説明

フレキシブルプリント基板、フレキシブルプリント基板への実装方法及びそれを搭載した光ピックアップ装置

【課題】本発明は、フレキシブルプリント基板にバンプを形成したICベアチップを加熱圧縮して実装するフリップチップ法において、ICベアチップとフレキシブルプリント基板との接合部の信頼性を高めたフレキシブルプリント基板、フレキシブルプリント基板への電子部品の実装方法およびそれを搭載した光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のフレキシブルプリント基板は、ICベアチップに形成したバンプとの電気接合をする電極部を設けたフレキシブルプリント基板であって、バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、電極部は、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をICベアチップなどの状態でフレキシブルプリント基板に実装するフリップチップ実装に関し接合部の信頼性を高めたフレキシブルプリント基板、及びこのフレキシブルプリント基板への実装方法及びそれを搭載した光ピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ及びそれに搭載する光ディスク装置などの電子機器の小型化、軽量化などによって、その電子機器内で使用するフレキシブルプリント基板上への電子部品の高密度実装が要求されている。半導体部品の実装形態は樹脂モールドされたパッケージICを実装する形態から基板に直接ICのICベアチップを実装するフリップチップ実装と呼ばれる形態とする実装形態が採用されてきている。これにより各種電子機器の小型化を図り、特にフレキシブルプリント基板への実装にはこの形態が採用されてきている。
【0003】
このフリップチップ実装と呼ばれる方法は、フレキシブルプリント基板に接続するために、ICベアチップ上の電極にバンプを形成し、フレキシブルプリント基板側にはバンプと接続する電極を設けて、この電極部であるランド部には異方性導電フイルム(AFCとも呼ぶ)を貼付けて接合させるAFC接続方法がある。
【0004】
この方法では、バンプを設けたICベアチップと異方性導電フイルムを貼り付けたフレキシブルプリント基板の電極部の位置決めし接続した後、加熱加圧して異方性導電フイルムを熱硬化させて電気接続してフレキシブルプリント基板にICベアチップを実装する。
【0005】
これらに関係する技術として例えば(先行文献1)がある。
【特許文献1】特開2006−114664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フレキシブルプリント基板にバンプを形成したICベアチップを加熱圧縮して実装するフリップチップ方法においては、ICベアチップとフレキシブルプリント基板との接合を異方性導電フイルムの硬化収縮力で保持している。
【0007】
しかしながらICベアチップのファインピッチ化やバンプの小型化形状に伴い、異方性導電フイルムの硬化収縮力が減少して接合部の信頼性が低下する可能性が出てきた。さらに、光ピックアップ装置の受光素子等(例えばOEIC)をフリップチップ法で実装するとき、受光素子等の受光部に対応する位置のフレキシブルプリント基板には貫通孔部が必要となる為、接合部における異方性導電フイルムの貼付が受光部の貫通孔部を避けて貼付けることになり、受光素子等の形状によっては接合部の充分な接着力が得られず、その結果ICベアチップ実装後の他の電子部品などの実装のときに、接着した接合部分の接合にずれ発生するという課題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、フレキシブルプリント基板にバンプを形成したICベアチップを加熱圧縮して実装するフリップチップ法において、ICベアチップとフレキシブルプリント基板との接合部の信頼性を高めたフレキシブルプリント基板、フレキシブルプリント基板への実装方法及びそれを搭載した光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のフレキシブルプリント基板は、ICベアチップに形成したバンプとの電気接合をする電極部を設けたフレキシブルプリント基板であって、バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、電極部は、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント基板である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、電極部は、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたこととにより、バンプの先端部分はこのスリット部に入り込み、バンプの突起の先端部分より断面の広いバンプの根元部分は電極部の導電部に接合できるようになるので、接合面積が広くなりICベアチップとプリント基板との接合の信頼性とあげることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の発明は、ICベアチップに形成したバンプとの電気接合をする電極部を設けたフレキシブルプリント基板であって、バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、電極部は、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント基板である。
