説明

ブテン酸誘導体、その調製方法、それらを含む薬剤組成物、および脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の治療のための使用

本発明は、R、R1、R2およびR3が、明細書中で定義された通りである式(I)のブテン酸誘導体、ならびにその調製方法、それらを含む薬剤組成物、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の治療のためのその使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の治療に使用できる不飽和カルボン酸誘導体、それらを含む薬剤組成物、およびこれらの化合物の調製方法に関する。
【0002】
本発明はまた、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の治療を目的とする薬剤の調製のためのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの国で、心血管疾患は、依然として主要疾患および主要死因の一つである。約3分の1の男性が60歳以前に主な心血管疾患を発症し、女性はより低いリスクを示す(1対10の比)。年をとると(65歳以降では、女性も男性と全く同じように心血管疾患にかかり易くなり)、この疾患は比率がさらに増大する。冠動脈疾患、脳卒中、動脈硬化症および末梢血管疾患などの血管性疾患は、世界中で依然として死亡およびハンディキャップの主要原因である。
【0004】
食物および生活様式が心血管疾患の発症を加速し得るが、脂質代謝異常をもたらす遺伝的素因が心血管偶発症候および死亡の重要な要因である。
【0005】
アテローム性動脈硬化症の発症は、血漿中の異常な濃度のリポタンパク質を意味する脂質代謝異常に主に関連付けられように思われる。この機能障害は、冠動脈疾患、糖尿病および肥満症において特に明白である。
【0006】
アテローム性動脈硬化症の発症の説明を意図する考え方は、主に、コレステロールの代謝およびトリグリセリドの代謝に焦点を合わせている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、Randleらの研究以降(Lancet、1963年、785〜789頁)、新しい概念、すなわち、トリグリセリドおよびコレステロールに関する脂質代謝と、グルコースの酸素化の間の平衡の調節を説明する、グルコース−脂肪酸サイクルまたはRandleサイクルが提案されてきた。本発明者らは、この概念に従って、脂質代謝およびグルコース代謝に同時に作用する新規の化合物を発見することを目的とする新しい計画を展開してきた。
【0008】
フィブラートは、「ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体」を介する作用機序を有するよく知られている治療剤である。これらの受容体は、肝臓における脂質代謝の主要な調節因子(PPARαアイソフォーム(isoform))である。この10年間、チアゾリジンジオンは、ヒトおよび動物における強力な血糖降下剤と評されている。チアゾリジンジオンは、PPARの別のアイソフォーム、PPARγの強力な選択的活性化因子であることが報告されている(Lehmannら、J.Biol.Chem.、(1995年)、270巻、12953〜12956頁)。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、PPARαおよびPPARγアイソフォームの強力な活性化因子である新規なクラスの化合物を発見した。この活性の結果、これらの化合物は実質上の血中脂質降下および血糖降下効果作用を有する。
【0010】
より具体的には、本発明は、式Iのブテン酸誘導化合物
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
1は、場合によって置換され、および/またはO、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を場合によって含む飽和または不飽和、単環式または多環式の、5〜8員核に場合によって縮合した(C6〜C18)アリール基であって、前記核自体が場合によって置換されたアリール基;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む、場合によって置換された飽和、不飽和または芳香族5〜8員単環式の複素環基;場合によって置換されたC2〜C10アルケニル基;C1〜C10アルキル基を表し、
2およびR3は、独立に、水素原子;場合によって置換された(C6〜C18)アリールを表し;あるいは、R2とR3は共にC3〜C6アルキレン鎖を表し;
Rは、水素原子;C1〜C10アルキル基;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルキル基を表す]、
および酸または塩基とのこれらの塩に関するものであって、
以下の化合物(R3=フェニル;R=エチル;R1=エチルまたはフェニル;およびR2=Hである場合)は、保護から除外されるものと理解される。
【0013】
式Iの化合物の塩を形成するために使用することができる酸は、無機または有機酸である。得られる塩には、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩がある。
【0014】
式Iの化合物の塩を形成するために使用することができる塩基は、無機または有機塩基である。得られる塩には、例えば、金属、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウムなど)と、あるいは、塩基、例えばアンモニアまたは第2級または第3級アミン(ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンなど)と、または塩基性アミノ酸と、またはオサミン(メグルミンなど)と、またはアミノアルコール(3−アミノブタノールおよび2−アミノエタノールなど)と形成された塩がある。
【0015】
本発明は、特に、薬剤として許容される塩のみならず、キラルアミンで得た塩などの、式Iの化合物の適当な分離または結晶化を可能にする塩も包含される。
【0016】
本発明はまた、式Iの化合物の光学活性形態、立体異性体、エナンチオマー、ラセミ化合物およびジアステレオアイソマー、ならびにこれらの形態のすべての比率の混合物も包含する。
【0017】
本発明はまた、式Iの化合物の水和物または溶媒和物誘導体も含む。「溶媒和物誘導体」という用語は、式Iの化合物への1モルまたは複数モルの不活性溶媒の付加生成物であって、これら相互の引力のために形成された生成物を意味する。溶媒和物誘導体には、例えば、一水和物、二水和物、三水和物、等、あるいはアルコラートがある。
【0018】
したがって、本発明には、薬剤の分野で使用可能なおよび許容される、式Iの化合物の誘導体すべて、例えば、塩のみならずこれらの化合物の「プロドラッグ」も含まれる。
【0019】
「プロドラッグ」という用語は、例えば、特にアルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドで変性された式Iの化合物であって、これらが、体内で迅速に放出されて本発明による活性成分に戻る基である化合物を示す。
【0020】
「プロドラッグ」にはまた、例えばInt.J.Pharm、115巻、61〜67頁、(1995年)に記載のものなどの、生分解性ポリマーの形態の本発明の化合物の誘導体も含まれる。
【0021】
本発明はまた、上記で定義した一般式Iの化合物のすべての比率、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の混合物、特に2種の光学活性形態、例えば2種のジアステレオアイソマーの混合物に関する。
【0022】
したがって、本発明には、式Iの化合物、ならびに薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体およびその立体異性体が含まれ、すべての割合のそれらの混合物も含まれる。
【0023】
本発明によれば、「アリール基」という用語は、好ましくは6〜18個の炭素原子を含む、単環式または多環式の炭素環芳香族基を意味する。挙げることができるアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリル基がある。
【0024】
「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子、例えば1〜4個の炭素原子を含む、直鎖または分枝の炭化水素系の鎖を意味する。
【0025】
アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、1−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、1−メチル−1−エチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチルおよび7,7−ジメチルオクチルがある。
【0026】
複素環基は、場合によって酸化された形態の(SおよびNの場合)、一般にO、SおよびN、から選択されるヘテロ原子を含む単環式または多環式基である。
【0027】
複素環を構成する少なくとも1つの単環は、好ましくは1〜4個の環内ヘテロ原子、より好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む。
【0028】
本発明によれば、多環式複素環核は、それぞれが5〜8員である1つまたは複数の単環を含む。
【0029】
5〜8員の単環式芳香族複素環基の例には、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、フラザン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、チアジン、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、トリアゾールおよびチアジアゾールなどのヘテロアリールがある。
【0030】
挙げることができる好ましいヘテロアリールとしては、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、チアゾリルおよびチエニル核がある。
【0031】
飽和または不飽和の複素環基は、それぞれ、不飽和を含まないか、または上記で定義した芳香族複素環基由来の1つまたは複数の不飽和を含む複素環基である。
【0032】
「C2〜C10アルケニル基」という用語は、1つまたは複数のエチレン性タイプの不飽和、好ましくは1〜3つのエチレン性不飽和を含む脂肪族炭化水素系の基を意味する。こうしたC2〜C10アルケニル基の好ましい例には、特にビニル基およびCH2=CH−CH2=CH−基がある。
【0033】
2とR3が共にC3〜C6アルキレン鎖を表す場合は、R2、R3およびこれらが結合する炭素(複数)は、シクロペンテンまたはシクロヘキセンを形成することが好ましい。
【0034】
アリール、複素環基および複素環核は、1種または複数の以下の基:
トリフルオロメチル;ハロゲン原子;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、以下に定義される1個または複数の基Tで場合によって置換された、単環式、二環式または三環式の芳香族複素環基;基Het−CO−[式中、Hetは、1個または複数の基Tで場合によって置換された、上記で定義した芳香族複素環基を表す];C1〜C6アルキレンジイル鎖;C1〜C6アルキレンジオキシ鎖;ニトロ;シアノ;(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルキルカルボニル;(C1〜C10)アルコキシカルボニル−A−[式中、Aは、(C1〜C6)アルキレン、(C2〜C6)アルケニレンまたは結合を表す];(C3〜C10)シクロアルキル;トリフルオロメトキシ;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ;(C1〜C10)アルコキシ(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルコキシ;1個または複数の基Tで場合によって置換された(C6〜C18)アリール;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルコキシ−(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールオキシ(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールチオ[式中、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールオキシ(C1〜C10)アルキル(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];1個または複数の基Tで場合によって置換された、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む、飽和または不飽和の単環式5〜8員複素環;1個または複数の基Tで場合によって置換された(C6〜C18)アリールカルボニル;(C6〜C18)アリールカルボニル−B−(CO)n−[式中、nは0または1であり、Bは、(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリール−C−(CO)n−[式中、nは0または1であり、Cは、(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];1個または複数の基Tで場合によって置換された、上記で定義した飽和または不飽和の複素環に縮合した(C6〜C18)アリール;(C2〜C10)アルキニル;Tは、ハロゲン原子;(C6〜C18)アリール;(C1〜C6)アルキル;(C1〜C6)アルコキシ;ニトロ;カルボキシル;(C1〜C6)アルコキシカルボキシルから選択され、Tは、それが飽和または不飽和の複素環を置換している場合は、オキソを表すことができ、あるいはTは、(C1〜C6)アルコキシカルボニル(C1〜C6)アルキル、または(C1〜C6)アルキルカルボニル((C1〜C6)アルキル)n−[式中、nは0または1である]を表す。
