説明

ブレーキ操作構造

【課題】人為操作に応じてブレーキ機構を作動させるブレーキ操作機構の調整作業の容易化を図り得るブレーキ操作構造を提供する。
【解決手段】人為操作に応じてブレーキ機構におけるブレーキ押動部材を回転軸線回りブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ操作機構と、ブレーキ操作機構の非操作時におけるブレーキ押動部材の回転軸線回りの初期位置を調整可能なブレーキ調整機構200とを備える。ブレーキ調整機構200は、運転席支持フレーム16の設置を許容する為にフェンダ90に設けられた開口91を介してフェンダ90の上方からアクセス可能な位置において、ブレーキ操作機構に介挿されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦板式ブレーキ機構と前記ブレーキ機構を収容するミッションケースと前記ミッションケースの上方に配置された運転席と前記運転席の側方を覆うフェンダとを備えた作業車輌に適用されるブレーキ操作構造に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦板群及びブレーキ押動部材を有し、前記ブレーキ押動部材が回転軸線回りブレーキ作動方向に回転されると前記摩擦板群が摩擦接触して駆動車軸に作動的に制動力を付加する摩擦板式ブレーキ機構を操作する為のブレーキ操作構造には、ブレーキ操作部材がブレーキ解除位置に位置する際の前記ブレーキ押動部材の前記回転軸線回りの初期位置を調整可能なブレーキ調整機構が備えられている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
即ち、前記ブレーキ操作構造は、前記ブレーキ押動部材が前記ブレーキ操作部材への人為操作量に応じた量だけ前記回転軸線回りに回転するように、前記ブレーキ操作部材及び前記ブレーキ押動部材を作動連結しており、前記摩擦板群は前記ブレーキ押動部材の前記回転軸線回りの回転量に応じた程度で互いに摩擦接触するように構成されている。
つまり、前記ブレーキ機構は前記ブレーキ操作部材の人為操作量に応じた大きさの制動力を発生するように設定されているが、前記摩擦板群に摩耗が生じると前記ブレーキ操作部材の操作量と前記摩擦板群の摩擦接触の程度(即ち、前記ブレーキ機構による制動力の大きさ)との関係が変動し、前記ブレーキ操作部材を所定量操作しているにも拘わらず、前記ブレーキ機構による制動力が十分には発生しないという不都合が生じ得る。
前記ブレーキ調整機構は、このような不都合を防止する為に備えられている。
【0004】
しかしながら、前記従来のブレーキ操作構造においては、前記ブレーキ調整機構が前記作業車輌におけるステップの下方に配置されていた為、前記ブレーキ調整機構の操作がし難いという問題があった。
【0005】
図14(a)及び(b)に、それぞれ、前記従来のブレーキ操作構造の模式側面図及び模式平面図を示す。
図14(a)及び(b)に示すように、前記従来のブレーキ操作構造は、人為操作可能なブレーキ操作部材1110と、前記ブレーキ操作部材1110への人為操作に応じて軸線回りに回転するブレーキ操作軸1120と、前記ブレーキ操作軸1120に相対回転不能に支持されたブレーキ作動部材1130と、前記ブレーキ作動部材1130をブレーキ解除位置へ向けて付勢するブレーキ解除付勢部材(図示せず)と、車輌幅方向に沿った状態でミッションケース40の内外に跨るように前記ミッションケース40の一方の側壁に軸線回り回転自在に支持されたブレーキ制御軸1160であって、軸線回りブレーキ作動方向へ回転されると前記ブレーキ押動部材63を回転軸線63X回りにブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ制御軸1160と、前記ブレーキ作動部材1130の前記ブレーキ操作軸1120回りの回転に応じて軸線方向に移動するように一端側が前記ブレーキ作動部材1130に作動連結されたブレーキリンク部材1140と、前記ブレーキ制御軸1160に相対回転不能に連結されたブレーキ制御アーム1150であって、前記ブレーキリンク部材1140の他端側が連結されるブレーキ制御アーム1150とを備えており、ブレーキ調整機構1200はステップの下方において車輌前後方向に沿った前記ブレーキリンク部材1140に介挿されている。
【0006】
斯かる従来の構成においては、前記ブレーキ調整機構1200にアクセスする為には作業者は前記ステップの下にもぐりこむか、若しくは、前記ステップを取り外す必要があり、前記ブレーキ調整機構1200の調整作業が煩雑であった。
【特許文献1】特開2007−55281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、摩擦板式ブレーキ機構を備えた作業車輌に適用されるブレーキ操作構造であって、前記ブレーキ機構における摩擦板群の摩耗に応じて前記摩擦板群を摩擦接触させるブレーキ押動部材のブレーキ操作部材に対する初期位置を調整するブレーキ調整機構の調整作業を容易に行うことができるブレーキ操作構造の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、前記目的を達成するために、摩擦板群及びブレーキ押動部材を有し、前記ブレーキ押動部材が回転軸線回りブレーキ作動方向に回転されると前記摩擦板群が摩擦接触して駆動車軸に作動的に制動力を付加する摩擦板式ブレーキ機構と、前記ブレーキ機構を収容するミッションケースと、前記ミッションケースの上面に運転席支持フレームを介して支持された運転席と、前記運転席の側方を覆うフェンダとを備えた作業車輌に適用されるブレーキ操作構造であって、人為操作に応じて前記ブレーキ押動部材を前記回転軸線回りブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ操作機構と、前記ブレーキ操作機構の非操作時における前記ブレーキ押動部材の前記回転軸線回りの初期位置を調整可能なブレーキ調整機構とを備えたブレーキ操作構造において、前記ブレーキ調整機構が、前記運転席支持フレームの設置を許容する為に前記フェンダに設けられた開口を介して前記フェンダの上方からアクセス可能な位置において、前記ブレーキ操作機構に介挿されているブレーキ操作構造を提供する。
【0009】
本発明の他態様は、前記目的を達成するために、摩擦板群及びブレーキ押動部材を有し、前記ブレーキ押動部材が回転軸線回りブレーキ作動方向に回転されると前記摩擦板群が摩擦接触して駆動車軸に作動的に制動力を付加する摩擦板式ブレーキ機構と、前記ブレーキ機構を収容するミッションケースと、前記ミッションケースの上方に配設された運転席と、前記運転席の側方を覆うフェンダであって、該フェンダに設けられたレバー開口を覆うようにレバーガイド部材が着脱可能に装着されたフェンダと、前記レバーガイド部材に形成されたガイド孔を介して把持部が前記運転席の側方において前記フェンダより上方に位置するように配設された変速レバーとを備えた作業車輌に適用されるブレーキ操作構造であって、人為操作に応じて前記ブレーキ押動部材を前記回転軸線回りブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ操作機構と、前記ブレーキ操作機構の非操作時における前記ブレーキ押動部材の前記回転軸線回りの初期位置を調整可能なブレーキ調整機構とを備えたブレーキ操作構造において、前記ブレーキ調整機構が、前記レバーガイド部材を前記フェンダから取り外すことによって現出する前記レバー開口を介して前記フェンダの上方からアクセス可能な位置において、前記ブレーキ操作機構に介挿されているブレーキ操作構造を提供する。
【0010】
