説明

ブッシュ

【課題】部品点数削減による低コスト化,がたつき防止による長寿命化を実現しつつ、高い組立精度を必要としないブッシュの提供。
【解決手段】内筒32の径方向内側に内筒32の軸方向に延びる連結ピン40を設け、連結ピン40に連結ピン40の径方向外側に突出する突出部42を設け、突出部42の軸方向両側に肩部42aを設け、内筒32と突出部42との間に連結ピン40の内筒32に対する相対回転を案内するベアリング50を設け、内筒32の軸方向両側に内筒32の径方向内側に屈曲する屈曲部33を設け、屈曲部33と肩部42aとの間に弾性部材60を組み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の部材と他方の部材との間に設けられ、各部材間を伝達する衝撃や振動を吸収するブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車やトラック,バス等の車両には、車体(一方の部材)と車軸(他方の部材)との間に懸架装置を備えている。懸架装置は、衝撃や振動を吸収するバネ部材と、バネ部材の振動を減衰する減衰部材(緩衝部材)とを有しており、バネ部材としてはコイルスプリングやエアスプリング等を用い、減衰部材としては油圧緩衝器等を用いている。その中でも、特にトラック等の懸架装置は、バネ部材および減衰部材に加えてトルクロッドを備えているものがある。トルクロッドの両端側には、トルクロッドブッシュ(ブッシュ)が取り付けられ、トルクロッドブッシュは、車軸の車体に対する相対移動を一定範囲で許容し、また、路面から入力された衝撃的振動の車体への伝播を緩衝し、ひいては快適な乗り心地や操縦安定性の向上等を図っている。このようなトルクロッドに用いられるトルクロッドブッシュとしては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された衝撃吸収ジョイント(ブッシュ)は、鋼材よりなる外筒と内筒とを備え、外筒と内筒との間には加硫接着等により緩衝材(ゴム)が設けられている。内筒の軸方向中央部分には、径方向内側に突出した細径部が設けられ、細径部の径方向内側には一対の軸受部材が設けられている。各軸受部材は、内筒の軸方向両側からそれぞれ装着されて細径部の段部に支持されている。各軸受部材の径方向内側には、鋼材よりなる連結ピンが設けられ、連結ピンは各軸受部材に回動自在に支持されている。このように、特許文献1に記載されたブッシュは所謂回転型のブッシュとなっている。各軸受部材は、連結ピンの軸方向一方側および他方側から一対のパッキンを装着し、さらに連結ピンの軸方向一方側および他方側から一対の固定リングを装着することで抜け止めされる。各固定リングは連結ピンをカシメ加工することで抜け止めされる。そして、連結ピンの軸方向一方側および他方側から一対のダストカバーを装着することで、各軸受部材と連結ピンとの間の摺動部に埃等が進入するのを防止している。ここで、例えば、連結ピンは車体側に固定され、外筒はトルクロッドを介して車軸側に固定される。
【0004】
特許文献2に記載されたトルクロッドブッシュ(ブッシュ)は、特許文献1と同様に回転型のブッシュとなっている。特許文献2のトルクロッドブッシュは、鋼材よりなる外筒とスリーブとを備え、外筒とスリーブとの間には緩衝筒(ゴム)が接着されている。スリーブの径方向内側には高分子材(ポリアミド等)の内筒が設けられ、内筒の径方向内側には、取付け軸の球面部が回動自在に装着されている。スリーブと球面部との間の内筒は、スリーブと球面部との間に溶融した高分子材を流し込み、流し込んだ高分子材が固化することで形成される(組立パターンA)。また、内筒を予め形成しておき、内筒をスリーブ内に装着した後にスリーブの両端側に内方フランジを形成し、これによりスリーブと球面部との間に内筒を設けている(組立パターンB)。ここで、例えば、取付け軸は車体側に固定され、外筒はトルクロッドを介して車軸側に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−090639号公報(第1図)
【特許文献2】特開平10−153237号公報(図1,図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2に記載された技術によれば、それぞれ以下に示すような問題が生じ得る。つまり、特許文献1に記載のブッシュにおいては、一対の軸受部材を備える上に一対のパッキンおよび固定リングを備え、さらに連結ピンをカシメ加工した後に一対のダストカバーを装着するようにしている。したがって、部品点数が多く組立工程の煩雑化を招き、その結果、製造コストが上昇するという問題が生じ得る。
【0007】
また、特許文献2に記載のブッシュにおいては、溶融した高分子材が固化する際に内筒(高分子材)が固化収縮し、これにより内筒がスリーブ内でがたつくことがある。この場合、異音が発生するばかりか内筒が早期に偏摩耗し、ブッシュの長寿命化が困難といった問題が生じ得る(組立パターンA)。また、内筒を予め形成しておく場合には、内方フランジを内筒の形状に沿わせて屈曲させる際に、スリーブのスプリングバック等の特性を考慮する必要があり、高い組立精度を必要とする(組立パターンB)。
【0008】