【0012】
この構成によれば、バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、電極部は、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたこととにより、バンプの先端部分はこのスリット部に入り込み、バンプの突起の先端部分より断面の広いバンプの根元部分は電極部の導電部に接合できるようになるので、接合面積が広くなりICベアチップとプリント基板との接合の信頼性とあげることができるようになる。
【0013】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、電極部は、フレキシブルプリント基板上の配線部方向に沿った端に設けられ、スリット部は、配線部の配線方向と略同一の方向に長くしたものである。
【0014】
この構成によれば、スリット部は、配線部の配線方向と略同一の方向に長くしたことにより、フレキシブルプリント基板の配線方向に長いので、フレキシブルプリント基板との位置決め裕度が確保できてICベアチップの実装が容易になる。
【0015】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、電極部は、フレキシブルプリント基板上の配線部方向に沿った端に設けられ、スリット部は、配線部の方向と略同一の方向に長いスリット部と、配線部の略直角の方向に長くしたものである。
【0016】
この構成によれば、スリット部の配線部の方向と略同一の方向に長いスリット部と、配線部の略直角の方向に長いスリット部としたことにより、フレキシブルプリント基板の配線方向に長いので、フレキシブルプリント基板との位置決め裕度が確保できてICベアチップの実装が容易になるとともに、フレキシブルプリント基板とバンプ12との接合部分にずれ方向の応力が加わっても接合の信頼性を高めることができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3記載の発明において、ICベアチップは中央部に受光部を備えたチップであり、フレキシブルプリント基板は、受光部に対向する位置に貫通孔部を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、ICベアチップが光ピックアップ装置に用いるOEICのように受光素子の受光部窓のためにフレキシブルプリント基板のICベアチップの中央部に該当する部分に貫通孔があってもICベアチップとフレキシブルプリント基板との接合の信頼性と上げることができるようになる。
【0019】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項3記載の発明において、ICベアチップが光ピックアップの受光素子であり、フレキシブルプリント基板は、受光素子の受光部に対向する位置に貫通孔部を備えたものである。
【0020】
この構成によれば、ICベアチップがOEICのように受光素子の受光部窓のためにフレキシブルプリント基板のICベアチップの中央部に該当する部分に貫通孔があってもICベアチップとフレキシブルプリント基板との接合の信頼性と上げることができるようになる。
【0021】
本発明の請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、請求項1記載のフレキシブルプリント基板の電極と請求項1記載のバンプと、前記電極部と前記バンプ部とを電気結合する異方性導電フイルムを備えたものである。
【0022】
この構成によれば、バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、電極部は、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたこととにより、バンプの先端部分はこのスリット部に入り込み、バンプの突起の先端部分より断面の広いバンプの根元部分は電極部の導電部に接合できるようになるので、接合面積が広くなりICベアチップとプリント基板との接合の信頼性とあげた電子部品を提供できるようになる。
【0023】
