説明

フレキシブル配線板およびその製造方法

【課題】フレキシブル配線板とコネクターとの接触のずれを抑制する。
【解決手段】挿抜方向に延びる嵌合空間が形成され、その嵌合空間の内部に突起を有する複数のコネクター端子が配列されたコネクターに接続されるフレキシブル配線板19は、ベースフィル10ムと、端子21と、配線23と、を具備する。ベースフィルム10は、嵌合空間に挿入可能な幅に形成される。端子21は、ベースフィルム10の表面に設けられ、ベースフィルム10が嵌合空間に挿入された状態でコネクター端子の突起に対向する位置に窪み22が形成されている。配線23は、端子21からベースフィルム10の表面を挿抜方向に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、ベースフィルムの片方あるいは両方の面に、銅箔などの導電体の配線パターンが形成され、さらにその表面をカバーレイで覆ったものである。さらに、絶縁体のフィルムを挟んで複数の配線パターンが積層された多層のフレキシブルプリント配線板もある。フレキシブルプリント配線板は可撓性を有し、液晶ディスプレイ、携帯電話、ノートPCなどに用いられている。フレキシブルプリント配線板に設けた端子部をコネクターに挿入することによって、フレキシブルプリント配線板と外部の電気回路とを接続する場合がある(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−8779号公報
【特許文献2】特開2008−98260号公報
【特許文献3】特開2008−182698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、フレキシブル配線板の端子部と、外部のコネクターの端子部とは、コネクター側の電極の先端近傍の凸部がフレキシブル配線板の端子部に点接触することにより電気的に接続している。このため、外部からの衝撃などによって接続部がずれると、接触不具合が生じたり、隣接する端子との絶縁性が損なわれる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、フレキシブル配線板とコネクターとの接触のずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、挿抜方向に延びる嵌合空間が形成され前記嵌合空間の内部に突起を有する複数のコネクター端子が配列されたコネクターに接続されるフレキシブル配線板において、前記嵌合空間に挿入可能な幅のベースフィルムと、前記ベースフィルムの表面に設けられて前記突起に対向する位置に窪みが形成された端子と、前記端子から前記ベースフィルムの表面を前記挿抜方向に延びる配線と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、挿抜方向に延びる嵌合空間が形成され前記嵌合空間の内部に突起を有する複数のコネクター端子が配列されたコネクターに接続されるフレキシブル配線板の製造方法において、ベースフィルムの一部を前記嵌合空間に挿入可能な幅に外形加工する工程と、前記ベースフィルムの表面に前記挿抜方向に延びる配線を形成する工程と、前記配線の端部であって前記ベースフィルムが前記嵌合空間に挿入された状態で前記コネクター端子に対向する位置にエッチングにより窪みを形成する工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フレキシブル配線板とコネクターとの接触のずれが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るフレキシブル配線板の一実施の形態の断面を示す図2のI−I矢視図である。
【図2】本発明に係るフレキシブル配線板の一実施の形態の上面図である。
【図3】本発明に係るフレキシブル配線板の一実施の形態の断面を示す図2のIII−III矢視断面図である。
【図4】本発明に係るフレキシブル配線板の一実施の形態の製造方法を断面図とともに示すフローチャートである。
【図5】本発明に係るフレキシブル配線板の一実施の形態をコネクターの一部とともに示す断面図である。
【図6】本発明に係るフレキシブル配線板の一実施の形態をコネクターの一部とともに示す上面図である。
【図7】図5のVII−VI矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るフレキシブル配線板の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るフレキシブル配線板の一実施の形態の断面を示す図2のI−I矢視図である。図2は、本実施の形態におけるフレキシブル配線板の上面図である。図3は、本実施の形態におけるフレキシブル配線板の断面を示す図2のIII−III矢視断面図である。
【0012】
本実施の形態のフレキシブル配線板19は、ベースフィルム10と、このベースフィルムの表面を覆うカバーレイ12とを備えている。ベースフィルム10およびカバーレイ12は、いずれも半透明のポリイミドなどの可撓性を持つ材料で0.03mm程度の厚さの膜状に形成されている。なお、ここではベースフィルム10は単層としたが、内部に1層以上の配線パターンが形成された複層のベースフィルムを用いてもよい。ベースフィルム10とカバーレイ12との間には、配線23が形成されている。ベースフィルム10および配線23とカバーレイ12とは接着剤14で接着されている。
【0013】
フレキシブル配線板19の一部には、コネクター接続部20が設けられている。コネクター接続部20には、配線23に接続された複数の端子21が設けられている。それぞれの端子21は、コネクター接続部20の端部に向かって互いに平行に延びている。
【0014】
それぞれの端子21には、端子21の幅方向の中央部に窪み22が形成されている。また、端子21の表面には、金などの導電体でめっき層25が形成されている。
【0015】
図4は、本実施の形態におけるフレキシブル配線板の製造方法を断面図とともに示すフローチャートである。図4において、左側に示す図は右側の工程終了後の断面図である。
【0016】
本実施の形態では、片面銅張板の銅箔表面にレジスト皮膜を形成する。配線23に対応するフォトマスクを被せて露光することにより、レジスト皮膜にパターンを焼き付ける。さらにパターンを現像して、エッチングを行うことにより、所定の銅箔パターンがベースフィルム10の表面に形成される(S1)。
【0017】
次に、所定の銅箔パターンが表面に形成されたベースフィルム10の表面に、ドライフィルムレジスト41を貼りつける(S2)。その後、端子21の窪み22に対応する位置に開口が形成されたマスクを被せて、露光する(S3)。これにより、窪み22に対応する位置42のドライフィルムレジスト41が感光する。
【0018】
露光後に、現像処理を施すことにより、ドライフィルムレジスト41の端子17の窪み22に対応する位置に開口43が形成される(S4)。この状態で、エッチング処理を施すことにより、端子21には、窪み22が形成される(S5)。その後、ドライフィルムレジスト41を剥離する。その後、カバーレイ12を貼りつけるなどの処理を行った後、端子21などに電界めっきなどによって、金などのめっき層25が形成される。
【0019】
図5は、本実施の形態のフレキシブル配線板をコネクターの一部とともに示す断面図である。図6は、本実施の形態のフレキシブル配線板をコネクターの一部とともに示す上面図である。図7は、図5のVII−VII矢視断面図である。
【0020】
フレキシブル配線板19のコネクター接続部20は、外部のコネクターに挿入される。コネクターは、たとえば図示しない筐体を有している。コネクターの筐体には、開口が形成されていて、コネクター接続部20は、その開口に挿入される。コネクターの筐体の内部には、コネクター接続部20の端子21と同数のコネクター端子31を有している。コネクター端子31の先端近傍には、フレキシブル配線板19に向かって突出した突起部32が設けられている。コネクター端子31は、コネクターに挿入されたフレキシブル配線板19の端子21に向かって付勢されている。
【0021】
コネクター端子31の幅は、たとえば0.1〜0.2mmである。コネクター端子31の突起部32の突出高さは、たとえば0.2mmである。コネクター端子31の突起部32の挿抜方向の長さは、たとえば0.5〜0.8mmである。フレキシブル配線板19の端子21の窪み22の深さは、たとえば0.1mmである。
【0022】
コネクターにフレキシブル配線板19が挿入されると、それぞれのコネクター端子31の突起部32は、コネクター接続部20のそれぞれの端子21の窪み22に嵌合する。このように、フレキシブル配線板19の端子21の窪み22とコネクター端子31の突起部32とが嵌合することによって、外部からの衝撃などが加えられてもフレキシブル配線板19とコネクターとの位置のずれが生じる可能性は低減される。その結果、フレキシブル配線板19の端子21とコネクター端子31との接触不具合が生じたり、隣接する端子21同士の絶縁性が損なわれる可能性は小さくなる。
【0023】
この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。たとえば、この実施の形態では、端子19の窪み22をエッチングによって形成したが、他の方法によって形成してもよい。たとえば、窪み22を形成する部分をマスキングした状態で端子19にめっきを施して窪み22の周囲をめっきで盛り上げることによって、窪み22を形成してもよい。
【符号の説明】
【0024】
10…ベースフィルム、12…カバーレイ、14…接着剤、19…フレキシブル配線板、20…コネクター接続部、21…端子、22…窪み、23…配線、25…めっき層、31…コネクター端子、32…突起部、41…ドライフィルムレジスト



