説明

ブレーキ制御装置およびディスプレイ制御装置

【課題】車両に設けられたディスプレイの使い勝手をよくすることである。具体的には、車両の停止状態において、テレビスイッチがON状態にある場合には、運転者がパーキングスイッチを操作しなくても、テレビ映像が表示されるようにすることである。
【解決手段】車両の走行速度が停止状態にあるとみなし得る設定速度以下であり、テレビスイッチがON状態にある場合には(S11,12の判定がYES)、パーキングスイッチが操作されていなくても、パーキングブレーキが作動させられ(S13〜16)、パーキングスイッチがON状態にあることを表す情報がディスプレイを制御するコンピュータに出力される(S17)。その結果、車両が停止状態にあり、かつ、テレビスイッチがON状態にある場合には、運転者がパーキングスイッチを操作しなくても、テレビ映像を見ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特許文献1には、パーキングブレーキ機構を備えたブレーキ制御装置において、シフト位置がパーキング位置あるいはニュートラル位置で、車両が停止状態にある場合にパーキングブレーキ機構が自動で作用状態とされ、その後に、ディスプレイパネルへのテレビ映像データの表示が許可されることが記載されている。一方、特許文献2には、液圧を利用したパーキングブレーキが記載されている。ブレーキシリンダの液圧が、ブレーキペダルの踏込み状態に応じた大きさに保持される。特許文献3には、斜面に停止中の車両において、斜面に沿って、上方に向かう駆動力より下方に向かう斜面により作用する力の方が大きい場合に、パーキングブレーキ機構を作動させ、小さい場合には、作動させないようにすることが記載されている。
【特許文献1】特開2001−310713号公報
【特許文献2】特開2000−71953号公報
【特許文献3】特開2003−327099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、車両に設けられたディスプレイの使い勝手をよくすることであり、例えば、パーキングブレーキの作用状態において許可されるディスプレイの作動が要求されている場合において、運転者がパーキングブレーキ操作部材等を操作しなくても、車両の停止状態において、ディスプレイを作動可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
請求項1に係るブレーキ制御装置は、(1)車両に設けられて、その車両の車輪の回転を抑制するブレーキと、そのブレーキを作動させる電動モータと、前記ブレーキの作用力を、前記電動モータに電流が供給されなくても保持する保持装置とを含むパーキングブレーキ機構と、(2)前記車両に設けられ、画像を表示する表示部とその表示部を制御可能な表示部制御部とを備えたディスプレイの作動を指示するディスプレイ指示装置と、(3)前記パーキングブレーキ機構の作用状態を検出するパーキングブレーキ作用検出部と、(4)前記車両の停止状態において、前記パーキングブレーキ作用検出部によって前記パーキングブレーキ機構が作用状態にあることが検出され、かつ、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動を指示する状態にある場合に、その指示に応じて前記ディスプレイを作動させるディスプレイ制御部と、(5)前記車両が停止状態にあり、かつ、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動指示状態にある場合に、前記電動モータを作動させることにより、前記パーキングブレーキ機構を自動で作用状態とする停止時パーキングブレーキ作動部とを含むものとされる。
本項に記載のブレーキ制御装置においては、車両が停止状態にあり、かつ、ディスプレイ指示装置がディスプレイの作動(パーキングブレーキの作用状態において許可される種類の作動)指示状態にある場合に、電動モータの作動により、パーキングブレーキ機構が自動で作用状態とされる。そのため、車両の停止状態において、運転者がパーキングブレーキ操作部材の操作やパーキングブレーキ作動指示部材の作動指示操作(パーキングブレーキ操作部材等の操作と略称することがある)を行わなくても、ディスプレイ作動指示に応じてディスプレイを作動させることが可能となる。
また、ディスプレイ指示装置において、停止前に行われた操作の状態がそのまま保持される場合(操作したこと、および、その指示内容が記憶されている場合)には、停止後に、その停止前の操作が検出され、パーキングブレーキ機構が自動で作動させられて、その指示内容に応じてディスプレイが作動させられる。その結果、停止後に、運転者がディスプレイ指示装置を操作しなくても、停止前の操作(指示)に応じてディスプレイを作動させることが可能となる。
このように、車両の停止状態において、ディスプレイ指示装置がディスプレイ作動指示状態にある場合に、パーキングブレーキ機構が自動で作用状態にされるのであるが、ディスプレイ指示装置の操作は、停止前に行われても、停止後に行われてもよく、停止時以降のディスプレイ指示装置の状態の検出時において、ディスプレイ作動指示状態にあればよい。
パーキングブレーキ作用状態検出装置は、例えば、電動モータの状態(例えば、基準位置からの回転回数)あるいはパーキングブレーキ機構の状態(例えば、ケーブルの張力)等に基づいて、パーキングブレーキが実際に作用状態にあるか否かを検出するものとしても、パーキングブレーキ操作部材が操作状態にあるか否か、パーキングブレーキ作動指示部材が作動指示状態にあるか否かを検出するものとしてもよい。
ディスプレイ指示装置は、マニュアル操作可能な複数の操作部材(例えば、スイッチ等)を含む。この操作部材には、表示部としてのパネル上に設けられたスイッチ(タッチパネルにより構成され、タッチスイッチと称する)、操舵操作部材に設けられたスイッチ、ディスプレイパネルの近傍に設けられたスイッチ等の1つ以上が含まれる。
ディスプレイは、画像を表示する表示部とその表示部を制御可能な表示部制御部とを含む。表示部は、液晶パネルによって構成されることが多いが、それに限らない。画像を表示する手段は問わないのである。表示部制御部は、ディスプレイ作動指示装置から指示された情報に対応する画像を表示部に表示させたり、ディスプレイ作動指示装置からの指示に応じて表示部の画面の画質等を設定、変更したり、タッチスイッチからの入力を処理したりする。タッチスイッチからの入力は、表示部の制御に関する指示である場合に限らず、そうでない場合もある。そうでない場合には、タッチスイッチからの入力を読みとって、それに応じた情報を、それに関連する制御装置(表示部制御部が兼ねる場合もある)に出力する。
表示部には、例えば、ナビゲーション情報に含まれる地図情報に対応する画像、テレビ映像に対応する画像、多重放送で受信した文字情報を表す画像、車両の情報(例えば、オイル交換の時期等を表すメンテナンス情報、燃費等を表す走行情報)に対応する画像等が表示されたり、タッチパネルとして機能する状態で、種々の設定、指示が可能な画像が表示されたりする。例えば、ナビゲーションにおいて目的地等を設定可能な画像、通信に関する設定、指示等(電話番号、アドレス等の入力、通信の開始、終了の指示等)が可能な画像、テレビ、ラジオ、FMの選局等が可能な画像、オーディオに関する設定等(音量、音質、スピーカの選択、複数のスピーカのバランスの設定等)が可能な画像、エアコンディショナーに関する設定(温度、風量、風向き等の設定)が可能な画像が表示されたり、表示画面の画質に関する設定(背景の色、色調、明るさ、コントラス等の設定)が可能な画像が表示されたりする。
しかし、ディスプレイ指示装置の指示に応じたディスプレイの作動は、常に行われるとは限らない。ディスプレイの作動のうちの1つ以上は、安全上の検知等から、車両の状態が予め定められた状態である場合にのみ行われ(許可され)、予め定められた状態でない場合には行われない(禁止された)作動もある。例えば、車両の走行速度が設定速度以上である場合、パーキングブレーキ機構が非作用状態にある場合等には、テレビ映像に対応する画像が表示されないようにされていることが多い。また、車両の情報に対応する画像の表示が禁止されたり、表示部の画面の画質の設定、電話番号の入力,発信指示、ナビゲーションにおける目的地の設定等が禁止されたりすることもある。
それに対して、例えば、車両の停止状態において、テレビ映像表示が指示されている場合に、パーキングブレーキ機構が自動で作用状態にされるようにすれば、運転者がパーキングブレーキ操作部材等を操作等しなくても、車両の停止状態において、テレビ映像を見ることができる。
また、車両の走行中には、表示部に、ナビゲーションにおいて地図情報が表示されるように設定されている場合において、車両の停止状態に、目的地を設定等する指示が出されている場合、あるいは、目的地を設定等する指示が出された場合に、パーキングブレーキ機構が自動で作用状態にされるようにすれば、ディスプレイの表示部の画像が地図情報に対応する画像から目的地を設定等するための画像に自動で切り換わる。そのため、運転者は、パーキングブレーキ操作部材等を操作しなくても、目的地を設定等するためのタッチスイッチ等の操作を安全に行うことが可能となる。あるいは、車両の走行中に、地図情報に対応する画像が表示されない場合に、車両の停止状態に、パーキングブレーキ機構が自動で作用状態にされるようにすれば、ディスプレイが、タッチスイッチからの入力の処理が禁止された状態から許可された状態に切り換わる。その結果、運転者は、パーキングブレーキ操作部材等を操作等しなくても、ディスプレイの表示部の画面からタッチスイッチの操作により目的地を設定等することが可能となる。
