フック部を有するオーバーモールド部材および、台座部を含む型とのアセンブリ
第1に、オーバーモールドして成形品にするようデザインされ、フック部を有するオーバーモールド部材であって、2つの先端側壁部および底部によって規定される開口内部空間を形成し、部材から出ているフック部が底部から突出するオーバーモールド部材と、第2に、内部ボリュームを規定する内壁部を有する型であって、内部ボリュームが型の中でモールディングによって形成する物品と同じ形状をしており、少なくとも1つの台座部が内壁部から内部ボリュームの中へと突出しており、オーバーモールド部材が、成形用発泡体を成形している間、台座部と接触し、台座部が、2つの対向する外側面を有するレール形状部分を含む型とを備えるアセンブリであって、発泡体を成形している間、先端側壁部と外側面の間にフック部が介在することなく、オーバーモールド部材のそれぞれの先端側壁部が、それぞれの対向する外側面と接触しする、アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その物品を成形しながら、オーバーモールド物品の中にオーバーモールドするようデザインされた、フック部を有するオーバーモールド部材であって、その物品が特に発泡体であり、具体的には自動車用のクッションであるオーバーモールド部材に関する。
本発明はまた、この種のオーバーモールド部材と、成形中にオーバーモールド部材と協働する台座部を含む型とから構成されるアセンブリに関する。
本発明はまた、成形材料、特に発泡体から作られた本体と、その本体にオーバーモールドされた上記の種類のオーバーモールド部材とを有する成形品に関する。
本発明はまた、この種類の成形品、特に自動車のクッションと、成形品の外面を覆うカバーとから構成されたユニットであって、特に成形クッションである成形品とそのカバーとが面ファスナにより互いに固定され、フック部を有する部材から生じるフック部が成形品にオーバーモールドされ、ループ部がカバーから生じるユニットに関する。
本発明はまた、上述した種類の成形品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自動車用の熱可塑性発泡体成形クッションの外面に布製のカバーを固定するために、面ファスナまたは「タッチ・ファスナー」を使用することはよくあることである。従来、熱可塑性材料片からなるオーバーモールド部材は、フック部が突出している面を有し、金属含有樹脂が他方の面に取りつけられている。この場合、フック部を有するオーバーモールド部材は、具体的には型の底部に形成した台座部、具体的には台座部の上面に形成した空洞部の上に配置される。型の底部、台座部の上面に形成された空洞部は、直立壁を有し、モールディングによって成形品を得るために発泡体を注入する間、フック部を有するオーバーモールド部材は、フック部が空洞部内部に配置された状態で、この直立壁の上に置かれる。空洞部の底部には、金属含有樹脂によりオーバーモールド部材を引きつけるとともに、発泡体に対して良好に密封してオーバーモールド部材を直立壁の上端部と接触した状態で不動に保持するように、磁石が置かれている。発泡体を成形し、冷却して固まるように放置すると、フック部を有するオーバーモールド部材をオーバーモールドした成形品が得られる。このとき、フック部は成形品の外面に現れており、例えば布地等の形態のカバーであるループ部と(または、さらに言えば、その自動固定装置がフック間装置(hook−in−hook devide)であればフック部と)、フック部とループ部が互いに協働して上記カバーを成形品の周りに固定するように、協働する。
【0003】
上記従来技術には、さまざまな欠点がある。
第1に、フック部を保護するための空洞部を台座部の上部に、例えば機械加工によって形成する必要がある。さらに、成形工程の間、上記従来技術では、オーバーモールド部材を台座部の上に位置決めするのに多大な労力が必要であり、このことは大量生産にとって不都合である。さらに、台座部に形成した保護用空洞部内に配置した磁石は、型が交互に加熱、冷却されるために、時間がたつにつれて劣化する。生産過程の間に、いずれそれらの磁石を交換することが必要なときがくるが、この作業は費用がかかり、時間も非常にかかる。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、本発明の目的は、フック部を有するオーバーモールド部材を成形品にオーバーモールドするシステムであって、保護用の空洞部を設ける必要も、磁石を使う必要もなく、それでいてモールディングの間に成形用発泡体に対するフック部の保護を劣化させないシステムを提案して従来技術の欠点を克服することである。
【0005】
第1の態様では、本発明は、第1に、オーバーモールドして成形品にするようデザインされ、フック部を有するオーバーモールド部材であって、2つの先端側壁部および底部によって規定される開口内部空間を形成し、その部材から出ている少なくとも1つのフック部が底部から突出し、または、その部材から出ているいくつかのフック部が底部から突出するオーバーモールド部材と、第2に、内部ボリュームを規定する内壁部を有する型であって、内部ボリュームが型の中でモールディングによって形成する物品と同じ形状をしており、少なくとも1つの台座部が上記内壁部から内部ボリュームの中へと突出しており、フック部を有するオーバーモールド部材が、成形用発泡体を成形している間、台座部と接触し、台座部が、具体的には平行面である2つの対向する外側面を有するレール形状部分を含む、型とを備え、発泡体を成形している間、先端側壁部と外側面の間にフック部が介在することなく、オーバーモールド部材のそれぞれの先端側壁部が、それぞれの対向する外側面と接触するアセンブリを提供する。
【0006】
本発明によれば、台座部が2つの側壁部の間に固定され、フック部に損傷を与えることなくフック部のところを内部空間に注入される液状発泡体で密閉するように、その側壁部が2つの側面に、特に弾性的な方法で押しつけられる。具体的には、上記フック部は、台座部の壁部とオーバーモールド部材の壁部との間で万力で把持されるのではなく、2つの壁部は互いに押しつけられるため、従来技術の場合のように押し潰されることはない。
【0007】
このようにして、台座部の側面とオーバーモールド部材の壁部との間の接触部のところが、フック部を十分に保護するように、発泡体に対して良好に密閉される。
このため、第1に、台座部の上部に空洞部を形成する用意をすること、第2に、磁石と金属材料を有するシステムを用意すること、さらに言えば、オーバーモールド部材の良好な位置決め、および、フック部の良好な保護を保証するために、モールディング中に注入される液状発泡体からフック部を保護する他の複雑な装置を用意する必要はもはやない。
したがって、フック部を有するオーバーモールド部材をモールディングをする前に型の中に配置する方法、特にオーバーモールド部材を位置決めする方法を簡単にでき、さらに、型自体もより簡単な構造になる。
モールディングの終わりに、フック部が得られる。フック部は、成形品の外側に、溝部または深溝部の底部に現れ、この溝部または深溝部は、幅が狭く(具体的には台座部と同じぐらい幅が狭く)、特に従来技術におけるよりも幅が狭くできる。
【0008】
好ましい実施形態では、フック部を有する部材が、その2つの側壁部の間で台座部を固定し、特に力をかけて固定する。
【0009】
特に、オーバーモールド部材および台座部のそれぞれの壁部の間の接触は、それぞれの線、特に直線に沿って生じる。好ましくは、2つの側壁部の最も内側の先端部は、形状が直線状であり、好ましくは互いに平行であり、上面図に見られるように、レール部の2つの外側面は同じ直線状な形状をしているので、上記のそれぞれの接触線も直線状である。
【0010】
改良例では、フック部を有する部材と台座部との間がクリップ留めによって接触する。
【0011】
好ましくは、発泡体を成形している間、フック部を有するオーバーモールド部材のフック部の一部、特に、フック部のすべてが、レール部から、特にレール部の上部から、一定の距離離れている。任意に、フック部はレール部とじかに接触していてもよく、つまり、フック部の上部はレール部の上部に触れていてもよいが、レール部がフック部にいっさい圧力を加えてはならず、特に、上記レール部がフック部を変形させてはならない。
【0012】
好ましくは、先端側壁部の内面からフック部は突出しておらず、すべてのフック部は、フック部を有する部材の底部のみから突出している。
【0013】
好ましい実施形態では、フック部を有する部材の各側壁部が最も内側の先端部を有しており、フック部の最も高い位置の高さが最も内側の先端部の高さよりも低く、台座部が2つの対向する外側面を有するレール形状部分を含み、この外側面が間隔をあけて配置されるとともに、オーバーモールド部材の側壁部の先端部の形状と略同一の形状を有し、レール部の厚さ、つまり、所定の方向に測定した2つの側面の間の距離が、上記所定の方向における2つの側壁部の2つの先端部の間の距離より若干大きい。
【0014】
好ましくは、2つの側壁部は互いの方へわずかに傾斜し、特に、断面に見られるように、フック形状、C字形状、円弧形状、または、類似の形状であることにより傾斜している。
【0015】
好ましくは、オーバーモールド部材が、さらに前方および後方壁部を有し、この前方および後方壁部は側壁部に対して横方向に延在し、台座部は、前方および後方壁部の上端部の形状に対して略相補的な形状をした上部を有するので、壁部の上端部に静止させることができ、任意に、前方および後方壁部の2つの上端部に沿って延在する密閉用リブ部が介在する。
【0016】
フック部が中にある開口内部空間は、このようにして完全に閉じられ、このときフック部は、第1にレール部の2つの側面とオーバーモールド部材の2つの側壁部との接触部で、第2に前方および後方壁部ならびにレール部の上部で、発泡体から特に良好に保護される。
【0017】
好ましくは、前方および後方壁部のそれぞれの上端部は、それぞれの高さがフック部の最も高い位置より高いが、2つの側壁部の上端部の高さよりも低い。
【0018】
好ましい実施形態では、前方および後方側壁部の上端部の一方または両方に沿って延在する1つまたは複数の密閉用リブ部が設けられている。
【0019】
好ましくは、断面において、フック部を有するオーバーモールド部材の上面の少なくとも一部が、2つの側壁部の間で、形状が略円弧状となっており、特にフック部が生じている領域でそのようになっている。
【0020】
別の実施形態では、各々の最も内側の上端部が湾曲した線を、特に円弧状の線を形成しており、上から見た図に見られるように、2つの側面が上記湾曲した線と同一の形状をし、上記それぞれの接触の線が上記湾曲した線により構成される。
【0021】
好ましくは、オーバーモールド部材のベース・プレート部は、2つの側壁部を越えて外側の方へ延在し、これにより、1つまたは複数の外側縁部を形成する。
【0022】
完成した成形品では、これら2つの縁部が発泡体で完全に取り囲まれていて、このように発泡体に固定することで、オーバーモールド部材を成形品に固定する際に卓越した強度が得られる。モールディングの最後に成形品を発泡体の中に十分に固定するので、オーバーモールド部材を台座部から取り外している間(そのときは成形品の中に固定され、オーバーモールドされている)、オーバーモールド部材が成形品に適切に接合されたままでいることが保証される。
【0023】
オーバーモールド部材を成形品の発泡体の中に十分に固定することは、発泡体が側壁部の上面と接触しているという事実によりなおいっそう容易となる。
【0024】
好ましくは、一方または各々の側壁部に外側リブ部があり、レール部は、各々のリブ部、または、上記(複数の)リブ部で厚さが最大であり、2つのリブ部は具体的には同じ高さにあり、上記レール部の厚さとは、上記2つのリブ部の2つの最も外側の位置の間の距離である。
【0025】
本発明はまた、成形材料、特に熱可塑性発泡体から作られた本体と、本発明のアセンブリの、少なくとも1つの、フック部を有するオーバーモールド部材とを有する成型品であって、その部材が成形された本体の中にオーバーモールドされており、発泡体は、オーバーモールド部材の上に、成形された本体の外部へ開口する溝部が形成されるように、2つの側壁部の一方の内側上端部から他方の内側上端部まで延在する開口内部空間を除いて、オーバーモールド部材の断面の周囲全体にわたってオーバーモールド部材と接触し、この溝部は、本発明のアセンブリの台座部の2つの側壁部の2つの内側上端部の間の距離に対応する1つまたは複数の厚さを有するレール部の形状に対して相補的な形状を特に有する、成型品に関する。
【0026】
本発明はまた、本発明の成形物と、成形品の外面を覆いながら上記外面の形状にぴったりと合うカバーまたは覆いであって、特に布製のカバーまたは覆いとから構成されるユニットを提供する。
【0027】
本発明はまた、成形品と、その成形品の外面を少なくとも部分的に覆うカバーとを備えたユニットを提供する。少なくとも1つの長手方向溝部または深溝部が成形品に形成され,一方で外部に開口し、少なくとも1つの、フック部を有する部材が、溝部の底部を少なくとも部分的に形成するように、成形品にオーバーモールドされる。一部のフック部、好ましくはフック部が、カバーから出ているループ部の開口部に貫通し、そこに引っかかり、それによりカバーを成形品に固定する。
【0028】