本発明の請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、ICベアチップは中央部に受光部を備えたチップであり、フレキシブルプリント基板は受光部に対向する位置に貫通孔部を備え異方性導電フイルムは貫通孔の外側に配置したことを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、ICベアチップは中央部に受光部を備えたチップであり、フレキシブルプリント基板は受光部に対向する位置に貫通孔部を備え異方性導電フイルムは貫通孔の外側に配置したことにより、受光特性にはなんらの影響もさせずに、しかもICベアチップのバンプとフレキシブルプリント基板との電気的接合の信頼性を高めることができるようになる。
【0025】
本発明の請求項8記載の発明は、請求項7記載の電子部品を搭載した光ピックアップ装置である。
【0026】
この構成によれば、光ピックアップ装置に搭載することにより、ICベアチップのバンプとフレキシブルプリント基板との電気的接合の信頼性の高い光ピックアップ装置を提供できるようになる。
【0027】
本発明に請求項9記載の発明は、ICベアチップに根元部の径より先端部の径を小さい径としたバンプを形成するステップと、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたフレキシブルプリント基板の電極部に異方性導電フイルムを貼り付けるステップと、電極部のスリット部にバンプの先端部を位置合わせするステップと、バンプ部と電極部を接続するステップと、ICベアチップを加圧加熱して異方性導電フイルムを熱硬化させるステップと、備えたことを特徴とする前記ICベアチップを前記フレキシブルプリント基板に実装する電子部品の実装方法である。
【0028】
この方法によれば、バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、電極部は、バンプの先端の径より広い幅でかつバンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたこととにより、バンプの先端部分はこのスリット部に入り込み、バンプの突起の先端部分より断面の広いバンプの根元部分は電極部の導電部に接合できるようになるので、接合面積が広くなりICベアチップとプリント基板との接合の信頼性とあげることができるようになる。
【0029】
本発明に請求項10記載の発明は、受光部を備えたICベアチップに根元部の径より先端部の径を小さい径としたバンプを形成するステップと、バンプの先端の径より広い幅でかつ前記バンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたフレキシブルプリント基板の電極部に異方性導電フイルムを貼り付けるステップと、電極部のスリット部にバンプの先端部を位置合わせするステップと、バンプ部と電極部を接続するステップと、ICベアチップを加圧加熱して異方性導電フイルムを熱硬化させるステップとを、備え、異方性導電フイルムは、受光部に対応する位置に設けたフレキシブルプリント基板の貫通孔の外周部を含んで貼りつけたことを特徴とする前記ICベアチップを前記フレキシブルプリント基板に実装する電子部品の実装方法である。
【0030】
この方法によれば、フレキシブルプリント基板の貫通孔を覆わないようにすることで、ICベアチップの受光に際して不具合が発生せず受光することができるし、また、外周部Rにできるだけ近くに貼りつけることでACFの接着強度が増し、またACFの厚みでフレキシブルプリント基板がたわんで接合部に応力が働くことを減らして接合部の信頼性を高めることができる。
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係わるICベアチップに形成するバンプの形成手順を示した図である。
【0033】
半導体のICベアチップ11の電極13には、フレキシブルプリント基板と接続するためにバンプと呼ぶ突起を形成する。図1では、バンプを金(Au)とするAuバンプを例として説明する。
【0034】
図1(a)に示すように、ワイヤボンダ等を用いて、Auワイヤ21をキャピラリ22から伸ばした先端を放電溶融によってAuボール23を生成する。なお、放電溶融を行うとき、印加電圧をコントロールすることで、所望のAuボールの大きさにすることができるようにしている。
【0035】
所望のAuボールを形成したあと、図1(b)に示すように、Auワイヤ21の先端部にAuボ−ル23を形成したAuワイヤ21は、ICベアチップ11の電極部13にAuボール23を超音波圧着する。ICベアチップ11の電極部13に超音波圧着したあと、Auワイヤ21を引きちぎることにより図1(c)に示すようにバンプ12を形成する。
【0036】
ICベアチップ11に形成したバンプ12は、第1突起部12aと第2突起部12bからなり、第2突起部12bは第1突起部12aに形成されている。また第2突起部12bの幅(径)W2は、第1突起部12aの幅(径)W1より狭い構成である。第2突起部12bは、根元径より先端径を細くなる構成としている。
【0037】
形成したバンプ12の径は、第1突起部12aが50〜140μmで第2突起部12bの根元の径(W2)はおよそ20〜30μmとし、第2突起部12bの先端部の径(W2T)は引きちぎられて構成されおよそ5〜15μmとなる。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態1に係わるフレキシブルプリント基板のICベアチップを実装する位置を示した図である。