【0035】
「ハロゲン原子」という用語は、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素原子を意味する。単環式、二環式または三環式の芳香族複素環基は、場合によって酸化された形態の(SおよびNの場合)、一般にO、SおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子を含むことが好ましい。複素環を構成する少なくとも1つの単環は、好ましくは1〜4個の環内ヘテロ原子、より好ましくは1〜3個のヘテロ原子を含む。
【0036】
複素環は、好ましくは、それぞれが5〜8員である、1つまたは複数の単環を含む。
【0037】
5〜8員の単環式ヘテロアリールの例には、特に、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、フラザン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、チアジン、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、トリアゾールおよびチアジアゾールがある。
【0038】
各単環が5〜8員である二環式ヘテロアリールの例は、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチオフラザン、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、ピラゾロトリアジン(ピラゾロ−1,3,4トリアジンなど)、ピラゾロピリミジンおよびプテリジンから選択される。
【0039】
挙げることができる好ましいヘテロアリールとしては、キノリル、ピリジル、ベンゾチアゾリルおよびトリアゾリルがある。
【0040】
各単環が5〜8員である三環式ヘテロアリールは、例えば、アクリジン、フェナジンおよびカルバゾールから選択される。
【0041】
「アルキレンジイル鎖」という用語は、上記で定義したアルキル基から水素原子を取り除くことにより誘導された、直鎖または分枝の脂肪族炭化水素系タイプの2価基を意味する。アルキレンジイル鎖の好ましい例には、鎖−(CH2k−[式中、kは2、3、4、5および6から選択される整数を表す]および>C(CH32および−CH2−C(CH32−CH2−鎖がある。アルキレンジオキシ鎖は、−O−Alk−O−鎖[式中、Alkは直鎖または分枝のアルキレンを表し、アルキレンは、アルキレンジイルについて上記で定義した通りであると理解される]を示す。−O−Alk−O−の好ましい意味は、例えば、−O−C(CH32−Oまたは−O−CH2−CH2−O−である。
【0042】
「アルケニレン」という用語は、1つまたは複数のエチレン性不飽和、好ましくは1つから3つのエチレン性不飽和を含む不飽和アルキレン鎖と定義される。アルキレン鎖の例は、−CH=CH−または−CH=CH−CH=CH−である。
【0043】
3〜C10シクロアルキル基の例には、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルまたはシクロデシル基がある。
【0044】
飽和または不飽和の単環式5〜8員複素環は、芳香族複素環の飽和または不飽和の誘導体である。
【0045】
特に、モルホリン、ピペリジン、チアゾリジン、オキサゾリジン、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフリル、ピロリジン、イソオキサゾリジン、イミダゾリジンまたはピラゾリジンを挙げることができる。
【0046】
「アルキニル」という用語は、1つまたは複数のアセチレンタイプの不飽和を含む脂肪族炭化水素系基を意味する。好ましい例は−C≡C−である。
【0047】
本発明の化合物の他の好ましい群は、R1は、場合によって置換され、および/またはO、NおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含む、場合によってそれ自体が置換された炭素環または複素環の単環式5〜8員核に縮合した(C6〜C10)アリール基、好ましくはフェニル;場合によって置換されたC2〜C10アルケニル基;水素原子を表し;R2およびR3は、独立に、水素原子;(C6〜C10)アリール、好ましくは場合によって置換されたフェニルを表し;または、R2とR3は共に、C5〜C8アルキレン鎖を表し;
Rは、水素原子;C1〜C10アルキル基;(C6〜C10)アリール(C1〜C10)アルキル基を表す、
式Iの化合物から成る。
【0048】
本発明の化合物の他の好ましいサブグループは、R1が置換された(C6〜C10)アリールを表す場合は、アリール核が1つまたは複数の以下の基:
トリフルオロメチル;ハロゲン原子;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、以下に定義される1個または複数の基Tで場合によって置換された、単環式、二環式または三環式の芳香族複素環基;基Het−CO−[式中、Hetは、1個または複数の基Tで場合によって置換された、上記で定義した芳香族複素環基を表す];C1〜C6アルキレンジイル鎖;C1〜C6アルキレンジオキシ鎖;ニトロ;シアノ;(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルキルカルボニル;(C1〜C10)アルコキシカルボニル−A−[式中、Aは、(C1〜C6)アルキレン、(C2〜C6)アルケニレンまたは結合を表す];(C3〜C10)シクロアルキル;トリフルオロメトキシ;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ;(C1〜C10)アルコキシ(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルコキシ;1個または複数の基Tで場合によって置換された(C6〜C18)アリール;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルコキシ−(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールオキシ(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールチオ[式中、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールオキシ(C1〜C10)アルキル(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];1個または複数の基Tで場合によって置換された、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む、飽和または不飽和の単環式5〜8員複素環;1個または複数の基Tで場合によって置換された(C6〜C18)アリールカルボニル;(C6〜C18)アリールカルボニル−B−(CO)n−[式中、nは0または1であり、Bは、(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリール−C−(CO)n−[式中、nは0または1であり、Cは、(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];1個または複数の基Tで場合によって置換された、上記で定義した飽和または不飽和の複素環に縮合した(C6〜C18)アリール;(C2〜C10)アルキニル;Tは、ハロゲン原子;(C6〜C18)アリール;(C1〜C6)アルキル;(C1〜C6)アルコキシ;ニトロ;カルボキシル;(C1〜C6)アルコキシカルボキシルから選択され、Tは、飽和または不飽和の複素環を、置換している場合は、オキソを表すことができ、あるいは、Tは、(C1〜C6)アルコキシカルボニル(C1〜C6)アルキル、または(C1〜C6)アルキルカルボニル((C1〜C6)アルキル)n−[式中、nは0または1である]を表す、
式Iの化合物から成る。
【0049】
好ましい化合物の他の群は、R1がアリールを表す場合は、R1がフェニルである、式Iの化合物から成る。
【0050】
好ましい化合物の他の群は、R1は、(C1〜C10)アルキル、好ましくは(C1〜C3)アルキルを表し、R2およびR3は、互いに独立に、Hまたは場合によって置換された(C6〜C18)アリールを表す化合物から成る。
【0051】
好ましい化合物の他の群は、R2はHであり、R3は、非置換アリール、好ましくは非置換フェニルを表す化合物から成る。
【0052】
好ましい化合物の他の群は、Rが、(C1〜C10)アルキルアリール、好ましくはベンジルを表す場合は、R1およびR3は、非置換アリール、好ましくはフェニルを表す化合物から成る。
【0053】
本発明の化合物の第1のより好ましい群は、R1は非置換アリール基を表し、R2はHを表し、R3は非置換アリールを表し、RはHである式Iの化合物から成る。
【0054】
本発明の化合物の第2のより好ましい群は、R1は非置換アリールを表し、R2=Hであり、R3は非置換アリールであり、R=アルキルである式Iの化合物から成る。
【0055】
本発明の化合物の第3のより好ましい群は、R1=非置換アリールであり、R2=Hであり、R3=非置換アリールであり、R=アルキルアリールである式Iの化合物から成る。
【0056】
本発明の化合物の第4のより好ましい群は、R1=置換されたアリールであり、R2=Hであり、R3=非置換アリールであり、R=Hである式Iの化合物から成る。
【0057】
本発明の化合物の第5のより好ましい群は、R1は置換されたアリールを表し、R2=Hであり、R3は非置換アリールであり、R=アルキルである式Iの化合物から成る。
【0058】
本発明の化合物の第6のより好ましい群は、R1は置換されたアリールを表し、R2=Hであり、R3は非置換アリールであり、R=アルキルアリールである式Iの化合物から成る。
【0059】
本発明の化合物の第7のより好ましい群は、R1はアルキルを表し、R2=Hであり、R3は非置換アリールであり、R=Hである式Iの化合物から成る。
【0060】
本発明の化合物の第8のより好ましい群は、R1はアルキルを表し、R2=Hであり、R3は非置換アリールであり、R=アルキルである式Iの化合物から成る。
【0061】
本発明の化合物の第9のより好ましい群は、R1はアルキルを表し、R2=Hであり、R3は非置換アリールであり、R=アルキルアリールである式Iの化合物から成る。
【0062】
より特に好ましい化合物は、
メチル(R,S)−2−メトキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
(R,S)−2−メトキシ−4−フェニルブト−3−エン酸
メチル(R,S)−2−プロポキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
(R,S)−2−プロポキシ−4−フェニルブト−3−エン酸
ベンジル(R,S)−2−フェノキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
メチル(R,S)−2−トリフルオロメチルフェノキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
(R,S)−2−フェノキシ−4−フェニルブト−3−エン酸
(R,S)−2−トリフルオロメチルフェノキシ−4−フェニルブト−3−エン酸(ZおよびE形)
から選択される。
【0063】
本発明の化合物は、式IIの化合物
【0064】
【化2】