前記種々の態様において、好ましくは、前記ブレーキ操作機構は、人為操作可能なブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材への人為操作に応じて軸線回りに回転するブレーキ操作軸と、前記ブレーキ操作軸に相対回転不能に支持されたブレーキ作動部材と、前記ブレーキ操作部材,前記ブレーキ操作軸及び前記ブレーキ作動部材を含むブレーキ操作側リンク機構をブレーキ解除位置へ向けて付勢するブレーキ解除付勢部材と、車輌幅方向に沿った状態で前記ミッションケースの内外に跨るように前記ミッションケースの一方の側壁に軸線回り回転自在に支持されたブレーキ制御軸であって、軸線回りブレーキ作動方向へ回転されると前記ブレーキ押動部材を前記回転軸線回りにブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ制御軸と、前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた角度だけ前記ブレーキ制御軸が軸線回りに回転するように、前記ブレーキ操作側リンク機構を前記ブレーキ制御軸に作動連結するブレーキ従動側リンク機構とを備える。
前記ブレーキ従動側リンク機構は、前記ブレーキ作動部材の前記ブレーキ操作軸回りの回転に応じて軸線方向に移動するように一端側が前記ブレーキ作動部材に作動連結された第1従動側ブレーキリンク部材と、基端側が前記ブレーキ制御軸に相対回転不能に連結されたブレーキ制御アームと、基端側が前記ブレーキ制御アームに前記ブレーキ制御軸と平行な軸線回り回転自在に連結され且つ基端側から上端側へ行くに従って上方に位置する第2従動側ブレーキリンク部材と、前記ブレーキ制御軸と平行な枢支軸に回転自在に支持された連結部材であって、前記第1従動側ブレーキリンク部材の他端側に連結される第1アーム部及び前記第2従動側ブレーキリンク部材の自由端側に連結される第2アーム部を有する連結部材とを備える。
前記ブレーキ調整機構は、前記第2アーム部の前記第2従動側ブレーキリンク部材に対する連結位置を変更し得るように前記第2従動側ブレーキリンク部材の自由端側に設けられる。
【0011】
前記ブレーキ調整機構は、前記第2従動側ブレーキリンク部材の自由端側に軸線方向に沿って形成されたスリットと、前記連結部材の前記第2アーム部に設けられ且つ前記スリットに係入される係合突起と、前記スリットの長手方向に関する前記係合突起の係止位置を調整可能な位置調整部材とを有し得る。
【0012】
前記位置調整部材は、軸線方向が前記スリットの長手方向を向くように前記第2従動側ブレーキリンク部材に固着された中空のガイド部材と、前記ガイド部材に挿通された雄ネジ部材であって、基端部が前記係合突起に連結された雄ネジ部材と、前記ガイド部材の上端面に当接された状態で前記雄ネジ部材が螺入される調整ナットを備え得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係るブレーキ操作構造によれば、ブレーキ調整機構が、運転席支持フレームの設置を許容する為にフェンダに設けられた開口を介して前記フェンダの上方からアクセス可能な位置においてブレーキ操作機構に介挿されているので、従来構成に比して、前記ブレーキ調整機構へのアクセス容易化を図ることができる。
【0014】
又、本発明の他態様に係るブレーキ操作構造によれば、ブレーキ調整機構が、フェンダに着脱可能に装着されるレバーガイド部材を該フェンダから取り外すことによって現出するレバー開口を介して前記フェンダの上方からアクセス可能な位置において前記ブレーキ操作機構に介挿されているので、従来構成に比して、前記ブレーキ調整機構へのアクセス容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に本実施の形態に係るブレーキ・デフロック操作構造が適用された作業車輌1の側面図を示す。
又、図2に前記作業車輌1の部分斜視図を、図3に図2に示す状態からステップ80及びフェンダ90を取り除いた状態の前記作業車輌1の部分斜視図を示す。
【0016】
図1〜図3に示すように、前記作業車輌1は、車輌前後方向に沿って延びる一対の左側及び右側メインフレーム11L,11Rを有する車輌フレーム10と、前記車輌フレーム10の前方側に配置された駆動源20と、前記車輌フレーム10の後方側に連結されたミッションケース40と、前記駆動源20に作動連結された状態で前記ミッションケース40の前面に支持されたHST30と、前記ミッションケース40内に設けられた走行系伝動機構(図示せず)及びPTO系伝動機構(図示せず)と、一対の駆動車軸6を介してそれぞれ駆動される一対の駆動輪5と、前記走行系伝動機構からの動力を前記一対の駆動車軸6へ差動伝達するデフ機構50(下記図7(a)参照)と、前記一対の駆動車軸6に作動的に制動力を付加するブレーキ機構60(下記図7(a)及び(b)参照)と、本実施の形態に係る前記ブレーキ・デフロック操作構造と、前記ミッションケース40の上方に配設された運転席15と、前記運転席15の側方を覆う前記フェンダ90と、前記運転席15の前方において前記車輌フレーム10に直接又は間接的に支持された前記ステップ80とを備えている。
なお、本明細書において、左側及び右側とは、それぞれ、前記作業車輌1の前進方向を向いて左側及び右側を意味する。
【0017】
図4及び図5に、それぞれ、前記ミッションケース40及び前記HST30の近傍を左側及び右側から視た前方斜視図を示す。
さらに、図6に、図4において、前記左側メインフレーム11Lを含む一部の部材を削除した状態の斜視図を示す。
【0018】
前記HST30は、図4〜図6に示すように、前記駆動源20に作動連結されるポンプ軸31と、前記ポンプ軸31に相対回転不能に支持された油圧ポンプ本体(図示せず)と、前記油圧ポンプ本体に流体接続された油圧モータ本体(図示せず)と、前記油圧モータ本体を相対回転不能に支持するモータ軸(図示せず)と、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体を一体又は個別に収容するHSTケース33とを備えている。
【0019】
前記HST30は、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体は少なくとも一方が可変容積型とされており、可変容積型とされた前記油圧ポンプ本体及び/又は前記油圧モータ本体(以下、可変容積部材という)の吸引/吐出量を変化させることによって、前記ポンプ軸31への入力回転数に対する前記モータ軸からの出力回転数が変化するようになっている。
従って、前記HST30は、前記構成に加えて、前記可変容積部材の吸引/吐出量を変化させる出力調整部材35を備えている。
なお、図示の形態においては、前記油圧ポンプ本体及び前記油圧モータ本体の双方共に可変容積型とされている。
従って、前記HST30は、前記出力調整部材35として、ポンプ側出力調整部材35P(図5参照)及びモータ側出力調整部材35M(図6参照)を備えている。
【0020】
前記デフ機構50は、前記駆動源20から前記HST30を介して入力される回転動力を前記一対の駆動車軸6に差動伝達するデフ状態又は前記一対の駆動車軸6に等速伝達するデフロック状態を取り得るように構成されている。
詳しくは、前記デフ機構50は、デフ状態又はデフロック状態を切り換える為のデフ/デフロック切換機構55を有している。
【0021】
図7(a)に、前記ミッションケース40の部分平面模式図を示す。
前記デフ/デフロック切換機構55は、図7(a)に示すように、前記ミッションケース40に支持されたデフロック軸56と、前記デフロック軸56に軸線方向移動不能に固定されたデフロックフォーク57と、前記デフロック軸56を直接又は間接的にデフ位置へ向けて付勢する第1付勢部材58aとを有している。
