説明

ブレーキ制御装置

【課題】 ブレーキブースタの負圧異常の判断精度が向上した異常判断手段を備えるブレーキ制御装置を提供すること。
【解決手段】 ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以上であるか否かが判断され(S11)、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さいと判断された場合、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さいか否かが判断される(S15)。ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さくない場合(吸気管負圧Pa以上の場合)、ペダル踏み込み状態が両踏状態であると判断される。ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さい場合、負圧異常であると判断される。これによれば負圧異常を精度よく判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキ制御装置に関する。本発明は特に、ブレーキブースタに負圧異常が発生しているか否かを判断する異常判断手段を備えるブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のブレーキブースタは、エンジンの燃焼室に連通する吸気管のうち、エンジンの駆動状態に応じて開閉制御されるスロットル弁よりも下流の部位に接続される負圧室を持つ。負圧室と吸気管との間の連通路には、例えばチェック弁が介装されており、負圧室内の負圧が低下したときに、チェック弁が開いて吸気管内の負圧が負圧室に供給される。これにより負圧室内の負圧が所定の低圧に保たれる。そして、ブレーキペダルが踏み込まれたときに、負圧室内の負圧を動力源とした助勢力が発生する。この助勢力により大きな制動力が発生される。
【0003】
ブレーキブースタの負圧室の負圧を制御する様々な負圧制御装置が開発されている。特許文献1は、ブレーキペダルが踏まれたときに、負圧室に通常よりも大きな負圧が必要であるか否かを判断する判断手段と、判断手段により大きな負圧が必要であると判断されたときには、負圧目標値を大きな値に設定する設定手段と、を備える負圧制御装置を開示する。この負圧制御装置は、ブレーキ失陥状態またはブレーキペダルとアクセルペダルが共に踏まれている両踏状態である場合に、ブレーキブースタの負圧室の負圧目標値を大きく設定するとともに、設定された目標値に基づいて負圧室内の負圧を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−342841号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1に記載の負圧制御装置は、ブレーキブースタに接続されたマスタシリンダの圧力(マスタシリンダ圧)に対応した車両減速度が発生していないときに、ブレーキブースタの負圧室または負圧室に関係する部分に例えばリークなどの異常が生じている「負圧異常」と判断する。さらに、特許文献1に記載の負圧制御装置は、ブレーキブースタに負圧異常が発生していないと判断した場合、ブレーキスイッチから入力されるブレーキペダルの踏込信号および、アクセルペダル接点の開閉状態に基づいて、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み込み状態(ペダル踏み込み状態)が、両ペダルが共に踏まれている両踏状態であるか否かを判断する。
【0006】
ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合、アクセルペダルの踏み込みによって生じる車両の加速と、ブレーキペダルの踏み込みによって生じる車両の減速とが打ち消しあう。その結果、ブレーキペダルの踏込量に応じた車両減速度が発生しない。ブレーキペダルの踏込量はマスタシリンダ圧の大きさを表すので、ペダル踏み込み状態が両踏状態であるときは、マスタシリンダ圧に対応した車両減速度が得られない。
【0007】
特許文献1に記載の負圧制御装置は、マスタシリンダ圧に応じた車両減速度が得られないときに負圧異常が発生していると判断するが、上述のようにペダル踏み込み状態が両踏状態であるときもマスタシリンダ圧に応じた車両減速度は得られないので、負圧異常と判断した状況の中に、実際には負圧異常が発生しておらず、単にペダル踏み込み状態が両踏状態である状況が含まれる。したがって、負圧異常が発生している状況であるのか、ペダル踏み込み状態が両踏状態である状況であるのかは、正確にはわからない。
【0008】
本発明は、ブレーキブースタの負圧異常の判断精度が向上した異常判断手段を備えるブレーキ制御装置を提供することを、その目的とする。
【0009】