本発明の第2の態様は、第1の態様から独立していて、それ自体発明を構成している。少なくとも2つの、フック部を有するオーバーモールド部材が設けられ、長手方向に縦に並べることにより、深溝部の底部を少なくとも部分的に形成する。
2つの、フック部を有する部材は、フック部を有する部材が1つも中にない中間領域により互いに隔てられている。また、カバーが深溝部の上部へ向かって、具体的にはその中間領域または各々の中間領域において捲れ上がることを防止する手段が設けられている。
【0029】
このように、面ファスナは、カバーを物品の周りに固定するために使用されるが、使用する量は少ないため、費用面で非常に好ましい効果があり、それでいて、このアセンブリを非常に簡単に製造でき、取り付け、または、高い信頼性をもって固定されることに悪影響はなく、特に、アセンブリの引き抜き強度に悪影響がない。引き抜き強度は維持され、実際には捲れ上がり防止手段により改善される。
【0030】
好ましくは、ループ部は、カバーに固定したポケット部の外面から出ており、捲れ上がり作用を防止する手段は、ポケット部内を延在するワイヤで構成されている。
【0031】
カバーを成形品に固定するために、面ファスナシステムも設けられている従来技術と比べると、設けられているフック部が少ないため、コストが非常に安くなっており、代わりに硬質ワイヤが設けられている。このワイヤは特に熱可塑性材料でできていて、はるかに安価であるが、同等またはそれ以上の上方引き抜き強度を得ることができる。
さらに、直線状に延在しておらず、むしろ湾曲した部分を含む深溝部では、直線状なオーバーモールド部材を使用することができる。オーバーモールド部材をその湾曲した部分に合わせることで、オーバーモールド部材を互いに間隔をあけて配置することができ、深溝部が延在する長さ全体にわたって連続的に配置する必要がないため、容易である。或いは、これらの部材は、対応する湾曲した形状である必要がある。
【0032】
好ましくは、ループ部は、カバーに固定したポケット部の外面から出ており、捲れ上がり作用を防止する手段は、ポケット部内を延在するワイヤで構成されている。
【0033】
好ましくは、ループ部は、ポケット部の周囲の底の部分から出ており、特にこの部分だけから出ている。
【0034】
改良例では、中間領域の長さ、つまり、2つの連続した長手方向に隣り合うオーバーモールド部材の間の距離が、ワイヤがないときに捲れ上がり作用が起きるようになっている。また、ワイヤの材料および寸法は、ワイヤをポケット部に入れたときに、ワイヤに十分な剛性があって捲れ上がり作用が小さくなる、特に、もはや捲れ上がり作用がまったく起きないようになっている。
【0035】
したがって、硬質ワイヤ、特に直立面内で剛性があるワイヤを設けることにより、捲れ上がり作用はもはやない。
また、オーバーモールド部材を形成する材料費も安くなる。これは、上記オーバーモールド部材が、深溝部が延在する長さの小さな部分にわたってしか延在していないからである。
さらに、ワイヤには挿入を支持し、案内する機能があるので、ループ部を有する部材を深溝部に挿入することが容易となっている。さらに、直線状に延在しておらず、湾曲した部分を含む深溝部では、直線状なオーバーモールド部材を使用することができる。オーバーモールド部材をその湾曲した部分に合わせることで、オーバーモールド部材を互いに間隔をあけて配置することができる。深溝部が延在する長さ全体にわたって連続的に配置する必要がないことから、容易である。さもなくば、これらの部材は、対応する湾曲した形状である必要がある。
【0036】
好ましい実施形態では、断面において、各々の、フック部を有するオーバーモールド部材がU字形状またはC字形状をしており、これらの形状の2つの分岐部は、溝部の外側に向けて延在し、U字形状またはC字形状の内面には、フック部が突出していない2つの遠位端部分と、フック部を有するオーバーモールド部材のフック部が突出している中間底部部分とが存在する。
【0037】
ある有益な実施形態では、溝部に、成形品を成形した材料によって形成された2つの側面があり、この2つの側面は、外側から、各々の、フック部を有する部材のU字形状の分岐部のそれぞれの上端部または遠位端部まで延在し、U字形状またはC字形状の分岐部のそれぞれの内面は、それぞれの側面に直につながっている。
【0038】
特に、溝部の側面は直立するとともに、U字形状またはC字形状のそれぞれの分岐部の内側上端部とぴったりと合っている。
【0039】
好ましい実施形態では、溝部に少なくとも1つの湾曲形状部分があり、この湾曲形状部分の中には、少なくとも1つの、直線状または湾曲した形状のオーバーモールド部材が延在し、このオーバーモールド部材の長さは、湾曲部分の長さよりも短い。
【0040】
好ましくは、溝部の幅は、溝部の向かい合う2つの壁部の間の最も短い距離と定義され、特に、フック部を有する部材が所定の方向に並べられている場合には、深溝部の幅は、上記所定の方向に垂直に測定される。また、ループ部を有する部材のループ部を除く幅寸法、つまり、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さ(ループ部を除く)の2倍との合計は、深溝部の幅に略等しいが、上記深溝部の幅よりも若干小さい。
【0041】
好ましくは、各オーバーモールド部材のU字形状またはC字形状の2つの分岐部の上端部のそれぞれの最も内側の位置の間の距離は、ループ部を有する部材のループ部を除く幅寸法、つまり、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さ(ループ部を除く)の2倍との合計に略等しいが、この幅寸法よりも若干大きい。
【0042】
好ましくは、ポケット部は、2つの、または、2枚のカバーの2つの端部を重ね合わせたところで、カバー部に、特に縫いつけることで固定する。
【0043】
好ましくは、少なくとも2つのフック部を有するオーバーモールド部材の間で中間領域が延在する距離は、各オーバーモールド部材の最も長い寸法の、特に長さ寸法の50%よりも長く、好ましくは、各オーバーモールド部材の最も長い寸法よりも長い。
【0044】
好ましくは、少なくとも2つのオーバーモールド部材の間の距離は、20ミリメートル(mm)より長く、具体的には100mmよりも長く、特に100mmから500mmまでの範囲にある。
【0045】
好ましくは、ワイヤ断面が楕円形をしており、特に、その楕円形の長軸が、深溝部の底部から外へ向かう方向へ、つまり、各オーバーモールド部材の基部に略垂直に延在する。
【0046】
特に好ましい実施形態では、ワイヤが正方形または長方形断面をしていて、角部が丸めてあり、特に、ワイヤが長方形断面を有する場合、長さが深溝部の底部から外へ向かう方向に延在する。
【0047】
このように、硬質ワイヤを設けることで、捲れ上がり作用はもはやない。オーバーモールド部材を形成するための材料費が、深溝部が延在する長さの内で上記オーバーモールド部材が延在する部分が小さくなるため、安くなる。
さらに、ワイヤには挿入を支持し、案内する機能があるため、ループ部がある部材を深溝部に挿入することが、容易となる。
さらに、直線状に延在していない、むしろ湾曲した部分を含む深溝部では、直線状なオーバーモールド部材を使用することができる。オーバーモールド部材をその湾曲した部分に合わせることで、オーバーモールド部材を互いに間隔をあけて配置することができる。深溝部が延在する長さ全体にわたって連続的に配置する必要がないことから、容易である。さもなくば、この部材は、対応する湾曲した形状である必要がある。
【0048】
好ましい実施形態では、深溝部に少なくとも1つの湾曲形状部分があり、湾曲形状部分の中には、少なくとも1つの、直線状な形状のオーバーモールド部材が延在する。オーバーモールド部材の長さは、湾曲部分の長さよりも短い。
【0049】
好ましくは、ポケット部の形状は、ワイヤをポケット部に挿入したときに、フック部を有する部材の上面の、フック部が出ている領域の断面形状と、少なくとも部分的に相補的であり、特に、ワイヤは断面円形であり、一方、上記領域は円弧状断面を有する。
【0050】
好ましくは、ポケット部は、2つのまたは2枚のカバーの2つの端部を重ね合わせたところで、カバー部に、具体的には縫いつけることにより、固定される。
【0051】
好ましくは、深溝部または溝部の幅は、溝部の向かい合う2つの壁部の間の最も短い距離と定義され、特に、フック部を有する部材が所定の方向に並べられている場合には、深溝部の幅は、上記所定の方向に垂直に測定される。
また、ループ部を有する部材の幅寸法、すなわち、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さの2倍との合計は、深溝部の幅に略等しく、特に、上記深溝部の幅よりも若干小さい。
【0052】
本発明はまた、成形品、特に本発明の第2の態様でのユニットを製造する方法を提供する。
【0053】
モールディングにより成形品、特に、本発明の第2の態様での成形品を製造する本発明の方法は、被成形物品と同じ形状の型であって、型の壁部から突出しているレール形状の台座部が型のボリュームを規定する型を用意するステップを含み、間隔をあけて配置された2つの側壁部を有するオーバーモールド部材によって台座部を固定し、オーバーモールド部材の2つの壁部の間の内部空間を密閉する方法であって、フック部を有する部材の2つの側壁部が台座部の2つの面に、少なくとも2つのそれぞれの接触線に沿って押しつけられ、物品をモールディングする発泡体を注入するステップを有する。
【0054】
第1および第2の態様から独立しており、それ自体で発明を構成する第3の態様においても、本発明はフック部を有するオーバーモールド部材を提供する。
しかしながら、第3の態様は、本発明の第1の態様のアセンブリの一部、および/または、本発明の第2の態様のユニットの一部のためものであってもよい。
【0055】
本発明の第3の態様では、互いから間隔をあけて配置される2つの側壁部と、底部とを、開口内部空間を形成し、その開口内向部が、一方の壁部から他方へいく方向、特に、2つの壁部に垂直な方向に最も広い幅を有するような方法で含み、少なくとも1つのフック部、好ましくは複数のフック部が底部から出ている、フック部を有するオーバーモールド部材は、2つの側壁部の上部または遠位部が、2つの側壁部の上端部の2つの最も内側の位置の間の距離が上記最も広い幅よりも小さくなるように、互いに対して傾斜している。
【0056】
好ましくは、壁部を通る断面において、両側の端部が、それぞれ左部分および右部分で終了し、形状が略円弧状であり、特に、フック部が出ている領域である底部が中央平坦部分から構成されている。
【0057】
好ましくは、オーバーモールド部材のフック部は、内部空間の底部のみから突出している。
【0058】
本発明の一実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のフック部を有するオーバーモールド部材を上から見た斜視図である。
【図2】図1の線A−Aでの断面図である。
【図3A】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図3B】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図3C】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図4A】図1および2のフック部を有するオーバーモールド部材と、それぞれの台座部を示す側面図であり、各台座部がレールの形状をしていて、フック部を有するオーバーモールド部材が台座部の上に配置されている図である。
【図4B】図1および2のフック部を有するオーバーモールド部材と、それぞれの台座部を示す側面図であり、各台座部がレールの形状をしていて、フック部を有するオーバーモールド部材が台座部の上に配置されている図である。
【図5A】図4Aと同様の図である。フック部を有するオーバーモールド部材の中のフック部を入れるための内部空間を密閉式に保護するような方法により、それぞれのレール形状台座部に力をかけて(クリップ式に)挿入した状態を示す。アセンブリは図3Aの成形品に対応する。
【図5B】図4Bと同様の図である。フック部を有するオーバーモールド部材の中のフック部を入れるための内部空間を密閉式に保護するような方法により、それぞれのレール形状台座部に力をかけて(クリップ式に)挿入した状態を示す。アセンブリは図3Bの成形品に対応した図である。
【図6】図3の成形品を覆うカバーから出ている、本発明のループ部を有する部材の断面図である。
【図7】ループ部を有する部材と、フック部を有する部材とが図3の成形品にある深溝部の底部で、図6のループ部を有する部材を含むカバーで覆われた場合にどのように協働するかを、中に入っていない場合について線図式に示す図である。
【図8】ループ部を有する部材と、フック部を有する部材とが図3の成形品にある深溝部の底部で、図6のループ部を有する部材を含むカバーで覆われた場合にどのように協働するかを、硬質プラスチック材料製のワイヤがポケット部の中にある場合について線図式に示す図である。
【図9】フック部を有するオーバーモールド部材の別の実施形態を、図2と同一の断面図で線図式に示す図である。
【図10】本発明のアセンブリの台座部で可能性のある別の実施形態の図4または図5と同じ図である。
【図11】本発明のアセンブリの成形品の深溝部を通る断面図である。
【図12】本発明のアセンブリの別の実施形態の図11と同じ図である。
