説明

プラグ長手方向二点把持ハンド装置

【課題】ロボットと組み合わせたハンド装置によりプラグを着脱する際、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持が可能なハンド装置を提供する。
【解決手段】プラグ1の根元部を把持する複数の主クランプ2と、プラグの胴部を把持する複数の副クランプ13と、両クランプ2、13を開閉可能に保持するケーシング15と、ケーシングに一側が直結されかつプラグ回転モータ9に他側が連結された回転軸5と、回転軸を軸受けで支持するとともにプラグ回転モータを搭載したハンドフレーム10と、を有し、ハンドフレームが、ハンドスライド11を介して前進・後退可能にロボットアーム31に取り付けられているプラグ長手方向二点把持ハンド装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットと組み合わせたハンド装置により継目無鋼管用プラグ(以下、プラグともいう)を着脱する際、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持が可能なプラグ長手方向二点把持ハンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
継目無鋼管の製造工程では、圧延工具としてプラグとそれを支えるバーが使用されている。図8(a)にはプラグ1の構造を示した。プラグはその内部に雌ねじと空洞を有し、この空洞にまで到達するよう、バー先端に固定した金物の雄ねじ部が挿入され、バーと連結される構造を有する。なお、図8(b)には、プラグ1の装着状態を示した。
プラグサイズは、例えば全長L=300mm、根元外径D=100mmで、その重量は30kg前後である。このようなプラグの着脱作業を自動的に行う着脱装置が継目無鋼管の製造ラインに配置されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のハンド装置は、図6に示すように、プラグの後端部に当接するクランプ爪21A、プラグの先端部を支持するばねコーン式のガイドブロック24、プラグ回転およびトルクパターンを自在に変更可能なプラグ回転モータ29、プラグを把持した状態でプラグを回転させつつケーシング20を前進・後退させるハンドスライド25、プラグ移動用シリンダ28、およびハンドスライド25を定位置に固定するスライドロック26を備え、プラグ1とバーを自動調芯するフローティング機能を備えたロボット30と組み合わせてなる。図6、図7中、31はロボットアームを示す。
【0004】
なお、スライドロック用シリンダ27を作動させ、ケーシング20の定位置に予め開けた小穴にスライドロック26を差し入れ、ハンドスライド25を固定した場合、ケーシング20がロボットアーム31に対して前進も後退もできないようにロックされる。図7には、従来のハンド装置によりプラグ1を把持した状態でプラグ1を回転させ、バーに対してケーシング20を前進・後退させる着脱作業を行っている状態を示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】

【特許文献1】特開平9−234504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のハンド装置では、プラグサイズによりプラグの軸心とプラグの回転中心とが平行でなく、傾いた状態でプラグを把持してしまう場合があった。
たとえば、プラグをバーに装着した状態では、図8(b)に示すように、プラグの構造上、バーの軸心に対してプラグ1の軸心が傾いているのが普通である。このプラグ1の軸心の傾きが大きいまま、プラグ1を把持してしまうと、プラグ脱工程のプラグ側とバー側のねじ同士を螺合する螺合過程で、プラグが回転中心の周りに振れ回る現象が発生する。このため、プラグ側とバー側のねじ山同士の「かじり」によってプラグを取り外せなくなる脱失敗が多いという傾向があった。なお、脱失敗は、大径プラグよりも小径プラグの方が多いという傾向があり、一方着失敗はその逆の傾向があった。
【0007】
つまり、従来のハンド装置では、その構造上、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持ができず、プラグ交換失敗率が高いという欠点があった。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、ロボットと組み合わせたハンド装置によりプラグを着脱する際、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持が可能なハンド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討し、クランプによるプラグ把持位置をプラグ長手方向の二箇所とし、複数の主クランプでプラグの根元部を把持し、複数の副クランプでそれよりも先端側のプラグの胴部を把持することで、上記課題を解決できるとの知見に基づいて、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.プラグを着脱するハンド装置において、前記プラグの根元部を把持する複数の主クランプと、前記プラグの胴部を把持する複数の副クランプと、両クランプを開閉可能に保持したケーシングと、該ケーシングに一側が直結されかつプラグ回転モータに他側が連結された回転軸と、該回転軸を軸受けで支持するとともに前記プラグ回転モータを搭載したハンドフレームと、を有し、前記ハンドフレームが、ハンドスライドを介して前進・後退可能にロボットアームに取り付けられていることを特徴とするプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
