フリーアドレス対応IP電話システム
【課題】 フリーアドレスオフィスのデスク上に設置されたIP電話機を、一時的に自分の電話機として使用する。
【解決手段】 IP電話機10は、ログイン処理部10−51、ログアウト処理部10−52、設定値記憶部10−6を備え、ログイン処理部は、利用者のユーザーIDとパスワードが入力されるとIP電話機10のIPアドレスと、ユーザーIDおよびパスワードを設定管理サーバ20に送信し、ログイン要求を行なう。設定管理サーバ20は、ログイン要求を受信すると、ユーザー認証を行ない、管理データベースから当該ユーザーに割当てられた電話番号とユーザーによって入力されたユーザー入力情報を取得し、前記IPアドレスと関連付けて登録するとともに、当該IP電話機10に電話番号を含む設定情報を送信し、当該IP電話機10をユーザーに割当てられた電話番号およびユーザー入力情報で使用できるようにする。
【解決手段】 IP電話機10は、ログイン処理部10−51、ログアウト処理部10−52、設定値記憶部10−6を備え、ログイン処理部は、利用者のユーザーIDとパスワードが入力されるとIP電話機10のIPアドレスと、ユーザーIDおよびパスワードを設定管理サーバ20に送信し、ログイン要求を行なう。設定管理サーバ20は、ログイン要求を受信すると、ユーザー認証を行ない、管理データベースから当該ユーザーに割当てられた電話番号とユーザーによって入力されたユーザー入力情報を取得し、前記IPアドレスと関連付けて登録するとともに、当該IP電話機10に電話番号を含む設定情報を送信し、当該IP電話機10をユーザーに割当てられた電話番号およびユーザー入力情報で使用できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VoIP(Voice over Internet Protocol)を使用するInternet Protocol電話機(以下IP電話機と称する)と、IP電話の初期設定を行なう機能を有するネットワーク設定管理サーバとを含むIP電話システムに関するものであり、特に、オフィス等においてデスク上のIP電話機を一時的に自己の電話機として使用できるようにするフリーアドレス対応IP電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワークを使用したIP電話サービスが行なわれている。IP電話システムにおいて、音声はディジタル化され、さらにIPパケットに変換され、IPネットワーク上を流れ、通話先まで到達する。通話先において受信されたIPパケットは元の情報に復元され、こうして送り側と通話先との間で通話を行なうことができる。このIP電話システムは、既存の電話網と比べて、運用・保守・管理コストを削減することができるため、広く使用されつつある。
【0003】
IPネットワークでは、IPアドレスのような機器に割当てられたアドレスを使用することによって相手を一意に認識する必要がある。このため、一般に、ゲートキーパと呼ばれる装置を使用する。ゲートキーパは、IP電話機に割当てられた電話番号とIPアドレスとを関連付けたデータベースを管理しており、IP電話機からの電話番号の指定に応じ、対応するIPアドレスを検索することによって、通話先のIP電話のIPアドレスを指定できるようにする。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2004−147101号公報)に開示されたIP電話システムにおいては、IP電話機の運用開始前に、IP電話機からMACアドレスおよびIPアドレスを受信し、そのネットワークアドレスに含まれるアドレスに基づいて予め設定された電話番号を採番してIP電話機に通知するとともに、電話番号、IPアドレスおよびMACアドレスを関連づけて登録・管理する電話番号採番手段を備えたゲートキーパ装置を開示している。上記特許文献1で開示されたような装置を使用すると、ユーザー端末ごとに、電話番号などの固有のアドレスや設定情報を電源投入時等に自動的に設定することができる。
【0005】
また、多くの企業やオフィスでは、個人のデスクや固定席を設けず、空いているデスクを複数のワーカーが自由に使用するフリーアドレスオフィスの導入が進んでいる。例えば、ほとんど外回りをしている営業部門や、派遣業務が多いシステム開発部門等では、「一人一席」の場合に比べてデスクの数を2分の1から5分の1まで減らすことができ、スペースの大幅な縮小が可能となっている。
【0006】
フリーアドレスオフィイスにおいては、ワーカーがどのデスクを使用して勤務してもデスクに設置してある電話を当該ワーカー固有の電話番号を持つ自分自身の電話として使用できると便利である。
【0007】
例えば、下記の特許文献2(特開2004−10489号公報)には、利用者がオフィス内を移動した場合、利用者自らが移動先に設置されているIP電話機の電話番号を変更できるようにしたIP電話機、IP電話システム、および、アドレス情報変更要求方法が開示されている。
【0008】
特許文献2に開示されたIP電話システムは、IP電話システムに付与されたIPアドレスと電話番号との対応関係を変更する指示を各IP電話機から送出できるように構成したものである。すなわち、このIP電話システムは、新たに設定したい電話番号を格納したIPパケットに、電話番号とIPアドレスとの対応関係を変更するためのIPパケットであることを示すデータを持たせ、サーバ側ではそのIPパケットを受け付けると、電話番号とIPアドレスとの対応関係を変更するように構成されている。
【特許文献1】特開2004−147101号公報
【特許文献2】特開2004−104489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
フリーアドレスオフィスの導入に際して問題となるのが、電話の問題である。個人的に連絡をとる場合、携帯電話等の手段を使用するか、デスクに配線されたLANに接続したコンピュータのソフトフォンにより電話をその都度開通させる必要がある。また、フリーアドレスオフィスのデスク上に置かれたIP電話機を使用する場合、上記特許文献1に開示されている機器を使用したIP電話システムであると、IP電話機の電話番号が機器ごとに固定されてしまい、一時的に自分の電話機として使用することは難しい。
【0010】
また、上記特許文献2に開示されたIP電話システムでは、ユーザーがオフィス内を移動した場合、利用者自らが移動先に設置されているIP電話機の電話番号を変更することは可能であるが、ユーザーが設定した情報を変更する手段は提供されていない。このため、
ユーザーが入力したユーザー入力情報(例えば、着信番号や発信番号が設定できるラインボタン情報、着信音設定、ワンタッチダイヤル設定、電話帳、メモ)まで反映した自分の電話機として使用することは難しい。
【0011】
したがって、本発明の主な目的は、フリーアドレスオフィスのデスクに設置されるようなIP電話機の電話番号を容易に変更できるようにすることにより、一時的に特定のユーザー専用の電話機として使用できるIP電話システムを提供することである。
【0012】
また、本発明の更なる目的は、IP電話機ごとに電話番号とユーザー入力情報を変更できるかどうかの設定を管理者が行なうことのできるIP電話システムを提供することである。
【0013】
また、本発明の更なる目的は、IP電話機を、通常時には予め電話機に設定された電話番号とユーザー入力情報で使用し、ユーザーの要求に応じて一時的に電話番号とユーザー入力情報を変更して使用できるIP電話システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、複数のIP電話機と、前記各IP電話機を使用するユーザーの情報と当該ユーザーに割当てられた電話番号とユーザーによって入力された前記各IP電話機のユーザー入力情報とを含むデータベースを格納する設定管理サーバと、前記各IP電話機に固有のアドレスとこれらのアドレスに関連付けられた電話番号とを含むデータベースを使用することによって前記各IP電話機間の接続制御を行なう接続制御サーバと、から成り、それぞれがネットワークによって接続されたIP電話システムにおいて、前記IP電話機は、認証時にユーザーによって入力されたユーザー認証情報と当該IP電話機固有のアドレスとを送出するログイン手段と、前記設定管理サーバから受信した当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザー入力情報とを記憶するユーザー情報記憶手段と、を備え、前記設定管理サーバは、前記IP電話機から受信したユーザー認証情報を認証するユーザー認証手段と、前記ユーザー認証の結果、権限があると認められた場合に、設定管理サーバから当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザー入力情報とを含むデータを前記IP電話機に送出する設定情報配信手段と、を備え、
前記接続制御サーバは、前記ログイン後に前記IP電話機から送信される当該IP電話機の固有のアドレスと前記ユーザーに割当てられた電話番号とを送出し、両者を関連付けて登録する登録手段と、を備え、
前記IP電話機をユーザーの要求に応じ、該ユーザーの電話番号で使用し、かつ、受信したユーザー入力情報を使用するようになしたことを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載のIP電話システムであって、前記IP電話機は、前記ユーザー情報記憶手段に記憶されている電話番号およびユーザー入力情報を削除し、前記接続制御サーバに登録削除要求を送出するログアウト手段を備え、前記接続制御サーバは、前記IP電話機から受信した登録削除要求に応じて、登録された電話番号を取り消し、前記電話番号および設定情報に基づく前記IP電話機の使用を不能にすることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に記載のIP電話システムであって前記ログアウト手段は、所定の時間または時刻が経過すると動作することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のIP電話システムであって、前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機が電話番号を変更して使用可能なフリーアドレス対応電話機か否かを示す設定情報を含み、前記IP電話機は、運用開始前に、前記設定管理サーバから当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機かどうかを示す設定情報を取得し、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、前記ログイン手段を動作させることを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に記載のIP電話システムであって、前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機に割当てられた初期電話番号と初期ユーザー入力情報を含み、前記設定管理サーバの設定情報配信手段は、前記初期電話番号と初期ユーザー入力情報を前記IP電話機の運用開始前に、前記IP電話機に送出し、前記IP電話機は当該IP電話機の固有のアドレスと前記初期電話番号と、前記初期ユーザー入力情報とを送出し、前記接続制御サーバに登録を行ない、前記IP電話機は、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、ユーザーによるログイン要求が生じるまで前記初期電話番号と初期ユーザー入力情報で当該IP電話機を使用するようになしたことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項6に係る発明は、請求項1に記載のIP電話システムであって、前記IP電話機は電源投入時には前記接続制御サーバへの登録処理を行うことなく待機することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明においては、オフィス等に設置された複数のIP電話機の運用開始時に、それぞれログインしたユーザーに割当てられた電話番号とユーザー入力情報を各IP電話機に容易に設定できるようになり、フリーアドレスオフィスに設置されたIP電話機を一時的に自己の電話機として使用できるようになる。またログイン手段はユーザー情報の入力を求めるため、権限のないユーザーはIP電話機を使用することができず、セキュリティ向上を達成できる。
【0021】
また、請求項2に係る発明においては、IP電話機にログオフ手段を備えることによって、ユーザーによるIP電話機使用終了時に、ユーザーに割当てられた電話番号で当該IP電話機を使用することを中止できるようになる。
