説明

ブート構成変更方法

【課題】サーバがブートに利用するディスクを変更する方法において、サーバのOSやアプリケーションの再構築作業およびサーバのブートプログラムの設定が必要であり、手間がかかる。
【解決手段】サーバがブートに利用していたディスクとは別に前記ブート用のディスクと
同じ内容を持つ移行先ディスクを持ち、前記サーバまたは前記計算機システムの別のサー
バがブートに利用するディスクを前記移行先ディスクへと変更する方法において、前記移
行先ディスクの内容を変更して前記移行先ディスクにインストールされているOSおよびアプリケーションが前記移行先ディスクから起動することを可能とし、該サーバのブートプログラムの設定を変更して前記移行先ディスクからブート可能とすることで、該サーバのブートに利用するディスクの変更を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバがブートに利用するディスクを変更するブート構成変更方法に関する

【背景技術】
【0002】
一般に、サーバは内蔵のディスク装置にインストールされたOSをブートする。しかし、
サーバが利用するディスク容量が増大し、ディスク装置の容量が不足した場合には、サー
バの内蔵ディスクを交換する必要がある。さらに、ディスク装置のバックアップ作業は各
サーバでバックアップソフトウェアなどを稼動させて実施する必要があるため、手間がか
かる。また、サーバ台数が増大すると、多数のサーバのディスク装置を交換する作業や、
バックアップする手間は大変大きくなる。
【0003】
これに対して、サーバがネットワークを介して、ディスク装置として外部ディスク装置
のディスクを利用してブートする形態がある。この構成では、ディスクの容量が不足した
場合にも、外部ディスク装置内にディスクを簡単に増設できるため、作業を省力化できる
。さらに、バックアップは外部ディスク装置内の複数のディスク間でコピーすることがで
きるため、サーバでソフトウェアを稼動させる手間を省力化できる。また、複数のサーバ
が外部ディスク装置のディスクからブートする計算機システムでは、1台の外部ディスク
装置に全てのサーバのディスクを集約できるため、ディスクの増設やバックアップ作業を
1台の外部ディスク装置に対して実施でき、サーバ台数が増大した場合の手間を省力化で
きる。また、この構成では、ネットワークやネットワークスイッチを介して計算機システ
ムの複数のサーバと接続することができるため、外部ディスク装置に接続されたあるサー
バのブートディスクは、別のサーバから参照可能である。このため、この構成では、業務
を実行中の現用サーバで障害が発生した場合、そのサーバのブートディスクを利用して別
のサーバが起動することで業務を引き継ぐことができる。
【0004】
このような背景から、ディスクの増設やバックアップ作業の省力化、およびサーバで障
害が発生した場合のディスク引き継ぎによる業務引き継ぎを可能とするため、内蔵ディス
クからブートするサーバから成る計算機システムを、外部ディスク装置からブートする構
成へと移行する方法が望まれている。しかし、これを実現するには、サーバのデータ部分
を外部ディスク装置にコピーし、サーバのOSやアプリケーションソフトウェアなどのシステム部分を再構築する作業を行う必要があるため、計算機システムの規模が大きくなると
、作業量が増大してしまう問題があった。
【0005】
また、外部ディスク装置からブートするサーバから成る計算機システムにおいて、たと
えばテスト環境で構築したあるサーバの業務を、本番環境である別のサーバへと移行する
方法が望まれている。これを実現する方法として、テスト環境のサーバが利用する外部デ
ィスク装置のディスクから移行先のサーバをブートする必要がある。しかし、これを実現
するには、移行先のサーバが、テスト環境のサーバが利用していた外部ディスク装置のデ
ィスクからブートできるように、移行先のサーバのブートプログラムの設定変更の作業が
必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、サーバがブートに利用するディスクを変更する方法
において、サーバのOSやアプリケーションの再構築作業およびサーバのブートプログラムの設定を不要とすることで、サーバのブート用ディスクの変更作業を省力化することである。
【0007】
内蔵ディスクを利用してブートするサーバを外部のディスク装置からブートする構成へ
と移行する場合、ソフトウェアの再構築が必要となるため、大規模な計算機システムでは
多大な作業量を要していた。
【0008】
また、外部ディスク装置のディスクからサーバがブートする計算機システムにおいて、
あるサーバの業務を別のサーバへと移行するには、移行先となるサーバが移行元であるサ
ーバの利用していた外部ディスクのディスクからブート可能とするために、ブートプログ
ラムの設定変更作業が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくとも1台のサーバがネットワーク上の外部ディスク装置に接続され、サーバは外
部ディスク装置からオペレーションシステム(OS)をブートできる計算機システムにおい
て、サーバがブートに利用していたディスクとは別に移行先ディスクを持ち、前記サーバ
または前記計算機システムの別のサーバがブートに利用するディスクを前記移行先ディス
クへと変更する方法において、前記ブート用のディスクと前記移行先のディスクの内容を
同期し、前記移行先ディスクの内容を変更して前記移行先ディスクにインストールされて
いるOSおよびアプリケーションが前記移行先ディスクから起動することを可能とし、さらに該サーバのブートプログラムの設定を変更して前記移行先ディスクからブート可能とすることで、該サーバのブートに利用するディスクの変更を実現する。
【発明の効果】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、サーバがブートに利用するディスクを変更する方法
において、サーバのOSやアプリケーションの再構築を不要とし、サーバのブートプログラムの設定を不要とすることで、サーバのブートに利用するディスクの変更作業の省力化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の全体構成図を示す。(実施例1)
【図2】サーバの構成図を示す。
【図3】管理サーバの構成図を示す。
【図4】サーバ管理テーブルを示す。
【図5】ディスクマッピングテーブルを示す。
【図6】ディスク同期テーブルを示す。
【図7】ディスクマッピング機構の構成を示す。
【図8】サーバへのディスクマッピング構成の例を示す。
【図9】ディスク同期の例を示す。
【図10】本発明のシーケンス図を示す。
【図11】サーバ障害検出機能の処理フローを示す。
【図12】サーバ障害管理機能とストレージ管理機能のシーケンス図を示す。
【図13】本発明の全体構成図を示す。(実施例2)
【図14】セキュリティ機構の構成を示す。(実施例2)
【図15】ネットワークスイッチのセキュリティ設定の例を示す。(実施例2)
【図16】サーバ管理テーブルを示す。((実施例2)
【図17】本発明のシーケンス図を示す。(実施例2)
【図18】サーバ障害検出機能とストレージ管理機能のシーケンス図を示す。(実施例2)