本発明の目的は、部品点数削減による低コスト化,がたつき防止による長寿命化を実現しつつ、高い組立精度を必要としないブッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のブッシュは、一方の部材と他方の部材との間に設けられ、前記各部材間を伝達する衝撃や振動を吸収するブッシュであって、前記一方の部材又は他方の部材に取り付けられる外筒と、前記外筒の径方向内側に設けられる内筒と、前記外筒と前記内筒との間に設けられる緩衝材と、前記他方の部材又は一方の部材に取り付けられ、前記内筒の径方向内側で前記内筒の軸方向に延びる連結ピンと、前記連結ピンに設けられ、前記連結ピンの径方向外側に突出し、軸方向両側に肩部を備えた突出部と、前記内筒と前記突出部との間に設けられ、前記連結ピンの前記内筒に対する相対回転を案内するベアリングと、前記内筒の軸方向両側に設けられ、前記内筒の径方向内側に屈曲した屈曲部と、前記屈曲部と前記突出部の肩部との間に組み込まれる弾性部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のブッシュは、前記弾性部材は、前記ベアリングの軸方向両側を支持することを特徴とする。
【0011】
本発明のブッシュは、前記弾性部材は、前記肩部と前記屈曲部との間に加圧状態で組み込まれることを特徴とする。
【0012】
本発明のブッシュは、前記屈曲部の径方向内側への張出量は、少なくとも前記連結ピンの前記突出部における径方向最外径の外周面に対しオーバーラップする張出量とすることを特徴とする。
【0013】
本発明のブッシュは、前記ベアリングの軸方向両側に、前記連結ピンの径方向内側に突出するベアリング突起部を設け、前記ベアリング突起部を前記肩部に支持させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のブッシュによれば、内筒の径方向内側に内筒の軸方向に延びる連結ピンを設け、連結ピンに連結ピンの径方向外側に突出する突出部を設け、突出部の軸方向両側に肩部を設け、内筒と突出部との間に連結ピンの内筒に対する相対回転を案内するベアリングを設け、内筒の軸方向両側に内筒の径方向内側に屈曲する屈曲部を設け、屈曲部と肩部との間に弾性部材を組み込む。これにより、屈曲部が弾性部材を介して突出部を軸方向両側から支持し、連結ピンの内筒に対する抜け止めがなされる。したがって、従前のようなパッキンや固定リング等を省略して部品点数を削減でき、ひいては組立工程を簡素化して製造コストを低減できる。また、連結ピンは弾性部材を介して抜け止めされるので、弾性部材により連結ピンの軸方向に掛かる衝撃的荷重を吸収でき、さらに連結ピンの内筒に対するがたつきを抑制できる。よって、ブッシュの早期破損を防止してブッシュの長寿命化を図ることができる。さらに、屈曲部を屈曲変形してブッシュを組み立てる際に、屈曲部の変形誤差を弾性部材により吸収でき、高い組立精度を必要とせず製造コストを低減できる。
【0015】
本発明のブッシュによれば、弾性部材は、ベアリングの軸方向両側を支持するので、ベアリングが軸方向にがたつくのを防止できる。よって、ベアリングのがたつきに起因する異音の発生や、ベアリングが偏荷重を受けて偏摩耗するのを防止できる。
【0016】
本発明のブッシュによれば、弾性部材は、肩部と屈曲部との間に加圧状態で組み込まれるので、弾性部材によるシール性を向上させることができる。つまり、弾性部材が加圧状態で組み込まれているため、外力により連結ピンが内筒に対して軸方向にズレても、弾性部材が突出部より離間しないため、ベアリングと突出部との間への埃等の進入を確実に阻止できる。
【0017】
本発明のブッシュによれば、屈曲部の径方向内側への張出量は、少なくとも連結ピンの突出部の最外周面に対しオーバーラップする張出量とするので、連結ピンの内筒に対する抜け強度を向上させることができる。つまり、ブッシュの剛性を高めることができる。
【0018】
本発明のブッシュによれば、ベアリングの軸方向両側に、連結ピンの径方向内側に突出するベアリング突起部を設け、ベアリング突起部を肩部に支持させるので、連結ピンとベアリングとを軸方向に対して相対移動不能に一体化できる。したがって、連結ピンの内筒に対する抜け強度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】後輪2軸タイプの大型トラックにおける車体と車軸との間に架装される懸架装置を説明する説明図である。
【図2】図1の懸架装置に用いられるトルクロッドを示す斜視図である。
【図3】図2のトルクロッドに取り付けられるブッシュ(第1実施の形態)を示す断面図である。
【図4】ブッシュ本体の構造を説明する説明図である。
【図5】連結ピンの構造を説明する説明図である。
【図6】(a),(b)は、ベアリングの構造を説明する説明図である。
【図7】(a),(b)は、弾性部材の構造を説明する説明図である。
【図8】連結ピンへのベアリングの装着手順(組立工程1)を説明する説明図である。
【図9】連結ピン−ベアリング組立体へのブッシュ本体の装着手順(組立工程2)を説明する説明図である。
【図10】連結ピン−ブッシュ本体組立体への各弾性部材の装着手順(組立工程3)を説明する説明図である。