【0039】
図2に示すように、ICベアチップ11が光ピックアップ装置に用いられる受光素子のとき、光ビームを効率よく受光するために、ICベアチップ11をフレキシブルプリント基板201の実装する領域Aの中央部には、貫通孔部203を設けている。従って、ICベアチップ11と接続するフレキシブルプリント基板201に配置される電極202は貫通孔部203の周辺に配置している。
【0040】
フレキシブルプリント基板201の電極202は、ICベアチップ11のバンプ12との結合を強化する構成としている。この構成について以下に説明をする。
【0041】
図3は、本発明の実施の形態1に係わるフレキシブルプリント基板の電極を示した図である。
【0042】
図3に示すようにフレキシブルプリント基板201は、ベース基板205とベース基板205上に配線部206と、配線部206に電子部品と接合させるランドである電極202とを供えている。
【0043】
電極202は、ICベアチップ11と接合する部分に、ICベアチップ11のバンプ12の第2突起部12bの先端に対向する位置にスリット207を形成している。バンプ12の第2突起部12bとこのスリット207とを位置あわせしてフレキシブルプリント基板201にICベアチップ11を実装する。
【0044】
スリット207の幅W3は、バンプ12の第2突起部12bの先端幅W2Tより広くかつバンプ12の第2突起部12bの根元の幅W2より僅かに狭くしている。これにより、フレキシブルプリント基板201にICベアチップ11を実装するとき、バンプ12と電極202との接続する領域が増加して接合範囲が増加し接合の信頼性が増加する。
【0045】
前述のように形成したバンプ12の径は第1突起部12aで50〜140μm、第2突起12bの根元で20〜30μmとし、第2突起部12bの先端W2Tは5〜15μmとしているので、フレキシブルプリント基板201の電極であるランドのスリット207の幅W3はW2Tよりも大きく、第2の突起部の根元径W2より小さい15〜28μmとすればよい。
【0046】
ICベアチップ11のバンプ12とフレキシブルプリント基板201の電極202との接合プロセスについて以下に説明する。
【0047】
図4は、本発明の実施の形態1に係わるICベアチップをフレキシブルプリント基板に実装するプロセスを示した図である。
【0048】
図4において、201はフレキシブルプリント基板、202は電極、203は貫通孔部、204は異方性導電フイルム(ACF)である。
【0049】
異方性導電フイルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)204は、熱硬化性のエポキシ樹脂の中に金粒子などの導電性粒子を分散させた封止樹脂であり、バンプ12とフレキシブルプリント基板201の電極202間の導通と両者の接着固定をするものである。
【0050】
図4(a)に示すように、ICベアチップ11のバンプ12をフレキシブルプリント基板201上の実装する電極202に異方性導電フイルム(以下、ACFとも呼ぶ)204を貼りつける。異方性導電フイルム204の貼付けのときには、フレキシブルプリント基板201には、ICベアチップ11を実装する位置の電極202の間に貫通孔部203が設けてあるので、ACF204は電極202を覆うとともに貫通孔部203は覆わないように貼付ける。
【0051】
図4(b)に示すように、フレキシブルプリント基板201に異方性導電フイルム(ACF)204を貼り付けたあと、フレキシブルプリント基板201の背面にバックプレート208をおきICベアチップ11のバンプ12をフレキシブルプリント基板201の電極202に位置合わせし接読したあとで、図4(b)のようにICベアチップ11の上から加圧加熱し、ACF204を熱硬化させてICベアチップ11のバンプ12とフレキシブルプリント基板201の電極202とを電気接合して固定させ、図4(c)のようにフレキシブルプリント基板201にICベアチップ11を実装する。
【0052】
図5は、本発明の実施の形態1に係わるICベアチップとフレキシブルプリント基板との接合断面図である。
【0053】
図5に示すように、フレキシブルプリント基板201の電極202とICベアチップ11とを電気結合するときには、電極202に設けたスリット207とバンプの第2突起部12bとを位置合わせしたのちICベアチップ11の上から圧縮加熱してACF204を硬化させて固定する。
【0054】