さらに、車両が停止状態にあり、かつ、通信装置の作動指示が出されている場合(例えば、電話スイッチONの場合)に、パーキングブレーキが自動で作用状態とされるようにすれば、表示部の画面が、電話番号の入力が可能な画面となり、ディスプレイが、入力された電話番号の処理が可能な状態となる。ディスプレイは、入力された電話番号を通信装置に出力可能な状態となるのである。車両の停止状態において、運転者がパーキングブレーキ操作部材等を操作等しなくても、安全に、電話番号を入力することが可能となり、その番号への発信が可能となる。
【0004】
請求項2に記載のブレーキ制御装置においては、前記停止時パーキングブレーキ作動部が、(a)前記車両の状態を検出する車両状態検出装置と、(b)その車両状態検出装置によって検出された車両状態が、前記ディスプレイ指示装置による指示通りに前記ディスプレイを作動させることが望ましい状態である場合に、前記パーキングブレーキ機構を作動させ、前記指示通りに前記ディスプレイを作動させることが望ましくない状態である場合に、前記パーキングブレーキ機構を作動させない車両状態対応パーキングブレーキ作動部とを含むものとされる。
ブレーキ制御装置において、車両の停止状態において、ディスプレイ作動指示状態にある場合に、常に、パーキングブレーキ機構が自動で作用状態とされるようにすると、そのディスプレイ作動指示に応じて、常に、ディスプレイが作動させられることになる。しかし、例えば、車庫入れ、縦列駐車、狭い道路を走行している途中において、車両が停止した場合に、パーキングブレーキ機構が作動させられてディスプレイが作動させられると、運転者の注意力が散漫になり望ましくない。また、運転者も、ディスプレイの作動を望んでいないと考えられる。さらに、パーキングブレーキ機構を作動させることはかえって運転に邪魔になる。緊急制動によって停止した場合にも同様である。例えば、アンチロック制御によって停止した場合、ブレーキアシスト制御により停止した場合等には、運転者は緊張している状態にあることが多いため、ディスプレイを作動させることが望ましくないと考えられる。そこで、これらの場合には、車両が停止状態にあって、ディスプレイ作動指示状態にあっても、パーキングブレーキ機構が自動で作動させられないようしたのである。
車庫入れ途中、縦列駐車途中であることは、請求項3に記載のように、停止時におけるシフト操作位置がリバースであることからわかる。また、狭い道路を走行していることは、停止時における車両と近傍にある物体との間の距離が設定値以下であること等からわかる。さらに、アンチロック制御が行われたか否か、ブレーキアシスト制動が行われたか否か等は、サービスブレーキ制御装置(スキッド制御装置)からの停止時の情報(例えば、アンチロック制御が終了したこと、ブレーキアシスト制御が終了したことを表す情報)や、停止前の走行中における情報(アンチロック制御中であること、ブレーキアシスト制御中であることを表す情報)でわかる。
なお、上述のように、停止中のパーキングブレーキ機構の自動作動が禁止された後、シフト位置がドライブ位置にあり、かつ、車両の走行速度が通常走行であるとみなし得る設定速度以上になった場合に、パーキングブレーキ機構の自動作動の禁止が解除されるようにすることが望ましい。
請求項4に記載のブレーキ制御装置においては、ディスプレイ指示装置が、前記ディスプレイの表示部にテレビ放送を受信して得られたテレビ映像データを表示すべきことを指示するテレビスイッチを含み、前記ディスプレイ制御部が、前記車両の停止状態において、前記テレビスイッチが前記テレビ映像データの表示指示状態にあり、かつ、前記パーキングブレーキ機構が作用状態にある場合に、前記ディスプレイの表示部を制御して、前記表示部に前記テレビ映像データを表示させるテレビ映像表示部を含むものとされる。
車両の停止状態において、テレビスイッチが操作されている状態にある場合には、パーキングブレーキ機構が自動で作用状態とされる。そのため、運転者は、停止後に、パーキングブレーキ操作部材等を操作しなくても、テレビ映像を見ることができる。
請求項5に記載のブレーキ制御装置は、(i)(a)前記車両に設けられ、その車両の車輪の回転を抑制する摩擦ブレーキと、(b)電力の供給により、前記摩擦ブレーキの作用力を制御可能なブレーキ作用力制御装置とを含むサービスブレーキ機構と、(ii)前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動指示状態あり、かつ、前記電動モータの作動頻度が設定頻度以上である場合に、前記ブレーキ作用力制御装置への電力の供給の制御により、前記サービスブレーキ機構のブレーキ作用力を、前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御する停止時作用力制御部と、(iii)その停止時作用力制御部によって前記ブレーキ作用力が制御された場合に、前記ディスプレイ制御部に、前記パーキングブレーキ作用検出部が前記パーキングブレーキ機構が作用状態にあることを検出した場合と同じ情報を供給するパーキングブレーキ作用情報供給部とを含むものとされる。
請求項6に記載のブレーキ制御装置は、(i)(a)前記車両の車輪に設けられ、その車輪の回転を抑制する摩擦ブレーキと、(b)電力の供給により、前記摩擦ブレーキの作用力を制御可能なブレーキ作用力制御装置とを含むサービスブレーキ機構と、(ii)前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動指示状態にあり、かつ、前記電動モータの作動頻度が設定頻度以上である場合に、前記ブレーキ作用力制御装置への電力の供給の制御により、前記サービスブレーキ機構のブレーキ作用力を、前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御する停止時作用力制御部とを含み、前記ディスプレイ制御部が、前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置によって前記ディスプレイの作動が指示されており、かつ、前記サービスブレーキ機構のブレーキ作用力が前記停止時作用力制御部によって前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御されている場合に、前記ディスプレイ指示装置の指示に従って前記ディスプレイを作動させるブレーキ保持時ディスプレイ作動部を含むものとされる。
渋滞している場合等には、車両は停止・発進を繰り返すのが普通である。それらの場合において、車両が停止する毎にパーキングブレーキ機構が作動させられると、電動モータの始動、停止が繰り返され、望ましくない。例えば、ブラシが摩耗し易くなり、電動モータの寿命が短くなる等の問題がある。それに対して、サービスブレーキ機構のブレーキ作用力が車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御されれば、パーキングブレーキ機構の作用状態と同様の効果が得られる。そのため、サービスブレーキ機構のブレーキ作用力が車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御されれば、ディスプレイ作動指示に応じてディスプレイが作動させられるようにしても、安全上、差し支えない。
そこで、請求項5に記載のブレーキ制御装置においては、電動モータの作動頻度が設定頻度以上である場合には、車両の停止状態において、サービスブレーキ機構のブレーキ作用力が保持制御されるとともに、ディスプレイ制御装置に、パーキングブレーキ作用検出部によって作用状態にあることが検出された場合と同じ情報が供給される。ディスプレイ制御装置において、ディスプレイ作動指示に従って、ディスプレイが作動させられることになる。
また、請求項6に記載のように、ディスプレイ制御装置において、サービスブレーキ機構において保持制御が行われている場合に、ディスプレイ作動指示に応じてディスプレイが作動させられるようにすることもできる。いずれにしても、車両の停止状態において、パーキングブレーキ操作部材等の操作をしなくても、ディスプレイを指示に従って作動させたいという運転者の要求を満たしつつ、電動モータの寿命が短くなることを回避することができる。
なお、サービスブレーキ機構は、自動ブレーキ可能なものである。運転者によるブレーキ操作部材の操作が行われなくてもサービスブレーキ機構を作動可能なものであり、ブレーキ作用力を、ブレーキ操作部材の操作状態とは関係ない大きさに制御可能なものである。サービスブレーキは、液圧により作動させられる液圧ブレーキとしても、電動モータの押付力により作動させられる電動ブレーキとしてもよい。
また、電動モータの作動頻度は作動頻度取得装置によって取得される。作動頻度取得装置は、例えば、予め定められた設定時間の間の、電動モータの始動回数、あるいは、停止回数をカウントするカウンタを含む。カウンタによるカウント値が設定値以上である場合に、作動頻度が設定頻度以上であるとすることができる。
【0005】
請求項7に記載のディスプレイ制御装置は、(a)車両の車輪に設けられ、その車輪の回転を抑制するパーキングブレーキとサービスブレーキとの少なくとも一方と、(b)その少なくとも一方の作用力を制御可能な作用力制御装置とを含むブレーキ機構を備えた車両に設けられ、画像を表示する表示部と、その表示部を制御可能な表示部制御部とを含むディスプレイを制御するディスプレイ制御装置であって、(1)前記ディスプレイの作動を指示するディスプレイ指示装置と、(2)前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動指示状態にあり、かつ、前記ブレーキ機構のブレーキの少なくとも一方の作用力が、前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持されている場合に、前記指示に従って前記ディスプレイを作動させる停止保持時ディスプレイ制御部とを含むものとされる。