【0065】
[式中、R2、R3およびRは、式Iについて上記で定義した通りであり、Xは、−OHまたは塩素などのハロゲン原子を表す]の、式R1−OHのアルコールとの反応により調製することができる。
【0066】
この反応は、好ましくは、直鎖または環状エーテル、例えばジエチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはジメトキシエタン、あるいはジオキサンまたはテトラヒドロフランなどの極性非プロトン性溶媒中で実施され、テトラヒドロフランおよびジメトキシエタンが好ましい。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式IIの化合物対アルコールR1−OHのモル比は、1と1.5の間の範囲にあり、1と1.3の間、好ましくは1と1.1の間のほぼ化学量論比が望ましい。
【0068】
この反応を容易にするために、低級アルキル(すなわち、C1〜C6アルキル)ジアゾジカルボキシレート、例えばエチルジアゾジカルボキシレートなどのカップリング剤を媒体に加えることが望ましい。
【0069】
カップリング剤が反応媒体中に存在する場合は、これは、式IIの化合物の最初の量に対して1〜5当量の比率で、より好ましくは1〜3当量の比率で、例えば1〜2モル当量の比率で媒体中に取り込まれる。
【0070】
好ましくは、トリフェニルホスフィンなどのホスフィンを反応媒体中に導入することもまた推奨される。この場合は、トリフェニルホスフィン対式IIの化合物のモル比は、好ましくは1と5の間、例えば1と3の間、特に1と2の間に維持される。
【0071】
Xが−OHを表す場合は、反応温度は一般に−15℃と50℃の間の範囲にあり、カップリング剤の存在下では、−15℃と10℃の間の温度が望ましいことを理解されたい。
【0072】
Xがハロゲン原子を表す場合は、式IIの化合物は、以下の式IIHal
【0073】
【化3】