本発明は、エンジンの燃焼室に連通する吸気管のうち、スロットル弁よりも下流の部位に接続される負圧室であって、その室内の負圧が低下したときに前記吸気管内の負圧が供給される負圧室を有するブレーキブースタの負圧異常を判断する負圧異常判断手段を備えるブレーキ制御装置において、前記負圧異常判断手段は、前記吸気管内の負圧を取得する吸気管負圧取得部と、前記負圧室内の負圧が、車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧であるか否かを判断する第1異常判断部と、前記第1異常判断部により、前記負圧室内の負圧が、車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧ではないと判断された場合に、前記負圧室内の負圧が前記吸気管負圧取得部により取得された前記吸気管内の負圧よりも小さいか否かを判断する第2異常判断部と、を備え、前記第2異常判断部により前記負圧室内の負圧が前記吸気管内の負圧よりも小さくないと判断された場合に、前記ブレーキブースタに負圧異常が発生していないと判断するブレーキ制御装置を提供する。
【0010】
本発明のブレーキ制御装置によれば、負圧異常判断手段の第1異常判断部により、ブレーキブースタの負圧室内の負圧が、車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧であるか否かが判断される。この判断は、上記特許文献1に示されるように、ブレーキペダルの踏力に応じた制動力が発生しているか否か、あるいは、ブレーキブースタの負圧室内の負圧が、ブレーキを正常に作動させるために負圧室に確保されているべき負圧である負圧閾値以上であるか否か、などにより行うことができる。そして、負圧室内の負圧が車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧ではないと判断された場合、負圧異常判断手段の第2異常判断部により、負圧室内の負圧が吸気管内の負圧よりも小さいか否かが判断される。
【0011】
ブレーキブースタに負圧異常が現実に発生している場合は、第1異常判断部により、ブレーキブースタの負圧室内の負圧が車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧に達していないと判断される。また、ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合は、アクセルペダルの踏み込みにより制動力が弱められるので、負圧室内の負圧では車両の制動に必要な制動力を得ることができない可能性がある。すなわち、第1異常判断部により負圧室内の負圧が車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧ではないと判断された場合は、現実に負圧異常が発生している場合であるか、あるいは、負圧異常は発生していないがペダル踏み込み状態が両踏状態であるなど特殊な状態である場合である。
【0012】
また、ブレーキブースタに負圧異常が現実に発生している場合、例えば負圧室がリークしている場合は、負圧室が大気圧に近い圧力であると考えられる。一方、吸気管内の負圧は所定の低圧に保たれている。したがって、負圧異常である場合、負圧室内の負圧が吸気管内の負圧よりも小さい可能性が高い。これに対し、ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合は、実際には負圧異常が発生していないため、負圧室内の負圧は所定の低圧に保たれる。一方、吸気管内の負圧は、アクセルペダルの踏み込みによりスロットル弁が開くことにより、低下する。したがって、両踏状態である場合、負圧室内の負圧が吸気管内の負圧よりも大きくなることがある。
【0013】
以上のことから、第2異常判断部にて負圧室内の負圧と吸気管内の負圧との大小関係が比較されることにより、その比較結果に基づいて、現実に負圧異常が発生しているのか、単にペダル踏み込み状態が両踏状態であって負圧異常が発生していないのかを判断することができる。
【0014】
すなわち、異常判断手段は、第2異常判断部によって、負圧室内の負圧が吸気管内の負圧よりも小さくないと判断された場合、すなわち負圧室内の負圧が吸気管内の負圧以上であると判断された場合に、負圧異常が発生していないと、例えばペダル踏み込み状態が両踏状態であると、判断する。また、異常判断手段は、第2異常判断部によって、負圧室内の負圧が吸気管内の負圧よりも小さいと判断された場合に、負圧異常が発生していると判断する。このようにして負圧異常を判断することにより、実際に負圧異常が発生しているのか、それとも負圧異常は発生しておらず、単にペダル踏み込み状態が両踏状態であるのかを、精度良く判断することができる。
【0015】
本発明において、「スロットル弁よりも下流側」とは、吸気管のうちエンジンの燃焼室に近い側を意味する。また、負圧室に供給される「吸気管内の負圧」は、吸気管のうち、スロットル弁が介装されている部分よりも下流側(エンジンの燃焼室側)の部分における負圧である。
【0016】
前記吸気管負圧取得手段は、予め求められたエンジントルクと前記吸気管内の負圧との関係を表すエンジントルク−吸気管負圧特性線から、現在のエンジントルクに対応する前記吸気管内の負圧を取得するものであるのがよい。吸気管内の負圧は、吸気管内に圧力センサを取り付け、この圧力センサの検出信号に基づいて取得することもできるが、吸気管内の負圧とエンジントルクとの相関関係に基づいて、吸気管内の負圧を取得することもできる。エンジントルクが大きい場合には吸気管内のスロットル弁の開度が大きくなるため、吸気管内の負圧は低下する。一方、エンジントルクが小さい場合はスロットル弁の開度が小さくなるため吸気管内の負圧は増加する。したがって、エンジントルクと吸気管内の負圧との関係は、エンジントルク−吸気管負圧特性線として、予め求めておくことができる。このように予め求められたエンジントルク−吸気管負圧特性線に基づいて、現在のエンジントルクに対応する吸気管内の負圧を取得することができる。これによれば、圧力センサを用いずとも、吸気管内の負圧を取得することができるので、ブレーキ制御装置を安価に構成できる。
