ブレーキアセンブリのための断熱部品
【課題】油圧操作又は電動油圧操作のブレーキアセンブリのための断熱板を提供する
【解決手段】ブレーキアセンブリは二つの断熱部品も備え、該断熱部品は、平面の、又は、特定のニーズに応じて他のいかなる有効な形態も取り得る板状の形態をしており、そのそれぞれは、各パッドと前記パッドをディスクに押しつける油圧ピストンとの間に挿入される。本発明は、樹脂と基板の組み合わせに由来する単一層の形態を取ることを特徴とする。
【解決手段】ブレーキアセンブリは二つの断熱部品も備え、該断熱部品は、平面の、又は、特定のニーズに応じて他のいかなる有効な形態も取り得る板状の形態をしており、そのそれぞれは、各パッドと前記パッドをディスクに押しつける油圧ピストンとの間に挿入される。本発明は、樹脂と基板の組み合わせに由来する単一層の形態を取ることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両のための、ブレーキアセンブリ内の断熱部品に関連する。より詳しくは、本発明は、油圧操作又は電動油圧操作のブレーキアセンブリに適用される断熱板に関連し、それに対して以下の記述が明示的な言及をするが、いかなる一般性も失わない。
【背景技術】
【０００２】
知られているように、現在流通するすべての自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両には、油圧操作又は電動油圧操作のブレーキアセンブリが備わっており、それは基本的に以下から構成される。金属又はカーボンセラミックの適正な厚さのディスクであって、該ディスクは、車両のホイールに強固に固定され、その回転軸と同軸であるが、その結果、同ホイールと一体となって前記軸を中心に回転することができる；車両のサスペンションに強固に固定された硬い支持構造であって、該支持構造は、金属又はカーボンセラミックのディスクの両側に、それに直接触れることなく位置する；高い滑り摩擦係数を持つ物質で出来た一対のブレーキパッドであって、それは伝統的には「パッド」として知られているが、該パッドは、硬い支持構造上に、ディスクの相対する側に、対称に位置し、その結果、各パッドは、ディスクの外端部に近接するそれぞれの面に向かい合う；最後に、一組の単動油圧ピストンであって、該ピストンは硬い支持構造と二つのブレーキパッドの間に位置し、摩擦によって車両の運動エネルギーをなくし、それによって車両を停止させるために、ディスク本体に対して二つのパッドを押しつけることを目的とする。摩擦による車両の運動エネルギーの消失によって、ディスクとブレーキパッドの温度が急激に上昇し、これらの構成部品によって到達する温度が９００℃を超え得るので、近年では、パッドをディスクに押しつける油圧ピストンが、それが含むオイルを沸騰し得る温度に達しないようにする必要性が高まってきた。この現象が起こると、ブレーキアセンブリの正確な操作が、取り返しがつかないほど危険にさらされるであろう。
【０００３】
このリスクを避けるために、近年では、油圧操作のブレーキアセンブリには、複合材料で出来た二枚の断熱板が備わり、その各々は、ブレーキアセンブリのパッドと、同パッドをディスクに押しつける油圧ピストンの間に挿入されている。より詳細に述べると、二枚の複合材料で出来た断熱板は、二つのブレーキパッドの後面に固定され、その結果、それらは、同パッドと、パッドをディスクに押しつける油圧ピストンのシリンダーヘッドとの間に位置し、その各々は、一つ以上積み重ねられた金属製のワイヤーの層によって形成され、該ワイヤーは、グラスファイバー、及び／又は、カーボンファイバー、及び／又は、アラミド繊維と適切に織り合わされ、エポキシ樹脂のマトリックスに埋め込まれている。
【０００４】
残念なことに、新しいブレーキアセンブリに対して実行された実験的検査は、望まれる結果をもたらしていない。すなわち、現在の複合材料で出来た断熱板は、実際、油圧ピストンを、ディスク表面においてパッドの摩擦によって発生する熱から、完全には遮断することができず、油圧ピストン内部に含まれるオイルの温度が上昇し、沸点に達する速度を落とすことに限定される。
【０００５】
言い換えれば、仮に長期間とりわけ重いブレーキングに用いられたならば、複合材料で出来た断熱板を備えたブレーキアセンブリであっても、しばらく経った後、働かなくなる。なぜなら、油圧ピストンの中のオイルは、連続するブレーキングの操作と操作との間は、十分に冷却されることができず、その沸点に達するからである。
【０００６】