【図19】本発明のシーケンス図を示す。(実施例2)
【図20】サーバの構成図を示す。(実施例3)
【図21】ミラーリング機構による同期構成の例を示す。(実施例3)
【図22】本発明のシーケンス図を示す。(実施例3)
【図23】サーバ障害管理機能とストレージ管理機能のシーケンス図を示す。(実施例3)
【図24】本発明の全体構成図を示す。(実施例4)
【図25】サーバの構成図を示す。(実施例4)
【図26】バックアップ機構によるバックアップ構成の例を示す。(実施例4)
【図27】本発明のシーケンス図を示す。(実施例4)
【図28】共有ディスク構成の例を示す。(実施例4)
【図29】本発明のシーケンス図を示す。(実施例5)
【図30】本発明の全体構成図を示す。(実施例6)
【図31】本発明のシーケンス図を示す。(実施例6)
【図32】サーバ障害管理機能とストレージ管理機能のシーケンス図を示す。(実施例6)
【図33】現用系サーバのブートプログラムとネットワークブート機能とエージェントとブート管理機能のシーケンス図を示す。(実施例6)
【図34】ブート構成テーブルを示す。(実施例1)
【図35】予備系サーバのブートプログラムとネットワークブート機能とエージェントとブート管理機能のシーケンス図を示す。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明における実施例の全体図を示している。本実施例のシステムは複数のサーバ102を備える。各サーバは、ネットワークインターフェースカード(NIC)121およびネットワークアダプタ(Adaptor)120を介してネットワークスイッチ(NW SW)104に接続されている。ここでネットワークスイッチはIPプロトコルを取り扱うスイッチであっても、ファイバチャネルのスイッチであっても良い。また、Adaptor120の接続先ネットワークスイッチは、NIC121とは別のスイッチであっても良い。また、ネットワークスイッチ104は外部ディスク装置103に接続され、サーバ102からアクセスできる。さらに、ネットワークスイッチ104は、システムを管理する管理サーバ101にも接続されている。また、サーバ102の各々にはBMC(Baseboard Management Controller)122が内蔵されておいる。BCM122はネットワークを介して管理サーバ101に接続される。これにより各サーバのハードウェアの状態監視や、電源制御が可能となる。また、外部ディスク装置には外部ディスク装置を制御する外部ディスク装置コントローラ130を搭載し、外部ディスク装置コントローラ130には、ディスクマッピング機構131とディスク同期機構132を持つ。ディスクマッピング機構131は外部ディスク装置103に接続されたサーバ102からアクセス可能とするディスク133を管理している。また、ディスク同期機構132は、外部ディスク装置内のディスク133の内容を予備ディスク134と同期するように制御する。管理サーバ101には、サーバで障害が発生した場合に、障害が発生したサーバの業務を別のサーバへと業務を引き継ぐフェイルオーバ機構110と、サーバのブート構成を変更するブート構成変更機能120から構成される。
【0013】
図2は、本実施例におけるサーバ102の詳細な構成を示している。サーバ102には
プログラムやデータを格納するメモリ201と、メモリ内のプログラムを実行するCPU2
02と、Adaptor120と、NIC121と、BMC122から構成されている。CPU上で稼
動するブートプログラム220を備える。Adaptor120にはユニークなデバイス識別子(
ID)204がメモリに格納されている。このID204は、たとえばネットワークアダプタ
の場合はMACアドレスであり、ファイバチャネルのホストバスアダプタの場合はWWNである。BMC122は、主にサーバ102のハードウェアの監視や制御を行う。サーバ102のハードウェアに異常が発生した場合は障害検出機構205が検知して外部に通知可能である。また、BMC122を通じて遠隔からサーバ102の電源のON/OFFが可能である。ブートプログラム220は、たとえばSystem BIOSやEFIなどのプログラムであり、サーバ102が電源ONしたときに、あらかじめ不揮発メモリ203に登録されているブートに利用するデバイスからサーバ102がブートするように動作する。また、ブートプログラム220は、Adaptor120がネットワークから受信したOSからもブートできる。
【0014】
図3は本実施例において、図1における管理サーバ101を構成するフェイルオーバ機
構110とブート構成変更機構120の詳細を示している。フェイルオーバ機構110は
、サーバの障害状態の監視を行うサーバ障害検出機能301と、サーバ障害発生時のフェ
イルオーバ動作の実行やサーバ電源制御を行うサーバ障害管理機能302と、サーバのハ
ードウェアの物理位置や業務グループ、業務の稼動状態およびサーバの利用状態を格納す
るサーバ管理テーブル303と、サーバの利用するディスクのマッピングや同期処理を制
御するストレージ管理機能304と、ディスクのマッピング状態を管理するディスクマッ
ピングテーブル305と、ディスクの同期処理の状態を管理するディスク同期テーブル3
06から構成される。ブート構成変更機構120は、サーバをネットワークからブート可
能とするネットワークブート機能307と、サーバのブート構成を変更するブート管理機
能308と、サーバのブートデバイスの状態を示すブート構成テーブル309から構成さ
れる。ネットワークブート機能307は、ネットワークを介してサーバ102にエージェ
ント330を送付し、サーバ102は送付されたエージェント330を起動する。ネット
ワークブート機能307は、たとえばサーバ102をPXEプロトコルでブート可能とするDHCPサーバ機能に相当する。
【0015】
図4は、図3におけるサーバ管理テーブル303の詳細を示している。サーバ管理テー
ブル303は、フェイルオーバ機能110が管理対象としているサーバの一覧と、各サー
バの物理位置情報、業務の稼動情報、および状態が格納されている。テーブルのカラム4
01は、サーバの識別子が格納されている。サーバ識別子401は、サーバが特定できる
情報であれば良い。サーバのシリアル番号や、ブレードサーバであれば、ブレード番号な
どである。カラム402はサーバの物理位置情報を示している、サーバの障害発生時など
に、障害発生部位に当たるサーバを特定するためなどに使用する。カラム403はサーバ
の業務グループを示している。業務グループには業務を稼動中である1つ以上の現用サー
バと、業務を稼動していない予備サーバとで構成される。業務グループに属する現用サー
バで障害が発生した場合には、おなじ業務グループに属する予備サーバへとフェイルオー
バを実施することになる。カラム404はサーバの業務稼動状態を示している。業務を稼
動中であれば現用サーバであり、稼動していなければ予備サーバである。カラム405は
サーバの状態を示している。サーバが正常に運用中であるか、障害発生状態にあるか、ま
たはフェイルオーバが実行された状態にあるかなどを示す。この情報をもとに、フェイル
オーバが必要なサーバが存在するかを確認でき、かつフェイルオーバ先として選択可能な