【図13】本発明の成形品を覆うためのカバーの実施形態の線図式の断面図である。
【図14】本発明の成形品を覆うためのカバーの別の実施形態の線図式の断面図である。
【図15】本実施形態では湾曲した部分と直線状の部分とから構成されている深溝部の上にある成形品の図である。
【図16】本発明のアセンブリの台座部で可能性のある別の実施形態の図4または図5と同じ図である。
【図17】フック部が出ている平坦な底部を有する、フック部を有するオーバーモールド部材の別の実施形態を示す、図2と同じ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図面、特に図1に、本発明の第3の態様でのフック部を有するオーバーモールド部材であって、本発明の第1および/または第2の態様において実施できるオーバーモールド部材の斜視図を示す。部材1は、型の中に配置し、モールディングによって成形品を形成するものであり、被成形物品は、成形材料、特に発泡体、より詳しくは熱可塑性発泡体製である。発泡体を型に流し込むと、上記発泡体が液体のようにオーバーモールド部材に接触し、次いで、固まることにより、オーバーモールド部材にしっかりと固定する。発泡体を型に流し込む場合の目的は、発泡体がフック部の下を貫通することでフック部を汚すことがないように、フック部を保護することである。これは、発泡体がフック部の下に入ってしまうと、フック部が使用不能になり、もはやループと協働してフッキングや面ファスナ機能を行うことができなくなるからである。
【0061】
オーバーモールド部材1にはプレート部2があり、プレート部2は縦の長さがLであり、幅がlである矩形の基部を有する。長さLはオーバーモールド部材の長手方向に延在し、幅lは横方向に延在する。2つの側壁部3および4は、プレート部2の上面から延在する。これらの側壁部3および4の各々は上端部を有し、この上端部は、この例では、図面に対して略左右方向の面から構成されている。各上端部は線5および6を有し、この線5および6は、上端部の最も内側の、つまり、他方の壁部に最も近い位置で構成されている。断面では、特に図2のように、これらの線5および6の各々が、それぞれの最も内側の位置を形成している。これらの2つの線5および6は、この例では、直線状である。図9に示す別の実施形態では、これらの上端部は、必ずしも平坦な面ではなく、段差がつけられていてもよい。故に、図9では、上端部が左右方向の第1の面(リブ部を除いた壁部3の上面に対応している)を有し、続いて第2の左右方向の面(リブ部の上面)があり、この第2の左右方向の面は、第1の面に対して段差がつけられているとともに、湾曲部分で終了している。この湾曲部分は、第2の左右方向の面で最も内側の位置から、壁部3および4の上端部の最も内側の位置に対応する湾曲部分の最も内側の位置まで延在する。
【0062】
したがって、断面では、特に図1のA−A断面では、図2に示されているように、オーバーモールド部材は、略U字形状またはC字形状であり、U字形状またはC字形状の分岐部分は、2つの壁部3および4によって構成されている。
【0063】
U字形状の内面は、3つの部分から構成されている。すなわち、2つの先端部分があり、各々が最も内側の位置5または最も内側の位置6から底部の中間部分まで延在する。底部の中間部分は、両側の最も外側にあるフック部38により規定されている。したがって、2つの先端部分には突出するフック部が1つもなく、オーバーモールド部材のすべてのフック部が底部の中間部分から突出している。
【0064】
本発明のオーバーモールド部材の底部を厳密に定義する第1の定義方法は、フック部を考慮することであり、その中にすべてのフック部がある内部空間を規定する最小面として底部を定義することである。
【0065】
第2の方法は、各断面において、2つの最も内側の位置(5および6)を、内部空間を規定する内面に、縦方向に(つまり、例えば、図2のベース・プレート部の平面に垂直に)突出させ、突出位置5’および6’を得るように、その間に底部が広がると考えることである。
【0066】
本発明のオーバーモールド部材の底部を規定するには、この2つの方法のいずれか一方を利用することができる。
【0067】
図1および2では、側壁部3および4の遠位端部分が互いの方へ向けて若干傾斜している。したがって、断面、例えば断面A−Aでは、オーバーモールド部材1が、2つの壁部5および6と、プレート部2の両面とで規定される開口内部空間を規定している。示されるように、この内部空間は、好ましくは床部7を有し、床部7は、オーバーモールド部材により規定され、この例ではC字形状をしている開口内部空間の底部を形成している。すべてのフック部38がこの床部または底部7から突出し、2つの先端壁部3および4の内面からは、フック部がまったく突出しない。上記フック部38は、所望のどのような方法で並べることもできるが、好ましくは、示されるように、縦列および横列に並べ、特に示されるように、どの縦列でも、フック部の頭部が交互に図面の左方向および右方向を向くように並べる。
【0068】
壁部に垂直な方向、つまり、図2の左右方向に測定した最も長い距離D0は、高さhでの2つの壁部間の距離である。これは、2つの先端部の間の距離d0よりも大きい。同じ関係が図9に示した実施形態でも確認できる。図2において、実施形態は、前方壁部8および後方壁部9の間の長手方向に沿うすべての断面について、断面が同じとなるようにするが、これは、壁部と端部がこの例では直線状となるからである。しかしながら、上記断面が変化する実施形態、例えば、壁部や端部が上から見た平面内で一定量の湾曲、例えば、円弧もしくは楕円曲線、または、あらゆる他の想像可能な形状に湾曲している実施形態も考えられる。D0がd0よりも大きいという関係は、その場合にも、各断面で有効である。
【0069】
オーバーモールド部材は、さらに、前方壁部8および後方壁部9を有する。前方壁部8および後方壁部9と、側壁部3および4と、底部床部7とは、その中にフック部が存在する開口内部空間を規定する。前方壁部8および後方壁部9の各々は、それぞれの上端部10および11を有し、上端部10および11は、一方の側端部5から反対側の他方の側端部6まで延在する。これらの端部10および11は、この例ではC字形状をしている。シーリング用のガスケット13が前方壁部8および後方壁部9の上端部10および11に沿って延在する。
【0070】
上から見ると、壁部8および9の内側上端部は直線である。これらの線は直線以外のものであってもよく、それが何であっても任意の形状でよく、特に、1つまたは複数の湾曲した部分を有することによる任意の形状であってもよい。
【0071】
上述した部材1は、液状の発泡体を注入する型に入れるものである。液状の発泡体は、固まることで、側壁部5および6と、プレート部2の底面と、前方壁部8および後方壁部9の外面とに固定され、これにより、フック部を成形した発泡品に固定する。
【0072】
型の内部では、レールの形状をした少なくとも1つの台座部12が型の内壁部16から突出し、その型は、モールディングによって作ろうとしている物品の形状をしたボリュームを規定している。完成した成形品には、中にフック部を配置するために形成する深溝部数の関係で、1つまたは複数の台座部を設けることも可能である。特に、深溝部の列を形成する台座部の列を設けることも可能であり、また、台座部の一部は湾曲していてもよい。発泡体がフック部に注入し、または、フック部と接触することを防止するために、フック部は、発泡体が注入される間、その注入された発泡体と接触しないようにしなければならない。このため、フック部を有するオーバーモールド部材は、フック部を台座部の方へ向けた状態で、台座部の上に力をかけて固定する。どのような台座部の上にも、オーバーモールド部材を1つだけ配置することも可能であるし、複数のオーバーモールド部材を縦に並べて配置することも可能である。この場合、オーバーモールド部材は、本発明の第2の態様にあるように、互いに一定距離を離して配置することもできるし、あるいは、互いに非常に近づけて配置することも可能である。さらに言えば、所望であれば、端部と端部をつなげて配置することも可能である。
【0073】
レール部12は、対向する2つの側面30および31を有する。上から見ると、つまり、図4および5の矢印Fに沿って見ると、これらの面は直線の形状をしている。したがって、側面30および31は、2つの側壁部3および4の内側上端部5および6と同じ形状を有することができる。
【0074】
2つの面30および31の間の距離Dは、レールの厚み方向に対応する方向である、2つの面30および31に垂直な方向(図の左右方向)に測定すると、側壁3および4の2つの上端部5および6の間を同じ方向に測定した距離d0に略等しいが、それより若干大きい。
【0075】
レール部が延在する長手方向(図4または5の面に垂直な方向)に沿って一定の厚みとなっていない場合には、各断面で測定された厚みDは、測定された(長手方向に沿った)位置での2つの最も内側の先端部5および6の間の距離d0に略等しいが、それよりも若干大きく、レール部の面の形状は、先端部の形状と相補的である。
したがって、例えば、端部5および6ならびに面30および31を直線状な形状の代わりに円弧形状にすることも可能である。
重要なことは、レール部を側壁部の間に挿入したときに、発泡体から密閉するため、面と端部が略同じ形状を有することである。
【0076】
図5Aおよび図5Bに示されるように、オーバーモールド部材1が、モールディングの間、台座部12の面30および31と接触するとき、この接触は、少なくとも、先端部5および6によって規定される直線の全体にわたって生じる。示した実施形態では、この接触は、これらの線を含む面で生じている。
【0077】
さらに、レール部12は、前方壁部8および後方壁部9の上端部10および11の形状と相補的な形状の上部を有する。したがって、この例では、レール部12の上部が、前方壁部8および後方壁部9の上端部の円弧形状またはC形状に対応した形状のC字形状、または、円弧状である。部材1の2つの側壁部がその2つの端部5および6の間に台座部12を固定するように部材1を押圧すると、これらの2つの端部が互いから少し離れ、レール部の上部15が側壁部8および9の2つの上端部10および11と接触するようになるまで、レール部が中に入ることができる。2つの上端部に弾性があることは、2つの壁部が弾性により互いの方向へ戻ろうとするため、2つの上端部がレール部の対応する面に接触するところが密閉されることを意味する。一方、密閉用リブ部13は、レール部12の上部と、壁部8および9の上端部との間にあり、発泡体が注入されている間、フック部に対して優れた密閉状態を提供する。
【0078】
図10に示した改良例では、レール部の2つの側面30および31から横方向に突出する2つのリブ部を設けることができる。どの断面においても、レール部の最も広い幅は、2つのリブ部の2つの最も外側の位置の間の距離Dであり、この距離Dは、距離d0より大きい。
【0079】
図16に示した別の実施形態では、2つの長手方向チャネルを対向する2つの側面30および31に設けることができる。これらのチャネルは、側方先端部をスナップ留めで受けるものである。
【0080】
上述した2つの実施形態は、クリップ留めまたはスナップ留めを利用した改良例である。しかしながら、クリップ留めまたはスナップ留め自体は本発明の効果を得るための必須のものではなく、本発明の効果は、接触を保った状態で挿入されるときはいつでも、台座部を2つの側壁の間に、互いに、例えば、外側に向けて離した2つの壁部がレール部に押し当てられながら内側に戻ろうとする事により、得ることができる。
【0081】
発泡体を成形し、その発泡体が固まったら、成形品は型から取り出す。長手方向深溝部15(長さ方向は図3に垂直である)が成形品の外面に形成され、この深溝部は、レール部12の形状と略相補的な形状をしている。発泡体は、オーバーモールド部材1の先端部より下の内面、および、開口内部空間の底部の全体を除くオーバーモールド部材1の周囲全体に広がっている。特に、発泡体は、2つの側壁部3および4の上面を2つの壁部の上端部の最も内側の位置5および6まで覆うまで広がる。発泡体は、深溝部の2つの直立面50および51を規定し、この直立面は、成形品の外部に向かって開口する深溝部の上部開口部からオーバーモールド製品のU字形状の分岐部を形成している壁部3および4のそれぞれの上端部まで延在する。オーバーモールド製品の内面のフック部のない先端部分は、略平行であり、直立面50および51と連続する。直立面50および51からそれぞれの内側部分へは、特に継ぎ目において、滑らかに移行しており、如何なる凹凸もない。
【0082】
図3A、3Bおよび3Cは、それぞれの結果得られた成形品の一部を示す。もちろん、成形品によっては、この種の深溝部を複数設け、各々の深溝部に本発明のフック部を有する部材を少なくとも1つ設けることも可能である。特に、非常に長い台座部であって、間隔をあけて配置された複数のオーバーモールド部材が底部にある深溝部を得るために、間隔をあけて配置された複数のオーバーモールド部材によって固定された台座部を設けることもできる。
【0083】
フック部を有するオーバーモールド部材を1つまたは複数有する発泡体品のモールディングが終わると、特に、成形品が自動車のクッションである場合には、次に成形品をカバーまたは覆いにより覆う必要がある。このカバーはループ部を有する部材に取り付けられる。ループ部は、フック部と協働し、カバーが成形品を覆っている間、カバーを成形品に、特に、成形品の外面の形状にぴったりとフィットさせて固定する。
