説明

フロー制御方法及びWAN最適化装置

【課題】本発明はLANに接続されたホスト間をWANで接続し,WANの両端にWAN最適化装置を設けたネットワークにおけるフロー制御方法とWAN最適化装置に関し,受信側のLANやホストにおいて発生する輻輳等の異常発生を送信側ホストが認識できることを目的とする。
【解決手段】送信側ホストからのパケットを2つのWAN最適化装置を介してホストへの伝送時に受信側ホストで受信バッファが溢れてウィンドウ0の信号を送信すると受信側WAN最適化装置は送信側にホスト停止の通知をし,送信側WAN最適化装置で受けとると受信側に対するデータ送信を中断し,送信側のホストからのデータ受信量がフルになるとホストに対しウィンドウ0の信号を送信し,受信側のWAN最適化装置が応答を受け取ると,送信側のWAN最適化装置に対して復旧の通知を送信し,送信側の最適化装置はその通知を受け取ると送信側のホストに対し応答を送信するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,LANに接続されたエンドホスト間をWAN経由のコネクション指向プロトコルにより通信を実行するWAN最適化装置に関する。
【0002】
百Mbps(メガビットパーセコンド)〜Gbps(ギガビットパーセコンド)という高速でパケットを伝送可能な広帯域網であるWAN(Wide Area Network)を用いたLAN間通信において,コネクション指向型通信を実行する場合に,広く普及しているTCP(Transmission Control Protocol) を採用すると,その実行スループットはパケットロス率と経路の遅延と,TCPの通知ウィンドウサイズ,輻輳ウィンドウサイズ等によって決定される。従って,広帯域網に大きな遅延・パケットロスが発生した場合,帯域に応じたスループットが得られないという問題が生じる。
【背景技術】
【0003】
図14はエンドホスト間をWANで接続した通信システムを示す。この構成ではホストAとホストBをWANにより接続され,通信プロトコルにコネクション指向型のプロトコルであるTCPを用いている。
【0004】
この構成において,ホストAからパケットを送信して,ホストBが受信する場合,WAN上で一時的,長期的な輻輳が発生した場合,TCPのプロトコルによる輻輳制御(送信側のホストからのパケット送信に対して応答が返ってこないことにより,送信側からのパケット送信を抑制する等)を行って輻輳状態を解消(または回避)する。また,受信側のホストBで発生する一時的,長期的な問題が発生すると,TCPのフロー制御によりウィンドウ量(受信側から送信側に送る)を制御することにより対応する。
【0005】
このように,送信元のホストAに対してホストBからの送達確認の遅れが発生したりパケットロスが生じると輻輳制御でネットワークに対する送信流量を一旦大幅に下げ,その後ネットワークの状況に合わせて徐々に送信流量を上げてゆくことになる。このような制御はTCPの仕組みに依存しているためである。
【0006】
上記図14に示すように広帯域網での上記の問題を解決するため,WANとエンド(END)ホストの間にWAN最適化装置を設ける方法がある。
【0007】
図15はWAN最適化装置を用いたネットワークの概念図である。図中,50はホストA,51はホストAが接続されたLAN,52は第1のWAN最適化装置,53はWAN,54は第2のWAN最適化装置,55はLAN,56はホストBである。
【0008】
図15において,ホストAから相手ホストBへパケットを送信する場合,パケットは第1のWAN最適化装置52で一旦終端し,ホストBからの送信データに対する送達確認応答をWAN最適化装置52が代理応答する。これにより,エンドホスト(ホストA,ホストB)間のデータ送達確認応答の遅延が小さくなるため,コネクション指向型プロトコルのスループットは向上する。また,WAN最適化装置間において,独自のプロトコルを用いることでデータの送達は保証される。WAN最適化装置のこれら一連の制御により,大きな遅延・パケットロスがあるネットワーク環境においても帯域に応じた,且つ安定したスループットを得ることができるようになる。
【0009】
しかし,その対価としてWAN最適化装置がエンドホスト間に介在することによりコネクション指向型プロトコルで一般的に実装されているフロー制御等が(通信を一旦終端されることにより)正確にできなくなるという問題が発生する。
【0010】
図16はWAN最適化装置が設けることで想定される問題の説明図である。図中の各符号は上記図15の同一符号の各部と同じである。
【0011】
従来は図15のような構成において,WAN最適化装置52,54がエンドホスト間の通信プロトコルを終端してしまうと,図16に示すように各ホストAとホストB間のネットワークで発生している輻輳や故障等の事象をホストAが的確に把握できなくなる。すなわち,図16のLAN55で障害X(輻輳または回線障害)が発生した場合は,当該事象をホストAが宛先ホストB側における輻輳を認識するまでに時間を要してしまい,その間ネットワーク上に無駄なパケットが送出されることになり,ネットワークリソースを無駄に消費することになる。