【0022】
また、請求項3に係る発明においては、IP電話機を所定の時間または所定の時刻にログオフさせることにより、ユーザーがログオフ処理を忘れたような場合でも、自動的にログオフ処理を行ない、複数のIP電話機が同一の電話番号で使用されることを防止できるようになる。
【0023】
また、請求項4に係る発明においては、管理者がそれぞれのIP電話機を、電話番号を変更して使用できるか否かを予め設定することができ、各IP電話機は、その設定に基づいて固定の電話番号またはログインするユーザーに割当てられた電話番号で使用することができるようになる。
【0024】
また、請求項5に係る発明においては、IP電話機に初期電話番号と初期ユーザー入力情報を設定しておき、ユーザーがログインすると、そのユーザーに割当てられた電話番号とユーザー入力情報でそのIP電話機を一時的に使用することができるようになる。
【0025】
また、請求項6に係る発明においては、電源投入時には接続制御サーバへの登録処理を行うことなく待機することにより、電話帳などのセキュリティが向上し、また、不要な登録処理を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯電話を例示するものであって、本発明をこのIP電話システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のIP電話システムにも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例1にかかるフリーアドレス対応IP電話システムを、図1から図8を参照して説明する。図1は、本発明のフリーアドレス対応IP電話システムの全体概略図である。フリーアドレス対応IP電話システムは、LAN等のネットワーク1にそれぞれ接続された複数のIP電話機10、設定管理サーバ20、接続制御サーバ30、管理者用PC装置40を備える。図1では、一例として三台のIP電話機(IP電話機A、IP電話機B、IP電話機C)が接続されているものとする。
【0028】
図2は、ネットワークに接続された設定管理サーバ20の全体概略図である。設定管理サーバ20は、ネットワーク1に接続された各IP電話機10を動作させるための各種設定情報(IPアドレス、MACアドレス、サーバ設定情報など)を管理したり、各IP電話機を使用するユーザーに関する情報(ユーザーID、パスワード、ユーザー設定情報、ユーザー入力情報など)を管理したりするものであり、管理者の準備するサーバ用コンピュータ、パーソナルコンピュータと必要なソフトウエアを使用して構成することができる。設定管理サーバ20は、ネットワーク制御部21、メイン制御部22、ユーザー認証部23、設定要求処理部24、登録要求処理部25、データベース管理部26を備える。さらに設定管理サーバ20は、ユーザー管理テーブル27、端末管理テーブル28、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から成る管理データベースを備える。
【0029】
ネットワーク制御部21は、設定管理サーバ20をネットワークに接続し、ネットワーク1に接続された各IP電話機10と通信を可能にするためのものであり、設定管理サーバ20において生成されるデータを適切なデータ形式に変換し、各IP電話機10等に送信し、また、IP電話機10からの信号を受信し、設定管理サーバ20で使用できる形式に変換するものである。メイン制御部22は、設定管理サーバ20の各種制御・処理を実行するものであり、図示しないメモリに記憶されたプログラムを、図示しないCPUによって実行することにより実現される。
【0030】
ユーザー認証部23は、各IP電話機10から認証時にユーザーが入力したユーザー認証情報(ユーザーIDとパスワード)を含むログイン要求を受信した際に、ユーザー管理テーブル27にアクセスし、権限があるかどうか判定を行なう。設定要求処理部24は、各IP電話機10からログイン要求・ログアウト要求等各種設定要求を受信した場合に、それを解読し各種処理を実行する。登録要求処理部25は、後述するが、ユーザー管理テーブル27に記憶されているユーザーごとに割当てられた電話番号と、ログイン要求を受信したIP電話機のIPアドレスとを関連付けてIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録するとともに、接続制御サーバ30に上記電話番号とIPアドレスとを登録し、通話が行なえるようにする。
【0031】
また、各IP電話機10から受信するログアウト要求に応じて、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から登録を削除するとともに、接続制御サーバ30へ上記電話番号とIPアドレスの登録削除要求を送出する。なお、ここで設定管理サーバ20は各種設定情報やユーザー情報を管理し、登録・登録削除の処理を行ない、接続制御サーバ30は管理サーバ20によって行なわれる登録情報に基づいてIP電話機の接続を主に行なうものとしたが、接続制御サーバ30と管理サーバ20を一つの装置にまとめ、各種設定情報またユーザー情報の管理と接続制御を一つの装置において動作させてもよい。
【0032】
図3Aは、管理データベースに含まれるユーザー管理テーブル27の一例を示す図である。ユーザー管理テーブル27は、IP電話機を使用する権限を有するユーザーのユーザーID27−1、各ユーザーのパスワード27−2、ユーザーごとに割当てられた電話番号27−3、サーバ登録を行うパラメータであるサーバ設定情報、ユーザーの入力によって行われる設定情報(例えば、着信番号や発信番号が設定できるラインボタン情報、着信音設定、ワンタッチダイヤル設定)、ユーザーの個人情報(例えば、電話帳、メモ)をそれぞれ関連付けて記憶している。図3Aでは、第一のユーザーのユーザーIDは、「0010」、パスワードは「209512」、第一のユーザーに管理者から割当てられた電話番号は「1111」であることが示されている。第二、第三のユーザーに対してもそれぞれ図示する各ユーザー情報が保持される。
【0033】
図3Bは、管理データベースに含まれる端末管理テーブル28の一例を示す図である。端末管理テーブル28は、各IP電話機のIPアドレス28−1とバードウェアに付与された固有のID番号であるMACアドレス28−2を関連付けて記憶している。図3Bでは、IPアドレスとしてIP電話機Aには「245.263.112.1」、IP電話機Bには「245.263.112.2」、IP電話機Cには「245.263.112.3」が割当てられていることが示されている。
【0034】
図3Cは、管理データベースに含まれるIPアドレス−電話番号管理テーブル29の一例を示す図である。IPアドレス−電話番号管理テーブル29は、IP電話機のIPアドレス29−1と、そのIP電話機を使用するユーザーに割当てられた電話番号29−2とを関連付けて保持したものである。IP電話機A(IPアドレスは245.263.112.1)を第二のユーザー(ユーザーIDは0011、割当てられた電話番号は2222)が使用する場合、IPアドレス29−1の欄には「245.263.112.1」が保持され、電話番号29−2の欄には、「2222」が保持される。
【0035】
なお、図示していないが、接続制御サーバ30にはこのIPアドレス−電話番号管理テーブル29と同様のデータベースが備えられており、ログイン、認証処理後に各IP電話機から送信される登録要求に従って、各IP電話機のIPアドレス−そのIP電話機を費用するユーザー(ログインしたユーザー)に割当てられた電話番号を関連付けて記憶される。接続制御サーバ30はこのデータベースに登録された各IP電話機のIPアドレス−電話番号に基づいて呼の接続制御を行う。 図4は、IP電話機10の概略構成を示す図である。IP電話機10は、スピーカやマイク等を含む音声入出力部10−1を備え、音声入出力部10−1から入力された音声は、音声コーディック10−2においてディジタル符号化され、制御部10−5へ送られる。制御部10−5は各種処理部10−53を備え、各種処理部10−53において音声はパケット化されると同時に必要な通信情報を付加され、インターフェース10−7においてIPパケットとしてネットワーク1へ送出される。ネットワーク1から受信したIPパケットは、制御部10−5の各種処理部10−53において適切な順序に並べられ、さらに音声コーディック10−2において復元処理され、音声入出力部10−1から発話される。
【0036】
さらにIP電話機10は、各種情報を表示するための表示部10−3、電話番号の入力、ユーザーID、パスワード等の入力を行なうための入力部10−4、IP電話機に設定されているIPアドレス、ユーザーによって入力されるユーザーID、パスワード等のユーザー情報、また管理サーバから受信したIP電話機の電話番号、ユーザーによって入力されたユーザー入力情報(ユーザー設定情報とユーザー個人情報)を記憶する設定値記憶部10−6を備える。これらのユーザー入力情報は設定管理サーバ20に送信され、その管理データベースに記憶される。また、ログイン、ログアウト時には必要に応じて接続制御サーバ30にも送信される。
【0037】
制御部10−5は、上述した各種処理部10−53に加えて、ログイン処理部10−51、ログアウト処理部10−52を備える。ログイン処理部10−51は、IP電話機の電源投入時に、或いはIP電話機を使用するユーザーから要求があった場合に、ユーザーID、パスワードの入力を受付ける。またユーザーがユーザーID、パスワードの入力を行なうと、入力されたユーザーIDおよびパスワードを、IP電話機に付与されているIPアドレスとともに、設定管理サーバ20に対して送出し、ログイン要求を行なう。
【0038】
ログアウト処理部10−52は、ユーザーの要求に応じ、ユーザーID,パスワードをIPアドレスとともに設定管理サーバ20に対して送出し、ログアウト要求を行なう。また、設定値記憶部10−6に記憶されているユーザーID、パスワード等のユーザー情報およびユーザーに割当てられた電話番号、ユーザー入力情報を削除する。制御部10−5において行なわれる上記の処理は、実際には図示しないROM等に記憶されたソフトウエアプログラムを、CPU等により実行することにより実現される。
【0039】
次に、図5、図6を参照して、IP電話機の電源投入時におけるIP電話機10および設定管理サーバ20の処理について説明する。図5は、IP電話機における電源投入時の動作フローチャートである。図6は、IP電話機の電源投入時の設定管理サーバにおける動作フローチャートである。
【0040】
IP電話機10の電源が投入されると、まず図5のステップS−501において、IP電話機10のログイン処理部10−51は、ログイン受付を行ない、ユーザーによるユーザーIDとパスワードの入力を求める。続くステップS−502において、ユーザーID、パスワードの入力が行なわれるまで待機し、ユーザーID、パスワードの入力があると、続くステップS−503に進む。ステップS−503では、入力されたユーザーIDとパスワードを、設定値記憶部10−6に保持されたIP電話機のIPアドレスとともに設定管理サーバ20に送出し、ログイン要求を行なう。
【0041】
例えば、第二のユーザーがIP電話機Aを使用しようと思い、IP電話機Aの電源を投入すると、IP電話機Aは、第二のユーザーに対してログイン受付を行なう。第二のユーザーが自分のユーザーIDである「0011」とパスワードである「341683」を入力すると、IP電話機Aは、入力されたユーザーIDとパスワードを、自己のIPアドレス「245.263.112.1」とともに設定管理サーバ20に送出しログイン要求を行なう。
【0042】
設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図6のステップS−601において各IP電話機10からのログイン要求を待機しており、ログイン要求を受信すると、ステップS−602に進み、ユーザー認証を行なう。ユーザー認証は、設定要求処理部24からの指示により、ユーザー認証部23が設定管理サーバ20のユーザー管理テーブル27にアクセスすることにより実行され、受信したユーザーIDとパスワードを照合し、権限があるかどうかを判定する。上記の例の場合、ユーザーID「0011」にIP電話機の使用権限があるか、パスワード「341683」が正しいかどうかを認証する。
【0043】
図6のステップS−603において、ユーザーに権限がない場合、ステップS−604に進み、ユーザー認証に失敗したことをログイン要求のあったIP電話機10に通知し、ステップS−601に戻ってログイン要求を待機する。IP電話機10は、設定管理サーバ20からユーザー認証に失敗したことを受信すると、図5のステップS−504において、ログインに失敗したと判断し、ステップS−501に戻り、ログイン受付けを行なう。