【0022】
前記デフロック軸56は、軸線方向に関しデフ位置及びデフロック位置を取り得るように軸線方向移動可能とされている。
詳しくは、前記デフロック軸56は、図7(a)に示すように、被押動部を形成する一端部56aが前記ミッションケース40における一対の側壁の一方(図示の形態においては左側壁)から外方へ延在された状態で車輌幅方向に沿って軸線方向移動可能に支持されている。
【0023】
前記デフロックフォーク57は、基端部が前記デフロック軸56に軸線方向相対移動不能に支持され且つ自由端側には前記デフ機構50におけるベベルギアの凹部(図示せず)に係合可能な突起部57aが設けられている。
【0024】
前記第1付勢部材58aは、一端部が前記ミッションケース40に固定支持され且つ他端部が前記デフロックフォーク57の基端部に係合されており、前記デフロック軸56をデフ位置(図7(a)においては下方)に向けて付勢している。
なお、本実施の形態においては、前記デフ/デフロック切換機構55には、さらに、前記デフロックフォーク57の基端部を挟んで前記第1付勢部材58aとは反対側に第2付勢部材58bが備えられている。
【0025】
前記デフ/デフロック切換機構55は、以下のように作動する。
前記デフロック軸56に操作力が付加されない状態においては、前記デフロック軸56は前記第1及び第2付勢部材58a,58bに挟持された状態でデフ位置に保持される。この状態においては、前記デフ機構55は、前記駆動源20から作動的に伝達される駆動力を前記一対の駆動車軸6に差動伝達するデフ状態となる。
【0026】
一方、前記デフロック軸56が前記第1付勢部材58aの付勢力に抗して軸線方向一方側(図7(a)においては上方)のデフロック方向へ押動されると、前記デフロックフォーク57の自由端側に設けられた前記突起部57aが前記デフ機構50におけるベベルギアの凹部(図示せず)に係入され、前記ベベルギヤを回転不能とする。この状態においては、前記デフ機構55は、前記駆動源20から作動的に伝達される駆動力を前記一対の駆動車軸6に等速伝達するデフロック状態となる。
【0027】
前記ブレーキ機構60は、図7(a)に示すように、摩擦板群62及びブレーキ押動部材63を有し、前記ブレーキ押動部材63が回転軸線63X回りブレーキ作動方向に回転されると前記摩擦板群62が摩擦接触して制動力を付加する摩擦板式ブレーキ機構とされている。
前記ブレーキ機構60は、前記駆動源20から一対の駆動輪5へ至る走行系伝動経路のうち前記デフ機構50より伝動方向上流側に位置する部分に、制動力を付加するように配置される。
例えば、前記ブレーキ機構60は、前記デフ機構50に向けて回転動力を出力する主駆動軸に作動的に制動力を付加し得るように、配置される。
【0028】
詳しくは、前記ブレーキ機構60は、被制動部材(例えば前記主駆動軸)に作動連結されたブレーキ軸61と、前記ブレーキ軸61に相対回転不能に支持された回転側摩擦板群62a及び回転不能に固定された固定側摩擦板群62bを含む前記摩擦板群62と、回転軸線63X回りブレーキ作動方向へ回転されると前記摩擦板群62を摩擦接触させる前記ブレーキ押動部材63と、前記ブレーキ押動部材63を挟んで前記摩擦板群62とは反対側に配置された固定部材64と、前記押動部材63及び前記固定部材64の間に介挿されたボール等の転動体65とを有している。
【0029】
図7(b)に、図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った前記ブレーキ押動部材63の端面図を示す。
前記押動部材63は、図7(a)及び(b)に示すように、前記摩擦板群62と対向する第1面63aと、前記第1面63aとは反対側を向き、前記固定部材64と対向する第2面63bと、前記回転軸線63Xを基準にして周方向に沿うように前記第2面63bに形成された係入溝63cとを有している。
前記係入溝63cは、周方向一方側から他方側へ行くに従って深くなる傾斜溝とされている。
前記固定部材64には、前記ブレーキ押動部材63の前記第2面63bと対向する面に前記転動体65を保持する凹部が形成されている。
【0030】
前記ブレーキ機構60は以下のように作動する。
前記ブレーキ押動部材63が前記回転軸線63X回りブレーキ解除位置に位置されている際には、前記転動体65は前記係入溝63cの最深部に係入されている。この状態においては、前記ブレーキ押動部材63は前記摩擦板群62に対して作用せず、従って、前記ブレーキ機構60はブレーキ解除状態とされる。
【0031】
一方、前記ブレーキ押動部材63がブレーキ解除位置から前記回転軸線63X回りブレーキ作動方向(図7(b)においては時計回り方向)へ回転操作されると、前記転動体65は前記係入溝63cの最浅部へ相対的に移動する。この際、前記ブレーキ押動部材63は前記転動体65によって前記回転軸線63X方向に沿って前記摩擦板群62に近接する方向へ押動され、前記摩擦板群62を互いに摩擦接触させる。従って、前記ブレーキ機構60はブレーキ作動状態とされる。
【0032】
なお、前記ブレーキ機構60は、前述の通り、前記デフ機構50より伝動方向上流側に制動力を付加するように配置されている。即ち、本実施の形態においては、前記ブレーキ機構60は、前記デフ機構50の入力リングギヤ(図示せず)に作動的に制動力を付加するように構成されている。
【0033】
前記ブレーキ・デフロック操作構造は、前記ブレーキ機構60の作動状態を切換操作するブレーキ操作機構100と、前記デフ機構50の伝動状態を切換操作するデフロック操作機構300とを備えている。
図8に、前記ブレーキ・デフロック操作構造を含む前記作業車輌1の部分斜視図を示す。なお、図8においては、前記ブレーキ・デフロック操作構造を明確に示す為に前記作業車輌の構成部材の一部を削除している。
【0034】
まず、前記ブレーキ操作機構100について説明する。
前記ブレーキ操作機構100は、人為操作に応じて前記ブレーキ機構60を選択的にブレーキ作動状態又はブレーキ解除状態とし得るように構成されている。
【0035】
具体的には、図2,図3及び図8等に示すように、前記ブレーキ操作機構100は、人為操作可能なブレーキ操作部材110と、前記ブレーキ操作部材110への人為操作に応じて軸線回りに回転するブレーキ操作軸120と、前記ブレーキ操作軸120に相対回転不能に支持されたブレーキ作動部材130と、前記ブレーキ操作部材110を作動的にブレーキ解除位置へ向けて付勢するブレーキ解除付勢部材140と、前記ブレーキ押動部材63を前記回転軸線63X回りにブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ制御軸150(図7(a)及び(b)も併せて参照)と、前記ブレーキ操作部材110,前記ブレーキ操作軸120及び前記ブレーキ作動部材130を含むブレーキ操作側リンク機構を前記ブレーキ制御軸150に作動連結するブレーキ従動側リンク機構とを備えている。
【0036】
前記ブレーキ操作軸120は、図3等に示すように、車輌幅方向に沿った状態で前記一対のメインフレーム11L,11Rに軸線回り回転自在に支持されている。
前記ブレーキ操作部材110は、基端部が前記ブレーキ操作軸120の車輌幅方向一方側の第1端部(図示の形態においては右端部)に相対回転不能に連結され、且つ、自由端部が前記ステップ80の上方へ延在されて操作端部を形成している(図2参照)。
なお、図2及び図3における符号115は、前記ブレーキ操作部材110をブレーキ作動位置に保持する為のブレーキ位置ロック部材である。
【0037】