【0012】
また,ホストBで発生する障害Y(バッファ溢れ)が発生した場合,当該事象をホストAが宛先ホストB側における問題を認識してネットワークのパケットの送出を停止することができない。その間ネットワークリソースを無駄に消費してしまう。
【0013】
上記した輻輳Xや障害Yが発生しても,ホストAはどちらの原因で通信が滞ってしまっているのかを把握することができない。実際の運用でこのような事象が発生すると,このシステムの管理者が問題発生時,及び問題発生後にこれらの事象に対する根本原因の調査が困難になる。
【0014】
従来の広域網を介したTCPによるLAN間通信を行うTCPゲートウェイにおいて,複数のTCPコネクションを扱う場合に効率的なバッファ利用を実現する技術が提案されている(特許文献1参照)。その技術によれば,広域網の両端に付加されたTCPゲートウェイが送信側からのパケットに対して受信側端末に代わってTCPのフロー制御と再送制御を終端し,広域網を介して対向配置されたTCPゲートウェイとの間で特定のプロトコルを用いたデータリンク層での選択再送手順を用いたパケット転送を行う。その際,装置で受信可能なグローバルシーケンス番号の最大値をクレジットとして対向側に通知し,送信側では通知されたグローバルシーケンス番号になるまでパケットを送信し,各TCPコネクションでは,送信側からパケットを受信した時,個々のTCPコネクションに与えられているウィンドウに空きがあり,グローバルクレジットがあると対向側にパケットを転送し,グローバルクレジットがないとTCPコネクション単位で送信待ちキューを管理する。
【特許文献1】特開平11−341072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記図16に示す従来のWAN最適化装置がエンドホスト間に介在するシステムでは,LAN55で発生した輻輳Xや,相手ホストBにおける障害Yが発生しても,それらの事象を送信元のホストで認識するのに時間を要して,ネットワークリソースを無駄に消費するという問題があった。
【0016】
また,上記特許文献1の技術では複数のTCPコネクションの均等な流量制御による転送効率を向上することを目的とし,特殊なシーケンス番号を用いた流量の制御を行う技術であって,上記図16に示すように相手側のLANやホストを原因とする輻輳や障害の要因を特定することが困難になる問題を改善することはできない。
【0017】
本発明はそれぞれが別のLANに接続された2つのホスト間をWANで接続し,WANの両端にWAN最適化装置を設けたネットワークにおいて,受信側のホストのLANや,ホストで発生する輻輳等の問題発生に対して送信側のホストで状態を認識することができるWAN最適化装置のフロー制御方法及びWAN最適化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
図1は本発明の原理構成を示す図である。図中,1A,1BはWAN最適化装置,2A,2Bはホスト,3A,3BはそれぞれLAN,4は広帯域のWANである。この説明ではホスト2Aが送信側,ホスト2Bが受信側,送信側のWAN最適化装置1Aは送信側,1Bは受信側の手段を示す。WAN最適化装置1Bの10は制御部,11はホスト異常制御部,11a,11bは受信側の手段であり11aはホスト停止通知手段,11bは復旧通知手段,12はLAN異常制御部,12a〜12cは受信側の手段であり,12aはLAN停止通知手段,12bは復旧通知手段,12cはセッション情報をリセットする通知を行うリセット通知手段であり,13は受信側のTCP制御を行う伝送制御部,14は送信バッファである。送信側のWAN最適化装置1A内の10は制御部,11はホスト異常制御部,11c,11dは送信側の手段であり,11cは受信不可通知手段,11dは正常応答手段,12はLAN異常制御部,12d〜12fは送信側の手段であり,12dはデータ停止手段,12eは応答手段,12fはセッション情報をリセットするリセット手段,15は送信側ホスト2AとのTCP制御を行う伝送制御部である。20a及び20bはホスト2A,2Bに設けられたTCPの制御を行う伝送制御部である。なお,図1ではWAN最適化装置1Aが送信側,1Bが受信側として動作した場合に動作する手段を示したが,両WAN最適化装置1A,1Bは何れも送信側と受信側の両方の手段を同じように備えている。
【0019】
LAN3Aのホスト2AからWAN最適化装置1A,WAN4,WAN最適化装置1BからLAN3Bのホスト2Bへのパケットの送信を行っている時,受信側のホスト2B側に異常(受信バッファ溢れ)が発生すると,ホスト2Bの伝送制御部20bからTCPによる受信不可(ウィンドウ0)の通知がWAN最適化装置1Bに送られる。これを受けたWAN最適化装置1Bで受け取るとホスト異常制御部11のホスト停止通知手段手段11aが駆動され,WAN4を介した送信側のWAN最適化装置1Aにホスト停止の通知を送る。WAN最適化装置1Aはこれを受け取るとWAN側へのデータ送信を中断すると共にホスト異常制御部11の受信不可通知手段11cが駆動され,WAN最適化装置1AのLAN側受信バッファが溢れると,送信元のホスト2Aに対して受信不可(ウィンドウ0)の通知を送る。また,受信側のWAN最適化装置1Bに対し問い合わせ(状態変化の応答を促す)を行う。