【0084】
この種のループ部を有する部材が図6に示されている。この部材には、織物材料からなり、それ自体の上に折り重ねられたシートで構成されたポケット部20が設けられ、ループ部がポケット部の外面から出ている。これらのループ部21は、特に、ポケット部20の外面に織り込まれてもよいし、編み込まれてもよい。カバーを形成するシート22および23の形の2つが縁部において重ね合わせてあり、2つのシート22および23を接合してカバーを形成するように、ポケット部が2つの縁部の側面に縫いつけてある(図13および14参照)。したがって、2つのシート22および23の間の接合部にあるポケット部20は、深溝部15の底部に挿入されて、ループ部がフック部と接触する。これにより、カバーが成形品の周りに、特に輪郭と、深溝部15の壁部に沿って固定される。
【0085】
図7および8は、フック部とループ部の間を固定したところの側面図(成形品を省略している)を示す。例として、フック部を有する2つのオーバーモールド部材1が深溝部の底部に配置されている。もちろん、フック部を有する部材を3つ以上深溝部の中に設けるために、深溝部がさらに長い距離を長手方向に延在することとしてもよい。
【0086】
さらに、この例では、アセンブリ全体を強化するため、硬質プラスチック材料からなる円柱棒状体で構成されるワイヤ24が、ループ部を有する部材のポケット部20の中に挿入されている。プラスチック材料からなる硬質ワイヤは、例えば、ポリプロピレン(PP)製またはポリエチレン(PE)製であり、直径が少なくとも2mmである。もっとも、中空ワイヤ、つまり、管形状をしたワイヤを設けることも可能である。硬質ワイヤ24がポケット部20の中にない場合には、フック部がある2つの部材1の間の中間領域において、捲れ上がり作用が生じる。捲れ上がり作用では、ポケット部20が持ち上がる、つまり、アーチ型になりやすく、図7に示すように、テントのように変形する。
【0087】
逆に、硬質ワイヤ24を部材20の中に配置すると、図8に示すように、捲れ上がり作用が消える。したがって、図7に示した2つの部材1は、ワイヤ24がないと、捲れ上がり作用がある。ワイヤ24がポケット部20内に配置されると、捲れ上がり作用がないような一定の距離をあけて配置される。具体的には、この距離は、容易に80mmに達しうることを前提とし、20mmから25mmの範囲よりも長い距離に対応している。さらに言えば、150mmから200mmの範囲よりも長い距離に対応している。
【0088】
指摘したように、図4Aにおいて、レール部12の厚さDは、好ましくは、8mmから16mmの範囲にあり、より好ましくは、9mmから12mmの範囲にある。もっとも、これらの厚さ寸法の範囲は、図面に示した他の実施形態についても有効である。
【0089】
図3B、4Bおよび5Bに対応する実施形態では、台座部が下方に向かって(つまり、矢印Fによって示される方向に)徐々に幅が細くなっている。この結果、上部開口部に向かって徐々に幅が細くなり、図3Bに示す深溝部が得られる。しかしながら、図3Aの実施形態のように2つの壁部の上端部の最も内側の位置5および6は、溝部50の2つの面50および51から盛り上がっていない。同じことは、図3Cに示した実施形態にも当てはまる。
【0090】
図11は、深溝部15を通る図8のアセンブリの断面を示している。深溝部の幅は、図に対して左右方向に測定される。ワイヤの直径と、ポケット部を形成するため、それ自体の上に折り重ねられたシートの厚さの2倍との合計は、深溝部の幅と略等しい。特に、ポケット部と深溝部の各壁部は、互いに直に接触する。
【0091】
図12は別の実施形態を示しており、この実施形態では、ワイヤが卵形または楕円形断面をしていて、その長軸が図の上下方向、つまり、深溝部の底部から外部に向けて延在している。ループ部を有する部材の全体の幅(短軸に沿った寸法とポケット部の厚さの2倍)は、深溝部の幅寸法と略等しい。
【0092】
本出願では、成形品とカバーとの間の相互の固定が、成形品から出ているフック部がカバーにあるループ部と協働することによって行われると説明した。ループ部の代わりにフック部を設けることも可能であり、そのフック部は、この場合、オーバーモールド部材にあるフック部と、フック間面ファスナ式に協働することに留意すべきである。これは、特許請求の範囲において、用語「ループ部」をループ部はフック部であってもよいという事実をも包含する幅広い意味に解釈すべき理由である。
【0093】
図15は、直線状に延在していない深溝部であって、特に、湾曲した部分を含む深溝部を有する成形品の実施形態を示す。オーバーモールド部材は、深溝部の中に連続的に配置、特に、端と端を接続して配置する必要がないので、アセンブリは簡単になっている。特に、深溝部の湾曲部分の形状と相補的な湾曲形状のオーバーモールド部材を用意する必要はないので、直線部分に使用され、長さが短くて、大きな間隔をあけて配置されるものと同じ部材が、あまり曲がっていない湾曲部分にも適している。
【0094】
本出願では、用語「フック部」は、引っかかる能力、特にループ部に引っかかる能力のあるあらゆる部材を意味する。具体的には、フック部とは、軸部と、その軸部から横方向に突出した頭部を備えた部材である。したがって、キノコの形状、かえしの形状、二重頭部の形状、または、いくつかの他の似た種類の部材が本発明の意味でのフック部である。
【0095】
本発明の第1および第3の態様では、成形品とカバーとの間の相互の固定は、成形品から出ているフック部がカバーにあるループ部と協働することによって行われると説明した。ループ部の代わりにフック部を設けることも可能であり、そのフック部は、この場合、オーバーモールド部材にあるフック部と、フック間面ファスナ式に協働することに留意すべきである。これが、本発明のこれら第1および第3の態様において、用語「ループ部」をループ部はフック部であってもよいという事実をも包含する幅広い意味に解釈すべき理由である。それとは反対に、第2の態様では、用語「ループ部」は、フック部材が通過し、引っかかることができる開口部があることを意味する。
【0096】
同様に、第1の態様の範囲内で、オーバーモールド部材を1つだけ、または、このような部材を複数、任意の台座部の上に載せて使用するように用意することも可能である。この場合には、オーバーモールド部材を互いにある程度離して配置(この場合には、本発明の第1の態様の範囲内にある)、または、互いに非常に近づけて、または、さらに言えば、所望の場合には端と端を接続して配置することも可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、その物品を成形しながら、オーバーモールド物品の中にオーバーモールドするようデザインされた、フック部を有するオーバーモールド部材であって、その物品が特に発泡体であり、具体的には自動車用のクッションであるオーバーモールド部材に関する。
本発明はまた、この種のオーバーモールド部材と、成形中にオーバーモールド部材と協働する台座部を含む型とから構成されるアセンブリに関する。
本発明はまた、成形材料、特に発泡体から作られた本体と、その本体にオーバーモールドされた上記の種類のオーバーモールド部材とを有する成形品に関する。
本発明はまた、この種類の成形品、特に自動車のクッションと、成形品の外面を覆うカバーとから構成されたユニットであって、特に成形クッションである成形品とそのカバーとが面ファスナにより互いに固定され、フック部を有する部材から生じるフック部が成形品にオーバーモールドされ、ループ部がカバーから生じるユニットに関する。
本発明はまた、上述した種類の成形品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自動車用の熱可塑性発泡体成形クッションの外面に布製のカバーを固定するために、面ファスナまたは「タッチ・ファスナー」を使用することはよくあることである。従来、熱可塑性材料片からなるオーバーモールド部材は、フック部が突出している面を有し、金属含有樹脂が他方の面に取りつけられている。この場合、フック部を有するオーバーモールド部材は、具体的には型の底部に形成した台座部、具体的には台座部の上面に形成した空洞部の上に配置される。型の底部、台座部の上面に形成された空洞部は、直立壁を有し、モールディングによって成形品を得るために発泡体を注入する間、フック部を有するオーバーモールド部材は、フック部が空洞部内部に配置された状態で、この直立壁の上に置かれる。空洞部の底部には、金属含有樹脂によりオーバーモールド部材を引きつけるとともに、発泡体に対して良好に密封してオーバーモールド部材を直立壁の上端部と接触した状態で不動に保持するように、磁石が置かれている。発泡体を成形し、冷却して固まるように放置すると、フック部を有するオーバーモールド部材をオーバーモールドした成形品が得られる。このとき、フック部は成形品の外面に現れており、例えば布地等の形態のカバーであるループ部と(または、さらに言えば、その自動固定装置がフック間装置(hook−in−hook devide)であればフック部と)、フック部とループ部が互いに協働して上記カバーを成形品の周りに固定するように、協働する。
【0003】
上記従来技術には、さまざまな欠点がある。
第1に、フック部を保護するための空洞部を台座部の上部に、例えば機械加工によって形成する必要がある。さらに、成形工程の間、上記従来技術では、オーバーモールド部材を台座部の上に位置決めするのに多大な労力が必要であり、このことは大量生産にとって不都合である。さらに、台座部に形成した保護用空洞部内に配置した磁石は、型が交互に加熱、冷却されるために、時間がたつにつれて劣化する。生産過程の間に、いずれそれらの磁石を交換することが必要なときがくるが、この作業は費用がかかり、時間も非常にかかる。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、本発明の目的は、フック部を有するオーバーモールド部材を成形品にオーバーモールドするシステムであって、保護用の空洞部を設ける必要も、磁石を使う必要もなく、それでいてモールディングの間に成形用発泡体に対するフック部の保護を劣化させないシステムを提案して従来技術の欠点を克服することである。
【0005】
第1の態様では、本発明は、第1に、オーバーモールドして成形品にするようデザインされ、フック部を有するオーバーモールド部材であって、2つの先端側壁部および底部によって規定される開口内部空間を形成し、その部材から出ている少なくとも1つのフック部が底部から突出し、または、その部材から出ているいくつかのフック部が底部から突出するオーバーモールド部材と、第2に、内部ボリュームを規定する内壁部を有する型であって、内部ボリュームが型の中でモールディングによって形成する物品と同じ形状をしており、少なくとも1つの台座部が上記内壁部から内部ボリュームの中へと突出しており、フック部を有するオーバーモールド部材が、成形用発泡体を成形している間、台座部と接触し、台座部が、具体的には平行面である2つの対向する外側面を有するレール形状部分を含む、型とを備え、発泡体を成形している間、先端側壁部と外側面の間にフック部が介在することなく、オーバーモールド部材のそれぞれの先端側壁部が、それぞれの対向する外側面と接触するアセンブリを提供する。
【0006】
本発明によれば、台座部が2つの側壁部の間に固定され、フック部に損傷を与えることなくフック部のところを内部空間に注入される液状発泡体で密閉するように、その側壁部が2つの側面に、特に弾性的な方法で押しつけられる。具体的には、上記フック部は、台座部の壁部とオーバーモールド部材の壁部との間で万力で把持されるのではなく、2つの壁部は互いに押しつけられるため、従来技術の場合のように押し潰されることはない。
【0007】
このようにして、台座部の側面とオーバーモールド部材の壁部との間の接触部のところが、フック部を十分に保護するように、発泡体に対して良好に密閉される。
このため、第1に、台座部の上部に空洞部を形成する用意をすること、第2に、磁石と金属材料を有するシステムを用意すること、さらに言えば、オーバーモールド部材の良好な位置決め、および、フック部の良好な保護を保証するために、モールディング中に注入される液状発泡体からフック部を保護する他の複雑な装置を用意する必要はもはやない。
したがって、フック部を有するオーバーモールド部材をモールディングをする前に型の中に配置する方法、特にオーバーモールド部材を位置決めする方法を簡単にでき、さらに、型自体もより簡単な構造になる。
モールディングの終わりに、フック部が得られる。フック部は、成形品の外側に、溝部または深溝部の底部に現れ、この溝部または深溝部は、幅が狭く(具体的には台座部と同じぐらい幅が狭く)、特に従来技術におけるよりも幅が狭くできる。
【0008】
好ましい実施形態では、フック部を有する部材が、その2つの側壁部の間で台座部を固定し、特に力をかけて固定する。
【0009】
特に、オーバーモールド部材および台座部のそれぞれの壁部の間の接触は、それぞれの線、特に直線に沿って生じる。好ましくは、2つの側壁部の最も内側の先端部は、形状が直線状であり、好ましくは互いに平行であり、上面図に見られるように、レール部の2つの外側面は同じ直線状な形状をしているので、上記のそれぞれの接触線も直線状である。
【0010】
改良例では、フック部を有する部材と台座部との間がクリップ留めによって接触する。
【0011】