パーキングブレーキ機構において、車両の停止状態においては、ブレーキ作用力が車両を停止状態に保ち得る大きさに制御されるのが普通である。また、サービスブレーキ機構において、ブレーキ作用力が停止状態に保たれる大きさに保持制御されれば、パーキングブレーキ機構の作用状態と同様な効果が得られる。
そのため、ディスプレイ制御装置において、ブレーキ作用力が車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御されている場合には、ディスプレイ指示装置の指示に従ってディスプレイ作動が行われるようにすることは、安全上、差し支えない。その結果、運転者は、停止状態において、パーキングブレーキ操作部材等の操作を行わなくても、ディスプレイを作動させることができる。
なお、ディスプレイ制御装置には、請求項1から6に記載の技術的特徴を採用することができる。
【0006】
また、ディスプレイ制御装置は、車両の停止状態において、ディスプレイ作動指示装置が作動指示状態にあって、かつ、パーキングブレーキ機構が非作用状態にある場合に、ブレーキ制御装置にパーキングブレーキ作動指示指令とサービスブレーキ保持制御指令との少なくとも一方を出力するブレーキ制御指示部を備えたものとすることが可能である。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の一実施例であるブレーキ制御装置について、図面に基づいて詳細に説明する。本ブレーキ制御装置を備えた車両には、本発明の一実施例であるディスプレイ制御装置が含まれる。
図1には、ブレーキ制御装置とディスプレイ制御装置とを含む車両の制御系の一部を示す。
車両において、CAN(Control Area Network)10を介して、複数のコンピュータ、センサ等が接続されている。12はVSCECU(スリップ制御ECU、以下、サービスブレーキECUと称する)であり、14はEKBECU(電動パーキングブレーキECU)であり、16はETCECU(エンジン・トランスミッション制御ECU)であり、18はビジュアル・オーディオ関係を制御するメインコンピュータであり、19はクリアランスウォーニングコンピュータである。
【0008】
サービスブレーキECU12は、実行部20、記憶部21、入出力部22(図2参照)等を含むコンピュータを主体とするものであり、サービスブレーキとしてのディスクブレーキ30の作用力を制御するものである。サービスブレーキECU12には、作用力制御アクチュエータ32,ブレーキスイッチ34,車輪速センサ35,前後加速度センサ36,ブレーキシリンダ液圧センサ37等が接続されている。本実施例において、ディスクブレーキ30は液圧により作動させられる液圧ブレーキであり、作用力制御アクチュエータ32は液圧制御アクチュエータである。液圧制御アクチュエータ32は、図2に示すように、サービスブレーキ30の液圧を制御可能な複数の電磁制御弁を備えた電磁制御弁装置38および電力の供給により作動させられて高圧の作動液を供給可能なポンプ等を含む動力式液圧源40等を含む。サービスブレーキ30の液圧は、ブレーキ作用力、車両の停止状態における制動トルクに対応する。本実施例においては、ディスクブレーキ30,液圧制御アクチュエータ32等によりサービスブレーキ機構42が構成される。
【0009】
電動パーキングブレーキECU14は、実行部44、記憶部45、入出力部46(図2参照)等を含むコンピュータを主体とするものであり、パーキングブレーキとしてのドラムブレーキ50の作用力を制御するものである。電動パーキングブレーキECU14には、作用力制御アクチュエータとしての電動モータ52,張力センサ54,パーキングブレーキスイッチ56等が接続されている。パーキングブレーキ50は、図2に示すように、ケーブル58が電動モータ52によって引っ張られることによって作動させられるものであり、ケーブル58が、電動モータ52に、運動変換装置60、クラッチ61を介して接続される。ケーブル58の張力は運動変換装置60に設けられた張力センサ54によって検出されるが、ケーブル58の張力は、パーキングブレーキ50の作用力、停止状態における制動トルクに対応する。本実施例においては、パーキングブレーキ50,電動モータ、運動変換装置60、クラッチ61等によりパーキングブレーキ機構62が構成される。
【0010】
図2に示すように、サービスブレーキ30は前後左右の各輪64FL、FR、RL、RRに設けられ、パーキングブレーキ50は左右後輪64RL、RRに設けられる。
サービスブレーキ機構42において、サービスブレーキとしての液圧ブレーキ30は、ブレーキシリンダ66の液圧により車輪64とともに回転するロータに摩擦材を押し付けることにより、車輪64の回転を抑制するものであり、ブレーキシリンダ66の液圧は、液圧制御アクチュエータ32の制御によって制御される。電磁制御弁装置38は、マスタ遮断弁67mc、各輪毎に設けられた保持弁67aおよび減圧弁67r等を含む。ブレーキシリンダ液圧センサ37は、各輪64FL、FR、RL、RRのブレーキシリンダ66に対応してそれぞれ設けられる。
動力式液圧源40は、リザーバ68の作動液を汲み上げて吐出するポンプ70,ポンプ70を駆動する電動モータ72,ポンプ70から吐出された作動液を加圧した状態で蓄えられるアキュムレータ74等を含む。
サービスブレーキ操作部材としてのブレーキペダル76にはマスタシリンダ78が連結され、ブレーキペダル76の操作力に応じた液圧が発生させられる。ブレーキペダル76が踏み込まれると、ブレーキスイッチ34がONとなる。
マスタシリンダ78には、左右前輪64FL、FRのブレーキシリンダ66が接続されており、これらの間に、前述のマスタ遮断弁67mcが設けられる。マスタ遮断弁67mcは常開の開閉弁であり、閉状態において、ブレーキシリンダ66が、マスタシリンダ78から遮断され、液圧が動力式液圧源40の液圧を利用して制御される。
【0011】
通常制動時において、ブレーキペダル76が踏み込まれると、マスタ遮断弁67mcが閉状態とされる。ブレーキシリンダ66の目標液圧がブレーキペダル76の操作状態に応じた大きさに決定され、ブレーキシリンダ液圧センサ37によって検出された実際のブレーキシリンダ液圧が目標液圧に近づくように、保持弁67a、減圧弁67rが制御される。
それに対して、後述するように、車両の停止状態において、予め定められた条件が満たされた場合には、目標液圧が、車両を停止状態に保ち得る大きさに決定され、実際のブレーキシリンダ液圧が目標液圧に近づくように制御されるとともに、保持弁67aおよび減圧弁67rが閉状態とされることによって、その液圧が保持される。この状態においては、ブレーキペダル76の踏込みが解除されても、車両は停止状態に保たれる。車両を停止状態に保ち得る大きさは、車両に作用する移動力に基づいて決められる。移動力は、車両が坂道に停止している場合に、車両に重力により加えられる力で、坂道の勾配で決まる力(斜面による力と称する)と駆動力との和であり、車両に加えられる前後加速度、シフト操作部材90の位置、エンジンの出力等に基づいて取得することができる。本実施例においては、駆動力と斜面による力とが同じ向きである場合に、移動力を斜面による力と駆動力との和とし、駆動力と斜面による力とが逆向きである場合に、移動力を斜面による力とする。車両を停止状態に保つのに必要な制動力(ブレーキシリンダ液圧に対応)は、向きは移動力と逆であるが、大きさは移動力と同じとしても、移動力より大きくしてもよい。
また、車輪64の制動スリップ状態が設定状態以上である場合にはアンチロック制御が行われる。制動スリップ状態が路面の摩擦係数で決まる適正な状態となるように、各輪64FR、RL、RR、RLのブレーキシリンダ66の液圧が制御される。車輪速センサ35は、各輪64FR、RL、RR、RL毎に設けられ、各輪毎に、スリップ状態が検出され、アンチロック制御が行われる。
さらに、ブレーキペダル76の操作速度が設定速度以上である場合等には緊急ブレーキ操作状態であるとされ、ブレーキシリンダ66の液圧が、通常制動時より、ブレーキペダル10の操作状態が同じであっても、大きくされる。ブレーキアシスト制御が行われるのである。
サービスブレーキECU12の記憶部21には、フローチャートの図示は省略するが、通常時液圧制御プログラム、アンチロック制御プログラム、ブレーキアシスト制御プログラム、図6のフローチャートで表される停止時液圧制御プログラム等が記憶されている。
【0012】
パーキングブレーキ機構62において、パーキングブレーキ50としてのドラムブレーキにおいて、ブレーキレバーにケーブル58が係合させられ、ケーブル58が引っ張られると、一対のブレーキシューが拡開させられてドラムの内周面に押し付けられる。運動変換装置60は、ねじ機構を有するものであり、電動モータ52の出力軸の回転運動を直線運動に変換してイコライザーに伝達するものである。電動モータ52の回転に伴って、ケーブル58が連結されたイコライザが直線的に移動させられ、ケーブル58が引っ張れたり、緩められたりする。クラッチ61は、電動モータ52の回転がイコライザに伝達される状態と、イコライザにケーブル58によって加えられる力の電動モータ52への伝達が阻止される状態とに切り換え可能なものである。
なお、運動変換機構60は、ウォームおよびウォームホイールを含むものとすることができ、その場合には、運動変換機構60がクラッチとしての機能も有することになる。
パーキングブレーキスイッチ(以下、パーキングスイッチと略称する)56がON操作されると、電動モータ52が作動させられ、ケーブル58が引っ張られる。ケーブル58の張力の目標値である目標張力は、張力に対応する制動力が前述のように車両を停止状態に保ち得る大きさに決定され、張力センサ54によって検出された実際の張力が目標張力となるように、電動モータ52が制御される。
また、後述するように、車両の停止状態において、予め定められた条件が満たされた場合には、パーキングスイッチ56がON操作されなくても、パーキングブレーキ50が作動させられ、作用状態とされる。