サーバが存在するかを特定できる。カラム406はサーバのフェイルオーバ状態を示す。
フェイルオーバが実行されたサーバに対しては、そのサーバのフェイルオーバ先のサーバ
識別子と物理位置情報などを示す。また、フェイルオーバによって業務を引き継いだサー
バは、フェイルオーバ前にもともと業務が稼動していたサーバに識別子と物理位置情報な
どを示す。カラム406の情報を元に、サーバをフェイルオーバ状態から復旧することが
できる。
【0016】
図5は、図3におけるディスクマッピングテーブル305の詳細を示している。カラム
501はサーバの識別子を示す。この識別子は、図4のカラム401と同じである。カラ
ム502はサーバ搭載のAdaptor120のID情報を示している。たとえば、Adaptor120
がネットワークカードであればMACアドレスを示し、Adaptor120がファイバチャネルのホストバスアダプタであればWWNを示す。カラム503は、カラム501で示すサーバのブートディスクが存在する外部ディスク装置の識別子を示している。カラム504は、カラム503の外部ディスク装置に存在するブートディスクの識別子を示す。カラム504のブートディスクは、カラム505は、カラム501で示すサーバの予備ディスクが存在する外部ディスク装置の識別子を示している。カラム506は、カラム505の外部ディスク装置に存在する予備ディスクの識別子を示す。ここで、カラム506の予備ディスクは、サーバで障害が発生した場合のフェイルオーバ時に、業務の引き継ぎ先となる予備サーバがブートに利用するディスクのことである。なお、カラム504のディスクは必ずしもブートディスクの情報だけでなく、サーバがデータ用ディスクを外部ディスクに持つ場合は、そのデータディスクの情報も追加される。同様にカラム506の予備ディスクも、データディスクに対する予備ディスクも追加される。
【0017】
図6は、図3におけるディスク同期テーブル306の詳細を示している。カラム601
は、外部ディスク装置の識別子を示している。カラム602はカラム601に示す外部デ
ィスク装置に存在するディスクを示す。カラム603は、カラム602のディスクの内容
を同期するサブディスクを示す。カラム604は、カラム602で示すディスクの内容と
、カラム603で示すディスクの内容が同期状態にあるか、分離された状態にあるかを示
す。同期状態にある場合は、カラム602で示すディスクへの変更は、同時にカラム60
3で示すサブディスクへと反映される。分離状態である場合は、カラム602で示すディ
スクとカラム603で示すサブディスクは独立して更新される。なお、本実施例の図5に
示したディスクマッピングテーブルのカラム504のディスクとカラム506の予備ディ
スクのペアと、ディスク同期テーブルのカラム602の主ディスクとカラム603のサブ
ディスクのペアは同一としている。
【0018】
図7は、図1における外部ディスク装置103内のディスクマッピング機能131の詳
細を示している。ディスクマッピング機能131は外部ディスク装置103のディスク1
33と、ディスクアレイ装置103にネットワークスイッチ104経由で接続されている
サーバ102に搭載のAdaptor120の持つIDとののマッピングを実施する。このマッピ
ング関係にないIDを持つサーバからはディスクを参照できない。これにより、あるディス
クをあるサーバからのみアクセス可能とするセキュリティ設定が可能である。このセキュ
リティ設定のため、本実施例ではディスクマッピング機能130は図7に示すアクセス許
可テーブルを持つ。カラム701はアクセスを許可するIDを示す。カラム702はカラム
701のIDがアクセス可能なディスクの識別子を示す。
【0019】
図34は、図3におけるブート構成テーブル309の詳細を示している。カラム510
1はサーバの識別子を示す。カラム5102は、サーバがブートに利用しているデバイス
を示す。たとえば、内蔵ディスクからブートするサーバの場合はIDEやSCSIなどであり、
ファイバチャネルやiSCSIからブートするサーバの場合はiSCSI、SANなどである。また、
サーバがブートに利用Adaptor120が複数存在する場合には、このブートデバイス情報
でデバイスを識別できる。ここで、カラム5101の同じサーバの識別子が複数存在する
のは、同じサーバで異なるブートデバイスからブートするための情報を示している。カラ
ム5103は、サーバのブートデバイスのデバイスパスを示す。デバイスパスとは、たと
えば、Linuxの場合には、I/Oデバイスを示すスペシャルデバイス/dev/sda1などである。L
inuxのブートローダであるGRUBやLILOなどは、このデバイスパスを用いてブートするデバイスを特定する。また、このデバイスパスは、LinuxのEXT3などのファイルシステムがマウントするデバイスがファイル/etc/fstabなどに設定されており、この設定ファイルに記述されているマウントするデバイスの情報に相当する。また、デバイスパスは、Windows
(登録商標)の場合にはboot.iniファイルに設定されているブートローダのブートデバイ
スmulti(0)disk(0)rdisk(0)partiotn(1)のセットアップパラメータに相当する。カラム5
104は、ブートデバイスのターゲットWWNを示す。たとえば、ターゲットデバイスが外部ディスク装置の場合は、外部ディスク装置のブートに利用するポートのWWNである。カラム5105は、ブートデバイスのターゲットLUN番号を示す。LUN番号は、外部ディスク装置のディスクの論理的な識別番号である。カラム5104およびカラム5105の情報は、たとえばサーバ102に搭載のAdaptor120がファイバチャネルのHBAの場合には、HBAのBIOSがブートに利用するターゲットデバイスの情報に相当する。カラム5106は、ブートプログラム220がブートに利用するブート設定情報である。ここで、ブートプ
ログラム設定情報とは、たとえば、ブートプログラム220がEFIの場合には、ブートに
利用するAdaptor120のPCIのバス番号やデバイス番号、EFIのパーティション毎に持つUUIDなどである。
【0020】
図8は、本実施例におけるディスクマッピング変更例を示している。サーバ1(801
)に搭載のAdaptor810はWWN1(811)を持ち、サーバ2(802)に搭載のAdaptor820はWWN2(821)を持つ。これらはネットワークスイッチ104を経由して外部ディスクイ装置103に接続されている。ディスクのマッピングはディスクマッピング機構131によって制御されており、ディスク831、833がサーバ1(801)のWWN1(811)にマッピングされ、ディスク832はサーバ2(802)のWWN2(821)にマッピングされている。ディスク831と833はサーバ1(801)からのみアクセス可能であり、ディスク832はサーバ2(802)からのみアクセス可能である。また、ディスク831、832、833にはOSや業務アプリケーションがインストールされているブートディスクを含んでいる。
【0021】
図9は、本実施例におけるディスク同期の例を示している。現用サーバ(901)に搭