【0020】
受信不可の通知を受けた送信元のホスト2Aは受信不可の通知を受けることで送信相手のホスト2Bの問題によるものだということを正しく認識することができ,送信を停止する。この後,ホスト2AはWAN最適化装置1Aに対し状態の問い合わせをし,WAN最適化装置1Aも相手WAN最適化装置1Bに対して状態の問い合わせをし,WAN最適化装置1Bからホスト2Bに対しても状態の問い合わせをする。ホスト2Bで異常が解消して正常状態になったことを表す応答(Ack等)をWAN最適化装置1Bに送ると,ホスト異常制御部11の復旧通知手段11bから復旧通知をWAN最適化装置1Aに送る。これを受けたWAN最適化装置1Aのホスト異常制御部11は正常応答手段11dにより正常応答をホスト2Aに通知する。ホスト2Bにおける異常が解消しないと,ホスト2Aは送信を停止した状態を維持する。
【0021】
ホスト2Aからホスト2Bへのパケットの送信を行っている時,受信側のWAN最適化装置1Bからのパケット送信に対してLAN3Bで異常(輻輳)が発生して受信側ホスト2Bからの応答が返ってこないと,再送を繰り返してもパケットの送信ができない状態が送信バッファ14の動きにより一定基準を越えてることをWAN最適化装置1BのLAN異常制御部12で検出すると,LAN停止通知手段12aからWAN最適化装置1AにLAN停止の通知を送信する。これをWAN最適化装置1Aの制御部10で受け取ると,LAN異常制御部12のデータ停止手段12dはWAN最適化装置1Bへのデータ送信を停止すると共に,ホスト2Aに対する応答を停止する。この場合,ホスト2Aは応答が受け取れないので再送を行うが,繰り返して応答が返ってこないと輻輳の要因がホスト2B側のLAN輻輳であることを正しく認識できる(再送しても応答が返ってこないことから相手ホストが輻輳であると認識する)。
【0022】
その後,LAN3Bが復旧してホスト2Bから応答がWAN最適化装置1Bに送られてくると,LAN異常制御部12の復旧通知手段12bが駆動され復旧通知をWAN最適化装置1Aに送出する。WAN最適化装置1Aでこの復旧通知を受け取ると,WAN最適化装置1Bへのデータ送信を再開を開始すると共にホスト2Aからのデータ受信を開始し,この受信によりLAN異常制御部12の応答手段12eにより応答をホスト2Aに返す。これによりホスト2Aは受信側のLAN3Bの異常(輻輳)が解消したことを認識できる。なお,LAN3Bでの異常(輻輳)が長期にわたる場合は,WAN最適化装置1Bからホスト2Bへの再送タイムアウトとなって,LAN側のセッション情報をリセット(クリア)し,リセット通知手段12cからWAN最適化装置1Aに対してリセット通知を送る。WAN最適化装置1AのLAN異常制御部12でこれを受け取ると,リセット手段12fが駆動され,セッション情報をクリアし,TCPによる正しい制御が実行される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によればエンドホスト間にWAN最適化装置が介在した場合でも,データ送信側のホストにおいて受信側(LAN及びホスト)で発生している輻輳状態を的確に認識することができる。その結果,WAN最適化装置を適用したシステムにおいて,遠隔地のホスト側で発生している問題について正確に切り分けをすることが可能になった。
【0024】
また,エンドホストの通信プロトコルにおいてWAN最適化装置が介在しない場合と同等の動作が可能になることにより,ネットワークへの余計なトラヒックを抑えることができるようになり,有限であるネットワークリソースの無駄な消費を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図2は本発明が実施されるネットワークの構成であり,図中,1A,1B,2A,2B,3A,3B及び4の各符号は上記図1の同一符号の各部と同じ名称であり,ホスト2A,WAN最適化装置1Aをパケットの送信側,ホスト2B,WAN最適化装置2Bを受信側として動作するものとする。
【0026】
図3はWAN最適化装置のブロック構成を示す図であり,上記図2の1A,1Bの両装置に共通する構成である。図3において1はWAN最適化装置,100はLAN側(ホスト側)に対しTCPの通信制御を行うTCP制御部,100aはLAN側へパケットを送信するまでの一時的にバッファするために必要なメモリ領域,100bはWAN側から受信したパケットを一時的にバッファするために必要なメモリ領域,101はWAN側の通信(相手WAN最適化装置との通信)を最適化する最適化制御部,101aはWAN側へパケットを送信するまで一時的にバッファするために必要なメモリ領域,101bはLAN側から受信したパケットを一時的にバッファするために必要なメモリ領域,102はIP制御部である。