電動パーキングブレーキECU14の記憶部45には、図4のフローチャートで表される停止時パーキングブレーキ制御プログラム等が記憶されている。
【0013】
エンジン・トランスミッション制御ECU16は、実行部、記憶部、入出力部等を含むコンピュータを主体とするものであり、トランスミッションやエンジンを制御する。エンジン・トランスミッション制御ECU16には、シフト操作部材90の位置を検出するシフトポジションセンサ92等が接続される。
【0014】
メインコンピュータ18は、図1に示すように、実行部95,記憶部96,入出力部97等を含み、ディスプレイパネル100(以下、単にパネル100と略称することがある)等を制御する。ディスプレイパネル100は、例えば、液晶パネルとすることができ、画素に対応して設けられた駆動部(トランジスタ等)がそれぞれ制御されることにより画像が表示される。
メインコンピュータ18は、ディスプレイパネル100を制御(駆動)するパネル制御部を含む。パネル制御部は、供給された画像データ等に応じてディスプレイパネルを制御したり、ディスプレイパネル100がタッチパネルとして機能した場合に、タッチスイッチからの入力を読みとり、処理したりする。
メインコンピュータ18には、上述のディスプレイパネル100に加えて、複数のスイッチを備えたスイッチ装置108,複数個のスピーカ110,GPS(Global Positioning System)アンテナ112において受信した情報を処理する受信装置114,テレビアンテナ116において受信した映像情報を処理するテレビチューナ118,ヨーレイトセンサ120,マイクロホン122,DVD(Digital Versatile Disc)プレイヤー124等が接続されている。DVDプレイヤー124等は、メインコンピュータ18に内蔵されていることもある。その他、図示は、省略するが、ラジオアンプ、FMチューナー等も接続されている。
これらメインコンピュータ18,ディスプレイパネル100,テレビチューナ118,GPSアンテナ112,受信装置114,DVDプレイヤー124等により、ディスプレイシステムが構成されるが、これらは、多くの機能を備えているため、マルチビジュアルシステムと称することができる。
【0015】
メインコンピュータ18は、主としてナビゲーション(navigation)コンピュータとして機能する。GPSアンテナ112、受信装置114から得られた情報に基づいて取得された現在の位置、記憶部96に記憶された地図情報、ヨーレイトセンサ120,車輪速センサ35による検出値等に基づいて取得された自車両の進行方向、走行状態、入力された目的地等に基づいて、画像データを作成して、ディスプレイパネル100を制御する。
また、テレビチューナ118から供給されたテレビ映像データに基づいてディスプレイパネル100を制御したり、スイッチ装置108、マイクロホン122からの入力を処理し、それに応じてディスプレイパネル100を制御したり、音声信号を作成してスピーカ110から出力したり、DVDに記憶された映像データに基づいてディスプレイパネル100を制御したりする。また、通信機能も有しており、電話、インターネットを介する通信等が可能とされる。
【0016】
スイッチ装置108は、マニュアル操作可能な複数のスイッチを含み、ディスプレイシステムの作動を指示する場合に操作されるものである。スイッチには、操舵部材としてのステアリングホイールに設けられるもの(ステアリングスイッチ)、ディスプレイパネル100の近傍に設けられるもの(パネルスイッチ)、パネル100自体に設けられるもの(タッチスイッチ:タッチパネルによって構成される。)、マイクロホン122から入力される音声によるもの(トークスイッチ)等がある。
スイッチ装置108には、テレビスイッチ142,ナビゲーションスイッチ144,目的地設定スイッチ145,通信スイッチ146,設定スイッチ148,情報スイッチ150,画質調整スイッチ152,オーディオスイッチ154,DVDスイッチ156,メニュースイッチ158等が含まれる。これらのスイッチ142〜158は、ディスプレイシステムのモードの切り換えを指示するものであり、モード切り換えスイッチと称することができる。また、これらのスイッチの操作に伴って、パネル100の表示画像が切り換えられるため、画面切換えスイッチ(あるいは表示画面指示スイッチ)と称することもできる。
【0017】
テレビスイッチ142が操作されると、ディスプレイパネル100がテレビ映像画面となる(テレビ映像画面に切り換わる)。ディスプレイパネル100にテレビ映像画像が表示されるのである。この状態において、オーディオスイッチ154が操作されると、オーディオ関連の種々の設定を行うことが可能となる。タッチスイッチ(パネル100の数字が表示された部分:チャンネル入力部)160の操作によりチャンネル入力(変更)等が可能となったり、図示しない音量調整スイッチ(タッチスイッチ)の操作により音量の調整が可能となったりする。また、設定スイッチ148が操作されると、テレビモードについての設定が可能となり、図示しないテレビモード設定スイッチ(タッチスイッチ)の操作により、音声多重、ワイド等の設定が可能となる。
【0018】
ナビゲーションスイッチ144が操作されると、地図情報を表す画面に切り換わる。地図画像が表示されるのであり、この状態で、目的地設定スイッチ145が操作されると、目的地設定画面に切り換わり、タッチスイッチ(パネル100の検索方法を表す文字等が表示された部分:目的地検索部)161、タッチスイッチ(パネル100の地図画像上の任意の部分:目的地設定部)162の操作により、目的地を検索したり、設定したりすることができる。また、メニュースイッチ158が操作されると、ナビ表示設定画面に切り換わり、タッチスイッチ(パネル100のナビ表示方法を表す文字、図形等が表示された部分:ナビ表示設定部)164の操作により、地図画像の表示方法の設定、選択、変更(立体表示と平面表示とのいずれかの選択、ランドマーク表示の有無の選択等)が可能となる。さらに、設定スイッチ148が操作されると、ナビ情報管理画面に切り換わり、タッチスイッチ(パネル100の入力可能な部分:ナビ情報管理入力部)166の操作により、目的地の登録、登録された目的地の削除等が可能となる。
【0019】
情報スイッチ150が操作されると、情報選択画面に切り換えられる。その画面において、タッチスイッチ(パネル100の車両情報、メンテナンス情報、FM多重情報等の文字、図形等が表示された部分:情報選択スイッチ)168の操作により、表示される情報の内容を選択することができる。
情報選択スイッチ168の操作によりメンテナンス情報が選択された場合には、メンテナンス情報の種類を選択可能な画面に切り換わる。タッチスイッチ(パネル100のオイル交換、オイルフィルタ交換、タイヤ交換等の文字、図形等が表示された部分:メンテナンス情報選択スイッチ)169の操作により、表示される情報の内容をさらに詳細に選択することが可能となる。例えば、メンテナンス情報選択スイッチ169の操作により、オイル交換が選択されると、前回オイル交換が行われた期日、次回、オイル交換を行うことが望ましい期日等を表す画像情報が表示され、タッチスイッチ(パネル100の期日等を更新可能な部分:メンテナンス情報入力部)170の操作により、オイル交換を実際に行った期日を更新すること等ができる。
また、情報選択スイッチ168の操作により、FM多重情報が選択された場合には、文字情報が表示される。そして、タッチスイッチ(パネル100の入力可能な部分:文字情報表示等指示部)172の操作により、文字情報の表示、送り(スクロール)、記憶、記憶した情報の再生、消去等を指示することができる。
【0020】
オーディオ使用中に、オーディオスイッチ154が操作されると、オーディオ関連の種々の設定等が可能な画面に切り換わる。タッチスイッチ(パネル100の入力可能な部分:オーディオ関係調整部)174の操作により音質、音量、複数のスピーカ110から出力される音のバランス等を調整したり、出力されるスピーカ110を選択したりすることができる。
DVDスイッチ156が操作されると、DVDの再生が開始され、ディスプレイパネル100が再生画面に切り換えられる。この状態で、タッチスイッチ(パネル100の入力可能な部分:早送り/早戻しの選択スイッチ)176を操作すると、早送り、早戻し等が可能となる。
画質調整スイッチ152が操作されると、ディスプレイパネル100が画質等を調整可能な画面に切り換わる。タッチスイッチ(パネル100の入力可能な部分:画質調整部)178の操作により、背景の色、色の濃さ、画面のコントラスト、明るさ等を調整することができる。
【0021】
通信スイッチ146が操作されると、通信設定が可能な画面に切り換わる。タッチスイッチ(パネル100の電話の図形が表示された部分:電話スイッチ)180が操作されると、電話番号等を入力可能な画面に切り換わり、タッチスイッチ(パネル100の番号が表示された部分:電話番号入力部)181の操作により、電話番号の入力が可能となる。電話番号は、複数の電話番号が記憶された電話帳のデータから選択したり、ワンタッチダイヤルスイッチ(タッチスイッチ)182の操作により選択(入力)したりすることもできる。その後、オフフックスイッチ(タッチスイッチ)184を操作することにより、発信される。
また、電話スイッチ180が操作された後、設定スイッチ148が操作されると、電話番号の管理等を行い得る画面に切り換わる。タッチスイッチ(パネル100の入力可能な部分:電話情報管理入力部)186の操作により、電話番号の登録、削除等が可能となる。具体的には、ワンタッチダイヤルスイッチ182として利用可能に登録された電話番号を変更、削除したり、新たに登録したりすることができる。また、電話帳に登録された電話番号を変更、削除したり、新たに登録したりすること等ができる。
【0022】
