説明

フレキシブルプリント配線板

【課題】電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することができるフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【解決手段】フレキシブルプリント配線板1は、基材2と、基材2の表面上に設けられた導体5と、導体5の表面上に設けられた絶縁層7とを備える。そして、絶縁層7が、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の部品として用いられるフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化・軽量化の要請から、電子機器分野においては、様々な電子部品が実装されたフレキシブルプリント配線板が使用されている。例えば、液晶パネルやプラズマディスプレイパネル等の電子機器においては、ベースとなる基材の表面に導体を設けるとともに、導体により形成された導体回路パターンを有する回路部と、導体により形成された配線パターンを有する配線部とを備えるフレキシブルプリント配線板が使用されている。
【0003】
また、一般に、このようなフレキシブルプリント配線板においては、上述の導体回路パターンや配線パターンを保護するために、導体を覆うように、絶縁層が設けられている。そして、このような絶縁層として、一般に、導体を覆うべく、当該導体の表面上に積層された接着剤層と、当該接着剤層の表面上に積層された樹脂フィルムにより構成されたカバーレイフィルムが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
次に、このようなカバーレイフィルムが使用された従来のフレキシブルプリント配線板の一例を、図面を参照して説明する。図3、図4に示すように、フレキシブルプリント配線板60は、絶縁性の基材50と、接着剤層70を介して、基材50の表面上に設けられ、所定の導体回路パターン49を有するとともに、電子部品が搭載される回路部(または、電子部品搭載部)51が形成された導体52と、当該導体52の表面に設けられ、導体52上に積層された接着剤層71と、その上に積層された樹脂フィルム72により構成された絶縁層であるカバーレイフィルム53と、導体52により形成され、回路部51から引き出された配線パターン54を有する入力配線部55、および出力配線部56を備えている。また、このフレキシブルプリント配線板60においては、図3、図4に示すように、入力配線部55には、配線パターン54に接続された入力端子部58が設けられるとともに、出力配線部56には、配線パターン54に接続された出力端子部57が設けられている。そして、このフレキシブルプリント配線板60を液晶パネル等の電子機器に使用する場合は、一般に、異方導電性フィルムや半田付けにより、配線パターン54の先端に形成された端子部(例えば、出力端子部57)を被接続部材である電子機器の導体パターンに接続する構成となっている。
【0005】
また、図3に示すように、入力配線部55には折り曲げ部80が設けられており、入力端子部58を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、当該折り曲げ部80を折り曲げることにより、入力端子部58と電子機器の導体パターンとの位置合わせを行い、入力端子部58を電子機器の導体パターンと電気的に接続する構成となっている。また、同様に、図3に示すように、出力配線部56には折り曲げ部81が設けられており、出力端子部57を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、当該折り曲げ部81を折り曲げることにより、出力端子部57と電子機器の導体パターンとの位置合わせを行い、出力端子部57を電子機器の導体パターンと電気的に接続する構成となっている。
【特許文献1】特開平7−86719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のカバーレイフィルム53が形成されたフレキシブルプリント配線板60においては、上述のごとく、カバーレイフィルム53が、接着剤層71と樹脂フィルム72により構成されており、当該カバーレイフィルム53の剛性が大きいため、フレキシブルプリント配線板60の柔軟性が低下する場合がある。従って、フレキシブルプリント配線板60において、可撓性(フレキシビリティー)を十分に確保することができず、フレキシブルプリント配線板60が使用される電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することが困難になる場合があるという問題があった。
【0007】
