説明

フランジ付き電子写真感光体の製造方法、フランジ付き電子写真感光体、円筒状導電性基材、電子写真感光体用フランジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】金属製アース板を有する絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスを回避する。
【解決手段】金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジを、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に嵌合、圧入し、金属製アース板を円筒状導電性基材の内面に接触させるフランジ付き電子写真感光体の製造方法において、円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きい、金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)を小さくしつつ、金属製アース板を円筒状導電性基材内に端部から挿入することにより、金属製アース板付き絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる、安定した品質のフランジ付き電子写真感光体の製造方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるフランジ付き電子写真感光体の製造方法、フランジ付き電子写真感光体、円筒状導電性基材、電子写真感光体用フランジ、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真感光体は大型のものが使用されており、厚肉、大口径の円筒状導電性基材にSe合金等を蒸着して感光層を形成していた。この感光体を画像形成装置へ回転駆動可能な状態に取り付けるために、アルミダイキャスト等の金属製フランジを円筒状導電性基材の両端に取り付け、その金属製フランジの中心穴に金属製シャフトを貫通させ、画像形成装置本体に装着していた。このような構成の場合には、円筒状導電性基材と画像形成装置本体側とを導通させることは、比較的容易に行うことができた。
【0003】
近年、複写機、レーザープリンタ等の画像形成装置は小型化、軽量化され、薄肉、小口径の円筒状導電性基材に有機光導電材料を塗布して感光層が形成された有機感光体が多く用いられるようになっている。この有機感光体に取り付けられるフランジは、ほとんど樹脂製のものが用いられ、この樹脂製の絶縁性フランジには、金属製のアース板を取り付けて使用されることが多い。
【0004】
このアース板付き樹脂製フランジに関しては、その形状や、円筒状導電性基材への取り付け方法などに関して、さまざまな提案がなされている。例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているような、爪状先端を持つアース板を使用して円筒状導電性基材と樹脂製フランジとの間にアース板を食い込ませてアースを確保する方法や、特許文献3に記載されているような、断面コの字型アース板の両端部を円筒状導電性基材の内面に接触させてアースを確保する方法などが、提案されている。
【0005】
一方、円筒状導電性基材の軸中心の回転振れ精度を向上するために、例えば特許文献4に記載されているように、円筒状導電性基材の端面の内側に面取りを施すことが提案されている。これにより、基材へのフランジ装着時にフランジの端部が基材端部に均一に接触し、フランジ装着時の精度を向上することができるとしている。
【0006】
【特許文献1】特開平4−237085号公報
【特許文献2】特開平9−146411号公報
【特許文献3】特開平8−6438号公報
【特許文献4】特開平11−242407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2のような爪状先端を持つアース板を使用して、円筒状導電性基材と樹脂製フランジとの間に食い込ませてアースを確保する方法の場合には、アース板を食い込ませることにより、薄肉の円筒状導電性基材を変形させ、感光体の回転振れ精度を悪化させる要因になる場合がある。
【0008】
また、特許文献3のような断面コの字型アース板の両端部を円筒状導電性基材の内面に接触させてアースを確保する方法の場合、小規模生産に対しては問題が顕在化しないものの、大規模生産において、アース板の形状バラツキ、アース板の輸送中変形や、自動機による組込みバラツキなどが無視できない場合には、アース板の挟み込みによる挿入ミスや、アース板の基材内面への接触不足が発生し、確実な導通確保と確実な基材変形防止を、高次元で両立することは困難であった。
【0009】
このように、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジを、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の両端に嵌合、圧入し、金属製アース板が円筒状導電性基材の内面に接触することで、金属製アース板と電子写真感光体とを導通させる機構を持つフランジ付き電子写真感光体において、円筒状導電性基材の変形、導通不安定という2つの課題を高次元で解決することは非常に困難であった。
【0010】
また、金属製アース板を有する絶縁性フランジの基材へのアース板挟み込みのような挿入ミスが発生すると、円筒状導電性基材と絶縁性フランジとが正常に嵌合できなくなるため、感光体の回転振れ精度が大幅に悪化し、画像濃度ムラの発生に至る場合がある。
【0011】
一方、特許文献4のような、基材端面内側の面取りは、円筒状導電性基材の軸中心の回転振れ精度を向上するために最適化されたものであって、金属製アース板を有する絶縁性フランジの挿入を目的にされたものではない。
【0012】
本発明は、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる、安定した品質のフランジ付き電子写真感光体の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる、安定した品質のフランジ付き電子写真感光体及び円筒状導電性基材を提供する。
【0014】
また、本発明は、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる電子写真感光体用フランジを提供する。
【0015】
さらに、本発明は、導通安定性が確保され、画像濃度ムラの発生を抑制することができるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジを嵌合、圧入し、前記金属製アース板を前記円筒状導電性基材の内面に接触させるフランジ付き電子写真感光体の製造方法であって、前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、前記接触部の最大開き幅(A)を小さくしつつ前記金属製アース板を前記円筒状導電性基材内に端部から挿入する。
【0017】
また、前記フランジ付き電子写真感光体の製造方法において、外部部材によって強制的に前記接触部の最大開き幅(A)が前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さくなるようにした上で前記金属製アース板を前記円筒状導電性基材内へ挿入し、前記強制的に小さくした接触部を前記円筒状導電性基材内部で開放することにより前記接触部を前記円筒状導電性基材の内面に接触させることが好ましい。
【0018】
また、前記フランジ付き電子写真感光体の製造方法において、前記金属製アース板の先端誘い込み部の幅(B)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さく、前記金属製アース板を装着した絶縁性フランジが圧入される側の、前記円筒状導電性基材の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部が設けられていることが好ましい。
1.5×E < F (1)
E > t×0.3 (2)
(式中、Eは前記面取り部の肉厚方向幅(mm)、Fは前記面取り部の円筒状導電性基材軸方向幅(mm)、tは前記円筒状導電性基材の肉厚(mm)である。)
【0019】
