説明

フッ素化潤滑剤

式、T−O−[A−B]−[A−B’]z’−A−T’(I)のフッ素化潤滑剤。
(式中、A=−(X)−O−A’−(X’)−であり、ここで、A’は、単位(CFO)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)を含むパーフルオロポリエーテル鎖であり、X、X’=−CF−、−CFCF−であり、a、b=0または1であり、Bは式−[(CR−CR(CR−CRj’]−(Ia)のオレフィンに由来し、前記オレフィンの少なくとも1種はラジカル経路によって単独重合可能であり、ここで、j=1〜5であり、j’=0〜4であり、2<(j+j’)<5であり、R〜R=ハロゲン、H、C〜C(パー)ハロアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cオキシ(パー)フルオロアルキルであり;z≧2であり、z’は0または整数であり、z、z’は、式(I)のポリマーの数平均分子量が500〜500,000の範囲内であるような値であり、B’=式(Ia)であり、しかし、R〜Rの少なくとも1つは、B中のR〜Rとは異なる意味を有し、2≦(j+j’)<5であり、T、T’=C〜Cパーフルオロアルキル、C〜Cアルキル基およびそれらの組み合わせである)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)に由来するブロック、およびハロゲン化オレフィンおよび/または水素添加オレフィンに由来する反復単位から形成されたブロックを含有し、低い磨耗値を有し、潤滑剤として使用できるポリマーに関する。
【0002】
特に、本発明は、上で定義された通り、ブロックAはPFPEに由来し、ブロックBはオレフィンに由来する交互ブロック−A−B−A−B−A−を有するポリマーに関する。
【0003】
より詳しくは、本発明は、ポリマーが室温で液体である時、低いガラス転移温度(Tg)、高温での少ない蒸発損失、および高い粘度とともに改善された磨耗を有するブロックポリマーに関する。
【背景技術】
【0004】
知られているように、パーフルオロポリエーテルは、主鎖を形成する反復単位中にエーテル結合が存在するゆえに、非常に低いTgを有するポリマーである。直鎖パーフルオロポリエーテル、例えば、Solvay Solexis S.p.A.によって商品化されているFomblin(登録商標)ZおよびMは、約−130℃のTg、および20℃で約1,300cStの最高粘度を有する。しかし、これらのポリマーは粘度が増加するにつれて磨耗が増大するという欠点を示す。従って、潤滑剤特性は損なわれる。磨耗は約300cStの粘度で約1.5mmである(比較例参照)。
【0005】
1,300cStより高い粘度が必要とされる場合、分岐主鎖を有するパーフルオロポリエーテル油、例えば、Solvay Solexisによって商品化されているFomblin(登録商標)Yは、20℃で1,800cStに及びさえする、より高い粘度を示すため用いられる。これらの粘度で、磨耗はASTM D 4172に準拠して測定して、約1.2mmである。実際、Fomblin(登録商標)Yは、粘度が同じであるFomblin(登録商標)ZおよびMより低い磨耗を示す。しかし、Fomblin(登録商標)Yは約−65℃のTgを示し、従って、Fomblin(登録商標)ZおよびMより高い。周知されているように、Tgは油の流動点に関係している。より高いTgはより高い流動点にもっていくということになる。従って、低い温度で、Fomblin(登録商標)YはFomblin(登録商標)ZおよびMと比べて、より乏しい使用分野を有する。更に、Fomblin(登録商標)Yは粘度が同じであるFomblin(登録商標)ZおよびMより大きい蒸発損失を示す。
【0006】
非常に高い粘度を有するパーフルオロポリエーテルブロック含有ポリマーが、先行技術において知られている。例えば、特許文献1には、分岐パーフルオロオキシアルキレン単位およびラジカル単独重合可能なフルオロオレフィンに由来する単位を含有する、非常に高い粘度を有するパーフルオロポリエーテルポリマーが記載されている。これらのポリマーのTgは報告されていない。しかし、これは、分岐パーフルオロポリエーテル単位がFomblin Yに構造的に似ているので、Fomblin Y油と同じ大きさを有するはずである。従って、例えば、−65℃より低い低温で、前記ポリマーを用いることはできない。更に、この特許は、磨耗も高温での重量損失もいずれも報告していない。
【0007】
特許文献2には、高い粘度を有し、ラジカル経路により単独重合不能なフルオロオレフィンに由来する、1つまたは2つのモノマー単位、例えば、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロアルキルビニルエーテルを鎖中に含有するFomblin(登録商標)Zの構造を有するパーフルオロポリエーテルが記載されている。この特許において、前記フルオロオレフィンの使用が過酸化物結合の還元中にパーフルオロポリエーテル過酸化物前駆体の劣化を大いに防ぎ、パーフルオロポリエーテルの普通の特性を実質的に変えないで維持することを可能にすることが記載されている。このようにして、還元反応収率は改善され、高粘度のパーフルオロポリエーテルが得られる。これらのポリマーは、Fomblin(登録商標)ZおよびMと同じ特徴、すなわち、粘度および分子量が増加するにつれて磨耗が増大するという特徴を実質的に示す。この特許は磨耗も蒸発損失もいずれも報告していない。
【0008】
2つまたは3つの(パー)フルオロポリエーテルブロックを含有するポリマーも知られている。これらのポリマーは構造A−BまたはB−A−Bを有する。ここで、Aはパーフルオロポリエーテルブロックであり、Bは1種以上のオレフィンの重合によるブロックである。例えば、特許文献3を参照すること。この特許で例示されたポリマーは、高くとも6,200の低い分子量を示し、従って、高温で著しい蒸発損失を有する。更に、ポリマーの分子量を高めるために、この特許の教示は、ブロックAおよび/またはBの長さを増すことである。ブロックAがより長い時、パーフルオロポリエーテル油に特有の高い磨耗が得られる。実際、分子量が上昇するにつれて後者は増加する。Bの長さを増す時、ポリマーは、高い結晶度および高い磨耗を示す。比較例参照のこと。更に、この特許は磨耗も蒸発損失もいずれも報告していない。
【0009】
特許文献4には、上記特許文献3において定義されたような構造A−BまたはB−A−Bを有する2つまたは3つのブロックから形成されたポリマーを含有する(パー)フルオロポリエーテルポリマーが記載されている。しかし、フルオロオレフィンブロックBは1つのBr原子を末端としている。これらのポリマーはフルオロエラストマーの硬化において添加剤として用いられる。この特許において、ポリマーの磨耗も損失重量データも報告されていない。
【0010】
特許文献5には、低いTgを有し、パーフルオロポリエーテルブロックと、水素添加オレフィンおよび/またはハロゲン化オレフィンに由来するポリマーブロックとを含有するポリマーが記載されている。これらの架橋ポリマーは、接続金具、Oリングおよび製造品の調製において、エラストマーとして用いられる。磨耗も重量損失データもこの特許において報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,493,530号明細書
【特許文献2】米国特許第4,500,739号明細書
【特許文献3】欧州特許第501,533号明細書
【特許文献4】米国特許第4,946,936号明細書
【特許文献5】米国特許第3,810,875号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以下の特性の組み合わせを示し、潤滑剤とし利用可能なパーフルオロポリエーテルポリマーの必要性が感じられた。
−例えば、20,000より高い、約80,000に及びさえする高分子量でさえも、特に1.5mm未満、好ましくは1.2mm未満、より好ましくは1mm以下の改善された磨耗、すなわち、低い磨耗値、
−特に−100℃〜−130℃の間の範囲内の低いTg、
−20℃で1,800cStよりはるかに高い粘度値、
−低い蒸発損失。
【課題を解決するための手段】
【0013】
出願人は、上記特性の組み合わせを示し、本発明の技術的問題を解決する特定のパーフルオロポリエーテルポリマーを、驚くべきことに且つ意外にも見出した。
【0014】
従って、本発明の目的は、式(I)
T−O−[A−B]−[A−B’]z’−A−T’ (I)
のパーフルオロポリエーテルポリマーである。
式中、
A=−(X)−O−A’−(X’)−であり、
ここで、A’は、任意に単位(CF(CF)O)、(CF(CF)CFO)、(CFCF(CF)O)を含む、(CFO)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)から選択された1個以上の反復単位を含むパーフルオロポリエーテル鎖であり、66〜50,000の間の数平均分子量を有し;X、X’は互いに同じかまたは異なり、−CF−、−CFCF−、および任意に−CF(CF)−であり;
a、bは互いに同じかまたは異なり、0または1に等しい整数であり、但し、末端基T−O−に連結されたブロックAがa=1を有し、末端基T’に連結されたブロックAがb=0を有することを条件とし;
Bは1種以上のオレフィン(ここで、前記オレフィンの少なくとも1種はラジカル経路により単独重合可能である)に由来する単位から形成されたブロックであり、式
−[(CR−CR(CR−CRj’]− (Ia)
を有し、ここで、jは1〜5の整数であり、j’は0〜4の整数であり、但し、(j+j’)が2より大きく且つ5より小さいことを条件とし;
、R、R、R、R、R、R、Rは互いに同じかまたは異なり、ハロゲン、好ましくはF、Cl;H;、C〜C(パー)ハロアルキル(ここで、ハロゲンは好ましくはF、Clである);任意にO、N、Sのようなヘテロ原子を含有するC〜Cアルキル;C〜Cオキシ(パー)フルオロアルキルから選択され;
zは2より大きい整数であるか、または2に等しく;z’は0または整数であり、z、z’は、式(I)の数平均分子量が500〜500,000、好ましくは1,000〜80,000、より好ましくは5,000〜60,000の範囲内にあるような値であり;
B’は1種以上のオレフィンに由来するブロックであり、式(Ia)を有するが、ブロックBの置換基R〜Rとは異なる置換基R〜Rの少なくとも1つを有し、(j+j’)は2以上で且つ5未満であり;
末端基TおよびT’は互いに同じかまたは異なり、炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル(1個のフッ素原子は1個の塩素原子または水素原子で置換されていることが可能である);C〜C非フッ素化アルキル基である。
【0015】
A’は、好ましくは300〜10,000、より好ましくは500〜5,000の範囲内の数平均分子量を有する。ブロックAは、好ましくは、以下の構造から選択される。
(1)−(X)O[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](X’)
(式中、
X、X’は互いに同じかまたは異なり、−CF−、−CFCF−であり;
a、bは上で定義された通りであり;m、n、p、qは、nが0とは異なる時、m/nが0.1と10との間であるように、0を含む整数であり、(p+q)/(n+m+p+q)は0と0.05との間であり、(n+m+p+q)は0とは異なる)
(2)−(X)O[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)(CF(CF)O)(CFCF(CF)O)]−(X’)
(式中、
X、X’は互いに同じかまたは異なり、−CF−、−CF(CF)−、−CFCF−であり;
a、bは上で定義された通りであり;
mは1より大きい整数であるか、または1に等しく、n、p、q、u、v指数は0を含む整数であり、但し、(v+m)が0とは異なる時、(p+q)/(v+m)は0〜0.05の間であり;(m+n)が0とは異なる時、(v+u)/(n+m)の比は1未満であることを条件とする)
【0016】
ブロックBは、ラジカル経路により単独重合不能なオレフィン、例えば、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、(パー)フルオロビニルエーテル、プロピレンの任意の存在下で、ラジカル経路により単独重合可能な1種以上のオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、エチレン(E)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する。
【0017】
ブロックB’は、ラジカル経路により単独重合可能なまたは単独重合不能な1種以上のオレフィンに由来する。Bのために指示されたオレフィンは、ブロックB’を得るために用いることが可能である。B’の好ましいオレフィンはBの好ましいオレフィンである。
【0018】
パーフルオロオレフィンに由来する単位を含有するBブロックおよびB’ブロックが好ましい。これらのオレフィンの例はTFEとHFPの混合物である。他の好ましいB、B’ブロックは、ラジカル経路により単独重合可能な少なくとも1種のパーフルオロオレフィン、例えば、TFE、および少なくとも1種の非パーフルオロオレフィン、例えば、エチレン、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する単位を含有するものである。式(I)(式中、z’=0)のポリマーはより好ましい。
【0019】
ブロックB、B’の合計重量は、式(I)のポリマーの合計重量の一般には70%未満、好ましくは60%未満、より好ましくは40%未満である。
【0020】
特に式(I)において、末端基TおよびT’は互いに同じかまたは異なり、−CF、−C、−C、−CFH、−CFCFH、−CFHCF、−CFCl、−CCl、−CH、−C、−Cである。
【0021】
本発明の式(I)の交互ブロックポリマーは、−O−C−または−C−C−タイプのブロックAとブロックBとの間の結合を有することにより特徴付けられる。前述のように、本発明のポリマーは、明確で制御された長さを有するブロックB、B’を有することで特徴付けられる。これは、パーフルオロポリエーテル特有の特性、例えば、低いTg、良好な熱安定性および熱酸化安定性を有すると同時に、20℃で1,800cStより高くさえある、より広い粘度範囲を有する、式(I)のパーフルオロポリエーテルを得ることを可能にする。
【0022】
式(I)のポリマーの粘度は、20℃で50,000cStまたはそれ以上でさえある程度に非常に高くなり得る。ポリマーは実質的に固体であることも可能である。
【0023】
更に、本発明のポリマーは、B、B’ブロックに特有のDSCにおけるTgを驚くべきことに且つ意外にも示さない。これは、先行技術においてポリマー、特にオレフィンブロックとパーフルオロポリエーテルブロックを含有するポリマーが、常に2つのTgを示すことが知られているので意外である。例えば、米国特許第4,946,936号明細書参照のこと。本発明の式(I)のポリマーのTgが、B、B’ブロックの重量によって、実質的に影響を受けないことも更に観察された。
【0024】
更に、本発明の式(I)のポリマーがB、B’ブロックに特有の溶融温度を示さないことは驚くべきことであり、意外である。これは、B、B’の合計が高い時にも当てはまる。比較例参照のこと。
【0025】
出願人は、本発明のポリマーが、分子量が高く、そして粘度が高い時でさえ、低い磨耗を示すことも驚くべきことに且つ意外にも見出した。本発明のポリマーは、高い分子量においてさえも一般には1.2mm未満の低い磨耗を示す。
【0026】
式(I)のポリマーは、ポリマー鎖が(j+j’)の異なる値を有する高分子混合物にもっていく重合プロセスを通して得られる。高分子混合物の(j+j’)の平均値は分数であることも可能である。
【0027】
式(I)のポリマーを調製する方法は、以下の工程:
(a)0.1〜4の間、好ましくは0.1〜3.5の間の、パーフルオロポリエーテル過酸化物100g中の活性酸素(分子量=16)のgとして定義される過酸化物含有率(PO)を有する単位(CFO)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)の少なくとも1つを含む過酸化パーフルオロポリエーテルを、
ラジカル経路により単独重合不能な1種以上のオレフィンの任意の存在下で、ラジカル経路により単独重合可能な少なくとも1種のオレフィンと、
125℃〜280℃の間の温度、および1バール〜50絶対バールの間の圧力で、
オレフィンのモルとパーフルオロポリエーテルの過酸化物単位のモル(−O−O−のモル)との間の比が1〜15、好ましくは1〜10の範囲で、
0.1未満、一般には0.05未満、好ましくは0.02未満、より好ましくは0.01未満のPOを有するポリマーを得るまで、オレフィンを供給することによって反応させる工程と、
(b)ポリマー中の過酸化物分の除去に至るまで200℃〜280℃の範囲内の温度で、(a)において得られたポリマーを熱処理する工程と、
(c)式(I)のポリマーを得るために(b)において得られたポリマーを中和する工程とを含む。
【0028】
工程(a)において、任意にラジカル経路により、単独重合可能なオレフィンをより多く用いることが可能である。
【0029】
工程(a)における温度は、好ましくは180℃〜230℃の間である。工程(a)における圧力は、好ましくは1〜10絶対バールの間である。
【0030】
工程(a)は、任意に、フッ素化溶媒の存在下で行うことが可能である。後者の量は、好ましくは溶媒+過酸化パーフルオロポリエーテルの合計重量を基準にして、1〜50重量%の間、好ましくは5〜30重量%の間の過酸化パーフルオロポリエーテル含有率を有するような量である。好ましくは、溶媒は、工程(a)の反応温度で過酸化パーフルオロポリエーテルを可溶化し、工程(a)の反応において形成されるラジカル種、例えば、(パー)フルオロアルキルラジカルまたはパーフルオロオキシアルキルラジカルに向けて反応性ではない。溶媒は、好ましくは、パーフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテルおよびヒドロフルオロエーテル、より好ましくは、Galden(登録商標)などのパーフルオロポリエーテル、およびH−Galden(登録商標)などのヒドロフルオロポリエーテルから選択される。工程(a)において溶媒を用いる時、出発過酸化パーフルオロポリエーテルは、5に及びさえする活性酸素(PO)含有率を有することが可能である。
【0031】
出発過酸化パーフルオロポリエーテルは、単位(CF(CF)O)、(CF(CF)CFO)、(CFCF(CF)O)の1つ以上を任意に含有することも可能である。一般に、過酸化パーフルオロポリエーテルの末端基は、任意に1個以上の塩素原子、好ましくは1個のCl原子、またはフッ化アシル、フルオロホルメートおよびケトンのような官能性末端基を含有するC〜C(パー)フルオロアルキルである。過酸化パーフルオロポリエーテルは、好ましくは、以下のクラスから選択される:
(II)Xo−O(CFCFO)(CFO)(O)−Xo’
(式中、
XoおよびXo’は互いに同じかまたは異なり、−CFCl、−CFCFCl、−CF、−CFCF、−CFCOF、−COFであり;
r、sおよびtは、数平均分子量が一般に400〜150,000、好ましくは500〜80,000の範囲内であるような整数であり;r/sは0.1〜10の間であり、sは0とは異なり;tは、POが上で定義された範囲内であるような整数である)
式(II)の過酸化パーフルオロポリエーテルは、米国特許第3,715,378号、米国特許第4,451,646号、米国特許第5,258,110号、米国特許第5,744,651号の教示に従うことにより、テトラフルオロエチレンのオキシ重合によって調製することが可能である。
(III)X1−O(CFCFO)(CFO)(CF(CF)O)(CFCF(CF)O)(O)−X1’
(式中、
X1およびX1’は互いに同じかまたは異なり、−CFCl、−CFCFCl、−CFCF、−CF、−C、−CF(CF)COF、−COFであり、
r、s、t、u、vは、数平均分子量が500〜150,000、好ましくは700〜80,000の範囲内にあるような整数であり;v/(r+s+u)は1未満であり、tは前記POが上で定義された範囲内にあるような数である)
式(III)の過酸化パーフルオロポリエーテルは、米国特許第5,000,830号の教示に従うことにより、テトラフルオロエチレンとパーフルオロプロペンのオキシ重合によって調製することが可能である。
(IV)X2−O(CFCFO)(CFO)(CF(CFCFO)(O)−X2’
(式中、
X2およびX2’は互いに同じかまたは異なり、−CFCOF、−COFであり、
w=1または2であり、
r、s、tおよびkは、数平均分子量が700〜100,000、好ましくは700〜80,000の範囲内にあるような整数であり;r/sは0.2〜10の間であり、k/(r+s)は0.05未満であり;tは前記POが上で定義された通りであるような数である)
【0032】
式(IV)の過酸化パーフルオロポリエーテルは、米国特許出願第2005/0,192,413号の教示により得ることが可能である。
【0033】
過酸化パーフルオロポリエーテルは、好ましくはクラス(II)および(III)、より好ましくはクラス(II)のものである。
【0034】
過酸化パーフルオロポリエーテルは、工程(a)の前に、本明細書に引用して援用する米国特許第4,451,646号明細書、米国特許第3,847,987号明細書で報告された教示による化学還元によって、または本明細書に引用して援用する米国特許第3,715,378号明細書による熱処理によって、過酸化物結合の部分還元に供することが可能である。好ましくは、化学還元は、任意に触媒、好ましくはPd、Pt、Ruの存在下で、気体水素として還元剤を用いることにより行われる。この処理は分子量を制御することを更に可能にする。
【0035】
熱処理は、任意に不活性溶媒、例えば、ハロゲン化溶媒の存在下で、例えば100℃〜250℃の間の温度で行うことが可能である。
【0036】
工程(a)において、オレフィンと過酸化物単位(PO)との間の比は、式(I)の最終ポリマー中のオレフィン単位の百分率の関数である。一般に、比は、反応混合物中のオレフィンの溶解度、温度、圧力、オレフィンの反応性および他のオレフィンの存在に応じても異なる。反応性の高いオレフィンを用いる時、(PFPE中の)オレフィン/過酸化物のモル比は好ましくは5未満である。温度および圧力が、液相におけるオレフィンの高い濃度を有することを可能にする時、同じことが起こる。オレフィンが単独重合するのが難しい場合、または単独重合可能または不能の2種以上のオレフィンの混合物を用いる場合、好ましくは、前記比は5〜15の間に含まれる。
【0037】
工程(a)は、バッチ条件、半バッチ条件または連続条件下で行うことが可能である。バッチ法において、過酸化PFPEおよびオレフィンは、反応器が始動する前に反応器に供給される。
【0038】
半バッチ法において、過酸化PFPEは、反応器が始動する前に反応器に供給される一方で、オレフィンまたはオレフィンの混合物は、反応中に連続的に供給される。逆方法も用いることが可能である。
【0039】
連続法において、過酸化PFPEおよびオレフィンを連続的に供給し、反応混合物を反応器から取り出す。
【0040】
連続法または半バッチ法におけるオレフィンの供給は、流速を一定にしてまたは一定にせずに行うことが可能であるが、オレフィンと過酸化物単位(−O−O−結合のモル)との間の比が上記範囲であるという条件を伴う。半バッチまたはバッチ法を用いる時、例えば、所定の温度、例えば180℃から出発し、230℃に到達する温度傾斜を用いることにより反応を行うことが好ましい。傾斜の最高温度に到達する時間は、一般に3〜8時間である。
【0041】
より多くのオレフィンを工程(a)で用いる時、逐次方法または逐次方法でない方法で、別々にこうしたオレフィンを供給することが可能である。この場合、式(I)のポリマーはブロックB’を含有する。
【0042】
工程(a)において、POは、以下で報告される方法により決定される。
【0043】
工程(a)は、一般に−100℃〜+100℃の間、好ましくは−80℃〜+80℃の間、より好ましくは−60℃〜+60℃の間の温度で、好ましくは200〜350nmの間よりなる波長を有するUV線の存在下で行うことが可能である。この実施形態において、オレフィンのモルと過酸化PFPEの過酸化物単位のモル(−O−O−結合のモル)との間の比は、好ましくは1〜10の間である。UV線に対して透明な溶媒は、好ましくは、この実施形態において用いられる。溶媒の例は、溶媒がUVで透明である限り、工程(a)下で記載された溶媒である。圧力は、バッチ法または半バッチ法を用いることにより、好ましくは、5絶対バール未満である。
【0044】
工程(b)は、工程(a)において得られたポリマーの過酸化物分を完全に除去するために行われる。過酸化物分の完全な除去とは、実施例の評価において示された定量法を用いることにより分析限界より下であることを意味する。
【0045】
工程(b)は、光化学経路、熱経路によって行うことが可能である。後者は好ましく、例えば、過酸化物分の消滅まで200℃〜280℃、好ましくは220〜250℃の温度でa)において得られた混合物を加熱することにより行われる。例えば、米国特許第3,715,378号明細書および欧州特許第1,454,938号明細書を参照のこと。これらの特許は本明細書に引用して援用する。工程(b)を好ましくはUV線の存在下で光化学経路によって行う時、処理の温度は、好ましい範囲として−100℃〜+100℃の間である。
【0046】
工程(c)において、(b)において得られた反応混合物の中和を種々の方法により行うことが可能である。例えば、英国特許第1,226,566号明細書に記載されたフッ素化、米国特許第5,969,192号明細書に記載された脱カルボキシル化、または米国特許第6,982,173号明細書および米国特許出願公開第2004/192,974号明細書に記載されたアルキル化を挙げることが可能である。これらの特許は本明細書に引用して援用する。中和のために選択される反応は、工程(a)において用いられたオレフィンに主として応じて異なる。パーフルオロオレフィンの場合、好ましくはフッ素によりフッ素化を行うことが好ましい。水素添加オレフィンの場合、脱カルボキシル化反応またはアルキル化反応が好ましい。
【0047】
工程(c)のフッ素化反応のために、(b)において得られたポリマーを工程(c)の前に加水分解に供することが好ましい。このようにして、工程(b)において得られたフッ化アシル末端基は、−COOH末端基に変換される。フッ素化後、得られた末端基は、−CF、−C、−C、−CFCl、−CClである。
【0048】
脱カルボキシル化を工程(c)において用いる時、得られるポリマーの終端末端基は、−CF、−C、−C、−CFCl、−CClと任意に混合した−CFH、−CFCFH、−CF(CF)Hである。
【0049】
アルキル化反応を用いる時、終端末端基は、−CF、−C、−C、−CFCl、−CClと任意に混合した−CH、−C、−Cである。
【0050】
工程(c)後、任意に工程(d)は、特に工程(a)において溶媒を用いる時、溶媒の除去のために行われる。工程(d)は、好ましくは真空下の蒸留による蒸発によって行うことが可能である。
【0051】
出願人は、本発明の方法により、フッ素化されているか、またはフッ素化されていないラジカル経路により単独重合不能なオレフィン、例えば、ヘキサフルオロプロペン、プロピレンなどとして高い量でさえもブロックBおよび任意にB’に導入することが可能であることを、驚くべきことに且つ意外にも見出した。
【0052】
式(I)のポリマーは潤滑剤として用いられる。
【0053】
式(I)であるが、5〜10(これらの値を含む)の(j+j’)を有するポリマーも潤滑剤として用いることが可能であることも更に見出された。
【0054】
出願人は、15〜25の間のオレフィンと過酸化物単位との間のモル比で運転することにより、低い磨耗を示す5〜10の間の(j+j’)を有する式(I)のポリマーを得ることが可能であることを更に見出した。
【0055】
従って、本発明の更なる目的は、2より大きく且つ10以下の(j+j’)を有する式(I)のポリマーの潤滑剤としての使用である。これらの潤滑剤は低い磨耗値を示す。出願人によって行われた試験は、(j+j’)が10より大きい時、磨耗値は非常に劣っていることを示した(比較例参照)。
【0056】
5〜10の(j+j’)を有する式(I)のポリマーもTgの上昇を全く示さないことが更に驚くべきであり、意外である。潤滑剤は固体形態および液体形態の両方を取ることが可能である。
【0057】
潤滑剤は、(パー)フルオロ溶媒、例えば、Galden HT55(Bp=約55℃)のような一般式CFO−(CFC(CF)O)m1(CFO)n1−CFのGaldenのようなパーフルオロポリエーテル;パーフルオロオクタン、パーフルオロヘキサンなどのパーフルオロアルカン;C10のようなヒドロフルオロアルカン(Vertrel);シクロ−C Zeorora−H(登録商標)のような(パー)フルオロシクロアルカン;メトキシ−ノナフルオロブタン(HFE−7100)、エトキシ−ノナフルオロブタン(HFE−7200)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシデカフルオロヘキサン(HFE−7500)のようなヒドロフルオロエーテル;例えば、H−Galden ZV60(BP=約60℃)、H−Galden ZT130(BP=約130℃)、H−Galden ZT180(BP=約180℃)のような一般式CFH−(CFCFO)m2(CFO)n2−CFHのH−Galdenのようなヒドロフルポリオロエーテル等の(パー)フルオロ溶媒に2〜10(これらを含む)の(j+j’)を有するポリマーを好ましくは溶解または分散させることにより潤滑されるべき表面に被着される。ポリマーが水素添加オレフィンモノマーから誘導されたB、B’セグメントを含有する時、ポリマーのB、B’の重量合計含有率に応じてアセトン、ジメチルアセトアミドのような水素添加溶媒にもポリマーは可溶性であることが可能である。2より大きく且つ10以下の(j+j’)を有するポリマーの溶媒中の濃度は、0.1重量%〜30重量%の間、好ましくは0.5重量%〜10重量%、なおより好ましくは1重量%〜5重量%である。得られた組成物を潤滑されるべき表面上に被着させて、好ましくは均質な潤滑用フィルムを得ることが可能である。溶媒は、好ましくは蒸発によって表面から排除される。組成物ポリマー/溶媒は、ディップコーティング、スプレーコーティング、キャスティング、スピンコーティングなどの既知の技術によって被着される。このようにして、均質潤滑用薄膜が得られる。不規則表面、例えば、マイクロギア、電気接点などにも潤滑剤を被着させることが可能である。
【0058】
潤滑剤組成物は、1種以上の添加剤、例えば、防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧のための抗磨耗剤、抗磨耗剤、分散剤、トレーシング剤および染料を任意に含有することが可能である。パーフルオロポリエーテルのジニトロ芳香族誘導体、パーフルオロポリエーテルのピリジン誘導体、アリールホスフィンを熱安定剤添加剤として挙げることが可能である。例えば、特許出願、米国特許出願公開第2003/0203823号明細書、米国特許出願公開第2003/0235685号明細書および米国特許第4,681,693号明細書を参照のこと。抗磨耗添加剤として、硫化モリブデン、有機モリブデン化合物、窒化ホウ素、グラファイト、ホスファゼン誘導体、特にパーフルオロポリエーテル鎖を含有するホスファゼン誘導体を挙げることが可能である。例えば、特許出願、米国特許出願公開第2005/0187116号明細書を参照のこと。防錆添加剤として、セバシン酸二ナトリウム、炭酸ナトリウム、パーフルオロポリエーテル鎖を含有するカルボン酸の官能化誘導体を挙げることが可能である。例えば、米国特許第6,025,307号明細書を参照のこと。添加剤の量は、0.005〜0.1の間の添加剤と合計(添加剤+ポリマー(I))との間の重量比を有するような量である。