【0044】
設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図6のステップS−601において各IP電話機10からのログイン要求を待機しており、ログイン要求を受信すると、ステップS−602に進み、ユーザー認証を行なう。ユーザー認証は、設定要求処理部24からの指示により、ユーザー認証部23が設定管理サーバ20のユーザー管理テーブル27にアクセスすることにより実行され、受信したユーザーIDとパスワードを照合し、権限があるかどうかを判定する。上記の例の場合、ユーザーID「0011」にIP電話機の使用権限があるか、パスワード「341683」が正しいかどうかを認証する。
【0045】
図6のステップS−603において、ユーザーに権限がない場合、ステップS−604に進み、ユーザー認証に失敗したことをログイン要求のあったIP電話機10に通知し、ステップS−601に戻ってログイン要求を待機する。IP電話機10は、設定管理サーバ20からユーザー認証に失敗したことを受信すると、図5のステップS−504において、ログインに失敗したと判断し、ステップS−501に戻り、ログイン受付けを行なう。
【0046】
図6のステップS−603においてユーザーに権限がある場合には、管理設定サーバ20の設定要求処理部24は続くステップS−605において、ユーザー管理テーブル27から当該ユーザーに割当てられた電話番号、サーバ設定情報と、ユーザー設定情報、ユーザー個人情報等のユーザー入力情報を取得し、また端末管理テーブル28からログイン要求のあったIP電話機に対するMACアドレスを取得する。上記の例の場合、第二のユーザーに割当てられた電話番号「2222」をユーザー管理テーブル27から取得すると同時に、端末管理テーブル28からIP電話機AのMACアドレス「MAC3」を取得する。そして管理設定サーバ20はステップS−606に進み、電話番号、サーバ設定情報、ユーザー設定情報、ユーザー個人情報をIP電話機に送信する。
次いで、ステップS−607において、登録要求処理部25は、ログイン要求のあったIP電話機のIPアドレスとユーザー管理テーブル27から取得した電話番号を関連付け、IPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。上記の例の場合、IP電話機AのIPアドレスである「243.263.112.1」と第二のユーザーに割当てられた電話番号である「2222」が関連付けられ、IPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録される。
【0047】
図5のステップS−505において、IP電話機10は、設定管理サーバ20から送信されてきた電話番号、サーバ設定情報、ラインボタン情報や電話帳等のユーザー入力情報を取得し、続くステップS−506において、取得情報を設定値記憶部10−6に記憶する。またステップS−507では、上記IPアドレスと電話番号を接続制御サーバ30に登録要求とともに送信し登録する。これによりIP電話機10は、ログインを行なったユーザーに割当てられている電話番号とユーザー入力情報で使用できるようになる。上記の例の場合、第二のユーザーに割当てられている電話番号「2222」、サーバ設定情報、ラインボタン情報や電話帳等のユーザー入力情報が設定値記憶部10−6に記憶され、IP電話機Aは、電話番号「2222」やユーザー入力情報で使用することができるようになる。
【0048】
次に、図7、図8を参照してIP電話機のログアウト時における処理について説明する。図7は、IP電話機のログアウト時における動作を示すフローチャートである。図8は、接続制御サーバおよび設定管理サーバにおけるIP電話機のログアウト時の動作を示すフローチャートである。
【0049】
まず、図7のステップS−701において、IP電話機10は、ログアウト要求を受付けている。ログアウト要求は、一例として、各IP電話機10を使用するユーザーが入力部10−4を操作することによって行なわれる。ユーザーは退社時等にログアウトメニューを選択しログアウト要求を行なう。別の例として、ログアウト要求は、設定管理サーバ20によって予め時刻が設定されており、設定管理サーバ20からのログアウト勧告通知をユーザーが確認することにより行なわれるものとしてもよい。或いは、IP電話機10にタイマーを内蔵し、所定の時刻になるとログアウト要求を行なうようにしてもよい。
【0050】
ログアウト要求を受けると、IP電話機10のログアウト処理部10−52は、続くステップS−702において、登録削除要求を、IP電話機のIPアドレスに付加して設定管理サーバ20、接続管理サーバ30に通知する。そしてステップS−703では、設定値記憶部10−6に記憶されていた電話番号、サーバ設定情報、ラインボタン情報や電話帳等のユーザー入力情報を削除する。
【0051】
設定管理サーバ20、接続制御サーバ30は、図8のステップS−801において、IP電話機10からの登録削除要求の受信を待機しており、登録削除要求を受信すると、続くステップS−8023では、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から該当するIPアドレスと電話番号を削除し、当該IPアドレスのIP電話機10を上記の電話番号では使用できないようにする。
【0052】
上記実施例1のフリーアドレス対応IP電話システムによって、オフィス等において社員一人一人の固定席を設けず、空いている席を共有するようなフリーアドレスオフィスにおいて、デスク上に設置されているIP電話機を、社員が一時的に自分の電話番号や自分で入力設定したユーザー設定情報(ラインボタン情報やワンタッチキー等)や自分で入力したユーザー個人情報(電話帳やメモ等)で使用することができるようになる。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の実施例2にかかるフリーアドレス対応IP電話システムについて説明する。実施例2のフリーアドレス対応IP電話システムは、実施例1で説明した図1のフリーアドレス対応IP電話システムとほぼ同様の構成であるが、IP電話機A、IP電話機B、IP電話機Cのそれぞれの使用タイプが異なる。
【0054】
IP電話機Aは、ユーザーがIP電話機に自分専用の電話番号やユーザー入力情報を設定することのできない固定番号タイプのIP電話機であり、IP電話機Bは、ユーザーがIP電話機に自由に電話番号やユーザー入力情報を設定することのできるフリーアドレス対応タイプのIP電話機であり、IP電話機Cは、ユーザーがログインするまでは、デフォルトの電話番号やユーザー入力情報で使用でき、ユーザーがログインするとユーザーの電話番号やユーザー入力情報で使用できる半フリーアドレス対応タイプのIP電話機である。
【0055】
実施例2のフリーアドレス対応IP電話システムは、実施例1と同様にネットワーク1に接続された設定管理サーバ20を備える。設定管理サーバ20は、図2に示した設定管理サーバの構成と同様であるので説明を省略するが、設定管理サーバ20の管理データベースに保持される端末管理テーブル28’のみが実施例1の設定管理サーバの構成と異なる。
【0056】
図9は、実施例2における設定管理サーバ20の管理データベースに格納される端末管理テーブル28’の一例を示す図である。端末管理テーブル28’には、ネットワーク1に接続された各IP電話機10のIPアドレス28−1’、ハードウェアに付与された固有のID番号であるMACアドレス28−2’、各IP電話機10をフリーアドレス対応電話機として使用できるか否かを示すフリーアドレスフォン情報28−3’、各IP電話機10に設定されるデフォルト電話番号28−4’が記録される。
【0057】
IP電話機Aは、固定番号タイプのIP電話機であり、フリーアドレス対応タイプのIP電話機として設定されていないので、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−3’の欄には「NO」が記載されている。また、デフォルト電話番号28−4’の欄には、「4444」が設定されている。IP電話機Bは、フリーアドレス対応タイプのIP電話機であるので、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−3’の欄には「YES」が記載されている。
【0058】
各IP電話機10は、実施例1において説明したIP電話機の構成とほぼ同じであるので、説明を省略するが、実施例1のIP電話機とは、電源投入時に設定管理サーバ20に接続し、設定情報を読み込むようにプログラムされている点が異なっている。
【0059】
次に、ユーザーがIP電話機10の電源を投入した際の、IP電話機10、および設定管理サーバ20の動作処理について図10、図11を参照して説明する。図10は、IP電話機10の電源投入時における動作を示したフローチャートである。図11は、IP電話機10の電源投入時の設定管理サーバ20における動作を示したフローチャートである。
【0060】
まず図10のステップS−1001において、IP電話機10の電源が投入されると、IP電話機10の各種処理部10−53は、設定値記憶部10−6に記憶されているIP電話機10のIPアドレスを取得して送信し、設定管理サーバ20に対して設定情報要求を行なう。設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図11のステップS−1101において、設定情報要求を待機しており、IP電話機10から設定情報要求を受信すると、その要求に含まれるIP電話機のIPアドレスを取得し、端末管理テーブル28’にアクセスし、当該IPアドレスのIP電話機がフリーアドレス対応電話機かどうかを判断する(ステップS−1102)。
【0061】
電源が投入されたIP電話機がIP電話機Aのように固定番号タイプのIP電話機の場合、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−3’は「NO」であるので、設定管理サーバ20の処理は続くステップS−1103に進み、設定要求処理部24は、端末管理テーブル28’のデフォルト電話番号28−4’からIP電話機に割当てられたデフォルトの電話番号を取得する。そして、ユーザー管理テーブル20から電話番号に対応するサーバ設定情報(サーバ登録を行うパラメータ)、ユーザー設定情報(ラインボタン情報やワンタッチキー等)、ユーザー個人情報(電話帳やメモ等)を取得する。次いで、設定要求処理部24は、ステップS−1104において、設定情報要求を行なったIP電話機10に、フリーアドレスフォン情報とデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報(ユーザーが入力するユーザー設定情報およびユーザー個人情報)を送出信する。
【0062】
IP電話機Aの場合、フリーアドレスフォン情報「NO」と電話番号「4444」が送信される。IP電話機10は、フリーアドレスフォン情報を受信すると、図10のステップS−1003において、当該IP電話機がフリーアドレス対応タイプのIP電話機か否かを判定し、電話機Aのようにフリーアドレス対応タイプではない場合、ステップS−1004に進み、設定管理サーバ20から送られてきたデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を取得する。そしてステップS−1011では、受信したデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を設定値記憶部10−6に記憶する。
【0063】
図11のステップS−1105において、設定管理サーバ20の登録要求処理部25は、設定情報要求のあったIP電話機10のIPアドレスと、端末管理テーブル28’から取得したデフォルトの電話番号を関連付け、設定管理サーバ20のIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。この処理を受けてIP電話機10は、ステップS1015の処理において接続制御サーバ30に上記IPアドレスと電話番号を送信し、登録する。このようにして、IP電話機Aの場合、電話番号「4444」での使用を開始できる。
【0064】
図11のステップS−1102において、電源の投入されたIP電話機がIP電話機B、IP電話機Cのようなフリーアドレス対応タイプまたは半フリーアドレス対応電話機の場合、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−4’は、「YES」であるので、設定管理サーバ20の処理は続くステップS−1107に進み、IP電話機にデフォルトの電話番号が設定されているかどうかを判断する。端末管理テーブル28’のデフォルト電話番号28−4’を参照し、デフォルトの電話番号が設定されていない場合(IP電話機Bのように「NON」である場合)、設定管理サーバ20の設定要求処理部24はステップS−1108においてIP電話機に対してログイン指示を行なう。
