説明

ブラインの精製

有機分を含むブライン溶液を、ブラインの有機分を低減させるのに充分な電圧で充分な時間、電気化学プロセスに供して、有機分が低減されたブラインを得ることを含む、ブラインの有機分を低減させる方法。また、化学プロセスのブライン流を電気化学的酸化に供して、有機分が低減されたブライン流を得ることを含む、化学プロセスにおけるブラインの有機汚染を低減させる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本出願と同一出願日に出願した以下の出願に関連する。以下の各出願の開示を引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる:
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66323)(発明の名称:ブラインの精製);
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66324)(発明の名称:塩素化分解によるブライン中全有機炭素(TOC)の低減);
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66325)(発明の名称:工業用ブラインの精製方法及び精製装置);及び
本出願と同一出願日に出願した米国特許出願第 号(代理人整理番号66326)(発明の名称:工業用ブラインの精製のための、方法、適合微生物(adapted microbe)、組成物及び装置)。
【0002】
発明の分野
本発明は、精製ブライン、特に有機分が低減され且つ更に好ましくは塩素酸塩分が低減されたブラインに関する。本発明は、また、有機分が低減され且つ更に好ましくは塩素酸塩分が低減されたブラインを得る方法及び装置、特にブラインの無機化に関する。本発明は、また、ブラインを使用する方法及び装置を、それに使用するブライン又はそれから得られるブライン中の有機分が低減され且つ好ましくは塩素酸塩分が低減されたブラインを含むように改善することに関する。本発明は、水、廃水及びブラインの精製を含む方法のような種々の方法及び技術において有用であり、特に塩素/アルカリプロセス及びグリセリンのエピクロロヒドリンへの転化を含むプロセスにおいて有用である。
【背景技術】
【0003】
参考資料の考察
化学プロセスにおいては、流入するプロセス流を最大限に利用し且つプロセス流を循環できる、即ち1つのプロセスからの副生成物を他のプロセス、特に隣接プロセスにおいて使用するできることが必要である。プロセス流のこのような使用法は環境的且つ経済的に望ましい。
【0004】
全有機炭素(TOC)のような有機分と塩化ナトリウム分がいずれも高いブライン流を用いる化学プロセスがある。例えば、一部の化学プロセスは、約20,000ppmまでのTOCと約23重量%までの塩化ナトリウム分を生じる。TOC濃度を大幅に低減できれば、ブライン流は塩素/アルカリプロセス又は他の電気分解プロセスのような他のプロセスの原料として循環できる可能性がある。塩化ナトリウムの存在は、種々のブライン副生成物流からの有機化合物の除去において問題を生じることがある。これは、一部の除去プロセスは分離装置中に塩化ナトリウムの有害な沈殿を生じるおそれがあるためである。また、塩化物イオンの存在は、化学処理による有機化合物の分解時に不所望に腐蝕性又は毒性のある塩素化有機化合物の形成を引き起こすおそれがある。
【0005】
ブライン流は、種々の有機化合物を含むこともあり、その一部は抽出又は炭素床処理のような従来の方法では除去が困難な場合がある。
【0006】
例えば、グリセリンからのエピクロロヒドリンの製造においては、副生成物ブライン流は約2500ppmまでの、典型的には約1500ppmまでのTOCと約23重量%までの、典型的には約20重量%までの塩化ナトリウム分を含むおそれがある。グリセリンからのエピクロロヒドリンの製造方法とそれに関連する廃棄物削減及び経済的最適化を成功裡に実施するには、ブラインの排出を現場環境政策に組み込むべきである。TOC除去後の塩化ナトリウムレベルは高すぎて、環境に直接排出できない。また、NaCl濃度は高すぎて、新たな水を多量に消費したりそれに応じて必要な廃水操作能力を増加させなければ、効率的な生物学的廃水処理を行うことができない。副生成物ブライン流の主なTOC成分はグリセリンであり、グリシドール、1,2−ジクロロヒドリン若しくは1,3−ジクロロヒドリン、1−クロロ−2,3−プロパンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール、エピクロロヒドリン、ジグリセロール、トリグリセロール、他のオリゴマーグリセロール、オリゴマーグリセロールのクロロヒドリン、酢酸、蟻酸、乳酸、グリコール酸及び他の脂肪酸を含む他の化合物もブラインのTOCの原因となる。隣接又はオンサイトの塩素/アルカリプロセスによるこのようなブラインの使用に関するTOC基準値は、わずか10ppm又はそれ以下である場合がある。しかし、TOCの主成分は、抽出又は炭素床処理のような従来の方法による除去が困難なグリセリンである。
【0007】
特許文献1は、連続法であって、塩素化副生成物の生成を抑制し且つ廃水の排出をなくすか又は大幅に減少させるエポキシドの製造方法を開示している。この方法は、(a)塩化物濃度の低い次亜塩素酸水溶液を形成し;(b)前記の塩化物濃度の低い次亜塩素酸水溶液を少なくとも1種の不飽和有機化合物と接触させて、少なくとも1種のオレフィンクロロヒドリンを含む水性有機生成物を形成し;(c)少なくとも前記オレフィンクロロヒドリンをアルカリ金属水酸化物水溶液と接触させて、少なくともエポキシドを含む塩水溶液生成物を形成し;(d)前記塩水溶液から前記エポキシドを単離することを含む。この方法において、水は少なくとも工程(b)の生成物から回収され、塩化物濃度の低い次亜塩素酸水溶液の形成に使用するために工程(a)に循環される。この方法においては、水が工程(b)後に内部で循環されるだけでなく、(a)及び(d)の両工程で濃縮ブライン溶液が生成され、これは塩素及び苛性アルカリの電気化学的製造のような他の方法において有用である。そしてまた、塩素及び苛性アルカリは、次に、塩化物濃度の低いHOCl水溶液の形成に使用するために循環させることができる。特許文献1によれば、塩素アルカリ電気化学セルに循環する前には、ブラインからいかなる不純物も除去するのが一般に好ましい。これらの不純物は典型的には極微量の有機溶媒並びに塩素酸及び塩素酸イオンのようなHOCl分解生成物を含むことが開示されている。これらの不純物の除去方法は、酸性化及び塩素による酸化又は炭素若しくはゼオライトへの吸収などであることができる。