載のAdaptor910はWWN1(911)を持ち、予備サーバ(902)に搭載のAdaptor920はWWN2(921)を持つ。これらはネットワークスイッチ104を経由して外部ディスクイ装置103に接続されている。ディスクの同期処理はディスク同期機構132によって制御されており、ディスク831への変更内容は、同時にディスク931へと反映される。これによりディスク831とディスク931の内容は同期される。この図の例では、ディスク831はディスクマッピング機構によって現用サーバ(901)のWWN1(911)にマッピングされている。現用サーバ(901)で障害が発生した場合には、直ちにディスク831とディスク931を分離して同期処理を解除し、ディスク931を予備サーバ(902)のWWN2(921)へとマッピングして、予備サーバ(902)をブートすることにより、現用サーバ(901)はディスク831にアクセス可能なまま、予備サーバ(902)が現用サーバ(901)の稼動していた業務を引き継ぐことができる。
【0022】
図10は、本発明における実施例の動作シーケンスを示している。図示するシーケンス
は、現用サーバ1001、予備サーバ1002、フェイルオーバ機構1003、ディスク
同期機構1004、ディスクマッピング機能1005、ブート構成変更機構1006であ
る。ステップ1030は、フェイルオーバ機構1003のディスク同期開始要求を示す。
この要求を受けて、ステップ1040でディスク同期機構1004がディスクの同期を開
始する。ここで同期するディスクは、図6に示したディスク同期テーブルに存在する現用
サーバ1001の主ディスクとそのサブディスクである。同期処理を開始すると、ステッ
プ1010にて現用サーバの運用を開始する。これにより、現用サーバ1001の業務が
開始される。ステップ1011は、運用中の現用サーバ1001で障害が発生したことを
示す。ステップ1031でフェイルオーバ機構1003が障害の発生を検知する、これと
同時にステップ1012で障害が発生した現用サーバ1001の障害原因解析作業が行わ
れる。この作業はOSメモリのディスクダンプなどである。このステップ1012と並行して、フェイルオーバ機構1003はステップ1032で障害発生サーバが現用サーバ1001であることを特定する。ステップ1032の結果を受けて、ステップ1033で現用サーバ1001の主ディスクとサブディスクの同期の解除をディスク同期機構1004へと要求する。ステップ1041にて、ディスク同期機構1004は現用サーバ1001の主ディスクとサブディスクの同期解除を実行する。同期解除が完了すると、ステップ1034でフェイルオーバ機構1003は現用サーバ1001に対する予備サーバ1002を検索する、この検索には図4に示したサーバ管理テーブルを利用する。ステップ1035にてディスクマッピング機構1005へ予備サーバ1002に現用サーバ1001のサブディスクをマッピングするように指示する。ステップ1050でディスクマッピング機構1005は、予備サーバ1002へ現用サーバ1001のサブディスクをマッピングする。マッピングが完了すると、ステップ1036にて予備サーバ1002の起動を要求する。ステップ1020で予備サーバ1002が起動し、ブートプログラムがネットワークに起動したことを示す情報を送信する。この情報とは、たとえば、PXEブートを実行するために、ネットワークにブロードキャストするマジックパケットなどである。ブート構成変更機構1006は、ステップ1020で送信された情報を受信し、ステップ1061でネットワークブートを予備サーバ1002に要求する。予備サーバ1002はステップ1022でネットワークブートし、ブートしたエージェント370がブート構成変更機構1006と通信を開始する。ブート構成変更機構1006は、ステップ1062で予備サーバ1002のブートプログラム設定の変更要求をエージェント370へ通知する。エージェント370は、ステップ1023にて予備サーバのブートプログラムの設定を変更する。ここで設定を変更するのは、たとえば予備サーバのSystem BIOSやEFIのブートプライオリティやブートデバイスの設定、およびHBAなどのAdaptor120のブートのターゲットデバイスなどである。ステップ1024で、エージェント370は予備サーバをリブートする。ステップ1021では、予備サーバ1002はマッピングされたサブディスクを利用してブートし、ステップ1021にて現用サーバの業務を引き継いで再開する。この予備サーバ1002が業務を引き継いだ後も、現用サーバ1001は障害原因解析作業を続行可能である。障害原因解析作業が完了すると、ステップ1012にて現用サーバ1001を停止する。
【0023】
以下では、図10におけるシーケンスをより詳細に説明する。図11は、サーバ障害管
理検出機能301の動作フローを示している。ステップ1101は、サーバ障害発生時に
サーバの障害報告通知をネットワーク等を通じて受信したことを示す。図1に示すサーバ
102のBMC122が障害を検出すると、サーバ102の障害をサーバ障害検出機構301に通知する、これを受信するとステップ1101にてサーバ障害報告通知を受信する。ステップ1102では、障害報告通知の情報に存在する障害が発生したサーバの物理位置情報などの情報をもとに、障害発生サーバの識別子を特定する。次にステップ1103では、障害報告通知の情報に存在する障害の種類の情報をもとに、発生した障害の種類を特定する。ステップ1104では、サーバ障害管理機能302に、障害が発生したサーバの情報と、障害の種類を通知する。
【0024】
図12はサーバ障害管理機能302と、ストレージ管理機能304の処理シーケンスの
詳細を示している。ステップ1201では、図11のステップ1104に示した障害発生
サーバの識別子と、発生した障害の種類を通知を受けたことを示す。ステップ1202で
は、ストレージ管理機能304に障害が発生したサーバのディスク同期処理を解除するよ
うに要求する。このとき要求には、障害発生サーバの識別子の情報を含む。ステップ12
03では、障害発生サーバの識別子をもとに図5に示したディスクマッピングテーブルを
参照し、障害発生サーバの使用ディスクを検索する。ステップ1204では、ステップ1
203で検索の結果発見したディスクの情報をもとに、図6に示したディスク同期テーブ
ルを参照してサブディスクを検索する。ステップ1205では、ステップ1204の結果
発見したサブディスクと主ディスクの組み合わせの同期処理を解除するように、図1に示
すディスク同期機構132に要求する。ディスク同期機構132がディスク同期の解除を
完了すると、ステップ1206で同期処理解除の完了通知を受ける。ステップ1207で
は、図4に示したサーバ管理テーブルを参照して、障害発生サーバに対するフェイルオー
バ先となる予備サーバを検索する。ステップ1208では、ステップ1207の結果発見
した予備サーバに対して、障害発生サーバの予備ディスクをマッピングするように要求す
る。このとき、要求には障害発生サーバの識別子の情報を含む。ステップ1209では、
障害発生サーバの予備ディスクを、予備サーバへとマッピングするように図1に示したデ
ィスクマッピング機構131に要求する。本実施例では、図5に示すディスクマッピング
テーブルの予備ディスクと、図6に示すディスク同期テーブルのサブディスクは一致して
