説明

フルオロポリマー、特に燃料電池用の該ポリマーから調製される膜、及び該ポリマーの合成方法

本発明は、次の式(I)[該式中:X及びY基は同一又は異なっており、H又はFを表し;Z基は、F又は過フッ化アルキル基を表し;W基は、CHO又はCFO又はCOを表し;Ar基は、少なくとも一の置換されていてもよい炭素含有芳香環を含む二価の基を表し;Q基は、単結合、1≦n≦10の(CF)、又はCOCを表し;G基は、好ましくは、RがOH、F又はClを表すSO;又はRがH又は置換されていてもよいアルキル基を表すP(=O)(OR);又はCOHから選択されるカチオン交換基を表す]の少なくとも一の繰り返し単位を含み、0.5meq/gポリマー以上のイオン交換能を有するフルオロポリマーに関する。本発明はまた前記ポリマーの合成方法、前記ポリマーから得られる膜、及びこのような膜を含む燃料電池システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(技術分野)
この発明は新規なフルオロポリマーとそれらの調製方法に関する。
これらポリマーは、優れた物理化学的性質、例えばプロトン伝導性や化学的安定性を有し、特にイオン交換膜の開発、とりわけ燃料電池用のものに応用されている。
このような膜は、燃料電池のコア部を構成する。このような燃料電池は、助燃性物質(comburent)及び燃料が常時提供され、電解液により離間している陽極と陰極の2つの電極を具備していることを簡潔に指摘しておく。前記膜は、陽極から陰極へのプロトンの通過を確実にする。前記膜は水素、メタン及び燃焼空気に対しては不透過性である。膜の厚みは10〜200μmである。
【0002】
(従来技術)
今日、燃料電池膜に関連して使用可能な種々のファミリーのプロトン伝導性ポリマーが存在している。
熱安定性骨格ベースのスルホン化ポリマー、例えばスルホン化ポリスルホン類、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン類、スルホン化ポリスチレン類、及びスルホン化ポリベンゾイミダゾール類は、化学的及び熱的安定性が弱い。よって、このようなポリマーから得られる膜から構成される燃料電池は、耐久性及び使用温度に限界があった。
【0003】
今日までで最も好ましい性能は、例えば次の式:
【化1】

を有するナフィオン(Nafion)(デュポン社、登録商標)等の、スルホン化基を持つフッ化側鎖を含む過フッ化ポリマーを用いて得られている。
製品フレミオン(Flemion)(旭化成)、ハイフロン(Hyflon)(ソルベー社(Solvay))及びダウ(Dow)(ダウ・ケミカル社(Dow Chemical))(登録商標)は、フッ化鎖の長さが異なる類似したフルオロポリマーである。これらのポリマーは化学的及び電気化学的安定性に関して優れた性質を有している。さらに、それらは、非常に良好なプロトン伝導性を有し、現在、燃料電池のための標準材料となっている。
しかしながら、これらのポリマーを使用して得られる膜は、熱機械的及び熱水安定性に弱く、80℃を超える温度での得られた燃料電池の使用は禁止されている。さらに、これらの膜のコストは、フッ素化学物質が高価で前駆物質の一つのVF2が爆発性のため、特に高い。
【0004】
仏国特許出願公開第2843398号には、イオン性官能基、特にスルホン又はホスホン基を有するフッ化芳香族単位とフッ化脂肪族単位を含む新規なポリマー構造が記載されている。これらのポリマーから得られる膜は、上述した不具合を何も有さない。
この文献では、ポリマーは、2つのファミリーのモノマー(脂肪族及び芳香族)の間で一般的な重合をさせることにより、又はオゾン攻撃後に脂肪族単位に芳香族単位をグラフトさせることにより得られている。
【0005】
本出願人は、この文献の開示を応用することにより、スルホン又はホスホン官能基が低率(約15%モルフラクション)で導入され、乏しい機械的特徴をもたらす低分子量のポリマーが得られることを見出した。これらの結果は、当該ポリマーを構成する脂肪族モノマーと比較して、イオン性芳香族モノマーの反応性が限定されていることにより説明され得る。従って、このようなポリマーから合成される膜は、機械的性質が弱く、要求される仕様(約10−2S/cm)には達しない約10−4S/cmのプロトン伝導性しか有さない。
【0006】
(発明の概要)
この発明では、仏国特許出願公開第2843398号公報に記載されているものに類似した化学的ポリマー構造を提案しているが、その合成方法は、イオン性官能基を有する芳香族モノマーを高レベルで統合する。このようなポリマーを用いて合成された膜は、特に機械的及び熱安定性に関して、従来技術、特に上述の文献に記載されているものよりも極めて優れた品質を有する。
【0007】
よって、本発明は、次の式(I):
【化2】