【0008】
塩素アルカリ電気化学セルに通す前にブラインから不純物を除去する方法が、特許文献2〜5に開示されている。特許文献2は、塩素酸塩を酸と接触させて塩素酸塩を塩素に転化させることによって、塩化物ブラインから塩素酸塩を除去することを開示している。更に、アルキレンオキシドを含むブライン流中に存在するプロピレングリコールのような副生有機化合物が、任意の酸化、抽出又は吸収法によって有利に除去されることが開示されている。
【0009】
特許文献3は、クロロヒドリンを電解槽のカソード室からの塩化ナトリウム及び水酸化ナトリウムの水溶液と接触させて酸化物及びブラインを生成する、クロロヒドリンを介したオレフィンオキシドの製造と塩素の電解製造のための一貫プロセスを開示している。ブラインを塩素ガスと接触させて、有機不純物を揮発性有機フラグメントへと酸化し、この揮発性有機フラグメントをブラインからストリップしてから、ブラインを電解槽に循環する。
【0010】
特許文献4及び5の方法では、アルカリ又はアルカリ土類塩化物溶液のような塩水溶液、特にブライン中の有機不純物を塩素酸イオンで酸化させて、有機物質を二酸化炭素に転化する。しかし、この方法は、高圧装置を必要とする130℃を超える高温、5未満、最も好ましくは1未満の低pH、及び塩素化有機化合物を形成する傾向がある塩素酸イオンという厳しい反応条件を用いる。
【0011】
有機不純物で汚染されたブラインを精製するための従来の方法は、生物学的処理;塩素又は次亜塩素酸塩による酸化;活性炭のような種々の吸収能のある材料上での吸収;溶解又は懸濁された触媒の存在下における又は紫外線照射条件下における過酸化水素による酸化;溶解された又は懸濁された触媒の存在下における酸素ガス、空気又は酸素濃度の高い空気による酸化;オゾンと過酸化水素又は懸濁された触媒との組合せによる酸化である。廃水を含む水溶液系の電気的処理が知られており、例えば、特許文献6及び非特許文献1(これらを引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に開示されている。しかし、このような電気的処理は、汚染ブラインの処理による汚染物質の低減や、供給プロセス流及び循環プロセス流を含むプロセス流としての精製ブラインの使用のためには行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,486,627号(Quaderer,Jr.他)
【特許文献2】米国特許第5,532,389号(Trent他)
【特許文献3】米国特許第4,126,526号(Kwon他)
【特許文献4】米国特許第4,240,885号(Suciu他)
【特許文献5】米国特許第4,415,460号(Suciu他)
【特許文献6】米国特許第5,399,247号(Carey他)
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Martinez−Huitle et al.,”Electrochemical Oxidation of Organic Pollutants for the Waster Treatment: Direct and Indirect Processes(廃水処理のための有機汚染物質の電気化学的酸化:直接的及び間接的方法)”,Chem.Soc.Rev.,2006,35,1324〜1340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、有機化合物を含むブライン水溶液の精製を更に改善して、ブラインを塩素アルカリ電気分解に使用できるようにする見込みがまだ残っている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、分離装置中に塩化ナトリウムの有害な沈殿を生じずに、グリセリンからのエピクロロヒドリン製造に由来するブライン副生成物流のような、高い塩化ナトリウム濃度を有するブライン流の高い全有機炭素(TOC)分を低減させる、一段法で実施可能な方法を提供する。化学処理による有機化合物の分解時における不所望に腐蝕性又は毒性のある塩素化有機化合物の形成が、本発明では、回避される。大量の廃水の放出も新たな水の消費も行わずに、約10ppm未満の極めて低いTOCレベルを有する循環可能なブライン流を得ることができる。
【0016】
本発明は、有機分が低減されたブラインを提供するために効率的なブライン無機化を実施する1工程で利用可能な簡易な方法を提供する。従って、本発明は、供給プロセス流及び/又は循環プロセス流として使用できるように有機分が低減されたブラインの使用を可能にするブラインの処理を提供する。例えば、前述のように、種々のプロセスから得られたブラインが高濃度の有機成分を含む可能性がある。例えば、グリセリンのエピクロロヒドリンへの転化プロセスからブラインを回収して、塩素/アルカリ陽イオン交換膜を用いるような塩素/アルカリプロセスに使用する場合には、ブラインはグリセリンのような有機物質を高濃度で含むことはできない。グリセリンからエピクロロヒドリンへのプロセス(GTE)に由来する加水分解装置残液流は、食塩(塩化ナトリウム)を約16重量%を超える濃度で含む。この流れは、塩素/アルカリ膜プロセス(Membrane C/A)のような塩素/アルカリプロセスへの循環に値する。本発明は、汚染ブラインから有機汚染をなくす、普通は約0.10重量%(1000ppm)を上回る濃度で存在するグリセリン及び低濃度〜微量濃度で存在する可能性がある他の有機汚染物質を本質的には除去するための簡易で効率的な技術を提供することによって、このようなプロセス流の効率的な使用を行う。
【0017】