好ましくは、発泡体を成形している間、フック部を有するオーバーモールド部材のフック部の一部、特に、フック部のすべてが、レール部から、特にレール部の上部から、一定の距離離れている。任意に、フック部はレール部とじかに接触していてもよく、つまり、フック部の上部はレール部の上部に触れていてもよいが、レール部がフック部にいっさい圧力を加えてはならず、特に、上記レール部がフック部を変形させてはならない。
【0012】
好ましくは、先端側壁部の内面からフック部は突出しておらず、すべてのフック部は、フック部を有する部材の底部のみから突出している。
【0013】
好ましい実施形態では、フック部を有する部材の各側壁部が最も内側の先端部を有しており、フック部の最も高い位置の高さが最も内側の先端部の高さよりも低く、台座部が2つの対向する外側面を有するレール形状部分を含み、この外側面が間隔をあけて配置されるとともに、オーバーモールド部材の側壁部の先端部の形状と略同一の形状を有し、レール部の厚さ、つまり、所定の方向に測定した2つの側面の間の距離が、上記所定の方向における2つの側壁部の2つの先端部の間の距離より若干大きい。
【0014】
好ましくは、2つの側壁部は互いの方へわずかに傾斜し、特に、断面に見られるように、フック形状、C字形状、円弧形状、または、類似の形状であることにより傾斜している。
【0015】
好ましくは、オーバーモールド部材が、さらに前方および後方壁部を有し、この前方および後方壁部は側壁部に対して横方向に延在し、台座部は、前方および後方壁部の上端部の形状に対して略相補的な形状をした上部を有するので、壁部の上端部に静止させることができ、任意に、前方および後方壁部の2つの上端部に沿って延在する密閉用リブ部が介在する。
【0016】
フック部が中にある開口内部空間は、このようにして完全に閉じられ、このときフック部は、第1にレール部の2つの側面とオーバーモールド部材の2つの側壁部との接触部で、第2に前方および後方壁部ならびにレール部の上部で、発泡体から特に良好に保護される。
【0017】
好ましくは、前方および後方壁部のそれぞれの上端部は、それぞれの高さがフック部の最も高い位置より高いが、2つの側壁部の上端部の高さよりも低い。
【0018】
好ましい実施形態では、前方および後方側壁部の上端部の一方または両方に沿って延在する1つまたは複数の密閉用リブ部が設けられている。
【0019】
好ましくは、断面において、フック部を有するオーバーモールド部材の上面の少なくとも一部が、2つの側壁部の間で、形状が略円弧状となっており、特にフック部が生じている領域でそのようになっている。
【0020】
別の実施形態では、各々の最も内側の上端部が湾曲した線を、特に円弧状の線を形成しており、上から見た図に見られるように、2つの側面が上記湾曲した線と同一の形状をし、上記それぞれの接触の線が上記湾曲した線により構成される。
【0021】
好ましくは、オーバーモールド部材のベース・プレート部は、2つの側壁部を越えて外側の方へ延在し、これにより、1つまたは複数の外側縁部を形成する。
【0022】
完成した成形品では、これら2つの縁部が発泡体で完全に取り囲まれていて、このように発泡体に固定することで、オーバーモールド部材を成形品に固定する際に卓越した強度が得られる。モールディングの最後に成形品を発泡体の中に十分に固定するので、オーバーモールド部材を台座部から取り外している間(そのときは成形品の中に固定され、オーバーモールドされている)、オーバーモールド部材が成形品に適切に接合されたままでいることが保証される。
【0023】
オーバーモールド部材を成形品の発泡体の中に十分に固定することは、発泡体が側壁部の上面と接触しているという事実によりなおいっそう容易となる。
【0024】
好ましくは、一方または各々の側壁部に外側リブ部があり、レール部は、各々のリブ部、または、上記(複数の)リブ部で厚さが最大であり、2つのリブ部は具体的には同じ高さにあり、上記レール部の厚さとは、上記2つのリブ部の2つの最も外側の位置の間の距離である。
【0025】
本発明はまた、成形材料、特に熱可塑性発泡体から作られた本体と、本発明のアセンブリの、少なくとも1つの、フック部を有するオーバーモールド部材とを有する成型品であって、その部材が成形された本体の中にオーバーモールドされており、発泡体は、オーバーモールド部材の上に、成形された本体の外部へ開口する溝部が形成されるように、2つの側壁部の一方の内側上端部から他方の内側上端部まで延在する開口内部空間を除いて、オーバーモールド部材の断面の周囲全体にわたってオーバーモールド部材と接触し、この溝部は、本発明のアセンブリの台座部の2つの側壁部の2つの内側上端部の間の距離に対応する1つまたは複数の厚さを有するレール部の形状に対して相補的な形状を特に有する、成型品に関する。
【0026】
本発明はまた、本発明の成形物と、成形品の外面を覆いながら上記外面の形状にぴったりと合うカバーまたは覆いであって、特に布製のカバーまたは覆いとから構成されるユニットを提供する。
【0027】
本発明はまた、成形品と、その成形品の外面を少なくとも部分的に覆うカバーとを備えたユニットを提供する。少なくとも1つの長手方向溝部または深溝部が成形品に形成され,一方で外部に開口し、少なくとも1つの、フック部を有する部材が、溝部の底部を少なくとも部分的に形成するように、成形品にオーバーモールドされる。一部のフック部、好ましくはフック部が、カバーから出ているループ部の開口部に貫通し、そこに引っかかり、それによりカバーを成形品に固定する。
【0028】
本発明の第2の態様は、第1の態様から独立していて、それ自体発明を構成している。少なくとも2つの、フック部を有するオーバーモールド部材が設けられ、長手方向に縦に並べることにより、深溝部の底部を少なくとも部分的に形成する。
2つの、フック部を有する部材は、フック部を有する部材が1つも中にない中間領域により互いに隔てられている。また、カバーが深溝部の上部へ向かって、具体的にはその中間領域または各々の中間領域において捲れ上がることを防止する手段が設けられている。
【0029】
このように、面ファスナは、カバーを物品の周りに固定するために使用されるが、使用する量は少ないため、費用面で非常に好ましい効果があり、それでいて、このアセンブリを非常に簡単に製造でき、取り付け、または、高い信頼性をもって固定されることに悪影響はなく、特に、アセンブリの引き抜き強度に悪影響がない。引き抜き強度は維持され、実際には捲れ上がり防止手段により改善される。
【0030】
好ましくは、ループ部は、カバーに固定したポケット部の外面から出ており、捲れ上がり作用を防止する手段は、ポケット部内を延在するワイヤで構成されている。
【0031】
カバーを成形品に固定するために、面ファスナシステムも設けられている従来技術と比べると、設けられているフック部が少ないため、コストが非常に安くなっており、代わりに硬質ワイヤが設けられている。このワイヤは特に熱可塑性材料でできていて、はるかに安価であるが、同等またはそれ以上の上方引き抜き強度を得ることができる。
さらに、直線状に延在しておらず、むしろ湾曲した部分を含む深溝部では、直線状なオーバーモールド部材を使用することができる。オーバーモールド部材をその湾曲した部分に合わせることで、オーバーモールド部材を互いに間隔をあけて配置することができ、深溝部が延在する長さ全体にわたって連続的に配置する必要がないため、容易である。或いは、これらの部材は、対応する湾曲した形状である必要がある。
【0032】
好ましくは、ループ部は、カバーに固定したポケット部の外面から出ており、捲れ上がり作用を防止する手段は、ポケット部内を延在するワイヤで構成されている。
【0033】
好ましくは、ループ部は、ポケット部の周囲の底の部分から出ており、特にこの部分だけから出ている。
【0034】
改良例では、中間領域の長さ、つまり、2つの連続した長手方向に隣り合うオーバーモールド部材の間の距離が、ワイヤがないときに捲れ上がり作用が起きるようになっている。また、ワイヤの材料および寸法は、ワイヤをポケット部に入れたときに、ワイヤに十分な剛性があって捲れ上がり作用が小さくなる、特に、もはや捲れ上がり作用がまったく起きないようになっている。
【0035】
したがって、硬質ワイヤ、特に直立面内で剛性があるワイヤを設けることにより、捲れ上がり作用はもはやない。
また、オーバーモールド部材を形成する材料費も安くなる。これは、上記オーバーモールド部材が、深溝部が延在する長さの小さな部分にわたってしか延在していないからである。
さらに、ワイヤには挿入を支持し、案内する機能があるので、ループ部を有する部材を深溝部に挿入することが容易となっている。さらに、直線状に延在しておらず、湾曲した部分を含む深溝部では、直線状なオーバーモールド部材を使用することができる。オーバーモールド部材をその湾曲した部分に合わせることで、オーバーモールド部材を互いに間隔をあけて配置することができる。深溝部が延在する長さ全体にわたって連続的に配置する必要がないことから、容易である。さもなくば、これらの部材は、対応する湾曲した形状である必要がある。
【0036】
好ましい実施形態では、断面において、各々の、フック部を有するオーバーモールド部材がU字形状またはC字形状をしており、これらの形状の2つの分岐部は、溝部の外側に向けて延在し、U字形状またはC字形状の内面には、フック部が突出していない2つの遠位端部分と、フック部を有するオーバーモールド部材のフック部が突出している中間底部部分とが存在する。
【0037】
ある有益な実施形態では、溝部に、成形品を成形した材料によって形成された2つの側面があり、この2つの側面は、外側から、各々の、フック部を有する部材のU字形状の分岐部のそれぞれの上端部または遠位端部まで延在し、U字形状またはC字形状の分岐部のそれぞれの内面は、それぞれの側面に直につながっている。
【0038】
特に、溝部の側面は直立するとともに、U字形状またはC字形状のそれぞれの分岐部の内側上端部とぴったりと合っている。
【0039】
好ましい実施形態では、溝部に少なくとも1つの湾曲形状部分があり、この湾曲形状部分の中には、少なくとも1つの、直線状または湾曲した形状のオーバーモールド部材が延在し、このオーバーモールド部材の長さは、湾曲部分の長さよりも短い。
【0040】
好ましくは、溝部の幅は、溝部の向かい合う2つの壁部の間の最も短い距離と定義され、特に、フック部を有する部材が所定の方向に並べられている場合には、深溝部の幅は、上記所定の方向に垂直に測定される。また、ループ部を有する部材のループ部を除く幅寸法、つまり、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さ(ループ部を除く)の2倍との合計は、深溝部の幅に略等しいが、上記深溝部の幅よりも若干小さい。
【0041】
好ましくは、各オーバーモールド部材のU字形状またはC字形状の2つの分岐部の上端部のそれぞれの最も内側の位置の間の距離は、ループ部を有する部材のループ部を除く幅寸法、つまり、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さ(ループ部を除く)の2倍との合計に略等しいが、この幅寸法よりも若干大きい。
【0042】
好ましくは、ポケット部は、2つの、または、2枚のカバーの2つの端部を重ね合わせたところで、カバー部に、特に縫いつけることで固定する。
【0043】
好ましくは、少なくとも2つのフック部を有するオーバーモールド部材の間で中間領域が延在する距離は、各オーバーモールド部材の最も長い寸法の、特に長さ寸法の50%よりも長く、好ましくは、各オーバーモールド部材の最も長い寸法よりも長い。
【0044】
好ましくは、少なくとも2つのオーバーモールド部材の間の距離は、20ミリメートル(mm)より長く、具体的には100mmよりも長く、特に100mmから500mmまでの範囲にある。
【0045】
好ましくは、ワイヤ断面が楕円形をしており、特に、その楕円形の長軸が、深溝部の底部から外へ向かう方向へ、つまり、各オーバーモールド部材の基部に略垂直に延在する。
【0046】
特に好ましい実施形態では、ワイヤが正方形または長方形断面をしていて、角部が丸めてあり、特に、ワイヤが長方形断面を有する場合、長さが深溝部の底部から外へ向かう方向に延在する。
【0047】
このように、硬質ワイヤを設けることで、捲れ上がり作用はもはやない。オーバーモールド部材を形成するための材料費が、深溝部が延在する長さの内で上記オーバーモールド部材が延在する部分が小さくなるため、安くなる。
さらに、ワイヤには挿入を支持し、案内する機能があるため、ループ部がある部材を深溝部に挿入することが、容易となる。
さらに、直線状に延在していない、むしろ湾曲した部分を含む深溝部では、直線状なオーバーモールド部材を使用することができる。オーバーモールド部材をその湾曲した部分に合わせることで、オーバーモールド部材を互いに間隔をあけて配置することができる。深溝部が延在する長さ全体にわたって連続的に配置する必要がないことから、容易である。さもなくば、この部材は、対応する湾曲した形状である必要がある。
【0048】
好ましい実施形態では、深溝部に少なくとも1つの湾曲形状部分があり、湾曲形状部分の中には、少なくとも1つの、直線状な形状のオーバーモールド部材が延在する。オーバーモールド部材の長さは、湾曲部分の長さよりも短い。
【0049】