【0065】
この設定管理サーバ20のログイン指示を受けて、IP電話機10のログイン処理部10−51は、図10のステップS−1006においてログイン受付けを行ない、ユーザーによるユーザーID、およびパスワードの入力を待機する。ステップS−1007において、ログイン処理部10−51は、ユーザーにより入力されるユーザーID、およびパスワードを取得すると、取得したユーザーIDおよびパスワードを、当該IP電話機のIPアドレスとともに設定管理サーバ20に送信し、ログイン要求を行なう(ステップS−1008)。
【0066】
設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図11のステップS−1109において、ログイン要求とともにユーザーID、およびパスワードを取得し、次いでユーザー認証部23はステップS−1110において、ユーザー管理テーブルに27にアクセスすることによってユーザー認証を行なう。
【0067】
続くステップS−1111では、ユーザー認証が成功したか判定し、権限がない場合等ユーザー認証に失敗した場合には、ステップS−1108に戻ってログイン指示をIP電話機10に行なう。ステップS−1111において、ユーザー認証に成功すると、ステップS−1112において、設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、ユーザー管理テーブル27からユーザーに割当てられた電話番号‘、サーバ設定情報、ユーザー入力情報(ユーザー設定情報およびユーザー個人情報)を取得し、IP電話機10に送信する。
【0068】
さらにステップS−1113において、登録要求処理部25は、ユーザーに割当てられた電話番号とログインを行なったIPアドレスとを関連付けてIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。
【0069】
図10のステップS−1009では、設定管理サーバ20からユーザー認証に成功したか否かの情報を取得し、ユーザー認証に失敗した場合、設定管理サーバ20からのログイン指示に基づき、ステップS−1006に戻ってログインを受付ける。ユーザー認証に成功した場合、続くステップS−1010に進み、設定管理サーバ20から電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を受信し、ステップS−1011において、取得した電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を設定値記憶部10−6に記憶させる。さらに、処理はステップS−1015に進み、ステップS1010の処理で取得した電話番号と上記のIPアドレスとを接続制御サーバ30に送信し、登録する。これによって、当該IP電話機10を、ログインを行なったユーザーに割当てられた電話番号やユーザーによって入力されたラインボタンや電話帳などのユーザー入力情報によって使用することができる。
【0070】
図11のステップS−1107において、IP電話機Cのように当該IP電話機がフリーアドレス対応タイプのIP電話機ではあるもののデフォルトの電話番号が設定されている場合、処理は続くステップS−1115に進み、設定要求処理部24は、端末管理テーブル28’から取得したデフォルトの電話番号とこの電話番号に対応するサーバ設定情報およびユーザー入力情報をIP電話機10に送出信する。また、ステップS−1116において、登録要求処理部25は、デフォルトの電話番号を該当するIPアドレスと対応付けてIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。
【0071】
さらに続くステップS−1117では、接続制御サーバ30に、デフォルトの電話番号とIPアドレスを送出し、登録する。この処理を受けて、IP電話機10は、図10のステップS−1012において、設定管理サーバ20からデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を取得し、ステップS−1013において、デフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を設定値記憶部10−6に記憶する。そしてステップS1014においてIPアドレスと上記デフォルトの電話番号を接続制御サーバ30に送信する。これによってIP電話機はデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報で使用することができるようになる。さらに、当該IP電話機は、デフォルトの電話番号が設定されてはいるが、本質的にはフリーアドレス対応タイプなので、設定管理サーバ20における処理は図11のステップS−1108に進み、IP電話機10に対してログイン指示を行ない、IP電話機10からのログイン要求を待機する。
【0072】
IP電話機10は、設定管理サーバ20からログイン指示を受信すると、ステップS−1006に進み、ユーザーのログインを受付ける。IP電話機Cの場合、図11のステップS−1115では、デフォルトの電話番号である「5555」が設定され、ユーザーのログインがあるまでは、その番号でIP電話機Cを使用できる。ユーザーがログインすると、その後は、そのユーザーに割当てられた電話番号でIP電話機Cを使用する。半フリーアドレス対応タイプのIP電話機の場合、新しい電話番号で登録される際に、それまで使用されていた電話番号は、IP電話機10の設定値記憶部10−6、設定管理サーバ20のIPアドレス−電話番号管理テーブル29、接続制御サーバ30から登録削除される。
【0073】
実施例2に示したフリーアドレス対応IP電話システムを使用すると、管理者は、IP電話機ごとにフリーアドレス対応タイプの電話機として使用できるかどうかを設定することが可能となる。また、電話機Cのようにデフォルトの電話番号を付与することによって、例えば、会議室に設置されているIP電話機にある電話番号を設定しておき、必要なときにはユーザーが一時的に電話番号を変更して自分のIP電話機として使用することができるようになる。
【0074】
なお、IP電話機10をログアウトする操作が行われた場合、IP電話機10は設定管理サーバ20に対して初期設定情報を要求するか、または、別途IP電話機10に格納しておいた初期設定情報によって、初期電話番号と初期ユーザー入力情報を接続制御サーバ30に送信し、それらの情報を接続制御サーバ30に登録する。これによってIP電話機10はログアウトされた時に初期状態に戻る。
【0075】
また、本発明の実施例においては、設定管理サーバと接続制御サーバが物理的、論理的に別体で存在する例を説明したが、このような構成に限られることなく、設定管理サーバと接続制御サーバが物理的に、あるいは、論理的に1個のサーバにより構成されるシステム構成にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例1および実施例2のフリーアドレス対応IP電話システムの全体概略図である。
【図2】本発明の実施例1および実施例2の設定管理サーバの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例1および実施例2の設定管理サーバの管理データベースに格納されるユーザー管理テーブル、端末管理テーブルおよびIPアドレス−電話番号管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例1および実施例2のIP電話機の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例1においてIP電話機における電源投入時の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1においてIP電話機の電源投入時の設定管理サーバにおける動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1のIP電話機おけるログアウト時の動作フローチャートである。
【図8】本発明の実施例1のIP電話機のログアウト時の接続制御サーバ、設定管理サーバにおける動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2における設定管理サーバの管理データベースに格納される端末管理テーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施例2のIP電話機における電源投入時の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2の設定管理サーバにおける動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10 ・・IP電話機
10−51 ・・ログイン処理部
10−52 ・・ログアウト処理部
20 ・・設定管理サーバ
23 ・・ユーザー認証部
24 ・・設定要求処理部
25 ・・登録要求処理部
27 ・・・ユーザー管理テーブル
28 ・・端末管理テーブル
29 ・・IPアドレス−電話番号管理テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、VoIP(Voice over Internet Protocol)を使用するInternet Protocol電話機(以下IP電話機と称する)と、IP電話の初期設定を行なう機能を有するネットワーク設定管理サーバとを含むIP電話システムに関するものであり、特に、オフィス等においてデスク上のIP電話機を一時的に自己の電話機として使用できるようにするフリーアドレス対応IP電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワークを使用したIP電話サービスが行なわれている。IP電話システムにおいて、音声はディジタル化され、さらにIPパケットに変換され、IPネットワーク上を流れ、通話先まで到達する。通話先において受信されたIPパケットは元の情報に復元され、こうして送り側と通話先との間で通話を行なうことができる。このIP電話システムは、既存の電話網と比べて、運用・保守・管理コストを削減することができるため、広く使用されつつある。
【0003】
IPネットワークでは、IPアドレスのような機器に割当てられたアドレスを使用することによって相手を一意に認識する必要がある。このため、一般に、ゲートキーパと呼ばれる装置を使用する。ゲートキーパは、IP電話機に割当てられた電話番号とIPアドレスとを関連付けたデータベースを管理しており、IP電話機からの電話番号の指定に応じ、対応するIPアドレスを検索することによって、通話先のIP電話のIPアドレスを指定できるようにする。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2004−147101号公報)に開示されたIP電話システムにおいては、IP電話機の運用開始前に、IP電話機からMACアドレスおよびIPアドレスを受信し、そのネットワークアドレスに含まれるアドレスに基づいて予め設定された電話番号を採番してIP電話機に通知するとともに、電話番号、IPアドレスおよびMACアドレスを関連づけて登録・管理する電話番号採番手段を備えたゲートキーパ装置を開示している。上記特許文献1で開示されたような装置を使用すると、ユーザー端末ごとに、電話番号などの固有のアドレスや設定情報を電源投入時等に自動的に設定することができる。
【0005】
また、多くの企業やオフィスでは、個人のデスクや固定席を設けず、空いているデスクを複数のワーカーが自由に使用するフリーアドレスオフィスの導入が進んでいる。例えば、ほとんど外回りをしている営業部門や、派遣業務が多いシステム開発部門等では、「一人一席」の場合に比べてデスクの数を2分の1から5分の1まで減らすことができ、スペースの大幅な縮小が可能となっている。
【0006】
フリーアドレスオフィイスにおいては、ワーカーがどのデスクを使用して勤務してもデスクに設置してある電話を当該ワーカー固有の電話番号を持つ自分自身の電話として使用できると便利である。
【0007】
例えば、下記の特許文献2(特開2004−10489号公報)には、利用者がオフィス内を移動した場合、利用者自らが移動先に設置されているIP電話機の電話番号を変更できるようにしたIP電話機、IP電話システム、および、アドレス情報変更要求方法が開示されている。