【0017】
また、前記第1異常判断部は、前記負圧室内の負圧が車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧であるか否かを判断するために、前記負圧室内の負圧が、前記負圧室に確保されているべき負圧として予め定められる負圧閾値以上であるか否かを判断するものであるのがよい。これによれば、負圧室内の負圧が負圧閾値以上である場合に、負圧室内の負圧が車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧であると判断され、負圧室内の負圧が負圧閾値よりも小さい場合に、負圧室内の負圧が車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧ではないと判断される。
【0018】
従来では、ブレーキ踏力に応じた制動力(減速度)が発生しているか否かを判断することによって、負圧室内の負圧が所定の制動力を得るに足りる負圧であるか否かを判断していたので、ドライバーがブレーキペダルを踏んだときにしか上記の判断がなされない。これに対し、負圧室内の負圧と負圧閾値とを比較することにより、ドライバーがブレーキペダルを踏み込んでいない場合においても、上記の判断を行うことができる。
【0019】
上記負圧閾値は、ブレーキを正常に作動させるために負圧室内に確保されているべき負圧として、予め設計者などによって定められているとよい。
【0020】
また、前記負圧異常判断手段は、前記第1異常判断部により前記負圧室内の負圧が前記負圧閾値よりも小さいと判断された場合に、現在のエンジントルクが予め定められたトルク閾値よりも大きいか否かを判断するトルク判断部を備えるのがよい。そして、前記第2異常判断部は、前記トルク判断部により現在のエンジントルクが前記トルク閾値よりも大きいと判断された場合に、前記負圧室内の負圧が前記吸気管負圧取得手段により取得された前記吸気管内の負圧よりも小さいか否かを判断するのがよい。この場合、エンジントルク−吸気管負圧特性線から得られる複数の吸気管負圧に対応付けられる複数のエンジントルクのうち、負圧閾値と等しい負圧に対応するエンジントルクがトルク閾値に設定されているとよい。
【0021】
エンジントルクがトルク閾値以下である場合、エンジントルク−吸気管負圧特性線から求められるそのエンジントルクに対応する吸気管内の負圧は負圧閾値以上である。また、トルク判断部によりエンジントルクがトルク閾値よりも大きいか否かを判断する場合は、第1異常判断部により既に負圧室内の負圧が負圧閾値よりも小さいと判断されている場合である。これらのことから、エンジントルクがトルク閾値以下の場合は、負圧室内の負圧は吸気管内の負圧よりも小さいことがわかる。つまり、エンジントルクがトルク閾値以下であることをもって、第2異常判断部により負圧室内の負圧が吸気管内の負圧よりも小さいことが判断される。よって、この場合には、第2異常判断部により余分な判断を行うことなく、負圧異常であると判断すれば良い。
【0022】
一方、エンジントルクがトルク閾値よりも大きい場合、エンジントルク−吸気管負圧特性線から求められるそのエンジントルクに対応する吸気管内の負圧は負圧閾値よりも小さい。また、負圧室内の負圧も負圧閾値よりも小さい。したがって、この場合には、第2異常判断部による判断が必要とされる。このように、エンジントルクとトルク閾値との大小関係に基づいて、第2異常判断部による判断を行うか否かを決めておくことにより、第2異常判断部による余分な判断を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係るブレーキ制御装置の概略図である。
【図2】ブレーキECUが実行する加圧制御ルーチンの一例を示すプログラムフローチャートである。
【図3】エンジントルク−吸気管負圧特性線を示す図である。
【図4】本実施形態に示した加圧制御ルーチンを実行したときに、負圧異常と判断されて負圧異常処置が行われる領域(負圧異常領域)、両踏状態と判断されて両踏処置が行われる領域(両踏領域)および正常と判断される領域(正常領域)を、それぞれ表す図である。
【図5】エンジントルク−吸気管負圧特性線の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るブレーキ制御装置の概略図である。本実施形態のブレーキ制御装置は、車両を制動するための機械的構成および、制動力を制御するための構成を含む。
【0025】
図1に示すように、このブレーキ制御装置1は、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル10と、ブレーキブースタ(バキュームブースタ)11と、マスタシリンダ12と、ホイールシリンダ13と、アクチュエータ14と、電子制御ユニット(以下、ブレーキECUと称する)15とを備える。このブレーキ制御装置1においては、ブレーキペダル10の踏力(ブレーキペダル踏力)がブレーキブースタ11により倍力され、倍力されたブレーキペダル踏力に応じた液圧が液圧源であるマスタシリンダ12にて発生する。この液圧は、各車輪に設けられたホイールシリンダ13に供給される。ホイールシリンダ13が液圧により作動することで、車輪が制動する。また、アクチュエータ14は、ホイールシリンダ13とマスタシリンダ12との間に設けられ、ホイールシリンダ13の液圧を制御する。アクチュエータ14はブレーキECU15により制御される。