また、本発明は、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジが嵌合、圧入され、前記金属製アース板が前記円筒状導電性基材の内面に接触することにより、前記金属製アース板と前記円筒状導電性基材とを導通させる機構を有するフランジ付き電子写真感光体であって、前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、前記金属製アース板の先端誘い込み部の幅(B)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さく、前記金属製アース板を装着した絶縁性フランジが圧入される側の、前記円筒状導電性基材の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部が設けられている。
1.5×E < F (1)
E > t×0.3 (2)
(式中、Eは前記面取り部の肉厚方向幅(mm)、Fは前記面取り部の円筒状導電性基材軸方向幅(mm)、tは前記円筒状導電性基材の肉厚(mm)である。)
【0020】
また、本発明は、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジが嵌合、圧入され、前記金属製アース板が前記円筒状導電性基材の内面に接触することにより、前記金属製アース板と前記円筒状導電性基材とを導通させる機構を有するフランジ付き電子写真感光体に用いられる円筒状導電性基材であって、前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、前記金属製アース板の先端誘い込み部の幅(B)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さく、前記金属製アース板を装着した絶縁性フランジが圧入される側の、前記円筒状導電性基材の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部が設けられている。
1.5×E < F (1)
E > t×0.3 (2)
(式中、Eは前記面取り部の肉厚方向幅(mm)、Fは前記面取り部の円筒状導電性基材軸方向幅(mm)、tは前記円筒状導電性基材の肉厚(mm)である。)
【0021】
また、本発明は、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の内面に接触することにより、前記円筒状導電性基材を導通させる金属製アース板を有する電子写真感光体用フランジであって、前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、フランジ内径部に棒状部材を挿入することで、前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)を強制的に小さくすることができる形状を有する。
【0022】
また、本発明は、前記フランジ付き電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、前記帯電をされた電子写真感光体を露光して静電荷像を形成する露光手段、現像剤により前記静電荷像上にトナー画像を形成し可視化する現像手段、及び前記電子写真感光体上に残留した残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段と、を一体に支持し、画像形成装置に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
【0023】
また、本発明は、電子写真感光体表面に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤を用いて前記静電荷像を現像して転写材に転写する画像形成装置であって、電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、前記帯電をされた電子写真感光体を露光して静電荷像を形成する露光手段と、前記現像剤により前記静電荷像上にトナー画像を形成し可視化する現像手段と、前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を転写材の表面に転写する転写手段と、前記転写材の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有し、前記電子写真感光体は、前記フランジ付き電子写真感光体である。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジを、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に嵌合、圧入し、金属製アース板を円筒状導電性基材の内面に接触させるフランジ付き電子写真感光体の製造方法において、円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きい、金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)を小さくしつつ、特に外部部材により強制的に金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)を小さくしつつ、金属製アース板を円筒状導電性基材内に端部から挿入することにより、金属製アース板付き絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる、安定した品質のフランジ付き電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【0025】
また、本発明では、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジが嵌合、圧入され、金属製アース板が円筒状導電性基材の内面に接触することにより、金属製アース板と円筒状導電性基材とを導通させる機構を有するフランジ付き電子写真感光体及びそれに用いられる円筒状導電性基材において、基材の端面内側に所定の形状の面取り部を設けることにより、金属製アース板付き絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる、安定した品質のフランジ付き電子写真感光体及び円筒状導電性基材を提供することができる。
【0026】
また、本発明では、表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の内面に接触することにより、円筒状導電性基材を導通させる金属製アース板を有する電子写真感光体用フランジにおいて、フランジ内径部に棒状部材を挿入することで、金属製アース板の接触部の最大開き幅を強制的に小さくすることができる形状を有することにより、金属製アース板付き絶縁性フランジの円筒状導電性基材への挿入時の基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる電子写真感光体用フランジを提供することができる。
【0027】
さらに、本発明では、上記フランジ付き電子写真感光体を有することにより、導通安定性が確保され、画像濃度ムラの発生を抑制することができるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施の形態について以下説明する。
【0029】
<フランジ付き電子写真感光体及びその製造方法>
図1(a),(b),(c)は、本実施形態に係る電子写真感光体の製造方法の一例を説明するための図である。本実施形態において、図1(a)のように絶縁性フランジ10に固定、装着された金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を、表面に感光層(図示せず)が形成された円筒状導電性基材16の内径(D)よりも大きいものとする。そして、図1(b)のように、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を小さく(A’)しつつ、金属製アース板12を円筒状導電性基材16内に端部から挿入し、図1(c)のように絶縁性フランジ10を円筒状導電性基材16の端部に嵌合、圧入し、金属製アース板12を円筒状導電性基材16の内面18に接触させる。これにより、金属製アース板12付き絶縁性フランジ10の円筒状導電性基材16への挿入時の円筒状導電性基材16の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる。
【0030】
このとき、外部部材によって強制的に接触部の最大開き幅(A)が円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さくなるようにした上で金属製アース板を円筒状導電性基材内へ挿入し、強制的に小さくした接触部を円筒状導電性基材内部で開放することにより接触部を円筒状導電性基材の内面に接触させることが好ましい。
【0031】