2.前記主クランプの開閉機構は、一側にクランプ爪を有しかつ他側にカム従動子を有する複数のクランプと、前記カム従動子と係合してなるカム溝を複数有しかつ回転軸の周りに旋回自在に支持された旋回円盤と、該旋回円盤を回転軸中心周りに旋回させる旋回駆動手段と、で構成されていることを特徴とする上記1.に記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
3.前記旋回円盤はその外周にギアを有し、前記旋回駆動手段がギアを有する複数の主クランプ開閉用ロータリアクチュエータとされ、ギア同士が噛み合う把持力伝達機構を有することを特徴とする上記2.に記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
4.前記副クランプの開閉機構は、一側にクランプ爪を有しかつ他側に係合ピンを介して把持力を伝える長孔状の作用点を有し、さらに一側から他側に至る途中に支持ピンで支持される支点を有する複数のクランプと、前記係合ピンと連結された副クランプ開閉用エアシリンダと、で構成されていることを特徴とする上記1.〜3.のいずれかに記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
5.前記主クランプのクランプ爪はローレット加工が施され、前記プラグに対する摩擦係数を高くしてなる一方、前記副クランプのクランプ爪は平坦に加工され前記プラグに対する摩擦係数を低くしてなることを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
6.上記1.〜5.のいずれかに記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置によりプラグを着脱するに際し、まず複数の副クランプのクランプ爪を前記プラグの根元部よりも先端側の胴部に当接させ、前記プラグの軸心の傾きを矯正し、次いで複数の主クランプで前記プラグの根元部を、複数の副クランプで前記プラグの胴部を把持し、前記プラグの軸心を回転中心に一致させてから、前記プラグを回転させつつバーに対して前進・後退させることを特徴とするプラグ着脱方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロボットと組み合わせたハンド装置によりプラグを着脱する際、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持が達成でき、これによってプラグ交換失敗率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明例のプラグ長手方向二点把持ハンド装置の側面図である。
【図2】図1のX−X断面図であり、主クランプのケーシングへの取り付け方の一例を示す。
【図3】図1のY−Y断面図であり、本発明例の主クランプの開閉機構を説明するカム溝の配置図でもある。
【図4】本発明例の副クランプの開閉機構を説明する側面図である。
【図5】本発明例の主クランプの開閉機構の特性図である。
【図6】従来のプラグ着脱装置の構成を示す断面図である。
【図7】従来のプラグ着脱装置によるプラグ着脱作業を示す斜視図である。
【図8】(a)はプラグの構造を示す側面図、(b)はプラグの装着状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明例のプラグ長手方向二点把持ハンド装置について図により説明する。図1は、本発明例のプラグ長手方向二点把持ハンド装置の側面図であり、図2は図1のX−X断面図であり、主クランプ2のケーシング15への取り付け方の一例を示す。
また、図3は、図1のY−Y断面図であり、本発明例の主クランプ2の開閉機構を説明するカム溝3Bの配置図でもある。
【0012】
この例では、プラグ1の根元部を把持する主クランプ2の数を3とし、それよりも先端側のプラグ1の胴部を把持する副クランプ13の数も3とした。この主クランプ2と副クランプ13とは、プラグ把持位置をプラグ長手方向二箇所とするために、複数の主クランプ2でプラグ1の根元部を把持するようにし、また、複数の副クランプ13でそれよりも先端側のプラグ1の胴部を把持するようにした。なお、両クランプ2、13は、回転軸5周りに交互に配置し、開閉隔可能にケーシング15に取り付けた。両クランプ2、13のケーシング15への取り付け方は後述する(図2、図4参照)。なお、両クランプ2、13とも開閉可能にケーシング15に保持されているが、両クランプ2、13の開閉機構は異なっている。両クランプ2、13の好ましい開閉機構についても後述する。
