説明

プッシュスイッチ

【課題】電子機器の入力操作部に用いられ、端子を圧接接続して搭載させるタイプのプッシュスイッチに関し、搭載状態で配置安定性に優れる一つのみの単体の圧接型のものを提供する。
【解決手段】前面視略正方形に形成された本体部33に左右に各々突出する突出部35、37が一体で設けられたケース31の前方開口の凹部内に中央接点41と外側接点43とが固定され、中央接点41に繋がって先端が圧接可能な形状とされた左端子51を突出部35下面から下方に向けて導出し、また外側接点43に繋がって先端側が圧接可能な形状とされた右端子53を突出部37下面から下方に向けて導出して、ケース31の左右位置で各端子51、53が各々圧接状態で搭載される構成のものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力操作部に用いられ、配線基板上の配線パターンに端子を圧接接続して搭載させるタイプのプッシュスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表されるような各種電子機器において、組み立て性の向上の観点から、配線基板上の配線パターンに端子を圧接接続させて搭載するタイプのプッシュスイッチが用いられるようになってきている。
【0003】
このような従来のプッシュスイッチについて、図9〜図11を用いて説明する。
【0004】
図9は従来のプッシュスイッチの外観斜視図、図10は同分解斜視図、図11は同水平断面図である。同図において、1は奥行きが薄い厚みで横長の略直方体状に成形樹脂から形成されたケースで、その前面の左右位置それぞれに、前面開口の凹部が独立状態で設けられている。その左側の凹部内には、中央接点2と外側接点4が露出状態で固定され、同様に右側の凹部内には、中央接点6と外側接点8が露出状態で固定されている。
【0005】
中央接点2からの延出部分は、ケース1内を引き回されてケース1の中央下端位置から下方に突出する左端子11に繋がり、中央接点6からの延出部分は、ケース1内を引き回されてケース1の中央下端位置から下方に突出する右端子12に繋がっている。そして、外側接点4からの延出部分と外側接点8からの延出部分は、ケース1内を引き回されて中央部分で繋がり、ケース1の中央下端位置から下方に突出する中央端子13に繋がっている。
【0006】
各端子11〜13は、左から左端子11、中央端子13、右端子12の順で、横に一列に並んでケース1から突出している。各端子11〜13は、側面視で略C字状になるように、中間高さ位置で屈曲部を介して後方に曲げられ、さらに屈曲部を介して前方に曲げられている。その各端子11〜13の最下端となる下面部分が、圧接接続箇所となり、その圧接接続箇所のそれぞれには金メッキが施されていると共に、端子延出方向に沿って下方凸状のリブが設けられている。なお、上記金メッキは、メッキ後にリブ形成をすると微細なクラックが金メッキに入ってしまうこともあるため、通常では、リブの形成後に、後メッキ加工で金メッキを施すことが一般的である。
【0007】
ケース1の左右の凹部内には、円形ドーム状で中央部が前方に突出した金属薄板製の可動接点15と17がそれぞれ配されている。そして、ケース1の左右の凹部をそれぞれ塞ぐように、ケース1前面に絶縁シート19が個々に貼られており、可動接点15と17は、各外周下端が対応する外側接点4と8にそれぞれ載った状態で凹部内に収容されている。
【0008】
以上のように従来のプッシュスイッチは構成されている。
【0009】
そして、このプッシュスイッチは、機器内には、図12に示したように、機器側のスイッチ配置部材21に設けられた係合配置部22にケース1が上方側から挿入されて位置決めされ、下方に配された配線基板25の配線パターンに各端子11〜13が所定量撓んだ圧接状態とされて搭載される。
【0010】
次に動作について説明すると、左側のスイッチを作動させるために、絶縁シート19を介して前方から可動接点15を押圧すると、可動接点15の中央部が節度感をもって後方凸型に弾性変形し、その後面が中央接点2に接触する。これによって、可動接点15を介して中央接点2と外側接点4との間が電気的に接続され、左端子11と中央端子13間が導通する。そして、その押圧力を除くと、可動接点15が自らの復元力で元の前方凸型形状に自己復帰して左端子11と中央端子13間が独立した操作前の状態に戻る。
【0011】