テレビチューナ118は、テレビアンテナ116から供給された放送電波を受信、選局し、映像情報をメインコンピュータ18に出力するとともに音声情報をスピーカ110に出力するものである。
クリアランスウォーニングコンピュータ19には、車両の前後のバンパのそれぞれの端部に設けられたクリアランスソナー190が接続される。クリアランスソナー190は、超音波を利用して、近傍の物体を検出するとともに、物体までの距離を検出する。距離が予め定められた複数の設定値以下である場合には、それに応じたウォーニングがスピーカ110を介して出力される。
【0023】
このように、本実施例において、画面切り換えスイッチ142〜158の操作により、ディスプレイパネル100に種々の画像を表示させることができ、タッチスイッチ160〜186の操作により種々の選択、設定等が可能であるが、これらディスプレイの作動は、いつでも可能なわけではなく、安全運転上の見地から制限が設けられている。画面の切り換えが制限されたり、選択、設定等が制限されたりするのである。
例えば、ディスプレイパネル100へのテレビ映像の表示は、車両が停止状態にあり、かつ、パーキングブレーキ50の作用状態においてのみ許可され、車両の走行速度が設定速度以上である場合、パーキングブレーキ50の非作用状態においては、禁止されている。
そのため、運転者は、テレビ映像を見たいと思った場合には、車両が停止した後、パーキングスイッチ56をON操作しなければならなかった。
メインコンピュータ18において、記憶部96に図3のフローチャートで表されるパネル制御プログラムが記憶され、実行部95により予め定められた設定時間毎に実行される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、車両の走行速度が停止状態であるとみなし得る設定速度Vs以下であるか否かが判定され、S2において、テレビスイッチ142がON状態にあるか否かが判定され、S3において、パーキングブレーキ50が作用状態であるか否かが判定される。これらの判定結果がすべてYESである場合には、S4において、テレビチューナ118から供給されたテレビ映像がディスプレイパネル100に表示される。パーキングブレーキ50が作用状態にある場合には、車両が確実に停止状態にあるため、テレビ映像がディスプレイパネル100に表示され、運転者が画像を見ても、安全上、差し支えないからである。また、S1〜3の少なくとも1つの判定がNOである場合には、ディスプレイパネル100にテレビ映像が表示されることはない。
なお、車両の走行速度は、車輪速度に基づいて取得されるが、車輪速度を表す情報はCAN10を介してサービスブレーキECU12から供給される。パーキングブレーキ50が作用状態にあるか否かは、パーキングスイッチ56の状態に基づいて取得されるが、その情報は電動パーキングブレーキECU14からCAN10を介して供給される。
【0024】
そこで、本実施例においては、車両が停止状態にあり、かつ、テレビスイッチ142がON状態にある場合には、パーキングスイッチ56が操作されなくても自動でパーキングブレーキ50が作用状態とされる。
電動パーキングブレーキECU14において、図4のフローチャートで表される停止時パーキングブレーキ制御プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S11において、車両の走行速度が停止状態であるとみなし得る設定速度Vs以下であるか否かが判定され、S12において、テレビスイッチ142がON状態にあるか否かが判定される。車両は運転者のサービスブレーキ操作部材76の操作に起因して停止させられることが多い。
S11,12のいずれの判定もYESである場合には、S13以降において自動で電動モータ52が作動させられて、パーキングブレーキ50が作用状態とされる。具体的に、S13において前後加速度が検出され、S14においてシフト位置が検出され、S15において、これらに基づいて前述のように目標張力が決定される。車輪速度、前後加速度を表す情報は、サービスブレーキ制御ECU12,CAN10を介して供給され、シフト位置を表す情報は、エンジン・トランスミッション制御ECU16,CAN10を介して供給される。S16において、実際の張力が目標張力に近づくように電動モータ52が制御され、S17において、パーキングブレーキ50が作用状態にあることを表す情報、すなわち、パーキングスイッチ56がON状態にあることを表す情報をメインコンピュータ18に(CAN10に)出力する。
メインコンピュータ18において、パネル制御プログラムの実行において、S3の判定がYESとなり、ディスプレイパネル100にテレビ映像が表示される。その結果、車両の停止状態において、テレビスイッチ142がON状態にある場合には、運転者がパーキングスイッチ56を操作しなくても、テレビ映像を見ることが可能となる。
停止時パーキングブレーキ制御プログラムは、パーキングスイッチ56のON操作が行われても、行われなくても実行される。ただし、本プログラムが実行される以前にパーキングスイッチ56のON操作が検出されれば、そのスイッチ操作に応じてパーキングブレーキ50が作動させられることになる。
【0025】
また、特許文献1に記載のブレーキ制御装置と本実施例のブレーキ制御装置とを比較すると、特許文献1に記載のブレーキ制御装置においては、車両が停止状態にあり、かつ、シフト位置がパーキング位置等にある場合に、パーキングブレーキ機構62が作用状態とされるの対して、本実施例のブレーキ制御装置においては、車両が停止状態にあり、かつ、テレビスイッチ142がON状態である場合に、パーキングブレーキ機構62が作用状態とされる点が異なる。パーキングブレーキ機構62が自動で作動させられるための条件が異なるのである。
例えば、特許文献1に記載のブレーキ制御装置においては、テレビスイッチ142がON状態にあっても、シフト位置がドライブである場合には、パーキングブレーキ機構62が作動させられることがないのに対して、本実施例のブレーキ制御装置においては、テレビスイッチ142がON状態にある場合には、シフト位置がパーキング位置であってもドライブ位置であってもパーキングブレーキ機構62が作動させられることになる。その結果、本実施例のブレーキ制御装置においては、運転者のパーキングに関する操作を行うことなく車両の停止状態においてテレビ映像を見たいという要求を良好に満たすことができる。また、本実施例のブレーキ制御装置においては、停止状態において、シフト操作部材90をパーキング位置やニュートラル位置へ操作しなくても、テレビを見ることができるという利点もある。
【0026】
以上のように、本実施例においては、ディスプレイパネル100によって表示部が構成され、メインコンピュータ18のディスプレイパネル100を制御する部分等により表示部制御部が構成され、これら表示部および表示部制御部によりディスプレイが構成され、スイッチ装置108等によりディスプレイ指示装置が構成される。また、電動パーキングブレーキECU14の図4のフローチャートで表される停止時パーキングブレーキ制御プログラムのS11〜16を記憶する部分、実行する部分等により停止時パーキングブレーキ作動部が構成され、S17を記憶する部分、実行する部分、パーキングスイッチ56等によりパーキングブレーキ作用検出部が構成される。また、メインコンピュータ18の図3のフローチャートで表されるパネル制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりディスプレイ制御部が構成され、S4を記憶する部分、実行する部分等により表示部制御部としてのテレビ映像表示部が構成される。
【0027】
なお、車両の停止状態が設定時間以上継続した場合に、パーキングブレーキ50が作動させられるようにしたり、シフト位置がパーキング位置あるいはニュートラル位置にある場合にパーキングブレーキ50が作動させられるようにしたりすることもできる。車両が停止状態にあることをより確実に検出するためであり、安全運転上、望ましい。
また、上記実施例においては、パネル制御プログラムのS3において、パーキングスイッチ56の状態に基づいて判定されたが、パーキングブレーキ50が作用状態にあるか否かの情報に基づいて判定されるようにすることもできる。その場合には、電動パーキングブレーキECU14からパーキングブレーキ50が作用状態にあることの情報が供給されることになる。
さらに、パネル制御プログラムにおいて、S3の判定がNOである場合に、電動パーキングブレーキECU14に、パーキングブレーキ作動指令が出力されるようにすることもできる。電動パーキングブレーキECU14において、パーキングブレーキ作動指令を受信すると、パーキングブレーキ50を作用状態とすることになる。
【0028】
また、パーキングブレーキ50が作用状態にされるのではなく、サービスブレーキ30の液圧が、車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御されるようにすることもできる。例えば、走行・停止が繰り返し行われる場合等には、電動モータ52の駆動・停止が繰り返し行われ、ブラシが摩耗し易くなる等電動モータ52の寿命が短くなる等の問題がある。一方、電動モータ52の作動頻度(作動・停止の繰り返し頻度)が設定頻度以上である場合には、パーキングブレーキ50が作動させられないようにすれば、上述の問題を解決することができるが、その場合には、運転者のパーキングスイッチ56の操作なしでテレビ映像を見たいという要求が満たされない。それに対して、ブレーキシリンダ66の液圧が車両を停止状態に保ち得る大きさとされて、保持されれば、ブレーキペダル76の操作が解除されても、車両を停止状態に保つことが可能となり、パーキングブレーキ50が作用状態にあるのと同様の効果を得ることができる。そこで、本実施例においては、電動モータ52の作動頻度が設定頻度以上である場合には、サービスブレーキ30の液圧を車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御して、ディスプレイパネル100にテレビ映像が表示されるようにしたのである。