【0008】
特許文献2に開示されたIP電話システムは、IP電話システムに付与されたIPアドレスと電話番号との対応関係を変更する指示を各IP電話機から送出できるように構成したものである。すなわち、このIP電話システムは、新たに設定したい電話番号を格納したIPパケットに、電話番号とIPアドレスとの対応関係を変更するためのIPパケットであることを示すデータを持たせ、サーバ側ではそのIPパケットを受け付けると、電話番号とIPアドレスとの対応関係を変更するように構成されている。
【特許文献1】特開2004−147101号公報
【特許文献2】特開2004−104489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
フリーアドレスオフィスの導入に際して問題となるのが、電話の問題である。個人的に連絡をとる場合、携帯電話等の手段を使用するか、デスクに配線されたLANに接続したコンピュータのソフトフォンにより電話をその都度開通させる必要がある。また、フリーアドレスオフィスのデスク上に置かれたIP電話機を使用する場合、上記特許文献1に開示されている機器を使用したIP電話システムであると、IP電話機の電話番号が機器ごとに固定されてしまい、一時的に自分の電話機として使用することは難しい。
【0010】
また、上記特許文献2に開示されたIP電話システムでは、ユーザーがオフィス内を移動した場合、利用者自らが移動先に設置されているIP電話機の電話番号を変更することは可能であるが、ユーザーが設定した情報を変更する手段は提供されていない。このため、
ユーザーが入力したユーザー入力情報(例えば、着信番号や発信番号が設定できるラインボタン情報、着信音設定、ワンタッチダイヤル設定、電話帳、メモ)まで反映した自分の電話機として使用することは難しい。
【0011】
したがって、本発明の主な目的は、フリーアドレスオフィスのデスクに設置されるようなIP電話機の電話番号を容易に変更できるようにすることにより、一時的に特定のユーザー専用の電話機として使用できるIP電話システムを提供することである。
【0012】
また、本発明の更なる目的は、IP電話機ごとに電話番号とユーザー入力情報を変更できるかどうかの設定を管理者が行なうことのできるIP電話システムを提供することである。
【0013】
また、本発明の更なる目的は、IP電話機を、通常時には予め電話機に設定された電話番号とユーザー入力情報で使用し、ユーザーの要求に応じて一時的に電話番号とユーザー入力情報を変更して使用できるIP電話システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、複数のIP電話機と、前記各IP電話機を使用するユーザーの情報と当該ユーザーに割当てられた電話番号とユーザーによって入力された前記各IP電話機のユーザー入力情報とを含むデータベースを格納する設定管理サーバと、前記各IP電話機に固有のアドレスとこれらのアドレスに関連付けられた電話番号とを含むデータベースを使用することによって前記各IP電話機間の接続制御を行なう接続制御サーバと、から成り、それぞれがネットワークによって接続されたIP電話システムにおいて、前記IP電話機は、認証時にユーザーによって入力されたユーザー認証情報と当該IP電話機固有のアドレスとを送出するログイン手段と、前記設定管理サーバから受信した当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザー入力情報とを記憶するユーザー情報記憶手段と、を備え、前記設定管理サーバは、前記IP電話機から受信したユーザー認証情報を認証するユーザー認証手段と、前記ユーザー認証の結果、権限があると認められた場合に、設定管理サーバから当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザー入力情報とを含むデータを前記IP電話機に送出する設定情報配信手段と、を備え、
前記接続制御サーバは、前記ログイン後に前記IP電話機から送信される当該IP電話機の固有のアドレスと前記ユーザーに割当てられた電話番号とを送出し、両者を関連付けて登録する登録手段と、を備え、
前記IP電話機をユーザーの要求に応じ、該ユーザーの電話番号で使用し、かつ、受信したユーザー入力情報を使用するようになしたことを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に記載のIP電話システムであって、前記IP電話機は、前記ユーザー情報記憶手段に記憶されている電話番号およびユーザー入力情報を削除し、前記接続制御サーバに登録削除要求を送出するログアウト手段を備え、前記接続制御サーバは、前記IP電話機から受信した登録削除要求に応じて、登録された電話番号を取り消し、前記電話番号および設定情報に基づく前記IP電話機の使用を不能にすることを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に記載のIP電話システムであって前記ログアウト手段は、所定の時間または時刻が経過すると動作することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のIP電話システムであって、前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機が電話番号を変更して使用可能なフリーアドレス対応電話機か否かを示す設定情報を含み、前記IP電話機は、運用開始前に、前記設定管理サーバから当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機かどうかを示す設定情報を取得し、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、前記ログイン手段を動作させることを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項5に係る発明は、請求項4に記載のIP電話システムであって、前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機に割当てられた初期電話番号と初期ユーザー入力情報を含み、前記設定管理サーバの設定情報配信手段は、前記初期電話番号と初期ユーザー入力情報を前記IP電話機の運用開始前に、前記IP電話機に送出し、前記IP電話機は当該IP電話機の固有のアドレスと前記初期電話番号と、前記初期ユーザー入力情報とを送出し、前記接続制御サーバに登録を行ない、前記IP電話機は、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、ユーザーによるログイン要求が生じるまで前記初期電話番号と初期ユーザー入力情報で当該IP電話機を使用するようになしたことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項6に係る発明は、請求項1に記載のIP電話システムであって、前記IP電話機は電源投入時には前記接続制御サーバへの登録処理を行うことなく待機することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明においては、オフィス等に設置された複数のIP電話機の運用開始時に、それぞれログインしたユーザーに割当てられた電話番号とユーザー入力情報を各IP電話機に容易に設定できるようになり、フリーアドレスオフィスに設置されたIP電話機を一時的に自己の電話機として使用できるようになる。またログイン手段はユーザー情報の入力を求めるため、権限のないユーザーはIP電話機を使用することができず、セキュリティ向上を達成できる。
【0021】
また、請求項2に係る発明においては、IP電話機にログオフ手段を備えることによって、ユーザーによるIP電話機使用終了時に、ユーザーに割当てられた電話番号で当該IP電話機を使用することを中止できるようになる。
【0022】
また、請求項3に係る発明においては、IP電話機を所定の時間または所定の時刻にログオフさせることにより、ユーザーがログオフ処理を忘れたような場合でも、自動的にログオフ処理を行ない、複数のIP電話機が同一の電話番号で使用されることを防止できるようになる。
【0023】
また、請求項4に係る発明においては、管理者がそれぞれのIP電話機を、電話番号を変更して使用できるか否かを予め設定することができ、各IP電話機は、その設定に基づいて固定の電話番号またはログインするユーザーに割当てられた電話番号で使用することができるようになる。
【0024】
また、請求項5に係る発明においては、IP電話機に初期電話番号と初期ユーザー入力情報を設定しておき、ユーザーがログインすると、そのユーザーに割当てられた電話番号とユーザー入力情報でそのIP電話機を一時的に使用することができるようになる。
【0025】
また、請求項6に係る発明においては、電源投入時には接続制御サーバへの登録処理を行うことなく待機することにより、電話帳などのセキュリティが向上し、また、不要な登録処理を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯電話を例示するものであって、本発明をこのIP電話システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のIP電話システムにも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例1にかかるフリーアドレス対応IP電話システムを、図1から図8を参照して説明する。図1は、本発明のフリーアドレス対応IP電話システムの全体概略図である。フリーアドレス対応IP電話システムは、LAN等のネットワーク1にそれぞれ接続された複数のIP電話機10、設定管理サーバ20、接続制御サーバ30、管理者用PC装置40を備える。図1では、一例として三台のIP電話機(IP電話機A、IP電話機B、IP電話機C)が接続されているものとする。
【0028】
図2は、ネットワークに接続された設定管理サーバ20の全体概略図である。設定管理サーバ20は、ネットワーク1に接続された各IP電話機10を動作させるための各種設定情報(IPアドレス、MACアドレス、サーバ設定情報など)を管理したり、各IP電話機を使用するユーザーに関する情報(ユーザーID、パスワード、ユーザー設定情報、ユーザー入力情報など)を管理したりするものであり、管理者の準備するサーバ用コンピュータ、パーソナルコンピュータと必要なソフトウエアを使用して構成することができる。設定管理サーバ20は、ネットワーク制御部21、メイン制御部22、ユーザー認証部23、設定要求処理部24、登録要求処理部25、データベース管理部26を備える。さらに設定管理サーバ20は、ユーザー管理テーブル27、端末管理テーブル28、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から成る管理データベースを備える。
【0029】
ネットワーク制御部21は、設定管理サーバ20をネットワークに接続し、ネットワーク1に接続された各IP電話機10と通信を可能にするためのものであり、設定管理サーバ20において生成されるデータを適切なデータ形式に変換し、各IP電話機10等に送信し、また、IP電話機10からの信号を受信し、設定管理サーバ20で使用できる形式に変換するものである。メイン制御部22は、設定管理サーバ20の各種制御・処理を実行するものであり、図示しないメモリに記憶されたプログラムを、図示しないCPUによって実行することにより実現される。
【0030】
ユーザー認証部23は、各IP電話機10から認証時にユーザーが入力したユーザー認証情報(ユーザーIDとパスワード)を含むログイン要求を受信した際に、ユーザー管理テーブル27にアクセスし、権限があるかどうか判定を行なう。設定要求処理部24は、各IP電話機10からログイン要求・ログアウト要求等各種設定要求を受信した場合に、それを解読し各種処理を実行する。登録要求処理部25は、後述するが、ユーザー管理テーブル27に記憶されているユーザーごとに割当てられた電話番号と、ログイン要求を受信したIP電話機のIPアドレスとを関連付けてIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録するとともに、接続制御サーバ30に上記電話番号とIPアドレスとを登録し、通話が行なえるようにする。
【0031】
また、各IP電話機10から受信するログアウト要求に応じて、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から登録を削除するとともに、接続制御サーバ30へ上記電話番号とIPアドレスの登録削除要求を送出する。なお、ここで設定管理サーバ20は各種設定情報やユーザー情報を管理し、登録・登録削除の処理を行ない、接続制御サーバ30は管理サーバ20によって行なわれる登録情報に基づいてIP電話機の接続を主に行なうものとしたが、接続制御サーバ30と管理サーバ20を一つの装置にまとめ、各種設定情報またユーザー情報の管理と接続制御を一つの装置において動作させてもよい。