本発明は、高い有機物質濃度を有するブライン、特にブラインプロセス流を精製するための効率的な方法及び装置を提供する。
【0018】
本発明は、ブラインの有機分を、好ましくは1工程で低減するための方法及び装置を提供し、意外にも、ブラインの全有機炭素分を一段法で約99%超も低減させることができる。
【0019】
本発明は、また、有機分を低減させるために処理されたブライン中の塩素酸塩の濃度を低減させるための、有機分が低減されたブラインの更なる処理を提供する。
【0020】
本発明は、電気化学的酸化による、好ましくはブライン中の塩素酸塩及び/又は次亜塩素酸塩の濃度を低下させるための精製ブラインの後処理を続いて行う電気化学的酸化による、有機化合物で汚染されたブラインの精製方法を提供する。従って、本発明の電気化学的酸化に続いて、亜硫酸塩による処理のような、塩素酸塩の濃度を低減するための更なる処理を行うことができる。好ましくは、有機分及び塩素酸塩分は、精製ブラインを塩素/アルカリ膜セルのような塩素/アルカリセル(C/Aセル)に供給できるような適当なレベルまで低減させる。
【0021】
本発明は、有機分を含むブライン溶液を、ブラインの有機分を低減させるのに充分な電流及び充分な電圧で充分な時間、電気化学的プロセスに供して、有機分が低減されたブラインを生成することを含んでなる、ブラインの有機分の低減方法を提供する。
【0022】
本発明は、また、化学プロセスのブライン流を電気化学的酸化に供して、有機分が低減されたブライン流を生成することを含んでなる、化学プロセスにおけるブラインの有機汚染を低減する方法を提供する。
【0023】
ブラインは、海水から飽和までの、約1重量%から飽和までの、約5重量%から飽和までの、8重量%から飽和までの塩化ナトリウム濃度を有することができ、約15〜約22重量%又は約15〜約22重量%の範囲を有することができる。
【0024】
pHは中性〜アルカリ性のpHであることができる。
【0025】
ブラインの低減された有機分のpHは、例えば約1〜約3又は約1.5に低下させることができる。
【0026】
電気化学プロセスのpHは約7〜約10であることができる。
【0027】
有機分が低減されたブラインの塩素酸塩分及び/又は次亜塩素酸塩分を低下させることができる。
【0028】
塩素酸塩分は、アルカリ金属亜硫酸塩の添加によって低下させることができ、アルカリ金属亜硫酸塩は亜硫酸ナトリウム若しくは亜硫酸水素ナトリウム又は二酸化硫黄を含むことができる。
【0029】
電気化学プロセスはチタンアノードを含むことができる。チタンアノードはホウ酸ドープダイヤモンドでコーティングされることができる。
【0030】
ブライン溶液は有機分を含み、化学プロセス中において流れを構成する。
【0031】
有機分が低減されたブラインは化学プロセスにおいて循環することができる。
【0032】
有機分が低減されたブラインは異なる化学プロセスにおける供給材料を構成することができる。
【0033】
前記プロセスは、グリセリンのエピクロロヒドリンへの転化を含むことができ、有機分が低減されたブラインはグリセリンからエピクロロヒドリンへのプロセスにおいて循環できる。
【0034】
循環ブラインは塩素酸塩分を低減させるために処理することができる。
【0035】
化学プロセスは、塩素/アルカリ膜プロセスのような塩素/アルカリプロセスであることができる。
【0036】
有機分が低減されたブラインは、化学プロセスにおける循環、異なる化学プロセスへの供給及び貯蔵の少なくとも1つを行うことができる。
【0037】
有機分が低減されたブラインは、塩素酸塩及び次亜塩素酸塩の少なくとも1種を除去するために処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面の簡単な説明
本発明を、以下の詳細な説明において本発明の典型的な態様の非限定例としての図面の図を参照して更に説明する。
【0039】
【図1】処理されたブラインをC/Aセルに循環する、グリセリンのエピクロロヒドリンへの転化プロセスのための電気化学的促進酸化及び任意的な塩素酸塩除去を示す、本発明の一態様のブロック流れ図である。
【図2】電気化学的促進酸化のためのセルの一態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
以下の詳細は、例証として、本発明の態様の事例的解説のみを目的として記載し、本発明の原則及び概念的態様の最も有用で理解し易い説明と考えられるものを提供するために示す。これに関して、本発明の基本的理解に必要とされるより詳しく本発明の構造上の詳細を示すことはしないが、図面を用いて説明することにより、本発明のいくつかの形態を実際に具体化できる方法が当業者に明らかになる。
【0041】
特に断らない限り、化合物又は成分への言及は、その化合物又は成分を単独で、及び化合物の混合物のように他の化合物又は成分との組合せで含む。
【0042】
本明細書中で使用する単数形(a,an,the)の表現は、前後関係からそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0043】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する成分の量、反応条件などを表す全ての数値は、あらゆる場合において用語「約」によって修飾されるものと理解すべきである。従って、そうでないことが示されない限り、以下の明細書及び添付した「特許請求の範囲」中に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的の性質によって異なり得る近似値である。最低限でも、請求項の範囲への均等論の適用を制限しようとする意図と見なされないように、各数値パラメーターは、報告した有効数字の数を考慮して、普通の丸めを適用することによって解釈しなければならない。
【0044】
更に、本明細書内における数値範囲の列挙は、その範囲内の全ての数値及び範囲を開示するものと見なす。例えば、範囲が約1〜約50であるならば、例えば1,7、34、46.1、23.7又はその範囲内の全ての他の値若しくは範囲を含むと見なす。
【0045】
本発明は、精製ブラインの使用とは独立して、ブラインの精製に一般に使用できる。
【0046】