外部部材によって接触部の最大開き幅(A)を円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さくする方法としては、金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)を強制的に小さくする手段を用いればよく特に制限はないが、例えば、図2のように、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を強制的に小さくする手段が、金属製アース板12の外側からの強制力によるものである。図2においては、アース板狭窄部材20を用いて、接触部14の最大開き幅(A)が円筒状導電性基材16の内径(D)よりも小さくなるように(A’)した上で金属製アース板12を円筒状導電性基材16内へ挿入する。その後、強制的に小さくした接触部14を円筒状導電性基材16内部で開放することにより接触部14を円筒状導電性基材16の内面18に接触させる。
【0032】
また、図3のように、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を強制的に小さくする手段が、金属製アース板12の内側からの強制力によるものであってもよい。図3において金属製アース板12は、絶縁性フランジ10の内径部にピン等の棒状部材22を挿入することで、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を強制的に小さくすることができる形状を有する。棒状部材22を用いて、接触部14の最大開き幅(A)が円筒状導電性基材16の内径(D)よりも小さくなるように(A’)した上で金属製アース板12を円筒状導電性基材16内へ挿入し、その後、強制的に小さくした接触部14を円筒状導電性基材16内部で開放することにより接触部14を円筒状導電性基材16の内面18に接触させる。
【0033】
このように、円筒状導電性基材16に金属製アース板12付き絶縁性フランジ10を挿入する際に、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を、挿入すべき円筒状導電性基材16の内径(D)よりも強制的に小さくした上で挿入し、円筒状導電性基材16の内部で開放することで、金属製アース板12が円筒状導電性基材16の内面18に確実に接触するため導通安定性が確保され、金属製アース板12付き絶縁性フランジ10の円筒状導電性基材16への挿入時の円筒状導電性基材16の変形を防止し、かつ挿入ミスも回避することができる。
【0034】
図2のように金属製アース板12の外側からの強制力を利用する場合、絶縁性フランジ10を円筒状導電性基材16の内部に完全に挿入する前にアース板狭窄部材20を外す必要があるが、図3のように金属製アース板12の内側からの強制力を利用する場合は、絶縁性フランジ10を円筒状導電性基材16の内部に完全に挿入した後に棒状部材22を外せばよく、生産面からは好適である。金属製アース板12の外側からの強制力を利用する場合は、アース板形状を簡略化できる利点がある。いずれを選択するかは、フランジ挿入設備への追加投資とアース板製作上のコストアップ分などを考慮し、トータルのコストメリットに応じて選択すればよい。
【0035】
本実施形態に使用する絶縁性フランジ10は、ABS樹脂等の絶縁性樹脂を含んで構成されればよく特に制限はない。
【0036】
本実施形態に使用する金属製アース板12としては特に制限なく、十分なバネ性と電気的導通を確保できる材質、板厚を適宜選択可能である。例えば、厚さ0.1〜0.2mm程度の銅合金、ステンレス鋼等の金属を使用することができる。導通性の点から銅合金やステンレス鋼であることが好ましく、耐腐食性の点からはステンレス鋼であることが好ましい。
【0037】
金属製アース板12の形状としては、板幅、曲げ形状、円筒状導電性基材16の内面18へ接触する接触部14の形状等は、円筒状導電性基材16の内面18への電気的導通が安定的に確保できるようなものであれば、適宜選択可能である。例えば、側面図を例として示すが、図1(a)〜(c)に示すような金属製アース板12の先端部が接触部14となっており、その接触部14が外側に開いている形状、図4(a)に示すような金属製アース板12の先端部が接触部14となっており、その接触部14が折り曲げ部24を越えて外側に開いている形状、図4(b)に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっており、先端部26が内側に向かって窄まっている形状、図3に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっていて、先端部26が内側に向かって窄まっており、2枚の金属製アース板12が交差している形状、図4(c)に示すような金属製アース板12の先端部が接触部14となっていて、その接触部14が外側に開いており、2枚の金属製アース板12が交差している形状、等が挙げられる。図4(c)において金属製アース板12は、絶縁性フランジ10の内径部にピン等の棒状部材22を挿入することで、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を強制的に小さくすることができる形状を有する。このような金属製アース板12の形状の中で、金属製アース板12の先端部が接触部14となっている形状の場合は、確実な導通を確保することができ、一方、金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっている形状の場合は、円筒状導電性基材16の変形をより防止することができるため、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0038】
従来の金属製アース板12自体のバネ力を用いて、円筒状導電性基材16の内面18に接触させてアースを確保する方法の場合、適正なバネ力で円筒状導電性基材16の内面18に接触させるためには、フリー状態の金属製アース板12の形状に、かなりの精度を要求されるとともに、輸送時の変形も考慮した管理も必要となる。つまり、フリー状態の金属製アース板12の形状を、外に広げすぎた場合、又は輸送中に外に広がった場合には、正常に挿入できれば、強いバネ力で円筒状導電性基材の内面に接触することになるため、導通安定性は向上するものの、挿入時に金属製アース板12が円筒状導電性基材16の外側に回り込む挿入ミスの発生が多くなる。このような挿入ミスが発生すると、円筒状導電性基材16と絶縁性フランジ10とが正常に嵌合できなくなるため、このような円筒状導電性基材16を有する電子写真感光体の回転振れ精度が大幅に悪化し、画像濃度ムラに至る場合がある。
【0039】
逆に、フリー状態の金属製アース板12の形状を内側に狭めすぎた場合、又は輸送中に内側に倒れた場合には、挿入ミスは発生しにくくなるが、逆に、円筒状導電性基材16の内面18に弱いバネ力で接触することになり、導通安定性の確保が困難になる。
【0040】
本実施形態によれば、金属製アース板12が固定、装着された絶縁性フランジ10を、表面に感光層を形成した円筒状導電性基材16の両端に嵌合、圧入し、金属製アース板12が円筒状導電性基材16の内面に接触することで、金属製アース板12と電子写真感光体とを導通させる機構を持つフランジ付き電子写真感光体の製造方法において、このような場合でも円筒状導電性基材16の変形、導通不安定、挿入ミスという3つの課題を同時に解決することができる。したがって、小型化、軽量化された画像形成装置に適用される薄肉、小口径の円筒状導電性基材を有する電子写真感光体を、感光体の回転振れ精度を悪化させることなく製造することができ、画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0041】
本発明の他の実施の形態について以下説明する。
【0042】
図5(a),(b),(c)は、本実施形態に係る電子写真感光体の製造方法の他の例を説明するための図である。本実施形態において、図5(a)のように絶縁性フランジ10に固定、装着された金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)は、表面に感光層(図示せず)が形成された円筒状導電性基材16の内径(D)よりも大きく、金属製アース板12の先端誘い込み部28の幅(B)が、円筒状導電性基材16の内径(D)よりも小さい。そして、金属製アース板12を装着した絶縁性フランジ10を圧入する側の、円筒状導電性基材16端面内側には、挿入する金属製アース板12の最大開き幅よりも大きい面取り部30が形成されている。
【0043】