より具体的には、例えば、出力端子部57を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、折り曲げ部81を折り曲げることにより、出力端子部57と電子機器の導体パターンとの位置合わせを行うが、折り曲げ部81に設けられた絶縁層が、上述のカバーレイフィルム53により形成されているため、折り曲げ部81を折り曲げる際に、当該折り曲げ部81の戻り(スプリングバック)が大きくなってしまう。その結果、折り曲げ部81の折り曲げ加工が困難になるため、出力端子部57を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、出力端子部57と電子機器の導体パターンとの位置合わせが困難になり、出力端子部57を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際の、作業性が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、フレキシブルプリント配線板が使用される電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することができるフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、基材と、基材の表面上に設けられた導体と、導体の表面上に設けられた絶縁層とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、絶縁層が、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートにより形成されていることを特徴とする。
【0010】
同構成によれば、従来のカバーレイフィルムが形成されたフレキシブルプリント配線板に比し、フレキシブルプリント配線板の柔軟性が向上する。その結果、フレキシブルプリント配線板において、可撓性(フレキシビリティー)を確保することが可能になり、フレキシブルプリント配線板が使用される電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することが可能になる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板であって、カバーコートの厚みが、5μm〜35μmであることを特徴とする。同構成によれば、フレキシブルプリント配線板の柔軟性を向上させ、フレキシブルプリント配線板の任意の形状への変形加工がより一層容易になる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、基材と、基材の表面上に設けられた導体と、導体により形成された配線パターンを有するとともに、電子機器の導体パターンに接続される端子部が設けられた配線部と、配線部に設けられるとともに、端子部を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、端子部と電子機器の導体パターンとの位置合わせを行うための折り曲げ部と、導体の表面上であって、端子部を除く部分に設けられた絶縁層とを備えるフレキシブルプリント配線板であって、折り曲げ部に設けられた絶縁層が、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートにより形成されていることを特徴とする。
【0013】
同構成によれば、従来のカバーレイフィルムが形成されたフレキシブルプリント配線板に比し、フレキシブルプリント配線板の折り曲げ部における柔軟性が向上する。その結果、フレキシブルプリント配線板において、可撓性(フレキシビリティー)を確保することが可能になり、フレキシブルプリント配線板が使用される電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することが可能になる。
【0014】
また、折り曲げ部にカバーレイフィルムを設ける場合に比し、折り曲げ部を折り曲げる際の戻り(スプリングバック)を小さくすることができる。その結果、折り曲げ部の折り曲げ加工が容易になるため、端子部を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、端子部と電子機器の導体パターンとの位置合わせが容易になり、端子部を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際の、作業性が向上することになる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板であって、カバーコートの厚みが、5μm〜35μmであることを特徴とする。同構成によれば、折り曲げ部における折り曲げ性が向上し、折り曲げ部の折り曲げ加工がより一層容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することができるフレキシブルプリント配線板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成を示す表面側の平面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。なお、本実施形態においては液晶パネルやプラズマディスプレイパネル等の電子機器に使用されるフレキシブルプリント配線板を例に挙げて説明する。
【0018】
このフレキシブルプリント配線板1は、図1、図2に示すように、柔軟な樹脂フィルムにて形成された絶縁性の基材2の片面に、接着剤層3を介して導体5を設けた、いわゆる片面板であって、当該導体5を覆うように、その片面に絶縁層7を設けたものである。
【0019】
また、フレキシブルプリント配線板1には、図1に示すように、導体5により形成され、例えば、チップコンデンサー、チップ抵抗、コネクター等の電子部品が電気的に接続される導体回路パターン5aを有する回路部20が設けられている。また、図1に示すように、フレキシブルプリント配線板1は、導体5により形成され、回路部20から引き出された配線パターン5bを有する入力配線部21と出力配線部22を備えている。なお、図1に示すように、出力配線部22には、位置決め用のピン穴であるアライメントマーク17が設けられている。