前記ブレーキ作動部材130は、前記ブレーキ操作軸120に相対回転不能に支持されており、前記ブレーキ操作軸120が軸線回りに回動されると、該ブレーキ操作軸120の軸線回りに揺動するようになっている。
本実施の形態においては、図3等に示すように、前記ブレーキ作動部材130は、前記一対のメインフレーム11L,11Rの間で且つ前記左側メインフレーム11L近傍に位置するように、前記ブレーキ操作軸120に相対回転不能に支持されている。
【0038】
前記ブレーキ解除付勢部材140は、前記ブレーキ操作部材110,前記ブレーキ操作軸120及び前記ブレーキ作動部材130を含む前記ブレーキ操作側リンク機構をブレーキ解除位置へ向けて付勢している。
本実施の形態においては、前記ブレーキ解除付勢部材140は、図3等に示すように、一端部が前記ブレーキ作動部材130の自由端部に連結され且つ他端部が前記左側メインフレーム11Lに連結されており、前記ブレーキ作動部材130及び前記ブレーキ操作軸120を該ブレーキ操作軸120の軸線回りブレーキ解除方向(図示の形態においては、左側面視において時計回り方向)に付勢している。
【0039】
前記ブレーキ制御軸150は、図6〜図8等に示すように、前記ブレーキ操作軸120と平行となるように車輌幅方向に沿った状態で前記ミッションケース40の内外に跨るように前記ミッションケース40の一方の側壁(図示の形態においては左側壁)に軸線回り回転自在に支持されており、外部操作に基づき軸線回りブレーキ作動方向(図示の形態においては左側面視において時計回り方向)へ回転されると前記ブレーキ押動部材63を前記回転軸線63X回りブレーキ作動方向(図示の形態においては左側面視において時計回り方向)へ回転させるようになっている。
【0040】
詳しくは、前記ブレーキ制御軸150は、図7に示すように、前記ミッションケース40から外方へ延在された外端部151と、前記ミッションケース40内に突入された内端部152とを有している。
前記内端部152は、前記ブレーキ押動部材63を前記回転軸線63X回りブレーキ作動方向へ回転させ得るように、前記ブレーキ押動部材63と係合している。
【0041】
即ち、図7(a)及び(b)に示すように、前記ブレーキ押動部材63は、前記係入溝63cが形成された本体部63Aと、前記本体部63Aから径方向外方へ延在された係合部63Bとを有している。
そして、前記ブレーキ制御軸150の内端部152は、前記係合部63Bと係合する部分が断面非円形状とされている。
斯かる構成により、前記ブレーキ制御軸150が軸線回りブレーキ作動方向(左側面視において時計回り方向)へ回転されると、前記ブレーキ押動部材63が前記回転軸線63X回りブレーキ作動方向(左側面視において時計回り方向)へ回転するようになっている。
【0042】
前記ブレーキ従動側リンク機構は、前記ブレーキ操作部材110の操作量に応じた角度だけ前記ブレーキ制御軸150が軸線回りに回転するように、前記ブレーキ操作側リンク機構を前記ブレーキ制御軸150に作動連結している。
【0043】
詳しくは、前記ブレーキ従動側リンク機構は、図6及び図8等に示すように、前記ブレーキ作動部材130の前記ブレーキ操作軸120回りの回転に応じて軸線方向に移動するように一端側が前記ブレーキ作動部材130に作動連結された第1従動側ブレーキリンク部材160と、基端側が前記ブレーキ制御軸150に相対回転不能に連結されたブレーキ制御アーム190と、基端側が前記ブレーキ制御アーム190に前記ブレーキ制御軸150と平行な軸線回り回転自在に連結され且つ基端側から自由端側へ行くに従って上方に位置する第2従動側ブレーキリンク部材180と、前記ブレーキ制御軸150と平行な枢支軸170Xに回転自在に支持された状態で前記第1従動側ブレーキリンク部材160及び前記第2従動側ブレーキリンク部材180を作動連結させる連結部材170とを備えている。
前記連結部材170は、前記第1従動側ブレーキリンク部材160の他端側に連結される第1アーム部171及び前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端側に連結される第2アーム部172を有している。
【0044】
前記ブレーキ従動側リンク機構は、以下のように作動する。
前記ブレーキ操作部材110へのブレーキ操作に応じて前記ブレーキ作動部材130がブレーキ作動方向(本実施の形態においては左側面視において反時計回り方向)へ揺動すると、前記ブレーキ作動部材130に連結された前記第1従動側ブレーキリンク部材160が軸線方向一方側(図示の形態においては前方)へ移動し、これにより、前記連結部材170が前記枢支軸170X回り一方側(図示の形態において左側面視において時計回り方向)へ回動する。
前記第2従動側リンク部材180は、前記連結部材170の前記枢支軸170X回り一方側への回動に連動して軸線方向一方側(図示の形態においては下方)へ移動し、前記ブレーキ制御アーム190を前記ブレーキ制御軸150回り一方側(図示の形態においては左側面視において時計回り方向)へ回動させて、前記ブレーキ制御軸150を軸線回りブレーキ作動方向(図示の形態においては左側面視において時計回り方向)へ回動させる。
【0045】
前記ブレーキ操作機構100は、前記構成を備えることにより、前記ブレーキ操作部材110への人為操作量に応じた量だけ前記ブレーキ押動部材63(図7(a)及び(b)参照)を前記回転軸線63X回りに回転させ、これにより、前記摩擦板群62が前記ブレーキ操作部材110への人為操作量に応じた程度で互いに摩擦するようになっている。
【0046】
しかしながら、前記摩擦板群62に摩耗が生じると前記ブレーキ操作部材110の操作量と前記摩擦板群62の摩擦接触の程度(即ち、前記ブレーキ機構60による制動力の大きさ)との関係が変動し、前記ブレーキ操作部材110を所定量操作しているにも拘わらず、前記ブレーキ機構60による制動力が十分には発生しないという不都合が生じ得る。
【0047】
前記ブレーキ操作機構100は、斯かる不都合を防止する為に、さらに、前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置に位置されている際の前記ブレーキ制御軸150の軸線回り位置を調整可能なブレーキ調整機構200を備えている。
【0048】
図9に、前記連結部材170の近傍の拡大側面図を示す。
なお、図9においては、前記ブレーキ調整機構200を明確に示す為に一部の部材を削除している。
【0049】
前記ブレーキ調整機構200は、前記連結部材170における前記第2アーム部172の前記第2従動側ブレーキリンク部材180に対する連結位置を変更することで、前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置に位置されている際の前記ブレーキ制御軸150の軸線回り位置を調整し得るように構成されている。
【0050】
具体的には、前記ブレーキ調整機構200は、図9に示すように、前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端側に軸線方向に沿って形成されたスリット210と、前記連結部材170の前記第2アーム部172に設けられ且つ前記スリット210に係入される係合突起220と、前記スリット210の長手方向に関する前記係合突起220の係止位置を調整可能な位置調整部材230とを有している。
【0051】
前記位置調整部材230は、種々の形態をとり得るが、本実施の形態においては、図9に示すように、軸線方向が前記スリット210の長手方向を向くように前記第2従動側ブレーキリンク部材180に固着された中空のガイド部材231と、前記ガイド部材231の中空部に挿通されたボルト部材232であって、基端部が前記係合突起220に連結され且つ自由端部が前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端部からさらに上方へ延在されたボルト部材232と、前記ガイド部材231の上端面に当接された状態で前記ボルト部材232が螺入される調整ナット233を備えている。