また、右側のスイッチを作動させるために、絶縁シート19を介して前方から可動接点17を押圧すると、同様に可動接点17の中央部が節度感をもって後方凸型に弾性変形し、その後面が中央接点6に接触する。これによって、可動接点17を介して中央接点6と外側接点8との間が電気的に接続され、右端子12と中央端子13間が導通する。そして、その押圧力を除くと、可動接点17が自らの復元力で元の前方凸型形状に自己復帰して右端子12と中央端子13間が独立した操作前の状態に戻るものであった。
【0012】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−213926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のプッシュスイッチは、二つのスイッチが一体化されていた二連タイプのものであったため、例えば音量のアップダウン部位に搭載されて使用されることが多かったが、その搭載時の簡便性から他の部位への使用も機器メーカで検討されるようになり、さらには、様々な配置状態にも対応可能なように、一つのみの単体の圧接型のスイッチ品を要望されることも増えてきた。
【0015】
また、従来のプッシュスイッチは、各端子11〜13がケース1の中央位置に集中して設けられていたため、左右方向の安定性を保つように搭載しなければならないという課題もあった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、搭載状態での配置安定性に優れる一つのみの単体の圧接型のプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0018】
本発明の請求項1に記載の発明は、前面が開放した凹部を備えた成形樹脂製のケースと、凹部底面に露出して固定された第一固定接点および第二固定接点と、凹部内に配され、操作時に上記固定接点どうしを導通させる可動接点と、上記第一固定接点から上記ケース内を引き回されて上記ケースの左側部から導出され、上記ケースの左側部に沿って下方に伸びる先端側が圧接型の端子形状に形成された左端子と、上記第二固定接点から上記ケース内を引き回されて上記ケースの右側部から導出され、上記ケースの右側部に沿って下方に伸びる先端側が圧接型の端子形状に形成された右端子とを備えたプッシュスイッチとしたものである。
【0019】
当該構成のようにケースの左右位置に各端子を配したものとすれば、各端子のアーム長も長くとれ、その長いアーム長で構成されたそれぞれの端子が、ケースの左右位置で各々圧接接続状態で搭載できることから、単体品であるにも拘わらず左右方向を含めて搭載時での配置安定性に優れたものにできるという作用を有する。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、各端子とは別部品で形成され、良導電性メッキが施された接続用部材を、左端子と右端子のそれぞれの搭載状態での圧接接続箇所となる位置に固定した構成としたものである。
【0021】
当該構成のものであれば、従来品のように端子の加工形成後に後メッキ処理をしなくても、良導電性メッキが施された接続用部材を各端子に固定したものとするのみで、搭載状態での配置安定性や各端子の電気的接続安定性に優れるものに価格上昇を抑えつつ実現できるという作用を有する。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、ケースの側部に突出部を設け、各端子の導出部分の根元が上記突出部で覆われ、その突出部の下面から下方に向けて上記各端子が伸ばされたものである。
【0023】
ケースの左右位置から端子を導出し、かつ、その導出方向と異なる方向である上下方向で各端子を圧接接続させる場合には、圧接状態となった端子からの弾性力が端子の根元部分に不要な方向に向いて作用することとなるが、当該構成では、端子の根元部分をケースの突出部内に覆ってその下面から下方に導出させた構成としたため、圧接状態となった端子からの弾性力が突出部のみに作用するようにでき、搭載状態での配置安定性などに優れるものに構成できるという作用を有する。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、ケースに被保持部を設けたものとし、そのケースを有した単体のプッシュスイッチの複数個について、それぞれの被保持部を連結体の保持部で保持させて複数連結させたものであり、この多連構成のものは、左右の最外方位置に必ず端子が位置するものとなるため、搭載状態での配置安定性などに優れ、しかも、連結させる単体のプッシュスイッチの数やその配置ピッチが異なるものを要望された場合でも、保持部の配設位置をそれに応じて設定した連結体を用いることで要望された多連構成のものを容易に提供できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、搭載状態での配置安定性に優れる一つのみの単体の圧接型のプッシュスイッチを実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態によるプッシュスイッチの外観斜視図