[上式中:
− X及びY基は同一又は異なっており、H又はFを表し;
− Z基は、F又は過フッ化アルキル基を表し;
− W基は、CHO又はCFO又はCOを表し;
− Ar基は、少なくとも一の置換されていてもよい炭素含有芳香環を含む二価の基を表し;
− Q基は、単結合、1≦n≦10の(CF)、又はCOCを表し;
− G基は、好ましくは:
・RがOH、F又はClを表すSO;又は
・RがH又は置換されていてもよいアルキル基を表すP(=O)(OR);又は
・COH;
から選択される、カチオン交換基を表す]
の少なくとも一の繰り返し単位を含むフルオロポリマーに関する。
「繰り返し」なる用語は、この単位がポリマー鎖においてn倍繰り返されることを意味し、ここでnは有利には10〜1000である。
【0008】
第1の実施態様では、本発明のポリマーはホモポリマー型とすることができる。
第2の実施態様では、本発明のポリマーは、次の式(II):
【化3】

[上式中、R、R、R及びR基は同一又は異なっており、H、Cl、I、置換されていてもよいアルキル基、又はフッ化基で、一のフッ素原子又は少なくとも一のフッ素原子で置換されたアルキル基を含むものを表し、R、R、R及びR基の少なくとも一はフッ化基を表す]
の少なくとも一の繰り返し単位をさらに含む。
【0009】
これらのポリマーの化学式は、芳香族基(Ar)がCHO又はCO基によりフッ化基(CZ)に結合している点で、仏国特許出願公開第2843398号公報において提供されているものとは区別され、前記の点は、公報におけるW基の種類に対して示された可能性では予測されていなかった。
さらに、W=CFOの場合は、本発明のポリマーは、先の文献で使用されている方法では得ることができなかった値である0.5meq/gポリマー以上のイオン交換能により区別される。
これらのポリマーにおけるCHO又はCO基の存在と、これらのポリマーに対して特定されるイオン交換能値は、次の工程に一致し、本発明に従って開発されたこれらのポリマーの新規な合成方法に直接関連している。
【0010】
1/フッ化アクリル酸又はメタクリル酸等の、カルボン酸基を有するフッ化モノマーの単独重合:
このモノマーは、典型的に次の式(I'):
【化4】

[上式中、X、Y及びZは上述したものである]
を有する。もしくは
少なくとも一の他のフッ化モノマーを有するこのようなモノマーの重合。
コモノマーは、一般的に、次の式(II'):
【化5】