なお、図9中の符号234は、前記調整ナット233より前記ボルト部材232の自由端側に螺合されたロックナットであり、前記調整ナット233の上端面に当接することで該調整ナット233の緩み止めを行っている。
【0052】
斯かる構成の前記ブレーキ調整機構200は以下のように作動する。
即ち、前記摩擦板群62が摩耗していない状態においては、前記ブレーキ調整機構200は、前記第2従動側ブレーキリンク部材180が長手方向に関し初期位置において前記連結部材170の前記第2アーム部172に連結される初期状態に設定される。
【0053】
前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置に位置されている際には、前記連結部材170は、前記ブレーキ操作軸120,前記ブレーキ作動部材130及び前記第1従動側ブレーキリンク部材160を介して、前記枢支軸170X回りにブレーキ解除位置に位置される。従って、前記ブレーキ調整機構200が前記初期状態に設定されている場合において前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置に位置されると、前記第2従動側ブレーキリンク部材180は、前記ブレーキ調整機構200の初期状態によって画される初期ブレーキ解除位置に位置する。
【0054】
前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置からブレーキ作動位置へ操作されると、前記第2従動側ブレーキリンク部材180は、前記ブレーキ操作軸120,前記ブレーキ作動部材130,前記第1従動側ブレーキリンク部材160及び前記連結部材170を介して軸線方向に沿って略下方へ初期ブレーキ作動位置まで移動する。
前記第2従動側ブレーキリンク部材180が初期ブレーキ解除位置から初期ブレーキ作動位置に位置まで移動する動きに連動して、前記ブレーキ制御軸150は前記ブレーキ制御アーム190を介して軸線回りに初期ブレーキ解除位置から初期ブレーキ作動位置まで回転し、前記ブレーキ押動部材63を初期ブレーキ解除位置から初期ブレーキ作動位置まで前記摩擦板群62へ向けて押動する。これにより、前記摩擦板群62は互いに摩擦接触する。
【0055】
次に、前記摩擦板群62が摩耗した場合について説明する。
前記摩擦板群62が摩耗すると、前記ブレーキ押動部材62が前記初期ブレーキ作動位置まで押動されていても、前記摩擦板群62の摩擦接触が不十分となる。
このような摩擦板群62の摩耗時には、前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置に位置する状態(即ち、前記連結部材170が前記枢支軸170X回りブレーキ解除位置に位置する状態)において、前記第2従動側ブレーキリンク部材180が前記初期ブレーキ解除位置よりも前記初期ブレーキ作動位置側へシフトした位置に位置するように、前記ブレーキ調整機構200が操作される。
【0056】
つまり、前記ブレーキ操作部材110への非操作時において、前記第2従動側ブレーキリンク部材180が長手方向に関し初期ブレーキ解除位置よりも自由端側において前記連結部材170の前記第2アーム部172に連結されるように、前記ブレーキ調整機構200が調整される。
本実施の形態においては、前記ロックナット234を前記調整ナット233から離間させてから、前記調整ナット233を回動操作することで、前記ボルト部材232のうち前記ガイド部材231より下方に延在する部分の長さを変更させることができる。
詳しくは、前記ボルト部材232の基端部(即ち、前記第2アーム部172の自由端部)に対する前記第2従動側ブレーキリンク部材180の連結位置が該第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端側へ相対移動するように、前記調整ナット233が回動操作される。斯かる操作により、前記第2従動側ブレーキリンク部材180は下方へ移動される。なお、前記調整ナット233の回動操作後には、前記ロックナット234を前記調整ナット233の上端面に当接させることで、前記調整ナット233及び前記ボルト部材232を調整後の位置に保持する。
前記ブレーキ調整機構200がこのように調整されると、前記ブレーキ操作部材110をブレーキ解除位置に位置させている際の前記ブレーキ制御アーム190,前記ブレーキ制御軸150及び前記ブレーキ押動部材63の位置は、それぞれの初期ブレーキ解除位置より初期ブレーキ作動位置側へシフトする。
従って、前記ブレーキ操作部材110をブレーキ作動位置へ位置させると、前記ブレーキ押動部材63は初期ブレーキ作動位置よりもさらに前記摩擦板群62を押圧させる位置まで押動されることになり、これにより、摩耗状態の前記摩擦板群62を十分に摩擦接触させることができる。
【0057】
図4,図6,図8及び図9等に示すように、本実施の形態においては、前記ブレーキ調整機構200が設けられた前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端側は、前記フェンダ90(図2参照)の上方からアクセス可能な位置まで上方へ延在されており、これにより、前記ブレーキ調整機構200へのアクセス容易化を図っている。
【0058】
本実施の形態においては、図3,図4及び図8等に示すように、前記ミッションケース40の上面に運転席支持フレーム16が設けられており、前記運転席15は前記運転席支持フレーム16を介して前記ミッションケース40の上面に支持されている。
又、前記フェンダ90は、図2に示すように、前記運転席15の左側方及び右側方をそれぞれ覆う左フェンダ部90L及び右フェンダ部90Rと前記左右フェンダ部90L,90Rを連結する中央フェンダ部90Cとが一体形成された一体型フェンダとされている。
【0059】
図10に、前記運転席15近傍の斜視図を示す。
図10に示すように、前記一体型フェンダ90においては、前記中央フェンダ部90Cに、前記運転席支持フレーム16の設置を許容する為の開口91が設けられる。
【0060】
本実施の形態においては、前記開口91を利用して前記フェンダ90の上方から前記ブレーキ調整機構200へアクセス可能としている。
即ち、前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端部を前記一対のメインフレーム11L,11R間において前記ミッションケース40の側壁に沿って前記開口91近傍まで上方へ延在し、前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端部に設けられた前記ブレーキ調整機構200が前記開口91を介して前記フェンダ90の上方からアクセス可能としている。
【0061】
斯かる構成に代えて、又は、加えて、前記ミッションケース40の上面へのアクセスを可能とする為に前記運転席15が回動軸15X回りに設置位置と開放位置とをとり得るように構成されている場合(図11参照)には、前記運転席15を開放位置に位置させることで前記開口91を開放させて、前記ブレーキ調整機構200へのアクセスを可能とすることができる。
例えば、前記運転席15が設置位置に位置されている状態では前記開口91の隙間が狭すぎる場合や、前記左フェンダ部90L,前記右フェンダ部90R及び前記中央フェンダ部90Cが別体とされており、前記運転席15が設置位置に位置されている状態では前記開口91が閉塞されている場合に、有効である。