いるので、このディスクマッピング要求により、予備サーバにはステップ1205で同期
処理の解除を要求したサブディスクがマッピングされることになる。ディスクマッピング
機構131でマッピングの処理が完了すると、ステップ1210でディスクマッピング完
了の通知を受ける。ステップ1211では、予備サーバを起動する。これにより、障害発
生サーバのサブディスクを利用して予備サーバが起動する。
【0025】
図35はネットワークブート機能307と、ブート管理機能308、およびエージェン
ト370の処理シーケンスの詳細を示している。ステップ5211は、予備サーバが起動
された後に起動するブートプログラム5200が、ネットワークブート情報を送信するこ
とを示す。ここでネットワークブート情報とは、たとえばPXEブートを実行するためにDHCPサーバへ送付するマジックパケットなどである。ステップ5212では、ネットワークブート機能307が、ステップ5211で送信されたネットワークブート情報を受信する。ステップ5213は、ネットワークブート情報を受けて、予備サーバへとネットワークブートプログラムとして、エージェント370を送付することを示す。ステップ5214では、予備サーバのブートプログラム5200が、ネットワークブート機能307から受信したエージェント370を起動する。ステップ5215では、ステップ5214で起動したエージェント370がブートデバイスの更新情報をブート管理機能308に要求する。ステップ5216では、ブート管理機能308がブート構成テーブル309を参照して、移行元である現用サーバがブートに利用していた情報と、予備サーバが予備ディスク134からブートするために必要となる情報を取得する。ステップ5217では、ステップ5216で取得した現用サーバと予備サーバのブートデバイス情報を比較して、予備サーバのブートプログラム220およびAdaptor120のブート設定情報、予備ディスク134にインストールオされているペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムが利用するブートデバイスおよびマウントポイントの情報のうち、更新すべき情報があるかを調査し、更新すべき情報をブートデバイス更新情報として作成する。ステップ5218では、ステップ5217で作成したブートデバイス更新情報をエージェント370へ通知する。ステップ5219では、エージェント370がブートデバイス更新情報を受信し、ブートプログラム220およびAdaptor120のブート設定情報の変更が必要であれば、不揮発メモリ203に記録されている設定情報を更新する。ここで、不揮発メモリ203は、Adaptor120がたとえばPCIカードであった場合には、PCIカード搭載の不揮発メモリも含む。更新する内容は、たとえばブートプログラムがEFIの場合には、EFIのブートデバイスパスとしてブート構成テーブル309のブートプログラム設定情報5106の情報を登録する。また、Adaptor120の更新内容としては、たとえばAdaptor120がファイバチャネルのHBAの場合には、HBA-BIOSに設定するブートのターゲットデバイスであるターゲットのWWNとターゲットのLUNなどである。ステップ5220では、ブートデバイス更新情報を参照して、予備ディスクの内容を更新する必要があれば、予備ディスクの内容を更新する。ここで予備ディスクを更新する内容としては、たとえば予備ディスクにオペレーティングシステムとしてLinuxがインストールされている場合には、Linuxのブートローダのブートデバイス情報と、デバイスのマウント情報などである。ステップ5221では、エージェントが予備サーバをリブートする。リブート後は予備サーバはネットワークブートはせず、予備ディスクを利用してブートする。
【実施例2】
【0026】
本発明における実施例2では、実施例1で示した外部ディスク装置コントローラ130
に存在するディスクマッピング機構131は存在しなくても良い方法を示す。
【0027】
図13は、本発明における実施例2の全体図を示している。実施例1と異なるのは、ネ
ットワークスイッチ104のネットワークスイッチコントローラ140で動作するセキュ
リティ機構141を有することである。また、外部ディスク装置コントローラ130に存
在するディスクマッピング機構131は存在しなくても良い。セキュリティ機構141は
ネットワークスイッチに接続されているサーバ102や外部ディスク装置103などの機
器間で通信可能な機器を制限するセキュリティ機能である。ネットワークスイッチ104
の典型的なセキュリティ機能の例は、VLANやゾーニングなどである。
【0028】
図14は、図1で示したセキュリティ機構141の詳細を示している。セキュリティ機
構141はセキュリティテーブル1400を持つ。カラム1401はネットワークスイッ
チ140のポートの物理位置を示すIDのリストを示す。カラム1402はポートのIDが属するセキュリティグループを示している。セキュリティ機構141はセキュリティグループが同じポートの接続されている機器間は通信可能とする。なお、カラム1401のポートのIDは、ポートに接続されている機器のadaptor120の固有IDであるWWNやMACアドレスなどを用いても良い。
【0029】
図15は、本実施例のセキュリティ設定の変更例を示している。ここでは外部ディスク
装置130のディスクマッピング機構131を利用せず、外部ディスクの全てのディスク
(831、832、833)がアクセス可能であるとしている。ネットワークスイッチ1
04にセキュリティ機構141が存在しない場合は、サーバ1(801)とサーバ2(8
02)の両方からディスク831、832、833がアクセス可能である。セキュリティ
機構141がネットワークスイッチ104のポート1とポート6を同一グループにするよ
うセキュリティ設定が実施されている場合は、ポート1に接続しているサーバ1(801
)は、ポート6に接続している外部ディスク装置103へとアクセス可能とし、ポート2
に接続しているサーバ2(802)からポート6へはアクセス許可をしないことで、サー
バ2(802)からはディスク831、832、833はアクセスできない。セキュリテ
ィ機構141のセキュリティ設定を変更し、ポート2とポート6を同一グループに設定す
ることで、サーバ2(802)からディスク831、832、833をアクセス可能とな
る。
【0030】
図16は、本実施例において、図4で示したサーバ管理テーブル303へと追加される
情報の例である。カラム1601とカラム1602、カラム1603が追加情報である。
カラム1601はカラム501に示すサーバに搭載のadaptorのIDを示し、これは図5に
示したディスクマッピングテーブルのカラム502と同様である。カラム1602はカラ
ム1601のID情報を持つadaptorが接続されているネットワークスイッチ104を識別
する接続先ネットワークスイッチIDを示している。カラム1603はカラム502のID情報を持つadaptorが接続されているネットワークスイッチ104のポートの位置を示す識別情報である接続先ネットワークスイッチポートIDを示している。この情報を利用して、
フェイルオーバ機構110はサーバ102の接続先となるネットワークスイッチ104と
ポート位置を取得可能である。
【0031】