【図11】(a),(b),(c)は、各薄肉部を屈曲変形させるカシメ工程(組立工程4)を説明する説明図である。
【図12】第2実施の形態に係るブッシュを示す部分拡大断面図である。
【図13】第3実施の形態に係るブッシュを示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1は後輪2軸タイプの大型トラックにおける車体と車軸との間に架装される懸架装置を説明する説明図を、図2は図1の懸架装置に用いられるトルクロッドを示す斜視図を、図3は図2のトルクロッドに取り付けられるブッシュ(第1実施の形態)を示す断面図を、図4はブッシュ本体の構造を説明する説明図を、図5は連結ピンの構造を説明する説明図を、図6(a),(b)はベアリングの構造を説明する説明図を、図7(a),(b)は弾性部材の構造を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0022】
図1に示すように、後輪2軸タイプの大型トラック10の車体を形成するフレーム11の後方側には、フレーム11の長手方向(図中左右方向)に並んで一対の後輪車軸12が設けられている。各後輪車軸12のフレーム11の短手方向(図中奥行方向)に沿う両端側には、それぞれ一対の後輪13(図示では1つのみを示す)が取り付けられ、各後輪車軸12は、それぞれ懸架装置14を介してフレーム11に支持されている。
【0023】
懸架装置14は、一端側がフレーム11に連結される連結部材15と、一端側が連結部材15の他端側に回動自在に連結されるトルクロッド16と、トルクロッド16の他端側に回転自在に連結され、後輪車軸12を支持する支持部材17とを備えている。連結部材15,トルクロッド16および支持部材17はリンク機構を形成し、支持部材17とフレーム11との間には、一対のエアスプリング18と油圧緩衝器19とが設けられている。各エアスプリング18および油圧緩衝器19は、後輪13の上下動に伴う支持部材17の上下動に応じて伸縮動作するようになっている。
【0024】
連結部材15と支持部材17との間に設けられるトルクロッド16は、図2に示すように、ロッド本体16aとその両端側に固定された一対の取付環16bとを備えている。トルクロッド16の各取付環16bには、図3に示すブッシュ20がそれぞれ取り付けられている。ブッシュ20は、ブッシュ本体30,連結ピン40,ベアリング50および一対の弾性部材60を備えている。
【0025】
ブッシュ本体30は、図3および図4に示すように、鋼材よりなる外筒31を備え、外筒31はトルクロッド16の取付環16bの内側に圧入されるようになっている。
【0026】
外筒31の径方向内側には、外筒31よりも小径に形成され、外筒31との間に環状隙間Sを形成する内筒32が設けられている。内筒32の軸方向寸法は、外筒31の軸方向寸法よりも長い寸法に設定され、内筒32の軸方向両側は、外筒31の外部にそれぞれ延出されている。内筒32は本体筒部32aを備え、本体筒部32aの両端側には、本体筒部32aの肉厚よりも薄肉となった一対の薄肉部32bが設けられている。各薄肉部32bは外筒31の外部に配置され、ブッシュ20を組み立てる際に、図3に示すように径方向内側に折り曲げ変形されて屈曲部33となる。
【0027】
外筒31と内筒32との間の環状隙間Sには、加硫接着等によりゴム、エラストマー等の弾性材よりなる緩衝材34が設けられている。緩衝材34は筒状に形成され、外筒31および内筒32が径方向またはこじり方向に相対移動した際に弾性変形する。このように緩衝材34は、内筒32または外筒31に負荷された変位、すなわち振動を吸収し、一方から他方へ伝達しないようになっている。ここで、ブッシュ本体30は、外筒31,内筒32および緩衝材34により構成されている。
【0028】
連結ピン40は、図3および図5に示すように、鋼材製のパイプ材より形成され、内筒32(ブッシュ本体30)の径方向内側で内筒32を軸方向に貫通するよう延びている。連結ピン40の軸方向両側は、断面が略正方形形状に形成(図2参照)された一対の取付部41となり、各取付部41は、懸架装置14を形成する連結部材15または支持部材17に取り付けられる。各取付部41にはそれぞれ貫通孔41aが形成され、各貫通孔41aには締結ボルト等の締結具(図示せず)が貫通するようになっている。これにより、締結具を介して連結ピン40を連結部材15または支持部材17に固定することができる。
【0029】
連結ピン40の軸方向に沿う略中央部分、つまり連結ピン40の各貫通孔41aの間には、連結ピン40の径方向外側に突出する筒状の突出部42が設けられている。突出部42の外径寸法は、内筒32の内径寸法よりも小さい寸法に設定され、突出部42と内筒32との間にはベアリング50が設けられている。突出部42はベアリング50の径方向内側に回転自在に設けられ、これにより、連結ピン40は、内筒32(ブッシュ本体30)に対して内筒32の軸心を中心に相対回転可能となっている。このようにブッシュ20は回転型のブッシュとなっている。
【0030】