【0062】
さらには、図2,図10及び図11に示すように、前記フェンダ90に設けられたレバー開口(図示せず)を覆うように、レバーガイド部材95が前記フェンダ90に着脱可能に設けられている構成においては、前記レバーガイド部材95を前記フェンダ90から取り外すことによって現出する前記レバー開口を介して前記ブレーキ調整機構200へのアクセスを可能とすることもできる。
即ち、図2〜図4及び図10〜図11に示すように、前記作業車輌1には、把持部が前記運転席15の側方において前記フェンダ90より上方に位置するように配置された走行系変速レバー17(例えば副変速レバー)及びPTO系変速レバー18等の変速レバーが備えられる。
斯かる構成の作業車輌1においては、前記フェンダ90には、前記レバーガイド部材95によって閉塞される前記レバー開口が設けられ、前記変速レバーは前記レバーガイド部材95に設けられたガイド孔を介して前記把持部が前記フェンダ90の上方へ延在される。
従って、前記ブレーキ調整機構200が設けられた前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端部を前記レバー開口近傍まで上方へ延ばすことにより、前記レバーガイド部材95を前記フェンダ90から取り外すことで現出する前記レバー開口を介して前記フェンダ90の上方から前記ブレーキ調整機構200へのアクセスを可能とすることができる。
【0063】
次に、前記デフロック操作機構300について説明する。
前記デフロック操作機構300は、人為操作に応じて前記デフロック軸56をデフロック位置に位置させるように構成されている。
【0064】
具体的には、前記デフロック操作機構300は、図3,図4,図6,図7及び図8等に示すように、前記ブレーキ操作軸120と平行なデフロック操作軸310X回り回転自在に支持された人為操作可能なデフロック操作部材310と、前記デフロック操作部材310を前記デフロック操作軸310X回りデフ位置へ向けて付勢するデフ付勢部材320と、前記デフロック操作部材310に作動連結されたデフロックリンク部材330と、略上下方向に沿ったデフロック制御軸340X回り回転自在に支持され、前記デフロックリンク部材330の動作に応じて前記デフロック軸56を押動するデフロック押動部材340とを備えている。
【0065】
前記デフロック操作軸310Xは、図3及び図4に示すように、前記一対のメインフレーム11L,11Rの一方(図示の形態においては左側メインフレーム11L)に前記ブレーキ操作軸120と平行なるように支持されている。
【0066】
前記デフロック操作部材310は、前記デフロック操作軸310X回り回転自在に支持されており、人為操作に応じて、前記デフロック操作軸310X回り一方側(図示の形態においては左側面視において反時計回り方向)のデフロック位置及び他方側(図示の形態においては左側面視において時計回り方向)のデフ位置とをとり得るように構成されている。
【0067】
本実施の形態においては、前記デフロック操作部材310はデフロックペダルとされている。
詳しくは、前記デフロック操作部材310は、図3,図4,図6及び図8に示すように、前記デフロック操作軸310Xに支持される支持部311と、前記支持部311から前方且つ上方へ延びて前記一対のメインフレーム11L,11Rに直接又は間接的に支持される前記ステップ80の上方へ延在されたステップ部312(図2,図10及び図11も併せて参照)と、前記支持部311から下方且つ上方へ延びる後端部313とを有している。
【0068】
前記デフロック付勢部材320は、前記デフロック操作部材310を前記デフロック操作軸回り他方側のデフ位置へ向けて付勢するように構成されている。
本実施の形態においては、図3及び図4等に示すように、前記デフロック付勢部材320は、一端部が前記デフロック操作部材310の後端部313に連結され且つ他端部が前記左側メインフレーム11Lに連結されたコイルスプリングとされている。
【0069】
前記デフロックリンク部材330は、前記デフロック操作部材310の前記デフロック操作軸310X回りの回転に応じて軸線方向に移動するように第1端部側が前記デフロック操作部材310に作動連結されている。
本実施の形態においては、図6及び図8等に示すように、前記デフロックリンク部材330は、第1端部側(本実施の形態においては前端部側)が前記デフロック操作部材310の後端部313に連結された状態で車輌前後方向に沿って延びており、前記デフロック操作部材310が前記デフロック操作軸310X回りデフロック位置及びデフ位置へ操作されるとそれぞれ前方側のデフロック位置及び後方側のデフ位置へ移動するようになっている。
【0070】
前記デフロック押動部材340は、前記デフロックリンク部材330の前方側及び後方側への移動に応じて前記デフロック制御軸340X回りにデフロック位置又はデフ位置を取り得るようになっている。
【0071】
具体的には、前記デフロック押動部材340は、図6及び図7に示すように、前記デフロック制御軸340Xに支持される中央部341と、前記中央部341から径方向外方へ延び且つ前記デフロックリンク部材330の第2端部側(本実施の形態においては後端部側)が連結された連結部342と、前記中央部341から径方向外方へ延びて前記デフロック軸56の被押動部56aと対向する押動部343とを有している。
【0072】
前記デフロック押動部材340は、前記デフロック操作部材310がデフロック位置へ操作されると前記デフロックリンク部材330を介して前記デフロック制御軸340X回りデフロック方向(平面視において時計回り方向、図7参照)へ回動され、これにより、前記押動部343が前記デフロック軸56をデフロック位置へ向けて押動する。
【0073】
ところで、前記デフ機構50は前記ブレーキ機構60の作動状態とは関係なく単独で伝動状態が切換可能とされるが、本実施の形態におけるように、前記ブレーキ機構60が前記デフ機構50より伝動方向上流側において制動力を付加する場合には、前記ブレーキ機構60がブレーキ作動状態へ移行される際には前記デフ機構60をデフロック状態へ移行させる必要がある。
【0074】
即ち、前記構成においては、前記ブレーキ機構60がブレーキ作動状態とされると、前記デフ機構50の入力リングギヤに作動的に制動力が付加される。このブレーキ作動状態において前記デフ機構60がデフ状態(即ち、前記一対の駆動車軸6が互いに対して軸線回り相対回転自在な状態)のままとされていると、前記一対の駆動車軸6に均等な制動力が付加されないことが起こり得る。
【0075】
斯かる不都合を防止する為に、本実施の形態に係る前記ブレーキ・デフロック操作構造は、さらに、ブレーキ・デフロック連動/牽制機構400を備えている。
図12に、前記ブレーキ作動部材130及び前記デフロック操作部材310近傍の左側面図を示す。
【0076】
図6及び図12に示すように、ブレーキ・デフロック連動/牽制機構400は、前記ブレーキ作動部材130に形成された長孔410と、第1端部421が前記長孔410に係入され且つ第2端部422が前記デフロック操作部材310に作動連結された連動部材420とを備えている。
【0077】
前記長孔410は、図12に示すように、前記デフロック操作部材310に近接する側の近接端部411と、前記デフロック操作部材310から離間された側の離間端部412と、前記近接端部411及び離間端部412の間を連通する中間部413とを有している。
【0078】