図17は、本実施例の動作シーケンスを示している。図示するシーケンスは、現用サー
バ1001、予備サーバ1002、フェイルオーバ機構1003、ディスク同期機構10
04、ブート構成変更機構1006、セキュリティ機構1705である。実施例1と異な
るのは、ステップ1750である。ステップ1750では、セキュリティ機構141のセ
キュリティ設定を変更し、予備サーバから現用サーバの予備ディスク134をアクセス可
能となるように変更する。これにより、予備サーバはアクセス可能となった予備ディスク
134を利用して起動することができる。
【0032】
図18は、本実施例におけるサーバ障害管理機能302と、ストレージ管理機能304
の処理シーケンスの詳細を示している。実施例1と異なるのは、ステップ1809とステ
ップ1810である。ステップ1809は、ストレージ管理機能304がステップ120
5で同期処理を解除したディスクを予備サーバからアクセス可能とするようにセキュリテ
ィ機構141に要求する。ステップ1810では、ストレージ管理機能304が、セキュ
リティ機構141からステップ1809で要求したセキュリティ設定変更処理の完了通知
を受信する。これにより、予備サーバから現用サーバの予備ディスク134を予備サーバ
がアクセス可能となる。
【0033】
図19は、本実施例の別の動作シーケンスを示している。図示するシーケンスは、現用
サーバ1001、予備サーバ1002、フェイルオーバ機構1003、ディスク同期機構
1004、ブート構成変更機構1006、セキュリティ機構1705である。図17と異
なるのは、ステップ1900とステップ1901である。ステップ1900では、セキュ
リティ機構141に対して、現用サーバのNICが接続しているネットワークスイッチ10
4のポートを利用不可能として、現用サーバをネットワークから隔離するように要求する
。ステップ1901では、ネットワークスイッチ104のセキュリティ機構141が、現
用サーバ1001のNICが接続しているネットワークスイッチ104のポートを利用不可
能とする。これにより、現用サーバ1001のNICからネットワークに出力される情報の
流れを止めることで、たとえばIPアドレスなどの情報がステップ1020で起動した予備
サーバ1002とでネットワーク上で競合しないように回避する。また、ネットワークを
隔離する別の方法として、現用サーバ1001のNICが接続されているネットワークスイ
ッチ140のポートのグループIDを、ネットワークスイッチ140のどのポートも属さな
いグループIDに変更する方法もある。
【実施例3】
【0034】
本発明における実施例3では、実施例1と異なり、図1で示した外部ディスク装置10
3にディスク同期機構132が存在しなくても、外部ディスク装置103のディスク13
3と予備ディスク134とでディスクの内容の同期を取る。本実施例では、実施例1に対
して、図2に示したサーバ102の構成が異なる。
図20は、本実施例のサーバ102の詳細を示している。実施例1の図2と異なるのは、
ミラーリング機構2000が存在することである。ミラーリング機構2000はCPU20
2で動作するプログラムであり、サーバ102が外部ディスク装置103のディスク13
3へと出力する全ての情報を、予備ディスク134へも同時に出力する機能を提供する。
【0035】
図21は、本実施例のミラーリング機構2000によるディスク同期の例を示している
。サーバ102から発行されるディスク2101への書き込み命令2100は、ミラーリ
ング機構2000によって、外部ディスク装置103のディスク2101と予備ディスク
2102の両方に同じ内容を書き込む処理へと変換される。これにより、ディスク210
1と予備ディスク2102の内容を同期することができる。また、サーバ102に内蔵デ
ィスクが存在する場合には、ミラーリング機構2000により、内蔵ディスクと外部ディ
スク装置103のディスク2101または予備ディスク2102とに同じ内容を書き込む
ことで、内容を同期することもできる。
【0036】
図22は、本実施例の動作シーケンスを示している。図示するシーケンスは、現用サー
バ1001、予備サーバ1002、フェイルオーバ機構1003、ディスクマッピング機
構1005、ブート構成変更機構1006である。実施例1と異なるのは、ステップ22
01が存在し、ディスク同期機構1004のシーケンスが存在せず、かつディスク同期機
構1004に関するステップが削減されていることである。ステップ2201では、サー
バ102で稼動するミラーリング機構2000により、図21で示したディスク2101
と予備ディスク2102の内容を同期が開始されることを示している。これにより、ディ
スク同期機構1004が存在しなくても、複数のディスクで内容の同期が可能となる。
【0037】
図23は、本実施例におけるサーバ障害管理機能302と、ストレージ管理機能304
の処理シーケンスの詳細を示している。実施例1と異なるのは、ステップ2300と、デ
ィスク同期機構に関するステップが削減されていることである。ステップ2300では、
図21で示した現用サーバの予備ディスク2102を予備サーバへとマッピングするよう
にディスクマッピング機構へと要求する。
【実施例4】
【0038】
本発明における実施例4では、実施例1で示した図1のディスク133が存在しない場
合に、サーバ102がローカルディスクを持つ方法である。本実施例では、現用サーバは
ローカルディスクを利用して業務を運用しているとする。
【0039】
図24は、本実施例の全体図を示す。実施例1の図1と異なるのは、外部ディスク装置
103にディスク133とディスク同期機構132が存在せず、サーバ102にローカル
ディスク123が存在することと、管理サーバ101にバックアップ機構2400が存在
することである。なお、予備サーバとなるサーバ102は、ローカルディスク123を持
たなくても良い。
【0040】
図25は、本実施例におけるサーバ102の詳細を示す。実施例1の図2と異なるのは
、ローカルディスク123を持つことである。
【0041】
図26は、本実施例のバックアップ機構2400の動作の詳細を示す。バックアップ機
構2400は、ネットワークスイッチ104経由でサーバ102のローカルディスク12
3の内容を読み取り、外部ディスク装置103の予備ディスク134にコピーする。
図27は、本実施例の動作シーケンスを示している。図示するシーケンスは、現用サーバ
1001、予備サーバ1002、フェイルオーバ機構1003、バックアップ機構270
0、ディスクマッピング機構1005、ブート構成変更機構1006である。実施例1と
異なるのは、ステップ1033が存在しないことと、バックアップ機構2700の存在と
、ステップ2701とステップ2702である。ステップ2701では、フェイルオーバ
機構1003が現用サーバ1001のローカルディスク123の内容を外部ディスク装置
の予備ディスクにバックアップするように要求する。ステップ2702は、バックアップ
機構2700が、フェイルオーバ機構1003のバックアップ要求を受けて、現用サーバ
1001のローカルディスクの内容を、外部ディスク装置の予備ディスクへとコピーする

【0042】
図28は、本実施例におけるサーバと外部ディスク装置のディスクの構成例を示す。図