ブラインは、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウム塩溶液のような塩溶液を含み、最も一般的には塩化ナトリウム塩溶液を含む。ブラインは任意のブライン溶液を含むことができ、海水中の塩濃度と同程度の低濃度及び溶液中の塩の飽和と同程度の高い塩濃度を有するブライン溶液を含むことができ、更には過飽和の濃度で存在することもできる。ブラインは通常、最大で約22重量%の、塩化ナトリウム濃度のような塩濃度を含む。例えば、ブラインは、約1重量%から飽和までの、約5重量%から飽和までの、約8重量%から飽和までの濃度で塩化ナトリウムを含む塩溶液であることができ、この範囲は約8〜約12重量%又は約15〜約22重量%の範囲であることができる。
【0047】
本発明は、電気化学的酸化及び好ましくはその後の後処理によって、通常約5重量%又はそれ以上の塩化ナトリウム濃度を有するブライン中の有機汚染を低減する方法を提供する。電気化学的酸化は、電気回路の一部である電極を装着した容器中で実施する。電極は種々の材料から構成されることができ、この方法はプロセス効率を改善するための物質を添加して実施できる。電流及び電圧の条件、処理容器中の保持時間並びに汚染除去すべきブラインの温度及びpHは、汚染除去を行うために調整できる。更にまた、本発明は、必要に応じて塩素酸塩分を適度に低いレベルまで低減させるような、電気化学プロセスで処理されたブラインの任意的な後処理のための操作を提供する。
【0048】
電気化学的促進酸化による有機汚染の低減において、粗(有機物質で汚染された)ブラインが電気化学的酸化によって処理された場合には、処理ブライン中の塩素酸塩及び/又は次亜塩素酸塩の濃度が増大されている可能性がある。塩素酸塩及び/又は次亜塩素酸塩は、特にそれらの存在がプロセス条件の妨害物質となり且つ/又はプロセス環境に有害である場合には、必要に応じて処理ブラインから除去することができる。従って、1種又はそれ以上のアルカリ金属亜硫酸塩のような還元剤、例えば亜硫酸ナトリウムを処理ブラインに添加して、塩素酸塩及び次亜塩素酸塩の濃度を低下させることができる。処理ブラインのpHを約1〜約3,例えば約1.5に低下させて、次亜塩素酸塩を塩素に転化させることができ、塩素は、蒸気又は空気又は窒素を用いるなどしてストリップできる。更に、これらの技術の併用により、還元剤の使用とpH低下の両方の利益を得ることができる。例えば塩素酸塩が妨害物質となる隔膜又は膜塩素/アルカリプロセスにブラインを用いる場合には、塩素酸塩除去が必要である。更に、ブラインが酸性でなければならないプロセスにおいては、酸処理が有用となる。
【0049】
本発明は、塩素酸塩及び/又は次亜塩素酸塩を低減するための一段化学プロセスと任意的に組み合わされた一段電気化学プロセスで有機汚染を低減できる点において、他の方法とは異なる。
【0050】
本発明は、有機汚染を許容され得る程度に低いレベルまで、例えば、この方法で精製されたブラインを塩素/アルカリプロセスへの供給のように種々のプロセスに直接使用できるようなレベルまで、一段法で低減できる点において、他の代替方法とは異なる。本発明が提供する方法は、電気エネルギーが経済的にコスト競争力がある場合に特に適当である。本発明は、高度の自動化と低い監視レベルを可能にする。従って、本発明は、簡易さ、耐久性及び比較的低いと考えられるコストを含む種々の利点を提供する。
【0051】
本発明は、ブライン副生成物流の全有機炭素(TOC)分の低減によって、約10ppm未満の全有機炭素分を有する循環可能なブライン流のようなブライン流を生成できる。本発明に従って処理できるブライン循環流は、前述のような種々の塩化ナトリウム分を有することができ、ブライン副生成物流の重量に基づき約15〜約23重量%の塩化ナトリウム、約200〜約20,000ppm又は約500〜約10,000ppm又は約500〜約5,000ppmの高いTOC分を含み、pHが約7〜約14又は約8〜約13又は約10〜約12.5であることができる。
【0052】
精製又は循環可能なブライン流は、本発明において得られた循環可能なブライン流の重量に基づき、約15〜約23重量%の塩化ナトリウム分及び約10ppm未満のTOCを含み、種々のオンサイト、ローカル又はオフサイトプロセスで使用できる。このようなプロセスの典型的なものは、塩素/アルカリプロセス、塩素及び苛性アルカリの製造、エポキシドの製造などのための電気化学プロセス、塩素アルカリ膜プロセスなどである。
【0053】
本発明に従って処理するブライン副生成物流は、水、塩化ナトリウム及びTOCが存在する廃棄物流、循環流又は副生成物流中の任意の流れであることができる。本発明のTOC低減方法を適用できるブライン流の代表的なものは、ブライン供給流又はプロセスで生成されたブライン流、例えばグリセリンからのエピクロロヒドリンの製造において得られる循環又は副生成物ブライン流、液体エポキシ樹脂(LER)又は他のエポキシ樹脂ブライン/塩循環流、他のクロロヒドリンブライン循環流、イソシアネートブライン循環流、海水、浄水流からのリジェクト流、例えば逆浸透装置からのリジェクト流、化学プロセスからの廃ブライン流、塩素/アルカリプロセスへの供給ブライン流、及び特に有機物質に感受性の塩素/アルカリプロセス中の供給流である。グリセリンのような除去の困難な有機化合物を相当量含むブライン循環流でも、低いTOCレベルを得ることができる。
【0054】
例えば、本発明の方法は、グリセリンからのエピクロロヒドリンの製造において生成されるブライン副生成物流の処理に特に適用できる。本発明に従って処理できる、グリセリン−エピクロロヒドリン(GTE)プロセスに由来するブライン副生成物流は少なくとも約200ppm、一般に少なくとも約500ppm、例えば約1000〜約2500ppmの平均全有機炭素(TOC)分を有することができ、約1500ppmであることができる。本発明のTOC低減に供するGTEブライン副生成物流は、全有機炭素分の重量に基づき、少なくとも約50重量%、一般に少なくとも約70重量%のグリセリン分、及びブライン副生成物流の重量に基づき、約15〜約23重量%の塩化ナトリウム分を有することができる。GTE副生成物流中のTOCの原因となる他の有機化合物には、グリシドール、アセトール、ビス−エーテル類、ジクロロプロピルグリシジルエーテル類、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、1−クロロ−2,3−プロパンジオール若しくは2−クロロ−1,3−プロパンジオール、エピクロロヒドリン、ジグリセロール、トリグリセロール、他のオリゴマーグリセロール、オリゴマーグリセロールのクロロヒドリン、酢酸、蟻酸、乳酸、グリコール酸及び他の脂肪酸がある。