従って、ICベアチップ11に形成した第1突起部12aと第2突起部12bに形成し第1突起部12aより小さい幅の第2突起部12bを有するバンプ12と電気接合する電極部102を、第2突起部12bの先端部と対向する位置に第2突起部12bの先端部の幅W2Tより大きくかつ第2突起部12bの根元幅W2より小さい幅のスリット207としたことにより、バンプ12の第2突起部12bの先端部分はこのスリット207に入り込みながら電極202と接合できるようになるので、スリット207も設けていない構成よりも、バンプ12と電極202との接合面積が広くなりICベアチップ11とフレキシブルプリント基板201との接合部の信頼性とあげることができるようになる。その結果、ICベアチップ11を実装後に他の部品をフレキシブルプリント基板201に実装するときにおいても、接合に不具合が生ずることがなくなる。
【0055】
図6は、本発明の実施の形態に係わるACF貼付けの位置を示す図である。
【0056】
図6においてはACF204の貼付けた状態の一例を示している。ACF204は、フレキシブルプリント基板201のICベアチップ11を実装する位置に設けた電極202を覆うとともに、ICベアチップ11の受光部に対応する貫通孔部203の周辺部Rの外周に貼付ける。
【0057】
ACF204の貼付けは、貫通孔部203を覆わないようにすることで、ICベアチップ11の受光に際して不具合が発生せず受光することができる。また、外周部Rにできるだけ近くに貼りつけることでACF204の接着強度が増すとともに、ACF204を貼り付けたことによって厚みでフレキシブルプリント基板201の曲げに対する強度が増し、フレキシブルプリント基板201がたわんで接合部に応力が働くことを減らすことができ、接合部の信頼性を高めることができる。
【0058】
図7は、本発明の実施の形態に係わる光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図、図8は本発明の実施の形態に係わる光ピックアップ装置の構成を示す図である。この光ピックアップ装置100はDVDに対してもCDに対しても記録及び再生を行うことができる。
【0059】
光源101は光ディスク109に向けてDVD用のレーザ光またはCD用のレーザ光を出射する。
【0060】
回折素子102は、DVD用のレーザ光をそのまま通過させ、CD用のレーザ光をトラッキング制御に用いられるように3本のレーザ光に分離する回折格子を備える。集積プリズム103は、光学機能膜を形成した複数の斜面を内部に有する。集積プリズム103は、光源101から出射されたレーザ光を光ディスク109に向けてほぼそのまま通過させる。集積プリズム103は、光ディスク109で反射されたレーザ光を光源101ではなく、受光素子110に向かわせる。さらに、集積プリズム103は、DVD用のレーザ光とCD用のレーザ光に分離し、CD用ホログラム103aでCD用のレーザ光をフォーカス制御に用いられる光とトラッキング制御に用いられる光に分離する。
【0061】
コリメートレンズ104は、光源101から出射された発散光であるレーザ光を平行光に変換する。光路折り曲げミラー105は、光ディスク109にほぼ平行な面内でレーザ光を反射させて光路を折り曲げることで光ピックアップ装置100全体の大きさを小さくする。また、光路折り曲げミラー105は、光源の光量を制御するための検出手段である光量制御用光検出器111に入射するようにレーザ光の一部を透過させる。立ち上げプリズム106は、対物レンズ108を挟んで光ディスク109と反対側に配置され、光ディスク109に対してほぼ平行であったレーザ光をほぼ直角に立ち上げる。
【0062】
ホログラム素子107は1/4波長板107aとDVD用ホログラム107bとで構成される。1/4波長板107aは光源101から出射された直線偏光のレーザ光を円偏光のレーザ光に変換する。そして、光ディスク109で反射された円偏光のレーザ光を往きのレーザ光とは90°ずれた直線偏光に変換する。DVD用ホログラム107bは、光ディスク109で反射されたDVD用のレーザ光に作用し、フォーカス制御に用いられる光とトラッキング制御に用いられる光を分離する。対物レンズ108は光源101から出射され、コリメートレンズ104で平行光に変換されたレーザ光を光ディスク109に集束させる。
【0063】
受光素子110は、光源101から出射され光ディスク109で反射されたレーザ光を検出し、RF信号、フォーカス制御用信号、トラッキング制御用信号等に用いられるように電気信号に変換して出力する。光量制御用光検出器111は、光源101から出射されたレーザ光を検出し、光源101の出力の制御に用いられるように電気信号に変換して出力する。
【0064】
光ピックアップ装置100において、光源101、回折素子102、集積プリズム103、受光素子110は、レーザモジュールとして一体化されて基台112に固定される。コリメートレンズ104、光路折り曲げミラー105、立ち上げプリズム106、光量制御用光検出器111は、直接または取付部材を介して基台112に固定される。対物レンズ108、ホログラム素子107は、対物レンズ駆動装置113に組み込まれて、対物レンズ駆動装置113が基台112に固定される。
【0065】
図9は、本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置の外観図である。
【0066】