【0020】
また、入力配線部21には、配線パターン5bに接続された入力端子部15が設けられるとともに、出力配線部22には、配線パターン5bに接続された出力端子部16が設けられている。そして、この入力端子部15と出力端子部16を液晶パネル等の被接続部材である電子機器の導体パターン(不図示)と電気的に接続すべく、絶縁層7を形成せずに入力端子部15と出力端子部16を外部に露出させた構成となっている。
【0021】
また、図1に示すように、フレキシブルプリント配線板1の入力配線部21には折り曲げ部40が設けられており、入力端子部15を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、当該折り曲げ部40を折り曲げることにより、入力端子部15と電子機器の導体パターンとの位置合わせを行い、入力端子部15を電子機器の導体パターンと電気的に接続する構成となっている。
【0022】
また、同様に、図1に示すように、フレキシブルプリント配線板1の出力配線部22には折り曲げ部41が設けられており、出力端子部16を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、当該折り曲げ部41を折り曲げることにより、出力端子部16と電子機器の導体パターンとの位置合わせを行い、出力端子部16を電子機器の導体パターンと電気的に接続する構成となっている。
【0023】
また、図2に示すように、接続信頼性を高めるために、入力端子部15と出力端子部16の表面をめっき層11により被覆する構成としている。このめっき層11は、環境への配慮から、鉛を含有しないめっき層を使用することが好ましく、また、入力端子部15、出力端子部16と電子機器の導体パターン間の接続信頼性の低下を防止するとの観点から、鉛を含有しないめっき層11として、金めっき層を使用することができる。
【0024】
導体5の表面へのめっき処理は、無電解めっき法、または電解めっき法により行われ、金めっき層を設ける際には、露出した導体5の表面に対して、まず、拡散防止層としてのニッケルめっき層を形成した後、当該ニッケルめっき層の表面上に金めっき層を形成する方法が採用される。また、このフレキシブルプリント配線板1を液晶パネル等の電子機器に使用する場合は、異方導電性フィルムや半田付けにより、配線パターン5bの先端に形成された入力端子部15、出力端子部16を、電子機器の導体パターン部に接続する構成となっている。
【0025】
基材2を構成する樹脂フィルムとしては、柔軟性に優れた樹脂材料からなるものが使用される。かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム等の、フレキシブルプリント配線板用として汎用性のある樹脂のフィルムがいずれも使用可能である。また、特に、柔軟性に加えて高い耐熱性や機械的強度をも有しているのが好ましく、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリアミド系の樹脂フィルム、ポリイミド、ポリアミドイミドなどのポリイミド系の樹脂フィルム、耐熱性ポリエステルフィルム、およびポリエチレンナフタレ−ト等が好適に使用される。なお、基材2の厚みとしては、10μm〜150μmが好ましい。厚みが10μm未満の場合は、十分な機械的強度が得られない場合があり、また、150μmよりも大きい場合は、フレキシブルプリント配線板1の柔軟性が低下する場合があるからである。
【0026】
接着剤層3を構成する接着剤としては、柔軟性や耐熱性にすぐれたものが好ましく、かかる接着剤としては、例えば、ナイロン系、エポキシ樹脂系、ブチラール樹脂系、アクリル樹脂系などの、各種の樹脂系の接着剤が挙げられる。さらに、これらの接着剤樹脂中にセラミック系フィラーやゴム系フィラーを分散させて使用することもできる。
【0027】
また、所定の導体回路パターン5a、配線パターン5bを有する導体5を構成する金属箔としては、銅箔が好適に使用される。また、この金属箔を、常法によりエッチングして、加工することにより、導体回路パターン5a、および配線パターン5bを有する導体5が形成されている。
【0028】
ここで、本発明のフレキシブルプリント配線板1においては、導体5の表面に設けられた絶縁層7が、カバーコートにより形成されている点に特徴がある。より具体的には、図1、図2に示すように、フレキシブルプリント配線板1においては、入力端子部15、出力端子部16を除く部分に絶縁層7が設けられている。そして、当該絶縁層7として、折り曲げ部40,41にカバーコートが設けられるとともに、折り曲げ部40,41以外の部分にもカバーコートが設けられる構成となっている。
【0029】
絶縁層7であるカバーコートとしては、ポリイミド系の感光性カバーコートインクにより形成された、ポリイミド樹脂を主成分とするものが使用される。このポリイミド系の感光性カバーコートインクとしては、例えば、ポリイミド樹脂(36〜37重量%)を主成分とし、安息香酸エチル(23〜24重量%)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(35〜36重量%)、および水酸化マグネシウム(3.5〜4重量%)を含有するものを使用することができる。また、使用されるポリイミド樹脂の種類としては、例えば、芳香族ポリイミド重合体等が挙げられる。
【0030】