【図2】同分解斜視図
【図3】同ケースの前面図
【図4】同水平断面図
【図5】同配線基板に実装する状態を示す図
【図6】同プッシュスイッチを二つ連結させて構成した二連タイプのものの外観斜視図
【図7】同連結前の前方からみた分解図
【図8】同連結前の後方からみた分解図
【図9】従来のプッシュスイッチの外観斜視図
【図10】同分解斜視図
【図11】同水平断面図
【図12】同配線基板に実装する状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8を用いて説明する。
【0028】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるプッシュスイッチの外観斜視図、図2は同分解斜視図、図3は同ケースの前面図、図4は同水平断面図である。
【0029】
同図において、31は奥行きが薄い厚みに形成された成形樹脂製のケースであり、このケース31としては、前面視略正方形で、中央に前方開口の凹部が一つのみ設けられている本体部33と、その本体部33の側面上部位置に左右方向にそれぞれ水平に突出する突出部35、37とが一体に形成された形状となっている。そして、本体部33の前面は、平坦面で形成されており、その本体部33の前面よりも突出部35、37の前面は前方位置に段差を持って位置するように形成されている。
【0030】
ケース31本体部33の凹部底面には、インサート成形によって中央接点41と外側接点43とが互いに電気的独立状態で露出状態に固定されている。なお、この中央接点41が請求項の第一固定接点または第二固定接点に相当し、外側接点43が請求項の第二固定接点または第一固定接点に相当する。
【0031】
中央接点41は、本体部33内を左側の突出部35に向かって引き回され、その延出部分は突出部35内の埋没部分に至り、突出部35下面から、本体部33の垂直に形成された左側面の側部に平行に下方に向かって所定幅で伸びる左端子51に繋がっている。外側接点43は、本体部33内を右側の突出部37に向かって引き回され、その延出部分は突出部37内の埋没部分に至り、突出部37下面から、本体部33の垂直に形成された右側面の側部に平行に下方に向かって所定幅で伸びる右端子53に繋がっている。なお、中央接点41が右端子53に繋がり、外側接点43が左端子51に繋がった構成であってもよい。
【0032】
上記各接点41、43からの延出部分や突出部35、37内の埋没部分は、板厚方向が前後に向いて配されており、各端子51、53も板厚方向が前後に向いた状態で下方に伸びている。
【0033】
このように、当該構成では、各端子51、53の根元部分が各々対応した突出部35、37内に埋没されたものとなっている。
【0034】
そして、各端子51、53の先端側は、それぞれ圧接型の端子形状のものに形成されている。その先端形状は、従来同様で、側面視で略C字状になるように、中間高さ位置で屈曲部を介して後方に曲げられ、さらに屈曲部を介して前方に曲げられている。
【0035】
さらに、各端子51、53の最下端位置となる部分つまり圧接接続箇所となる位置には、それぞれ各端子51、53とは別部品で形成された金属鋲55、57が固定されている。金属鋲55、57は、それぞれ軸部に繋がった頭頂部が球面状に形成されていると共に、全体に金メッキが施されている。金属鋲55、57は、各頭頂部が下方側に位置するように各端子51、53の圧接接続箇所となる位置に設けられた貫通孔(図示せず)に軸部がそれぞれ挿入されて、軸部側からそれぞれの軸部先端をカシメることによって、端子51、53に各々固定されている。つまり、当該構成では、金属鋲55、57が請求項の接続用部材に相当する。
【0036】