図9において、筐体71は上部筐体71aと下部筐体71bを組み合わせてネジなどを用いて互いに固定して構成されている。トレイ72は筐体71に出没自在に設けられている。トレイ72はカバー57を取り付けた光ピックアップモジュール50を下面側から配置する。カバー57は開口を有し、光ピックアップ装置100の対物レンズ及びスピンドルモータ52のターンテーブル52aを露出させる。さらに本実施の形態12の場合、フィードモータ53も露出させて、カバー57の厚さの分だけ光ピックアップモジュール50の厚さが薄くなるようにしている。トレイ72は開口を有し、対物レンズ及びスピンドルモータ52のターンテーブル52a、カバー57の少なくとも一部を露出させる。ベゼル73はトレイ72の前端面に設けられて、トレイ72が筐体71内に収納されたときにトレイ72の出没口を塞ぐように構成されている。ベゼル73にはイジェクトスイッチ74が設けられ、イジェクトスイッチ74を押すことで、筐体71とトレイ72との係合が解除され、トレイ72は筐体71に対し出没が可能な状態となる。レール75はそれぞれトレイ72の両側部及び筐体71の双方に摺動自在に取り付けられる。筐体71内部やトレイ72内部には図示していない回路基板があり、信号処理系のICや電源回路などが搭載されている。外部コネクタ76はコンピュータ等の電子機器に設けられた電源/信号ラインと接続される。そして、外部コネクタ76を介して光ディスク装置70内に電力を供給したり、あるいは外部からの電気信号を光ディスク装置70内に導いたり、あるいは光ディスク装置70で生成された電気信号を電子機器などに送出する。
【0067】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に関しては、実施の形態1と重複する構成については説明を省略する。
【0068】
図10は、本発明の実施の形態2に係わるフレキシブルプリント基板の電極を示した図である。
【0069】
図10に示すようにフレキシブルプリント基板301は、ベース基板305とベース基板305上に配線部306と、配線部306に電子部品と接合させるランドである電極302とを供えている。
【0070】
電極302は、ICベアチップ11と接合する部分に、ICベアチップ11のバンプ12の第2突起部12bの先端に対向する位置にスリット部307を形成している。バンプ12の第2突起部12bとこのスリット部307とを位置あわせしてフレキシブルプリント基板301にICベアチップ11を実装する。
【0071】
スリット部307は、配線部306と略同一の方向に形成されたスリット部307aと配線部306と略直角な方向に形成されたスリット部307bとを設けている。図10では隣り合う電極302で異なる方向に形成した図をモデルで図示しているが、いくつかの電極302のうちいくつかだけを異なる方向にした構成でもよい。
【0072】
スリット部307aの幅W3は、バンプ12の第2突起部12bの先端幅W2Tより広くかつバンプ12の第2突起部12bの根元の幅W2より僅かに狭くしている。また、スリット部307bの幅W4は、バンプ12の第2突起部12bの先端幅W2Tより広くかつバンプ12の第2突起部12bの根元の幅W2より僅かに狭くしている。
これにより、フレキシブルプリント基板301にICベアチップ11を実装するとき、バンプ12と電極202との接続する領域が増加して接合範囲が増加し接合の信頼性が増加する。また、フレキシブルプリント基板301とバンプ12との接合部分にずれ方向の応力が加わっても接合の信頼性を高めることができる。
【0073】
前述のように形成したバンプ12の径は第1突起部12aで50〜140μm、第2突起部12bの根元で20〜30μmとし、第2突起部12bの先端W2Tは5〜15μmとしているので、フレキシブルプリント基板301の電極であるランドのスリット207の幅W3及びスリット207bの幅W4はW2Tよりも大きく、第2の突起部の根元幅W2より小さい15〜28μmとすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明にかかるフレキシブルプリント基板、フレキシブルプリント基板への実装方法及びそれを搭載した光ピックアップ装置は、ICベアチップに形成したバンプとフレキシブルプリント基板の電極との接合の信頼性を増加することができるようになるので、フリップチップ実装する電子機器用として、特に受光部を有する受光素子を実装するフレキシブルプリント基板への実装に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1に係わるICベアチップに形成するバンプの形成手順を示した図
【図2】本発明の実施の形態1に係わるフレキシブルプリント基板のICベアチップを実装する位置を示した図
【図3】本発明の実施の形態1に係わるフレキシブルプリント基板の電極を示した図
【図4】本発明の実施の形態1に係わるICベアチップをフレキシブルプリント基板に実装するプロセスを示した図
【図5】本発明の実施の形態1に係わるICベアチップとフレキシブルプリント基板との接合断面図