【0055】
いくつかの有機化合物の量を、ブライン水溶液中の各有機化合物の総重量に基づき、下記表Iに示す。
【0056】
【表1】

【0057】
電気化学的酸化に使用する電極は、ブラインの有機分を低下させることができる種々の材料から構成されることができる。好ましくは、ホウ素ドープダイヤモンドでコーティングされたチタンアノードを用いてアノード酸化を行うことができる。Ti−ダイヤモンド−Bアノードを用いると、特にO2及びCl2の発生(水及び塩化ナトリウムの電気分解)に関する高い過電圧のため、本発明によって優れた結果を得られる。このような電極はAdamant−CH,Magneto−NL,Condias−Dから市販されている[DIACHEM(登録商標)]。このように、O2及びCl2をそれほど発生させずにブラインの有機炭素分を低下でき、有機分の低下に選択的である。
【0058】
理論によって拘束するつもりはないが、有機化合物の酸化に使用可能な、約2.7Vの並外れて高い酸化電位を有するOHラジカルが電気化学的酸化において発生する。
【0059】
本発明に係る有機物質の無機化は、グリセリンからエピクロロヒドリンへの転化において特に有用であり、グリセリンのような有機物質を無機化することができ(ひいては低減させることができ)、例えば二酸化炭素を形成することができる。本発明は、有害な副反応を起こさずに有機物質が二酸化炭素に高効率で酸化されるので、化学プロセスにおいて有用なブラインを処理するのに特に有用である。グリセリンのような除去の困難な有機物質を低減させる場合でさえ、有害な副反応を起こさずに低いTOC分を得ることができる。
【0060】
理論によって拘束するつもりはないが、本発明に係る化学電気的酸化は、1つの物質から、より低い自由エネルギーを有する別の物質を生成するのに電子を除去することによる酸化を含む方法である。電気的酸化は、試薬を製造及び精製してからその試薬を使用することを含む化学酸化よりも簡易である。本発明においては、試薬を「現場で(in situ)」生成するか、又は酸化を電極表面で直接行う。
【0061】
図1に示すように、一般的に数字10で表される本発明の方法の一態様が示されている。方法10は、グリセリンからのエピクロロヒドリンの製造(GTE)プロセス11への循環プロセス水の供給に特に有用である。図1に示されるように、11のGTEプロセスからの汚染プロセス水16は、汚染プロセス水16の温度を上昇又は低下させる任意的な熱交換器12を通して送られることができる。熱交換器12からの汚染プロセス水17は、電気化学的促進酸化セル13(その一態様を図2に示す)に送られ、そこで汚染プロセス水17の有機分が低減される。電気化学的促進酸化セル13から、有機分が低減された水18が、二酸化炭素除去のための任意のpH調整及び/又は亜硫酸ナトリウムの添加などによる塩素酸塩の除去のための処理のために、装置14に送られる。次に、有機分と塩素酸塩が低減された水19が、この方法で使用される循環プロセス水としてC/Aセル15に送られる。C/Aセル15からのブライン流20は、GTEプロセス11への供給流として使用されることができる。
【0062】
図2は、一般に数字30で表される、本発明に係る典型的な電気化学的促進酸化セルを示している。電気化学反応器30は、処理すべきブライン溶液50を含むハウジング31を含む。電気化学セル30には、ホウ素ドープダイヤモンドでコーティングされたチタン(これに限定するものではないが)のようなアノード32とカソード33も装着されている。循環ポンプ34によって、電気化学反応器30のブライン内容物50が撹拌される。電気回路を通る電流量の調整は、電力供給装置35によって行われる。電気化学反応器中の温度調整は、熱交換器36を用いて行われることができ、熱交換器36は電気化学反応器30に対して任意の場所に配置されることができる。図2において、熱交換器36は例えば、電気化学セル30への供給流中のライン37と38の間に配置されることができる。加熱された流れ38は、例えばGTEプロセスからの水、NaCl及び有機物質を含むことができる。処理されたブライン生成物流39は、例えばC/Aプロセスに送られることができる水及びNaClを含むことができる。二酸化炭素ガス流及び水素ガス流は、それぞれ流れ40及び41を経て電気化学反応器から出ていくことができる。
【0063】
電気化学反応器30の温度は、例えば約室温又は高温、例えば約20℃又はそれ以上、約30℃又はそれ以上、約40℃又はそれ以上であることができ、約20〜70℃の範囲の温度であることができる。電気化学反応器の内容物のpHの調整は、供給材料又は反応器バルク内容物のpHの調整によって行うことができる。例えばpHは中性又はアルカリ性であることができ、非限定的範囲は約7〜約10である。反応器30の内容物の水理学的滞留時間(hydraulic residence time)も調整できる。
【0064】
滞留時間、電位及び温度を調整して、有機分を望ましく低減させることができる。電気化学的酸化は、定電圧又は定電流モードで行うことができる。
【0065】
任意的に、前述のように、亜硫酸ナトリウムを、塩素酸塩及び/又は次亜塩素酸塩を所望のレベルに低減させるのに充分な量で、例えば約500〜約50,000mg/リットルの濃度でブラインに添加できる。電気化学的に処理されたブラインの任意的な後処理は、電気化学的酸化においてしばしば共生成される塩素酸塩を低減させる。
【0066】
また、前述のように、酸性化及び蒸気又は空気又は窒素などによるストリッピングによって、次亜塩素酸塩の低減のために電気化学的に処理されたブラインの任意的な後処理を行うこともできる。
【0067】
