によりそれぞれ受光する構造からなり、
前記移動制御手段は、前記光量判定手段により前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させる
ことを特徴とする請求項2記載のフォーカシング制御装置。
【請求項5】
測定面上の測定すべき測定ポイントを入力する入力手段と、
前記入力手段を用いて入力された前記測定ポイントとの距離を変位量として非接触に検出する、請求項1〜4のいずれか1項記載のフォーカシング制御装置を含む光学式変位計と
を備えたことを特徴とする非接触測定装置。
【請求項6】
測定面に向けて光ビーム発生手段により発生された光ビームを照射するとともに前記測定面で反射された反射光に基づいて、前記測定面に対して光軸に沿った方向に相対移動可能である対物レンズを移動させることにより、前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように制御するフォーカシングサーボ制御方法において、
前記測定面からの反射光を受光して得られる受光信号を光電変換してフォーカスエラー信号を生成する受光信号処理工程と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記測定面が前記対物レンズの焦点位置に位置するように前記対物レンズを前記光軸に沿って移動させる制御を行う移動制御工程とを備え、
前記移動制御工程は、高周波信号を生成する発振工程と、前記高周波信号を前記対物レンズを移動制御する制御信号に重畳する信号合成工程とを含む
ことを特徴とするフォーカシングサーボ制御方法。
【請求項7】
前記受光信号処理工程は、前記受光信号の光量を判定する光量判定工程を含み、
前記移動制御工程は、前記受光信号処理工程にて得られたフォーカスエラー信号を監視して前記対物レンズの合焦条件を満たしているか否かを判定するフォーカスエラー信号監視工程と、前記フォーカスエラー信号監視工程にて前記フォーカスエラー信号が前記対物レンズの合焦条件を満たしていると判定され、かつ前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が所定の条件を満たしていると判定された場合に、前記信号合成工程にて前記発振工程で生成された高周波信号を前記制御信号に重畳し、前記対物レンズを前記光軸に沿った方向に微細振動させる
ことを特徴とする請求項6記載のフォーカシングサーボ制御方法。
【請求項8】
前記移動制御工程では、ピンホール方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量があらかじめ設定された光量レベル未満であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることを特徴とする請求項7記載のフォーカシングサーボ制御方法。
【請求項9】
前記移動制御工程では、ナイフエッジ方式により前記反射光を受光する場合に、前記光量判定工程にて前記受光信号の光量が等しく、かつ光量レベルが0を含む近傍値の範囲内であると判定されたときに、前記対物レンズを微細振動させることを特徴とする請求項7記載のフォーカシングサーボ制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−205344(P2010−205344A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50171(P2009−50171)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
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