突出部42の軸方向両側には、突出部42の外周面から連結ピン40の中心軸に向かって連続する肩部42aを有し、各肩部42aは、それぞれ連結ピン40の略軸方向に面し、連結ピン40の軸方向から各弾性部材60を支持するようになっている。連結ピン40の各肩部42aと各取付部41との間には、各弾性部材60の各環状リップ62(図7参照)が装着される一対の環状凹部43が設けられ、各環状凹部43は、各弾性部材60の径方向内側が嵌め込まれている。これにより、各環状リップ62の連結ピン40に対する軸方向への移動が規制される。
【0031】
突出部42の外周面44(突出部42の径方向最外径の外周面)は、図3に示すように、内筒32の内周面に対しほぼ平行に形成されており、この外周面44は、連結ピン40の軸方向から見て内筒32の各屈曲部33に対してオーバーラップする外径を有している(図中符号T部分参照)。つまり、各屈曲部33の径方向内側への張出量hは、各屈曲部33の先端部(径方向内側)が外周面44に連なる各肩部42aにまで到達する量に設定されている。これにより、各肩部42aと各屈曲部33との間に各弾性部材60がそれぞれ保持されて、連結ピン40およびベアリング50の内筒32(ブッシュ本体30)から確実な抜け止めがなされる。ただし、例えば、各弾性部材60の剛性が十分に高い場合には、軸方向に外力が負荷されたときに抜けることなく弾性部材60を軸方向に保持できればよいので、この場合には、各屈曲部33の径方向内側への張出量hを小さくすることもでき、連結ピン40の軸方向から見て外周面44と各屈曲部33とをオーバーラップさせないようにしても良い。しかし、本発明の弾性部材60は、ダストシールを兼ねるため、突出部42との密着性、シール性の点から、ゴム硬度50〜80度(JIS K6253 A型デュロメータ)程度の柔軟性を有する方が好ましいので、弾性部材60の剛性に応じて、張出量hを調整することが好ましい。
【0032】
突出部42と内筒32との間に設けられるベアリング50は、図6に示すように、プラスチック等の樹脂材料により略筒状に形成されている。ベアリング50には、その軸方向に沿うよう切欠部51が設けられ、これによりベアリング50は径方向に弾性変形可能となっている。
【0033】
ベアリング50の軸方向両側には、連結ピン40の径方向内側に向けて突出する一対のベアリング突起部52が一体に設けられ、各ベアリング突起部52は、図3に示すように、突出部42の各肩部42aに接触して支持されている。これにより、ベアリング50は連結ピン40に対して一体化され、軸方向に相対移動不能となっている。ここで、ベアリング50の径方向内側と連結ピン40の外周面44との間には、所定量の摺動グリス(図示せず)が介在しており、連結ピン40はベアリング50によりスムーズに回転可能に案内されている。なお、切欠部51は、摺動グリスを保持するグリス溜めとしても機能する。
【0034】
各肩部42aと各屈曲部33との間に保持される各弾性部材60は、図7に示すように、環状に形成されている。弾性部材60は、ブッシュ20の用途により適当に選択できるが、大型トラック等のトルクロッドブッシュとしては、強度、耐摩耗性の観点からNR,EPDM,SBR等またはそれらのブレンド材が好ましい。弾性部材60の軸方向一方側の外周縁には環状段差部61が設けられ、環状段差部61には、図3に示すようにベアリング50のベアリング突起部52が入り込んで密着される。つまり、ベアリング50の軸方向両側は、突出部42の各肩部42aと同様に、各弾性部材60により支持されている。
【0035】
弾性部材60の径方向内側には、弾性部材60の軸方向に並んで一対の環状リップ62が形成されている。各環状リップ62の内径寸法は、連結ピン40の環状凹部43の外径寸法よりも小さい寸法に設定され、各環状リップ62は環状凹部43に弾性変形しつつ入り込むようになっている。これにより各環状リップ62は、連結ピン40とベアリング50との間への雨水や埃等の異物の進入を阻止する。このように、弾性部材60はシール部材として機能する。ここで、各弾性部材60はベアリング50とともに内筒32内に固定され、各環状リップ62は連結ピン40に摺接するようになっている。なお、各環状リップ62と環状凹部43との間にも所定量の摺動グリスが介在している。
【0036】
弾性部材60は、各肩部42aと各屈曲部33との間に加圧状態で組み込まれ、図3に示すブッシュ20の組み立て状態における軸方向寸法L1は、図7に示す自然状態(無負荷状態)における軸方向寸法L2よりも小さい寸法となっている(L1<L2)。このように、各弾性部材60は、各肩部42aと各屈曲部33との間に圧縮変形された状態で挟持され、これにより連結ピン40が内筒32に対して軸方向に相対移動されるような軸力を吸収しつつ、内筒32(ブッシュ本体30)に対する連結ピン40およびベアリング50のがたつきを抑えている。
【0037】
また、各弾性部材60を加圧状態で組み込むことにより、各弾性部材60と各屈曲部33との間の密閉性を向上させ、各弾性部材60と各屈曲部33との間から連結ピン40とベアリング50との間への雨水や埃等の異物の進入を阻止している。なお、連結ピン40が内筒32に対して軸方向に相対移動するような場合でも、各弾性部材60は圧縮変形されているため、各肩部42aおよび各屈曲部33から離間することは無い。つまり、ブッシュ20が振動吸収中(作動中)において、各弾性部材60のシール部材としての機能が損なわれることは無い。