任意的な後処理は、高温を含む種々の温度で実施でき、好ましくは約40℃より高温で行う。
【0068】
任意的に、炭酸カルシウムのようなアルカリ土類金属炭酸塩の添加とそれに続く沈殿アルカリ土類金属硫酸塩の除去による硫酸塩の除去が塩素酸塩の低減に対してコンプリメンタリ(complimentary)である。
【0069】
本明細書中に引用した全ての参考文献は、引用することによって本明細書中に具体的に組み入れる。
【実施例】
【0070】
以下に示す実施例は、ブラインの有機分の驚くべき低減を含む本発明の重要な利点を示す。特に断らない限り、部は全て重量基準である。
【0071】
実施例1
装置は、アノード及びカソードが取り付けられたホルダー;電磁撹拌機;貯蔵容器から供給材料を補給するためのペリスタポンプに接続された短管入口ピース;収集容器への反応器流出液のオーバーフローのための短管出口ピース;反応器ジャケットの入口及び出口管ピースに接続されたサーモスタットを装着した有効容積0.32リットルのジャケット付きガラス反応器からなるものであった。電極は、220Vの電力供給によって動作する整流装置の適切な極に接続した。反応器ジャケットは更にクリオスタットに接続され、反応器内容物の温度を40℃の一定に保持するように調整された。
【0072】
反応器に、pH10に調整された、18%の塩化ナトリウム分及び1700mg/lの溶存有機炭素(DOC)に相当する有機分を有する粗ブラインを充填した。供給材料貯蔵容器は同じ材料を含んでいた。撹拌機及びクリオスタットを始動後、供給ポンプを、約180分の水理学的平均滞留時間に相当する1.8ml/分の速度で始動した。次いで、整流器を、20AのDC電流を送出するように調整した。電流及び電圧を一定間隔で監視した。電圧は、電極クランプに直接接続された電圧計で監視した。反応器内容物の温度も監視し;流出液のpHをpHカラーストライプ(Merck(登録商標))を用いて一定間隔で測定した。10時間の実験時間中、エネルギー消費量は平均して0.238kWhであった。DOCとしての流出液の有機汚染は、6.3mg/リットル+/−1mg/リットルであることがわかった。未処理ブライン中では検出限界未満である次亜塩素酸ナトリウムの濃度が6005mg/lまで増加されていた。粗ブライン中では無視できるほど小さい塩素酸塩濃度は、平均して34g/lまで増加されていることがわかった。収集された流出液100mlを、32%塩酸水溶液の添加によってpH1.5まで酸性化してから、電熱ジャケット、電磁撹拌機、冷水供給源にされた還流冷却器及び滴下漏斗を装着した丸底ガラスフラスコ中に入れた。蒸留水30ml中亜硫酸ナトリウム15.4gの溶液を滴下漏斗に入れた。丸底フラスコの内容物を100℃に加熱し、その後に滴下漏斗の内容物を一度にフラスコに加えた。反応混合物を同じ温度で30分撹拌し、加熱を停止し、フラスコ内容物を周囲温度まで冷却させ、電気化学的検出を用いるイオンクロマトグラフィーによって塩素酸塩について分析した。塩素酸塩濃度は100mg/lまで低下していた。
【0073】
実施例2
塩化ナトリウム19.8%及びDOC分1900mg/lを含むブライン0.32リットルを反応器に入れ、同じ材料約1000mlを供給材料貯蔵容器に入れた。電流を10Aの一定に調整する以外は前述と同じ条件下で反応を実施した。エネルギー消費量は0.145kWhであり、供給速度は、反応器中の4時間の平均水理学的滞留時間に相当する1.3ml/分であった。流出液を前述のようにして収集し、分析した。DOC分は35mg/lであり、塩素酸塩分は5850mg/lであり、次亜塩素酸ナトリウム分は7550mg/lであった。この材料100mlを、前述の実験と同様な丸底フラスコに入れ、32%塩酸の添加によってpH1.5まで酸性化した。内容物を100℃に加熱し、同温度で60分間撹拌した。次いで、サンプルを取り出し、電位差滴定終点認識を用いるヨウ素滴定によって次亜塩素酸ナトリウムについて分析した。次亜塩素酸ナトリウム分は、5mg/lであるこの方法の検出限界未満のレベルまで低下していた。その後、pHを、32%塩酸水溶液の添加によって1.0に再調整し、丸底フラスコに移し、撹拌しながら100℃に加熱し、蒸留水5mlに溶解させた亜硫酸ナトリウム2.65gの溶液を一度に添加した。フラスコ内容物を同じ温度で30分間撹拌した後、周囲温度まで冷却させ、最後にイオンクロマトグラフィーによって塩素酸塩について分析した。塩素酸塩分は100mg/lまで低下していた。
【0074】
前記実施例は、説明のみを目的として記載したのであって、本発明を限定するものと解してはならないことに注意する。本発明を典型的な態様に関して記載したが、本明細書中に記載した文言は限定文言ではなく、記載文言及び説明文言であることがわかる。添付した「特許請求の範囲」(現在の記載及び補正を含む)の範囲内で、その態様において本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、変更を行うことができる。本発明を本明細書中において特定の手段、材料及び態様に関して記載したが、本発明は明細書中に開示した個々の項目に限定するものではなく、本発明は、添付した請求項の範囲内であるような全ての機能的に均等な構造、方法、プロセス及び使用法にまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機分を含むブラインの溶液を、当該ブラインの有機分を低減させるのに充分な電圧で充分な時間、電気化学プロセスに供して、有機分が低減されたブラインを得ることを含んでなる、ブラインの有機分を低減せしめる方法。
【請求項2】
前記ブラインが海水の塩化ナトリウム濃度から飽和までの塩化ナトリウム濃度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブラインが約1重量%から飽和までの塩化ナトリウム濃度を有する前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記ブラインが約5重量%から飽和までの塩化ナトリウム濃度を有する前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ブラインが約8重量%から飽和までの塩化ナトリウム濃度を有する前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ブラインが約15〜22重量%の塩化ナトリウム濃度を有する前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブラインが約15〜22重量%の塩化ナトリウム濃度を有する前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