上記の問題を解決するために試みられる更なる解決法が対象にしているのは、多層構造を有する断熱板を用いることであり、該断熱板は、共に適切に織り合わせられ、ポリマー樹脂結合マトリックスに埋め込まれたカーボンファイバーによって形成された複合材料製の２枚の外側の層と、ケイ酸塩、より具体的には、ケイ酸アルミノカリウムで出来た少なくとも１枚の緻密な中央層とを備える。より詳しく述べると、断熱板の２枚の外側の層は、共に、必ずしも必須ではないが好ましくは、「あや織り（TWILL）」又は「平織り（PLANE）」の、カーボンファイバーのメッシュ又は布によって形成され、同時に、双方の外側の層の結合マトリックスは、耐熱フェノールアクリル結合樹脂から成る。
【０００７】
しかし、この種の構成は多くの欠点を示す。第一の問題をもたらすのは、異なる性質及び組織を有する物質によって構成される多層構造は、物理的ストレスに対して均一に反応せず、従って、層の分離及び解離が生じ、それによって、プレートの寿命が影響されるという事実である。
【０００８】
第二のより関連する問題は、車両の安全性と挙動に特徴づけられる。上記に引用した問題によって、多層の板の消耗はブレーキの反応を遅らせがちであり、すなわち、ブレーキペダルへのフェージング効果が起こり、それによって、ドライバーに対して、ブレーキ距離の見積もりによる誤解を招く感覚を生じさせる。この効果は、板の消耗に比例して、常に増加していく。
【０００９】
最後に、第三の態様は、多層構造の生産と、その継続的な置換の必要に関連するコストによっても構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明の目的は、油圧操作又は電動油圧操作のブレーキアセンブリのための断熱板を提供することにあり、該断熱板は、ディスクにパッドを押しつける油圧ピストンに含まれるオイルが沸騰するリスクから影響を受けなくなり、多層構造に関係する上記の問題を解決することができる。従って、本発明によれば、モータ・ビークル及びそれに類する車両のための断熱板が請求項１に規定される。更なる有利な点は、従属請求項に規定される。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
従来型のブレーキアセンブリは、金属又はカーボンセラミック製の、適切な厚さのディスクを備え、該ディスクは、車両のホイール、又はその代わりに、車両のホイールを支えるハブに、強固に固定されるよう適合しており、その結果、ホイールの回転軸と同軸に据えられており、同ホイールと一体となって前記軸を中心に回転することができる。ブレーキアセンブリには、高い滑り摩擦係数を有する物質で出来た一対のブレーキパッドも備わり、該ブレーキパッドは、伝統的には「パッド」として知られるが、お互いに対して対称的な位置に、ディスクの相対する側に可動に載置され、ブレーキアセンブリには一組の単動油圧ピストンも備わり、該ピストンは、操作されると、ディスク本体に二つのパッドを押しつけ、ディスクの表面に二つのパッドをこすりつけることができる。本発明に従えば、ブレーキアセンブリは二つの断熱部品も備え、該断熱部品は、平面の、又は、特定のニーズに応じて他のいかなる有効な形態も取り得る板状の形態をしており、そのそれぞれは、各パッドと前記パッドをディスクに押しつける油圧ピストンとの間に挿入される。
【００１２】
本発明の物を構成する単層構造は、樹脂と基板の組み合わせに由来し、該樹脂は：
（ａ）フェノール樹脂、シリコン樹脂、又はそれら二つの組み合わせによって構成される群から選択される熱硬化性樹脂、
（ｂ）上記（ａ）の一つ又は双方の樹脂と、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、又はベークライトを備える群から選択される一つ以上の樹脂との組み合わせ、
（ｃ）ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、又はそれらの組み合わせによって構成される群から選択される熱可塑性樹脂、
であり、同時に、該基板は、以下の選択肢の一方又はそれらの組み合わせによって構成される：
−マイカ紙、白雲母マイカ紙、金雲母マイカ紙、又は同種の物；
−マット、布、コンパウンド（compound）、又はチョップ（chop）の形態をしたグラスファイバー、綿繊維、又は玄武岩繊維。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
単一層は、射出によって、又は、項目（ａ）及び（ｂ）による熱硬化性樹脂の場合は、ＳＭＣ（シートモールディングコンパウンド）や同種の成形技術によって、又は、ＢＭＣ（バルクモールディングコンパウンド）や同種の成形技術によって、又は、後に切断の伴う圧縮成形によって得られるが、それは、いかなる条件や必要にも適応し得る異なる形態や構造のラミネートを得るためである。