[上式中、R、R、R及びRは上に定義された通りである]
のフッ化脂肪族モノマーである。
【0011】
それらは、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VDF)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、1-ヒドロペンタフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブチレン、3,3,3-トリフルオロプロペン、及びより一般にはあらゆるフッ化又は過フッ化ビニル化合物を含む群から選択されるタイプのものであってよい。
さらに、ペルフルオロビニルエーテルは、コモノマーとしての役割も担っている。そのようなものとしては、アルキル基が1〜3の炭素原子を有するペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、例えばペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、及びペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)を挙げることができる。
【0012】
これらのモノマーは、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル(PAAVE)、例えば:
− ペルフルオロ-(2-n-プロポキシ)-プロピル-ビニルエーテル、
− ペルフルオロ-(2-メトキシ)-プロピル-ビニルエーテル、
− ペルフルオロ-(3-メトキシ)-プロピル-ビニルエーテル、
− ペルフルオロ-(2-メトキシ)-エチル-ビニルエーテル、
− ペルフルオロ-(3,6,9-トリオキサ-5,8-ジメチル)ドデカ-1-エン、
− ペルフルオロ-(5-メチル-3,6-ジオキソ)-1-ノネン、
であってもよい。
さらに、カルボキシル末端又はフッ化スルホニル末端を有するペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルモノマー(例えば、ペルフルオロ-(4-メチル-3,6-ジオキサオクト-7-エン)スルホニルフルオリド)もまたこの発明に記載されるフッ化エラストマーを合成するために使用することができる。
PAVE及びPAAVEの混合物もまた本発明のコポリマー中に存在し得る。
【0013】
重合は、溶液重合、塊状重合、乳化重合又はマイクロエマルション重合で実施される。使用される溶媒は、ClCFCFCl、C14、n-C10、ペルフルオロ-2-ブチルテトラヒドロフラン(FC 75)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、1,2-ジクロロエタン、イソプロパノール、tertイオブタノール(tertiobutanol)、アセトニトリル、又はブチロニトリルタイプのものである。使用される好ましい溶媒は、当業者により決定される量の、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、アセトニトリル、及びペルフルオロヘキサンである。
使用される重合開始剤は、アゾ類(例えばAIBN)、ジアルキルペルオキシジカルボナート類、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、アリール又はアルキルペルオキシド、例えば過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクミル、t-ブチルペルオキシド、t-アルキルペルベンゾアート、及びt-アルキルペルオキシピバラートである。しかし、好ましいものは、ジアルキルペルオキシド(有利にはt-ブチルペルオキシド)、ジアルキルペルオキシカルボナート、例えばジエチル及びジイソプロピルペルオキシカルボナート、及びt-アルキルペルオキシピバラート、例えばt-ブチル及びt-アミルペルオキシピバラート、さらにはt-アルキルペルオキシピバラートである。
よって、得られるポリマーは、コポリマー又はターポリマー型のものとすることもできる。
【0014】
2/カルボン酸官能基をアルコール形態に還元し、イオン性官能基を有する芳香族グラフトとポリマーを化学反応させる
この反応は、典型的には、テトラヒドロフラン中においてLiAlH4の存在下、90℃で生じる。
この反応は全体的又は部分的であってよい。
続いて、ミツノブ(Mitsunobu)反応により、スルホン、ホスホン又はカルボキシル型のイオン交換官能基をグラフトする。
グラフト源は、次の一般式(III'):
【化6】