pHが中性〜アルカリ性pHである前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記の有機分が低減されたブラインのpHを低減させることを更に含む前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記の有機分が低減されたブラインのpHを約1〜3に低減させる前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記の有機分が低減されたブラインのpHを約1.5に低減させる前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記電気化学プロセスのpHが約7〜10である前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記の有機分が低減されたブラインの塩素酸塩分を低減させることを更に含む前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記の有機分が低減されたブラインの次亜塩素酸塩分を低減させることを更に含む前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記塩素酸塩分を、アルカリ金属亜硫酸塩若しくはアルカリ金属亜硫酸水素塩又は二酸化硫黄の添加によって低減させる前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アルカリ金属亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アルカリ金属亜硫酸水素塩が亜硫酸水素ナトリウムを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電気化学プロセスがチタンアノードを含む前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記チタンアノードがホウ素ドープダイヤモンドでコーティングされている請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記の有機分を含むブライン溶液が化学プロセスにおける流れを含む前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記の有機分が低減されたブラインを前記化学プロセスにおいて循環する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記の有機分が低減されたブラインが異なる化学プロセスにおける供給物を含む請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記プロセスがグリセリンからエピクロロヒドリンへの転化を含む請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記の有機分が低減されたブラインを、グリセリンからエピクロロヒドリンへのプロセスに循環する請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記の循環ブラインを処理して、塩素酸塩分を低減させる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化学プロセスが塩素/アルカリプロセスである請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記化学プロセスが塩素/アルカリ膜プロセスである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
化学プロセスのブライン流を電気化学的酸化に供して、有機分が低減されたブライン流を得ることを含んでなる、化学プロセスにおけるブラインの有機汚染を低減せしめる方法。
【請求項29】
前記の有機分が低減されたブラインが前記化学プロセスにおける循環、異なる化学プロセスへの供給及び貯蔵の少なくとも1つである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記の有機分が低減されたブラインを処理して、塩素酸塩及び次亜塩素酸塩の少なくとも1種を除去する請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
化学プロセスのブライン流を、請求項1に記載された精製プロセスに供することを含んでなり、精製されたブラインの有機分が、同じ化学プロセス又は異なる化学プロセスにおいて循環させるのに充分低い、化学プロセスにおけるブラインの有機汚染を低減せしめる方法。
【請求項32】
前記化学プロセスがエピクロロヒドリンの製造方法であり、そして前記の異なる化学プロセスが塩素アルカリプロセスである請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記化学プロセスがポリフェノール化合物をエピクロロヒドリンと反応させてエポキシ樹脂を製造する方法であり且つ前記の異なる化学プロセスが塩素アルカリプロセスである請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記化学プロセスがビスフェノールA及びエピクロロヒドリンから液体エポキシ樹脂又は固体エポキシ樹脂を製造する方法である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記化学プロセスがビスフェノールF又はビスフェノールFオリゴマー及びエピクロロヒドリンからの液体エポキシノボラック樹脂を製造する方法である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記化学プロセスが塩酸の存在下においてフェノール及びホルムアルデヒドからメチレンジアニリン又はポリメチレンジアニリンオリゴマーを製造する方法である請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記化学プロセスがグリセリンからのエピクロロヒドリンを製造する方法である請求項31に記載の方法。