【0074】
[式中、R、R2およびR3は、上記で定義した通りであり、Halはハロゲン原子を表す]により表される。
【0075】
上記で定義した式IIHalの化合物と共に、塩基、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選択される無機塩基を反応媒体中に導入する。通常、塩基対式IIの化合物のモル比は、1と5の間、より好ましくは1と3の間の範囲にある。
【0076】
Xがハロゲン原子を表す場合は、反応温度は一般に10℃と120℃の間、例えば60℃と100℃の間、より好ましくは70℃と90℃の間の範囲にある。
【0077】
Xがハロゲン、例えば塩素を表す場合は、本発明の式Iの化合物は、以下の反応スキーム[ただし、R、R1、R2およびR3は上記で定義した通りである]に従って得ることができる。
【0078】
【化4】

【0079】
式Iの化合物は、以下の式IIIの化合物
【0080】
【化5】

【0081】
[式中、R、R2およびR3は、上記で定義した通りである]において、官能基−COORに対してα位のオキソ官能基の、適当な水素化物の作用による選択的還元、それに続いて、形成されたヒドロキシル官能基をアルキル化することにより調製することができる。
【0082】
適当な水素化物の例には、特に水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素トリブチルアンモニウム、トリエチル水素化ホウ素リチウムおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムがあり、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
【0083】
この反応は、好ましくは、メタノールまたはプロパノールなどの低級アルカノールなどの溶媒中で、−15℃と20℃の間、好ましくは−10℃と+10℃の間の温度で行われる。
【0084】
この反応では、水素化物対式IIIの化合物のモル比は、0.1と10当量の間の範囲にある。水素化物がNaBH4の場合は、0.2〜0.5当量のNaBH4で十分である。
【0085】
水素化物の作用で得た中間体化合物
【0086】
【化6】

【0087】
[式中、R2、R3およびRは、式Iについて上記で定義した通りである]のアルキル化は、それ自体が通常である方法で実施することができる。
【0088】
この方法を実施する1つの方法は、単に、酸化銀、Ag2Oの存在下で、式IVの中間体化合物を式R1−Y[式中、Yはハロゲン原子、好ましくはヨウ素である]の適当なアルキルハロゲン化物と反応させることから成る。
【0089】
この反応では、大幅に過剰な式R1−Yのアルキル化剤、例えば、式IVの化合物の最初の量に対して5〜200当量、より好ましくは100と150当量の間を使用することが有利である。
【0090】
Ag2Oの量に関しては、それが2と12当量の間、例えば4と10当量の間の範囲にあることが望ましい。
【0091】
式Iの化合物はまた、式Rh2(OAc)4の四酢酸ロジウムIIなどの、ロジウムII錯体の存在下で、式Vの化合物
【0092】
【化7】