【0027】
この図3に示す構成を備えたWAN最適化装置1Aと1Bにより,以下の図4乃至図7に示す動作シーケンスに示す本発明によるフロー制御を実行することができる。
【0028】
図4乃至図7は受信側のホストまたはLANの輻輳または回線異常の発生時に本発明によるWAN最適化装置のフロー制御により送信側ホストでTCPのプロトコルに基づいて状態を認識することが可能となる。
【0029】
図4は受信側ホストに一時的なバッファ溢れが発生した場合の動作シーケンスであり,図中,2A,1A,4,1B,2Bの各符号は上記図2の同一符号と同じである。最初にホスト2Aからホスト2Bに向けてデータ(DATA) a1を送信すると,WAN最適化装置1Aで受信され,正常受信を表す応答(ACK)b1が返される。データa1は更にWAN4,WAN最適化装置1Bを介してホスト2Bで受信され,ホスト2Bから応答(ACK)が返される。その後,データa2がホスト2Aから送信され,ホスト2Bで受信された時,ホスト2Bでバッファ溢れが発生すると,ホスト2Bから受信不可を表すTCPのフロー制御のパケットである「ウィンドウ0」(WIN 0)をWAN最適化装置1Bに送信する(図4のd1)。「ウィンドウ0」を受信したWAN最適化装置1Bはホスト停止の状態を表す「PAUSE Host」をWAN最適化装置1Aに送信する(図4のe1)。
【0030】
この「PAUSE Host」は,フロー制御パケットであり,これを受け取ったWAN最適化装置は,WAN側への送信を直ちに中断し,その状態が解除された旨の通知(復旧を表す「RESUME」) を受け取るまで後述する問い合わせ「probe 」を送信する。
【0031】
「PAUSE Host」を受信したWAN最適化装置1Aは,WAN4へのデータ送信を中断すると共に,TCP受信ウィンドウが詰まる(フル状態になる)と,LAN側(ホスト2A側)に対して受信不可を表す「ウィンドウ0」(WIN 0)を送信する(図4のh1)。ホスト2Aはこれを受け取ると,輻輳の要因が送信先のホスト2Bの問題によるものだということを正しく認識することができ,TCPのプロトコルとして正しい処置をとることができる。なお,WAN最適化装置1Bはウィンドウ0を受け取った後,ホスト2Bに対して問い合わせ(probe で表す)を一定周期で繰り返し送信し(図4のf1,f2…),輻輳が解消すると,ホスト2Bからの応答として正常応答(ACK) が送られてくる(図4のj1)。WAN最適化装置1Bはこれを受け取ると,WAN最適化装置1Aに対して復旧(RESUME) の通知を送信する(図4のk)。WAN最適化装置1Aはこの復旧を受け取ると,ホスト2Aに対して正常受信の応答(ACK)を送信する(図4のl)。これにより,ホスト2Bが正常になったことを認識する。
【0032】
図5は受信側ホストに長時間のバッファ溢れが発生した場合の動作シーケンスであり,図中の各符号は上記図4と同一である。
【0033】
ホスト2Aからホスト2Bに対してパケットを送信している時に,WAN最適化装置1Bからのパケットを受信するホスト2Bにおいてバッファ溢れが発生すると,図4と同様にウィンドウ0をホスト2BからWAN最適化装置1Bに通知する。WAN最適化装置1Bはこれを受け取ると,「PAUSE Host」をWAN最適化装置1Aに送信し(図5のe1),この後図4と同様にWAN最適化装置1AでのTCP受信ウィンドウが詰まるとウィンドウ0をホスト2Aに通知することで,ホスト2Aは輻輳の要因が送信先のホスト2Bの問題であることを認識する。この図5の場合,受信側ホスト2Bのバッファ溢れが長時間継続し,WAN最適化装置1Aからの問い合わせ(probe で表示) に対してバッファが復旧するまで,WAN最適化装置1Bから1Aに対して「PAUSE-Host」が返送され,WAN最適化装置1Aからホスト2Aに対してウィンドウ0が通知される(図5のh1,h2,…)。
【0034】
図6は受信側のLANで短時間の輻輳または回線障害が発生した場合の動作シーケンスである。図中の各符号は上記図4,図5の同一符号と同じである。
【0035】
この場合も,ホスト2Aからホスト2Bに向けてデータ(パケット)を送信しているものとする。データa2がWAN最適化装置1Aから1Bへ送信されて,WAN最適化装置1Bからホスト2Bへデータを送信をする時に,LAN3B側である基準以上の問題(一時的な輻輳または回線障害)が発生したと判断される状態を検出すると,WAN最適化装置1BでLAN停止を表す「PAUSE LAN 」をWAN最適化装置1Aに通知する(図6のe1)。
【0036】
なお,上記の「ある基準以上の問題」が発生したことの判断基準として,WAN最適化装置1B内の相手WAN最適化装置1Aから受信したデータは受信バッファから,LAN3Bへ送信を行うための送信バッファ(送信キュー)へ順次移動して送信されるが,送信バッファに格納された後一定時間(例えば,1秒)経過しても送信されてない(キューからクリアされてない)ことが検出されると,問題発生として判断するようにして,直ちに「PAUSE LAN 」をデータ送信元(WAN最適化装置1A)に送信するようにしている。