【0059】
本発明の更なる目的は、貯蔵の際の改善された油分離(すなわち、より少ない分離)およびより少ない油蒸発損失、特に−100℃より低いTgと組み合わせた、高い粘度でさえも改善された磨耗値および摩擦係数を有する潤滑剤組成物である。
【0060】
本発明の目的は
(i)2〜10(両端値を含む)の(j+j’)を有する上で定義された通りの式(I)のポリマーと、
(ii)20℃で、10〜4,000cStの間、好ましくは30〜2,000cStの粘度を有する油、
(iii)増粘剤、
から選択された1種以上の成分と、
を含む潤滑剤組成物である。
【0061】
成分(ii)はフッ素化油または水素添加油であることが可能である。フッ素化油として、
−フルオロテロマー、例えば、欧州特許第1,331,229号明細書参照、特にTFEテロマーに由来する油、例えば、米国特許第3,067,262号明細書参照
−パーフルオロアルキル末端基を有するアルカンの重合により得られる油、例えば、米国特許第5,534,176号明細書参照、
−フッ素含有有機シリコーン、例えば、米国特許第4,308,393号明細書参照
−例えば、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)オリゴマーのような塩素を含有する油、例えば、英国第837,764号明細書参照、
−反復単位−CFXO−(式中、Xは、FまたはCFに等しい);−CFCFO−、−CFCF(CF)O−、−CF(CF)CFO−、−CFCFCFO−、−CFCFCFCFO−(単位は主鎖に沿って統計的に分布する)の1つ以上を含むパーフルオロポリエーテル油。
【0062】
パーフルオロポリエーテル油は、好ましくは以下のクラスから選択される。
(1a)E−O−(CFCF(CF)O)m’(CFXO)n’−E’
(式中、
XはFまたはCFに等しく、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、CF、CまたはCから選択され、末端基の一方または両方の1個のフッ素原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能であり、
m’およびn’は、m’/n’の比が20〜1,000の間であるような整数であり、
n’は0とは異なり、種々の単位は鎖に沿って統計的に分布しており、生成物粘度は上で定義された通りである)
これらの生成物は、英国特許第1,104,432号明細書に記載されたようにパーフルオロプロペンの光酸化、および英国特許第1,226,566号明細書に記載されたように末端基の後続の転化によって得ることが可能である。
(2a)CO(CF(CF)CFO)o’−D
(式中、
Dは−Cまたは−Cに等しく、末端基の一方または両方の1個のフッ素原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能であり、
o’は生成物粘度が上で定義された通りであるような整数である)
これらの生成物は、米国特許第3,242,218号明細書に記載されたようにパーフルオロプロピレンオキシドのイオンオリゴマー化およびフッ素による後続の処理によって調製することが可能である。
(3a){CO−(CF(CF)CFO)p’−CF(CF)−}
(式中、
p’は生成物粘度が上で定義された通りであるような整数であり、
末端基の一方または両方の1個のF原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能である)
これらの生成物は、米国特許第3,214,478号明細書で報告されたように、パーフルオロプロピレンオキシドのイオンテロメリゼーションおよび後続の光化学二量化によって得ることが可能である。
(4a)E−O−(CFCF(CF)O)q’(CO)r’(CFXO)s’−E’
(式中、
XはFまたはCFに等しく、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、上で定義された通りであり、
q’、r’およびs’は整数であり、0値を有することも可能であり、生成物粘度が上で定義された通りであるような値である)
これらの生成物は、米国特許第3,665,041号明細書に記載されたようにCとCの混合物の光酸化およびフッ素による後続の処理によって得ることができる。
(5a)E−O−(CO)t’(CFO)u’−E’
(式中、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、上で定義された通りであり、
t’およびu’は、t’/u’比が0.1〜5の間であるとともに生成物粘度が上で定義された通りであるような整数である)
これらの生成物は、米国特許第3,715,378号明細書で報告されたようなCの光酸化および米国特許第3,665,041号明細書に記載されたようなフッ素による後続の処理によって得られる。
(6a)E−O−(CFCFCFO)v’−E’
(式中、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、上で定義された通りであり、
v’は生成物粘度が上で定義された通りであるような値である)
これらの生成物は、欧州特許第148,482号明細書に記載されたように得られる。
(7a)D−O−(CFCFO)z’−D’
(式中、
DおよびD’は互いに同じかまたは異なり、CまたはCから選択され、末端基の一方または両方の1個のフッ素原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能であり、
z’は生成物粘度が上で定義された通りであるような整数である)
これらの生成物は、米国特許第4,523,039号明細書で報告されたように得ることが可能である。
(8a)E−O(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−E
(式中、
およびEは、式−(CFCF(式中、zは0〜3の整数である)を有する、互いに同じかまたは異なるパーフルオロアルキル末端基であり、
n、m、p、qは、0〜100の間で互いに同じかまたは異なる整数であり、油粘度が上で定義された通りであるように、そしてm/n比が2〜20の間であるように選択され、(p+q)/(n+m+p+q)は0.05〜0.2の間であり、n/(n+m+p+q)は0.05〜0.40の間であり、(n+m+p+q)は0とは異なる)
これらの生成物は、欧州特許第1,454,938号明細書に記載されたように得ることが可能である。
【0063】
クラス(1a)、(4a)、(5a)、(8a)またはそれらの混合物は好ましく、クラス(5a)および(8a)またはそれらの混合物はより好ましい。
【0064】
成分(ii)の水素添加(非フッ素化)油は、好ましくは、鉱油、パラフィン油、芳香族油、ポリアルファオレフィン、アルキルエステル、シリコーンエステル、ナフタレン誘導体、ポリアルキル化シクロアルカン、ポリフェニルエーテルから選択される。
【0065】
成分(iii)は、例えば、PTFE、タルク、シリカ、窒化ホウ素、ポリウレア、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のテレフタラメート、カルシウム石鹸およびリチウム石鹸ならびにそれらの錯体から選択される。PTFEは好ましい。増粘剤は、ナノサイズ(ナノ充填剤)を含む、一般に20マイクロメートル以下の範囲の種々の粒子サイズを有する粉末の形態下であることが可能である。
【0066】
潤滑剤組成物は、他の添加剤、成分(iv)を任意に含有することが可能である。これらは、例えば、防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧のための抗磨耗剤、抗磨耗剤、分散剤、トレーサーおよび染料である。熱安定剤、抗磨耗剤、防錆添加剤は、上で挙げたものである。
【0067】
潤滑剤組成物は
(i)0.1重量%〜99.9重量%、好ましくは0.5重量%〜99.5重量%、より好ましくは2重量%〜98重量%、なおより好ましくは5重量%〜95重量%
(ii)0〜99.9重量%
(iii)0〜50重量%
(iv)0〜30重量%
を含有する。(i)、(ii)、(iii)および(iv)の合計は100重量%である。
【0068】
潤滑剤組成物が成分(i)および(ii)から形成されている時、重量比(i)/((i)+(ii))は、好ましくは、重量で0.10〜0.60の間である。これらの組成物は、非常に粘性の油の形態を取るか、またはグリースの形態を取ることが可能である。
【0069】
粘性の高い潤滑剤組成物の場合、成分(ii)の粘度より高い粘度を有する成分(i)を用いることが好ましい。任意に、これらの潤滑剤組成物は増粘剤(iii)も含有することも可能である。成分(iii)の量は、グリースの所望の浸透度に応じて異なる。添加剤(iv)が存在する時、その含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは0.5重量%〜5重量%の間である。
【0070】
潤滑剤の成分が(i)および(iii)である時、重量比(iii)/((iii)+(i))は、好ましくは、0.02〜0.4の間である。この場合、組成物はグリースの形態下で現れる。任意に、1種以上の添加剤(iv)をこれらの組成物に添加することが可能である。
【0071】
好ましい潤滑剤組成物は、成分(ii)、より好ましくはパーフルオロポリエーテル油(PFPE)を含有する。組成物は、潤滑剤として用いる時、油(ii)を基準にして低下した摩擦係数およびより低い磨耗を示す。
【0072】
グリースの形態を取った潤滑剤組成物は、貯蔵時に低下した摩擦係数、より低い磨耗および低い油分離、ならびに低い蒸発損失を示す。
【0073】
成分(ii)が水素添加油である時、成分(i)は、好ましくは、非フッ素化オレフィンまたは部分水素添加オレフィンに由来するセグメントB、B’を含有する。この場合、より低い油分離が得られる。グリースは、塩基性水素添加油(成分(ii))より高い熱等級を有する。
【0074】
グリースは先行技術の既知技法により調製される。好ましくは、乾式混合と溶媒式混合の2つの方法が用いられる。
【0075】
乾式混合(A1)において、成分(i)を所望の量で混合機内に供給し、その後、真空を作り、成分(i)を150℃に加熱する。約2時間後、成分(ii)および/または(iii)を供給する。その後、加熱を止め、組成物を少なくとも4時間にわたり混合する。その後、真空を止め、グリースを排出する。成分(iv)を用いる時、成分(iv)を成分(i)の後且つ成分(ii)および(iii)の前に添加する。グリースを例えば3円筒リファイナー上に通すことにより精製する。
【0076】
溶媒式混合(B1)において、成分(i)をミキサー内に供給し、その後、低沸点、好ましくは50℃〜100℃の間の沸点を有するフッ素化溶媒を好ましくは成分(i)のような重量による量で添加する。その後、組成物を一般には少なくとも2時間にわたり混合する。その後、成分(ii)および/または(iii)を供給し、混合を少なくとも4時間にわたり続ける。その後、真空をミキサー内に作り、溶媒をストリッピングし、回収する。すべての初期溶媒を回収した時、グリースを1時間、混合下および真空下のままにし、その後、真空を取去り、グリースを排出する。添加剤(iv)を用いる時、これらを成分(i)と一緒に添加する。グリースを他の方法において指示されたように精製する。
【0077】
方法(B1)において使用できる溶媒は、Galden(登録商標)およびH−Galden(登録商標)として商業的に知られている低分子量を有する(パー)フルオロポリエーテル;、例えば、パーフルオロヘキサンまたはパーフルオロヘプタンのようなパーフルオロアルカン;、ヒドロフルオロエーテルなどである。
【0078】
液体潤滑剤は成分を混合することにより調製される。
【0079】
出願人が行った試験は、パーフルオロポリエーテル油と増粘剤としてPTFEとを含む先行技術のグリースが本発明のグリースの磨耗と摩擦係数より高い磨耗と摩擦係数を示すことを示した。透過は同じである。
【0080】
潤滑剤組成物(i)+(ii)は油分離を示さない。従って、これらは、上の先行技術のグリースと比べて貯蔵でより安定である。この潤滑剤組成物は、その上、油と比べてより低い蒸発油損失を示す。
【0081】
成分(i)および(ii)によって形成された時に潤滑用組成物は、0.1重量%〜30重量%の間、好ましくは0.5重量%〜10重量%の間、なおより好ましくは1重量%〜5重量%の間の濃度で溶媒に均質に分散または溶解することが可能である。潤滑用被膜は、上で指示された技術を用いることにより得られる。
【0082】
潤滑剤組成物は、幾つかの用途において、例えば、自動車、機械工業および精密電子工業、ミクロギヤ−および/またはミクロベアリング、または電気接点およびプラスチック材料および/またはゴム弾性材料において、−90℃〜250℃、特に−40℃〜150℃の広い温度範囲で用いることが可能である。
【0083】
本発明の潤滑剤組成物によって得られた結果は、意外であるとともに驚くべきでことである。実際、フッ素化油は、油の構造に応じて−90℃〜+290℃の間で非常に広い動作間隔を示す温度に対して非常に良好な粘度挙動を有する。市場において、20℃で、20〜約3,000cStの間の粘度を有するパーフルオロポリエーテル油が入手できる。例えば、Fomblin(登録商標)ZおよびMのような直鎖パーフルオロポリエーテルは、一般に約−130℃のTg、20℃で1,300cStの最高粘度を有する。これらの油の欠点は、粘度が増加するにつれて磨耗値が増加することである。分岐鎖パーフルオロポリエーテル、例えば、Fomblin(登録商標)Yは、(20℃で)1,800cStに至るより高い粘度、および直鎖油Fomblin(登録商標)Zの約−65℃のTgより高いTgを示す。
【0084】
特許出願、米国特許出願公開第2005/0075250号明細書において、改善された磨耗を有する高速ベアリングに特に適するパーフルオロポリエーテル油に基づく潤滑用組成物が記載されている。グリースは、約50nmの平均一次粒子サイズを有するPTFEを増粘剤として用いることにより得られる。グリースは良好な磨耗値を示すが、しかし、高い油分離を示す。PTFEの重量による量が減少するにつれて、油分離の漸次増加が認められる。これは、グリースを使用する前に予備混合の使用を必要とするので貯蔵において有益ではない。
【0085】
欧州特許第501,533号明細書には、粉末増粘剤を用いないフッ素化グリースが記載されている。例示されたポリマーは、6,200より高くない分子量を有する。これらの潤滑剤の欠点は、高温で高い蒸発損失の問題があることである。更に、摩擦係数は報告されていない。分子量を高めるために、パーフルオロポリエーテルブロックAおよび/またはオレフィンブロックBの長さを増すことができよう。パーフルオロポリエーテルブロックAがより長い場合、対応する潤滑剤の欠点は、磨耗が増加することである。Bの長さを増す時、ポリマーは高い結晶度および高い磨耗を有する。出願人が行った試験は、グリースを調製するために用いる時、高い結晶度を有するブロックポリマーが高い磨耗を示すことを示した。実施例参照のこと。
【0086】
以下の実施例を例示するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0087】
評価
化合物I)を評価するために用いられる方法は以下の通りである。
【0088】
NMR
NMRスペクトルは、19F−NMR分析の内部標準としてCFClおよびH−NMR分析のための標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いることによりVariant Mercury200MHz分光分析計を用いることにより記録した。ヘキサフルオロベンゼンもサンプルのための溶媒として用いる。NMR測定は、式(I)の化合物のポリオレフィンブロックB、B’の数平均長さ、z、z’指数および数平均分子量を決定することを可能にする。