【0093】
[式中、R2、R3およびRは、上記で定義した通りである]への、式R1−OHのアルコールの作用により調製することができる。
【0094】
この反応は、好ましくは、場合によって塩素化された芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンなどの、極性非プロトン性溶媒中で実施され、ベンゼンが好ましい。
【0095】
この反応では好ましくは、1と10の間、例えば1と5間、より好ましくは2と4の間の範囲のアルコールR1−OH対式Vの化合物のモル比が使用される。
【0096】
ロジウム錯体は、式Vの化合物に対して10-3〜10-1当量の比率で存在することが望ましく、0.01と0.10の間、より好ましくは0.01と0.05の間のロジウム錯体対式Vの化合物の比が好ましい。
【0097】
反応温度は、通常50℃と120℃の間、例えば60℃と100℃の間にある。
【0098】
RがHを表す式Iの化合物は、RがC1〜C10アルキルを表す、式Iの対応する化合物の鹸化により得ることができる。鹸化は、LiOH、KOH、NaOH、NaHCO3、KHCO3、Na2CO3およびK2CO3から選択される無機塩基などの、塩基の作用により実施することができる。使用される塩基のモル量は、選択される塩基の強度に応じて、一般に1〜20当量、好ましくは1〜12当量の範囲にある。
【0099】
より詳細には、LiOHの場合は、反応媒体中に存在する式Iのエステルの量に対して、8〜12当量の塩基を使用することが好ましい。
【0100】
この反応は、好ましくは極性プロトン性タイプの溶媒中で、より好ましくは、エタノールと水またはメタノールと水の混合物などの、低級(C1〜C4)アルカノールと水の混合物中で実施される。
【0101】
反応温度は、35℃と120℃の間、より好ましくは40℃と100℃の間の範囲にあることが有利である。
【0102】
1が、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、上記で定義した1個または複数の基Tで場合によって置換された、単環式、二環式または三環式芳香族複素環基で置換されたアリールを表し、あるいは、R1は、1個または複数の基Tで場合によって置換されたアリール基を表す式Iの化合物は、R1が、塩素、臭素またはヨウ素などのハロゲン原子で置換されたアリールを表す対応する式Iの化合物の、式VIの化合物
【0103】
【化8】