【0038】
次に、以上のように形成したブッシュ20の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
【0039】
図8は連結ピンへのベアリングの装着手順(組立工程1)を説明する説明図を、図9は連結ピン−ベアリング組立体へのブッシュ本体の装着手順(組立工程2)を説明する説明図を、図10は連結ピン−ブッシュ本体組立体への各弾性部材の装着手順(組立工程3)を説明する説明図を、図11(a),(b),(c)は各薄肉部を屈曲変形させるカシメ工程(組立工程4)を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0040】
[組立工程1]
図8に示すように、まず、予め別工程で、所定形状に形成した連結ピン40とベアリング50とを準備する。次いで、連結ピン40の一方の取付部41を第1治具70の支持凹部71に挿入し、連結ピン40を第1治具70にセットする。一方、ベアリング50の径方向内側には、刷毛等を用いて所定量の摺動グリス(図示せず)を塗布しておく。その後、図中矢印(1)に示すように、連結ピン40の軸心とベアリング50の軸心とを一致させた状態のもとで、連結ピン40の他方の取付部41側から、第2治具72を用いてベアリング50を連結ピン40に臨ませる。このとき、第2治具72の環状押圧部73をベアリング50の他方の端部に当接させるようにする。
【0041】
引き続き、図中矢印(2)に示すように、第2治具72を第1治具70に近接するよう下降させる。これにより、ベアリング50の一方のベアリング突起部52が、連結ピン40の他方の肩部42aを乗り越えて、ベアリング50は図中矢印(3)に示すように拡開する。このとき、ベアリング50は切欠部51により撓み易くなっており、略抵抗無くベアリング50を連結ピン40に装着することができる。その後、第2治具72の下降を進めて行くことにより、図中破線部分に示すように、ベアリング50が連結ピン40の突出部42を覆うよう定位置に配置される。つまり、ベアリング50の各ベアリング突起部52が連結ピン40の各肩部42aにそれぞれ支持される。これにより、連結ピン−ベアリング組立体SA1が完成する。
【0042】
[組立工程2]
次に、図9に示すように、予め別工程で組み立てたブッシュ本体30を準備し、連結ピン−ベアリング組立体SA1を第1治具70にセットした状態のもとで、ブッシュ本体30の軸心と連結ピン−ベアリング組立体SA1の軸心とを一致させる。その後、図中矢印(4)に示すように、連結ピン40の他方の取付部41側から、第3治具74を用いてブッシュ本体30を連結ピン40に臨ませる。このとき、第3治具74の環状押圧部75を内筒32の他方の薄肉部32bに当接させるようにする。
【0043】
引き続き、図中矢印(5)に示すように、第3治具74を第1治具70に近接するよう下降させる。これにより、ブッシュ本体30の内筒32が徐々にベアリング50の外周を覆うよう嵌合して行く。このとき、各ベアリング突起部52が各肩部42aにそれぞれ支持されているため、ベアリング50は連結ピン40に対して相対移動することは無い。その後、さらに第3治具74の下降を進めて行くことにより、図中破線部分に示すように、ブッシュ本体30がベアリング50に対する定位置に配置される。つまり、ベアリング50の軸方向中央部分とブッシュ本体30の軸方向中央部分とが一致した状態となり、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2が完成する。
【0044】
[組立工程3]
次に、図10に示すように、予め別工程で所定形状に形成した一対の弾性部材60を準備し、各弾性部材60に、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2への装着を容易にするオイル(図示せず)を塗布しておく。その後、一方の弾性部材60を第4治具76の環状凸部77に載置する。このとき、弾性部材60の環状段差部61が他方側(図中上方)を向くようにする。次いで、図中矢印(6)に示すように、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2を第4治具76に臨ませて、連結ピン40の一方の取付部41を第4治具76の支持凹部78に挿入し、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2を第4治具76にセットする。
【0045】
引き続き、図中矢印(7)に示すように、他方の弾性部材60の軸心と連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2の軸心とを一致させた状態のもとで、他方の弾性部材60を内筒32の他方の薄肉部32bに臨ませる。その後、図中矢印(8)に示すように、連結ピン40の他方の取付部41側から、第5治具79を用いて他方の弾性部材60を押圧する。このとき、第5治具79の環状押圧部80を他方の弾性部材60に当接させるようにする。その後、図中破線部分に示すように、各弾性部材60が連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2に対する定位置に配置される。つまり、各弾性部材60の各環状リップ62は連結ピン40の各環状凹部43に入り込み、各弾性部材60の各環状段差部61にベアリング50の各ベアリング突起部52が入り込む。これにより、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2への各弾性部材60の仮装着が完了する。