【0089】
DSC
Tgおよび溶融温度のような熱転移は、以下のプロセスを用いることによりPerkin Elmer(登録商標)DSC−2C計器により決定した。80℃/分(min−1)で20℃から−170℃に冷却し、窒素フロー下で−170℃から350℃に20℃/分(min−1)で加熱する。
【0090】
残留酸度の決定
酸度は、溶媒として水−アセトン(1/3v/v)混合物および滴定剤として水溶液NaOH、0.01Mを用いることにより、DG115−SC型電極を備えたMettler−Toledo DL−55滴定装置による電位差滴定によって決定した。酸度決定のための感度限界(カルボン酸末端基およびHF)は、0.5ミリ当量kg−1に等しい。
【0091】
過酸化物含有率(PO)の測定
過酸化物含有率の分析は、以下の方法に従いヨウ素還元滴定によって行った。サンプルの秤量済み量(数グラム)を約20mlのGalden(登録商標)ZT130に溶解させる。イソプロピルアルコール中5%w/wで1mlの氷酢酸および30mlのヨウ化ナトリウム溶液を添加する。得られた懸濁液を15分にわたり攪拌下で放置し、白金電極および基準電極を備えた電位差滴定のためのMettler(登録商標)DL40装置を用いることにより、過酸化物との反応から生じたヨウ素を既知の力価を有するチオ硫酸ナトリウムの水溶液で滴定する。PO決定のための感度限界は0.0002である。
【0092】
磨耗の測定
磨耗評価のために、1時間の継続時間にわたって75℃の試験温度で40kgの荷重を用いることにより、ASTM D 4172規格に準拠して4ボール磨耗試験(Four−ball Wear Test)を行った。
【0093】
動粘度の決定
ASTM D445法に準拠してCannon−Fenske型の毛管粘度計を用いることにより所定の温度での動粘度を決定した。
【0094】
蒸発における重量損失
204℃で22時間にわたりASTM2595規格に準拠して試験を行う。
【0095】
浸透
ASTM D 217規格およびD 1403規格(ミクロ浸透)に準拠して試験を行う。
【0096】
4ボール磨耗試験(Four−ball Wear Test)による磨耗の決定
組成物の磨耗評価のために、1時間の継続時間にわたって75℃の試験温度で40kgの荷重を用いることにより、ASTM D 2266規格およびD 4172規格に準拠した。
【0097】
ボールベアリングに関する摩擦評価試験
n−ヘキサンで清浄化し、乾燥させた1つのボールベアリング(SKF6303モデル)を完全充填のために必要とされるグリース重量を基準にして30重量%で試験されるべきグリースで充填し、適する遮蔽材を挿入して材料が外に出ることを避ける。そのように組み立てたベアリングを、適するハウジングカップおよびシャットを備えた、エンジンに接続されたシャフト上に取り付ける。ベアリングを収容するカップに試験中にベアリング応力を測定することを可能にするロードセルを装着する。試験中の温度進展を検出する熱電対を外部ベアリング溝に入れる。2,000rpm、1時間のステップで0〜1,600rpmの速度傾斜を設定することにより、試験を行う。試験継続時間は全体で8時間であり、16,000rpmで1時間後の応力値、およびベアリングが到達した最高温度を評価する。
【0098】
長時間にわたる油分離の測定
潤滑用組成物からの油分離を50℃で7日にわたりFTMS791−321方法において記載された手順に従うことにより決定した。
【0099】
蒸発における重量損失
204℃で22時間にわたりASTM 2575規格に準拠して試験を行う。
【0100】
動粘度の測定
ASTM D445法に準拠してCannon−Fenske型の毛管粘度計を用いることにより所定の温度での動粘度を決定した。
【0101】
SRVによる摩擦係数の測定
振動条件下でのOptimol GmbH社のSRV装置によって、および以下の運転条件下で構成としてディスク上のボールを用いることにより摩擦係数を評価した。
−加えた荷重:100N
−振動振幅:1mm
−振動周波数:50Hz
−温度:50℃
−試験継続時間:2時間
【0102】
最初の200秒を除いた、2時間中に得られた値の平均として摩擦係数を評価した。
【0103】
式(I)のポリマーの調製
実施例1
バッチ熱法によるTFEからのセグメントを含有する式(I)のポリマーの調製
温度プローブ、機械による攪拌、窒素および/またはテトラフルオロエチレン内転のためのバブル入口を備えた1リットルのガラスフラスコ内に、600gのGalden(登録商標)HT230、および式
Xo−O(CFCFO)(CFO)(O)−Xo’
(式中、XoおよびXo’は、−CF(29%)、−CFCl(13%)、−CFCFCl(20%)、−COF(24%)、−CFCOF(14%)であり、数平均分子量は5.8・10に等しく、r/s=1.25およびt/(r+s)=0.077であり、ならびに1.3に等しいPO[活性酸素(分子量(MW)=16)g/パーフルオロポリエーテル過酸化物100g、として定義される]を有する)のクラス(A)の過酸化パーフルオロポリエーテル300gを導入する。
【0104】
反応混合物を攪拌下および窒素フロー(1Nl/h)下で190℃に至るまで加熱する。この温度は、窒素の供給を閉じる温度であり、4.0Nlh−1に等しい流速でテトラフルオロエチレン(TFE)の供給を開始する温度である。
【0105】
混合物を攪拌下で190℃で1.5時間維持し、その後、200℃に上げて、この温度で1.5時間維持し、最後に、210℃に上げて1時間維持する。
【0106】
供給されたTFEモルと過酸化物単位のモルとの間の比は3.3に等しい。
【0107】
TFE供給を中断し、窒素の供給を開放し(1Nl/h)、温度を230℃に至るまで上げ、3時間一定で保持する。
【0108】
熱処理の終わりに、混合物を室温に至るまで冷却したままにする。混合物は時間において分離しない均質溶液になる。
【0109】
180℃で攪拌下で維持された反応混合物内で、水で飽和させた窒素(10Nl/h)を4時間にわたって泡立たせ、その終わりに、無水窒素(10Nl/h)による処理を30分にわたり行った後、常に攪拌下でフッ素(合計7時間にわたり4Nl/h、T=170℃)による処理に通す。フッ素化の終わりに、窒素(10Nl/h)を30分にわたり装置の脱気のために供給する。
【0110】
混合物の一定量を抜き取り、酸度測定に供する。酸度は方法の感度限界より低い結果になる。
【0111】
10−1ミリバールでの真空下での蒸留(kierにおける最高T=230℃)によって、溶媒Galden(登録商標)HT230を除去し、生成物305gを得、それを19F−NMR分析によって特性分析し、構造
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
を確認する。
式中、
T、T’はCFから形成された約70%モルである一方で、残り部分は、CFCl、CFCFClであり、
Bは−[CFCFであり、式中、jは4.0に等しい数平均値を有し、従って、セグメントBの数平均長さは8.0個の炭素原子であり、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](CF−であり、
m/nの値=1.08、p/n=0.014、q/n=0.020、(p+q)/(p+q+n+m)=0.016であり、AがT’に連結される時b=0であり、他のすべての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、該単位の合計量が、オレフィンの存在しない状態で過酸化パーフルオロポリエーテル(PFPE)の熱処理中に発生する単位の合計量に実質的に似ているので、過酸化物単位の分解中に形成されたアルキルラジカルの再結合から発生すると仮定される。
【0112】
式(I)の化合物中のパーフルオロカーボンセグメントBの重量%は13.5%に等しい。ポリマーの数平均分子量は、5.9・10に等しい結果になり、それから指数z=20の平均値を計算する。
【0113】
DSC分析は、−113℃に等しいTgを示し、PTFEまたは長いTFEセグメントに特有の320℃付近の溶融ピークを全く示していない。
【0114】
実施例2(比較例)
実施例1の方法に従うことにより、実施例1のTFEの合計含有率に似たTFEの合計含有率を有するが、より長いブロックBを有するブロックポリマーを調製した。
【0115】
過酸化パーフルオロポリエーテルおよび溶媒の重量による量、TFE流速および加熱条件は、実施例1で報告されたものに等しいが、式:
Xo−O(CFCFO)(CFO)(O)−Xo’
の過酸化パーフルオロポリエーテルを用いた。式中、XoおよびXo’は、−CF(34%)、−CFCl(11%)、−CFCFCl(21%)、−COF(12%)、−CFCOF (22%)であり、数平均分子量=5.7・10、r/s=1.24およびt/(r+s)=0.0075ならびに0.13に等しいPOを有する。
【0116】
TFEモルと供給された過酸化物結合(過酸化物単位)のモルとの間の比は33に等しい(本発明の範囲外)。
【0117】
試験の終わりに、反応混合物を窒素(1Nl/h)下で3時間、230℃に加熱し、その後、反応混合物を室温で冷却させた。
【0118】
その後、混合物を水で飽和させた窒素(10Nl/h)で、180℃で4時間処理し、その後、無水窒素10Nl/hで常に同じ温度で30分処理する。最後に、元素フッ素(4Nl/h)による170℃でのフッ素化を7時間行う。最終酸度は、分析方法の感度限界より低い結果になる。
【0119】
真空下での蒸留によって、溶媒Galden(登録商標)HT230を除去し(kierTmax:10−1ミリバールで230℃)、ヘキサフルオロベンゼンおよび過フッ素化溶媒すべてに不溶性の固体生成物295gを得る。
【0120】
TFEに関する物質収支から、13.0%に等しい合計TFE含有率を式(I)のポリマー中で決定し、実際、分解した過酸化物結合の量は知られており(工程(a)後の初期POと最終POの差)、挿入された(反応した)TFE量は知られており、TFEセグメントの平均長さを計算することが可能である。それは、この場合、29個の炭素原子に等しい結果となる。
【0121】
DSC分析は、−115℃でガラス転移および322℃付近の溶融温度を示し、よってTFEブロックBの長さが長いことを確認している。
【0122】
実施例2のデータと実施例1のデータの比較から、たとえ合計TFE含有率が同じであっても、2種のポリマーは、TFEブロックBの異なる長さのゆえに、フッ素化溶媒中の溶解度および溶融温度のような異なる化学物理的特性を有する結果になることが認められる。
【0123】
実施例3(比較例)
27(本発明の方法の範囲外)に等しいTFEモルと供給された過酸化物結合のモルとの間の比を有するように、TFE流速を33.0Nl/hに増加させたことを除き、実施例1を厳密に繰り返した。
【0124】
反応中、分散液の形態を取ったままである溶媒から生成物が分離する傾向があることが認められている。
【0125】
反応混合物を水で飽和させた窒素(10Nl/h)で、220℃で10時間処理し、その後、無水窒素10Nl/hで常に同じ温度で30分処理する。その後、元素フッ素(5Nl/h)による180℃でのフッ素化処理を5時間行う。最終酸度は、分析方法の感度限界より低い結果になる。
【0126】
真空下での蒸留によって、溶媒Galden(登録商標)HT230を除去し(kierTmax:10−1ミリバールで230℃)、あらゆる(パー)フルオロ溶媒に不溶性の固体生成物420gを得る。
【0127】
入口および出口のTFE物質収支(ガスクロマトグラフ分析)から、TFE単位の合計含有率はコポリマーの55重量%に等しいと評価され、分解した過酸化物結合の量は知られており(工程(a)後の初期POと最終POの差)、挿入された(反応した)TFE量は知られており、ブロックBの平均長さを計算することが可能である。それは、この場合、27個の炭素原子に等しい結果になる。
【0128】
DSC分析は、−113℃でガラス転移および320℃付近の溶融ピークを示し、それは、TFE(PTFE)ホモポリマーの溶融温度に近い値である。
【0129】
実施例3のデータと実施例1および2のデータとの比較から、TFEブロックBの異なる長さのゆえに、得られたポリマーは、溶解度および溶融温度のような異なる化学物理的特性を有する結果になることが認められる。
【0130】
実施例3A
熱法によるTFE−エチレンに由来するブロックを含有するポリマー(I)の調製
機械による攪拌、温度ゾンデ、ガスのためのバブル入口およびバブル出口を備えた1,000mlガラスフラスコ内に、
−式
Xo−O(CFCFO)(CFO)(O)−Xo’
(式中、XoおよびXo’は、−CF(24%)、−CFCl(12%)、−CFCFCl(10%)、−COF(17%)、−CFCOF(37%)であり、数平均分子量Mn=3.9・10、r/s=1.12およびt/(r+s)=0.088でありならびにPO=1.5%を有する)のパーフルオロポリエーテル過酸化物360g
−1,080gのGalden(登録商標)HT230
から形成された溶液を供給する。
【0131】
窒素フロー下で、フラスコを190℃に至るまで加熱する。この温度に達した時、窒素を閉じ、テトラフルオロエチレン(14.4Nl/h)とエチレン(10.8Nl/h)の混合物を供給する。
【0132】
フラスコ温度を190℃で1.5時間維持し、その後、200℃に上げて1.5時間維持し、その後、210℃に上げて1.0時間維持する。
【0133】
供給されたオレフィン(TFEおよびエチレン)のモルと反応器に供給された過酸化物結合のモルとの間の比は15に等しい。
【0134】
試験の終わりに、反応生成物の酸末端基を化学量論量の水酸化アンモニウム(32%の水溶液)により塩にする。
【0135】
その後、生成物を水750gと共に反応器内部に供給し、欧州特許第695,775号明細書に記載されたように130℃で10時間にわたり脱カルボキシル化反応に供する。
【0136】
試験の終わりに、酸度は分析方法の感度限界より低い結果になる。
【0137】
反応生成物を分離によって回収し、その後、真空下で蒸留して、溶媒Galden(登録商標)HT230を除去する。340gの生成物を得る。生成物は構造
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
を有する結果になる。
式中、
T、T’は、約45%の−CF、−CFClおよび−CFCFClと、残りの55%の−CFH末端基および微量の−CFCFH末端基とで形成され、
Bは−[(CFCF(CHCHj’]−であり、式中、j+j’の平均値は4.6に等しく、j/j’の平均値は2.7に等しく、
A=−(CF)O−[(CFO))(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)]−(CF−であり、
m/nの値=0.95、p/n=0.009、q/n=0.014、(p+q)/(p+q+n+m)=0.012であり、AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
(CFCFCFO)単位および(CFCFCFCFO)単位は、前に記載されたのと同じ理由で過酸化物結合の分解中に形成されるアルキルラジカルの再結合から発生すると仮定される。
【0138】
(I)の数平均分子量は3.8・10であり、ブロックBの含有率はポリマー合計の14重量%に等しく、z指数の数平均値は14に等しい。
【0139】
生成物についてDSC分析を行い、−110℃のガラス転移を示している。
【0140】
実施例4
試験を実施例1で報告された手順に従って行う。
【0141】
2.0Nl/hに等しい結果になるTFE流量を除いて、反応物の量および運転条件は同様である。TFEと供給された過酸化物結合のモルとの間の比は1.7に等しい。
【0142】
熱処理の終わりに、混合物を室温に冷却させる。混合物は均質で透明な溶液である結果になる。
【0143】