前記連動部材420は、前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置に位置され且つ前記デフロック操作部材310がデフ位置に位置されているブレーキ・デフロック非操作状態においては前記第1端部421が前記近接端部411に位置し、且つ、前記ブレーキ・デフロック非操作状態から前記デフロック操作部材310がデフロック位置へ操作されると前記第1端部421が前記長孔410内において前記近接端部411から前記離間端部412へ移動するように、構成されている。
【0079】
斯かる構成の前記ブレーキ・デフロック連動/牽制機構400は、以下のように作動する。
前述の通り、前記ブレーキ操作部材110がブレーキ解除位置に位置され且つ前記デフロック操作部材310がデフ位置に位置されているブレーキ・デフロック非操作状態においては、前記連動部材420の前記第1端部421は前記長孔410の前記近接端部411に位置している。
このブレーキ・デフロック非操作状態から、前記デフロック操作部材310をデフロック位置へ操作すると、前記連動部材420は、軸線方向一方側(本実施の形態においては前方側)へ押動されるが、この際、前記連動部材420の前記第1端部421は前記長孔410内において前記近接端部411から前記離間端部412へ移動するのみであり、前記ブレーキ作動部材130へは作用しない。従って、前記デフロック操作部材310のみを単独で操作することができる。
【0080】
これに対し、前記ブレーキ・デフロック非操作状態から前記ブレーキ操作部材110をブレーキ作動位置へ操作すると、前記ブレーキ作動部材130は前記ブレーキ操作軸120回りに前記デフロック操作部材310から離間するブレーキ作動方向(本実施の形態においては左側面視において反時計回り方向)へ回転する(図12等参照)。このブレーキ作動部材130のブレーキ作動方向への回転によって、前記連動部材420は軸線方向一方側(本実施の形態においては前方側)へ移動され、これにより、前記デフロック操作部材310が前記デフ操作軸310X回りにデフ位置からデフロック位置へ移動される。
【0081】
つまり、前記ブレーキ・デフロック非操作状態から前記ブレーキ操作部材110をブレーキ作動位置へ操作すると、斯かるブレーキ操作に連動して前記デフロック操作機構300を介して前記デフ機構50がデフロック状態へ移行される。
従って、前記ブレーキ機構60のブレーキ作動時には、前記一対の駆動車軸6の双方に均等な制動力が付加される。
【0082】
本実施の形態に係る前記ブレーキ・デフロック操作構造は、前記種々の効果に加えて、下記効果を奏する。
図15に、図14(a)及び(b)に示す従来のブレーキ・デフロック操作構造の操作力伝達経路を表すフロー図を示す。
図14及び図15に示すように、従来のブレーキ・デフロック操作構造は、ブレーキ操作部材1110からブレーキ機構60へブレーキ操作力を伝達するブレーキ操作経路から、前記デフ機構50をデフロック状態へ移行させる為のデフロック操作力を取り出し、このデフロック操作力を利用して第1デフロック押動部材1180を介して前記デフ機構50の伝動状態を切り換えるように構成されている。
そして、従来のブレーキ・デフロック操作構造においては、ブレーキ調整機構1200は、ブレーキリンク部材1140の軸線方向長さを調整し得るように、該ブレーキリンク部材1140に介挿されている。
【0083】
斯かる従来構成においては、前記ブレーキ機構60における摩擦板群62の摩耗に応じて、ブレーキ操作部材1110の非操作時におけるブレーキ押動部材63の初期位置をブレーキ調整機構1200によって再調整すると、ブレーキ操作部材1110の非操作時における第1デフロック押動部材1180の初期位置も変動してしまう。
【0084】
例えば、前記ブレーキ調整機構1200によって前記ブレーキリンク部材1140を伸長させると、前記ブレーキ操作部材1110をブレーキ解除位置に位置させているにも拘わらず、前記第1デフロック押動部材1180が前記デフロック軸56をデフロック位置へ向けて押動するという不都合が生じ得る。
【0085】
従って、前記従来構成においては、前記ブレーキ調整機構1200を初期状態から変更させると、前記ブレーキ操作経路から取り出した操作力を記デフロック軸56へ伝えるブレーキ連動時デフロック操作経路を再調整するか、若しくは、前記デフロック軸56の初期位置を再調整する必要がある。
なお、前記デフロック軸56の初期位置を再調整すると、これに応じて、デフロック操作部材1310から第2デフロック押動部材1330へ至るデフロック操作経路も再調整しなければならない。
【0086】
これに対し、本実施の形態に係るブレーキ・デフロック操作構造は、前記ブレーキ調整機構200を再調整しても、前記ブレーキ操作機構100に連動して前記デフ機構300をデフロック状態へ移行させるブレーキ連動時デフ操作経路及び前記デフロック操作機構300におけるデフ単独操作時操作経路の双方ともに再調整を行う必要がない。
【0087】
図13に、本実施の形態に係るブレーキ・デフロック操作構造の操作力伝達経路を表すフロー図を示す。
図13に示し且つ前述したように、本実施の形態に係るブレーキ・デフロック操作構造は、前記デフロック操作機構300の単独操作を許容しつつ、前記ブレーキ操作機構100へのブレーキ操作に連動して前記デフ機構50がデフロック状態へ移行するように、前記ブレーキ操作機構100及び前記デフロック操作機構300を連係させる前記ブレーキ・デフロック連動/牽制機構400を備えている。
そして、前記ブレーキ調整機構200は、図13に示すように、前記ブレーキ操作機構100における前記ブレーキ・デフロック連動/牽制機構400の連結部位(本実施の形態においては前記ブレーキ作動部材130)より操作力伝達方向下流側において前記ブレーキ操作機構100に介挿されている。
【0088】
斯かる構成によれば、前記ブレーキ調整機構200を再調整しても、前記ブレーキ操作部材110へのブレーキ操作に連動して前記デフ機構をデフ状態へ移行させるブレーキ連動時デフ操作経路、及び、前記デフロック操作部材310へのデフロック操作に応じて前記デフ機構50をデフ状態へ移行させるデフロック単独操作時操作経路の双方共に、初期設定のまま保持される。従って、従来構成におけるような不都合を有効に防止できる。
【0089】
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前記ブレーキ調整機構200は、操作力伝達方向に関し前記連結部材170及び前記第2従動側ブレーキリンク部材180の間に介挿されるように、前記第2従動側ブレーキリンク部材180の自由端側に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るブレーキ・デフロック操作構造が適用されたトラクタの形態をなす作業車輌の左側面図である。
【図2】図2は、図1に示す作業車輌の部分斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す状態からステップ及びフェンダを取り除いた状態の部分斜視図である。
【図4】図4は、図1〜図3に示す作業車輌におけるミッションケース及びHST近傍の左前方斜視図である。
【図5】図5は、図1〜図3に示す作業車輌におけるミッションケース及びHST近傍の右前方斜視図である。
【図6】図6は、図4に示す状態から左側メインフレームを含む一部の部材を削除した状態の斜視図である。
【図7】図7(a)は、前記作業車輌におけるミッションケースの部分平面模式図であり、前記作業車輌に備えられたブレーキ機構及びデフ機構を示している。図7(b)は、図7(a)におけるVII(b)-VII(b)線に沿った端面図である。
【図8】図8は、一部の部材を削除した状態の前記作業車輌の部分斜視図である。
【図9】図9は、前記作業車輌の部分拡大斜視図である。