【0029】
電動パーキングブレーキECU14の記憶部45には図5のフローチャートで表される停止時パーキングブレーキ制御プログラムが記憶され、実行部44により予め定められた設定時間毎に実行される。
S11,12において、上記実施例における場合と同様に、車両が停止状態にあるか否か、テレビスイッチ142がON状態にあるか否かが判定される。いずれの判定もYESである場合には、S51において、電動モータ52の作動頻度が予め定められた設定頻度以上であるか否かが判定される。具体的には、設定時間内の電動モータ52の始動回数あるいは停止回数がカウントされ、設定回数以上である場合には設定頻度以上であるとされるのである。
設定頻度より小さい場合には、S13〜16において、上記実施例における場合と同様に、電動モータ52の制御によりパーキングブレーキ50が作動させられる。ケーブル58の張力が、上記実施例における場合と同様に、車両を停止状態に保ち得る大きさとなるように電動モータ52が制御される。
設定頻度以上である場合には、S52において、パーキングスイッチ56がON状態にあるか否かが判定される。パーキングスイッチ56がON状態である場合には、たとえ、作動頻度が高くても、パーキングブレーキ50が作動させられる。運転者が車両から降車する可能性があるからである。パーキングスイッチ56がOFF状態である場合には、S53において、サービスブレーキECU12に停止時液圧制御指令が出力される。そして、S54において、停止時液圧制御が終了するのが待たれる。
【0030】
サービスブレーキECU12においては、図6のフローチャートで表される停止時液圧制御プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S61において、停止時液圧制御指令が受信されたか否かが判定される。受信されない場合にはS62以降が実行されることはないが、受信された場合には、S62以降において、ブレーキシリンダ66の液圧が車両を停止状態に保ち得る大きさに制御されるとともに、その大きさに保持される。
具体的には、S62,63において、前後加速度、シフト位置が取得され、これらに基づいてブレーキシリンダ66の目標液圧が決定され、実際のブレーキシリンダ液圧が目標液圧に近づくように、電磁液圧制御弁装置38が制御される。たいていの場合には、運転者によってブレーキペダル76が操作されることにより液圧ブレーキ30が作動させられ、それによって、車両が停止したと考えられる。したがって、S62〜65においては、目標液圧と実際の液圧との偏差に基づき、電磁液圧制御弁装置38が制御されるのが普通である。そして、実際の液圧が目標液圧に近づくと、保持弁67aおよび減圧弁67rが閉状態とされる。それによって、ブレーキペダル76の操作が解除されても、制動力を保持することが可能となる。保持弁67aおよび減圧弁67rが閉状態にされると、S66において、終了情報が電動パーキングブレーキECU14に出力される。
電動パーキングブレーキECU14において、停止時液圧制御が終了した(ブレーキシリンダ66の液圧が車両を停止状態に保ち得る大きさに制御されて、保持された)情報が受信された場合には、S16の判定がYESとなり、S17において、パーキングスイッチ56がON状態であることを表す情報が出力される。
メインコンピュータ18において、パネル制御プログラムの実行においてS3の判定がYESとなり、テレビ映像がディスプレイパネル100に表示される。
【0031】
ブレーキシリンダ66の液圧は、車両を停止状態に保ち得る大きさに制御されるのであるが、車両を停止状態に保ち得る液圧、すなわち、前述の移動力と向きが逆で大きさが同じ力に対応する液圧は、車両が停止した時点のブレーキシリンダ液圧66より小さいのが普通である。一方、保持弁67a,減圧弁67rは、ソレノイドのON・OFFにより開閉させられる電磁開閉弁とすることができるが、ソレノイドへの供給電流の連続的な制御により、前後の差圧を制御可能なリニア制御弁とすることもできる。リニア制御弁においては、ソレノイドへの供給電流に応じた電磁駆動力、リニア制御弁に加えられる液圧差に応じた差圧作用力、スプリングの弾性力が作用し、これらの力の関係により、開閉させられる。常開のリニア弁においては、電磁駆動力が差圧作用力とスプリングの弾性力との和より大きい場合に閉状態にある。そのため、減圧弁が常開のリニア弁である場合には、ブレーキシリンダ液圧が低くなり、リニア弁に加えられる差圧作用力が小さくなると、その分、供給電流が少なく済む。そのため、停止状態において、ブレーキシリンダ液圧を低くすれば、停止時のブレーキシリンダ液圧を保持する場合より、消費電力の低減を図ることができる。
それに対して、実際のブレーキシリンダ液圧が目標液圧に対して小さい場合に増圧制御が行われ、目標液圧以上である場合には、電磁制御弁装置38の制御が行われないようにすることもできる。
【0032】
このように、本実施例においては、電動モータ52の寿命が短くなることを回避し得、かつ、車両の停止時に、パーキングスイッチ56を操作しなくても、テレビ映像を表示することができる。本実施例においては、サービスブレーキECU12の図6のフローチャートで表される停止時液圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により停止時作用力制御部が構成され、パーキングブレーキECU14のS17を記憶する部分、実行する部分等によりパーキングブレーキ作用情報供給部が構成される。
【0033】
なお、S17は、停止時液圧制御プログラムにおいて実行されるようにすることができる。S65の実行後に、S17が実行されるようにするのである。その場合には、パーキングブレーキ作用情報供給部がサービスブレーキECU12のそれを実行する部分等によって構成されることになる。
また、電動モータ52の作動頻度が高いか否かに関係なく、車両の停止状態において、テレビスイッチ142がON状態であり、かつ、パーキングスイッチ56がOFF状態にある場合には、ブレーキシリンダ66の液圧が車両を停止状態に保ち得る大きさに制御されるようにして、パーキングブレーキ作用情報が出力されるようにすることもできる。
図7のフローチャートで表される停止時液圧制御プログラムにおいて、S71〜73において、車両が停止状態にあるか否か、テレビスイッチ142がON状態にあるか否か、パーキングスイッチ56がOFF状態にあるか否かが判定される。S71〜73すべての判定がYESである場合には、S74において、上記実施例におけるS62〜65の実行と同様に、ブレーキシリンダ66の液圧が、車両を停止状態に保ち得る大きさに制御され、S75において、パーキングスイッチ56がON状態であることを表す情報が出力される。
本実施例においては、電動モータ52の作動頻度が高くなることを良好に回避することができる。
【0034】
なお、上記各実施例においては、メインコンピュータ18において、パネル制御プログラムのS3において、パーキングスイッチ56がON状態にあるか否かが定されるようにされていたが、張力センサ54による検出値、あるいは、ブレーキシリンダ液圧センサ37による検出値に基づいて判定されるようにすることもできる。
図8のフローチャートで表されるパネル制御プログラムにおいて、S3′において、ケーブル58の張力、あるいは、ブレーキシリンダ66の液圧が、車両を停止状態に保ち得る大きさであるか否かが判定され、停止状態を保ち得る大きさである場合には、判定がYESとなり、S4において、ディスプレイパネル100にテレビ映像が表示される。
また、本実施例においては、停止時パーキングブレーキ制御プログラムのS17、停止時液圧制御プログラムのS75のステップが不要となり、電動パーキングブレーキECU14、サービスブレーキECU12からメインコンピュータ18にパーキングスイッチ56がON状態であることを表す情報を出力する必要がなくなる。
本実施例においては、メインコンピュータ18のパネル制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により停止保持時ディスプレイ制御部が構成される。
【0035】
なお、上記実施例においては、車両が停止状態にあり、テレビスイッチ142がON状態にある場合には、パーキングブレーキ50が作動させられるようにされていたが、車両の状態に基づき、テレビ映像を表示することが望ましくない場合には、パーキングブレーキ50が作動させられないようにすることができる。同様に、ブレーキ液圧が保持制御されないようにすることもできる。
図9のフローチャートで表される車両状態対応パーキングブレーキ制御プログラムは、電動パーキングブレーキECU14において、予め定められた設定時間毎に実行される。
車両が停止状態にあり、テレビスイッチ142がON状態にある場合には、S11,12の判定がYESとなり、S101において、パーキングスイッチ56がOFF状態にあるか否かが判定され、OFF状態である場合には、S102〜104において、車両の状態が検出される。
シフト位置がリバース位置であるか否かが判定される。リバース位置である場合には、車庫入れ、縦列駐車等が行われている途中であると考えられる。これらの場合には、停止、走行が繰り返し行われることがあるが、停止する毎にテレビ映像が表示されると、運転者の注意力が散漫となり、望ましくない。また、運転者もテレビ映像の表示を望んでいないと考えられる。さらに、停止する毎にパーキングブレーキ50が作動させられることは望ましくない。そのため、車両が停止状態にあり、テレビスイッチ142がON状態にあっても、シフト位置がリバース位置にある場合には、パーキングブレーキ50が作動させられることがないのであり、テレビ映像が表示されることはない。S105において、パーキングブレーキ50の作動が禁止される(禁止フラグがセットされる)のである。