【0037】
この「PAUSE LAN 」は,フロー制御パケットであり,これを受け取ったWAN最適化装置は,WAN側への送信を直ちに中断し,LAN側(送信元ホスト2A)からの受信データを廃棄し,送信元のホスト2Aには何も応答しない。この状態で,WAN最適化装置2Bからの復旧を表す「RESUME」の通知を受け取るまで問い合わせ「probe 」を送信する。
【0038】
ホスト2AはWAN最適化装置1Aからの応答が返ってこないため,リトライ(retry)を行って(図6のg1,g2…),所定回数のリトライ(retry)を実行しても応答がないと輻輳の要因が送信先のLAN輻輳であることを認識でき,TCPのプロトコルによる処置(リトライを続けて最後は切断となる)が行われる。WAN最適化装置1Bがリトライを継続している時にLANが復旧すると(図6のY),リトライに対してホスト2Bから正常応答(ACK) が送られてくる(図6のh)。WAN最適化装置1Bがこれを受け取ると,WAN最適化装置1Aに対して復旧(RESUME) の通知を送信する(図6のi)。WAN最適化装置1Aはこれを受け取ると,WAN最適化装置1Bへのデータ送信を再開すると共に送信元のホスト2Aからのデータ受信を再開し,受信が正常に行われると,ホスト2Aに対して正常受信の応答(ACK)を送信する(図6のb4)。これにより,ホスト2Aは受信側のLAN輻輳が復旧したことを認識し,データ送信を再開する(図6のa5)。
【0039】
図7は受信側のLANで長時間の輻輳または回線障害が発生した場合の動作シーケンスである。図中の各符号は上記図6の同一符号と同じである。
【0040】
この場合も,ホスト2Aからホスト2Bに向けてデータ(パケット)を送信しているものとする。図7において,上記図6と同様にデータがWAN最適化装置1Aから1Bへ送信されて,WAN最適化装置1Bからホスト2Bへデータを送信をする時に,LAN3B側で輻輳または回線障害が発生したと判断される状態(上記図6において説明した問題となる状態)を検出すると,WAN最適化装置1BでLAN停止を表す「PAUSE LAN 」をWAN最適化装置1Aに通知し(図7のf1),以下,図6と同様のシーケンスでWAN最適化装置1A及びホスト2Aとの間で制御信号のやりとりが行われ,ホスト2Aで輻輳の要因が送信先のLAN輻輳であることを認識する。
【0041】
この図7の動作では,LAN3Bにおける輻輳または回線異常が長時間にわたって継続し,WAN最適化装置1Bからホスト2Bへの再送(retry)に対する応答待ちのタイマがタイムアウトとなる。これによりWAN最適化装置1BのWAN側のセッション情報をクリアし,LAN側のセッション情報もクリアする共に,送信側のWAN最適化装置1Aに対しセッション解放を指示するリセット(RST)の通知を送信する(図7のi)。このセッション解放の指示を表すリセットの通知を受けたWAN最適化装置1Aは,WAN側のセッション情報をクリアする。ホスト2Aはリトライの送信に対し応答が返ってこないことを検出することで,輻輳状態が解除されないことを認識することができる。最終的にはホスト2AのTCPスタック側のリトライタイムアウトとなりホスト2A側のセッションもクリアされる。なお,図7の「keepAlive 」は受信側のホストからのWAN最適化装置1Bの生存確認のためのパケットである。
【0042】
図8はWAN最適化装置の送信側,受信側のフロー制御状態遷移図を示し,上記の図4乃至図7に示す動作シーケンスのWAN最適化装置における制御状態の遷移を示すものである。図8のA.は送信側のWAN最適化装置(図2の1A)の状態遷移図であり,「通常状態」において,受信側のWAN最適化装置(図2の1B)から(1) に示すPAUSE LAN の通知を受信すると「PAUSE LAN 」の状態に遷移し,この状態で受信側のWAN最適化装置から(2) に示すRESUMEの通知を受信すると, 「通常動作」の状態に遷移する。また, 通常動作状態において, 受信側のWAN最適化装置から(3) に示すPAUSE HOSTの通知を受信すると,「PAUSE HOST」の状態に遷移し,この状態の時に受信側のWAN最適化装置から(4) に示すRESUMEの通知を受信すると「通常動作」状態に遷移する。
【0043】
図8のB.は受信側のWAN最適化装置の状態遷移図であり,「通常状態」において,(a) に示す事象,すなわち,WAN受信バッファ内にあるLAN送信キューに移動するデータのうち,一番古いデータが一秒しても送信されていないことを検出することにより,「PAUSE LAN 」の状態に遷移する。この「PAUSE LAN 」の状態の時に,WAN受信バッファ内にあるLAN送信キューに移動するデータのうち,一番古いデータが送信されたことを検出すると(b) に示すように通常状態に戻る。また,「通常状態」において,エンドホスト(図2の2B)から,データを受信できる状況にない旨の通知を受信することで(c) に示す「PAUSE HOST」の状態に遷移し,この状態においてエンドホストへの問い合わせ(probe)に対応する応答またはエンドホストの単独応答(この応答を受けることで,データを受信できる状況になったと判断する)があると,(d) に示すように「通常動作」状態に戻る。