【0104】
[式中、最終化合物においてR1が次の複素環基で置換されたアリールを表す場合は、Gは、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、上記で定義した1個または複数の基Tで場合によって置換された、単環式、二環式または三環式の芳香族複素環基を表し、あるいは、最終化合物においてR1が、1個または複数の基Tによりそれ自体場合によって置換されたアリール基で置換されたアリールを表す場合は、Gは、1個または複数の基Tで場合によって置換されたアリールを表す]の作用による反応により調製することができる。
【0105】
有利には、反応媒体中に存在する式Iの化合物の量に対して、1.5〜5当量、好ましくは1.5〜3当量の式VIの化合物が使用される。
【0106】
この反応は、好ましくは、パラジウム(0)錯体および塩基の存在下、極性非プロトン性溶媒中で実施される。
【0107】
上記で定義したものなどの、直鎖または環状のエーテルが溶媒として特に適当である。ジメトキシエタンが好ましい。
【0108】
使用される塩基は、上記の任意の無機塩基、有利にはNa2CO3である。例えば、式Iの化合物の量に対して1.5〜5当量、好ましくは1.5〜3当量の塩基を反応媒体中に導入することができる。
【0109】
好ましい一実施形態によれば、塩基および式VIの化合物の量は当量である。使用されるパラジウム(0)錯体の量は触媒量である。通常、0.001〜1当量、好ましくは0.01〜0.1当量の前記錯体が使用される。使用することができるパラジウム(0)錯体の例は、テトラフェニルパラジウム(0)である。
【0110】
反応温度は、50℃と120℃の間、好ましくは70℃と90℃の間の範囲にあることが有利である。
【0111】
本発明はまた、上記で定義した式(I)の化合物の薬剤としての有効量と組み合せて、1種または複数の薬剤として許容されるビヒクルを含む薬剤組成物に関する。
【0112】
本発明の説明では、「薬剤としての有効量」という表現は、動物またはヒトの組織または系の生物学的または医学的応答を誘発することを可能にする、活性物質または薬剤の量を定義するものであって、この生物学的または医学的応答は、例えば研究者または臨床医による所望の応答に対応するものと理解されたい。
【0113】
さらに、「治療上有効な量」という表現は、こうした量を与えられなかった対応する各人とは対照的に、治療の改善、治癒、より良好な予防、あるいは、病理学的状態、障害または1種または複数の副作用の改善がもたらされ、あるいは、疾患または病理学的障害の進行度が低下する任意の量に対応する。上記の表現には、正常な生理学的機能を改善するのに有効な量もその意味中に含まれる。
【0114】
したがって、本発明による薬剤組成物は、即放性または徐放性の錠剤、ゲルカプセル剤または顆粒剤の形態で経口で、注射可能な溶液の形態で静脈内に、粘着性経皮デバイスの形態で経皮的に、または液剤、クリーム剤またはゲル剤の形態で局所的に投与することができる。
【0115】
経口投与用の固体組成物は、活性成分に充填剤、および適切な場合には、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤または香味増強剤を加え、この混合物を錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤またはカプセル剤の形にすることにより調製される。
【0116】
充填剤の例としては、ラクトース、コーンスターチ、スクロース、グルコース、ソルビトール、結晶性セルロースおよび二酸化ケイ素があり、結合剤の例としては、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエーテル)、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガカントゴム、ゼラチン、セラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリンおよびペクチンがある。滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカおよび硬化植物油がある。着色剤は、薬剤への使用が認可された任意のものでよい。香味増強剤の例としては、ココア粉末、ハーブの形のミント、芳香植物粉末、油状ミント、ボルネオールおよびシナモン粉末がある。当然、錠剤または顆粒剤は、糖、ゼラチン等で適切に被覆し得る。
【0117】
活性成分として本発明の化合物を含む注射可能な形態は、適切な場合には、前記化合物をpH調節剤、緩衝剤、懸濁剤、可溶化剤、安定剤、等張剤および/または保存剤と混合し、この混合物を、標準的な方法に従って静脈内、皮下または筋肉内注射用の形態に転換することにより調製される。適切な場合には、得られた注射可能な形態を標準的な方法により凍結乾燥することもできる。
【0118】
懸濁剤の例としては、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、粉末状トラガカントゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびポリエトキシ化ソルビタンモノラウレートがある。
【0119】
可溶化剤の例としては、ポリオキシエチレンで固化されたヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチンアミド、ポリエトキシ化ソルビタンモノラウレートおよびヒマシ油脂肪酸のエチルエステルがある。
【0120】
さらに、安定剤には、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムおよびエーテルが含まれ、一方、保存剤には、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェニル、クレゾールおよびクロロクレゾールが含まれる。
【0121】
本発明の対象はまた、本発明の式Iの化合物を、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の予防または治療を目的とする薬剤の調製のために使用することである。
【0122】
以下の実施例は、非限定的に本発明を例示する。
【0123】
プロトン核磁気共鳴のデータでは(300 MHz NMR)、以下の略号を使用した。一重線はs、二重線はd、三重線はt、四重線はq、八重線はo、複雑な多重線はm。化学シフトδはppmで表され、m.p.は融点を表す。
【実施例】
【0124】
実施例1:(R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ−3−エン酸メチルの調製方法
1.1 2−オキソ−4−フェニルブタ−3−エン酸メチルの調製
2mlの濃硫酸を、5.9g(30ミリモル)の2−オキソ−4−フェニルブタ−3−エン酸ナトリウム(1)(Synth.Commun.、(1996年)、26巻(11)、2231頁)のメタノール100ml懸濁液に滴下する。この混合物を8時間還流し、室温で一晩攪拌する。わずかな不溶性物質をろ過して除き、ろ液をその体積の半分に濃縮し、300mlの水中に注ぐ。得られたペースト状固体をジクロロメタンで抽出し、炭酸水素ナトリウム5%水溶液、次いで水で洗浄する。得られた溶液を硫酸ナトリウムにより乾燥する。溶媒を真空下で蒸発して除く。残渣(4.2g)をフラシュクロマトグラフィー(SiO2、70/30 CH2Cl2/ヘプタン)により精製する。
70〜71℃で融解する、1.7g(収率30%)の明るい黄色固体が得られる。
1H NMR(CDCl3,300MHz):3.86(3H,s);7.31(1H,d,J=16Hz);7.27〜7.58(5H,m);7.80(1H,d,J=16Hz)。
1.2 (R,S)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタ−3−エン酸メチルの調製方法
0.27g(7ミリモル)の水素化ホウ素ナトリウムを、4.2g(22ミリモル)の2−オキソ−4−フェニルブタ−3−エン酸メチルのメタノール150ml溶液に約10分にわたり分けて加え、0℃に冷却する。この混合物を0℃と+5℃の間で10分間攪拌し、次いで室温にまで温まるようにしておく。得られた混合物を真空下40℃で蒸発させ、残渣を100mlの水に溶解し、得られた混合物をジクロロメタンで抽出し、有機抽出物を硫酸ナトリウムにより乾燥する。この溶媒を真空下蒸発除去する。残渣(3.7g)をフラシュクロマトグラフィー(SiO2、80/20 ヘプタン/酢酸エチル)で精製する。
2.2g(収率52%)の黄色の油が得られる。
1H NMR(CDCl3,300MHz):3.00(1H,OH);3.70(3H,s);4.73〜4.75(1H,d,J=6Hz);6.11〜6.17(1H,dd,J=16Hz,J=6Hz);6.67〜6.73(1H,d,J=16Hz);7.15〜7.30(5H,m)。
【0125】
実施例2:(R,S)−2−メトキシ−4−フェニルブタ−3−エン酸メチルの調製方法
1.8g(8ミリモル)の新しく調製した酸化銀を、225mg(1.2ミリモル)の実施例1で得られた化合物のヨウ化メチル10ml溶液に加える。この混合物を室温で24時間攪拌し、次いで10mlのジクロロメタンで希釈する。不溶性物質をろ過して除き、次いでろ液を真空下で蒸発する。210mg(収率85%)の無色の油が得られる。
【0126】
実施例3:(R,S)−2−メトキシ−4−フェニルブタ−3−エン酸の調製方法
42ml(42ミリモル)の1M水酸化リチウム一水和物水溶液を、0.87g(4.2ミリモル)の実施例2で得られた化合物のメタノール80ml溶液に加える。この混合物を4時間還流する。一晩静置させた後、混合物を真空下で蒸発し、残渣を40mlの水に溶解する。この混合物を2×30mlのエチルエーテルで洗浄し、水性相を希塩酸で酸性化する。得られた水性相をエチルエーテルで抽出し、有機抽出物を硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を真空下で蒸発して除く。残渣(0.65g)をフラシュクロマトグラフィー(SiO2、95/5 ジクロロメタン/メタノール)により精製する。
50mg(収率6%)の黄色い油が得られる。
【0127】
実施例4:(R,S)−2−n−プロポキシ−4−フェニルブタ−3−エン酸の調製方法
480mg(2ミリモル)の実施例3で得られた化合物、10mlのエタノール、1mlの水および270mg(4ミリモル)の水酸化カリウムペレットを4時間還流する。この混合物を真空下で蒸発し、残渣を25mlの水に溶解する。この混合物をエチルエーテルで洗浄し、水性相を希塩酸で酸性化する。得られた混合物をエチルエーテルで抽出し、有機抽出物を硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を真空下で蒸発して除く。残渣(310mg)をフラシュクロマトグラフィー(SiO2、80/20 ヘプタン/酢酸エチル)により精製する。45mg(収率10%)の黄色がかった油が得られる。
実施例1から4の反応スキームの例示、R1=アルキル
【0128】
【化9】