図5(b)のように、先端誘い込み部28を円筒状導電性基材16内部に挿入し、その後、絶縁性フランジ10が圧入されるに従って、金属製アース板12の最大開き幅(A)は円筒状導電性基材16の内面の面取り部30に沿って徐々に狭められる。すなわち金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を小さくしつつ、金属製アース板12を円筒状導電性基材16内に端部から挿入し、図5(c)のように絶縁性フランジ10を円筒状導電性基材16の端部に嵌合、圧入し、金属製アース板12を円筒状導電性基材16の内面18に接触させる。これにより、金属製アース板12付き絶縁性フランジ10の円筒状導電性基材16への挿入時の円筒状導電性基材16の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することができる。
【0044】
本実施形態では、図5(a)のように、金属製アース板12を装着した絶縁性フランジ10が圧入される側の、円筒状導電性基材16の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部30が設けられている。
1.5×E < F (1)
E > t×0.3 (2)
(式中、Eは円筒状導電性基材16の面取り部30の肉厚方向幅(mm)、Fは円筒状導電性基材16の面取り部30の軸方向(全長方向)幅(mm)、tは円筒状導電性基材16の肉厚(mm)である。)
【0045】
本実施形態において、1.5×E<Fであるが、1.5×E<F<6×Eであることが好ましい。1.5×E<Fであることにより、金属製アース板12の先端誘い込み部28が円筒状導電性基材16端部に浅い角度で当たるため、金属製アース板12を円筒状導電性基材16内部にスムーズに挿入することができる。1.5×E≧Fであると、金属製アース板12の先端誘い込み部28が円筒状導電性基材16端部に深い角度で当たり易くなるため、挿入時にアース板の挟み込みによる挿入ミスが発生しやすくなり円筒状導電性基材16が変形する可能性が高い。また、F≧6×Eのように不必要にFを大きくする必要はない。
【0046】
また、E>t×0.3であるが、t×0.7>E>t×0.3であることが好ましい。E≦t×0.3であると、上記のような金属製アース板12を円筒状導電性基材16内部にスムーズに挿入することができるという効果が低減する。
【0047】
また本実施形態では、図6のように、金属製アース板12を装着した絶縁性フランジ10が圧入される側の、円筒状導電性基材16の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部30を有し、さらに、円筒状導電性基材16の端面内側に絶縁性フランジ10を装着すべき段部(インロー部32)を有していてもよい。インロー部32は、円筒状導電性基材16の端面内側を切削して形成される。インロー部32は、円筒状導電性基材16と絶縁性フランジ10の嵌合精度を上げる目的で実施される加工で、円筒状導電性基材16の外径と内径の芯ズレを矯正することができる。このインロー加工により、円筒状導電性基材16の外径部と内径部の芯ズレは小さくなり、結果的に、内径部に挿入された絶縁性フランジ10と、円筒状導電性基材16の外径部の芯ズレを小さくすることができ、絶縁性フランジ10を回転駆動したときの、円筒状導電性基材16の外径部振れ精度が向上し、高画質が期待できる。
【0048】
円筒状導電性基材16の端面内側に設けられる面取り部30の形状は、図5(a)〜(c),図6のような直線状でも、図7,図8のような曲面状(R形状)であってもよい。面取り部30の形状が曲面であるR形状であると、挿入時の金属製アース板12の先端誘い込み部28の円筒状導電性基材16端面内側への接触を緩やかにすることができる。一方、面取り部30の形状が直線状であると、円筒状導電性基材16の加工がしやすいという利点があり、適宜選択すればよい。
【0049】
本実施形態に使用する絶縁性フランジ10は、ABS樹脂等の絶縁性樹脂を含んで構成されればよく特に制限はない。
【0050】
本実施形態に使用する金属製アース板12としては特に制限なく、十分なバネ性と電気的導通を確保できる材質、板厚を適宜選択可能である。例えば、厚さ0.1〜0.2mm程度の銅合金、ステンレス鋼等の金属を使用することができる。導通性の点から銅合金やステンレス鋼であることが好ましく、耐腐食性の点からはステンレス鋼であることが好ましい。
【0051】
金属製アース板12の形状としては、板幅、曲げ形状、円筒状導電性基材16の内面18へ接触する接触部14の形状等は、円筒状導電性基材16の内面18への電気的導通が安定的に確保できるようなものであれば、適宜選択可能である。例えば、側面図を例として示すが、図5(a)〜(c)、図6,図7及び図8に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっており、先端誘い込み部28が内側に向かって窄まっている形状、図9(a)に示すような金属製アース板12の先端部が接触部14となっていて、その接触部14が外側に開いており、折り曲げ部が先端誘い込み部28となっている形状、図9(b)に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっていて、先端誘い込み部28が内側に向かって窄んでおり、2枚の金属製アース板12が交差している形状、図9(c)に示すような金属製アース板12の先端部が接触部14となっていて、その接触部14が外側に開いており、折り曲げ部が先端誘い込み部28となっており、さらに2枚の金属製アース板12が交差している形状、等が挙げられる。図9(b),(c)において金属製アース板12は、絶縁性フランジ10の内径部にピン等の棒状部材22を挿入することで、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を強制的に小さくすることができる形状を有する。このような金属製アース板12の形状の中で、金属製アース板12の先端部が接触部14となっている形状の場合は、確実な導通を確保することができ、一方、金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっている形状の場合は、円筒状導電性基材16の変形をより防止することができるため、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0052】
従来の金属製アース板12自体のバネ力を用いて、円筒状導電性基材16の内面18に接触させてアースを確保する方法の場合には、導通を確保するに十分なバネ力で円筒状導電性基材16の内面18に接触させる必要がある。そのために、金属製アース板12の接触部14の最大開き幅(A)を、円筒状導電性基材16の内径(D)より大きく設計し、円筒状導電性基材16の内径(D)より大きい幅の金属製アース板12を、円筒状導電性基材16の内側に、スムーズに挿入できるように、金属製アース板12の先端に、円筒状導電性基材16の内径よりも小さい誘い込み部を設けると、この金属製アース板12付き絶縁性フランジ10を、円筒状導電性基材16に挿入する際に、まれに、金属製アース板12が円筒状導電性基材16の外側に回り込む挿入ミスが発生することがある。このような挿入ミスが発生すると、円筒状導電性基材16と絶縁性フランジ10とが正常に嵌合できなくなるため、感光体の回転振れ精度が大幅に悪化し、画像濃度ムラに至る場合がある。
【0053】
このような課題を解決するために、金属製アース板12の形状精度の創意工夫や厳しい寸法管理は、これまで実施されてきたが、一方で、挿入すべき相手である円筒状導電性基材16に関しての創意工夫に関しては、ほとんど検討されていなかった。
【0054】
また、電子写真感光体に使用する円筒状導電性基材16は、絶縁性フランジ10の確実な嵌合を目的として、内面のバリ除去のための面取りを実施するのが通常であった。ところが、金属製アース板12自体のバネ力を用いて、円筒状導電性基材16の内面18に接触させアースを確保する場合に使用される、金属製アース板12付き絶縁性フランジ10の挿入に対しては、挿入安定性の観点から、バリ除去のための0.2mm程度の従来の面取りでは、不十分であった。
【0055】
本実施形態によれば、金属製アース板12が固定、装着された絶縁性フランジ10を、表面に感光層を形成した円筒状導電性基材16の両端に嵌合、圧入し、金属製アース板12が円筒状導電性基材16の内面に接触することで、金属製アース板12と電子写真感光体とを導通させる機構を持つフランジ付き電子写真感光体の製造方法において、このような場合でも円筒状導電性基材16の変形、導通不安定、挿入ミスという3つの課題を同時に解決することができる。したがって、小型化、軽量化された画像形成装置に適用される薄肉、小口径の円筒状導電性基材を有する電子写真感光体を、感光体の回転振れ精度を悪化させることなく製造することができ、画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0056】