【0046】
[組立工程4]
次に、図11(a)に示すように、各弾性部材60を仮装着した連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2を、第6治具81に移動する。ここで、各弾性部材60は各環状凹部43に支持されているため、第6治具81への移動の際に、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2から脱落することは無い。その後、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2の連結ピン40の一方の取付部41を、第6治具81の支持凹部82に挿入し、連結ピン−ブッシュ本体組立体SA2を第6治具81にセットする。このとき、内筒32の一方の薄肉部32bは、第6治具81の支持凹部82の開口側に形成された第1カシメ凹部83に突き当てられる。
【0047】
引き続き、図中矢印(9)に示すように、連結ピン40の他方の取付部41側から第7治具84を臨ませる。このとき、第7治具84の支持凹部85に他方の取付部41を挿入するようにする。その後、さらに第7治具84を下降させることにより、第7治具84の支持凹部85の開口側に形成された第2カシメ凹部86を、内筒32の他方の薄肉部32bに突き当てる。
【0048】
次いで、第7治具84の第6治具81に対する押圧荷重を大きくしていくことにより、図11(b)に示すように内筒32の各薄肉部32bが、各カシメ凹部83,86の形状に沿って径方向内側に向けて折り曲げ変形され、これにより、各薄肉部32bは各屈曲部33となる。ここで、各薄肉部32bは、各弾性部材60に沿って屈曲変形して各弾性部材60を圧縮変形させるので、各弾性部材60は各屈曲部33の変形誤差を吸収する。したがって、各薄肉部32bのスプリングバック等を考慮する必要が無く高い加工精度を必要としない。
【0049】
その後、図中矢印(10)に示すように、第6治具81に対して第7治具84を上昇させ、第7治具84の支持凹部85から他方の取付部41を抜き取る。次いで、図11(c)の矢印(11)に示すように、第6治具81の支持凹部82から一方の取付部41を抜き取り、これによりブッシュ20が完成する。
【0050】
ここで、第2治具72,第3治具74,第5治具79および第7治具84の上昇/下降動作は、油圧シリンダ等のアクチュエータを駆動源として自動で行うことができる。なお、第2治具72,第3治具74および第5治具79の上昇/下降動作においては、第7治具84程の駆動力(カシメ加工)を必要としないため、作業者の手動により行うようにしても良い。
【0051】
以上詳述したように、第1実施の形態に係るブッシュ20によれば、内筒32の径方向内側に内筒32の軸方向に延びる連結ピン40を設け、連結ピン40に連結ピン40の径方向外側に突出する突出部42を設け、突出部42の軸方向両側に肩部42aを設け、内筒32と突出部42との間に連結ピン40の内筒32に対する相対回転を案内するベアリング50を設け、内筒32の軸方向両側に内筒32の径方向内側に屈曲する屈曲部33を設け、屈曲部33と肩部42aとの間に弾性部材60を組み込んでいる。
【0052】
これにより、屈曲部33が弾性部材60を介して突出部42を軸方向両側から支持し、連結ピン40の内筒32に対する抜け止めがなされる。したがって、従前のようなパッキンや固定リング等を省略して部品点数を削減でき、ひいては組立工程を簡素化して製造コストを低減できる。また、連結ピン40は弾性部材60を介して抜け止めされるので、弾性部材60により連結ピン40の軸方向に掛かる衝撃的あるいは振動的荷重を吸収でき、さらに連結ピン40の内筒32に対するがたつきを抑制できる。よって、ブッシュ20の早期破損を防止してブッシュ20の長寿命化を図ることができる。さらに、屈曲部33を折り曲げ変形してブッシュ20を組み立てる際に、屈曲部33の変形誤差を弾性部材60により吸収でき、高い組立精度を必要とせず製造コストを低減できる。
【0053】
また、第1実施の形態に係るブッシュ20によれば、弾性部材60は、ベアリング50の軸方向両側を支持するので、ベアリング50が軸方向にがたつくのを防止できる。よって、ベアリング50のがたつきに起因する異音の発生や、ベアリング50が偏荷重を受けて偏摩耗するのを防止できる。
【0054】
さらに、第1実施の形態に係るブッシュ20によれば、弾性部材60は、肩部42aと屈曲部33との間に加圧状態で組み込まれるので、弾性部材60によるシール性を向上させることができる。つまり、加圧状態にある弾性部材60により、ベアリング50と突出部42との間への埃等の進入を確実に阻止できる。
【0055】