【0129】
実施例5:(R,S)−4−フェニル−2−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)ブタ−3−エン酸メチルの調製方法
300mg(0.67ミリモル)の二量体の酢酸ロジウムを、14.6gの4−トリフルオロメチルフェノールのベンゼン150ml溶液に加える。この混合物を還流させ、6.2g(30ミリモル)の4−フェニル−2−ジアゾブタ−3−エン酸メチル(6)(Tetrahedron Lett.、(1988年)、29巻(9)、975〜978頁)のベンゼン60ml溶液を1時間にわたり滴下する。この混合物を室温まで冷却させておき、次いで溶媒を真空下で蒸発して除く。この残渣をフラシュクロマトグラフィーにより2回精製する。460mg(収率4.6%)の結晶化する黄色の油が得られる。
【0130】
実施例6:(R,S)−4−フェニル−2−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)ブタ−3−エン酸の調製方法
12.2ml(12.2ミリモル)の1M水酸化リチウム一水和物水溶液を、410mg(1.22ミリモル)の実施例5で得られた化合物の20mlの水酸化ナトリウム溶液に加える。この混合物を室温で1時間攪拌し、次いで溶媒を真空下で蒸発して除く。残渣を20mlの水に溶解し、得られた溶液をエチルエーテルで洗浄する。水性相を希塩酸で酸性化し、エチルエーテルで抽出する。この有機抽出物を硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を真空下で蒸発して除く。残渣を分取LC/MSにより精製する。
ZおよびEの2つの形態に対応する、2種の純粋な生成物(8)および(9)(それぞれ5.5mgおよび7.8mg)が回収される。
実施例5および6の反応スキームの例示、R1=置換アリール(トリフルオロメチルフェニル)、ステップa)およびb)
【0131】
【化10】

【0132】
結果
血中脂質降下および血糖低下効果をもたらす本発明の化合物の活性を、以下の試験を実施することにより in vitro で実証した。
【0133】
PPAR活性化の測定は、Lehmannら(J.Biol.Chem.、270巻、(1995年)、12953〜12956頁)により記載された技法に従って実施した。
【0134】
CV−1細胞(サルの腎臓細胞)を、キメラタンパク質PPARα−Gal4またはPPARγ−Gal4に対する発現ベクターで、およびGal4応答配列を含むプロモーターの制御下に置かれたルシフェラーゼ遺伝子の発現を可能にする「レポーター」プラスミドで同時トランスフェクトする。
【0135】
細胞を96−ウエルミクロプレート中に播種し、市販の試薬を用いて、レポータープラスミド(pG5−tk−pGL3)で、およびキメラタンパク質(PPARα−Gal4またはPPARγ−Gal4)に対する発現ベクターで同時トランスフェクトする。4時間インキュベートした後、全培地(10%ウシ胎児血清を含む)をウエルに加える。24時間後、培地を除去し、試験生成物(最終濃度50μM)を含む全培地で置き換える。この生成物を細胞と18時間接触させたままにする。次いで細胞を溶解し、照度計を用いてルシフェラーゼ活性を測定する。次いで、生成物により誘発されたレポーター遺伝子発現の活性化を用いて、PPAR活性化係数を計算することができる(生成物をなにも入れていない対照細胞と比較して)。
【0136】
一例として、化合物
【0137】
【化11】

【0138】
の50μMの濃度のものは、キメラタンパク質PPARα−Gal−4を2.3倍だけ、キメラタンパク質PPARγ−Gal4を6.4倍だけ活性化する。PPARαまたはPPARγリガンドに対する結合領域がない場合は(ベクターはGal4のみを発現する)、この生成物の存在下で測定されたルシフェラーゼ活性はゼロである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、
【化1】