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体について説明する。本実施形態において電子写真感光体は、基体上に有機感光体等を含む塗膜を有する。塗膜は、下引き層、及び電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを含む感光層を有する。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
【0057】
円筒状導電性基材16としては、通常、直径がφ10〜200mm、長さが250〜1000mmの円筒体が用いられる。また、円筒状導電性基材16の材料としては、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどの金属材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フェノール樹脂などの高分子材料又は硬質紙などの絶縁材料に導電物質を分散させて導電処理したもの、上記の絶縁材料に金属泊を積層したもの、上記の絶縁材料に金属の蒸着膜を形成したもの、などが挙げられ、通常はアルミニウムが用いられる。
【0058】
また、円筒状導電性基材16は、陽極酸化処理、粗研削処理、ホーニング処理などの表面処理が施されたものであってもよい。このような表面処理により導電性基体の表面粗さを所定の範囲内(好ましくは中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μm、最大高さRmaxが0.5〜5μm)とすることによって、光の干渉を防止することができる。
【0059】
電荷発生層は、電荷発生物質及び結着樹脂(バインダ)を含んで形成されたもので、電荷発生物質は結着樹脂中に分散されて層中に保持されている。かかる電荷発生物質としては、具体的には、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、キノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレニウム塩、三方晶型セレンなどが挙げられる。また、結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマ、ポリサルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエステル類などを用いることができる。電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.05μm〜1.0μmの範囲である。
【0060】
電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を含んで形成されたもので、電荷輸送物質は結着樹脂中に分散されて層中に保持されている。かかる電荷輸送物質としては、具体的には、アントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネンなどの多環芳香族化合物又はその誘導体、インドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾールなどの窒素含有複素環式化合物又はその誘導体、ヒドラゾンなどの正孔輸送物質等が挙げられる。また、結着樹脂としては、上記電荷発生層の説明において例示された樹脂を用いることができる。また、電荷輸送層の膜厚は、10〜50μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは15〜35μmである。
【0061】
必要に応じて設けられる下引き層は所定の樹脂を含んで形成されるものである。かかる樹脂としては、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂や、アルキッド系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられ、これらの樹脂にジルコニウム化合物、チタニウム化合物などを配合して下引き層としてもよい。下引き層の膜厚は、好ましくは0.1μm〜3.0μmの範囲である。また、下引き層は、結着樹脂に金属酸化物微粒子を含有させて形成されてもよい。下引き層が、十分なリーク耐性を発揮するためには、金属酸化物微粒子は、1×10〜1×1011Ω・cm程度の粉体抵抗があることが好ましい。中でも、上記抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子を用いるのが好ましく、さらには、酸化亜鉛が特に好ましく用いられる。結着樹脂に金属酸化物微粒子を含有させて形成される下引き層の膜厚は15μm以上30μm以下であることが好ましく、18μm以上28μm以下であることがより好ましい。
【0062】
下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を成膜する際には、結着樹脂、あるいは更に電荷発生物質又は電荷輸送物質を所定の溶剤に分散させて得られる塗工液を所定の層(基体、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層など)上に塗布し、乾燥させることによって好適に得ることができる。かかる溶剤としては、揮発性が高く且つその蒸気の密度が空気よりも大きい溶剤が好ましく、具体的には、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパホールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、4−メトキシ−4−メチルペンタノン、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオン、アニソール、3−オキソブタン酸メチル、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテートなどが挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
また、これらの溶剤に結着樹脂、電荷輸送物質、電荷発生物質などの材料を分散させる方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミルなどが挙げられる。
【0064】
また、上記の塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などが挙げられる。
【0065】
<画像形成装置及びプロセスカートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体表面に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤を用いて静電荷像を現像して転写材に転写する画像形成装置であって、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電する帯電手段と、帯電をされた電子写真感光体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、現像剤により静電荷像上にトナー画像を形成し可視化する現像手段と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を転写材の表面に転写する転写手段と、転写材の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有する。
【0066】
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を図10に示し、その構成について説明する。画像形成装置40は、帯電部50と、露光部52と、静電荷像担持体である前記フランジ付きの電子写真感光体54と、現像部56と、転写部58と、クリーニング部60と、定着部62とを備える。
【0067】
画像形成装置40において、前記フランジ付きの電子写真感光体54の周囲には、感光体を帯電する帯電手段である帯電部50、帯電された感光体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段である露光部52、静電荷像現像用トナーを含む現像剤により静電荷像上にトナー画像を形成し可視化する現像手段である現像部56、感光体表面に形成されたトナー画像を転写材64の表面に転写する転写手段である転写部58、転写後の感光体表面上に残存したトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング部60がこの順で配置されている。また、転写材64に転写されたトナー画像を定着する定着部62が転写部58の左側に配置されている。