180℃で攪拌下で維持された反応混合物中で、水で飽和させた窒素(10Nl/h)を4時間にわたり泡立たせ、その終わりに、無水窒素(10Nl/h)による処理を30分にわたり行った後、常に攪拌下での元素フッ素(合計6時間、4Nl/h、T=160℃)による処理に通す。フッ素化の終わりに、装置を脱気するために窒素(10Nl/h)を30分にわたり供給する。
【0144】
混合物の一定量を取り、電位差滴定による酸度の測定に供する。それは、方法の感度限界(0.5meqkg−1)より低い値という結果になる。
【0145】
拡散ポンプによる真空蒸留(10−1ミリバールで、最高kierT=230℃)によって、溶媒Galden(登録商標)HT230を除去する。
【0146】
生成物268gを得る。それを19F−NMR分析によって特性分析する。
【0147】
構造は
T−O−[A−B]−A−T’
である。
式中、
T、T’はCFから形成された約70%モルである一方で、残りは、CFCl、CFCFClであり、
Bは[CFCF−であり、式中、jは3.0に等しい数平均値を有し、従って、セグメントBの数平均長さは6.0個の炭素原子であり、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)](CF−であり、
m/nの値=1.06、p/n=0.018およびq/n=0.019、(p+q)/(p+q+n+m)=0.018であり、AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、前の実施例で記載されたのと同じ理由で過酸化物結合の分解中に形成されるアルキルラジカルの再結合から発生すると解釈される。
【0148】
式(I)のポリマー中のブロックBの重量%は、11.1%に等しい。
【0149】
末端基TおよびT’は−CFおよび−CFCFであり、ポリマーの数平均分子量は5.2・10に等しい結果になり、それから指数z=19の平均値は計算される。
【0150】
DSC分析は−113℃でパーフルオロポリエーテル構造に特有のガラス転移を示している。より高い温度での転移は観察されていない。
【0151】
得られた生成物を毛管粘度計によって動粘度に関して特性分析する。40℃で、粘度は9,000cStであり、20℃で約30,000cStに対応する。
【0152】
実施例5
連続熱法によるTFEからのセグメントを含有する式(I)のポリマーの調製
機械による攪拌、添加漏斗、ガス供給のためのバブル入口、温度ゾンデ、反応生成物を連続引抜するための出口を備えた250mlガラスフラスコ内で合成を連続法で行う。
【0153】
200gのフッ素化溶媒Galden(登録商標)HT230を反応フラスコに供給し、混合物を攪拌下および窒素フロー下で、窒素を止め、TFE6.0Nl/hを供給する温度である230℃に至るまで徐々に加熱する。
【0154】
同時に、式:
Xo−O(CFCFO)(CFO)(O)−Xo’
の20%w/wの過酸化パーフルオロポリエーテルの、Galden(登録商標)HT230の溶液をフラスコに供給する。
式中
XoおよびXo’は、−CF(28%)、−CFCl(18%)、−CFCFCl(15%)、−COF(10%)、−CFCOF(29%)であり、r/s=1.20およびt/(r+s)=0.068であり、
数平均分子量Mn=5.5・10およびPO=1.15を有し、一定流速は200gh−1に等しい。
【0155】
TFEモルと供給された過酸化物結合のモルとの間の比は9に等しい(過酸化物結合のモル=サンプルのg・PO/(100・16))。
【0156】
反応器内の平均滞留時間は1時間である。反応条件(温度、供給速度、攪拌速度)を試験の全継続時間に関して一定に維持する。
【0157】
生成物を含有する反応混合物を反応フラスコから連続的に抽出し、順次1時間の規則的間隔で分離された部分の中に回収し、分析する。反応から22時間後に、TFE・過酸化物溶液の供給を止め、窒素を開放し、窒素を冷却させる。
【0158】
1番目の時間と7番目の時間との間で回収された部分を捨てる。それらは同じ組成をもたないからである(過渡期間)。
【0159】
8番目の時間後に回収された部分は、一定組成(定常状態)を有する結果になり、ガラスフラスコ内で合流させ、機械による攪拌下および窒素フロー下で230℃で3時間にわたり加熱する。
【0160】
終わりに、前記部分を200℃に冷却させ、水で飽和させた窒素10Nl/hを6時間にわたり最初に供給して、フッ化アシル末端基を−COOH末端基に転化させる。その後、無水窒素10Nl/hを30分にわたり供給する。
【0161】
その後、反応混合物を元素フッ素(5Nl/h)によるフッ素化に180℃で5時間にわたり供する。最終酸度は分析方法の感度限界より低い結果になる。
【0162】
真空蒸留(kier Tmax:10−1ミリバールで230℃)によって、溶媒Galden(登録商標)HT230を除去し、600gの生成物を回収する。
【0163】
サンプルの一定量をヘキサフルオロベンゼンに溶解させ、19F−NMR分析によって分析し、ブロックコポリマー
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
の構造を確認する。
式中、
T、T’の約70%はCFから形成される一方で、残りの部分は、CFCl、CFCFClであり、
Bは−[CF−CFであり、式中、jは3.9に等しい数平均値を有し、したがって、セグメントBの数平均長さは7.8個の炭素原子であり、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](CF−であり、
式中、m/n=1.08、p/n=0.019、q/n=0.019、(p+q)/(p+q+n+m)=0.018であり、AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、オレフィンの存在しない状態で過酸化物PFPEの熱処理中に発生する単位に前記単位の合計量が実質的に等しいので、過酸化物結合の分解中に形成されたアルキルラジカルの再結合から発生すると仮定され、式(I)のポリマーの数平均分子量は5.5・10に等しい。
【0164】
TFE単位の合計含有率は15重量%である。
【0165】
上で報告されたデータから、式(I)のポリマー中のセグメントBおよび従って指数zの平均数を計算することが可能である。指数zは21に等しい。
【0166】
DSC分析は−114℃に等しいTgを示し、PTFEまたは非常に長いTFEセグメントに特有の320℃付近の溶融ピークを全く示していない。
【0167】
実施例6
実施例1を繰り返すが、同じPOを有するが、異なる構造
X1−O(CFCFO)(CFO)(CF(CF)O)(CFCF(CF)O)(O)−X1’
を有する過酸化パーフルオロポリエーテルを用いる。
式中、
X1およびX1’は59モル%に関して−CFであり、残りの41%に関して−CF(CF)COF,−COFであり、
v/r=0.35、(s+u)/(r+v)=0.096およびt=6.8ならびに8.3・10の数平均分子量を有し、そしてPO=1.3であり、
過酸化物、溶媒(Galden(登録商標)HT230)、TFEの量および反応条件は実施例1において用いられたものに等しい。
【0168】
合成の終わりに、反応混合物を室温に冷却させる。反応混合物は、時間において分離しない均質溶液である。反応混合物を実施例1で報告されたのと同じ条件に従うことにより中和プロセスに供する。中和の終わりに、混合物の酸度は、分析限界より低い結果になる。
【0169】
真空蒸留によって、溶媒を除去し、構造
T−O−[A−B]−A−T’
を有するポリマー290gを得る。
式中、
T、T’はCFから形成された約64%モルである一方で、残りの部分は、Cであり、
Bは−[CFCF−であり、式中、jは3.7に等しい数平均値を有し、従って、セグメントBの数平均長さは7.4個の炭素原子であり、
A=(CF)O[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)(CF(CF)O)(CFCF(CF)O)]−(CF−であり、
式中、v/m=0.34、(n+u)/(m+v)=0.097であり、
AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、オレフィンの存在しない状態で過酸化物の熱処理中に発生する単位に前記単位の合計量が実質的に等しいので、過酸化物結合の分解中に形成されたアルキルラジカルの再結合から発生すると仮定される。
【0170】
式(I)のポリマーの数平均分子量は7.9・10に等しい。
【0171】
ポリマーの合計重量に基づくブロックBの含有率は10.8重量%であり、z=2.3である。
【0172】
実施例7
熱法によるTFE−PFPに由来するブロックBを含有する式(I)のポリマーの調製
機械による攪拌、温度ゾンデ、ガスのためのバブル入口およびバブル出口を備えた100mlガラスフラスコ内に、式:
Xo−O(CFCFO)(CFO)(O)−Xo’
の過酸化パーフルオロポリエーテル20gおよび60gのGalden(登録商標)HT230から形成された溶液を供給する。
式中、XoおよびXo’は、−CF(24%)、−CFCl(12%)、−CFCFCl(10%)、−COF(17%)、−CFCOF(37%)であり、数平均分子量Mn=3.9・10、r/s=1.12およびt/(r+s)=0.088でありならびにPO=1.5を有する。
【0173】
窒素フロー下でフラスコを190℃に至るまで加熱する。この温度に達した時、窒素を止め、TFE(0.30Nl/h)とパーフルオロプロパン(PFP)(1.1Nl/h)の混合物を供給する。
【0174】
フラスコの温度を190℃で1.5時間維持し、その後、200℃に上げて、1.5時間にわたり維持し、最後に210℃に上げて1.0時間維持する。
【0175】
供給されたオレフィン(TFEおよびPFP)の合計モルと供給された過酸化物結合のモルとの間の比は15に等しい。
【0176】
試験の終わりに、反応混合物を窒素(1Nl/h)下で、230℃で3時間加熱し、その後、室温に冷却させた。その後、混合物を水で飽和させた窒素(1Nl/h)により180℃で4時間処理し、その後、常に同じ温度で無水窒素2Nl/hにより30分処理する。
【0177】
最後に、フッ素化を170℃で7時間、元素フッ素(1Nl/h)により行う。
【0178】
最終酸度は方法の感度限界より低い結果になる。
【0179】
その後、真空下での蒸留(kier Tmax:10−1ミリバールで230℃)によって溶媒を除去する。生成物20.3gを得、それを19F−NMRによって分析し、交互ブロック構造
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
を有する結果になる。
式中、
T、T’は−CF末端基から形成された約80%モルである一方で、残りの部分は、−CFCl、−CFCFClであり、
Bは−[(CF−CF(CFCF(CF))j’]−であり、式中、(j+j’)の平均値は4.45であり、j/j’の平均値は1.9に等しく、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](CF−であり、
m/nの値=0.98、p/n=0.014、q/n=0.020、(p+q)/(p+q+n+m)=0.017であり、
AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、前に記載された理由で過酸化物結合の分解中に形成されるアルキルラジカルの再結合から発生すると仮定される。
【0180】
式(I)のポリマーの数平均分子量は4.0・10であり、ブロックBの重量%は、ポリマーの合計重量に基づいて21重量%であり、指数zの数平均値は11に等しい。
【0181】
DSC分析は、パーフルオロポリエーテル構造に特有の−107℃のガラス転移温度(Tg)を示している。より高い温度で転移は観察されない。
【0182】
実施例8
熱法によるTFE−エチレンに由来するブロックBを含有する式(I)のポリマーの調製
TFE(0.7Nl/h)およびエチレン(0.7Nl/h)を供給することにより実施例7に記載された手順に従うことによって試験を行う。
【0183】
供給されたオレフィン(TFEおよびエチレン)の合計モルと供給された過酸化物の過酸化物結合のモルとの間の比は15に等しい。
【0184】
試験の終わりに、反応溶媒を真空下で蒸留(kier maxT:10−1ミリバールで200℃)することにより除去する。
【0185】
反応生成物の酸末端基を化学量論量の水酸化アンモニウム(32%の水溶液)により塩にする。その後、塩を水40gと一緒にオートクレーブ内部に供給し、欧州特許第695,775号明細書に記載された事に従い、130℃で10時間にわたり脱カルボキシル化反応に供する。試験の終わりに、生成物の一定量を取り、酸度分析に供する。それは、感度限界より低い値という結果になる。反応生成物を分離によって回収し、真空下で50℃で加熱することにより無水化する。
【0186】
生成物20.6gを得る。それを19F−NMRによって分析し、ブロック構造
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
を確認する。
式中、
T、T’は末端基−CF、−CFCl、CFCFCl約45%から形成されており、残りについては、末端基−CFHおよび微量の末端基−CFCFH55%であり、
Bは−[(CF−CF(CHCHj’]−であり、式中、(j+j’)の平均値は4.5であり、平均値j/j’は2.3に等しく、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](CFであり、
m/nの値=0.95、p/n=0.009、q/n=0.014、(p+q)/(p+q+n+m)=0.012であり、
AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、前に記載されたのと同じ理由で過酸化物結合の分解中に形成されるアルキルラジカルの再結合から発生すると仮定される。
【0187】
式(I)のポリマーの数平均分子量は4.0・10であり、ブロックBの重量%は11%であり、指数zの数平均値は12に等しい。
【0188】
その後、生成物に関するDSC分析を行い、−108℃で単一ガラス転移温度を示している。
【0189】
実施例9
熱法によるエチレンからのセグメントを含有する式(I)のポリマーの調製
挿入のためのオレフィンとしてエチレン(0.7Nl/h)を供給することにより、実施例7に記載された手順に従うことによって試験を行う。エチレンのモルと供給された過酸化物結合のモルとの間の比は7に等しい。
【0190】
試験の終わりに、反応溶媒を真空下で蒸留(kier Tmax:10−1ミリバールで200℃)することにより除去する。
【0191】
反応生成物の酸末端基を化学量論量の水酸化アンモニウム(32%の水溶液)により塩にする。その後、塩を水40gと一緒にオートクレーブ内部に供給し、欧州特許第695,775号明細書に記載された事に従い、130℃で10時間にわたり脱カルボキシル化反応に供する。試験の終わりに、生成物の一定量を取り、酸度分析に供する。それは、感度限界より低い結果になる。反応生成物を分離によって回収し、真空下で50℃で加熱することにより無水化する。
【0192】
粘性液体生成物18.1gを得る。それを19F−NMRによって分析し、ブロック構造
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
を確認する。
式中、
T、T’は末端基−CF、−CFCl、CFCFCl約45%および残り55%の末端基−CFHおよび微量の末端基−CFCFHで形成されており、
Bは−[CH−CHであり、式中、jは2.1に等しい数平均値を有し、従って、セグメントBの数平均長さは4.2個の炭素原子であり、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](CF−であり、
m/nの値=0.97、p/n=0.014、q/n=0.005、(p+q)/(p+q+n+m)=0.010であり、
AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、過酸化物結合の分解中に形成されるアルキルラジカルの再結合から発生する。
【0193】
数平均分子量は3.5・10である。パラメータzは13に等しい。エチレンブロックの重量%はポリマーの合計重量に基づいて2重量%である。
【0194】
DSC分析は−112℃で単一ガラス転移を示している。
【0195】
実施例10
熱法によるVDFに由来するブロックを含有する式(I)のポリマーの調製
過酸化パーフルオロポリエーテル15g(数平均分子量(Mn)は5.5・10に等しく、PO=1.17%)および135gのGalden(登録商標)HT230から形成された溶液中に、0.4Nl/hに等しい流速でフッ化ビニリデン(VDF)を供給することにより、実施例7に記載された手順に従って試験を行う。
【0196】
以下の加熱プログラムに従う。
1時間にわたり165℃、2.5時間にわたり170℃、1.5時間にわたり180℃、1時間にわたり185℃、1時間にわたり190℃、0.5時間にわたり200℃、最後に0.5時間にわたり220℃。
【0197】
供給されたVDFのモルと供給された過酸化物結合のモルとの間の比は14に等しい。
【0198】
試験の終わりに、真空下での蒸留(2.0・10−1ミリバールでTmax:190℃)によって溶媒を除去する。
【0199】
反応生成物の酸末端基を化学量論量の水酸化アンモニウム(32%の水溶液)により塩にする。その後、塩を水40gと一緒にオートクレーブ内部に供給し、欧州特許第695,775号明細書に記載された事に従い、130℃で10時間、脱カルボキシル化反応に供する。
【0200】
試験の終わりに、生成物の一定量を取り、酸度分析に供する。それは、感度限界より低い結果になる。反応生成物を分離によって回収し、真空下で50℃で加熱することにより無水化する。
【0201】
生成物14.1gを得る。それを19F−NMRによって分析し、ブロック構造
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
を確認する。
式中、
T、T’は末端基−CF、−CFCl、CFCFCl約45%および残り55%の末端基−CFHおよび微量の末端基−CFCFHで形成されており、
Bは−[CH−CHであり、式中、jは4.5に等しい数平均値を有し、その数平均長さは9個の炭素原子であり、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](CF−であり、
m/nの値=0.97、p/n=0.014、q/n=0.005、(p+q)/(p+q+n+m)=0.0095であり、
AがT’に連結される時b=0であり、他のすべての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、過酸化物結合の分解中に形成されるアルキルラジカルの再結合から発生する。
【0202】
式(I)のポリマーの数平均分子量は5.2・10である。ブロックBの重量%はポリマーの合計重量に基づいて10%である。指数zの数平均値は18に等しい。
【0203】
DSC分析は−107℃でガラス転移を示している。
【0204】
実施例11
光化学法によるCTFEに由来するブロックBを含有する式(I)のポリマーの調製
実施例7において用いられた過酸化パーフルオロポリエーテル15gおよび200gのH−Galden(登録商標)ZV60から形成された溶液を150ワットのUVランプおよび磁気攪拌システムを備えた光化学反応器(反応体積=125ml)の内部に供給する。
【0205】
窒素フロー下および攪拌下で反応器を−50℃に冷却する。この温度は、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)1.6Nl(8.3g)が凝縮する温度である。
【0206】
供給されたCTFEのモルと供給された過酸化物結合のモルとの間の比は5に等しい。
【0207】
反応混合物を10分にわたり攪拌下で放置する。その後、−20±5℃で温度設定をさせることによりUVランプを点灯させる。反応の全持続期間(6時間)にわたりこれらの条件を一定に維持する。終わりに、ランプを消灯し、混合物を室温に到達させる。
【0208】
その後、H−Galden(登録商標)ZV60を大気圧下で蒸留し、その後、反応生成物を50gのGalden(登録商標)HT230で希釈し、230℃で5時間にわたり熱処理に供して、残留過酸化物を除去する。その後、混合物を水で飽和させた窒素(1Nl/h)で180℃で3時間にわたり処理し、その後、無水窒素2Nl/hで常に同じ温度で30分にわたり処理する。
【0209】
最後に、170℃で5時間にわたる元素フッ素(1Nl/h)によるフッ素化を行う。その後、真空下で210℃および10−1ミリバールで蒸留することにより溶媒を除去する。
【0210】
生成物13.1gを得る。それを19F−NMRによって分析し、ブロック構造
T−O−[A−B]−A−T’ (I)
を確認する。
式中、
T、T’は末端基−CF、−CFCl、CFCFClから形成されており、
Bは[CFCFCl]であり、式中、jはの平均値は4.5に等しく、その数平均長さは9個の炭素原子であり、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)](CF−であり、
m/nの値=0.94、p/n=0.002およびq/n=0.001、(p+q)/(p+q+n+m)=0.0015であり、
AがT’に連結される時b=0であり、他の全ての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、過酸化物結合の分解中に形成されるアルキルラジカルの再結合から発生する。
【0211】
式(I)のポリマー中のブロックBの重量%はポリマーの合計重量を基準にして12.5%に等しい。コポリマーの数平均分子量は3.5・10に等しい。これから、指数z=8の平均値を計算する。
【0212】
DSC分析は−105℃でガラス転移を示している。
【0213】
実施例12
TFEに由来するブロックBを含有する式(I)のポリマーの調製
実施例5を繰り返すが、10より長いブロックBを得るように13.0Nl/h−1に等しいTFE流速を用いる。すべての他の合成条件を同じに維持し、従って、TFEのモルと供給された過酸化物結合のモルとの間の比は18に等しい。
【0214】
8時間後(定常状態)に捕集された部分を合流させ、実施例5のために報告されたのと同じ条件下で中和に供する。最終酸度は分析方法の感度限界より低い。
【0215】
真空下での蒸留(kier最高T:10−1ミリバールで230℃)によって、溶媒Galden(登録商標)HT230を除去し、ポリマー645gを回収する。
【0216】
サンプルの一定量をヘキサフルオロベンゼンに溶解させ、19F−NMRによって分析し、構造
T−O−[A−B]−A−T’
を確認する。
式中、
T、T’はCFから形成された約70モル%である一方で、残りの部分は、CFClおよびCFCFClであり、
Bは−[CFCF−であり、式中、jは6.1に等しい数平均値を有し、従って、セグメントBの数平均長さは12.2個の炭素原子であり、
A=−(CF)O−[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−](CF−であり、
m/n=1.08、p/n=0.019、q/n=0.019、(p+q)/(p+q+n+m)=0.018であり、
AがT’に連結される時b=0であり、他のすべての場合b=1であり、
単位(CFCFCFO)および(CFCFCFCFO)は、オレフィンの存在しない状態で過酸化物の熱処理中に発生する単位に前記単位の合計量が実質的に等しいので、過酸化物結合の分解中に形成されたアルキルラジカルの再結合から発生すると仮定される。
【0217】
式(I)のポリマーの数平均分子量は6.0・10に等しい。
【0218】
TFEブロックBの重量による含有率はポリマーの合計重量を基準にして22%である。
【0219】
上で報告されたデータから、式(I)のポリマー中のセグメントBの平均数、および従って指数zを計算することが可能である。指数zは22に等しい。
【0220】
DSC分析は−113℃でTgを示している。PTFEセグメントまたは長いTFEセグメントに特有の320℃辺りの溶融ピークは観察されない。
【0221】
用途試験:磨耗および蒸発損失の測定
実施例13
実施例4から得られた化合物を磨耗測定に供し、1.0mmに等しい値を示している。
【0222】
比較のために、20℃で280cStの粘度を有するFomblin(登録商標)M30油(数平均分子量=9,800)上で磨耗測定を行い、1.48mmに等しい値を示している。
【0223】
Fomblin(登録商標)M30の粘度より約10倍高い粘度を有する油が約30%のより低い磨耗を示すことは意外な結果である。
【0224】
実施例14
磨耗測定に供された実施例7の化合物は1.0mmに等しい値を示している。更に、実施例1、5、6、9、10、11の化合物も磨耗測定に供し、以下の値(mm)を示している。
実施例1:1.05
実施例5:0.97
実施例6:0.90
実施例9:1.10
実施例10:0.98
実施例11:1.07
【0225】
実施例15
磨耗測定に供された実施例8の化合物は0.85mmに等しい値を示している。
【0226】
実施例13、14および15の磨耗データは、高い分子量を示してさえいる本発明の生成物が、より低い分子量を有する商用フッ素化油の磨耗より低い磨耗値を示すことを示している。
【0227】
実施例16
実施例12において得られたポリマーの磨耗を測定し、それは1.15に等しい結果になっている。同じ測定をパーフルオロポリエーテル油Fomblin(登録商標)M30上で行い、それは1.48mmに等しい磨耗を有する結果になっている。
【0228】
2つの結果の比較から、Fomblin(登録商標)Zタイプのパーフルオロポリエーテル油に比べて、式(I)であるが、10より長く20より短いブロックBの平均長さを有するポリマーも低い磨耗値を有する結果になるという結論を導き出す。
【0229】
更に、蒸発での重量損失の試験を行う。実施例12のポリマーは0.01%より低い損失を示す一方で、Fomblin(登録商標)M30の204℃で24時間にわたる重量損失は0.7%という結果になっている。
【0230】
実施例17(比較例)
実施例2(比較例)において得られ、29個の炭素原子に等しい長さのブロックBを有するポリマーの磨耗を測定する。
【0231】
測定を行う温度(ASTM D4172B規格に準拠するとT=75℃)でサンプルは潤滑特性を示さず、そして測定の開始直後の磨耗が迅速に増加し、従って試験を中止する。
【0232】
更に、27個の炭素原子に等しい長さのブロックBを有する実施例3(比較例)で得られたポリマーの磨耗を測定し、実施例2のポリマーと同じ結果を実質的に得る。
【0233】
前の実施例との比較から、20より長いBの長さを有する式(I)のポリマーが、極端に高く測定可能でない磨耗値を示し、従って、それらを潤滑剤として使用できないという結論を導き出す。
【0234】
実施例18
実施例4において得られ、1.0mmの磨耗を有する式(I)のポリマーを蒸発による重量損失試験に供する。204℃で22時間後、重量損失は0.01%より小さい結果になる。
【0235】
1.05mmの磨耗を有する実施例1において得られた式(I)のポリマーを用いることにより試験を繰り返す。204℃で22時間後、重量による損失は0.01%より小さい結果になる。
【0236】
1.15mmの磨耗を有する実施例12において得られた式(I)のポリマーを用いることにより試験を繰り返す。204℃で22時間後、重量による損失は0.01%より小さい結果になる。
【0237】
実施例19(比較例)
蒸発における損失試験を行って、20℃で1500cStに等しい粘度、約−60℃のTgおよび1.0mmに等しい磨耗を有する商用パーフルオロポリエーテル油Fomblin(登録商標)YR1500(数平均分子量=6,600)の重量損失を決定する。
【0238】
204℃で22時間後、重量損失は0.9%という結果になる。
【0239】
実施例18および19のデータの比較は、本発明の式(I)のポリマーが、同じ磨耗を実質的に有するパーフルオロポリエーテル油に比べて、蒸発におけるより低い重量損失を有する結果になることを指摘している。
【0240】
潤滑用組成物の調製および用途試験
実施例20
実施例1の式(I)のポリマー273g、
20℃で280cStに等しい粘度を有するFomblin(登録商標)M30として商業的に知られているクラス(5)のパーフルオロポリエーテル油327g、
を混合することにより調製方法(A1)によりグリースを調製した。
【0241】
得られたグリースは均質で半透明という結果になる。浸透値は278mm/10’である。グリースを4ボール磨耗試験(Four−ball Wear Test)に供し、得られた値は1.10mmである。
【0242】
実施例21(比較例)
実施例3(比較例)のポリマー327g
Fomblin(登録商標)M30として商業的に知られているクラス(5)のパーフルオロポリエーテル油327g
を混合することにより、実施例20を繰り返して、実施例20のグリースと同じ浸透を実質的に有するグリースを調製する。
【0243】
得られたグリースは281mm/10’の浸透値を示している。その後、グリースを4ボール磨耗試験(Four−ball Wear Test)に供し、得られた値は1.79mmである。
【0244】
実施例20および21(比較例)の磨耗値を比較することにより、浸透が等しいけれども、ポリマー(i)を含有する本発明のグリースは改善された磨耗を示すという結果になる。
【0245】
実施例22(比較例)
実施例20を繰り返すが、ポリマー(i)の代わりにAlgoflon(登録商標)L206として商業的に知られている粉末のPTFE300g、および実施例20のパーフルオロポリエーテル油700gを用いている。
【0246】
こうして得られたグリースは280mm/10’の浸透値を有し、4ボール磨耗試験に供する。磨耗値は1.61mmである。
【0247】
実施例23(比較例)
クラス(5)のパーフルオロポリエーテル油のみを用いて実施例20を繰り返す。得られた磨耗値は1.48mmである。
【0248】
本発明の実施例20と2つの比較例22および23との間の比較は、本発明の潤滑用組成物が、同じ浸透を有する従来のグリースの磨耗値ばかりでなく、塩基性油の値より低くさえある磨耗値を示すことを示している。
【0249】
実施例24
実施例5のポリマー300g、
Fomblin(登録商標)M30として商業的に知られているクラス(5)のパーフルオロポリエーテル油360g、
を混合することにより調製方法(B1)によりグリースを調製する。
【0250】
得られたグリースは室温で均質および半透明という結果になる。浸透値は325mm/10’という結果になる。グリースを4ボール磨耗試験(Four−ball Wear Test)に供し、1.28mmの磨耗値を得ている。
【0251】
その後、ボールベアリングのための摩擦評価試験を行い、30mN・mの16,000rpmで1時間後に出発値を得、試験中に到達した最高温度は165℃である。
【0252】
実施例25(比較例)
実施例22(比較例)のグリースをボールベアリングのための摩擦評価試験に供し、35mN・mの16,000rpmで1時間後に出発値を得、試験中に到達した最高温度は194℃である。
【0253】
実施例24と実施例25(比較例)のデータの比較は、本発明の潤滑用組成物が、先行技術の摩擦値より低い摩擦値を示すことを指摘している。
【0254】
実施例26
実施例5のポリマー300g
Fomblin(登録商標)M30として商業的に知られているクラス(5)のパーフルオロポリエーテル油200g
を混合することにより調製方法(B1)によりグリースを調製する。
【0255】
得られたグリースは室温で均質および半透明という結果になる。浸透値は273mm/10’という結果になる。グリースを4ボール磨耗試験に供し、得られた値は1.33mmである。その後、グリースを204℃で22時間にわたり蒸発における重量損失の測定に供し、0.6%の値を得ている。