このように、本実施形態におけるフレキシブルプリント配線板1においては、絶縁層7として、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートを使用する構成としているため、上記従来のカバーレイフィルム53が形成されたフレキシブルプリント配線板60に比し、フレキシブルプリント配線板1の柔軟性が向上する。従って、フレキシブルプリント配線板1において、可撓性(フレキシビリティー)を確保することが可能になり、結果として、フレキシブルプリント配線板1を、当該フレキシブルプリント配線板1が使用される電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することが可能になる。
【0031】
なお、フレキシブルプリント配線板1の柔軟性を向上させ、フレキシブルプリント配線板1の任意の形状への変形加工をより一層容易にするとの観点から、カバーコートの厚みとしては、5μm〜35μmが好ましい。
【0032】
また、折り曲げ部40,41に、上述のカバーコートを設ける構成としているため、折り曲げ部40,41に、上記従来のカバーレイフィルム53を設ける場合に比し、折り曲げ部40,41を折り曲げる際に、当該折り曲げ部40,41の戻り(スプリングバック)を小さくすることができる。
【0033】
なお、折り曲げ部40,41における折り曲げ性を向上させ、折り曲げ部40,41の折り曲げ加工をより一層容易にするとの観点から、折り曲げ部40,41に設けられたカバーコートの厚みとしては、5μm〜35μmが好ましい。
【0034】
次に、フレキシブルプリント配線板1の製造方法の一例を説明する。フレキシブルプリント配線板1の製造工程としては、まず、基材2上に導体5が積層された積層体を作製する。より具体的には、柔軟な樹脂フィルムにて形成された基材2の片面に、接着剤層3を積層する。次いで、接着剤層3を介して積層された、銅箔などの金属箔を、常法によりエッチングして、導体回路パターン5a、配線パターン5bを有する導体5を形成する。
【0035】
次いで、この導体回路パターン5a、および配線パターン5bを含む、導体5の表面上に、ポリイミド系の感光性カバーコートインクをスクリーン印刷等により塗布して乾燥させ、さらに露光現像することにより、導体5の表面上に、絶縁層7として、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートを形成する。なお、この際、入力端子部15、出力端子部16に相当する部分には、絶縁層7を形成せず、入力端子部15と出力端子部16を外部に露出させる。
【0036】
また、スクリーン印刷を行う際に、スクリーン印刷機が備える印刷テーブルと、当該印刷テーブル上に固定される、カバーコートインクを印刷する前のフレキシブルプリント配線板との真空における密着性を確保する観点から、必要に応じて、印刷面の裏面に、着脱可能な粘着性を有するフィルムを予め貼り付ける構成としても良い。また、一般に、1回の印刷でコーティングできる厚さの範囲は狭く、導体回路パターン5a、および配線パターン5bの形状によっては、1回の印刷では、コーティングしきれず、塗り残しができる場合があるため、2回の印刷を行うようにしても良い。この場合、各印刷後に、ポリイミド系の感光性カバーコートインクのタック性がなくなる程度の予備乾燥を行い、上述の粘着性を有するフィルムを剥がした後に、本乾燥を実施する。
【0037】
そして、出力配線部22において、例えば、所定の配線パターンや導体回路パターンの追加、パンチング、ドリリング、レーザー照射、および金型加工等によりアライメントマーク17を形成することにより、フレキシブルプリント配線板1が製造されることになる。なお、CCDカメラ等において、アライメントマーク17を認識する際の、認識性の向上の観点から、アライメントマーク17の直径は、0.1〜1.0mmとすることが好ましい。
【0038】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本発明のフレキシブルプリント配線板1においては、絶縁層7として、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートを使用する構成としている。従って、上記従来のカバーレイフィルム53が形成されたフレキシブルプリント配線板60に比し、フレキシブルプリント配線板1の柔軟性が向上する。その結果、フレキシブルプリント配線板1において、可撓性(フレキシビリティー)を確保することが可能になり、フレキシブルプリント配線板1が使用される電子機器に対応した任意の形状に変形させて使用することが可能になる。
【0039】
(2)本発明のフレキシブルプリント配線板1においては、絶縁層7であるカバーコートの厚みを、5μm〜35μmとする構成としている。従って、フレキシブルプリント配線板1の柔軟性が向上し、フレキシブルプリント配線板1の任意の形状への変形加工がより一層容易になる。
【0040】
(3)本発明のフレキシブルプリント配線板1においては、折り曲げ部40,41に設けられた絶縁層7を、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートにより形成する構成としている。従って、折り曲げ部40,41にカバーレイフィルムを設ける場合に比し、折り曲げ部40,41を折り曲げる際の戻り(スプリングバック)を小さくすることができる。その結果、折り曲げ部40,41の折り曲げ加工が容易になるため、入力端子部15、出力端子部16を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、入力端子部15、出力端子部16と電子機器の導体パターンとの位置合わせが容易になり、入力端子部15、出力端子部16を電子機器の導体パターンと電気的に接続する際の、作業性が向上することになる。