【0026】
ブレーキブースタ11はその内部に負圧室111および変圧室112を備え、負圧室111側がエンジン30の吸気管31に連通路40を介して連通する。吸気管31はエンジン30の燃焼室32に連通する。吸気管31にはスロットル弁33が配設されている。連通路40は、吸気管31のうち、スロットル弁33が配設されている位置の下流側(燃焼室32に近い側)に連通する。吸気管31の出口は大気に開口する。
【0027】
連通路40にはチェック弁41が設けられている。チェック弁41は、ブレーキブースタ11の負圧室111側から吸気管31側への空気の流れのみを許容する一方向弁である。したがって、吸気管31のスロットル弁33よりも下流側の負圧(吸気管負圧)が負圧室111内の負圧(ブースタ負圧)よりも大きい場合には、チェック弁41が開弁して吸気管負圧が負圧室111に供給される。一方、吸気管負圧がブースタ負圧よりも小さい場合には、チェック弁41が閉弁してブースタ負圧が吸気管31側に逃げることが防止される。なお、チェック弁41を開弁させるために所定の開弁圧が必要である場合には、チェック弁41の開閉動作にこの開弁圧が考慮される。また、本明細書において、「負圧」は、大気圧よりも低い圧力であって、大気圧との差圧を表す。したがって、「負圧が大きい」とは、大気圧との差が大きいこと、つまり絶対的な圧力としては低圧であることを意味する。
【0028】
スロットル弁33はモータ34に接続されており、モータ34が駆動することにより、スロットル弁33が開閉される。吸気管31には、スロットル弁33の開度を検出するスロットル弁開度センサ35が取り付けられている。
【0029】
図に示すように、ブレーキブースタ11にマスタシリンダ12およびブレーキペダル10が連結されている。ブレーキペダル10が踏まれていない場合、ブレーキブースタ11内の負圧室111と変圧室112が連通される。このため負圧室111と変圧室112とは同一の圧力(負圧)に保たれる。ブレーキペダル10が踏まれると、負圧室111と変圧室112との連通が遮断されるとともに、変圧室112が大気開放される。変圧室112と負圧室111との圧力差により、ブレーキペダル踏力が助勢される。
【0030】
マスタシリンダ12内には液室が形成される。この液室には、それぞれ配管42,43を介してアクチュエータ14が連通する。アクチュエータ14には、各車輪に対応して設けられたホイールシリンダ13が連通する。
【0031】
ブレーキECU15は、ROM、RAMおよびCPUを備えたマイクロコンピュータであり、ROM内に記憶されたプログラムを実行することにより、制動力を制御する。このブレーキECU15には、アクチュエータ14、マスタ圧センサ50、ブースタ負圧センサ51、ブレーキ踏力センサ52、アイドルスイッチ53、ブレーキ警告灯54、およびスリップインジケータ55が接続される。
【0032】
マスタ圧センサ50は、マスタシリンダ12に接続された配管42に設けられ、マスタシリンダ12に形成される液室内の圧力(マスタシリンダ圧)Pmを検出する。ブースタ負圧センサ51はブレーキブースタ11の負圧室111内に設けられ、ブースタ負圧Pbを検出する。ブレーキ踏力センサ52はブレーキペダル10に取り付けられており、ブレーキペダル踏力を検出する。アイドルスイッチ53はアクセルペダル37に取り付けられており、アクセルペダル37が踏まれていない場合にON信号を、踏まれている場合にOFF信号を、アイドル信号idleとして出力する。ブレーキ警告灯54およびスリップインジケータ55は、車室内のドライバーが視認できる位置に取り付けられる。ブレーキ警告灯54は、ブレーキ制御装置1に異常が生じたときに点灯して、その異常をドライバーに報知する。スリップインジケータ55は、車両の挙動が不安定になるときに点灯して、その旨をドライバーに報知する。
【0033】
また、ブレーキECU15は、エンジンECU38と電気的に接続されている。エンジンECU38も、ROM、RAMおよびCPUを備えたマイクロコンピュータであり、ROM内に記憶されたプログラムを実行することにより、エンジン系統を制御する。エンジンECU38には、モータ34、スロットル弁開度センサ35、エンジン回転数センサ39が接続される。エンジン回転数センサ39は、エンジンの回転数を検出する。
【0034】
上記構成において、車両の走行中にドライバーがブレーキペダル10を踏んだ場合、ブレーキペダル踏力がブレーキブースタ11により倍力され、倍力された力によりマスタシリンダ圧Pmが高められる。マスタシリンダ圧Pmはアクチュエータ14を介して各ホイールシリンダ13に供給される。これにより各車輪に制動力が加えられて、各車輪が制動する。このときブレーキECU15は、ブレーキペダル踏力に応じた制動力が発生するように、アクチュエータ14を制御する。
【0035】
ブレーキブースタ11の負圧室111または負圧室111に関係する部分の異常(負圧異常)が生じている場合、例えば、負圧室111がリークしている場合、ブレーキペダル踏力に応じた制動力が発生しない。また、ドライバーがブレーキペダル10とアクセルペダル37を共に踏んでいる状態、すなわちペダル踏み込み状態が両踏状態である場合も、ブレーキペダル踏力に応じた制動力が発生しない。ブレーキブースタ11に負圧異常が生じている場合でも、ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合でも、ブレーキECU15は、制動力を高めるためホイールシリンダ13に供給される液圧を加圧する加圧制御を実行する。