また、第1実施の形態に係るブッシュ20によれば、屈曲部33の径方向内側への張出量hは、連結ピン40の突出部42の外周面44に対しオーバーラップする張出量hとしたので、連結ピン40の内筒32に対する抜け強度を向上させることができる。つまり、ブッシュ20の軸方向の剛性を高めることができる。
【0056】
さらに、第1実施の形態に係るブッシュ20によれば、ベアリング50の軸方向両側に、連結ピン40の径方向内側に突出するベアリング突起部52を設け、ベアリング突起部52を肩部42aに押圧支持させたので、連結ピン40とベアリング50とを軸方向対して相対移動不能に一体化できる。したがって、連結ピン40の内筒32に対する抜け強度をさらに向上させることができる。
【0057】
なお、第1実施の形態において、本発明に係るブッシュ20を連結部材15とトルクロッド16との間に取り付けた場合には、連結部材15が一方の部材(車体)に該当しトルクロッド16の取付環16bが他方の部材(車軸)に該当する。また、本発明のブッシュ20を支持部材17とトルクロッド16との間に取り付けた場合には、トルクロッド16の取付環16bが一方の部材(車体)に該当し支持部材17が他方の部材(車軸)に該当する。
【0058】
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0059】
図12は第2実施の形態に係るブッシュを示す部分拡大断面図を表している。
【0060】
第2実施の形態に係るブッシュ90は、上述した第1実施の形態に係るブッシュ20に比して、ベアリングの形状と各弾性部材の形状とが異なっている。
【0061】
ブッシュ90のベアリング91は単純な筒状に形成され、第1実施の形態におけるベアリング50に比して、切欠部51および各ベアリング突起部52を省略し、かつ軸方向寸法を連結ピン40の突出部42の軸方向長さと略同等としている。ベアリング91の内径寸法は連結ピン40の突出部42の外径寸法と略同じ寸法に設定され、ベアリング91は、連結ピン40の軸方向から組み付けられる。
【0062】
ブッシュ90の各弾性部材92は、第1実施の形態における各弾性部材60に比して環状段差部61を省略し、各弾性部材92の軸方向一側の端面によりベアリング91の軸方向両側を直接支持している。
【0063】
以上のように構成した第2実施の形態に係るブッシュ90によれば、連結ピン40に対してベアリング91がベアリング突起部を有しない点を除き、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第2実施の形態に係るブッシュ90によれば、ベアリング91を、ベアリング突起部を備えない単純な筒状としたので、ポリアセタール樹脂やPTFE樹脂等を、長尺のパイプ状に形成し、必要長さにカットすることでベアリング91を形成できる。したがって、ベアリング91を成形するための金型等が不要となり、より製造コストを低減することができる。
【0064】
次に、本発明の第3実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0065】
図13は第3実施の形態に係るブッシュを示す部分拡大断面図を表している。
【0066】
第3実施の形態に係るブッシュ100は、上述した第1実施の形態に係るブッシュ20に比して、ベアリングの形状が異なっている。ブッシュ100のベアリング101は所謂半割タイプとなっており、第1分割体102と第2分割体103とにより形成されている。各分割体102,103は軸方向に沿う切欠部を備えておらず、各分割体102,103はブッシュ100を組み立てる際に、連結ピン40の軸方向両側から突出部42に向けてそれぞれ組み付けられる。
【0067】
第1分割体102と第2分割体103との間には、ブッシュ100の組み立て状態のもとで所定隙間Oが形成され、これにより各分割体102,103は各弾性部材60により軸方向に押圧され、各ベアリング突起部52が各肩部42aに押圧支持される。なお、所定隙間Oは、摺動グリスを保持するグリス溜めとして機能する。
【0068】
各分割体102,103のベアリング突起部52の径方向長さは、第1実施の形態と同様に長く設定、つまり各分割体102,103の本体部分よりも肉厚に設定され、屈曲部33の張出量h(図3参照)と略同等かそれ以上となっている。これにより、弾性部材60を介して各屈曲部33から受ける拘束力に対する受圧面積を大きくして、内筒32に対するベアリング101の確実な抜け止めを実現している。また、弾性部材60は、内筒32と連結ピン40との軸方向への相対移動時に軸方向荷重を受圧するが、弾性部材60の肩部42aに密着する部分は、軸方向外側が何にも拘束されない自由状態となっている。よって、弾性部材60には必要以上に軸方向荷重が負荷せず、ひいては弾性部材60の摩耗が抑えられている。
【0069】
各分割体102,103は、比較的高硬度のベアリング用樹脂により形成されるため、第1実施の形態におけるベアリング50のように、組み立てのためにその軸方向に延びる切欠部51を設ける必要はない。つまり、第1実施の形態のベアリング50のようにベアリング50を弾性変形させた状態で連結ピン40に装着する場合には、その弾性変形量が大きいと、ベアリング50に亀裂等が生じる場合がある。これは、ブッシュの組み立て工程の複雑化や、ブッシュの寿命低下を招くことになる。そこで、第3実施の形態のブッシュ100においては、半割タイプとして各分割体102,103を準備し、その連結ピン40への装着量(嵌合長さ)を短くしている。したがって、ブッシュの組み立て工程を複雑化させることなく、ブッシュの長寿命化を実現可能としている。ただし、ベアリング50の内径寸法と突出部42の外径寸法誤差を吸収する目的で軸方向に延びる切欠部を設けても良い。