【0041】
(4)本発明のフレキシブルプリント配線板1においては、折り曲げ部40,41に設けられたカバーコートの厚みを、5μm〜35μmとする構成としている。従って、折り曲げ部40,41における折り曲げ性が向上し、折り曲げ部40,41の折り曲げ加工がより一層容易になる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0043】
・例えば、導体5が、接着剤層3を介さず、直接、基材2上に形成される構成としても良い。その方法としては、例えば、導体5のもとになる金属箔の片面に、基材2のもとになるホットメルトタイプの樹脂フィルムを、高温高圧下でラミネートして貼り合わせる方法(ラミネーション法)、あるいは樹脂の前駆体(モノマー、オリゴマー、プレポリマーなど)を含む塗布液を塗布して、乾燥、固化させた後、必要に応じて硬化反応させて基材2を形成する方法(キャスティング法)や、基材2の片面に、例えば、無電解めっき、真空蒸着、スパッタリングなどを利用して導電層を形成し、次いで、電解めっきを行うことにより導体5を形成するめっき法などが挙げられる。
【0044】
・また、上記実施形態においては、フレキシブルプリント配線板1として、絶縁性の基材2の片面に導体5を設けた、いわゆる片面板を例に挙げて説明したが、柔軟な樹脂フィルムにて形成された絶縁性の基材の両面の各々に、2層の導体を設け、当該導体を覆うように、その両面に2層の絶縁層であるカバーコートを設けた、いわゆる両面板において、本発明を適用する構成としても良い。より具体的には、導体の両面に設けられた2層の絶縁層の各々を、上述の実施形態において説明した絶縁層7であるカバーコートにより形成する。この場合、両面板の折り曲げ部にカバーコートが設けられることになり、上記実施形態の場合と同様に、上述の(1)〜(3)の効果を得ることができる。
【0045】
・また、上記実施形態においては、導体回路パターン5a、および配線パターン5bを含む、導体5の表面上に、絶縁層7として、ポリイミド樹脂からなるカバーコートを設ける構成としたが、当該カバーコートは、少なくとも、折り曲げ部40,41に設けられていれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の活用例としては、電子機器の部品として用いられるフレキシブルプリント配線板が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板の概略構成を示す表面側の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】従来のフレキシブルプリント配線板の概略構成を示す表面側の平面図である。
【図4】図4のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…フレキシブルプリント配線板、2…基材、5…導体、5a…導体回路パターン、5b…配線パターン、7…絶縁層(カバーコート)、15…入力端子部、16…出力端子部、17…アライメントマーク、20…回路部、21…入力配線部、22…出力配線部、40…折り曲げ部、41…折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の表面上に設けられた導体と、
前記導体の表面上に設けられた絶縁層と
を備えるフレキシブルプリント配線板において、
前記絶縁層が、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートにより形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記カバーコートの厚みが、5μm〜35μmであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
基材と、
基材の表面上に設けられた導体と、
前記導体により形成された配線パターンを有するとともに、電子機器の導体パターンに接続される端子部が設けられた配線部と、
前記配線部に設けられるとともに、前記端子部を前記電子機器の導体パターンと電気的に接続する際に、前記端子部と前記電子機器の導体パターンとの位置合わせを行うための折り曲げ部と、
前記導体の表面上であって、前記端子部を除く部分に設けられた絶縁層と
を備えるフレキシブルプリント配線板において、
前記折り曲げ部に設けられた前記絶縁層が、ポリイミド樹脂を主成分とするカバーコートにより形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
前記カバーコートの厚みが、5μm〜35μmであることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−235346(P2008−235346A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−68854(P2007−68854)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】