【0036】
図2は、ブレーキECU15が実行する加圧制御ルーチンの一例を示すプログラムフローチャートである。この制御ルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。加圧制御ルーチンが起動すると、ブレーキECUは、まず図のステップ(以下、ステップ番号をSと略記する)10にて、ブースタ負圧センサ51からブースタ負圧Pbを取得する。続くS11にて、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以上であるか(絶対圧として等しいかもしくは低いか)否かを判断する。負圧閾値P0は、ブレーキを正常に作動させるために負圧室111に確保されているべき負圧として予め定められた値である。ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以上であれば、ブースタ負圧Pbが車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧であると判断される。反対に、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さければブースタ負圧Pbが車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧ではないと判断される。このS11の処理が、本発明の第1異常判断部に相当する。
【0037】
ブレーキブースタ11に負圧異常が生じている場合、ブースタ負圧Pbは低下する(大気圧に近づく)。したがって、この場合、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さくなってS11の判断結果がNoとなる。また、ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合、ブレーキペダル10の踏み込みにより負圧室111内の負圧が消費されるため、ブースタ負圧Pbが低下する。また、アクセルペダル37の踏み込みによりエンジン回転数が増加し、エンジン30により発生されるエンジントルクが増加する。エンジントルクの増加に伴いスロットル弁33の開度が大きくなる。スロットル弁33の開度が大きくなると、大気からより多くの空気が吸気管31に流入するため、吸気管負圧Paが低下する(大気に近づく)。吸気管負圧Paが低下した場合、吸気管31に連通した負圧室111に十分な負圧が供給されない可能性がある。したがって、ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合も、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さくなって、S11の判断結果がNoとなる可能性がある。すなわち、S11の判断結果がNoとなる場合は、ブレーキブースタ11に負圧異常が発生している場合であるか、あるいはペダル踏み込み状態が両踏状態などの特殊な状態である場合であるのかのいずれかである。一方、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以上であるときには、負圧室111に十分な負圧が確保されている。この場合は、ブレーキブースタ11に負圧異常が発生しておらず、且つ両踏状態でもない可能性が高い。
【0038】
S11にて、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以上である(S11:Yes)と判断した場合、ブレーキECU15は、ホイールシリンダ13に供給される液圧を加圧する必要が無いと判断し、このルーチンを一旦終了する。一方、S11にて、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さい(S11:No)と判断した場合、ブレーキECU15はS12に進む。
【0039】
S12では、ブレーキECU15は、アイドルスイッチ53から入力されるアイドル信号idleがON信号であるか否か、すなわちアクセルペダル37が踏まれていないか否かを判断する。アクセルペダル37が踏まれていない場合(S12:Yes)は、S16に進む。一方、アクセルペダル37が踏まれている場合(S12:No)は、S13に進む。
【0040】
S13では、ブレーキECU15は、現在のエンジントルクTeがトルク閾値Te*よりも大きいか否かを判断する。現在のエンジントルクTeは、エンジン回転数センサ39により検出されたエンジン回転数から求めることができる。また、トルク閾値Te*は、エンジントルクと吸気管負圧Paとの関係を表すエンジントルク−吸気管負圧特性線から求められる。
【0041】