式中、
1は、場合によって置換され、および/またはO、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を場合によって含む飽和または不飽和、単環式または多環式の5〜8員核に場合によって縮合した(C6〜C18)アリール基であって、前記核自体が場合によって置換されたアリール基;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む、場合によって置換された飽和、不飽和または芳香族5〜8員単環式の複素環基;場合によって置換されたC2〜C10アルケニル基;C1〜C10アルキル基を表し、
2およびR3は、独立に、水素原子;場合によって置換された(C6〜C18)アリールを表し;または、R2とR3は共に、C3〜C6アルキレン鎖を表し;
Rは、水素原子;C1〜C10アルキル基;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルキル基を表す、
および酸または塩基とのその塩、
但し、以下の化合物(R3=フェニル;R=エチル;R1=エチルまたはフェニル;およびR2=Hである場合)は、保護から除外されるものと理解される、
そしてまた、薬剤として許容されるその誘導体、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項2】
1は、場合によって置換され、および/またはO、NおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を含む場合によってそれ自体が置換された炭素環または複素環の単環式5〜8員核に縮合した(C6〜C10)アリール基、好ましくはフェニル;場合によって置換されたC2〜C10アルケニル基;水素原子を表し;
2およびR3は、独立に、水素原子;(C6〜C10)アリール、好ましくは場合によって置換されたフェニルを表し;または、R2とR3は共に、C3〜C6アルキレン鎖を表し;
Rは、水素原子;C1〜C10アルキル基;(C6〜C10)アリール(C1〜C10)アルキル基を表す式Iの請求項1に記載の化合物、
およびまた、薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項3】
1が置換された(C6〜C10)アリールを表す場合は、アリール核が1つまたは複数の以下の基:
トリフルオロメチル;ハロゲン原子;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、そして以下に定義される1個または複数の基Tで場合によって置換された、単環式、二環式または三環式の芳香族複素環基;基Het−CO−[式中、Hetは、1個または複数の基Tで場合によって置換された、上記で定義した芳香族複素環基を表す];C1〜C6アルキレンジイル鎖;C1〜C6アルキレンジオキシ鎖;ニトロ;シアノ;(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルキルカルボニル;(C1〜C10)アルコキシカルボニル−A−[式中、Aは、(C1〜C6)アルキレン、(C2〜C6)アルケニレンまたは結合を表す];(C3〜C10)シクロアルキル;トリフルオロメトキシ;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ;(C1〜C10)アルコキシ(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルコキシ;1個または複数の基Tで場合によって置換された(C6〜C18)アリール;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルコキシ−(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールオキシ(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールチオ[式中、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリールオキシ(C1〜C10)アルキル(CO)n−[式中、nは0または1であり、アリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];1個または複数の基Tで場合によって置換された、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む、飽和または不飽和の単環式5〜8員複素環;1個または複数の基Tで場合によって置換された(C6〜C18)アリールカルボニル;(C6〜C18)アリールカルボニル−B−(CO)n−[式中、nは0または1であり、Bは、(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、そしてアリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];(C6〜C18)アリール−C−(CO)n−[式中、nは0または1であり、Cは、(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、そしてアリールは1個または複数の基Tで場合によって置換されている];1個または複数の基Tで場合によって置換された、上記で定義した飽和または不飽和の複素環に縮合した(C6〜C18)アリール;(C2〜C10)アルキニル;Tは、ハロゲン原子;(C6〜C18)アリール;(C1〜C6)アルキル;(C1〜C6)アルコキシ;ニトロ;カルボキシル;(C1〜C6)アルコキシカルボキシル;そしてTは、飽和または不飽和の複素環を置換している場合は、オキソを表すことができ;あるいは、Tは、(C1〜C6)アルコキシカルボニル(C1〜C6)アルキル、または(C1〜C6)アルキルカルボニル((C1〜C6)アルキル)n−[式中、nは0または1である]、
によって置換されていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の化合物、
およびまた、薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項4】
1がアリールである場合は、R1はフェニルを表すことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物、
およびまた、薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項5】
1は、(C1〜C10)アルキル、好ましくは(C1〜C3)アルキルを表し、R2およびR3は、互いに独立に、Hまたは場合によって置換された(C6〜C18)アリールを表すことを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物、
およびまた、薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項6】
2はHであり、R3は、非置換アリール、好ましくは非置換フェニルを表すことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、
およびまた、薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項7】
Rが、(C1〜C10)アルキルアリール、好ましくはベンジルを表す場合は、R1およびR3は、非置換アリール、好ましくはフェニルを表すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、
およびまた、薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項8】
メチル(R,S)−2−メトキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
(R,S)−2−メトキシ−4−フェニルブト−3−エン酸
メチル(R,S)−2−プロポキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
(R,S)−2−プロポキシ−4−フェニルブト−3−エン酸
ベンジル(R,S)−2−フェノキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
メチル(R,S)−2−トリフルオロメチルフェノキシ−4−フェニルブト−3−エノエート
(R,S)−2−フェノキシ−4−フェニルブト−3−エン酸
(R,S)−2−トリフルオロメチルフェノキシ−4−フェニルブト−3−エン酸(ZおよびE形)、
である式Iの請求項1に記載の化合物、
およびまた、薬剤として許容されるその誘導体、塩、溶媒和物誘導体および立体異性体、ならびにすべての割合のそれらの混合物。
【請求項9】
酸化銀の存在下で、式R1−Y[式中、Yはハロゲン原子を表し、R1は(C1〜C10)アルキルである]のハロゲン化物を、以下の式を有する化合物
【化2】

[式中、R2、R3およびRは、式Iについて請求項1で定義した通りである]と反応させることを特徴とする、請求項1に記載の式Iの化合物の調製方法。
【請求項10】
1が、場合によって置換され、および/またはO、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、それ自体が場合によって置換された単環式複素環の、飽和または不飽和5〜8員核に場合によって縮合した(C6〜C10)アリールを表す、請求項1から4のいずれか一項に記載の式Iの化合物の調製方法であって、四酢酸ロジウムの存在下で、次式の化合物
【化3】

[式中、R2、R3およびRは、式Iについて請求項1で定義した通りである]を、次式の化合物
1−OH
[式中、R1は、上記で定義した通りである]と反応させることを特徴とする方法。
【請求項11】
トリフェニルホスフィンおよびエチルジアゾジカルボキシレートの存在下で、請求項9で定義した式の化合物を式R1−OHの化合物と反応させることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の式Iの化合物の調製方法。
【請求項12】
式IIHalの化合物
【化4】

[式中、R2、R3およびRは、式Iについて請求項1で定義した通りであり、Halはハロゲン原子を表す]を、式R1−OHの化合物と反応させることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の式Iの化合物の調製方法。
【請求項13】
以下の反応スキーム
【化5】

[反応スキーム中、最終化合物においてR1が次の複素環基で置換されたアリールを表す場合は、Gは、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、上記で定義した1個または複数の基Tで場合によって置換された、単環式、二環式または三環式の芳香族複素環基を表し、あるいは、最終化合物においてR1が、1個または複数の基Tによりそれ自体が場合によって置換されたアリール基で置換されたアリールを表す場合は、Gは、請求項3で定義された、1個または複数の基Tで場合によって置換されたアリールを表し、
Halはハロゲン原子を表し、
R、R2およびR3は、請求項1で定義した通りである]により、Halがハロゲン原子であり、第1ステップが、パラジウム(0)錯体および塩基の存在下の極性非プロトン性溶媒で実施され、第2ステップが鹸化である、請求項3に記載の式Iの化合物の調製方法。
【請求項14】
請求項1から8のいずれか一項に記載の、あるいは請求項9から13のいずれか一項に記載の方法で得た、少なくとも1種の式Iの化合物の有効量を、少なくとも1種の薬剤として許容されるビヒクルと組み合せて含む薬剤組成物。
【請求項15】
脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化症および糖尿病を予防または治療する薬剤を調製するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の、あるいは請求項9から13のいずれか一項に記載の方法で得た、式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2007−501190(P2007−501190A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522255(P2006−522255)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007776
【国際公開番号】WO2005/014521
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】