【００１４】
一つの好適実施例によれば、断熱単一層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の熱圧縮成形又は冷却圧縮成形によって得られ、それには連続加圧ラミネートの技術、エンボスラミネートを用いるか、又は、圧力注入技術によるものである。
【００１５】
本発明による板の厚さは、０．４から８ｍｍの間に構成され、密度は、１．４から２．４ｇ／ｃｍ３の間、好ましくは２から２．４ｇ／ｃｍ３の間、更に好ましくは、２．２ｇ／ｃｍ３に構成され、同時に、熱伝導率は、０．１から０．５Ｗ／ｍＫの間、好ましくは、０．１５から０．２５Ｗ／ｍＫの間、更に好ましくは０．２Ｗ／ｍＫに構成される。
【００１６】
当該断熱板の特定の構造が提供するのは、その他のこれまでの解決法のいかなるものよりも、明確に高い断熱性であり、それによってオイルの寿命は大きく増す。言い換えれば、当該断熱板は、油圧ピストン内部に存在するオイルを、沸点よりもはるかに下回る温度に常に保つが、それは、たとえディスクとパッドの温度が１０００℃より高いとしても、である。
【００１７】
上記断熱板によって提供される有利な点は明白である。すなわち、このようにして製造されたブレーキアセンブリは、とりわけ、ほんの少しの効率のロスも示すことなく、極度に長い間、厳しい使用条件を支えることが出来る。特に、本発明による板は、先行技術の中で提示された解決法によって示されるよりもはるかに高い消耗耐性を有する。すなわち、様々な車両で、様々な天候や環境条件で実施された１００，０００Ｋｍの試験の後も、コンピュータのシミュレーションの結果からも、当該板は、１００％損傷を受けないままである。これは、不変で一定のブレーキングの挙動にも対応し、そのため、ドライバーに対して、高いレベルの安全性と信頼性を提供する。
【００１８】
異なる変形例によれば、ブレーキアセンブリは、ディスクの代わりにドラムを備えることが出来る。ディスクと同様に、ドラムは、車両のホイールを支えるハブに強固に固定され、その結果、ホイールの回転軸を中心にホイールと一体となって回転することが可能である。
【００１９】
この場合、二つのブレーキパッドの双方は、ドラムの内側の円筒形の表面に接触することが出来るように、湾曲した形状を有し強固に固定されており、同時に、断熱板は、同様に湾曲した形状を有し、パッドと油圧ピストンが操作する二つの湾曲したブレーキシューとの間に挿入される。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両のための、ブレーキアセンブリ内の断熱部品に関連する。より詳しくは、本発明は、油圧操作又は電動油圧操作のブレーキアセンブリに適用される断熱板に関連し、それに対して以下の記述が明示的な言及をするが、いかなる一般性も失わない。
【背景技術】
【０００２】
知られているように、現在流通するすべての自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両には、油圧操作又は電動油圧操作のブレーキアセンブリが備わっており、それは基本的に以下から構成される。金属又はカーボンセラミックの適正な厚さのディスクであって、該ディスクは、車両のホイールに強固に固定され、その回転軸と同軸であるが、その結果、同ホイールと一体となって前記軸を中心に回転することができる；車両のサスペンションに強固に固定された硬い支持構造であって、該支持構造は、金属又はカーボンセラミックのディスクの両側に、それに直接触れることなく位置する；高い滑り摩擦係数を持つ物質で出来た一対のブレーキパッドであって、それは伝統的には「パッド」として知られているが、該パッドは、硬い支持構造上に、ディスクの相対する側に、対称に位置し、その結果、各パッドは、ディスクの外端部に近接するそれぞれの面に向かい合う；最後に、一組の単動油圧ピストンであって、該ピストンは硬い支持構造と二つのブレーキパッドの間に位置し、摩擦によって車両の運動エネルギーをなくし、それによって車両を停止させるために、ディスク本体に対して二つのパッドを押しつけることを目的とする。摩擦による車両の運動エネルギーの消失によって、ディスクとブレーキパッドの温度が急激に上昇し、これらの構成部品によって到達する温度が９００℃を超え得るので、近年では、パッドをディスクに押しつける油圧ピストンが、それが含むオイルを沸騰し得る温度に達しないようにする必要性が高まってきた。この現象が起こると、ブレーキアセンブリの正確な操作が、取り返しがつかないほど危険にさらされるであろう。