【0032】
図3Aは、管理データベースに含まれるユーザー管理テーブル27の一例を示す図である。ユーザー管理テーブル27は、IP電話機を使用する権限を有するユーザーのユーザーID27−1、各ユーザーのパスワード27−2、ユーザーごとに割当てられた電話番号27−3、サーバ登録を行うパラメータであるサーバ設定情報、ユーザーの入力によって行われる設定情報(例えば、着信番号や発信番号が設定できるラインボタン情報、着信音設定、ワンタッチダイヤル設定)、ユーザーの個人情報(例えば、電話帳、メモ)をそれぞれ関連付けて記憶している。図3Aでは、第一のユーザーのユーザーIDは、「0010」、パスワードは「209512」、第一のユーザーに管理者から割当てられた電話番号は「1111」であることが示されている。第二、第三のユーザーに対してもそれぞれ図示する各ユーザー情報が保持される。
【0033】
図3Bは、管理データベースに含まれる端末管理テーブル28の一例を示す図である。端末管理テーブル28は、各IP電話機のIPアドレス28−1とバードウェアに付与された固有のID番号であるMACアドレス28−2を関連付けて記憶している。図3Bでは、IPアドレスとしてIP電話機Aには「245.263.112.1」、IP電話機Bには「245.263.112.2」、IP電話機Cには「245.263.112.3」が割当てられていることが示されている。
【0034】
図3Cは、管理データベースに含まれるIPアドレス−電話番号管理テーブル29の一例を示す図である。IPアドレス−電話番号管理テーブル29は、IP電話機のIPアドレス29−1と、そのIP電話機を使用するユーザーに割当てられた電話番号29−2とを関連付けて保持したものである。IP電話機A(IPアドレスは245.263.112.1)を第二のユーザー(ユーザーIDは0011、割当てられた電話番号は2222)が使用する場合、IPアドレス29−1の欄には「245.263.112.1」が保持され、電話番号29−2の欄には、「2222」が保持される。
【0035】
なお、図示していないが、接続制御サーバ30にはこのIPアドレス−電話番号管理テーブル29と同様のデータベースが備えられており、ログイン、認証処理後に各IP電話機から送信される登録要求に従って、各IP電話機のIPアドレス−そのIP電話機を費用するユーザー(ログインしたユーザー)に割当てられた電話番号を関連付けて記憶される。接続制御サーバ30はこのデータベースに登録された各IP電話機のIPアドレス−電話番号に基づいて呼の接続制御を行う。 図4は、IP電話機10の概略構成を示す図である。IP電話機10は、スピーカやマイク等を含む音声入出力部10−1を備え、音声入出力部10−1から入力された音声は、音声コーディック10−2においてディジタル符号化され、制御部10−5へ送られる。制御部10−5は各種処理部10−53を備え、各種処理部10−53において音声はパケット化されると同時に必要な通信情報を付加され、インターフェース10−7においてIPパケットとしてネットワーク1へ送出される。ネットワーク1から受信したIPパケットは、制御部10−5の各種処理部10−53において適切な順序に並べられ、さらに音声コーディック10−2において復元処理され、音声入出力部10−1から発話される。
【0036】
さらにIP電話機10は、各種情報を表示するための表示部10−3、電話番号の入力、ユーザーID、パスワード等の入力を行なうための入力部10−4、IP電話機に設定されているIPアドレス、ユーザーによって入力されるユーザーID、パスワード等のユーザー情報、また管理サーバから受信したIP電話機の電話番号、ユーザーによって入力されたユーザー入力情報(ユーザー設定情報とユーザー個人情報)を記憶する設定値記憶部10−6を備える。これらのユーザー入力情報は設定管理サーバ20に送信され、その管理データベースに記憶される。また、ログイン、ログアウト時には必要に応じて接続制御サーバ30にも送信される。
【0037】
制御部10−5は、上述した各種処理部10−53に加えて、ログイン処理部10−51、ログアウト処理部10−52を備える。ログイン処理部10−51は、IP電話機の電源投入時に、或いはIP電話機を使用するユーザーから要求があった場合に、ユーザーID、パスワードの入力を受付ける。またユーザーがユーザーID、パスワードの入力を行なうと、入力されたユーザーIDおよびパスワードを、IP電話機に付与されているIPアドレスとともに、設定管理サーバ20に対して送出し、ログイン要求を行なう。
【0038】
ログアウト処理部10−52は、ユーザーの要求に応じ、ユーザーID,パスワードをIPアドレスとともに設定管理サーバ20に対して送出し、ログアウト要求を行なう。また、設定値記憶部10−6に記憶されているユーザーID、パスワード等のユーザー情報およびユーザーに割当てられた電話番号、ユーザー入力情報を削除する。制御部10−5において行なわれる上記の処理は、実際には図示しないROM等に記憶されたソフトウエアプログラムを、CPU等により実行することにより実現される。
【0039】
次に、図5、図6を参照して、IP電話機の電源投入時におけるIP電話機10および設定管理サーバ20の処理について説明する。図5は、IP電話機における電源投入時の動作フローチャートである。図6は、IP電話機の電源投入時の設定管理サーバにおける動作フローチャートである。
【0040】
IP電話機10の電源が投入されると、まず図5のステップS−501において、IP電話機10のログイン処理部10−51は、ログイン受付を行ない、ユーザーによるユーザーIDとパスワードの入力を求める。続くステップS−502において、ユーザーID、パスワードの入力が行なわれるまで待機し、ユーザーID、パスワードの入力があると、続くステップS−503に進む。ステップS−503では、入力されたユーザーIDとパスワードを、設定値記憶部10−6に保持されたIP電話機のIPアドレスとともに設定管理サーバ20に送出し、ログイン要求を行なう。
【0041】
例えば、第二のユーザーがIP電話機Aを使用しようと思い、IP電話機Aの電源を投入すると、IP電話機Aは、第二のユーザーに対してログイン受付を行なう。第二のユーザーが自分のユーザーIDである「0011」とパスワードである「341683」を入力すると、IP電話機Aは、入力されたユーザーIDとパスワードを、自己のIPアドレス「245.263.112.1」とともに設定管理サーバ20に送出しログイン要求を行なう。
【0042】
設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図6のステップS−601において各IP電話機10からのログイン要求を待機しており、ログイン要求を受信すると、ステップS−602に進み、ユーザー認証を行なう。ユーザー認証は、設定要求処理部24からの指示により、ユーザー認証部23が設定管理サーバ20のユーザー管理テーブル27にアクセスすることにより実行され、受信したユーザーIDとパスワードを照合し、権限があるかどうかを判定する。上記の例の場合、ユーザーID「0011」にIP電話機の使用権限があるか、パスワード「341683」が正しいかどうかを認証する。
【0043】
図6のステップS−603において、ユーザーに権限がない場合、ステップS−604に進み、ユーザー認証に失敗したことをログイン要求のあったIP電話機10に通知し、ステップS−601に戻ってログイン要求を待機する。IP電話機10は、設定管理サーバ20からユーザー認証に失敗したことを受信すると、図5のステップS−504において、ログインに失敗したと判断し、ステップS−501に戻り、ログイン受付けを行なう。
【0044】
設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図6のステップS−601において各IP電話機10からのログイン要求を待機しており、ログイン要求を受信すると、ステップS−602に進み、ユーザー認証を行なう。ユーザー認証は、設定要求処理部24からの指示により、ユーザー認証部23が設定管理サーバ20のユーザー管理テーブル27にアクセスすることにより実行され、受信したユーザーIDとパスワードを照合し、権限があるかどうかを判定する。上記の例の場合、ユーザーID「0011」にIP電話機の使用権限があるか、パスワード「341683」が正しいかどうかを認証する。
【0045】
図6のステップS−603において、ユーザーに権限がない場合、ステップS−604に進み、ユーザー認証に失敗したことをログイン要求のあったIP電話機10に通知し、ステップS−601に戻ってログイン要求を待機する。IP電話機10は、設定管理サーバ20からユーザー認証に失敗したことを受信すると、図5のステップS−504において、ログインに失敗したと判断し、ステップS−501に戻り、ログイン受付けを行なう。
【0046】
図6のステップS−603においてユーザーに権限がある場合には、管理設定サーバ20の設定要求処理部24は続くステップS−605において、ユーザー管理テーブル27から当該ユーザーに割当てられた電話番号、サーバ設定情報と、ユーザー設定情報、ユーザー個人情報等のユーザー入力情報を取得し、また端末管理テーブル28からログイン要求のあったIP電話機に対するMACアドレスを取得する。上記の例の場合、第二のユーザーに割当てられた電話番号「2222」をユーザー管理テーブル27から取得すると同時に、端末管理テーブル28からIP電話機AのMACアドレス「MAC3」を取得する。そして管理設定サーバ20はステップS−606に進み、電話番号、サーバ設定情報、ユーザー設定情報、ユーザー個人情報をIP電話機に送信する。
次いで、ステップS−607において、登録要求処理部25は、ログイン要求のあったIP電話機のIPアドレスとユーザー管理テーブル27から取得した電話番号を関連付け、IPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。上記の例の場合、IP電話機AのIPアドレスである「243.263.112.1」と第二のユーザーに割当てられた電話番号である「2222」が関連付けられ、IPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録される。
【0047】
図5のステップS−505において、IP電話機10は、設定管理サーバ20から送信されてきた電話番号、サーバ設定情報、ラインボタン情報や電話帳等のユーザー入力情報を取得し、続くステップS−506において、取得情報を設定値記憶部10−6に記憶する。またステップS−507では、上記IPアドレスと電話番号を接続制御サーバ30に登録要求とともに送信し登録する。これによりIP電話機10は、ログインを行なったユーザーに割当てられている電話番号とユーザー入力情報で使用できるようになる。上記の例の場合、第二のユーザーに割当てられている電話番号「2222」、サーバ設定情報、ラインボタン情報や電話帳等のユーザー入力情報が設定値記憶部10−6に記憶され、IP電話機Aは、電話番号「2222」やユーザー入力情報で使用することができるようになる。
【0048】
次に、図7、図8を参照してIP電話機のログアウト時における処理について説明する。図7は、IP電話機のログアウト時における動作を示すフローチャートである。図8は、接続制御サーバおよび設定管理サーバにおけるIP電話機のログアウト時の動作を示すフローチャートである。
【0049】
まず、図7のステップS−701において、IP電話機10は、ログアウト要求を受付けている。ログアウト要求は、一例として、各IP電話機10を使用するユーザーが入力部10−4を操作することによって行なわれる。ユーザーは退社時等にログアウトメニューを選択しログアウト要求を行なう。別の例として、ログアウト要求は、設定管理サーバ20によって予め時刻が設定されており、設定管理サーバ20からのログアウト勧告通知をユーザーが確認することにより行なわれるものとしてもよい。或いは、IP電話機10にタイマーを内蔵し、所定の時刻になるとログアウト要求を行なうようにしてもよい。
【0050】
ログアウト要求を受けると、IP電話機10のログアウト処理部10−52は、続くステップS−702において、登録削除要求を、IP電話機のIPアドレスに付加して設定管理サーバ20、接続管理サーバ30に通知する。そしてステップS−703では、設定値記憶部10−6に記憶されていた電話番号、サーバ設定情報、ラインボタン情報や電話帳等のユーザー入力情報を削除する。