【0044】
図9乃至図13にWAN最適化装置におけるフローチャートであり,図9乃至図11は送信側のWAN最適化装置において実行されるものであり,以下に説明する。
【0045】
図9はホスト停止(PAUSE HOST) の通知を受信した時のフローチャートであり,送信側のWAN最適化装置(図2〜図7の1A)において受信側のWAN最適化装置(図2〜図7の1B)から「PAUSE HOST」を受信した時に実行される。PAUSE HOSTを受信するとWAN最適化装置の最適化制御部(図3の101)の状態を判別し,以前に「PAUSE HOST」を受信した状態であるとそのまま変化せず(図9のS2),通常状態または「PAUSE LAN 」の状態であると,何れの場合も「PAUSE HOST」の状態へ遷移する(同S3,S4)。S2〜S4の後は,WAN側への送信を中断し(図9のS5),probe (問い合わせ)を受信側のWAN最適化装置に送信し(同S6),一定周期内に「RESUME」(復旧)を送信相手から受信したか判別し(同S7),受信しなければステップS6に戻るが,受信すると最適化制御部(図3の101)は通常状態へ遷移する(図9のS8)。
【0046】
図10はラン停止(PAUSE LAN )の通知を受信した時のフローチャートであり, 上記図9と同様に送信側のWAN最適化装置で実行される。送信側のWAN最適化装置で受信側のWAN最適化装置からのPAUSE LAN を受信すると,最適化制御部(図3の101)の状態を判別し,PAUSE HOSTの状態であると,その状態を維持し(図10のS2),通常状態であった場合はPAUSE LAN 状態へ遷移し(同S3),WAN側への送信を中断する(同S4)。また,PAUSE LAN 状態であった場合は,その状態を維持する(図10のS5)。ステップS2,S4及びS5に続いて,probe (問い合わせ)を受信側のWAN最適化装置に送信し(同S6),一定周期内に「RESUME」(復旧)を送信相手から受信したか判別し(同S7),受信しなければステップS6に戻るが,受信すると最適化制御部(図3の101)は通常状態へ遷移する(図10のS8)。
【0047】
図11は復旧(RESUME) の通知を受信した時のフローチャートであり,上記図9,図10と同様に送信側のWAN最適化装置で実行される。送信側のWAN最適化装置で受信側のWAN最適化装置からのRESUMEを受信すると,最適化制御部(図3の101)の状態を判別し(図11のS1),通常状態であった場合は,RESUMEパケットを破棄し,状態は通常状態を維持する(同S2)。PAUSE HOST状態であった場合は最適化制御部を通常状態へ遷移させ(同S3),PAUSE LAN 状態であった場合は通常状態へ遷移させ(同S4),通常処理に移行する。
【0048】
次に図12,図13は受信側のWAN最適化装置(図2〜図7の1B)において実行されるフローチャートである。
【0049】
図12はホスト側からウィンドウ0(WIN 0)を受信した場合のフローチャートであり,「WIN 0 」を受信すると,受信側のWAN最適化装置の最適化制御部(図3の101)の状態を判別し(図12のS1),「PAUSE HOST」の状態であった場合はその状態を維持し(同S2),通常状態の場合は「PAUSE HOST」の状態へ遷移し(同S3),データ送信元のWAN最適化装置にホスト停止「PAUSE HOST」の通知を送信する(同S4)。ステップS1において最適化制御部が「PAUSE LAN 」の状態であることが検出されると,PAUSE HOSTに遷移して(図12のS5),ステップS4に移行する。ステップS2及びS4に続いて通常状態へ戻る条件を満たしたか判別し(図12のS6),満たさないとステップS4に戻り,満たした場合は「RESUME」(復旧)を送信側へ通知し,通常状態へ遷移する(同S7)。なお,ステップS6の通常状態へ戻る条件は,ホスト2Bに対する問い合わせ(probe)に対する応答や, ACK の応答を受け取ることである。
【0050】
図13はホストからPAUSE LAN を検出した場合のフローチャートである。PAUSE LAN をホスト2Bから受信することはなく,ホスト2Bへの送信が輻輳してPAUSE LAN の状態が検出されると,最適化制御部の状態を判別し(図13のS1),最適化制御部がPAUSE HOST状態であった場合はその状態を維持し(同S2),通常状態であった場合はPAUSE LAN 状態に遷移し(同S3),データ送信元の最適化装置にPAUSE LAN を送信し(同S4),PAUSE LAN 状態であった場合はその状態を維持し(同S5),ステップS4,S5の処理に続いて通常状態へ戻る条件を満たしたか判別する(同S6)。条件を満たすと,「RESUME」を送信側へ通知し,通常状態へ遷移し(図13のS7),通常処理へ移行する。
【0051】