【０００３】
このリスクを避けるために、近年では、油圧操作のブレーキアセンブリには、複合材料で出来た二枚の断熱板が備わり、その各々は、ブレーキアセンブリのパッドと、同パッドをディスクに押しつける油圧ピストンの間に挿入されている。より詳細に述べると、二枚の複合材料で出来た断熱板は、二つのブレーキパッドの後面に固定され、その結果、それらは、同パッドと、パッドをディスクに押しつける油圧ピストンのシリンダーヘッドとの間に位置し、その各々は、一つ以上積み重ねられた金属製のワイヤーの層によって形成され、該ワイヤーは、グラスファイバー、及び／又は、カーボンファイバー、及び／又は、アラミド繊維と適切に織り合わされ、エポキシ樹脂のマトリックスに埋め込まれている。
【０００４】
残念なことに、新しいブレーキアセンブリに対して実行された実験的検査は、望まれる結果をもたらしていない。すなわち、現在の複合材料で出来た断熱板は、実際、油圧ピストンを、ディスク表面においてパッドの摩擦によって発生する熱から、完全には遮断することができず、油圧ピストン内部に含まれるオイルの温度が上昇し、沸点に達する速度を落とすことに限定される。
【０００５】
言い換えれば、仮に長期間とりわけ重いブレーキングに用いられたならば、複合材料で出来た断熱板を備えたブレーキアセンブリであっても、しばらく経った後、働かなくなる。なぜなら、油圧ピストンの中のオイルは、連続するブレーキングの操作と操作との間は、十分に冷却されることができず、その沸点に達するからである。
【０００６】
上記の問題を解決するために試みられる更なる解決法が対象にしているのは、多層構造を有する断熱板を用いることであり、該断熱板は、共に適切に織り合わせられ、ポリマー樹脂結合マトリックスに埋め込まれたカーボンファイバーによって形成された複合材料製の２枚の外側の層と、ケイ酸塩、より具体的には、ケイ酸アルミノカリウムで出来た少なくとも１枚の緻密な中央層とを備える。より詳しく述べると、断熱板の２枚の外側の層は、共に、必ずしも必須ではないが好ましくは、「あや織り（TWILL）」又は「平織り（PLANE）」の、カーボンファイバーのメッシュ又は布によって形成され、同時に、双方の外側の層の結合マトリックスは、耐熱フェノールアクリル結合樹脂から成る。
【０００７】
しかし、この種の構成は多くの欠点を示す。第一の問題をもたらすのは、異なる性質及び組織を有する物質によって構成される多層構造は、物理的ストレスに対して均一に反応せず、従って、層の分離及び解離が生じ、それによって、プレートの寿命が影響されるという事実である。
【０００８】
第二のより関連する問題は、車両の安全性と挙動に特徴づけられる。上記に引用した問題によって、多層の板の消耗はブレーキの反応を遅らせがちであり、すなわち、ブレーキペダルへのフェージング効果が起こり、それによって、ドライバーに対して、ブレーキ距離の見積もりによる誤解を招く感覚を生じさせる。この効果は、板の消耗に比例して、常に増加していく。
【０００９】
最後に、第三の態様は、多層構造の生産と、その継続的な置換の必要に関連するコストによっても構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明の目的は、油圧操作又は電動油圧操作のブレーキアセンブリのための断熱板を提供することにあり、該断熱板は、ディスクにパッドを押しつける油圧ピストンに含まれるオイルが沸騰するリスクから影響を受けなくなり、多層構造に関係する上記の問題を解決することができる。従って、本発明によれば、モータ・ビークル及びそれに類する車両のための断熱板が請求項１に規定される。更なる有利な点は、従属請求項に規定される。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
従来型のブレーキアセンブリは、金属又はカーボンセラミック製の、適切な厚さのディスクを備え、該ディスクは、車両のホイール、又はその代わりに、車両のホイールを支えるハブに、強固に固定されるよう適合しており、その結果、ホイールの回転軸と同軸に据えられており、同ホイールと一体となって前記軸を中心に回転することができる。ブレーキアセンブリには、高い滑り摩擦係数を有する物質で出来た一対のブレーキパッドも備わり、該ブレーキパッドは、伝統的には「パッド」として知られるが、お互いに対して対称的な位置に、ディスクの相対する側に可動に載置され、ブレーキアセンブリには一組の単動油圧ピストンも備わり、該ピストンは、操作されると、ディスク本体に二つのパッドを押しつけ、ディスクの表面に二つのパッドをこすりつけることができる。本発明に従えば、ブレーキアセンブリは二つの断熱部品も備え、該断熱部品は、平面の、又は、特定のニーズに応じて他のいかなる有効な形態も取り得る板状の形態をしており、そのそれぞれは、各パッドと前記パッドをディスクに押しつける油圧ピストンとの間に挿入される。