【0051】
設定管理サーバ20、接続制御サーバ30は、図8のステップS−801において、IP電話機10からの登録削除要求の受信を待機しており、登録削除要求を受信すると、続くステップS−8023では、IPアドレス−電話番号管理テーブル29から該当するIPアドレスと電話番号を削除し、当該IPアドレスのIP電話機10を上記の電話番号では使用できないようにする。
【0052】
上記実施例1のフリーアドレス対応IP電話システムによって、オフィス等において社員一人一人の固定席を設けず、空いている席を共有するようなフリーアドレスオフィスにおいて、デスク上に設置されているIP電話機を、社員が一時的に自分の電話番号や自分で入力設定したユーザー設定情報(ラインボタン情報やワンタッチキー等)や自分で入力したユーザー個人情報(電話帳やメモ等)で使用することができるようになる。
【実施例2】
【0053】
次に、本発明の実施例2にかかるフリーアドレス対応IP電話システムについて説明する。実施例2のフリーアドレス対応IP電話システムは、実施例1で説明した図1のフリーアドレス対応IP電話システムとほぼ同様の構成であるが、IP電話機A、IP電話機B、IP電話機Cのそれぞれの使用タイプが異なる。
【0054】
IP電話機Aは、ユーザーがIP電話機に自分専用の電話番号やユーザー入力情報を設定することのできない固定番号タイプのIP電話機であり、IP電話機Bは、ユーザーがIP電話機に自由に電話番号やユーザー入力情報を設定することのできるフリーアドレス対応タイプのIP電話機であり、IP電話機Cは、ユーザーがログインするまでは、デフォルトの電話番号やユーザー入力情報で使用でき、ユーザーがログインするとユーザーの電話番号やユーザー入力情報で使用できる半フリーアドレス対応タイプのIP電話機である。
【0055】
実施例2のフリーアドレス対応IP電話システムは、実施例1と同様にネットワーク1に接続された設定管理サーバ20を備える。設定管理サーバ20は、図2に示した設定管理サーバの構成と同様であるので説明を省略するが、設定管理サーバ20の管理データベースに保持される端末管理テーブル28’のみが実施例1の設定管理サーバの構成と異なる。
【0056】
図9は、実施例2における設定管理サーバ20の管理データベースに格納される端末管理テーブル28’の一例を示す図である。端末管理テーブル28’には、ネットワーク1に接続された各IP電話機10のIPアドレス28−1’、ハードウェアに付与された固有のID番号であるMACアドレス28−2’、各IP電話機10をフリーアドレス対応電話機として使用できるか否かを示すフリーアドレスフォン情報28−3’、各IP電話機10に設定されるデフォルト電話番号28−4’が記録される。
【0057】
IP電話機Aは、固定番号タイプのIP電話機であり、フリーアドレス対応タイプのIP電話機として設定されていないので、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−3’の欄には「NO」が記載されている。また、デフォルト電話番号28−4’の欄には、「4444」が設定されている。IP電話機Bは、フリーアドレス対応タイプのIP電話機であるので、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−3’の欄には「YES」が記載されている。
【0058】
各IP電話機10は、実施例1において説明したIP電話機の構成とほぼ同じであるので、説明を省略するが、実施例1のIP電話機とは、電源投入時に設定管理サーバ20に接続し、設定情報を読み込むようにプログラムされている点が異なっている。
【0059】
次に、ユーザーがIP電話機10の電源を投入した際の、IP電話機10、および設定管理サーバ20の動作処理について図10、図11を参照して説明する。図10は、IP電話機10の電源投入時における動作を示したフローチャートである。図11は、IP電話機10の電源投入時の設定管理サーバ20における動作を示したフローチャートである。
【0060】
まず図10のステップS−1001において、IP電話機10の電源が投入されると、IP電話機10の各種処理部10−53は、設定値記憶部10−6に記憶されているIP電話機10のIPアドレスを取得して送信し、設定管理サーバ20に対して設定情報要求を行なう。設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図11のステップS−1101において、設定情報要求を待機しており、IP電話機10から設定情報要求を受信すると、その要求に含まれるIP電話機のIPアドレスを取得し、端末管理テーブル28’にアクセスし、当該IPアドレスのIP電話機がフリーアドレス対応電話機かどうかを判断する(ステップS−1102)。
【0061】
電源が投入されたIP電話機がIP電話機Aのように固定番号タイプのIP電話機の場合、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−3’は「NO」であるので、設定管理サーバ20の処理は続くステップS−1103に進み、設定要求処理部24は、端末管理テーブル28’のデフォルト電話番号28−4’からIP電話機に割当てられたデフォルトの電話番号を取得する。そして、ユーザー管理テーブル20から電話番号に対応するサーバ設定情報(サーバ登録を行うパラメータ)、ユーザー設定情報(ラインボタン情報やワンタッチキー等)、ユーザー個人情報(電話帳やメモ等)を取得する。次いで、設定要求処理部24は、ステップS−1104において、設定情報要求を行なったIP電話機10に、フリーアドレスフォン情報とデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報(ユーザーが入力するユーザー設定情報およびユーザー個人情報)を送出信する。
【0062】
IP電話機Aの場合、フリーアドレスフォン情報「NO」と電話番号「4444」が送信される。IP電話機10は、フリーアドレスフォン情報を受信すると、図10のステップS−1003において、当該IP電話機がフリーアドレス対応タイプのIP電話機か否かを判定し、電話機Aのようにフリーアドレス対応タイプではない場合、ステップS−1004に進み、設定管理サーバ20から送られてきたデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を取得する。そしてステップS−1011では、受信したデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を設定値記憶部10−6に記憶する。
【0063】
図11のステップS−1105において、設定管理サーバ20の登録要求処理部25は、設定情報要求のあったIP電話機10のIPアドレスと、端末管理テーブル28’から取得したデフォルトの電話番号を関連付け、設定管理サーバ20のIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。この処理を受けてIP電話機10は、ステップS1015の処理において接続制御サーバ30に上記IPアドレスと電話番号を送信し、登録する。このようにして、IP電話機Aの場合、電話番号「4444」での使用を開始できる。
【0064】
図11のステップS−1102において、電源の投入されたIP電話機がIP電話機B、IP電話機Cのようなフリーアドレス対応タイプまたは半フリーアドレス対応電話機の場合、端末管理テーブル28’のフリーアドレスフォン情報28−4’は、「YES」であるので、設定管理サーバ20の処理は続くステップS−1107に進み、IP電話機にデフォルトの電話番号が設定されているかどうかを判断する。端末管理テーブル28’のデフォルト電話番号28−4’を参照し、デフォルトの電話番号が設定されていない場合(IP電話機Bのように「NON」である場合)、設定管理サーバ20の設定要求処理部24はステップS−1108においてIP電話機に対してログイン指示を行なう。
【0065】
この設定管理サーバ20のログイン指示を受けて、IP電話機10のログイン処理部10−51は、図10のステップS−1006においてログイン受付けを行ない、ユーザーによるユーザーID、およびパスワードの入力を待機する。ステップS−1007において、ログイン処理部10−51は、ユーザーにより入力されるユーザーID、およびパスワードを取得すると、取得したユーザーIDおよびパスワードを、当該IP電話機のIPアドレスとともに設定管理サーバ20に送信し、ログイン要求を行なう(ステップS−1008)。
【0066】
設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、図11のステップS−1109において、ログイン要求とともにユーザーID、およびパスワードを取得し、次いでユーザー認証部23はステップS−1110において、ユーザー管理テーブルに27にアクセスすることによってユーザー認証を行なう。
【0067】
続くステップS−1111では、ユーザー認証が成功したか判定し、権限がない場合等ユーザー認証に失敗した場合には、ステップS−1108に戻ってログイン指示をIP電話機10に行なう。ステップS−1111において、ユーザー認証に成功すると、ステップS−1112において、設定管理サーバ20の設定要求処理部24は、ユーザー管理テーブル27からユーザーに割当てられた電話番号‘、サーバ設定情報、ユーザー入力情報(ユーザー設定情報およびユーザー個人情報)を取得し、IP電話機10に送信する。
【0068】
さらにステップS−1113において、登録要求処理部25は、ユーザーに割当てられた電話番号とログインを行なったIPアドレスとを関連付けてIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。
【0069】
図10のステップS−1009では、設定管理サーバ20からユーザー認証に成功したか否かの情報を取得し、ユーザー認証に失敗した場合、設定管理サーバ20からのログイン指示に基づき、ステップS−1006に戻ってログインを受付ける。ユーザー認証に成功した場合、続くステップS−1010に進み、設定管理サーバ20から電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を受信し、ステップS−1011において、取得した電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を設定値記憶部10−6に記憶させる。さらに、処理はステップS−1015に進み、ステップS1010の処理で取得した電話番号と上記のIPアドレスとを接続制御サーバ30に送信し、登録する。これによって、当該IP電話機10を、ログインを行なったユーザーに割当てられた電話番号やユーザーによって入力されたラインボタンや電話帳などのユーザー入力情報によって使用することができる。
【0070】
図11のステップS−1107において、IP電話機Cのように当該IP電話機がフリーアドレス対応タイプのIP電話機ではあるもののデフォルトの電話番号が設定されている場合、処理は続くステップS−1115に進み、設定要求処理部24は、端末管理テーブル28’から取得したデフォルトの電話番号とこの電話番号に対応するサーバ設定情報およびユーザー入力情報をIP電話機10に送出信する。また、ステップS−1116において、登録要求処理部25は、デフォルトの電話番号を該当するIPアドレスと対応付けてIPアドレス−電話番号管理テーブル29に登録する。
【0071】
さらに続くステップS−1117では、接続制御サーバ30に、デフォルトの電話番号とIPアドレスを送出し、登録する。この処理を受けて、IP電話機10は、図10のステップS−1012において、設定管理サーバ20からデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を取得し、ステップS−1013において、デフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報を設定値記憶部10−6に記憶する。そしてステップS1014においてIPアドレスと上記デフォルトの電話番号を接続制御サーバ30に送信する。これによってIP電話機はデフォルトの電話番号、サーバ設定情報、ユーザー入力情報で使用することができるようになる。さらに、当該IP電話機は、デフォルトの電話番号が設定されてはいるが、本質的にはフリーアドレス対応タイプなので、設定管理サーバ20における処理は図11のステップS−1108に進み、IP電話機10に対してログイン指示を行ない、IP電話機10からのログイン要求を待機する。
【0072】