を有する。
これは、例えばパラフェノールスルホン酸により添加されてもよい。
ここでもまた、反応は全体的又は部分的であってよい。
この反応により、W基がCHOを表す上述の式(I)の繰り返し単位を有するポリマーが生じる。
また、第2段階は、以下のようになるものであってもよい。
【0015】
2/イオン性官能基を有する芳香族グラフトのアルコール官能基を使用する、カルボン酸官能基のエステル化
グラフト源は、一般式(III')を有する上述のものと同じものである。
この反応後、W基がCOを表す上述の式(I)の繰り返し単位を有するポリマーが得られる。
場合によっては続いてフッ化する。
フッ化法では、SF又は希釈したHF等の化合物が伝統的に使用される。
この反応の終わりに、W基=COがCFOにより置換された上述の式(I)の繰り返し単位を含むポリマーが得られる。
【0016】
よって、本発明は、本発明のポリマーを使用して得られる膜の伝導性を制御することを可能にする合成方法に関する。単独重合の場合、この制御は、還元及び/又はグラフト化反応、又はエステル化(工程2)で実施される。重合の場合、アクリルモノマーの導入率も制御され得る(工程1)。
結局、この新規な方法は、イオン性官能基モル/全モルで少なくとも40〜60%の導入率を有するフルオロポリマーを得るのに使用することができる。よって、アクリル官能基の全て又は一部が、イオン性官能基を有する基を「歓迎」するように、変性させることができる。よって、ポリマーのIEC(meq/gで表されるイオン交換能)を調節することができる。
【0017】
本発明によれば、フルオロポリマーは、ポリマーの0.5meq/g以上、好ましくは1meq/g以上、さらには1.4meq/gのイオン交換能を有している。
よって、本出願人は、1.4meq/gのIECで0.01S/cmのプロトン伝導性を有する膜を、蒸発成型法(evaporation casting method)により生産することができた。この技術分野で一般的に使用される蒸発成型法は、溶媒にポリマーを可溶化させ、ついでこの溶液を基体に付着させることからなり、付着物の厚みはスペーサーにより制御される。ついで、必要に応じて加熱して溶媒を蒸発させ、その基体から膜を取り除く。
よって、本発明は、上述のポリマーを使用して得られる膜にも関する。最後に、このような膜を組み込んだ燃料電池システムに関する。
この発明は、決して限定的ではない以下に示す実施態様の実施例により例証される。
【実施例】
【0018】
A−フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)及びトリフルオロメチルアクリル酸(TFMAA)のターポリマー化
VDF、HEF及びTFMAAのターポリマー化を、圧力計、破裂板及び注入バルブを備えた160mlのオートクレーブ中で実施する。まず、20バールの窒素下で20分間、システムをドレインし、脱気又は漏れの何らかの危険性を防止する。
ついで、10gのTFMAA、80mlの1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、及び0.9gの開始剤(2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、工業用(tech)、90%)を、真空(20mmHg)にて注入バルブから添加する。
【0019】
次に、17gのHFPと22gのVDFを、二重秤量により添加する。
混合物を134℃まで10分加熱する。
反応後、混合物を室温まで冷却し、氷水浴に配する。ついで、物質を19F NMR分光法により分析する。溶媒を蒸発させ、沈殿物をDMFに可溶化させ、次に冷水中に沈殿させる。ついで、これを濾過し、室温、真空(20mmHg)にて48時間、P上で乾燥させる。
【0020】
B−先に得られたポリマーのカルボキシル官能基の還元
TFMAAのカルボン酸官能基の還元を、中性雰囲気にて、還流用カラムが搭載された三口フラスコ中において、4nmolのLiAlHを用いて実施する。ポリマーを無水THFに溶解させ、三口フラスコに添加する。
ついで、混合物を90℃の温度まで加熱する。
カルボン酸官能基の還元は、反応3時間後に達成される。過剰のLiAlH4を、過剰の塩酸(水中に10%)で中和させ、よって固形沈殿物を生成させる。
フルオロポリマーを、ペンタン中、寒冷沈殿反応により精製する。この反応は70%の収率をもたらす。
【0021】
C−先に得られたアルコール官能基のエーテル化によるイオン性官能基を有するモノマーのグラフト化
4フェノールスルホン酸を用いたターポリマーのアルコール官能基のエーテル化のためにミツノブ反応を使用する[O. Mitsunobu, Synthesis, 1, 1981, 1-28]。
12.50g(0.048mol)のトリフェニルホスフィン、10.1g(0.058mol)の4-フェノールスルホン酸(予めMgSO上で乾燥)及び60mlのTHF(60ml)を含有する溶液を、100mlのTHFに10.1gのジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.051mol)及び8.1gのターポリマーが入った溶液に添加する。
トリフェニルホスフィンオキシドとジイソプロピルヒドラジンジカルボキシラートの白色沈殿物が素早く現れる。
室温で攪拌して24時間後、濾過により白色沈殿物を除去する。ついで、濾液を蒸発させ、残渣をアセトニトリルに溶解させる。トリフェニルホスフィンオキシドを、ヘキサン中での液/液抽出により完全に除去する。
最後に、ターポリマーを、ヘプタン中で寒冷沈殿させ、真空(20mmHg)にて48時間、P上で乾燥させる。収率は60%である。
【化7】

【0022】
D−合成したポリマーを使用するプロトン交換膜の調製
10gのターポリマー(質量で80%のフェノールスルホン酸を含有)を、室温で1時間、N-メチルピロリドン(100ml)に溶解させる。
ついで、蒸発形成法を使用して膜を形成する。
溶媒を60℃で6時間蒸発させる。ついで、HSOの1M溶液にて4時間、膜を酸性化した後、脱イオン水の溶液で洗浄する。この膜は、約1.3meq/ポリマーgのIECで0.01S/cmの伝導性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(I):
【化1】