【００１２】
本発明の物を構成する単層構造は、樹脂と基板の組み合わせに由来し、該樹脂は：
（ａ）フェノール樹脂、シリコン樹脂、又はそれら二つの組み合わせによって構成される群から選択される熱硬化性樹脂、
（ｂ）上記（ａ）の一つ又は双方の樹脂と、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、又はベークライトを備える群から選択される一つ以上の樹脂との組み合わせ、
（ｃ）ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、又はそれらの組み合わせによって構成される群から選択される熱可塑性樹脂、
であり、同時に、該基板は、以下の選択肢の一方又はそれらの組み合わせによって構成される：
−マイカ紙、白雲母マイカ紙、金雲母マイカ紙、又は同種の物；
−マット、布、コンパウンド（compound）、又はチョップ（chop）の形態をしたグラスファイバー、綿繊維、又は玄武岩繊維。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
単一層は、射出によって、又は、項目（ａ）及び（ｂ）による熱硬化性樹脂の場合は、ＳＭＣ（シートモールディングコンパウンド）や同種の成形技術によって、又は、ＢＭＣ（バルクモールディングコンパウンド）や同種の成形技術によって、又は、後に切断の伴う圧縮成形によって得られるが、それは、いかなる条件や必要にも適応し得る異なる形態や構造のラミネートを得るためである。
【００１４】
一つの好適実施例によれば、断熱単一層は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の熱圧縮成形又は冷却圧縮成形によって得られ、それには連続加圧ラミネートの技術、エンボスラミネートを用いるか、又は、圧力注入技術によるものである。
【００１５】
本発明による板の厚さは、０．４から８ｍｍの間に構成され、密度は、１．４から２．４ｇ／ｃｍ３の間、好ましくは２から２．４ｇ／ｃｍ３の間、更に好ましくは、２．２ｇ／ｃｍ３に構成され、同時に、熱伝導率は、０．１から０．５Ｗ／ｍＫの間、好ましくは、０．１５から０．２５Ｗ／ｍＫの間、更に好ましくは０．２Ｗ／ｍＫに構成される。
【００１６】
当該断熱板の特定の構造が提供するのは、その他のこれまでの解決法のいかなるものよりも、明確に高い断熱性であり、それによってオイルの寿命は大きく増す。言い換えれば、当該断熱板は、油圧ピストン内部に存在するオイルを、沸点よりもはるかに下回る温度に常に保つが、それは、たとえディスクとパッドの温度が１０００℃より高いとしても、である。
【００１７】
上記断熱板によって提供される有利な点は明白である。すなわち、このようにして製造されたブレーキアセンブリは、とりわけ、ほんの少しの効率のロスも示すことなく、極度に長い間、厳しい使用条件を支えることが出来る。特に、本発明による板は、先行技術の中で提示された解決法によって示されるよりもはるかに高い消耗耐性を有する。すなわち、様々な車両で、様々な天候や環境条件で実施された１００，０００Ｋｍの試験の後も、コンピュータのシミュレーションの結果からも、当該板は、１００％損傷を受けないままである。これは、不変で一定のブレーキングの挙動にも対応し、そのため、ドライバーに対して、高いレベルの安全性と信頼性を提供する。
【００１８】
異なる変形例によれば、ブレーキアセンブリは、ディスクの代わりにドラムを備えることが出来る。ディスクと同様に、ドラムは、車両のホイールを支えるハブに強固に固定され、その結果、ホイールの回転軸を中心にホイールと一体となって回転することが可能である。
【００１９】
この場合、二つのブレーキパッドの双方は、ドラムの内側の円筒形の表面に接触することが出来るように、湾曲した形状を有し強固に固定されており、同時に、断熱板は、同様に湾曲した形状を有し、パッドと油圧ピストンが操作する二つの湾曲したブレーキシューとの間に挿入される。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両内のブレーキアセンブリのための断熱部品において、該断熱部品は樹脂と基板の組み合わせに由来する単一層構造を有し、