好ましくは、ポケット部の形状は、ワイヤをポケット部に挿入したときに、フック部を有する部材の上面の、フック部が出ている領域の断面形状と、少なくとも部分的に相補的であり、特に、ワイヤは断面円形であり、一方、上記領域は円弧状断面を有する。
【0050】
好ましくは、ポケット部は、2つのまたは2枚のカバーの2つの端部を重ね合わせたところで、カバー部に、具体的には縫いつけることにより、固定される。
【0051】
好ましくは、深溝部または溝部の幅は、溝部の向かい合う2つの壁部の間の最も短い距離と定義され、特に、フック部を有する部材が所定の方向に並べられている場合には、深溝部の幅は、上記所定の方向に垂直に測定される。
また、ループ部を有する部材の幅寸法、すなわち、ワイヤの幅寸法と、ポケット部の厚さの2倍との合計は、深溝部の幅に略等しく、特に、上記深溝部の幅よりも若干小さい。
【0052】
本発明はまた、成形品、特に本発明の第2の態様でのユニットを製造する方法を提供する。
【0053】
モールディングにより成形品、特に、本発明の第2の態様での成形品を製造する本発明の方法は、被成形物品と同じ形状の型であって、型の壁部から突出しているレール形状の台座部が型のボリュームを規定する型を用意するステップを含み、間隔をあけて配置された2つの側壁部を有するオーバーモールド部材によって台座部を固定し、オーバーモールド部材の2つの壁部の間の内部空間を密閉する方法であって、フック部を有する部材の2つの側壁部が台座部の2つの面に、少なくとも2つのそれぞれの接触線に沿って押しつけられ、物品をモールディングする発泡体を注入するステップを有する。
【0054】
第1および第2の態様から独立しており、それ自体で発明を構成する第3の態様においても、本発明はフック部を有するオーバーモールド部材を提供する。
しかしながら、第3の態様は、本発明の第1の態様のアセンブリの一部、および/または、本発明の第2の態様のユニットの一部のためものであってもよい。
【0055】
本発明の第3の態様では、互いから間隔をあけて配置される2つの側壁部と、底部とを、開口内部空間を形成し、その開口内向部が、一方の壁部から他方へいく方向、特に、2つの壁部に垂直な方向に最も広い幅を有するような方法で含み、少なくとも1つのフック部、好ましくは複数のフック部が底部から出ている、フック部を有するオーバーモールド部材は、2つの側壁部の上部または遠位部が、2つの側壁部の上端部の2つの最も内側の位置の間の距離が上記最も広い幅よりも小さくなるように、互いに対して傾斜している。
【0056】
好ましくは、壁部を通る断面において、両側の端部が、それぞれ左部分および右部分で終了し、形状が略円弧状であり、特に、フック部が出ている領域である底部が中央平坦部分から構成されている。
【0057】
好ましくは、オーバーモールド部材のフック部は、内部空間の底部のみから突出している。
【0058】
本発明の一実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のフック部を有するオーバーモールド部材を上から見た斜視図である。
【図2】図1の線A−Aでの断面図である。
【図3A】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図3B】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図3C】本発明のそれぞれの成形品の一部の断面図であって、図1および2のオーバーモールド部材を含む図である。
【図4A】図1および2のフック部を有するオーバーモールド部材と、それぞれの台座部を示す側面図であり、各台座部がレールの形状をしていて、フック部を有するオーバーモールド部材が台座部の上に配置されている図である。
【図4B】図1および2のフック部を有するオーバーモールド部材と、それぞれの台座部を示す側面図であり、各台座部がレールの形状をしていて、フック部を有するオーバーモールド部材が台座部の上に配置されている図である。
【図5A】図4Aと同様の図である。フック部を有するオーバーモールド部材の中のフック部を入れるための内部空間を密閉式に保護するような方法により、それぞれのレール形状台座部に力をかけて(クリップ式に)挿入した状態を示す。アセンブリは図3Aの成形品に対応する。
【図5B】図4Bと同様の図である。フック部を有するオーバーモールド部材の中のフック部を入れるための内部空間を密閉式に保護するような方法により、それぞれのレール形状台座部に力をかけて(クリップ式に)挿入した状態を示す。アセンブリは図3Bの成形品に対応した図である。
【図6】図3の成形品を覆うカバーから出ている、本発明のループ部を有する部材の断面図である。
【図7】ループ部を有する部材と、フック部を有する部材とが図3の成形品にある深溝部の底部で、図6のループ部を有する部材を含むカバーで覆われた場合にどのように協働するかを、中に入っていない場合について線図式に示す図である。
【図8】ループ部を有する部材と、フック部を有する部材とが図3の成形品にある深溝部の底部で、図6のループ部を有する部材を含むカバーで覆われた場合にどのように協働するかを、硬質プラスチック材料製のワイヤがポケット部の中にある場合について線図式に示す図である。
【図9】フック部を有するオーバーモールド部材の別の実施形態を、図2と同一の断面図で線図式に示す図である。
【図10】本発明のアセンブリの台座部で可能性のある別の実施形態の図4または図5と同じ図である。
【図11】本発明のアセンブリの成形品の深溝部を通る断面図である。
【図12】本発明のアセンブリの別の実施形態の図11と同じ図である。
【図13】本発明の成形品を覆うためのカバーの実施形態の線図式の断面図である。
【図14】本発明の成形品を覆うためのカバーの別の実施形態の線図式の断面図である。
【図15】本実施形態では湾曲した部分と直線状の部分とから構成されている深溝部の上にある成形品の図である。
【図16】本発明のアセンブリの台座部で可能性のある別の実施形態の図4または図5と同じ図である。
【図17】フック部が出ている平坦な底部を有する、フック部を有するオーバーモールド部材の別の実施形態を示す、図2と同じ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図面、特に図1に、本発明の第3の態様でのフック部を有するオーバーモールド部材であって、本発明の第1および/または第2の態様において実施できるオーバーモールド部材の斜視図を示す。部材1は、型の中に配置し、モールディングによって成形品を形成するものであり、被成形物品は、成形材料、特に発泡体、より詳しくは熱可塑性発泡体製である。発泡体を型に流し込むと、上記発泡体が液体のようにオーバーモールド部材に接触し、次いで、固まることにより、オーバーモールド部材にしっかりと固定する。発泡体を型に流し込む場合の目的は、発泡体がフック部の下を貫通することでフック部を汚すことがないように、フック部を保護することである。これは、発泡体がフック部の下に入ってしまうと、フック部が使用不能になり、もはやループと協働してフッキングや面ファスナ機能を行うことができなくなるからである。
【0061】
オーバーモールド部材1にはプレート部2があり、プレート部2は縦の長さがLであり、幅がlである矩形の基部を有する。長さLはオーバーモールド部材の長手方向に延在し、幅lは横方向に延在する。2つの側壁部3および4は、プレート部2の上面から延在する。これらの側壁部3および4の各々は上端部を有し、この上端部は、この例では、図面に対して略左右方向の面から構成されている。各上端部は線5および6を有し、この線5および6は、上端部の最も内側の、つまり、他方の壁部に最も近い位置で構成されている。断面では、特に図2のように、これらの線5および6の各々が、それぞれの最も内側の位置を形成している。これらの2つの線5および6は、この例では、直線状である。図9に示す別の実施形態では、これらの上端部は、必ずしも平坦な面ではなく、段差がつけられていてもよい。故に、図9では、上端部が左右方向の第1の面(リブ部を除いた壁部3の上面に対応している)を有し、続いて第2の左右方向の面(リブ部の上面)があり、この第2の左右方向の面は、第1の面に対して段差がつけられているとともに、湾曲部分で終了している。この湾曲部分は、第2の左右方向の面で最も内側の位置から、壁部3および4の上端部の最も内側の位置に対応する湾曲部分の最も内側の位置まで延在する。
【0062】
したがって、断面では、特に図1のA−A断面では、図2に示されているように、オーバーモールド部材は、略U字形状またはC字形状であり、U字形状またはC字形状の分岐部分は、2つの壁部3および4によって構成されている。
【0063】
U字形状の内面は、3つの部分から構成されている。すなわち、2つの先端部分があり、各々が最も内側の位置5または最も内側の位置6から底部の中間部分まで延在する。底部の中間部分は、両側の最も外側にあるフック部38により規定されている。したがって、2つの先端部分には突出するフック部が1つもなく、オーバーモールド部材のすべてのフック部が底部の中間部分から突出している。
【0064】
本発明のオーバーモールド部材の底部を厳密に定義する第1の定義方法は、フック部を考慮することであり、その中にすべてのフック部がある内部空間を規定する最小面として底部を定義することである。
【0065】
第2の方法は、各断面において、2つの最も内側の位置(5および6)を、内部空間を規定する内面に、縦方向に(つまり、例えば、図2のベース・プレート部の平面に垂直に)突出させ、突出位置5’および6’を得るように、その間に底部が広がると考えることである。
【0066】
本発明のオーバーモールド部材の底部を規定するには、この2つの方法のいずれか一方を利用することができる。
【0067】
図1および2では、側壁部3および4の遠位端部分が互いの方へ向けて若干傾斜している。したがって、断面、例えば断面A−Aでは、オーバーモールド部材1が、2つの壁部5および6と、プレート部2の両面とで規定される開口内部空間を規定している。示されるように、この内部空間は、好ましくは床部7を有し、床部7は、オーバーモールド部材により規定され、この例ではC字形状をしている開口内部空間の底部を形成している。すべてのフック部38がこの床部または底部7から突出し、2つの先端壁部3および4の内面からは、フック部がまったく突出しない。上記フック部38は、所望のどのような方法で並べることもできるが、好ましくは、示されるように、縦列および横列に並べ、特に示されるように、どの縦列でも、フック部の頭部が交互に図面の左方向および右方向を向くように並べる。
【0068】
壁部に垂直な方向、つまり、図2の左右方向に測定した最も長い距離D0は、高さhでの2つの壁部間の距離である。これは、2つの先端部の間の距離d0よりも大きい。同じ関係が図9に示した実施形態でも確認できる。図2において、実施形態は、前方壁部8および後方壁部9の間の長手方向に沿うすべての断面について、断面が同じとなるようにするが、これは、壁部と端部がこの例では直線状となるからである。しかしながら、上記断面が変化する実施形態、例えば、壁部や端部が上から見た平面内で一定量の湾曲、例えば、円弧もしくは楕円曲線、または、あらゆる他の想像可能な形状に湾曲している実施形態も考えられる。D0がd0よりも大きいという関係は、その場合にも、各断面で有効である。
【0069】
オーバーモールド部材は、さらに、前方壁部8および後方壁部9を有する。前方壁部8および後方壁部9と、側壁部3および4と、底部床部7とは、その中にフック部が存在する開口内部空間を規定する。前方壁部8および後方壁部9の各々は、それぞれの上端部10および11を有し、上端部10および11は、一方の側端部5から反対側の他方の側端部6まで延在する。これらの端部10および11は、この例ではC字形状をしている。シーリング用のガスケット13が前方壁部8および後方壁部9の上端部10および11に沿って延在する。
【0070】
上から見ると、壁部8および9の内側上端部は直線である。これらの線は直線以外のものであってもよく、それが何であっても任意の形状でよく、特に、1つまたは複数の湾曲した部分を有することによる任意の形状であってもよい。
【0071】
上述した部材1は、液状の発泡体を注入する型に入れるものである。液状の発泡体は、固まることで、側壁部5および6と、プレート部2の底面と、前方壁部8および後方壁部9の外面とに固定され、これにより、フック部を成形した発泡品に固定する。
【0072】
型の内部では、レールの形状をした少なくとも1つの台座部12が型の内壁部16から突出し、その型は、モールディングによって作ろうとしている物品の形状をしたボリュームを規定している。完成した成形品には、中にフック部を配置するために形成する深溝部数の関係で、1つまたは複数の台座部を設けることも可能である。特に、深溝部の列を形成する台座部の列を設けることも可能であり、また、台座部の一部は湾曲していてもよい。発泡体がフック部に注入し、または、フック部と接触することを防止するために、フック部は、発泡体が注入される間、その注入された発泡体と接触しないようにしなければならない。このため、フック部を有するオーバーモールド部材は、フック部を台座部の方へ向けた状態で、台座部の上に力をかけて固定する。どのような台座部の上にも、オーバーモールド部材を1つだけ配置することも可能であるし、複数のオーバーモールド部材を縦に並べて配置することも可能である。この場合、オーバーモールド部材は、本発明の第2の態様にあるように、互いに一定距離を離して配置することもできるし、あるいは、互いに非常に近づけて配置することも可能である。さらに言えば、所望であれば、端部と端部をつなげて配置することも可能である。