なお、金属鋲55、57の各頭頂部の形状は球面状が好ましいが、かまぼこ状などの他の形状であってもよい。また、当該構成のように金属鋲55、57を用いて上記方法により端子51、53に固定させるようにすると、金属鋲55、57の端子51、53への固定が容易にできて好ましいが、その他の方法で固定されていてもよい。さらには、金属鋲55、57を用いる代わりに、各端子51、53の当該下面箇所に上記頭頂部に相当する形状の接続用部材が固定されていてもよい。そして、金属鋲55、57などに施すメッキは、金メッキが好ましいが、それ以外の良導電性メッキであってもよい。
【0037】
ケース31本体部33の凹部内には、中央部が前方に突出した円形ドーム状に形成された金属薄板製の可動接点61が外側接点43に当接状態で配されて収容されている。可動接点61の中央部後面は、中央接点41に間隔を保って対峙している。
【0038】
65は、略正方形に形成された絶縁フィルム製のカバーシートであり、後面に形成されている粘着剤を介して、ケース31本体部33の凹部を覆うように本体部33前面に貼り付けられている。
【0039】
以上のように、当該実施の形態によるプッシュスイッチは構成されている。
【0040】
当該プッシュスイッチは、機器内には、例えば図5に示すように、機器側のスイッチ配置部材71に設けられた係合配置部72にケース31が上端側から挿入されて位置決め保持され、下方に配された配線基板75の配線パターンに各端子51、53が撓んだ圧接状態とされて搭載される。ここに、当該プッシュスイッチはケース31の左右位置に圧接型の端子51、53を備えさせたものであるため、スイッチ配置部材71やそこに設けられた係合配置部72の形状としては、各端子51、53に影響を及ぼさない形状に形成しておくことが重要である。また、同図に示すように、ケース31本体部33に応じた配線基板75位置を切欠き形状で形成しておくと、本体部33を切欠き内に沈め込むようにして低背の搭載状態のものとして容易に構成でき、しかも切欠き内の後壁をスイッチの押し止め機能部位としても活用できるため好ましい。ただし、この場合には、図示はしないが、ケース31が所定の配置高さ位置に維持されるように移動規制用部材を配して、ケース31の不要な下方側への移動規制がなされた構成としておくとよい。
【0041】
以上のように、当該プッシュスイッチにおいては、ケース31の上部に左右への突出部35、37を備えさせ、その左右への突出部35、37下面から各端子51、53を下方に導出した構成としている。この構成であれば、突出部35、37で各端子51、53の根元部分が保護され、搭載時において、係合配置部72にケース31を上端側から挿入させる際などに、係合配置部72を構成する壁や角部などに各端子51、53の根元部分があたって不用意に曲がってしまうことを防ぐことができる。さらに、各端子51、53を、ケース31本体部33が中心となる左右それぞれの位置で圧接させて搭載状態にできるため、左右方向を含めて配置安定性に優れた搭載状態のものに構成できる。
【0042】
また、当該構成であれば、圧接状態となった各端子51、53先端側からの弾性力が不要な方向に向いて作用することがない。つまり、各端子51、53の根元部分を埋没させていない構成であれば、端子51、53を圧接接続させる方向に対し、端子51、53が異なった方向で導出されたものとなるため、その端子51、53の根元部分には、圧接状態となった端子51、53からの弾性力が不要な方向に向いて作用することとなる。これに対し、当該構成では、各端子51、53の根元部分を突出部35、37内に埋没させ、突出部35、37下面から端子51、53を下方に導出した構成にしているため、圧接状態となった端子51、53先端側からの弾性力が突出部35、37のみに作用するようになって、これも搭載状態の配置安定性の向上や電気的接続安定性を確保する上で大きく寄与する。
【0043】
なお、突出部35、37の配設位置としては、対応する配線基板75面から、できるだけ離れた位置に配設する、つまりケース31の上部側に配設するほど、各端子51、53のアーム長が長く取れるようになって好ましい。また、搭載状態での低背化を図るためには、本体部33上面と突出部35、37の上面を同じ高さになる構成としておくとよい。
【0044】