(付記1) それぞれが別のLANに接続された2つのホスト間をWANで接続し,WANの両端にWAN最適化装置を設けたネットワークにおけるフロー制御方法において,送信側のホストからのパケットを送信側のWAN最適化装置,WAN,受信側のWAN最適化装置を介して受信側のホストへ伝送時に受信側のホストで受信バッファが溢れてウィンドウ0の信号を受信側のWAN最適化装置に送信すると,前記受信側のWAN最適化装置は,前記送信側のWAN最適化装置に対してホスト停止の通知をし,前記送信側のWAN最適化装置は前記ホスト停止の通知を受信すると受信側のWAN最適化装置に対するデータ送信を中断し,送信側のホストからのデータ受信量がフルになると送信側のホストに対しウィンドウ0の信号を送信し,受信側のWAN最適化装置は受信側のホストからの正常受信の応答を受け取ると,送信側のWAN最適化装置に対して復旧の通知を送信し,前記送信側の最適化装置は前記復旧の通知を受け取ると送信側のホストに対し正常受信の応答を送信することを特徴とするフロー制御方法。
【0052】
(付記2) 付記1において,前記受信側WAN最適化装置は前記ウィンドウ0を受信すると一定周期で受信側ホストに対して問い合わせ信号を送信し,前記送信側WAN最適化装置は前記受信側からのホスト停止を受信すると一定周期で受信側のWAN最適化装置に対して問い合わせ信号を送信することを特徴とするフロー制御方法。
【0053】
(付記3) 付記1において,前記受信側のLANの輻輳または回線障害によるLAN異常を受信側のWAN最適化装置が検出すると,送信側WAN最適化装置に対してLAN停止を通知し,前記送信側WAN最適化装置は前記LAN停止の通知を受信すると受信側のWAN最適化装置に対するデータ送信を中断し,送信側のホストからのデータを廃棄し,前記受信側のWAN最適化装置は前記LANの輻輳または回線障害の復旧により受信側のホストからの正常受信の応答を受け取ると,送信側のWAN最適化装置に対して復旧の通知を送信し,前記送信側の最適化装置は前記復旧の通知を受け取ると送信側のホストに対し正常受信の応答を送信することを特徴とするフロー制御方法。
【0054】
(付記4) 付記3において,前記受信側のWAN最適化装置は前記LAN異常を検出すると,受信側ホストに対して一定周期で再送を行い,予め設定された再送タイムを越えるとLAN側のセッション情報とWAN側のセッション情報をクリアすると共に,前記送信側のWAN最適化装置に対してリセット情報を送信し,前記送信側のWAN最適化装置は前記リセット情報を受信するとWAN側のセッションをクリアすることを特徴とするフロー制御方法。
【0055】
(付記5) それぞれが別のLANに接続された2つのホスト間をWANで接続し,WANの両端にWAN最適化装置を設けたネットワークにおけるWAN最適化装置において,受信側のWAN最適化装置は,受信側ホストからの受信不可の通知を受け取ると送信側のWAN最適化装置に対しホスト停止の通知を送出する手段と,ホスト停止の通知を送出後に正常受信の応答を受信側のホストから受信すると送信側のWAN最適化装置に対し復旧の通知を送出する手段を備え,前記送信側のWAN最適化装置は,前記ホスト停止の通知を受信すると送信側ホストに対し,ウィンドウ0の通知を送出する手段と,前記受信側のWAN最適化装置からの復旧の通知を受信すると送信側ホストに対し正常受信の応答を送出する手段を備えることを特徴とするWAN最適化装置。
【0056】
(付記6) 付記5において,前記受信側WAN最適化装置は,受信側LANの異常を検出すると送信側のWAN最適化装置に対してLAN停止の通知を送出する手段と,LAN停止の通知を送出した後に前記LAN異常の復旧を検出すると前記送信側のWAN最適化装置に対し復旧の通知を送出する手段とを備え,前記送信側WAN最適化装置は,前記LAN停止の通知を受信すると,受信側のWAN最適化装置に対するデータ送信を中断し,送信側のホストから受信するデータを廃棄し,前記受信側のWAN最適化装置からの復旧の通知を受け取ると受信側のWAN最適化装置へのデータ送信を再開すると共に送信側のホストからのデータ受信を再開することを特徴とするWAN最適化装置。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の原理構成を示す図である。
【図2】本発明が実施されるネットワークの構成を示す図である。
【図3】WAN最適化装置のブロック構成を示す図である。
【図4】受信側ホストに一時的なバッファ溢れが発生した場合の動作シーケンスを示す図である。
【図5】受信側ホストに長時間のバッファ溢れが発生した場合の動作シーケンスを示す図である。
【図6】受信側のLANで短時間の輻輳または回線障害が発生した場合の動作シーケンスを示す図である。
【図7】受信側のLANで長時間の輻輳または回線障害が発生した場合の動作シーケンスを示す図である。
【図8】WAN最適化装置の送信側,受信側のフロー制御状態遷移図を示す図である。
【図9】ホスト停止(PAUSE HOST) の通知を受信した時のフローチャートを示す図である。