前記樹脂は：
ａ．フェノール樹脂、シリコン樹脂、又はそれら二つの組み合わせによって構成される群から選択される熱硬化性樹脂、
ｂ．前記ａの樹脂の一方又は双方と、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、又はベークライトを備える群から選択される一つ以上の樹脂との組み合わせ、又は、
ｃ．ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、又はそれらの組み合わせによって構成される群から選択される熱可塑性樹脂、
から選択され、
前記基板は、
−マイカ紙、白雲母マイカ紙、金雲母マイカ紙、又は同種の物；
−マット、布、コンパウンド（compound）、又はチョップ（chop）の形態をしたグラスファイバー、綿繊維、又は、玄武岩繊維；
の選択肢の一方、又は、それらの組み合わせによって構成されることを特徴とする断熱部品。
【請求項２】
前記部品は：
−ＳＭＣ又は同種の圧縮成形工程、
−熱可塑性樹脂のための射出工程、
−熱硬化性樹脂のためのＢＭＣ又は同種の射出成形工程、
−後に切断の伴うエンボスラミネート工程、
によって形成されることを特徴とする、請求項１に記載の断熱部品。
【請求項３】
前記部品は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の熱圧縮成形又は冷却圧縮成形によって形成され、それには、連続加圧ラミネートの技術、エンボスラミネートを用いるか、又は圧力注入技術によることを特徴とする、請求項１に記載の断熱部品。
【請求項４】
前記部品は、０．４から８ｍｍの間の厚さを有することを特徴とする、請求項１乃至３のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項５】
前記部品は、平面の又は湾曲した板状の形態を取ることを特徴とする、請求項１乃至４のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項６】
その密度が、１．４から２．４ｇ／ｃｍ３の間、好ましくは２から２．４ｇ／ｃｍ３の間、更に好ましくは２．２ｇ／ｃｍ３に構成されることを特徴とする、請求項１乃至５のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項７】
その熱伝導率が、０．１から０．５Ｗ／ｍＫの間、好ましくは、０．１５から０．２５Ｗ／ｍＫの間、更に好ましくは０．２Ｗ／ｍＫに構成されることを特徴とする、請求項１乃至６のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項８】
自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両のためのブレーキアセンブリにおける、請求項１乃至７のいずれか１項に記載の断熱部品の使用方法において、前記部品は、ブレーキパッドと、前記パッドを車両のホイールに連結するディスクに押しつける一つ以上の油圧ピストンとの間に挿入され、前記ディスクは該ホイールと共に回転することを特徴とする、断熱部品の使用方法。
【請求項９】
自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両のためのブレーキアセンブリにおける、請求項１乃至７のいずれか１項に記載の断熱部品の使用方法において、前記ブレーキアセンブリは、車両のホイールを支えるハブに強固に固定されたドラムとして構成されており、その結果、ホイールの回転軸を中心にホイールと一体となって回転することが可能であり、二つのブレーキパッド双方が、ドラムの内側の円筒形の表面と接触することが出来るように、湾曲した形状を有し、強固に固定されており、同時に、断熱板が、同様に湾曲した形状を有し、パッドと、油圧ピストンが操作する二つの湾曲したブレーキパッドとの間に挿入されていることを特徴とする、断熱部品の使用方法。
【請求項１】
自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両内のブレーキアセンブリのための断熱部品において、該断熱部品は樹脂と基板の組み合わせに由来する単一層構造を有し、
前記樹脂は：
ａ．フェノール樹脂、シリコン樹脂、又はそれら二つの組み合わせによって構成される群から選択される熱硬化性樹脂、
ｂ．前記ａの樹脂の一方又は双方と、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、又はベークライトを備える群から選択される一つ以上の樹脂との組み合わせ、又は、