【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿抜方向に延びる嵌合空間が形成され前記嵌合空間の内部に突起を有する複数のコネクター端子が配列されたコネクターに接続されるフレキシブル配線板において、
前記嵌合空間に挿入可能な幅のベースフィルムと、
前記ベースフィルムの表面に設けられて前記突起に対向する位置に窪みが形成された端子と、
前記端子から前記ベースフィルムの表面を前記挿抜方向に延びる配線と、
を具備することを特徴とするフレキシブル配線板。
【請求項2】
前記突起の突出高さは前記窪みの深さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル配線板。
【請求項3】
挿抜方向に延びる嵌合空間が形成され前記嵌合空間の内部に突起を有する複数のコネクター端子が配列されたコネクターに接続されるフレキシブル配線板の製造方法において、
ベースフィルムの一部を前記嵌合空間に挿入可能な幅に外形加工する工程と、
前記ベースフィルムの表面に前記挿抜方向に延びる配線を形成する工程と、
前記配線の端部であって前記ベースフィルムが前記嵌合空間に挿入された状態で前記コネクター端子に対向する位置にエッチングにより窪みを形成する工程と、
を具備することを特徴とするフレキシブル配線板の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77608(P2013−77608A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215093(P2011−215093)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000113322)東芝ホクト電子株式会社 (172)
【Fターム(参考)】