【図6】本発明の実施の形態1に係わるACF貼付けの位置を示す図
【図7】本発明の実施の形態1に係わる光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図
【図8】本発明の実施の形態1に係わる光ピックアップ装置の構成を示す図
【図9】本発明の実施の形態1に係わる光ディスク装置の外観図
【図10】本発明の実施の形態2に係わるフレキシブルプリント基板の電極を示した図
【符号の説明】
【0076】
11 ICベアチップ
12 バンプ
70 光ディスク装置
100 光ピックアップ装置
110 受光素子
201 フレキシブルプリント基板
202 電極
203 貫通孔部
204 異方性導電フィルム(ACF)
205 ベース基板
206 配線部
207 スリット
208 バックプレート
301 フレキシブルプリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICベアチップに形成したバンプとの電気接合をする電極部を設けたフレキシブルプリント基板であって、
前記バンプは根元部の径より先端部の径を小さい径とし、
前記電極部は、前記バンプの先端の径より広い幅でかつ前記バンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
前記電極部は、フレキシブルプリント基板上の配線部方向に沿った端に設けられ、
前記スリット部は、前記配線部の配線方向と略同一の方向に長くしたことを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項3】
前記電極部は、フレキシブルプリント基板上の配線部方向に沿った端に設けられ、
前記スリット部は、前記配線部の方向と略同一の方向に長いスリット部と、前記配線部の略直角の方向に長いスリット部を備えたことを特徴とする請求項1記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項4】
前記ICベアチップは中央部に受光部を備えたチップであり、
前記フレキシブルプリント基板は、前記受光部に対向する位置に貫通孔部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項5】
前記ICベアチップが光ピックアップの受光素子であり、前記フレキシブルプリント基板は、前記受光素子の受光部に対向する位置に貫通孔部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項6】
請求項1記載のフレキシブルプリント基板の電極と請求項1記載のバンプと、
前記電極部と前記バンプ部とを電気結合する異方性導電フイルムを備えたことを特徴とする電子部品。
【請求項7】
前記ICベアチップは中央部に受光部を備えたチップであり、
前記フレキシブルプリント基板は前記受光部に対向する位置に貫通孔部を備え前記異方性導電フイルムは前記貫通孔の外側に配置したことを特徴とする請求項6記載の電子部品。
【請求項8】
前記請求項7記載の電子部品を搭載した光ピックアップ装置。
【請求項9】
ICベアチップに根元部の径より先端部の径を小さい径としたバンプを形成するステップと、
前記バンプの先端の径より広い幅でかつ前記バンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたフレキシブルプリント基板の電極部に異方性導電フイルムを貼り付けるステップと、
前記電極部の前記スリット部に前記バンプの先端部を位置合わせするステップと、
前記バンプ部と前記電極部を接続するステップと、
前記ICベアチップを加圧加熱して前記異方性導電フイルムを熱硬化させるステップと、
を、備えたことを特徴とする前記ICベアチップを前記フレキシブルプリント基板に実装する電子部品の実装方法。
【請求項10】
受光部を備えたICベアチップに根元部の径より先端部の径を小さい径としたバンプを形成するステップと、
前記バンプの先端の径より広い幅でかつ前記バンプの根元の径より狭い幅のスリット部を備えたフレキシブルプリント基板の電極部に異方性導電フイルムを貼り付けるステップと、
前記電極部の前記スリット部に前記バンプの先端部を位置合わせするステップと、
前記バンプ部と前記電極部を接続するステップと、
前記ICベアチップを加圧加熱して前記異方性導電フイルムを熱硬化させるステップと、
を、備え、
前記異方性導電フイルムは、前記受光部に対応する位置に設けたフレキシブルプリント基板の貫通孔の外周部を含んで貼りつけたことを特徴とする前記ICベアチップを前記フレキシブルプリント基板に実装する電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−212195(P2009−212195A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51795(P2008−51795)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】