【0256】
このグリースを長時間にわたる油分離試験に供し、0%の値を得ている。すなわち、油分離は観察されない。
【0257】
実施例27(比較例)
長時間にわたる油分離測定を繰り返し、実施例22(比較例)において得られたグリース上で行う。得られた値は0.5%に等しい。更に、204℃での蒸発における重量損失の試験を22時間にわたり繰り返し、0.9%の値を得ている。
【0258】
実施例26のデータを実施例27(比較例)のデータと比較することにより、本発明のグリースが長時間にわたる50℃での油分離を示さず、同じ浸透を有する従来のグリースと比べて、204℃で測定された蒸発におけるより低い損失を示す結果になっている。
【0259】
実施例28
実施例20を繰り返すが、実施例3Aの化合物(i)を用いる。
【0260】
こうして得られたグリースをSRV試験に供し、0.12に等しい平均摩擦係数値を得た。
【0261】
実施例29(比較例)
SRV試験を実施例22(比較例)において得られたグリース上で行い、0.17に等しい摩擦係数値を得た。
【0262】
実施例28のデータを実施例29(比較例)のデータと比較することにより、本発明のグリースが同じ浸透を有する従来のグリースの摩擦係数より低い摩擦係数を示す結果になっている。
【0263】
実施例30(比較例)
SRV試験を実施例28において用いられた塩基性油、成分(ii)上で行い、0.14に等しい摩擦係数値を得た。
【0264】
本発明の実施例28と2つの実施例29(比較例)および30(比較例)との間の比較は、本発明の潤滑用組成物が同じ浸透を実質的に有する従来のグリースの摩擦係数値ばかりでなく、塩基性油の値より低くさえある摩擦係数値を示すことを指摘している。
【0265】
実施例31
実施例4の化合物(i)180g、
XPH160として商業的に知られている米国特許出願公開第2005/0,075,250号明細書(高速)により調製された粉末のPTFEから形成された増粘剤(iii)20g、
を混合することにより調製方法(A1)によりグリースを調製し、(D1403規格に準拠して)320に等しい浸透値を有する90/10組成を得た。
【0266】
このグリースを4ボール試験(Four−ball Test)および蒸発における損失試験に供し、1.1mmに等しい磨耗値および蒸発における無損失を得た。
【0267】
実施例32(比較例)
同じ浸透を実質的に有する従来のグリースを調製するために実施例31を繰り返した。
【0268】
従って、
40℃で770cStに等しい粘度を有するFomblin(登録商標)M100として商業的に知られているクラス(5)の成分(ii)168g、
実施例31の増粘剤(iii)32g、
を混合し、組成84/16を得た。D 1403に準拠して得られた浸透は322に等しい結果になった。このグリースを4ボール試験および蒸発での損失試験に供し、1.1mmに等しい磨耗値および0.15%に等しい蒸発での損失を得ている。
【0269】
実施例31のデータを実施例32(比較例)のデータと比較することにより、ポリマー(i)をPTFEのような、適する増粘剤と混合して用いて、蒸発での損失が全くなく、良好な磨耗を有するグリースを与えることも可能である結果になる。
【0270】
更に、ポリマー(i)を含有するこうして得られたグリースは、浸透が等しいならば、先行技術により調製されたグリースと比べて、より低い増粘剤含有率を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
T−O−[A−B]−[A−B’]z’−A−T’ (I)
のポリマー。
(式中、A=−(X)−O−A’−(X’)−であり、
ここで、A’は、任意に単位(CF(CF)O)、(CF(CF)CFO)、(CFCF(CF)O)を含む、(CFO)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)から選択された1個以上の反復単位を含むパーフルオロポリエーテル鎖であり、X、X’は互いに同じかまたは異なり、−CF−、−CFCF−、任意に−CF(CF)−であり、
a、bは互いに同じかまたは異なり、0または1に等しい整数であり、但し、末端基T−O−に連結されたブロックAがa=1を有し、末端基T’に連結されたブロックAがb=0を有することを条件とし、
Bは1種以上のオレフィン(ここで、前記オレフィンの少なくとも1種はラジカル経路により単独重合可能である)に由来する単位から形成されたブロックであり、式:
−[(CR−CR(CR−CRj’]− (Ia)
を有し、ここで、jは1〜5の整数であり、j’は0〜4の整数であり、但し、(j+j’)が2より大きく且つ5より小さいことを条件とし、
、R、R、R、R、R、R、Rは互いに同じかまたは異なり、ハロゲン、好ましくはF、Cl;、H;C〜C(パー)ハロアルキル(ここで、ハロゲンは好ましくはF、Clである);任意にO、N、Sのようなヘテロ原子を含有するC〜Cアルキル;C〜Cオキシ(パー)フルオロアルキルから選択され、
zは2より大きい整数であるか、または2に等しく、z’は0または整数であり、z、z’は、式(I)のポリマーの数平均分子量が500〜500,000の範囲内にあるような値であり、
B’は1種以上のオレフィンに由来するブロックであり、式(Ia)を有するが、ブロックBの置換基R〜Rとは異なる置換基R〜Rの少なくとも1つを有し、(j+j’)は2以上で且つ5未満であり、
末端基TおよびT’は互いに同じかまたは異なり、炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル(1個のフッ素原子は1個の塩素原子または水素原子で置換されていることが可能である);、C〜C非フッ素化アルキル基である)
【請求項2】
z、z’が、式(I)のポリマーの数平均分子量が1,000〜80,000、好ましくは5,000〜60,000の範囲内にあるような値である請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
A’が66〜50,000、好ましく300〜10,000、より好ましくは500〜5,000の範囲内の数平均分子量を有する請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
ブロックAが下記構造:
(1)(X)O[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)]−(X’)
(式中、
X、X’は互いに同じかまたは異なり、−CF−、−CFCF−であり、
a、bは上で定義された通りであり、
m、n、p、qは、nが0とは異なる時、m/nが0.1と10との間であるように、0を含む整数であり、(p+q)/(n+m+p+q)は0と0.05との間であり、(n+m+p+q)は0とは異なる)
(2)(X)O[(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−CF(CF)O)(CFCF(CF)O)]−(X’)
(式中、
X、X’は互いに同じかまたは異なり、−CF−、−CF(CF)−、−CFCF−であり、
a、bは上で定義された通りであり、
mは1より大きい整数であるか、または1に等しく、指数n、p、q、u、vは0を含む整数であり、但し、(v+m)が0とは異なる時、(p+q)/(v+m)は0〜0.05の間であり、(m+n)が0とは異なる時、(v+u)/(n+m)の比は1未満であることを条件とする)
から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
ブロックBが、ラジカル経路により単独重合不能なオレフィン、好ましくはヘキサフルオロプロペン(HFP)、(パー)フルオロビニルエーテル、プロピレンの任意の存在下で、ラジカル経路により単独重合可能な1種以上のオレフィン、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)、エチレン(E)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
ブロックB’が、好ましくは請求項5に記載のBのオレフィンから選択された、ラジカル経路により単独重合可能なまたは単独重合不能な1種以上のオレフィンに由来する請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
BブロックおよびB’ブロックがパーフルオロオレフィン、好ましくはTFEまたはTFEとHFPの混合物に由来する単位を含有するか、またはB、B’ブロックがラジカル経路により単独重合可能な少なくとも1種のパーフルオロオレフィン、好ましくはTFEおよび少なくとも1種の非パーフルオロオレフィン、好ましくはエチレン、VDFに由来する単位を含有する請求項5または6に記載のポリマー。
【請求項8】
z’=0である請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
ブロックB、B’の合計重量が式(I)のポリマーの合計重量を基準にして70重量%未満、好ましくは60重量%未満、より好ましくは40重量%未満である請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項10】
ポリマー(I)の末端基TおよびT’が互いに同じかまたは異なり、−CF、−C、−C、−CFH、−CFCFH、−CFHCF、−CFCl、−CCl、−CH、−C、−Cである請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリマーを調製する方法であって、
(a)0.1〜4の間、好ましくは0.1〜3.5の間の活性酸素(PO)含有率を有する単位(CFO)、(CFCFO)、(CFCFCFO)、(CFCFCFCFO)の少なくとも1つを含む過酸化パーフルオロポリエーテルを、
ラジカル経路により単独重合不能な1種以上のオレフィンの任意の存在下で、ラジカル経路により単独重合可能な少なくとも1種の前記オレフィンと、
125℃〜280℃の間の温度および1バール〜50絶対バールの間の圧力で、
前記オレフィンのモルと前記パーフルオロポリエーテルの過酸化物単位のモルとの間の比1〜15の範囲で、0.1未満、好ましくは0.05未満、より好ましくは0.02未満、なおより好ましくは0.01未満のPOを有するポリマーを得るまでオレフィンを供給することによって反応させる工程と、
(b)前記ポリマー中の過酸化物分の除去に至るまで200℃〜280℃の間の温度で(a)において得られたポリマーを熱処理する工程と、
(c)式(I)のポリマーを得るために(b)において得られたポリマーを中和する工程と
を含む方法。
【請求項12】
ラジカル経路によって単独重合可能なオレフィンを工程(a)においてより多く用いる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記温度が180℃〜230℃の間であり、前記圧力が1〜10絶対バールの間である請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)をフッ素化溶媒の存在下で行う請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記フッ素化溶媒の量が、前記溶媒+前記過酸化パーフルオロポリエーテルの合計重量を基準にして1重量%〜50重量%の間、好ましくは5重量%〜30重量%の前記過酸化パーフルオロポリエーテルの含有率を有するような量である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が、パーフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテルおよびヒドロフルオロポリエーテルから、好ましくはパーフルオロポリエーテルおよびヒドロフルオロポリエーテルからから選択される請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
出発過酸化パーフルオロポリエーテルが1個以上の単位(CF(CF)O)、(CF(CF)CFO)、(CFCF(CF)O)も含有し、末端基が1個以上の塩素原子、好ましくは1個のCl原子を任意に含有するC〜C(パー)フルオロアルキルであるか、または末端基がフッ化アシル、フルオロホルメートおよびケトンのような官能性末端基である請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記過酸化パーフルオロポリエーテルが、以下のクラス:
(II)Xo−O(CFCFO)(CFO)(O)−Xo’
(式中、
XoおよびXo’は互いに同じかまたは異なり、−CFCl、−CFCFCl、−CF、−CFCF、−CFCOF、−COFであり、
r、sおよびtは、数平均分子量が一般に400〜150,000、好ましくは500〜80,000の範囲内であるような整数であり、r/sは0.1〜10の間であり、sは0とは異なり、tは前記POが上で定義された範囲内にあるような整数である)
(III)X1−O(CFCFO)(CFO)(CF(CF)O)(CFCF(CF)O)(O)−X1’
(式中、
X1およびX1’は互いに同じかまたは異なり、−CFCl、−CFCFCl、−CFCF、−CF、−C、−CF(CF)COF、−COFであり、
r、s、t、u、vは、数平均分子量が500〜150,000、好ましくは700〜80,000の範囲内にあるような整数であり、v/(r+s+u)は1未満であり、tは前記POが上で定義された範囲内にあるような数である)
(IV)X2−O(CFCFO)(CFO)(CF(CFCFO)(O)−X2’
(式中、
X2およびX2’は互いに同じかまたは異なり、−CFCOF、−COFであり、
w=1または2であり、
r、s、tおよびkは、数平均分子量が700〜100,000、好ましくは700〜80,000の範囲内にあるような整数であり、r/sは0.2〜10の間であり、k/(r+s)は0.05未満であり、tは前記POが上で定義された通りであるような整数である)
から選択される請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記過酸化パーフルオロポリエーテルが、クラス(II)および(III)、好ましくはクラス(II)の過酸化パーフルオロポリエーテルである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
任意に触媒の存在下で、還元剤、好ましくは気体水素による化学還元により、または任意にハロゲン化溶媒のような不活性溶媒の存在下での100℃〜250℃の間の温度での熱処理により、前記過酸化パーフルオロポリエーテルを工程(a)の前に過酸化物結合の部分還元に供する請求項11〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程(a)をバッチ条件、半バッチ条件または連続条件下で行う請求項11〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
工程(a)をより多くのオレフィンを別個に供給することにより行う時、式(I)の前記ポリマーがブロックB’を含有する請求項11〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
工程(b)において、(a)において得られたポリマーの残留過酸化物の含有分を好ましくは−100℃〜+100℃の間の温度で、UV線の存在下で、光化学的方法によって除去する請求項11〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
工程(b)において、(a)において得られたポリマーの残留過酸化物の含有分を200℃〜280℃、好ましくは220℃〜250℃の範囲内の温度で混合物を加熱することにより熱的に除去する請求項11〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