【0068】
本実施形態に係る画像形成装置40の動作について説明する。まず、帯電部50により電子写真感光体54の表面が均一に帯電される。露光部52により光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電荷像が形成される。例えば、電子写真感光体54として有機感光体を用い、露光部52としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、電子写真感光体54の表面は、帯電部50により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部56でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像部56にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写部58で、用紙等の転写材64がこのトナー画像に重ねられ、転写材64の裏側からトナーとは逆極性の電荷が転写材64に与えられ、静電気力によりトナー画像が転写材64に転写される。転写されたトナー画像は、定着部62において熱あるいは圧力が加えられ、転写材64に融着されて定着される。一方、転写されずに電子写真感光体54の表面に残存したトナーはクリーニング部60で除去される。この帯電からクリーニングに至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、図10において、転写部58で用紙等の転写材64に直接トナー画像が転写されているが、中間転写体等の転写体を介して転写されても良い。
【0069】
(帯電手段)
帯電手段である帯電部50としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ロールやコロトロンなどの帯電器を用いることができる。導電性又は半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、電子写真感光体54に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電部50により、電子写真感光体54との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより電子写真感光体54表面を帯電させる。なお、通常は、−300〜−1000Vに帯電される。また前記の導電性又は半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でも良い。
【0070】
(露光手段)
露光手段である露光部52としては、特に制限はなく、例えば、電子写真感光体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
【0071】
(現像手段)
現像手段である現像部56は、電子写真感光体上に形成した潜像を静電荷像現像用トナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、静電荷像現像用トナーをブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体54に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。現像剤担時体には、通常直流電圧が使用されるが、本実施形態においては更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0072】
(転写手段)
転写手段である転写部58としては、例えば、転写材64の裏側からトナーとは逆極性の電荷を転写材64に与え、静電気力によりトナー画像を転写材64に転写するもの、あるいは転写材64の表面に転写材64を介して直接接触して転写する導電性又は半導電性のロール等を用いた転写ロール及び転写ロール押圧装置等を用いることができる。
【0073】
(クリーニング手段)
クリーニング手段であるクリーニング部60については、電子写真感光体54上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。但し、転写効率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング部60を使用しない態様もあり得る。
【0074】
(定着手段)
定着手段である定着部62としては、転写材に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。本実施形態において、定着部62としては、それ自体公知の定着装置を用いることができる。定着装置の加熱部材には離型層を設けることが好ましい。該離型層は、トナーを付着させない目的で、トナーに対して離型性の優れた材料、例えばシリコーンゴムや、フッ素系樹脂等を含んで形成するのが好ましい。該フッ素系樹脂の具体例としては、例えば、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロエチレンとの共重合体等が好ましく挙げられる。離型層の厚みは、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜60μmの範囲が好ましい。
【0075】
トナー画像を転写する転写材(用紙)64としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0076】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、前記フランジ付き電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電する帯電手段、帯電をされた電子写真感光体を露光して静電荷像を形成する露光手段、現像剤により静電荷像上にトナー画像を形成し可視化する現像手段、及び電子写真感光体上に残留した残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段と、を一体に支持し、画像形成装置に着脱自在である。プロセスカートリッジの一例の概略構成を図11に示す。図11に示すプロセスカートリッジ42は、帯電部50と、露光部52と、静電荷像担持体である前記フランジ付きの電子写真感光体54と、現像部56と、転写部58と、クリーニング部60とを備える。62は定着部、66はカバー、68は取り付けレールを示す。
【実施例】
【0077】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例1)
外径:φ40mm、内径(D):φ36mm、長さL:357mmの円筒状アルミニウム基材に感光層として30μmの膜厚で有機感光膜を塗布、形成して感光体ドラムを作成した。次に、図1(a)に示すような金属製アース板12の先端部が接触部14となっており、その接触部14が外側に開いている形状のステンレス鋼SUS301CSP製アース板付き樹脂製フランジを、円筒状アルミニウム基材の軸心と一致する位置に配置した。取り付けたアース板のフリー状態における接触部の最大開き幅(A)は44mmであった。その後、アース板の接触部の最大開き幅(A)を、円筒状アルミニウム基材の内径(D)より小さくなる(A’)まで、図2に示すようなアース板狭窄部材20を使用してアース板の外側から加圧した。この時、アース板の接触部の開き幅(A’)は30mmであった。次に、加圧した治具とアース板付き樹脂製フランジを同時に、円筒状アルミニウム基材の端面方向に移動し、アース板の接触部が円筒状アルミニウム基材の内径部に挿入された後に、加圧した治具を、樹脂製フランジの圧入に影響がない位置まで外側に逃がし、円筒状アルミニウム基材の内部で、アース板を開放した。樹脂製フランジは、そのまま円筒状アルミニウム基材の軸心に沿って、移動を続け、円筒状アルミニウム基材への圧入を完了した。
【0079】
このような方法で、連続10000本の圧入を実施し、円筒状アルミニウム基材とアース板の電気的導通が確保されているかを、デジタルマルチメータを用いて導通抵抗を測定し確認した。また、アース板の外側回り込みによる感光体回転振れ精度の大幅な悪化がないかを感光体振れ測定装置を用いて回転振れを確認した。その確認結果を表1に示す。評価基準は以下の通りとした。
【0080】
<電気的導通>
導通抵抗が100Ω以上のものを導通不良品とし、その本数を数えた。
<感光体回転振れ精度>
回転振れ値が80μm以上のものを回転触れ悪化品とし、その本数を数えた。
【0081】
(実施例2)