28では、現用サーバ2801と予備サーバ2802とで共有ディスク2803を持つ。
この共有ディスク2803に現用サーバ2801で動作していたアプリケーションの設定
データやログなどを共有データ2804に書き込むことで、予備サーバ2802がブート
に利用する予備ディスク134の内容と、現用サーバ2801のローカルディスク281
0とで、内容が不一致となっても、予備サーバ2802が現用サーバ2801とアプリケ
ーションの設定が一致した状態で起動することができる。
【実施例5】
【0043】
本発明における実施例5では、実施例1で示したディスク同期処理を常に実行しない方
法である。
【0044】
図29は、本実施例の動作シーケンスを示している。図示するシーケンスは、現用サー
バ1001、予備サーバ1002、フェイルオーバ機構1003、ディスク同期機構10
04、ディスクマッピング機構1005、ブート構成変更機構1006である。実施例1
と異なるのは、ステップ1033が存在しないことと、ステップ2901とステップ29
02とステップ2903である。ステップ2901では、ステップ1010において現用
サーバ1001で業務運用が開始された後に、フェイルオーバ機構1003が現用サーバ
1001の利用するディスクの内容を外部ディスク装置の予備ディスクと同期するように
要求する。ステップ2902は、ディスク同期機構1004が、現用サーバ1001の利
用するディスクの内容と、外部ディスク装置の予備ディスクとを同期する。ステップ29
03では、ステップ2902でディスクの内容が一致した時点で同期を解除する。これに
より、この後ステップ1011で現用サーバ1001で障害が発生し、現用サーバ100
1の利用するディスクの内容が破壊されても、予備サーバ1002の利用する予備ディス
クの内容は破壊されない。
【実施例6】
【0045】
本発明における実施例6では、実施例4において、サーバを移行するのではなく、サー
バ1台のブートするディスクを別のディスクへと変更する例である。実施例4では、サー
バの障害を契機にサーバのブート構成の変更へと移っていたが、本実施例では、サーバの
ブート構成変更契機は何でも良い。よって、本実施例では、実施例4のフェイルオーバ機
構110のサーバ障害検出機構301は存在しなくても良い。なお、本実施例は内蔵ディ
スクからブートするサーバを外部ディスク装置からブートするように変更しているが、外
部ディスク装置からブートするサーバを内蔵ディスクからブートするように変更すること
も可能である。
【0046】
図30は、本発明における別の実施例の全体図を示している。実施例4の図24と異な
るのは、本実施例のシステムは1台のサーバ102を備えることとである。ただし、複数
のサーバが存在しても良い。
【0047】
図31は、本実施例のシーケンスを示している。実施例4の図27と異なるのは、予備
サーバが存在しないことと、現用サーバに関するステップと、障害発生を契機とせず、ス
テップ3101によるブート構成変更開始が契機となることである。ステップ3102は
、フェイルオーバ機構1003が現用サーバ1001を起動する。ステップ3103で現
用サーバが起動し、ステップ3104でネットワークブートを開始する。ステップ310
5で現用サーバのブートプログラム更新が実施され、ステップ3106で現用サーバをリ
ブートする。ステップ3107で現用サーバが予備ディスクを利用してブートし、業務を
再開する。なお、本実施例において、ネットワークブート機能307が存在しなくても、
たとえばエージェント370が現用サーバのディスク123にインストールされていれば
、ステップ3101を契機に現用サーバでエージェント370が稼動し、ステップ310
5からのシーケンスを単に実行すればよい。
【0048】
図32は、本実施例におけるフェイルオーバ機構110のサーバ障害管理機能302お
よびストレージ管理機能304の詳細シーケンスを示す。ステップ3201では、ブート
構成変更要求を受け付ける。この要求は、計算機システムの管理者が手動で要求しても、
他のソフトウェアから自動で要求されても良い。ステップ3202では、現用サーバへの
予備ディスクのマッピングをストレージ管理機能304に指示する。ステップ3203で
は、ストレージ管理機能304は、予備ディスクを現用サーバへとマッピングするように
ディスクマッピング機能へと要求する。ステップ3204では、ディスクマッピング機構
からステップ3203のディスクマッピング要求の完了通知を受ける。ステップ3205
では、サーバ障害管理機能302が現用サーバを起動する。
【0049】
図33は、本実施例におけるはネットワークブート機能307と、ブート管理機能30
8、およびエージェント370の処理シーケンスの詳細を示している。図35に示した実
施例1の処理シーケンスとの違いは、予備サーバが現用サーバへと変わることと、ステッ
プ3316である。ステップ3316では、ブート構成テーブルから、現用サーバの予備
ディスクのブートデバイスに対する情報を取得する。たとえば、現用サーバのブートデバ
イスをIDEからSANに変更する場合は図34のカラム5102のブートデバイスにおいて、
IDEからSANに変更することになる。
【0050】
本実施例のディスクマッピング機能131が存在しない場合であっても、実施例1に対
する実施例2と同様に図13のセキュリティ機構141に代替可能である。また、本実施
例のバックアップ機能2400が存在しない場合であっても、実施例3の図20に示すミ
ラーリング機構2000で代替が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本特許のブート構成変更方法は、あるサーバで稼動中の業務を、別のサーバへと引き継
ぐ方法として利用可能である。また、一方のサーバである業務を稼動中に、もう一方のサ
ーバでソフトウェアおよびハードウェアのアップデートや入れ替え作業、およびテスト作
業を並行して実施できる。
【符号の説明】
【0052】
101 管理サーバ
102 サーバ
103 外部ディスク装置
104 ネットワークスイッチ
110 フェイルオーバ機構
120 ブート構成変更機構
120 Adaptor
121 NIC
122 BMC
123 ローカルディスク
130 外部ディスク装置コントローラ
131 ディスクマッピング機構
134 予備ディスク
2400 バックアップ機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバとサーバが、ネットワークスイッチを介して、外部ディスク装置と接続され、
該サーバは該外部ディスク装置または各サーバの内蔵ディスクからオペレーティングシステムをブートすることで起動可能になる計算機システムにおいて、該サーバがブートに利用するディスクを変更するブート構成変更方法であって、
前記管理サーバは、
前記サーバがブートに利用する移行前ディスクの内容を移行先ディスクとで同期始要求をする同期ステップと、
前記移行先ディスクが保持するオペレーティングシステムのブートローダの設定およびマウント設定を変更するディスク内容変更ステップと、
を有することを特徴とするブート構成変更方法。
【請求項2】