さらに、当該構成では、上述したように各端子51、53に金属鋲55、57を固定し、その金メッキされた球面状部位としてなる各頭頂部で圧接接続させる構成にしている。このため、従来品のように端子の加工形成後に後メッキ処理をする必要はなく、予め全体に金メッキが施された金属鋲55、57を各端子51、53に固定したものとするのみで、搭載状態での配置安定性や各端子51、53の電気的接続安定性に優れるものに価格上昇を抑えつつ実現することができる。なお、上記金属鋲55、57の固定工程は、端子51、53を形成するためのフープ部材から端子外形を切断形成する前に行ってもよいし、端子外形に切断形成した後に行ってもよい。または、その端子形状に曲げ加工をする加工形成中に行ってもよい。
【0045】
上記のように搭載された当該プッシュスイッチの動作は、カバーシート65を介して可動接点61の中央部を後方側に押圧すると、可動接点61が節度をもって後方凸型に弾性反転して中央接点41にその後面が当接し、可動接点61を介して外側接点43と中央接点41との間が電気的に接続され、左端子51と右端子53との間が導通したスイッチオン状態となる。その押圧力を除くと、可動接点61が自らの復元力で元の前方凸型形状に自己復帰して中央接点41から離れ、左端子51と右端子53との間が独立した操作前のスイッチオフ状態に戻る。
【0046】
以上に説明したように、当該プッシュスイッチは、配置安定性などに優れた状態で搭載することができる単体品の圧接型のものとして提供することができる。
【0047】
さらに、当該実施形態のプッシュスイッチは、多連形態のものにも適用可能な構成としており、以下に図面を用いて、当該単体のプッシュスイッチを二つ連結させた多連タイプのものについて説明する。
【0048】
図6は、同プッシュスイッチを二つ連結させて構成した二連タイプのものの外観斜視図、図7は同連結前の前方からみた分解図、図8は同連結前の後方からみた分解図である。
【0049】
まず、当該プッシュスイッチにおいては、図1や図2などに示したように、ケース31の前面側に、第一被保持部81を有するものとしている。その第一被保持部81は、カバーシート65の範囲外の位置に設けられ、当該構成では図2に示すようにケース31の突出部35、37と本体部33との境部分にそれぞれ一つずつ設けられている。すなわち、第一被保持部81は、突出部35、37から、本体部33前面に対し段差を持って突出部35、37前面と同一面で本体部33側に向かって前面視矩形状にせり出した形状のものとなっており、その上端は、上方にいくにつれて薄くなる傾斜状のものに形成されていると共に、下端は水平面のものに形成されている。このように、突出部35、37を有したケース31の形状としている当該構成であれば、第一被保持部81を余裕を持って配置することもできる。一方、図8に示したように、ケース31の後面は、突出部35、37後面部分を含めて同一面で構成されており、そのケース31の後面にも、後方に突出する後面視で矩形状の第二被保持部82が、二つ、同一高さ位置で各々設けられている。第二被保持部82も第一被保持部81と同様の形状で、その上端は、上方にいくにつれて薄くなる傾斜状のものに形成されていると共に、下端は水平面のものに形成されている。
【0050】
そして、上述した当該プッシュスイッチの二つを連結させるための連結体91は、図6〜図8から判るように、金属板から側面視で下方が開口したコの字状に形成されており、その前方平面部に各第一被保持部81に応じた四つの爪状部93を有すると共に、後方平面部に各第二被保持部82を挿入して係止させるための四つの矩形貫通孔95を有している。なお、この爪状部93と矩形貫通孔95とが、請求項の保持部に相当する。
【0051】
そして、当該プッシュスイッチが横に二つ並べられて、図6に示したように、上方から連結体91が結合されて二連タイプのものに構成されている。つまり、その連結体91の結合状態としては、前方側では、爪状部93が第一被保持部81下端の水平面で構成された段差部分に引っ掛けられ、後方側では、矩形貫通孔95内に第二被保持部82が挿入されて、その第二被保持部82下端の水平面で構成された段差部分に係止されることによって、上記二つの単体のプッシュスイッチが連結体91で連結状態とされて二連タイプのものに構成されている。
【0052】
上記構成の二連タイプのものも、搭載時には上述した単体のプッシュスイッチの場合と同様に、機器側のスイッチ配置部材に設けられた係合配置部(図示せず)に上端側から挿入させて位置決め保持され、下方に配された配線基板の配線パターン(図示せず)に全ての端子51、53が各金属鋲55、57を介して圧接接続されて搭載される。
【0053】