【図10】図10は、前記作業車輌における運転席近傍の部分拡大斜視図である。
【図11】図11は、前記運転席を開放させた状態の部分拡大斜視図である。
【図12】図12は、前記作業車輌の部分拡大側面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施の形態に係る前記ブレーキ・デフロック操作構造の操作力伝達経路を示すフロー図である。
【図14】図14(a)及び(b)は、それぞれ、従来のブレーキ・デフロック操作構造の模式側面図及び模式平面図である。
【図15】図15は、図14に示す従来のブレーキ・デフロック操作構造の操作力伝達経路を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0091】
1 作業車輌
6 駆動車軸
15 運転席
16 運転席支持フレーム
17 走行系変速レバー
18 PTO系変速レバー
40 ミッションケース
60 ブレーキ機構
62 摩擦板群
63 ブレーキ押動部材
63X 回転軸線
90 フェンダ
91 開口
95 レバーガイド部材
100 ブレーキ操作機構
110 ブレーキ操作部材
120 ブレーキ操作軸
130 ブレーキ作動部材
140 ブレーキ解除付勢部材
150 ブレーキ制御軸
160 第1従動側ブレーキリンク部材
170 連結部材
171 第1アーム部
172 第2アーム部
180 第2従動側ブレーキリンク部材
190 ブレーキ制御アーム
200 ブレーキ調整機構
210 スリット
220 係合突起
230 位置調整部材
231 ガイド部材
232 ボルト部材(雄ネジ部材)
233 調整ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦板群及びブレーキ押動部材を有し、前記ブレーキ押動部材が回転軸線回りブレーキ作動方向に回転されると前記摩擦板群が摩擦接触して駆動車軸に作動的に制動力を付加する摩擦板式ブレーキ機構と、前記ブレーキ機構を収容するミッションケースと、前記ミッションケースの上面に運転席支持フレームを介して支持された運転席と、前記運転席の側方を覆うフェンダとを備えた作業車輌に適用されるブレーキ操作構造であって、人為操作に応じて前記ブレーキ押動部材を前記回転軸線回りブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ操作機構と、前記ブレーキ操作機構の非操作時における前記ブレーキ押動部材の前記回転軸線回りの初期位置を調整可能なブレーキ調整機構とを備えたブレーキ操作構造において、
前記ブレーキ調整機構は、前記運転席支持フレームの設置を許容する為に前記フェンダに設けられた開口を介して前記フェンダの上方からアクセス可能な位置において、前記ブレーキ操作機構に介挿されていることを特徴とするブレーキ操作構造。
【請求項2】
摩擦板群及びブレーキ押動部材を有し、前記ブレーキ押動部材が回転軸線回りブレーキ作動方向に回転されると前記摩擦板群が摩擦接触して駆動車軸に作動的に制動力を付加する摩擦板式ブレーキ機構と、前記ブレーキ機構を収容するミッションケースと、前記ミッションケースの上方に配設された運転席と、前記運転席の側方を覆うフェンダであって、該フェンダに設けられたレバー開口を覆うようにレバーガイド部材が着脱可能に装着されたフェンダと、前記レバーガイド部材に形成されたガイド孔を介して把持部が前記運転席の側方において前記フェンダより上方に位置するように配設された変速レバーとを備えた作業車輌に適用されるブレーキ操作構造であって、人為操作に応じて前記ブレーキ押動部材を前記回転軸線回りブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ操作機構と、前記ブレーキ操作機構の非操作時における前記ブレーキ押動部材の前記回転軸線回りの初期位置を調整可能なブレーキ調整機構とを備えたブレーキ操作構造において、
前記ブレーキ調整機構は、前記レバーガイド部材を前記フェンダから取り外すことによって現出する前記レバー開口を介して前記フェンダの上方からアクセス可能な位置において、前記ブレーキ操作機構に介挿されていることを特徴とするブレーキ操作構造。
【請求項3】
前記ブレーキ操作機構は、人為操作可能なブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材への人為操作に応じて軸線回りに回転するブレーキ操作軸と、前記ブレーキ操作軸に相対回転不能に支持されたブレーキ作動部材と、前記ブレーキ操作部材,前記ブレーキ操作軸及び前記ブレーキ作動部材を含むブレーキ操作側リンク機構をブレーキ解除位置へ向けて付勢するブレーキ解除付勢部材と、車輌幅方向に沿った状態で前記ミッションケースの内外に跨るように前記ミッションケースの一方の側壁に軸線回り回転自在に支持されたブレーキ制御軸であって、軸線回りブレーキ作動方向へ回転されると前記ブレーキ押動部材を前記回転軸線回りにブレーキ作動方向へ回転させるブレーキ制御軸と、前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた角度だけ前記ブレーキ制御軸が軸線回りに回転するように、前記ブレーキ操作側リンク機構を前記ブレーキ制御軸に作動連結するブレーキ従動側リンク機構とを備え、
前記ブレーキ従動側リンク機構は、前記ブレーキ作動部材の前記ブレーキ操作軸回りの回転に応じて軸線方向に移動するように一端側が前記ブレーキ作動部材に作動連結された第1従動側ブレーキリンク部材と、基端側が前記ブレーキ制御軸に相対回転不能に連結されたブレーキ制御アームと、基端側が前記ブレーキ制御アームに前記ブレーキ制御軸と平行な軸線回り回転自在に連結され且つ基端側から上端側へ行くに従って上方に位置する第2従動側ブレーキリンク部材と、前記ブレーキ制御軸と平行な枢支軸に回転自在に支持された連結部材であって、前記第1従動側ブレーキリンク部材の他端側に連結される第1アーム部及び前記第2従動側ブレーキリンク部材の自由端側に連結される第2アーム部を有する連結部材とを備え、
前記ブレーキ調整機構は、前記第2アーム部の前記第2従動側ブレーキリンク部材に対する連結位置を変更し得るように前記第2従動側ブレーキリンク部材の自由端側に設けられている請求項1又は2に記載のブレーキ操作構造。
【請求項4】
前記ブレーキ調整機構は、前記第2従動側ブレーキリンク部材の自由端側に軸線方向に沿って形成されたスリットと、前記連結部材の前記第2アーム部に設けられ且つ前記スリットに係入される係合突起と、前記スリットの長手方向に関する前記係合突起の係止位置を調整可能な位置調整部材とを有していることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ操作構造。
【請求項5】
前記位置調整部材は、軸線方向が前記スリットの長手方向を向くように前記第2従動側ブレーキリンク部材に固着された中空のガイド部材と、前記ガイド部材に挿通された雄ネジ部材であって、基端部が前記係合突起に連結された雄ネジ部材と、前記ガイド部材の上端面に当接された状態で前記雄ネジ部材が螺入される調整ナットとを備えていることを特徴とする請求項4に記載のブレーキ操作構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図7】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−83816(P2009−83816A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259723(P2007−259723)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】