図3は、エンジントルク−吸気管負圧特性線を示す図である。吸気管31にはスロットル弁33が設けられているので、スロットル弁33の開度が大きければ大きいほど大気から流入する空気が多くなる。このため、スロットル弁33の開度が大きければ大きいほど吸気管負圧が小さくなる。また、エンジントルクが大きい場合は燃焼室32内に大量の空気を送り込むためにスロットル弁33の開度が大きくされ、エンジントルクが小さい場合は燃焼室32内に少量の空気を送り込むためにスロットル弁33の開度が小さくされる。これらのことから、吸気管負圧の大きさとエンジントルクの大きさは、相関関係を有することがわかる。例えば、図3に示すように、エンジントルクが大きければ大きいほど、吸気管負圧Paは小さい(大気圧に近づく)。トルク閾値Te*は、このエンジントルク−吸気管負圧特性線に基づいて求められる。具体的には、図3に示す特性線にしたがって複数の吸気管負圧に対応付けられる複数のエンジントルクのうち、図2のS11にてブースタ負圧Pbと比較された負圧閾値P0に等しい吸気管負圧Paに対応するエンジントルクが、トルク閾値Te*として求められる。このトルク閾値Te*は予め求められる。
【0042】
S13にて、現在のエンジントルクTeがトルク閾値Te*よりも大きいと判断した場合(S13:Yes)、S14に進む。一方、現在のエンジントルクTeがトルク閾値Te*以下であると判断した場合(S13:No)、S16に進む。S13の処理が、本発明のトルク判断部に相当する。
【0043】
S14では、ブレーキECU15は、吸気管負圧Paを取得する。本実施形態において、吸気管負圧Paは、エンジントルク−吸気管負圧特性線から求められる。具体的には、ブレーキECU15は、エンジン回転数センサ39から得られる現在のエンジン回転数から現在のエンジントルクTeを演算する。そして、図3に示す特性線したがって複数のエンジントルクに対応付けられる複数の負圧のうち、現在のエンジントルクTeに対応する負圧が、吸気管負圧Paとして求められる。このS14の処理が、本発明の吸気管負圧取得部に相当する。
【0044】
次いで、ブレーキECU15はS15に進み、ブースタ負圧Pbが、S14にて取得した吸気管負圧Paよりも小さいか否かを判断する。ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さいと判断した場合(S15:Yes)は、S16に進む。一方、S15にて、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Pa以上であると判断した場合(S15:No)は、S17に進む。このS15の処理が、本発明の第2異常判断部に相当する。
【0045】
以上までの処理をまとめると、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さい場合(S11:No)において、以下のいずれかの条件が成立した場合に、ブレーキECU15はS16に進む。
(1)アイドル信号idleがON信号である場合(アクセルペダル37が踏まれていない場合)(S12:Yes)
(2)アイドル信号idleがOFF信号であり、且つ現在のエンジントルクTeがトルク閾値Te*以下である場合(S13:No)
(3)アイドル信号idleがOFF信号であり、且つ現在のエンジントルクTeがトルク閾値Te*よりも大きく、さらに、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さい場合(S15:Yes)
【0046】
上記(1)の場合、アクセルペダル37が踏まれていない。したがって、ペダル踏み込み状態は両踏状態ではない。ペダルの踏み込み状態が両踏状態でないにも関わらず、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以下であるので、ブレーキブースタ11に負圧異常が発生している可能性が高い。
上記(2)の場合、アクセルペダル37は踏まれているが、現在のエンジントルクTeがトルク閾値Te*以下である。ここで、エンジントルクTeがトルク閾値Te*以下である場合、図3からわかるように、現在のエンジントルクに対応する吸気管負圧Paは、負圧閾値P0以上である。また、ブースタ負圧Pbは負圧閾値P0よりも小さい。このことから、ブースタ負圧Pbは吸気管負圧Paよりも小さいことがわかる。つまり、S13の判断結果がNoである場合、必然的に、S15の判断結果がYesであることがわかる。
上記(3)の場合、アクセルペダル37が踏まれており、現在のエンジントルクTeがトルク閾値Te*よりも大きい。さらに、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さい。
【0047】
上記(2)および上記(3)の場合は、いずれも、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さい。ここで、ブレーキブースタ11に負圧異常が現実に発生している場合、例えば負圧室111がリークしている場合は、ブースタ負圧Pbは大気圧に近い圧力であると考えられる。一方、吸気管負圧Paは所定の低圧に保たれている。したがって、負圧異常である場合、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さい可能性が高い。換言すれば、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さい場合は、ブレーキブースタ11に負圧異常が発生している可能性が高い。
【0048】