ｃ．ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、又はそれらの組み合わせによって構成される群から選択される熱可塑性樹脂、
から選択され、
前記基板は、
−マイカ紙、白雲母マイカ紙、金雲母マイカ紙、又は同種の物；
−マット、布、コンパウンド（compound）、又はチョップ（chop）の形態をしたグラスファイバー、綿繊維、又は、玄武岩繊維；
の選択肢の一方、又は、それらの組み合わせによって構成されることを特徴とする断熱部品。
【請求項２】
前記部品は：
−ＳＭＣ又は同種の圧縮成形工程、
−熱可塑性樹脂のための射出工程、
−熱硬化性樹脂のためのＢＭＣ又は同種の射出成形工程、
−後に切断の伴うエンボスラミネート工程、
によって形成されることを特徴とする、請求項１に記載の断熱部品。
【請求項３】
前記部品は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の熱圧縮成形又は冷却圧縮成形によって形成され、それには、連続加圧ラミネートの技術、エンボスラミネートを用いるか、又は圧力注入技術によることを特徴とする、請求項１に記載の断熱部品。
【請求項４】
前記部品は、０．４から８ｍｍの間の厚さを有することを特徴とする、請求項１乃至３のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項５】
前記部品は、平面の又は湾曲した板状の形態を取ることを特徴とする、請求項１乃至４のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項６】
その密度が、１．４から２．４ｇ／ｃｍ３の間、好ましくは２から２．４ｇ／ｃｍ３の間、更に好ましくは２．２ｇ／ｃｍ３に構成されることを特徴とする、請求項１乃至５のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項７】
その熱伝導率が、０．１から０．５Ｗ／ｍＫの間、好ましくは、０．１５から０．２５Ｗ／ｍＫの間、更に好ましくは０．２Ｗ／ｍＫに構成されることを特徴とする、請求項１乃至６のいずれか１項に記載の断熱部品。
【請求項８】
自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両のためのブレーキアセンブリにおける、請求項１乃至７のいずれか１項に記載の断熱部品の使用方法において、前記部品は、ブレーキパッドと、前記パッドを車両のホイールに連結するディスクに押しつける一つ以上の油圧ピストンとの間に挿入され、前記ディスクは該ホイールと共に回転することを特徴とする、断熱部品の使用方法。
【請求項９】
自動車、モータ・ビークル、及びそれに類する車両のためのブレーキアセンブリにおける、請求項１乃至７のいずれか１項に記載の断熱部品の使用方法において、前記ブレーキアセンブリは、車両のホイールを支えるハブに強固に固定されたドラムとして構成されており、その結果、ホイールの回転軸を中心にホイールと一体となって回転することが可能であり、二つのブレーキパッド双方が、ドラムの内側の円筒形の表面と接触することが出来るように、湾曲した形状を有し、強固に固定されており、同時に、断熱板が、同様に湾曲した形状を有し、パッドと、油圧ピストンが操作する二つの湾曲したブレーキパッドとの間に挿入されていることを特徴とする、断熱部品の使用方法。
【公開番号】特開２０１２−１０２８７３（Ｐ２０１２−１０２８７３Ａ）
【公開日】平成２４年５月３１日（２０１２．５．３１）
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願２０１１−２４０８９６（Ｐ２０１１−２４０８９６）
【出願日】平成２３年１１月２日（２０１１．１１．２）
【出願人】（５１１２６６４６１）ケマティス プロジェクツ リミテッド (1)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年５月３１日（２０１２．５．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２４０８９６（Ｐ２０１１−２４０８９６）
【出願日】平成２３年１１月２日（２０１１．１１．２）
【出願人】（５１１２６６４６１）ケマティス プロジェクツ リミテッド (1)
【Ｆターム（参考）】
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