前記ディスク内容変更ステップでは、前記サーバの起動時に、前記サーバがネットワークブートにより前記管理サーバからエージェントを受け取り起動し、前記エージェントが前記移行先ディスクの内容を変更することを特徴とする請求項1のブート構成変更方法。
【請求項3】
前記サーバのブートプログラムの設定を前記移行先ディスクからブートするように変更するブートプログラム設定変更ステップを更に有することを特徴とする請求項1のブート構成変更方法。
【請求項4】
前記ブートプログラム設定変更ステップに基づいて、前記サーバの起動時に、前記サーバがネットワークブートにより前記管理サーバからエージェントを受け取って起動し、前記エージェントがブートプログラムの設定を変更することを特徴とする請求項のブート構成変更方法。
【請求項5】
前記ブートプログラム設定変更ステップでは、前記サーバの起動時に、前記サーバがネットワークブートにより前記管理サーバからエージェントを受け取って起動し、前記サーバのブートデバイスに搭載されるブートプログラムの設定を変更することを特徴とする請求項1のブート構成変更方法。
【請求項6】
前記サーバが前記移行先ディスクからブートをするようにブート要求をするステップとを更に有することを特徴とする請求項1のブート構成変更方法。
【請求項7】
管理サーバとサーバが、ネットワークスイッチを介して、外部ディスク装置と接続され、
該サーバの各々は該外部ディスク装置からオペレーティングシステムをブートすることで起動可能になる計算機システムにおいて、該サーバがブートに利用するディスクを変更するブート構成変更方法であって、
前記管理サーバは、
前記サーバがブートに利用する移行前ディスクの内容を移行先ディスクとで同期開始要求をする同期ステップと、
前記移行先ディスクが保持するオペレーティングシステムのブートローダの設定およびマウント設定を変更するディスク内容変更ステップと、
を有することを特徴とするブート構成変更方法。
【請求項8】
前記ディスク内容変更ステップでは、前記サーバの起動時に、前記サーバがネットワークブートにより前記管理サーバからエージェントを受け取り起動し、前記エージェントが前記移行先ディスクの内容を変更することを特徴とする請求項7のブート構成変更方法。
【請求項9】
前記サーバとは別の移行先サーバのブートプログラムの設定を前記移行先ディスクからブートするように変更するブートプログラム設定変更ステップを更に有することを特徴とする請求項7のブート構成変更方法。
【請求項10】
前記ブートプログラム設定変更ステップでは、前記サーバの起動時に、前記サーバがネットワークブートにより前記管理サーバからエージェントを受け取って起動し、前記サーバのブートデバイスに搭載されるブートプログラムの設定を変更することを特徴とする請求項のブート構成変更方法。
【請求項11】
前記ブートプログラム設定変更ステップに基づいて、前記サーバの起動時に、前記サーバがネットワークブートにより前記管理サーバからエージェントを受け取って起動し、前記サーバのブートデバイスに搭載されるブートプログラムの設定を変更することを特徴とする請求項9のブート構成変更方法。
【請求項12】
前記サーバが前記移行先ディスクからブートをするようにブート要求をするステップを更に有することを特徴とする請求項ブート構成変更方法
【請求項13】
管理サーバとサーバが、ネットワークスイッチを介して、外部ディスク装置と接続され、
該サーバは該外部ディスク装置または各サーバの内蔵ディスクからオペレーティングシステムをブートすることで起動可能になる計算機システムにおいて、
管理サーバが、
前記サーバがブートに利用する移行前ディスクの内容を移行先ディスクとで同期開始要求をするする同期手段と、
前記移行先ディスクが保持するオペレーティングシステムのブートローダの設定およびマウント設定を変更するディスク内容変更手段と、
を有することを特徴とする管理サーバ
【請求項14】
前記サーバのブートプログラムの設定を前記移行先ディスクからブートするように変更するブートプログラム設定変更ステップを更に有することを特徴とする請求項13の管理サーバ。
【請求項15】
管理サーバとサーバが、ネットワークスイッチを介して、外部ディスク装置と接続され、
該サーバの各々は該外部ディスク装置からオペレーティングシステムをブートすることで起動可能になる計算機システムにおいて、
前記管理サーバは、
前記サーバがブートに利用する移行前ディスクの内容を移行先ディスクとで同期開始要求をする同期手段と、
前記移行先ディスクが保持するオペレーティングシステムのブートローダの設定およびマウント設定を変更するディスク内容変更手段と、
を有することを特徴とする管理サーバ。
【請求項16】
前記サーバとは別の移行先サーバのブートプログラムの設定を前記移行先ディスクからブートするように変更するブートプログラム設定変更手段を更に有することを特徴とする請求項15の管理サーバ。
【請求項17】
管理サーバとサーバが、ネットワークスイッチを介して、外部ディスク装置と接続され、
該サーバは該外部ディスク装置または各サーバの内蔵ディスクからオペレーティングシステムをブートすることで起動可能になる計算機システムにおいて、該サーバがブートに利用するディスクを変更する計算機システムであって、
前記計算機システムは、
前記サーバがブートに利用する移行前ディスクの内容を移行先ディスクとで同期する同期手段と、
前記移行先ディスクが保持するオペレーティングシステムのブートローダの設定およびマウント設定を変更するディスク内容変更手段と、
を有することを特徴とする計算機システム
【請求項18】
前記サーバのブートプログラムの設定を前記移行先ディスクからブートするように変更するブートプログラム設定変更手段を更に有することを特徴とする請求項17の計算機システム
【請求項19】
管理サーバとサーバが、ネットワークスイッチを介して、外部ディスク装置と接続され、
該サーバの各々は該外部ディスク装置からオペレーティングシステムをブートすることで起動可能になる計算機システムにおいて、該サーバがブートに利用するディスクを変更する計算機システムであって、
前記計算機システムは、
前記サーバがブートに利用する移行前ディスクの内容を移行先ディスクとで同期する同期手段と、
前記移行先ディスクが保持するオペレーティングシステムのブートローダの設定およびマウント設定を変更するディスク内容変更手段と、
を有することを特徴とする計算機システム。
【請求項20】
前記サーバのブートプログラムの設定を前記移行先ディスクからブートするように変更するブートプログラム設定変更手段を更に有することを特徴とする請求項19の計算機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−60306(P2011−60306A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233195(P2010−233195)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【分割の表示】特願2005−254292(P2005−254292)の分割
【原出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】