IP電話機10は、設定管理サーバ20からログイン指示を受信すると、ステップS−1006に進み、ユーザーのログインを受付ける。IP電話機Cの場合、図11のステップS−1115では、デフォルトの電話番号である「5555」が設定され、ユーザーのログインがあるまでは、その番号でIP電話機Cを使用できる。ユーザーがログインすると、その後は、そのユーザーに割当てられた電話番号でIP電話機Cを使用する。半フリーアドレス対応タイプのIP電話機の場合、新しい電話番号で登録される際に、それまで使用されていた電話番号は、IP電話機10の設定値記憶部10−6、設定管理サーバ20のIPアドレス−電話番号管理テーブル29、接続制御サーバ30から登録削除される。
【0073】
実施例2に示したフリーアドレス対応IP電話システムを使用すると、管理者は、IP電話機ごとにフリーアドレス対応タイプの電話機として使用できるかどうかを設定することが可能となる。また、電話機Cのようにデフォルトの電話番号を付与することによって、例えば、会議室に設置されているIP電話機にある電話番号を設定しておき、必要なときにはユーザーが一時的に電話番号を変更して自分のIP電話機として使用することができるようになる。
【0074】
なお、IP電話機10をログアウトする操作が行われた場合、IP電話機10は設定管理サーバ20に対して初期設定情報を要求するか、または、別途IP電話機10に格納しておいた初期設定情報によって、初期電話番号と初期ユーザー入力情報を接続制御サーバ30に送信し、それらの情報を接続制御サーバ30に登録する。これによってIP電話機10はログアウトされた時に初期状態に戻る。
【0075】
また、本発明の実施例においては、設定管理サーバと接続制御サーバが物理的、論理的に別体で存在する例を説明したが、このような構成に限られることなく、設定管理サーバと接続制御サーバが物理的に、あるいは、論理的に1個のサーバにより構成されるシステム構成にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例1および実施例2のフリーアドレス対応IP電話システムの全体概略図である。
【図2】本発明の実施例1および実施例2の設定管理サーバの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例1および実施例2の設定管理サーバの管理データベースに格納されるユーザー管理テーブル、端末管理テーブルおよびIPアドレス−電話番号管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例1および実施例2のIP電話機の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例1においてIP電話機における電源投入時の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例1においてIP電話機の電源投入時の設定管理サーバにおける動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1のIP電話機おけるログアウト時の動作フローチャートである。
【図8】本発明の実施例1のIP電話機のログアウト時の接続制御サーバ、設定管理サーバにおける動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2における設定管理サーバの管理データベースに格納される端末管理テーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施例2のIP電話機における電源投入時の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2の設定管理サーバにおける動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10 ・・IP電話機
10−51 ・・ログイン処理部
10−52 ・・ログアウト処理部
20 ・・設定管理サーバ
23 ・・ユーザー認証部
24 ・・設定要求処理部
25 ・・登録要求処理部
27 ・・・ユーザー管理テーブル
28 ・・端末管理テーブル
29 ・・IPアドレス−電話番号管理テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のIP電話機と、前記各IP電話機を使用するユーザーの情報と当該ユーザーに割当てられた電話番号とユーザーによって入力された前記各IP電話機のユーザー入力情報とを含むデータベースを格納する設定管理サーバと、前記各IP電話機に固有のアドレスとこれらのアドレスに関連付けられた電話番号とを含むデータベースを使用することによって前記各IP電話機間の接続制御を行なう接続制御サーバと、から成り、それぞれがネットワークによって接続されたIP電話システムにおいて、
前記IP電話機は、認証時にユーザーによって入力されたユーザー認証情報と当該IP電話機固有のアドレスとを送出するログイン手段と、前記設定管理サーバから受信した当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザー入力情報とを記憶するユーザー情報記憶手段と、を備え、
前記設定管理サーバは、前記IP電話機から受信したユーザー認証情報を認証するユーザー認証手段と、前記ユーザー認証の結果、権限があると認められた場合に、設定管理サーバから当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザ入力情報とを含むデータを前記IP電話機に送出する設定情報配信手段と、を備え、
前記接続制御サーバは、前記ログイン後に前記IP電話機から送信される当該IP電話機の固有のアドレスと前記ユーザーに割当てられた電話番号と関連付けて登録する登録手段と、を備え、
前記IP電話機をユーザーの要求に応じ、該ユーザーの電話番号で使用し、かつ、受信したユーザー入力情報を使用するようになしたことを特徴とするIP電話システム。
【請求項2】
前記IP電話機は、前記ユーザー情報記憶手段に記憶されている電話番号およびユーザー入力情報を削除し、前記接続制御サーバに登録削除要求を送出するログアウト手段を備え、
前記接続制御サーバは、前記IP電話機から受信した登録削除要求に応じて、登録された電話番号を取り消し、前記電話番号および設定情報に基づく前記IP電話機の使用を不能にすることを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【請求項3】
前記ログアウト手段は、所定の時間または時刻が経過すると動作することを特徴とする請求項2に記載のIP電話システム。
【請求項4】
前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機が電話番号を変更して使用可能なフリーアドレス対応電話機か否かを示す設定情報を含み、
前記IP電話機は、運用開始前に、前記設定管理サーバから当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機かどうかを示す設定情報を取得し、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、前記ログイン手段を動作させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のIP電話システム。
【請求項5】
前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機に割当てられた初期電話番号と初期ユーザー入力情報を含み、
前記設定管理サーバの設定情報配信手段は、前記初期電話番号と前記初期ユーザー入力情報を前記IP電話機の運用開始前に、前記IP電話機に送出し、
前記IP電話機は当該IP電話機の固有のアドレスと前記初期電話番号と、前記初期ユーザー入力情報とを送出し、前記接続制御サーバに登録を行ない、
前記IP電話機は、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、ユーザーによるログイン要求が生じるまで前記初期電話番号と前記初期ユーザー入力情報で当該IP電話機を使用するようになしたことを特徴とする請求項4に記載のIP電話システム。
【請求項6】
前記IP電話機は電源投入時には前記接続制御サーバへの登録処理を行うことなく待機することを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【請求項1】
複数のIP電話機と、前記各IP電話機を使用するユーザーの情報と当該ユーザーに割当てられた電話番号とユーザーによって入力された前記各IP電話機のユーザー入力情報とを含むデータベースを格納する設定管理サーバと、前記各IP電話機に固有のアドレスとこれらのアドレスに関連付けられた電話番号とを含むデータベースを使用することによって前記各IP電話機間の接続制御を行なう接続制御サーバと、から成り、それぞれがネットワークによって接続されたIP電話システムにおいて、
前記IP電話機は、認証時にユーザーによって入力されたユーザー認証情報と当該IP電話機固有のアドレスとを送出するログイン手段と、前記設定管理サーバから受信した当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザー入力情報とを記憶するユーザー情報記憶手段と、を備え、
前記設定管理サーバは、前記IP電話機から受信したユーザー認証情報を認証するユーザー認証手段と、前記ユーザー認証の結果、権限があると認められた場合に、設定管理サーバから当該ユーザーに割当てられた電話番号と前記各IP電話機のユーザ入力情報とを含むデータを前記IP電話機に送出する設定情報配信手段と、を備え、
前記接続制御サーバは、前記ログイン後に前記IP電話機から送信される当該IP電話機の固有のアドレスと前記ユーザーに割当てられた電話番号と関連付けて登録する登録手段と、を備え、
前記IP電話機をユーザーの要求に応じ、該ユーザーの電話番号で使用し、かつ、受信したユーザー入力情報を使用するようになしたことを特徴とするIP電話システム。
【請求項2】
前記IP電話機は、前記ユーザー情報記憶手段に記憶されている電話番号およびユーザー入力情報を削除し、前記接続制御サーバに登録削除要求を送出するログアウト手段を備え、
前記接続制御サーバは、前記IP電話機から受信した登録削除要求に応じて、登録された電話番号を取り消し、前記電話番号および設定情報に基づく前記IP電話機の使用を不能にすることを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【請求項3】
前記ログアウト手段は、所定の時間または時刻が経過すると動作することを特徴とする請求項2に記載のIP電話システム。
【請求項4】
前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機が電話番号を変更して使用可能なフリーアドレス対応電話機か否かを示す設定情報を含み、
前記IP電話機は、運用開始前に、前記設定管理サーバから当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機かどうかを示す設定情報を取得し、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、前記ログイン手段を動作させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のIP電話システム。
【請求項5】
前記設定管理サーバのデータベースは、それぞれのIP電話機に割当てられた初期電話番号と初期ユーザー入力情報を含み、
前記設定管理サーバの設定情報配信手段は、前記初期電話番号と前記初期ユーザー入力情報を前記IP電話機の運用開始前に、前記IP電話機に送出し、
前記IP電話機は当該IP電話機の固有のアドレスと前記初期電話番号と、前記初期ユーザー入力情報とを送出し、前記接続制御サーバに登録を行ない、
前記IP電話機は、当該IP電話機がフリーアドレス対応電話機の場合には、ユーザーによるログイン要求が生じるまで前記初期電話番号と前記初期ユーザー入力情報で当該IP電話機を使用するようになしたことを特徴とする請求項4に記載のIP電話システム。
【請求項6】
前記IP電話機は電源投入時には前記接続制御サーバへの登録処理を行うことなく待機することを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−142621(P2007−142621A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331102(P2005−331102)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]