【0073】
レール部12は、対向する2つの側面30および31を有する。上から見ると、つまり、図4および5の矢印Fに沿って見ると、これらの面は直線の形状をしている。したがって、側面30および31は、2つの側壁部3および4の内側上端部5および6と同じ形状を有することができる。
【0074】
2つの面30および31の間の距離Dは、レールの厚み方向に対応する方向である、2つの面30および31に垂直な方向(図の左右方向)に測定すると、側壁3および4の2つの上端部5および6の間を同じ方向に測定した距離d0に略等しいが、それより若干大きい。
【0075】
レール部が延在する長手方向(図4または5の面に垂直な方向)に沿って一定の厚みとなっていない場合には、各断面で測定された厚みDは、測定された(長手方向に沿った)位置での2つの最も内側の先端部5および6の間の距離d0に略等しいが、それよりも若干大きく、レール部の面の形状は、先端部の形状と相補的である。
したがって、例えば、端部5および6ならびに面30および31を直線状な形状の代わりに円弧形状にすることも可能である。
重要なことは、レール部を側壁部の間に挿入したときに、発泡体から密閉するため、面と端部が略同じ形状を有することである。
【0076】
図5Aおよび図5Bに示されるように、オーバーモールド部材1が、モールディングの間、台座部12の面30および31と接触するとき、この接触は、少なくとも、先端部5および6によって規定される直線の全体にわたって生じる。示した実施形態では、この接触は、これらの線を含む面で生じている。
【0077】
さらに、レール部12は、前方壁部8および後方壁部9の上端部10および11の形状と相補的な形状の上部を有する。したがって、この例では、レール部12の上部が、前方壁部8および後方壁部9の上端部の円弧形状またはC形状に対応した形状のC字形状、または、円弧状である。部材1の2つの側壁部がその2つの端部5および6の間に台座部12を固定するように部材1を押圧すると、これらの2つの端部が互いから少し離れ、レール部の上部15が側壁部8および9の2つの上端部10および11と接触するようになるまで、レール部が中に入ることができる。2つの上端部に弾性があることは、2つの壁部が弾性により互いの方向へ戻ろうとするため、2つの上端部がレール部の対応する面に接触するところが密閉されることを意味する。一方、密閉用リブ部13は、レール部12の上部と、壁部8および9の上端部との間にあり、発泡体が注入されている間、フック部に対して優れた密閉状態を提供する。
【0078】
図10に示した改良例では、レール部の2つの側面30および31から横方向に突出する2つのリブ部を設けることができる。どの断面においても、レール部の最も広い幅は、2つのリブ部の2つの最も外側の位置の間の距離Dであり、この距離Dは、距離d0より大きい。
【0079】
図16に示した別の実施形態では、2つの長手方向チャネルを対向する2つの側面30および31に設けることができる。これらのチャネルは、側方先端部をスナップ留めで受けるものである。
【0080】
上述した2つの実施形態は、クリップ留めまたはスナップ留めを利用した改良例である。しかしながら、クリップ留めまたはスナップ留め自体は本発明の効果を得るための必須のものではなく、本発明の効果は、接触を保った状態で挿入されるときはいつでも、台座部を2つの側壁の間に、互いに、例えば、外側に向けて離した2つの壁部がレール部に押し当てられながら内側に戻ろうとする事により、得ることができる。
【0081】
発泡体を成形し、その発泡体が固まったら、成形品は型から取り出す。長手方向深溝部15(長さ方向は図3に垂直である)が成形品の外面に形成され、この深溝部は、レール部12の形状と略相補的な形状をしている。発泡体は、オーバーモールド部材1の先端部より下の内面、および、開口内部空間の底部の全体を除くオーバーモールド部材1の周囲全体に広がっている。特に、発泡体は、2つの側壁部3および4の上面を2つの壁部の上端部の最も内側の位置5および6まで覆うまで広がる。発泡体は、深溝部の2つの直立面50および51を規定し、この直立面は、成形品の外部に向かって開口する深溝部の上部開口部からオーバーモールド製品のU字形状の分岐部を形成している壁部3および4のそれぞれの上端部まで延在する。オーバーモールド製品の内面のフック部のない先端部分は、略平行であり、直立面50および51と連続する。直立面50および51からそれぞれの内側部分へは、特に継ぎ目において、滑らかに移行しており、如何なる凹凸もない。
【0082】
図3A、3Bおよび3Cは、それぞれの結果得られた成形品の一部を示す。もちろん、成形品によっては、この種の深溝部を複数設け、各々の深溝部に本発明のフック部を有する部材を少なくとも1つ設けることも可能である。特に、非常に長い台座部であって、間隔をあけて配置された複数のオーバーモールド部材が底部にある深溝部を得るために、間隔をあけて配置された複数のオーバーモールド部材によって固定された台座部を設けることもできる。
【0083】
フック部を有するオーバーモールド部材を1つまたは複数有する発泡体品のモールディングが終わると、特に、成形品が自動車のクッションである場合には、次に成形品をカバーまたは覆いにより覆う必要がある。このカバーはループ部を有する部材に取り付けられる。ループ部は、フック部と協働し、カバーが成形品を覆っている間、カバーを成形品に、特に、成形品の外面の形状にぴったりとフィットさせて固定する。
【0084】
この種のループ部を有する部材が図6に示されている。この部材には、織物材料からなり、それ自体の上に折り重ねられたシートで構成されたポケット部20が設けられ、ループ部がポケット部の外面から出ている。これらのループ部21は、特に、ポケット部20の外面に織り込まれてもよいし、編み込まれてもよい。カバーを形成するシート22および23の形の2つが縁部において重ね合わせてあり、2つのシート22および23を接合してカバーを形成するように、ポケット部が2つの縁部の側面に縫いつけてある(図13および14参照)。したがって、2つのシート22および23の間の接合部にあるポケット部20は、深溝部15の底部に挿入されて、ループ部がフック部と接触する。これにより、カバーが成形品の周りに、特に輪郭と、深溝部15の壁部に沿って固定される。
【0085】
図7および8は、フック部とループ部の間を固定したところの側面図(成形品を省略している)を示す。例として、フック部を有する2つのオーバーモールド部材1が深溝部の底部に配置されている。もちろん、フック部を有する部材を3つ以上深溝部の中に設けるために、深溝部がさらに長い距離を長手方向に延在することとしてもよい。
【0086】
さらに、この例では、アセンブリ全体を強化するため、硬質プラスチック材料からなる円柱棒状体で構成されるワイヤ24が、ループ部を有する部材のポケット部20の中に挿入されている。プラスチック材料からなる硬質ワイヤは、例えば、ポリプロピレン(PP)製またはポリエチレン(PE)製であり、直径が少なくとも2mmである。もっとも、中空ワイヤ、つまり、管形状をしたワイヤを設けることも可能である。硬質ワイヤ24がポケット部20の中にない場合には、フック部がある2つの部材1の間の中間領域において、捲れ上がり作用が生じる。捲れ上がり作用では、ポケット部20が持ち上がる、つまり、アーチ型になりやすく、図7に示すように、テントのように変形する。
【0087】
逆に、硬質ワイヤ24を部材20の中に配置すると、図8に示すように、捲れ上がり作用が消える。したがって、図7に示した2つの部材1は、ワイヤ24がないと、捲れ上がり作用がある。ワイヤ24がポケット部20内に配置されると、捲れ上がり作用がないような一定の距離をあけて配置される。具体的には、この距離は、容易に80mmに達しうることを前提とし、20mmから25mmの範囲よりも長い距離に対応している。さらに言えば、150mmから200mmの範囲よりも長い距離に対応している。
【0088】
指摘したように、図4Aにおいて、レール部12の厚さDは、好ましくは、8mmから16mmの範囲にあり、より好ましくは、9mmから12mmの範囲にある。もっとも、これらの厚さ寸法の範囲は、図面に示した他の実施形態についても有効である。
【0089】
図3B、4Bおよび5Bに対応する実施形態では、台座部が下方に向かって(つまり、矢印Fによって示される方向に)徐々に幅が細くなっている。この結果、上部開口部に向かって徐々に幅が細くなり、図3Bに示す深溝部が得られる。しかしながら、図3Aの実施形態のように2つの壁部の上端部の最も内側の位置5および6は、溝部50の2つの面50および51から盛り上がっていない。同じことは、図3Cに示した実施形態にも当てはまる。
【0090】
図11は、深溝部15を通る図8のアセンブリの断面を示している。深溝部の幅は、図に対して左右方向に測定される。ワイヤの直径と、ポケット部を形成するため、それ自体の上に折り重ねられたシートの厚さの2倍との合計は、深溝部の幅と略等しい。特に、ポケット部と深溝部の各壁部は、互いに直に接触する。
【0091】
図12は別の実施形態を示しており、この実施形態では、ワイヤが卵形または楕円形断面をしていて、その長軸が図の上下方向、つまり、深溝部の底部から外部に向けて延在している。ループ部を有する部材の全体の幅(短軸に沿った寸法とポケット部の厚さの2倍)は、深溝部の幅寸法と略等しい。
【0092】
本出願では、成形品とカバーとの間の相互の固定が、成形品から出ているフック部がカバーにあるループ部と協働することによって行われると説明した。ループ部の代わりにフック部を設けることも可能であり、そのフック部は、この場合、オーバーモールド部材にあるフック部と、フック間面ファスナ式に協働することに留意すべきである。これは、特許請求の範囲において、用語「ループ部」をループ部はフック部であってもよいという事実をも包含する幅広い意味に解釈すべき理由である。
【0093】
図15は、直線状に延在していない深溝部であって、特に、湾曲した部分を含む深溝部を有する成形品の実施形態を示す。オーバーモールド部材は、深溝部の中に連続的に配置、特に、端と端を接続して配置する必要がないので、アセンブリは簡単になっている。特に、深溝部の湾曲部分の形状と相補的な湾曲形状のオーバーモールド部材を用意する必要はないので、直線部分に使用され、長さが短くて、大きな間隔をあけて配置されるものと同じ部材が、あまり曲がっていない湾曲部分にも適している。
【0094】
本出願では、用語「フック部」は、引っかかる能力、特にループ部に引っかかる能力のあるあらゆる部材を意味する。具体的には、フック部とは、軸部と、その軸部から横方向に突出した頭部を備えた部材である。したがって、キノコの形状、かえしの形状、二重頭部の形状、または、いくつかの他の似た種類の部材が本発明の意味でのフック部である。
【0095】
本発明の第1および第3の態様では、成形品とカバーとの間の相互の固定は、成形品から出ているフック部がカバーにあるループ部と協働することによって行われると説明した。ループ部の代わりにフック部を設けることも可能であり、そのフック部は、この場合、オーバーモールド部材にあるフック部と、フック間面ファスナ式に協働することに留意すべきである。これが、本発明のこれら第1および第3の態様において、用語「ループ部」をループ部はフック部であってもよいという事実をも包含する幅広い意味に解釈すべき理由である。それとは反対に、第2の態様では、用語「ループ部」は、フック部材が通過し、引っかかることができる開口部があることを意味する。
【0096】
同様に、第1の態様の範囲内で、オーバーモールド部材を1つだけ、または、このような部材を複数、任意の台座部の上に載せて使用するように用意することも可能である。この場合には、オーバーモールド部材を互いにある程度離して配置(この場合には、本発明の第1の態様の範囲内にある)、または、互いに非常に近づけて、または、さらに言えば、所望の場合には端と端を接続して配置することも可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1に、オーバーモールドして成形品にするようデザインされ、フック部(38)を有するオーバーモールド部材(1)であって、2つの先端側壁部(3、4)および底部によって規定される開口内部空間を形成し、前記部材から出ている少なくとも1つのフック部(38)が前記底部から突出し、または、前記部材から出ているいくつかのフック部(38)が前記底部から突出するオーバーモールド部材(1)と、
第2に、内部ボリュームを規定する内壁部を有する型であって、前記内部ボリュームが前記型の中でモールディングによって形成する物品と同じ形状をしており、少なくとも1つの台座部(12)が前記内壁部から前記内部ボリュームの中へと突出しており、フック部(38)を有する前記オーバーモールド部材(1)が、成形用発泡体を成形している間、前記台座部(12)と接触し、前記台座部(12)が、具体的には平行面である2つの対向する外側面(30、31)を有するレール形状部分(14)を含む、型とを備え、
前記発泡体を成形している間、前記先端側壁部と前記外側面の間に前記フック部(38)が介在することなく、前記オーバーモールド部材(1)のそれぞれの前記先端側壁部(3、4)が、それぞれの、前記対向する外側面(30、31)に接触する、アセンブリ。
【請求項2】