また、狭い道の走行中に車両が停止した場合にも、テレビ映像が表示されると運転者の注意力が散漫となるため、望ましくない。車両の停止状態において、クリアランスウォーニングコンピュータ19において、クリアランスソナー190による検出距離が設定距離以下であるとされた場合には、狭い道を走行している途中であると考えることができる。S103の判定がYESとなって、S105において、パーキングブレーキ50の作動禁止フラグがセットされる。
さらに、アンチロック制御中、ブレーキアシスト制御中に(これらの制御において)、車両が停止した場合にもテレビ映像の表示は望ましくない。路面の摩擦係数が低い状態が続く可能性もあり、運転者の注意力が散漫となるからである。また、運転者も緊張しているためテレビ映像を見ることを望まないと考えられる。アンチロック制御やブレーキアシスト制御が、車両が停止したことによって、終了した場合には、そのことを表す情報をサービスブレーキECU12から取得することができる。さらに、停止前において、アンチロック制御中であったこと、ブレーキアシスト制御中であったこと等の情報が得られる場合には、それら情報に基づいてアンチロック制御において停止したこと、ブレーキアシスト制御において停止したことを検出することが可能である。いずれにしても、アンチロック制御、ブレーキアシスト制御において車両が停止した場合には、S104の判定がYESとなって、S105において、パーキングブレーキ50の作動が禁止される。
【0036】
それに対して、S102〜104のすべての判定がNOである場合には、パーキングブレーキ50の作動が許可されるのであるが、現時点において、禁止されている場合には、走行速度が設定速度Vth以上になった後に許可される。
走行速度が設定速度Vthより小さい場合には、路面の摩擦係数が小さい可能性、あるいは、狭い道を走行している可能性等があり、運転者の緊張が維持されることが望ましいからである。設定速度Vthは、例えば、30km/h以上の大きさとすることができ、通常走行状態であるとみなし得る大きさとすることができる。
S106において禁止フラグがセット状態にあるか否かが判定される。禁止フラグがセットされている場合には、S107において走行速度が設定速度Vth以上であるか否かが判定される。設定速度Vthより小さい場合には、S11,12,101〜104,106,107が繰り返し実行され、禁止フラグはセット状態のままである。設定速度Vth以上になった場合には、S108において禁止フラグがリセットされ、S109においてパーキングブレーキ50が作動させられ、パーキングスイッチ56がON状態であることを表す情報が出力される。
それに対して、禁止フラグがセット状態にない場合には、S109においてパーキングブレーキ50が作動させられる。また、パーキングスイッチ56がON状態にある場合には、S110において、パーキングブレーキ50が作動させられる。この場合には、パーキングブレーキ50が作用状態にあることを表す情報が出力されることがない。
【0037】
このように、本実施例においてはテレビ映像を表示させることが望ましくない場合には、車両が停止状態にあり、テレビスイッチ142がON操作された状態であっても、パーキングブレーキ50の作動が禁止されるため、安全運転をより一層促進することができる。
以上のように、本実施例においては、パーキングブレーキECU14の図9のフローチャートで表される車両状態対応パーキングブレーキ制御プログラムのS102〜105、109を記憶する部分、実行する部分等により、車両状態対応パーキングブレーキ作動部が構成され、S102〜105を記憶する部分等によりパーキングブレーキ非作動部が構成される。
【0038】
なお、上記実施例は、パーキングブレーキ50の作動ではなく、ブレーキシリンダ66の液圧制御に適用することができる。
また、本プログラムはメインコンピュータ18において実行されるようにすることもできる。その場合には、S105において、パーキングブレーキ禁止指令がパーキングブレーキECU14に出力され、S108において、パーキングブレーキ許可指令が出力される。この場合には、S101,109,110のステップは不要となる。
さらに、クリアランスソナー190およびクリアランスウォーニングコンピュータ19の代わりに、あるいは、これらに加えて、ワイドビューフロントモニタカメラ、サイドモニタカメラを設けることができる。これらから得られた画像に基づいて物体を検出すれば、狭い道を走行しているか否かを検出することができる。
【0039】
また、上記各実施例においては、パーキングブレーキ50の非作用状態においては、テレビスイッチ142がON操作されても、テレビ映像がディスプレイパネル100に表示されない場合について説明したが、それに限らない。安全上、他の種類の画像データのディスプレイパネル100への表示や、スイッチ操作による設定、変更等がパーキングブレーキ50の非作用状態において禁止される場合があり、それらの場合に、本発明を適用することができる。その結果、パーキングスイッチ56を操作しなくても、車両の停止状態において、スイッチ装置108の入力に応じてディスプレイパネル100の画面が切り換えられるようにしたり、スイッチ入力が処理されるようにしたりすることができる。
例えば、電話を利用する場合の電話番号の入力等が、パーキングブレーキ50の非作用状態において禁止されている場合があり、その場合に、本発明を適用することができる。本車両においては、通信スイッチ146がON操作され、電話スイッチ180がON操作されても、車両の停止状態においてパーキングブレーキ50が作用状態にあることの条件が満たされない場合には、ディスプレイパネル100に電話番号を入力可能な画像が表示されなかったり、電話番号を入力可能な画像が表示されていても、電話番号の入力(電話番号入力部181,ワンタッチダイヤルスイッチ182からの入力)や、オフフックスイッチ184の操作(操作に応じた発信)等ができなかったりする。それに対して、本実施例においては、車両の停止状態において、電話スイッチ180がON状態にある場合には、パーキングブレーキ50が自動で作動させられる。その結果、ディスプレイパネル100が電話番号を入力可能な画面に切り換えられたり、電話番号を入力可能な画面において電話番号の入力や、オフフックスイッチ184の操作に伴う発信が可能な状態となる。したがって、運転者は、パーキングスイッチ56を操作しなくても、車両が停止状態にある場合に、電話の発信に関する入力を行うことが可能となる。
電話情報管理に関する入力が禁止されている場合にも同様に適用することができる。
【0040】
また、ディスプレイパネル100の画質調整がパーキングブレーキ50の非作用状態において禁止されている場合もあり、その場合に本発明を適用することができる。本実施例においては、車両の停止状態において、画質調整スイッチ152がON状態にある場合には、パーキングブレーキ50が自動で作用状態とされる。その結果、パーキングスイッチ56が操作されなくても、ディスプレイパネル100に画質調整可能な画像が表示され、画質調整部178による入力が可能となる。
さらに、ナビゲーションにおいて目的地の検索、表示方法の設定等がパーキングブレーキ50の非作用状態において禁止されている場合もある。本実施例においては、目的地設定スイッチ145のON状態において、車両が停止状態にある場合に、パーキングブレーキ50が自動で作動させられる。その結果、運転者は、パーキングスイッチ56を操作しなくても、目的地検索部161,目的地設定部162を操作して、目的地を検索・設定することが可能となる。メニュースイッチ158のON状態において、車両が停止状態にある場合にもパーキングブレーキ50が自動で作用状態とされる。それによって、運転者は、パーキングスイッチ56を操作しなくても、ナビ表示設定部164の操作が可能となる。
ナビ情報管理入力部166の操作が禁止されている場合にも同様に適用することができる。
【0041】
また、メンテナンス情報の表示がパーキングブレーキ50の非作用状態において禁止されている場合もある。その場合に、本発明を適用すれば、情報スイッチ150のON状態で、車両が停止状態にある場合には、パーキングブレーキ50が自動で作動させられる。その結果、運転者がパーキングスイッチ56を操作しなくても、ディスプレイパネル100にメンテナンス情報を選択可能な画像が表示され、情報選択スイッチ168、メンテナンス情報選択スイッチ169の操作により、表示される情報を選択することが可能となる。メンテナンス情報入力部170の操作が禁止されている場合にも同様に適用することができる。
さらに、FM多重放送において、文字情報の送りがパーキングブレーキ50の非作用状態において禁止されている場合、DVDの早送り/早戻しの指示が禁止されている場合、オーディオ関係において、スピーカ110の選択、音質、音量、バランスの調整等が禁止されている場合もあり、これらの場合においても、本発明が適用されれば、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0042】
なお、上記実施例においては、メインコンピュータ18に、車輪速情報、パーキングブレーキ作用情報等がCAN10を介して供給されるようにされていたが、車輪速センサ35,パーキングスイッチ56、ブレーキスイッチ34等が直接接続されるようにすることもできる。他のECUについても同様である。
また、上記実施例においては、パネル制御プログラムがメインコンピュータ18において実行され、停止時パーキングブレーキ制御プログラムがPKBECU14において行われ、停止時液圧制御プログラムがVSCECU12において行われる場合について説明したが、それに限らない。各プログラムは、いずれのECUにおいて実行されても、上記実施例においては記載されていないECUにおいて実行されても差し支えない。