以上のように、上記(1)、(2)、(3)のいずれかの条件を満たす場合には、ブレーキブースタ11に負圧異常が発生している可能性が高い。したがって、これらの場合は、ブレーキECU15は、S16にて、負圧異常処置を実行する。この負圧異常処置は、加圧制御、ブレーキ警告灯点灯制御、スリップインジケータ点灯制御を含む。加圧制御によりアクチュエータ14が作動して、ホイールシリンダ13内の液圧が所定の液圧まで加圧される。この加圧制御により、制動力が増す。また、ブレーキ警告灯点灯制御およびスリップインジケータ点灯制御により、車室内に設置されたブレーキ警告灯54およびスリップインジケータ55が点灯する。これらの点灯により、ブレーキブースタ11の異常がドライバーに報知される。
【0049】
また、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さい場合(S11:No)において、以下の条件が成立した場合に、ブレーキECU15はS17に進む。
(4)アイドル信号idleがOFF信号であり、エンジントルクTeがトルク閾値Te*よりも大きく、さらに、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Pa以上である場合(S15:No)
【0050】
上記(4)の場合は、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Pa以上である。ここで、ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合は、実際には負圧異常が発生していないため、ブースタ負圧Pbは所定の低圧に保たれる。一方、吸気管負圧Paは、アクセルペダル37の踏み込みによりスロットル弁33が開くことにより、低下する。したがって、ペダル踏み込み状態が両踏状態である場合、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Pa以上になることがある。換言すれば、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Pa以上であるときは、負圧異常が発生しているのではなく、ペダル踏み込み状態が両踏状態である可能性が高い。
【0051】
このように、上記(4)の条件を満たす場合には、ペダル踏み込み状態が両踏状態である可能性が高い。したがって、この場合は、ブレーキECU15は、S17にて、両踏処置を実行する。この両踏処置は、加圧制御を含む。この加圧制御はS16にて行われる加圧制御と同じである。また、上記(4)の条件を満たす場合は、負圧異常が発生しているわけではないので、S16にて行われるような、ブレーキ警告灯点灯制御およびスリップインジケータ点灯制御は行われない。
【0052】
S16またはS17にて、負圧異常処置または両踏処理が実行された後に、ブレーキECU15はこのルーチンを一旦終了する。図2に示すルーチンを実行するブレーキECU15が、本発明の負圧異常判断手段に相当する。また、S15の判断結果がNoであることをもって、ブレーキECU15はブレーキブースタ11に負圧異常が発生していない(ペダル踏み込み状態が両踏状態である)と判断する。さらに、S15の判断結果がYesであることをもって、ブレーキECU15は、ブレーキブースタ11に負圧異常が発生していると判断する。
【0053】
図4は、本実施形態に示した加圧制御ルーチンを実行したときに、負圧異常と判断されて負圧異常処置が行われる領域(負圧異常領域)、両踏状態と判断されて両踏処置が行われる領域(両踏領域)、および正常と判断される領域(正常領域)を、それぞれ表す図である。図の横軸はエンジントルク、縦軸はブースタ負圧Pbである。また、図中の線Aは、エンジントルク−吸気管負圧特性線である。図に示すように、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さい領域が負圧異常領域または両踏領域であり、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以上の領域が正常領域である。従来では、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さい領域を、全て負圧異常領域と判断していたので、負圧異常領域と判断された領域の中に、両踏領域が含まれていた。
【0054】
また、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さく、且つ、エンジントルクTeがトルク閾値Te*よりも大きい領域(図中Iで示される太枠領域)のうち、ブースタ負圧Pbがエンジントルク−吸気管負圧特性線から求められる吸気管負圧Paよりも小さい領域が負圧異常領域であり、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さくない領域、すなわちブースタ負圧Pbが吸気管負圧Pa以上である領域が両踏領域である。従来では、この両踏領域が負圧異常領域と判断されていたので、負圧異常でもないのにブレーキ警告灯などが点灯し、ドライバーに誤解を与えていた。本実施形態によれば、ブースタ負圧Pbと吸気管負圧Paとの比較により両踏領域と負圧異常領域を精度よく切り分けることができるので、負圧異常でもないのにブレーキ警告灯などを点灯させてドライバーに誤解を与えることを、極力防止することができる。
【0055】