外径:φ40mm、内径(D):φ36mm、長さL:357mmの円筒状アルミニウム基材に実施例1と同様にして感光層を塗布して感光体ドラムを作成した。次に、図3に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっていて、その先端部26が内側に向かって窄まっており、2枚の金属製アース板12が交差している形状のステンレス製アース板付き樹脂製フランジを、円筒状アルミニウム基材の軸心と一致する位置に配置した。取り付けたアース板のフリー状態における接触部の最大開き幅(A)は42mmとした。その後、アース板の接触部の最大開き幅(A)を、円筒状アルミニウム基材の内径より小さくなる(A’)まで、図3に示すように樹脂製フランジの内径部にピンを挿入した。この時、アース板の接触部の開き幅(A’)は30mmであった。次に、挿入したピンとアース板付き樹脂フランジを同時に、円筒状アルミニウム基材の軸心に沿って、端面方向に移動し、円筒状アルミニウム基材への圧入を完了した。その後、挿入したピンを、樹脂製フランジから抜いて、アルミニウム円筒状基材の内部で、アース板を開放した。
【0082】
このような方法で、連続10000本の圧入を実施し、円筒状アルミニウム基材とアース板の電気的導通が確保されているか、アース板の外側回り込みによる感光体振れ精度の大幅な悪化がないか、を実施例1と同様にして確認した。その確認結果を表1に示す。
【0083】
(実施例3)
外径:φ40mm、内径(D):φ36mm、長さL:357mmの円筒状アルミニウム基材に実施例1と同様にして感光層を塗布して感光体ドラムを作成した。次に、図4(b)に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっており、その先端部26が内側に向かって窄まっている形状のステンレス製アース板付き樹脂製フランジを、円筒状アルミニウム基材の軸心と一致する位置に配置した。取り付けたアース板の接触部の最大開き幅(A)は37mm、先端部の幅(B)は34mmとした。その後、アース板付き樹脂製フランジを、円筒状アルミニウム基材の軸心に沿って、端面方向に移動し、円筒状アルミニウム基材への圧入を完了した。
【0084】
このような方法で、連続10000本の圧入を実施し、円筒状アルミニウム基材とアース板の電気的導通が確保されているか、アース板の外側回り込みによる感光体振れ精度の大幅な悪化がないか、を実施例1と同様にして確認した。その確認結果を表1に示す。
【0085】
(実施例4)
取り付けたアース板の接触部の最大開き幅(A)を39mmとしたこと以外は、全て実施例3と同様の方法で実施し、圧入を完了した。実施例1と同様にして品質確認を行った。その確認結果を表1に示す。
【0086】
(比較例1)
取り付けたアース板の接触部の最大開き幅(A)を36mmとしたこと以外は、全て実施例3と同様の方法で実施し、圧入を完了した。実施例1と同様にして品質確認を行った。その確認結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
表1から明らかなように、実施例1〜4の方法により圧入を行うと、円筒状導電性基材の内面にアース板を高確率で接触させることができるため、導通不良の発生が少なくなる。特に実施例1,2の方法で圧入を行うと、円筒状導電性基材の内面にアース板をさらに確実に接触させることができるため、導通不良の発生がほとんどなくなる。また、アース板が円筒状導電性基材の外側に回り込む挿入ミスが発生しなくなり、振れ精度も大幅に安定する。
【0089】
(実施例5)
外径:φ40mm、内径(D):φ36mm、長さL:357mmの円筒状アルミニウム基材を準備した。この円筒状アルミニウム基材は、図5(a)に示すように、金属製アース板付きフランジを挿入する側の端面内側に、E=1mm、F=2mmの面取りを、あらかじめ加工しておいた。この円筒状アルミニウム基材に感光層として30μmの膜厚で有機感光膜を塗布、形成し感光体ドラムを作成した。次に、図5(a)に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっており、先端誘い込み部28が内側に向かって開いている形状のステンレス製アース板付き樹脂製フランジを、円筒状アルミニウム基材の軸心と一致する位置に配置した。使用したフランジに取り付けたアース板の接触部の最大開き幅(A)は40mm、アース板の先端誘い込み部の幅(B)は34mmとした。その後、アース板付き樹脂製フランジを、円筒状アルミニウム基材の軸心に沿って、端面方向に移動し、円筒状アルミニウム基材への圧入を完了した。
【0090】
このような方法で、連続10000本の圧入を実施し、円筒状アルミニウム基材とアース板の電気的導通が確保されているかを、デジタルマルチメータを用いて導通抵抗を測定し確認した。また、アース板の外側回り込みによる感光体回転振れ精度の大幅な悪化がないかを感光体振れ測定装置を用いて回転振れを確認した。その確認結果を表2に示す。評価基準は以下の通りとした。
【0091】
<電気的導通>
導通抵抗が100Ω以上のものを導通不良品とし、その本数を数えた。
<感光体回転振れ精度>
回転振れ値が80μm以上のものを回転触れ悪化品とし、その本数を数えた。
【0092】
(実施例6)
外径:φ40mm、内径(D):φ36mm、インロー部内径(D):φ36.5mm、長さL:357mmの円筒状アルミニウム基材を準備した。この円筒状アルミニウム基材は、図7に示すように、アース板付きフランジを挿入する側の端面内側に、E=0.8mm、F=1.5mmのR状面取りを、あらかじめ加工しておいた。また、図7に示すような金属製アース板12の折り曲げ部が接触部14となっており、先端誘い込み部28が内側に向かって窄まっている形状のステンレス製アース板付き樹脂製フランジを使用した。その後、実施例5と同様の方法で、連続10000本の圧入を実施し、品質確認を実施した。その確認結果を表2に示す。
【0093】
(実施例7)
面取り部が、E=1.2mm、F=5mmのR状面取りである以外は、実施例5と同様の方法で、連続10000本の圧入を実施し、品質確認を実施した。その確認結果を表2に示す。
【0094】
(実施例8)
面取り部を、E=0.6mm、F=3mmの直線状面取りとした以外は、実施例6と同様の方法で、連続10000本の圧入を実施し、実施例5と同様の方法で品質確認を実施した。その確認結果を表2に示す。
【0095】
(実施例9)
面取り部を、E=0.2mm、F=0.2mmの直線状面取りとした以外は、実施例5と同様の方法で、連続10000本の圧入を実施し、品質確認を実施した。その確認結果を表2に示す。
【0096】
(実施例10)
面取り部を、E=0.6mm、F=0.6mmの直線状面取りとした以外は、実施例6と同様の方法で、連続10000本の圧入を実施し、実施例5と同様の方法で品質確認を実施した。その確認結果を表2に示す。
【0097】
(実施例11)
面取り部を、E=0.3mm、F=0.6mmの直線状面取りとした以外は、実施例5と同様の方法で、連続10000本の圧入を実施し、品質確認を実施した。その確認結果を表2に示す。
【0098】
(比較例2)
取り付けたアース板の接触部の最大開き幅(A)を36mmとし、面取りを設けなかったこと以外は、全て実施例5と同様の方法で実施し、圧入を完了した。実施例5と同様にして品質確認を行った。その確認結果を表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
表2から明らかなように、実施例5〜11の方法により圧入を行うと、アース板が円筒状導電性基材の外側に回り込む挿入ミスが発生しにくくなるため、振れ精度が安定化する。特に実施例5〜8の方法で圧入を行うと、アース板が円筒状導電性基材の外側に回り込む挿入ミスを、ほとんど回避することが可能になるため、大規模生産においても、振れ精度は大幅に安定化する。また、円筒状導電性基材の内面にアース板を確実に接触させることができるため、導通不良の発生も、大幅に低減することが可能となる。
【0101】