[上式中:
− X及びY基は同一又は異なっており、H又はFを表し;
− Z基は、F又は過フッ化アルキル基を表し;
− W基は、CHO又はCFO又はCOを表し;
− Ar基は、少なくとも一の置換されていてもよい炭素含有芳香環を含む二価の基を表し;
− Q基は、単結合、1≦n≦10の(CF)、又はCOCを表し;
− G基は:
・RがOH、F又はClを表すSO;又は
・RがH又は置換されていてもよいアルキル基を表すP(=O)(OR);又は
・COH;
から選択されるカチオン交換基を表す]
の少なくとも一の繰り返し単位を含み、0.5meq/gポリマー以上のイオン交換能を有するフルオロポリマー。
【請求項2】
次の式(II):
【化2】

[上式中、R、R、R及びR基は同一又は異なっており、H、Cl、I、置換されていてもよいアルキル基、あるいはフッ素原子又は少なくとも一のフッ素原子で置換されたアルキル基を含むフッ化基を表し、R、R、R及びR基の少なくとも一はフッ化基を表す]
の少なくとも一の繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマー。
【請求項3】
コポリマー又はターポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフルオロポリマー。
【請求項4】
次の工程:
a)次の式(I'):
【化3】

の少なくとも一のモノマーの単独重合;又は次の式(II'):
【化4】

の少なくとも一のモノマーとの次の式(I'):
【化5】

の少なくとも一のモノマーの重合
(前記式において:
− X及びY基は同一又は異なっており、H又はFを表し;
− Z基は、F又は過フッ化アルキル基を表し;
− R、R、R及びR基は同一又は異なっており、H、Cl、I、置換されていてもよいアルキル基、あるいはフッ素原子又は少なくとも一のフッ素原子で置換されたアルキル基を含むフッ化基を表し、R、R、R及びR基の少なくとも一はフッ化基を表す);
b)カルボキシル官能基のアルコール官能基への還元と、続くこのアルコール官能基へのミツノブ反応を使用する、次の式(III'):
【化5】

の、イオン性官能基を有する芳香族モノマーのグラフト化
(前記式において:
− Ar基は、少なくとも一の置換されていてもよい炭素含有芳香環を含む二価の基を表し;
− Q基は、単結合、1≦n≦10の(CF)、又はCOCを表し;
− G基は:
・RがOH、F又はClを表すSO;又は
・RがH又は置換されていてもよいアルキル基を表すP(=O)(OR);又は
・COH;
から選択されるカチオン交換基を表し;又は
式(III')のイオン性官能基を有する芳香族モノマーを使用するカルボン酸官能基のエステル化で、場合によってはフッ化が続くもの;
を含む、フルオロポリマーの合成方法。
【請求項5】
式(I')のモノマーが、フッ化されたアクリル酸又はメタクリル酸、好ましくはトリフルオロメチルアクリル酸(TFMAA)であることを特徴とする、請求項4に記載のフルオロポリマーの合成方法。
【請求項6】
式(II')のモノマーが、フッ化ビニリデン(VDF)及び/又はヘキサフルオロプロペン(HFP)であることを特徴とする、請求項4又は5に記載のフルオロポリマーの合成方法。
【請求項7】
工程a)が重合開始剤の存在下で実施されることを特徴とする、請求項4ないし6のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの合成方法。
【請求項8】
工程b)における、カルボン酸官能基のアルコール官能基への還元が、テトラヒドロフランからなる溶媒とLiAlH触媒の存在下で90℃で実施されることを特徴とする、請求項4ないし7のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの合成方法。
【請求項9】
式(III')のモノマーが、パラフェノールスルホン酸からなることを特徴とする、請求項4ないし8のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの合成方法。
【請求項10】
工程b)のフッ化が、SF又は希釈したHFの存在下で実施されることを特徴とする、請求項4ないし7又は9のいずれか一項に記載のフルオロポリマーの合成方法。
【請求項11】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の少なくとも一のポリマーを含む膜。
【請求項12】
請求項11に記載の少なくとも一の膜を含む燃料電池システム。

【公表番号】特表2008−517134(P2008−517134A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537348(P2007−537348)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050857
【国際公開番号】WO2006/042994
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】