【請求項38】
第2の再溶解工程において得られる第2の精製ブライン溶液中に存在する塩化ナトリウムの量に対する有機化合物の量の重量比が、工程(1)において供給される水性ブライン溶液中に存在する塩化ナトリウムの量に対する有機化合物の量の重量比の約1/100未満である請求項31〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記の1種又はそれ以上の有機化合物が(a)1種又はそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、それらのエステル及び/若しくはそれらのモノエポキシド、並びに/又はそれらの二量体、三量体及び/若しくはオリゴマー並びに/又はそれらのハロゲン化及び/若しくはアミノ化誘導体、(b)1種又はそれ以上の炭素数1〜10の有機酸、それらのエステル、それらのモノエポキシド及び/又はそれらの塩、(c)1種又はそれ以上のアルキレンビスフェノール化合物並びに/又はそれらのエポキシド、ジオール及び/若しくはクロロヒドリン、更に/或いは(d)アニリン、メチレンジアニリン及び/又はフェノールを含む前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記の1種又はそれ以上のマルチヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物がグリセロールを含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記の1種又はそれ以上の有機酸が蟻酸、酢酸、乳酸及び/又はグリコール酸を含む請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記の1種又はそれ以上のアルキレンビスフェノール化合物がビスフェノールA及び/又はビスフェノールFを含む請求項39に記載の方法。
【請求項43】
工程(1)において供給される前記ブライン水溶液が、1種又はそれ以上のクロロヒドリンと水酸化ナトリウムとの反応によるクロロヒドリンのエポキシ化によって、生成される請求項39〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記のクロロヒドリンが、反応器中で塩化水素化条件下において、グリセロール及び/若しくはそれらのエステル並びに/又はモノクロロヒドリン及び/若しくはそれらのエステルを含む液相反応混合物と少なくとも1種の塩素化剤を含む少なくとも1種の塩素化供給流とを、任意的に水、1種若しくはそれ以上の触媒並びに/又は1種若しくはそれ以上の重質副生成物の存在下で、接触させることによって製造される請求項43に記載の方法。
【請求項45】
工程(1)において供給される前記ブライン水溶液が、少なくとも1種のアルキレンビスフェノール化合物のエポキシ化によって、生成される請求項39、42又は43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
工程(1)において供給される前記ブライン水溶液が、アニリン、メチレンジアニリン及び/又はフェノールを含み、且つメチレンジアニリン(MDA)を製造するためのアニリンとホルムアルデヒドとの反応を触媒するのに使用される塩化水素の水酸化ナトリウム中和によって生成される請求項39に記載の方法。
【請求項47】
塩化水素の水酸化ナトリウム中和によって生成された前記ブライン水溶液を共沸蒸留に供して、前記ブライン水溶液中に存在するアニリン及び/又はメチレンジアニリンの少なくとも50重量%を除去してから、工程(1)の前記ブライン水溶液を供給する請求項46に記載の方法。
【請求項48】
工程(1)において供給される前記ブライン水溶液が、第1の再溶解操作の前に、アニリン及び/又はメチレンジアニリンを除去するためのストリッピング操作に供されていない請求項47に記載の方法。
【請求項49】
工程(1)において供給される前記ブライン水溶液の全有機炭素濃度(TOC)が少なくとも約200ppmである前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
工程(1)において供給される前記ブライン水溶液の無機塩の約5重量%未満が炭酸イオン及び/又は硫酸イオンを有する塩である前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
工程(2)において得られる前記精製ブライン溶液が約10ppm未満の全有機炭素濃度を有する前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記精製ブラインを、塩素アルカリプロセスによって(a)水酸化ナトリウム及び(b)塩素ガス又は次亜塩素酸塩を製造するためのブライン出発原料の少なくとも一部として電解槽のアノード側に投入する前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記方法が連続法である前掲の請求項のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−536562(P2010−536562A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521966(P2010−521966)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/073452
【国際公開番号】WO2009/026212
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】