本実施形態によれば、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0以上であるか否かが判断され(S11)、ブースタ負圧Pbが負圧閾値P0よりも小さいと判断された場合、ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さいか否かが判断される(S15)。ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さくない場合(吸気管負圧Pa以上の場合)、ペダル踏み込み状態が両踏状態であると判断される。ブースタ負圧Pbが吸気管負圧Paよりも小さい場合、負圧異常であると判断される。このように判断することで、負圧異常を精度よく判断することができる。
【0056】
本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるべきものではない。例えば、上記実施形態において、エンジントルク−吸気管負圧特性線は、図3に示すように直線状に表されているが、図5に示すように、エンジンのトルク特性や吸気管の流路特性に合わせて種々変更してもよい。また、上記実施形態においては、ブースタ負圧Pbをブースタ負圧センサ51により検出しているが、ブレーキ踏力センサ52やマスタ圧センサ50の検出値から、ブースタ負圧Pbを推定してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…ブレーキ制御装置、10…ブレーキペダル、11…ブレーキブースタ、111…負圧室、12…マスタシリンダ、13…ホイールシリンダ、14…アクチュエータ、15…ブレーキECU(負圧異常判断手段)、31…吸気管、33…スロットル弁、37…アクセルペダル、39…エンジン回転数センサ、40…連通路、41…チェック弁、51…ブースタ負圧センサ、52…ブレーキ踏力センサ、53…アイドルスイッチ、54…ブレーキ警告灯、55…スリップインジケータ、P0…負圧閾値、Pa…吸気管負圧、Pb…ブースタ負圧、Te…エンジントルク、Te*…トルク閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの燃焼室に連通する吸気管のうち、スロットル弁よりも下流の部位に接続される負圧室であって、その室内の負圧が低下したときに前記吸気管内の負圧が供給される負圧室を有するブレーキブースタの負圧異常を判断する負圧異常判断手段を備えるブレーキ制御装置において、
前記負圧異常判断手段は、
前記吸気管内の負圧を取得する吸気管負圧取得部と、
前記負圧室内の負圧が、車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧であるか否かを判断する第1異常判断部と、
前記第1異常判断部により、前記負圧室内の負圧が、車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧ではないと判断された場合に、前記負圧室内の負圧が前記吸気管負圧取得部により取得された前記吸気管内の負圧よりも小さいか否かを判断する第2異常判断部と、を備え、
前記第2異常判断部により前記負圧室内の負圧が前記吸気管内の負圧よりも小さくないと判断された場合に、前記ブレーキブースタに負圧異常が発生していないと判断することを特徴とする、ブレーキ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記負圧異常判断手段は、前記第2異常判断部により前記負圧室内の負圧が前記吸気管負圧取得部により取得された前記吸気管内の負圧よりも小さいと判断された場合に、前記ブレーキブースタに負圧異常が発生していると判断することを特徴とする、ブレーキ制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブレーキ制御装置において、
前記吸気管負圧取得手段は、予め求められたエンジントルクと前記吸気管内の負圧との関係を表すエンジントルク−吸気管負圧特性線から、現在のエンジントルクに対応する前記吸気管内の負圧を取得することを特徴とする、ブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
前記第1異常判断部は、前記負圧室内の負圧が車両の制動に必要な制動力を得ることができるに足る負圧であるか否かを判断するために、前記負圧室内の負圧が、前記負圧室に確保されているべき負圧として予め定められる負圧閾値以上であるか否かを判断することを特徴とする、ブレーキ制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ制御装置において、
前記負圧異常判断手段は、前記第1異常判断部により前記負圧室内の負圧が前記負圧閾値よりも小さいと判断された場合に、現在のエンジントルクが予め定められたトルク閾値よりも大きいか否かを判断するトルク判断部を備え、
前記第2異常判断部は、前記トルク判断部により現在のエンジントルクが前記トルク閾値よりも大きいと判断された場合に、前記負圧室内の負圧が前記吸気管負圧取得手段により取得された前記吸気管内の負圧よりも小さいか否かを判断することを特徴とする、ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−245899(P2011−245899A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118392(P2010−118392)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】