さらに、ディスプレイは、液晶パネルを含むものであったが、それに限らない。画像は、電気的な制御により、予め定められたスクリーン(表示部)として機能し得るものの上に作成することが可能である。
また、ディスプレイの作動とは関係なく、車両の停止状態において、パーキングブレーキ50が作用状態にある場合にのみ許可される「作動」の指示がされている場合に、車両の停止状態において、パーキングブレーキ50が自動で作用状態とされるようにすれば、運転者がパーキングスイッチ56を操作しなくても、「作動」が許可されることになるのであり、このような作動の許可にも、本発明を適用することができる。
その他、いちいち、記載しないが、本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキ制御装置およびディスプレイ制御装置を備えた車両の制御系の一部を示す回路図である。
【図2】上記ブレーキ制御装置全体を示す図である。
【図3】上記ディスプレイ制御装置のメインコンピュータの記憶部に記憶されたパネル制御プログラムを表すフローチャートである。
【図4】上記ブレーキ制御装置のパーキングブレーキECUの記憶部に記憶された停止時パーキングブレーキ制御プログラムを表すフローチャートである。
【図5】上記パーキングブレーキECUの記憶部に記憶された別の停止時パーキングブレーキ制御プログラムを表すフローチャートである。
【図6】上記ブレーキ制御装置のサービスブレーキECUの記憶部に記憶された停止時液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【図7】上記サービスブレーキECUの記憶部に記憶された別の停止時液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【図8】上記ディスプレイ制御装置の記憶部に記憶された別のパネル制御プログラムを表すフローチャートである。
【図9】上記パーキングブレーキECUの記憶部に記憶された別の停止状態対応パーキングブレーキ制御プログラムを表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
12:VSCECU 14:EKBECU 18:メインコンピュータ 32:液圧制御アクチュエータ 34:サービスブレーキ 35:車輪速センサ 36:前後加速度センサ 37:ブレーキシリンダ液圧センサ 50:パーキングブレーキ 52:電動モータ 54;張力センサ 56:パーキングスイッチ 58:ケーブル 100:ディスプレイパネル 108:スイッチ装置 118:テレビチューナ 116:テレビアンテナ 142:テレビスイッチ 144:ナビスイッチ 145:目的地設定スイッチ 146:通信スイッチ146 150:情報スイッチ 152:画質調整スイッチ 190:クリアランスソナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられて、その車両の車輪の回転を抑制するブレーキと、そのブレーキを作動させる電動モータと、前記ブレーキの作用力を、前記電動モータに電流が供給されなくても保持する保持装置とを含むパーキングブレーキ機構と、
前記車両に設けられ、画像を表示する表示部とその表示部を制御可能な表示部制御部とを備えたディスプレイの作動を指示するディスプレイ指示装置と、
前記パーキングブレーキ機構の作用状態を検出するパーキングブレーキ作用検出部と、
前記車両の停止状態において、前記パーキングブレーキ作用検出部によって前記パーキングブレーキ機構が作用状態にあることが検出され、かつ、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動を指示する状態にある場合に、その指示に応じて前記ディスプレイを作動させるディスプレイ制御部と、
前記車両が停止状態にあり、かつ、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動を指示する状態にある場合に、前記電動モータを作動させることにより、前記パーキングブレーキ機構を自動で作用状態とする停止時パーキングブレーキ作動部と
を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記停止時パーキングブレーキ作動部が、(a)前記車両の状態を検出する車両状態検出装置と、(b)その車両状態検出装置によって検出された車両状態が、前記ディスプレイ指示装置による指示通りに前記ディスプレイを作動させることが望ましい状態である場合に、前記パーキングブレーキ機構を作動させ、前記指示通りに前記ディスプレイを作動させることが望ましくない状態である場合に、前記パーキングブレーキ機構を作動させない車両状態対応パーキングブレーキ作動部とを含む請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記車両状態対応パーキングブレーキ作動部が、(a)前記車両のシフト操作部材の位置がリバースである場合、(b)前記車両とそれの近傍にある物体との間の距離が設定値以下である場合、(c)緊急停止した場合のうちの1つ以上が満たされた場合に、前記パーキングブレーキ機構を作動させないパーキングブレーキ非作動部を含む請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記ディスプレイ指示装置が、前記ディスプレイの表示部にテレビ放送を受信して得られたテレビ映像データを表示すべきことを指示するテレビスイッチを含み、前記ディスプレイ制御部が、前記車両の停止状態において、前記テレビスイッチが前記テレビ映像データの表示指示状態にあり、かつ、前記パーキングブレーキ機構が作用状態にある場合に、前記ディスプレイの表示部を制御して、前記表示部に前記テレビ映像データを表示させるテレビ映像表示部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
当該ブレーキ制御装置が、(i)(a)前記車両に設けられ、その車両の車輪の回転を抑制する摩擦ブレーキと、(b)電力の供給により、前記摩擦ブレーキの作用力を制御可能なブレーキ作用力制御装置とを含むサービスブレーキ機構と、(ii)前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動指示状態あり、かつ、前記電動モータの作動頻度が設定頻度以上である場合に、前記ブレーキ作用力制御装置への電力の供給の制御により、前記サービスブレーキ機構のブレーキ作用力を、前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御する停止時作用力制御部と、(iii)その停止時作用力制御部によって前記ブレーキ作用力が制御されている場合に、前記ディスプレイ制御部に、前記パーキングブレーキ作用検出部が前記パーキングブレーキ機構が作用状態にあることを検出した場合と同じ情報を供給するパーキングブレーキ作用情報供給部とを含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
当該ブレーキ制御装置が、(i)(a)前記車両の車輪に設けられ、その車輪の回転を抑制する摩擦ブレーキと、(b)電力の供給により、前記摩擦ブレーキの作用力を制御可能なブレーキ作用力制御装置とを含むサービスブレーキ機構と、(ii)前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動指示状態にあり、かつ、前記電動モータの作動頻度が設定頻度以上である場合に、前記ブレーキ作用力制御装置への電力の供給の制御により、前記サービスブレーキ機構のブレーキ作用力を、前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御する停止時作用力制御部とを含み、前記ディスプレイ制御部が、前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置によって前記ディスプレイの作動が指示されており、かつ、前記ブレーキ作用力が前記停止時作用力制御部によって前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持制御されている場合に、前記ディスプレイ指示装置の指示に従って前記ディスプレイを作動させるブレーキ保持時ディスプレイ作動部を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
(a)車両の車輪に設けられ、その車輪の回転を抑制するパーキングブレーキとサービスブレーキとの少なくとも一方と、(b)その少なくとも一方の作用力を制御可能な作用力制御装置とを含むブレーキ機構を備えた車両に設けられ、画像を表示する表示部と、その表示部を制御可能な表示部制御部とを含むディスプレイを制御するディスプレイ制御装置であって、
前記ディスプレイの作動を指示するディスプレイ指示装置と、
前記車両の停止状態において、前記ディスプレイ指示装置が前記ディスプレイの作動指示状態にあり、かつ、前記ブレーキ機構の少なくとも一方のブレーキの作用力が、前記車両を停止状態に保ち得る大きさに保持されている場合に、前記指示に従って前記ディスプレイを作動させる停止保持時ディスプレイ制御部と
を含むことを特徴とするディスプレイ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−114692(P2008−114692A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298977(P2006−298977)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】