【0070】
以上のように構成した第3実施の形態に係るブッシュ100においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第3実施の形態に係るブッシュ100によれば、各分割体102,103の間に所定隙間Oが形成されるので、所定隙間Oが突出部42の寸法誤差を吸収する。したがって、各ベアリング突起部52を各肩部42aにそれぞれ確実に当接させることができ、ベアリング101の連結ピン40に対するがたつきをより確実に抑えることができる。
【0071】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、各弾性部材60により各ベアリング50,91および101の軸方向両側を支持するものを示したが、本発明はこれに限らず、各ベアリング50,91および101を各弾性部材60と非接触の状態としても良い。この場合、ベアリングが連結ピンに対して軸方向に移動しても、ベアリングは弾性部材に接触するので異音を発生することは無い。
【0072】
また、上記各実施の形態においては、各弾性部材60を、各屈曲部33と各肩部42aとの間に加圧状態で組み込んだものを示したが、本発明はこれに限らず、ブッシュの仕様、つまりブッシュに必要とされる軸方向に対する剛性に応じて、各弾性部材60を非加圧状態で組み込むこともできる。
【0073】
さらに、上記各実施の形態においては、トルクロッド16における後輪車軸12側に配置されるブッシュ(図1参照)を、支持部材17に取り付けたものを示したが、本発明はこれに限らず、支持部材17を介さずに後輪車軸12に直接取り付けても良いことはもちろんである。
【0074】
また、上記各実施の形態においては、ブッシュを、大型トラック10の懸架装置14を形成するトルクロッド16に用いたものを示したが、本発明はこれに限定されず、回転型ブッシュを使用する用途、例えば、エンジンマウントやスタビライザバー等の取り付け部に用いることもできる。
【符号の説明】
【0075】
15 連結部材
16b 取付環
17 支持部材
20 ブッシュ
31 外筒
32 内筒
33 屈曲部
34 緩衝材
40 連結ピン
42 突出部
42a 肩部
44 外周面
50 ベアリング
52 ベアリング突起部
60 弾性部材
90 ブッシュ
91 ベアリング
92 弾性部材
100 ブッシュ
101 ベアリング
h 張出量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の部材と他方の部材との間に設けられ、前記各部材間を伝達する衝撃や振動を吸収するブッシュであって、
前記一方の部材又は他方の部材に取り付けられる外筒と、
前記外筒の径方向内側に設けられる内筒と、
前記外筒と前記内筒との間に設けられる緩衝材と、
前記他方の部材又は一方の部材に取り付けられ、前記内筒の径方向内側で前記内筒の軸方向に延びる連結ピンと、
前記連結ピンに設けられ、前記連結ピンの径方向外側に突出し、軸方向両側に肩部を備えた突出部と、
前記内筒と前記突出部との間に設けられ、前記連結ピンの前記内筒に対する相対回転を案内するベアリングと、
前記内筒の軸方向両側に設けられ、前記内筒の径方向内側に屈曲した屈曲部と、
前記屈曲部と前記突出部の肩部との間に組み込まれる弾性部材とを備えることを特徴とするブッシュ。
【請求項2】
請求項1記載のブッシュにおいて、前記弾性部材は、前記ベアリングの軸方向両側を支持することを特徴とするブッシュ。
【請求項3】
請求項1または2記載のブッシュにおいて、前記弾性部材は、前記肩部と前記屈曲部との間に加圧状態で組み込まれることを特徴とするブッシュ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のブッシュにおいて、前記屈曲部の径方向内側への張出量は、少なくとも前記連結ピンの前記突出部における径方向最外径の外周面に対しオーバーラップする張出量とすることを特徴とするブッシュ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のブッシュにおいて、前記ベアリングの軸方向両側に、前記連結ピンの径方向内側に突出するベアリング突起部を設け、前記ベアリング突起部を前記肩部に支持させることを特徴とするブッシュ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−99512(P2011−99512A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254378(P2009−254378)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000136354)株式会社フコク (97)
【Fターム(参考)】