【図10】ラン停止(PAUSE LAN )の通知を受信した時のフローチャートを示す図である。
【図11】復旧(RESUME) の通知を受信した時のフローチャートを示す図である。
【図12】ホスト側からウィンドウ0(WIN 0)を受信した場合のフローチャートを示す図である。
【図13】ホストからLAN停止(PAUSE LAN)を検出した場合のフローチャートを示す図である。
【図14】エンドホスト間をWANで接続した通信システムを示す図である。
【図15】WAN最適化装置を用いたネットワークの概念図である。
【図16】WAN最適化装置を設けることで想定される問題の説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B WAN最適化装置
10 制御部
11 ホスト異常制御部
11a ホスト停止通知手段
11b 復旧通知手段
12 LAN異常制御部
12a LAN停止通知手段
12b 復旧通知手段
12c リセット通知手段
13 TCPの伝送制御部
14 送信バッファ
11c 受信不可通知手段
11d 正常応答手段
12d データ停止手段
12e 応答手段
12f リセット手段
2A,2B ホスト
20a,20b 伝送制御部
3A,3B LAN
4 広帯域のWAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが別のLANに接続された2つのホスト間をWANで接続し,WANの両端にWAN最適化装置を設けたネットワークにおけるフロー制御方法において,
送信側のホストからのパケットを送信側のWAN最適化装置,WAN,受信側のWAN最適化装置を介して受信側のホストへ伝送時に受信側のホストで受信バッファが溢れてウィンドウ0の信号を受信側のWAN最適化装置に送信すると,前記受信側のWAN最適化装置は,前記送信側のWAN最適化装置に対してホスト停止の通知をし,
前記送信側のWAN最適化装置は前記ホスト停止の通知を受信すると受信側のWAN最適化装置に対するデータ送信を中断し,送信側のホストからのデータ受信量がフルになると送信側のホストに対しウィンドウ0の信号を送信し,
受信側のWAN最適化装置は受信側のホストからの正常受信の応答を受け取ると,送信側のWAN最適化装置に対して復旧の通知を送信し,
前記送信側の最適化装置は前記復旧の通知を受け取ると送信側のホストに対し正常受信の応答を送信することを特徴とするフロー制御方法。
【請求項2】
請求項1において,
前記受信側のLANの輻輳または回線障害によるLAN異常を受信側のWAN最適化装置が検出すると,送信側WAN最適化装置に対してLAN停止を通知し,
前記送信側WAN最適化装置は前記LAN停止の通知を受信すると受信側のWAN最適化装置に対するデータ送信を中断し,送信側のホストからのデータを廃棄し,
前記受信側のWAN最適化装置は前記LANの輻輳または回線障害の復旧により受信側のホストからの正常受信の応答を受け取ると,送信側のWAN最適化装置に対して復旧の通知を送信し,
前記送信側の最適化装置は前記復旧の通知を受け取ると送信側のホストに対し正常受信の応答を送信することを特徴とするフロー制御方法。
【請求項3】
それぞれが別のLANに接続された2つのホスト間をWANで接続し,WANの両端にWAN最適化装置を設けたネットワークにおけるWAN最適化装置において,
受信側のWAN最適化装置は,受信側ホストからの受信不可の通知を受け取ると送信側のWAN最適化装置に対しホスト停止の通知を送出する手段と,ホスト停止の通知を送出後に正常受信の応答を受信側のホストから受信すると送信側のWAN最適化装置に対し復旧の通知を送出する手段を備え,
前記送信側のWAN最適化装置は,前記ホスト停止の通知を受信すると送信側ホストに対し,ウィンドウ0の通知を送出する手段と,前記受信側のWAN最適化装置からの復旧の通知を受信すると送信側ホストに対し正常受信の応答をする手段を備えることを特徴とするWAN最適化装置。
【請求項4】
請求項3において,
前記受信側WAN最適化装置は,受信側LANの異常を検出すると送信側のWAN最適化装置に対してLAN停止の通知を送出する手段と,LAN停止の通知を送出した後に前記LAN異常の復旧を検出すると前記送信側のWAN最適化装置に対し復旧の通知を送出する手段とを備え,
前記送信側WAN最適化装置は,前記LAN停止の通知を受信すると,受信側のWAN最適化装置に対するデータ送信を中断し,送信側のホストから受信するデータを廃棄し,前記受信側のWAN最適化装置からの復旧の通知を受け取ると受信側のWAN最適化装置へのデータ送信を再開すると共に送信側のホストからのデータ受信を再開することを特徴とするWAN最適化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−105801(P2009−105801A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277407(P2007−277407)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】