フック部(38)を有する前記オーバーモールド部材(1)が、前記台座部(12)を前記オーバーモールド部材(1)の2つの側壁部(3、4)の間で力により固定する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
各壁部が、少なくとも1つのそれぞれの線、特に直線に沿って接触が生じる、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記フック部を有する部材(1)と前記台座部(12)との間がクリップ留めによって接触が生じる、請求項1から3のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記発泡体を成形している間、前記フック部(38)の一部、特に、前記フック部(38)のすべてが、前記レール部(14)から一定の距離を保つ、請求項1から4のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記フック部(38)は、前記先端側壁部(3、4)の内面から突出しない、請求項1から5のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記フック部を有する部材(1)の各側壁部(3、4)が最も内側の先端部を有し、前記フック部(38)の最も高い位置の高さが前記最も内側の先端部の高さよりも低くされ、
前記台座部(12)が、2つの対向する外側面(30、31)を有するレール形状部分(14)を含み、前記外側面が間隔をあけて配置されるとともに、前記オーバーモールド部材(1)の前記側壁部(3、4)の前記先端部の形状と略同一の形状を有し、
前記レール部(14)の厚さ、つまり、所定の方向に測定した前記2つの側面の間の距離が、前記所定の方向における前記2つの側壁部(3、4)の前記2つの先端部の間の距離よりも若干大きい、請求項1から6のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記2つの側壁部(3、4)は互いの方へわずかに傾斜し、特に、断面に見られるように、C字形状、円弧形状、または、類似の形状であることにより傾斜する、請求項1から7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記オーバーモールド部材(1)は、さらに、前方および後方壁部(8、9)を有し、前記前方および後方壁部は前記側壁部(3、4)に対して横方向に延在し、前記台座部(12)は、前記前方および後方壁部(8、9)の上端部の形状に対して略相補的な形状をした上部を有することで、前記壁部の前記上端部に静止させることができ、任意に、前記前方および後方壁部の前記2つの上端部に沿って延在する密閉用リブ部が介在する、請求項1から8のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記オーバーモールド部材(1)が前記2つの側壁部を越えて外側の方へ延在し、これにより、1または複数の外側縁部を形成する、請求項1から9のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記アセンブリを規定するために、前記底部が、すべての前記フック部(38)が中に位置する前記内部空間を規定する最小の面として規定されている、請求項1から10のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項12】
各断面において、2つの突出位置(5’、6’)が得られるよう、前記2つの最も内側の位置(5、6)を前記内部空間を規定する前記内面の上に突出させ、前記2つの突出位置(5’、6’)の間に、前記底部が広がっているとみなす、請求項1から11のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項13】
成形材料、特に熱可塑性発泡体から作られた本体と、
請求項1から12のいずれかに記載のアセンブリの、フック部を有するオーバーモールド部材(1)と、を有する成型品であって、
前記部材が前記成形された本体の中にオーバーモールドされており、前記発泡体は、前記オーバーモールド部材(1)の上に、前記成形された本体の外部へ開口する溝部または深溝部(15)が形成されるように、前記内部空間に対応する領域を除いて、前記オーバーモールド部材(1)の断面の周囲全体にわたって、前記オーバーモールド部材と接触し、
前記深溝部(15)は、前記台座部(12)の前記2つの側壁部(30、31)の2つの内側上端部の間の距離に対応する1または複数の厚さを有するレール部の形状に対して相補的な形状を特に有する、成型品。
【請求項14】
成形品、特に、請求項13に記載の成形品を製造する方法であって、被成形物品と同じ形状の型と、前記型の壁部から突出しているレール形状の台座部(12)が前記型のボリュームを規定する型を用意するステップを含む方法であって、
前記ステップが、
間隔をあけて配置された2つの側壁部(3、4)と、前記フック部(38)が突出している底部とを有するオーバーモールド部材(1)により前記台座部(12)を固定し、
前記オーバーモールド部材(1)の2つの壁部(3、4)の間の内部空間を密閉するような方法で、フック部を有する前記部材(1)の2つの側壁部が前記台座部(12)の2つの面に、少なくとも2つのそれぞれの接触線に沿って押しつけられ、前記物品をモールディングする発泡体を注入する、方法。
【請求項1】
第1に、オーバーモールドして成形品にするようデザインされ、フック部(38)を有するオーバーモールド部材(1)であって、2つの先端側壁部(3、4)および底部によって規定される開口内部空間を形成し、前記部材から出ている少なくとも1つのフック部(38)が前記底部から突出し、または、前記部材から出ているいくつかのフック部(38)が前記底部から突出するオーバーモールド部材(1)と、
第2に、内部ボリュームを規定する内壁部を有する型であって、前記内部ボリュームが前記型の中でモールディングによって形成する物品と同じ形状をしており、少なくとも1つの台座部(12)が前記内壁部から前記内部ボリュームの中へと突出しており、フック部(38)を有する前記オーバーモールド部材(1)が、成形用発泡体を成形している間、前記台座部(12)と接触し、前記台座部(12)が、具体的には平行面である2つの対向する外側面(30、31)を有するレール形状部分(14)を含む、型とを備え、
前記発泡体を成形している間、前記先端側壁部と前記外側面の間に前記フック部(38)が介在することなく、前記オーバーモールド部材(1)のそれぞれの前記先端側壁部(3、4)が、それぞれの、前記対向する外側面(30、31)に接触する、アセンブリ。
【請求項2】
フック部(38)を有する前記オーバーモールド部材(1)が、前記台座部(12)を前記オーバーモールド部材(1)の2つの側壁部(3、4)の間で力により固定する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
各壁部が、少なくとも1つのそれぞれの線、特に直線に沿って接触が生じる、請求項1または2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記フック部を有する部材(1)と前記台座部(12)との間がクリップ留めによって接触が生じる、請求項1から3のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記発泡体を成形している間、前記フック部(38)の一部、特に、前記フック部(38)のすべてが、前記レール部(14)から一定の距離を保つ、請求項1から4のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記フック部(38)は、前記先端側壁部(3、4)の内面から突出しない、請求項1から5のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記フック部を有する部材(1)の各側壁部(3、4)が最も内側の先端部を有し、前記フック部(38)の最も高い位置の高さが前記最も内側の先端部の高さよりも低くされ、
前記台座部(12)が、2つの対向する外側面(30、31)を有するレール形状部分(14)を含み、前記外側面が間隔をあけて配置されるとともに、前記オーバーモールド部材(1)の前記側壁部(3、4)の前記先端部の形状と略同一の形状を有し、
前記レール部(14)の厚さ、つまり、所定の方向に測定した前記2つの側面の間の距離が、前記所定の方向における前記2つの側壁部(3、4)の前記2つの先端部の間の距離よりも若干大きい、請求項1から6のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記2つの側壁部(3、4)は互いの方へわずかに傾斜し、特に、断面に見られるように、C字形状、円弧形状、または、類似の形状であることにより傾斜する、請求項1から7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記オーバーモールド部材(1)は、さらに、前方および後方壁部(8、9)を有し、前記前方および後方壁部は前記側壁部(3、4)に対して横方向に延在し、前記台座部(12)は、前記前方および後方壁部(8、9)の上端部の形状に対して略相補的な形状をした上部を有することで、前記壁部の前記上端部に静止させることができ、任意に、前記前方および後方壁部の前記2つの上端部に沿って延在する密閉用リブ部が介在する、請求項1から8のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記オーバーモールド部材(1)が前記2つの側壁部を越えて外側の方へ延在し、これにより、1または複数の外側縁部を形成する、請求項1から9のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記アセンブリを規定するために、前記底部が、すべての前記フック部(38)が中に位置する前記内部空間を規定する最小の面として規定されている、請求項1から10のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項12】
各断面において、2つの突出位置(5’、6’)が得られるよう、前記2つの最も内側の位置(5、6)を前記内部空間を規定する前記内面の上に突出させ、前記2つの突出位置(5’、6’)の間に、前記底部が広がっているとみなす、請求項1から11のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項13】
成形材料、特に熱可塑性発泡体から作られた本体と、
請求項1から12のいずれかに記載のアセンブリの、フック部を有するオーバーモールド部材(1)と、を有する成型品であって、
前記部材が前記成形された本体の中にオーバーモールドされており、前記発泡体は、前記オーバーモールド部材(1)の上に、前記成形された本体の外部へ開口する溝部または深溝部(15)が形成されるように、前記内部空間に対応する領域を除いて、前記オーバーモールド部材(1)の断面の周囲全体にわたって、前記オーバーモールド部材と接触し、
前記深溝部(15)は、前記台座部(12)の前記2つの側壁部(30、31)の2つの内側上端部の間の距離に対応する1または複数の厚さを有するレール部の形状に対して相補的な形状を特に有する、成型品。
【請求項14】
成形品、特に、請求項13に記載の成形品を製造する方法であって、被成形物品と同じ形状の型と、前記型の壁部から突出しているレール形状の台座部(12)が前記型のボリュームを規定する型を用意するステップを含む方法であって、
前記ステップが、
間隔をあけて配置された2つの側壁部(3、4)と、前記フック部(38)が突出している底部とを有するオーバーモールド部材(1)により前記台座部(12)を固定し、
前記オーバーモールド部材(1)の2つの壁部(3、4)の間の内部空間を密閉するような方法で、フック部を有する前記部材(1)の2つの側壁部が前記台座部(12)の2つの面に、少なくとも2つのそれぞれの接触線に沿って押しつけられ、前記物品をモールディングする発泡体を注入する、方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2013−517165(P2013−517165A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549392(P2012−549392)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/FR2011/000016
【国際公開番号】WO2011/089334
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(596170996)
【氏名又は名称原語表記】APLIX
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/FR2011/000016
【国際公開番号】WO2011/089334
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(596170996)
【氏名又は名称原語表記】APLIX
【Fターム(参考)】
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