以上のように本発明により、円筒状導電性基材の変形を防止し、導通安定性を確保し、かつ挿入ミスも回避することで、安定した品質のフランジ付き電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することにできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係るフランジ付き電子写真感光体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るフランジ付き電子写真感光体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフランジ付き電子写真感光体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る金属製アース板付き絶縁性フランジの一例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフランジ付き電子写真感光体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係るフランジ付き電子写真感光体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係るフランジ付き電子写真感光体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図8】本発明の実施形態に係るフランジ付き電子写真感光体の製造方法の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の実施形態に係る金属製アース板付き絶縁性フランジの一例を示す概略図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図11】本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0103】
10 絶縁性フランジ、12 金属製アース板、14 接触部、16 円筒状導電性基材、18 内面、20 アース板狭窄部材、22 棒状部材、24 折り曲げ部、26 先端部、28 先端誘い込み部、30 面取り部、32 インロー部、40 画像形成装置、42 プロセスカートリッジ、50 帯電部、52 露光部、54 電子写真感光体、56 現像部、58 転写部、60 クリーニング部、62 定着部、64 転写材、66 カバー、68 取り付けレール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジを嵌合、圧入し、前記金属製アース板を前記円筒状導電性基材の内面に接触させるフランジ付き電子写真感光体の製造方法であって、
前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、
前記接触部の最大開き幅(A)を小さくしつつ前記金属製アース板を前記円筒状導電性基材内に端部から挿入することを特徴とするフランジ付き電子写真感光体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のフランジ付き電子写真感光体の製造方法であって、
外部部材によって強制的に前記接触部の最大開き幅(A)が前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さくなるようにした上で前記金属製アース板を前記円筒状導電性基材内へ挿入し、前記強制的に小さくした接触部を前記円筒状導電性基材内部で開放することにより前記接触部を前記円筒状導電性基材の内面に接触させることを特徴とするフランジ付き電子写真感光体の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のフランジ付き電子写真感光体の製造方法であって、
前記金属製アース板の先端誘い込み部の幅(B)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さく、
前記金属製アース板を装着した絶縁性フランジが圧入される側の、前記円筒状導電性基材の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部が設けられていることを特徴とするフランジ付き電子写真感光体の製造方法。
1.5×E < F (1)
E > t×0.3 (2)
(式中、Eは前記面取り部の肉厚方向幅(mm)、Fは前記面取り部の円筒状導電性基材軸方向幅(mm)、tは前記円筒状導電性基材の肉厚(mm)である。)
【請求項4】
表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジが嵌合、圧入され、前記金属製アース板が前記円筒状導電性基材の内面に接触することにより、前記金属製アース板と前記円筒状導電性基材とを導通させる機構を有するフランジ付き電子写真感光体であって、
前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、前記金属製アース板の先端誘い込み部の幅(B)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さく、
前記金属製アース板を装着した絶縁性フランジが圧入される側の、前記円筒状導電性基材の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部が設けられていることを特徴とするフランジ付き電子写真感光体。
1.5×E < F (1)
E > t×0.3 (2)
(式中、Eは前記面取り部の肉厚方向幅(mm)、Fは前記面取り部の円筒状導電性基材軸方向幅(mm)、tは前記円筒状導電性基材の肉厚(mm)である。)
【請求項5】
表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の端部に、金属製アース板が固定、装着された絶縁性フランジが嵌合、圧入され、前記金属製アース板が前記円筒状導電性基材の内面に接触することにより、前記金属製アース板と前記円筒状導電性基材とを導通させる機構を有するフランジ付き電子写真感光体に用いられる円筒状導電性基材であって、
前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、前記金属製アース板の先端誘い込み部の幅(B)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも小さく、
前記金属製アース板を装着した絶縁性フランジが圧入される側の、前記円筒状導電性基材の端面内側に、下記式(1)、(2)で表される面取り部が設けられていることを特徴とする円筒状導電性基材。
1.5×E < F (1)
E > t×0.3 (2)
(式中、Eは前記面取り部の肉厚方向幅(mm)、Fは前記面取り部の円筒状導電性基材軸方向幅(mm)、tは前記円筒状導電性基材の肉厚(mm)である。)
【請求項6】
表面に感光層が形成された円筒状導電性基材の内面に接触することにより、前記円筒状導電性基材を導通させる金属製アース板を有する電子写真感光体用フランジであって、
前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)が、前記円筒状導電性基材の内径(D)よりも大きく、
フランジ内径部に棒状部材を挿入することで、前記金属製アース板の接触部の最大開き幅(A)を強制的に小さくすることができる形状を有することを特徴とする電子写真感光体用フランジ。
【請求項7】
請求項4に記載のフランジ付き電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、前記帯電をされた電子写真感光体を露光して静電荷像を形成する露光手段、現像剤により前記静電荷像上にトナー画像を形成し可視化する現像手段、及び前記電子写真感光体上に残留した残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段と、
を一体に支持し、画像形成装置に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
電子写真感光体表面に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤を用いて前記静電荷像を現像して転写材に転写する画像形成装置であって、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電する帯電手段と、
前記帯電をされた電子写真感光体を露光して静電荷像を形成する露光手段と、
前記現像剤により前記静電荷像上にトナー画像を形成し可視化する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を転写材の表面に転写する転写手段と、
前記転写材の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を有し、
前記電子写真感光体は、請求項4に記載のフランジ付き電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−298909(P2007−298909A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128923(P2006−128923)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】