中和工程(c)をフッ素化反応、脱カルボキシル化反応またはアルキル化反応によって行う請求項11〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
工程(c)がフッ素化である時、工程(b)において得られた前記ポリマーを工程(c)の前に加水分解に供する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
溶媒を工程(a)において用いる時、前記溶媒の除去のための工程(d)を工程(c)の後に行う請求項11〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
−100℃および+100℃、好ましくは−80℃および+80℃、より好ましくは−60℃および+60℃の範囲内の温度で波長が200〜350nmの間であるUV線の存在下で、オレフィンの合計モルと過酸化PFPEの過酸化物単位のモルとの間の比1〜10の間で、工程(a)を行う請求項11〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
(j+j’)が2より大きく且つ10以下である請求項1〜10のいずれか一項に記載されている式(I)のポリマーの潤滑剤としての使用。
【請求項30】
(パー)フルオロ溶媒、(パー)フルオロポリエーテル溶媒、(パー)フルオロアルカン、(パー)フルオロシクロアルカン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロ−ポリエーテル、または非フルオロ溶媒に前記ポリマーを溶解または分散させる請求項29に記載の使用。
【請求項31】
式CFO−(CFC(CF)O)m1(CFO)n1−CFのGalden(登録商標)、好ましくはGalden(登録商標)HT55(Bp=約55℃);パーフルオロオクタン、パーフルオロヘキサン;C10(Vertrel);シクロ−C(Zeorora−H(登録商標));メトキシ−ノナフルオロブタン(HFE−7100)、エトキシ−ノナフルオロブタン(HFE−7200)、2−トリフルオロメチル−3−エトキシデカフルオロヘキサン(HFE−7500);一般式CFH−(CFCFO)m2(CFO)n2−CFHのH−Galden(登録商標)、好ましくはH−Galden(登録商標)ZV60(Bp=約60℃)、H−Galden(登録商標)ZT130(Bp=約130℃)、H−Galden(登録商標)ZT180(Bp=約180℃)から前記溶媒が選択される請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記非フルオロ溶媒がアセトン、ジメチルアセトアミドである請求項30に記載の使用。
【請求項33】
2〜10の間の(j+j’)を有する式(I)のポリマーを0.1重量%〜30重量%の間、好ましくは0.5重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜5重量%の濃度において溶媒に溶解または分散させる請求項30〜32のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
ポリマー(I)+添加剤の合計を基準にして添加剤の重量比が0.005〜0.1の間であるような量で、防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧のための抗磨耗剤、抗磨耗剤、分散剤、トレーサーおよび染料から選択された1種以上の添加剤が存在する請求項33に記載の使用。
【請求項35】
請求項31〜34のいずれか一項に記載の潤滑用組成物。
【請求項36】
表面、好ましくは、不規則表面、電気接点、マイクロギア上の潤滑用フィルムの調製における請求項35に記載の組成物の使用。
【請求項37】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリマー(I)と、合計組成物(ポリマー(I)+添加剤)を基準にして添加剤の重量比が0.005〜0.1の間であるような量の防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧のための抗磨耗剤、抗磨耗剤、分散剤、トレーサーおよび染料から選択された1種以上の添加剤とを含む組成物。
【請求項38】
請求項37に記載の組成物の潤滑剤としての使用。
【請求項39】
(i)2〜10(両端値を含む)の(j+j’)を有する請求項1〜38のいずれか一項で定義された式
T−O−[A−B]−[A−B’]z’−A−T’ (I)
のパーフルオロポリエーテル系ポリマーと、
(ii)20℃で10〜4,000cStの間、好ましくは30〜2,000cStの間の粘度を有する油、
(iii)増粘剤
から選択された1種以上の成分と
を含む潤滑剤組成物。
【請求項40】
前記成分(ii)がフッ素化油または水素添加油である請求項39に記載の潤滑剤組成物。
【請求項41】
前記フッ素化油が、フルオロテロマー、特にTFEテロマーに由来する塩素を含有しないフッ素化油;末端基としてパーフルオロアルキル基を有するアルケンの重合から得られたフッ素化潤滑剤、フッ素を含有する有機シリコーンに基づく潤滑剤;塩素を含有するフッ素化潤滑剤、好ましくはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)オリゴマー;パーフルオロポリエーテル油である請求項40に記載の潤滑剤組成物。
【請求項42】
前記パーフルオロポリエーテル油が、鎖に沿って統計的に分布している反復単位−CFXO−(Xは、FまたはCFに等しい);−CFCFO−、−(CO)−、−CFCFCFO−、−CFCFCFCFO−の1つ以上を含む請求項41に記載の潤滑剤組成物。
【請求項43】
前記パーフルオロポリエーテル油が、以下のクラス:
(1a)E−O−(CFCF(CF)O)m’(CFXO)n’−E’
(式中、
XはFまたはCFに等しく、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、CF、CまたはCから選択され、末端基の一方または両方の1個のフッ素原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能であり、
m’およびn’は、m’/n’の比が20〜1,000の間であるような整数であり、
n’は0とは異なり、種々の単位は鎖に沿って統計的に分布しており、生成物粘度は上で定義された通りである)
(2a)CO(CF(CF)CFO)o’−D
(式中、
Dは−Cまたは−Cに等しく、末端基の一方または両方の1個のフッ素原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能であり
o’は生成物粘度が上で定義された通りであるような整数である)
(3a){CO−(CF(CF)CFO)p’−CF(CF)−}
(式中、
p’は生成物粘度が上で定義された通りであるような整数であり、
末端基の一方または両方の1個のF原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能である)
(4a)E−O−(CFCF(CF)O)q’(CO)r’(CFXO)s’−E’
(式中、
XはFまたはCFに等しく、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、上で定義された通りであり、
q’、r’およびs’は整数であり、0値を有することも可能であり、生成物粘度が上で定義された通りであるような整数である)
(5a)E−O−(CO)t’(CFO)u’−E’
(式中、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、上で定義された通りであり、
t’およびu’は、t’/u’比が0.1〜5の間であるとともに生成物粘度が上で定義された通りであるような整数である)
(6a)E−O−(CFCFCFO)v’−E’
(式中、
EおよびE’は互いに同じかまたは異なり、上で定義された通りであり、
v’は生成物粘度が上で定義された通りであるような数である)
(7a)D−O−(CFCFO)z’−D’
(式中、
DおよびD’は互いに同じかまたは異なり、CまたはCから選択され、末端基の一方または両方の1個のフッ素原子は、Clおよび/またはHによって置換されていることが可能であり、
z’は生成物粘度が上で定義された通りであるような整数である)
(8a)E−O(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)−E
(式中、
およびEは、式−(CFCF(式中、zは0〜3の整数である)を有する、互いに同じかまたは異なるパーフルオロアルキル末端基であり、
n、m、p、qは、0〜100の間で互いに同じかまたは異なる整数であり、油粘度が上で定義された通りであるとともに、m/n比が2〜20の間であるように選択され、(p+q)/(n+m+p+q)は0.05〜0.2の間であり、n/(n+m+p+q)は0.05〜0.40の間であり、(n+m+p+q)は0とは異なる)
から選択される請求項42に記載の潤滑剤組成物。
【請求項44】
前記パーフルオロポリエーテル油が、クラス(1a)、(4a)、(5a)、(8a)またはそれらの混合物、好ましくは、クラス(5a)および(8a)またはそれらの混合物から選択される請求項43に記載の潤滑剤組成物。
【請求項45】
前記非フッ素化油が、好ましくは、鉱油、パラフィン油、芳香族油、ポリアルファオレフィン、アルキルエステル、シリコーンエステル、ナフタレン誘導体、ポリアルキル化シクロアルカン、ポリフェニルエーテルから選択される請求項40に記載の潤滑剤組成物。
【請求項46】
前記増粘剤(iii)が、PTFE、タルク、シリカ、窒化ホウ素、ポリウレア、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のテレフタラメート、カルシウム石鹸およびリチウム石鹸ならびにそれらの錯体から選択される請求項39〜45のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項47】
防錆剤、酸化防止剤、熱安定剤、流動点降下剤、高圧のための抗磨耗剤、抗磨耗剤、分散剤、トレーサーおよび染料から選択された1種以上の添加剤(iv)を含む請求項39〜46のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項48】
前記安定化添加剤(iv)が、パーフルオロポリエーテルのジニトロ芳香族誘導体、パーフルオロポリエーテルのピリジン誘導体、アリールホスフィンから選択され;前記抗磨耗添加剤が、硫化モリブデン、モリブデン有機化合物、窒化ホウ素、グラファイト、ホスファゼン誘導体、好ましくは、パーフルオロポリエーテル鎖を含有するホスファゼン誘導体から選択され、前記防錆剤が、セバシン酸二ナトリウム、炭酸ナトリウム、パーフルオロポリエーテル鎖を含有するカルボン酸の官能化誘導体から選択される請求項47に記載の潤滑剤組成物。
【請求項49】
前記組成物中に存在する成分の合計が100重量%であることを条件として、
(i)0.1重量%〜99.9重量%、好ましくは0.5重量%〜99.5重量%、より好ましくは2重量%〜98重量%、なおより好ましくは5重量%〜95重量%
(ii)0〜99.9重量%
(iii)0〜50重量%
(iv)0〜30重量%
を構成する請求項39〜48のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項50】
粘性の高い油またはグリースの形態で、0.10〜0.60の間の重量比(i)/((i)+(ii))で油(ii)と混合された成分(i)を含む請求項39〜49のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項51】
ポリマー(i)が油(ii)より高い、好ましくは1,800cStより高い粘度を有する粘性の高い油の形態の請求項50に記載の潤滑剤組成物。
【請求項52】
全組成物を基準にして10重量%以下の1種以上の添加剤(iv)を含む請求項49〜51のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項53】
増粘剤(iii)を含む請求項49〜52のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項54】
0.02〜0.4の間の重量比(iii)/((iii)+(i))で増粘剤(iii)と混合されたポリマー(i)を含む請求項49に記載の潤滑剤組成物。
【請求項55】
全組成物を基準にして10重量%以下の1種以上の添加剤(iv)を含む請求項54に記載の潤滑剤組成物。
【請求項56】
成分(ii)が非フッ素化油であり、ポリマー(i)が非フルオロオレフィンまたは部分水素添加オレフィンに由来するセグメントB、B’を含有する請求項39〜53のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項57】
成分の混合を含む、液体の形態を取った請求項39〜56のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物を調製する方法。
【請求項58】
所望の量でミキサー内に成分(i)を供給し、その後、真空を作り、続いて、少なくとも2時間にわたって最高150℃で加熱する工程と、
成分(iv)を任意に供給する工程と、
成分(ii)および/または(iii)を供給し、加熱を止め、少なくとも4時間にわたり混合する工程と、
ミキサーの運転と真空を止め、得られたグリースを排出する工程と、
得られたグリースを3円筒リファイナー上に通すことにより精製する工程と、
を含む乾式混合(A1)によってグリースの形態を取った請求項39〜56のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項59】
任意に成分(iv)の存在下で、所望の量でミキサー内に成分(i)を供給し、好ましくは50℃〜100℃の間の低い沸点を有するフッ素化溶媒を、好ましくは成分(i)に等しい重量による量で供給し、少なくとも2時間にわたり混合する工程と、
成分(ii)および/または(iii)を供給し、加熱を中断し、少なくとも4時間にわたり混合する工程と、
グリースを得るまで前記溶媒をストリッピングし、前記溶媒を回収する工程と、
得られたグリースを真空下で少なくとも1時間にわたり混合し、排出する工程と、
得られたグリースを3円筒リファイナー上に通すことにより精製する工程と
を含む溶媒と混合する(B1)ことによってグリースの形態を取った請求項39〜56のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項60】
液形態またはグリース形態を取った潤滑剤としての請求項39〜56のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項61】
0.1重量%〜30重量%の間、好ましくは0.5重量%〜10重量%の間、より好ましくは1重量%〜5重量%の間の濃度において、潤滑用組成物を溶媒に溶解または分散させた請求項60に記載の使用。
【請求項62】
請求項61に記載の潤滑用組成物。
【請求項63】
表面、好ましくは、不規則表面、より好ましくはマイクロギア、電気接点上の潤滑用フィルムの調製のための請求項39〜56、62のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2010−511085(P2010−511085A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538711(P2009−538711)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062998
【国際公開番号】WO2008/065163
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・ソレクシス・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】