そして、当該二連タイプのものは、上述説明した各端子51、53をケース31左右に各々導出させている個々のプッシュスイッチを連結させたものであるため、左右の最外方位置に端子51、53が必ず位置するものとなる。このために、搭載するのみで、従来品よりも左右方向の配置安定性などが向上した状態で容易に搭載できる。なお、連結体91の上方平面部を上面が水平な平坦面のものとして、その上方平面部の上面を上記係合配置部の内底面で規制すると、広い面で位置規制がされるようになるため、搭載状態がさらに安定化するものにできる。
【0054】
上記には二連タイプのものを説明したが、上記個々のプッシュスイッチを、三つ以上、連結させてもよい。その場合には、個々の単体のプッシュスイッチが変則ピッチで連結されるように連結体の保持部を構成してもよい。それら三つ以上のものや変則ピッチのいずれの多連タイプのものとする場合であっても、その左右の最外方位置には必ず端子51、53が位置した構成のものとなるため、搭載状態での配置安定性などに優れたものが容易に実現できる。
【0055】
以上のように、本発明によるものは、圧接型の単体のプッシュスイッチであっても、それを連結した多連タイプのものであっても、搭載状態での配置安定性や各端子51、53の電気的接続安定性に優れるものとして価格上昇を抑えつつ実現することができる。
【0056】
なお、本発明は、スイッチ接点部の詳細構成等に何等限定されるものではない。また、端子51、53先端部分の形状なども、上述した形状のみに限定はされない。
【0057】
さらに、上記には、連結体91を用いて構成した多連タイプのものを説明したが、多連構成とするための連結方式なども上述説明したものに限定はされない。このため、ケース31の被保持部81、82の形状も上記構成に限られることはなく、さらにケース31の被保持部は、必要に応じて適宜付加するなどとすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によるプッシュスイッチは、搭載状態での配置安定性に優れる一つのみの単体の圧接型のものに実現でき、主に各種電子機器の入力操作部等に有用である。
【符号の説明】
【0059】
31 ケース
33 本体部
35、37 突出部
41 中央接点
43 外側接点
51 左端子
53 右端子
55、57 金属鋲
61 可動接点
65 カバーシート
71 スイッチ配置部材
72 係合配置部
75 配線基板
81 第一被保持部
82 第二被保持部
91 連結体
93 爪状部
95 矩形貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開放した凹部を備えた成形樹脂製のケースと、凹部底面に露出して固定された第一固定接点および第二固定接点と、凹部内に配され、操作時に上記固定接点どうしを導通させる可動接点と、上記第一固定接点から上記ケース内を引き回されて上記ケースの左側部から導出され、上記ケースの左側部に沿って下方に伸びる先端側が圧接型の端子形状に形成された左端子と、上記第二固定接点から上記ケース内を引き回されて上記ケースの右側部から導出され、上記ケースの右側部に沿って下方に伸びる先端側が圧接型の端子形状に形成された右端子とを備えたプッシュスイッチ。
【請求項2】
各端子とは別部品で形成され、良導電性メッキが施された接続用部材を、左端子と右端子のそれぞれの搭載状態での圧接接続箇所となる位置に固定した構成とした請求項1記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
ケースの側部に突出部を設け、各端子の導出部分の根元が上記突出部で覆われ、その突出部の下面から下方に向けて上記各端子が伸ばされた請求項1記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
ケースに被保持部を設けたものとし、そのケースを有した単体のプッシュスイッチの複数個について、それぞれの被保持部を連結体の保持部で保持させて複数連結させた請求項1記載のプッシュスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−22823(P2012−22823A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158399(P2010−158399)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】