【0013】
ここで、両クランプ2、13を保持するケーシング15は回転軸5に直結され、この回転軸5の反ケーシング側がプラグ回転モータにギアで連結されている。ケーシング15に一側が直結されかつ反ケーシング側がプラグ回転モータにギアで連結されている回転軸5は、ハンドフレーム10の軸受けで受けられている。なお、プラグ回転モータとしてはプラグ回転用サーボモータ9が好適に用いられる。プラグ回転用サーボモータ9はハンドフレーム10に搭載されている。
【0014】
このように本発明例のハンド装置は、プラグ1の根元部を把持する複数の主クランプ2と、プラグ1の胴部を把持する複数の副クランプ13と、両クランプ2、13を開閉可能に保持したケーシング15と、ケーシング15に一側が直結されかつプラグ回転用サーボモータ9に他側が連結された回転軸5と、回転軸5を軸受けで支持するとともにプラグ回転用サーボモータ9を搭載したハンドフレーム10と、を有し、ハンドフレーム10が、ハンドスライド11を介して前進・後退可能にロボットアーム31に取り付けられているプラグ長手方向二点把持ハンド装置である。
【0015】
なお、このハンド装置にはロボットアーム31に取り付けるための、ロボット取り付けブラケット12が設けてあり、それにプラグ移動用エアシリンダ7が固定されている。そこで、プラグ移動用エアシリンダ7を作動させ、ハンドフレーム10を前進方向に押すか、あるいは後退方向に引っ張ることにより、両クランプ2、13を保持するケーシング15を前進・後退させることができる。また、プラグ回転用サーボモータ9で回転軸5をその回転中心周りに回転させてやれば、ケーシング15が回転軸5に直結されているので、両クランプ2、13で把持したプラグ1を同じ回転速度で回転できる。
【0016】
このような構成のプラグ長手方向二点把持ハンド装置によれば、プラグを着脱するに際、複数の副クランプ13のクランプ爪13Aをプラグ1の根元部よりも先端側の胴部に当接させ、プラグ1の軸心の傾きを矯正し、次いで複数の主クランプ2でプラグ1の根元部を、複数の副クランプ13でプラグ1の胴部を把持し、プラグ1の軸心を回転中心に一致させてから、プラグ1を回転させつつバーに対して前進・後退させることができる。
【0017】
このため、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持が達成できる。
なお、ハンドロック用エアシリンダ8がロボット取り付けブラケット12に搭載されている。これはハンドフレーム10およびケーシング15が前進・後退できないようにハンド装置をロックするもので、このようなハンドロック機構は従来のハンド装置も具備している。
【0018】
次に、ケーシング15への両クランプ2、13の取り付け方を図を参照しつつ説明する。
主クランプ2の取り付け方は、図1、図2に示したように、クランプ爪2Aと反対側のカム従動子2Bを有する側を、スライドガイド6を介してケーシング15へ取り付けることが好適である。スライドガイド6としては、レールとガイドブロックとを組み合わせた公知のLMガイドが好適に用いられる。LMガイドのレールを回転軸5の軸中心方向に延びるようにケーシング15に固定し、レールに案内されるガイドブロックの方を、カム従動子2Bを有する側に固定する。なお、カム従動子2Bを保持するシャフトがケーシング15と干渉しないよう、レールに沿って長孔をケーシング15に設けておく。
【0019】
副クランプ13のケーシング15への取り付け方は、図1、図4に示した。開閉機構にリンクアーム機構を採用したので、支点となる支持ピン17がケーシング15に支持され、副クランプ開閉用エアシリンダ14に連結された係合ピン16を介して開閉可能にケーシング15へ取り付けられている。
ここで、主クランプの開閉機構は、図1、図3に示したように、一側にクランプ爪2Aを有しかつ他側にカム従動子2Bを有する複数の主クランプ2と、カム従動子2Bと係合してなるカム溝3Bを複数有しかつ回転軸5の周りに旋回自在に支持された旋回円盤3と、旋回円盤3を回転軸中心周りに旋回させる旋回駆動手段と、で構成されているカム機構を採用するのが好ましい。
【0020】
このようなカム機構を採用した場合、複数の主クランプ2が回転軸中心Oに対して同じ移動量だけ平行移動するクランプ開閉機構が容易に構成でき、開閉機構にリンクアーム機構を採用した副クランプと併用することで、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持が容易に達成できるので好ましい。
以下、カム機構を採用した主クランプの開閉機構について図により説明する。
【0021】
図3中、3は外周にギア3Aを有しかつ複数のカム溝3Bを有する旋回円盤を示す。旋回円盤3の複数のカム溝3Bには、カム従動子2Bが係合されている。このカム従動子2Bは、たとえばカムローラであり、複数の主クランプ2のクランプ爪2Aと反対側にシャフトを介して保持されている。旋回円盤3は、後述する適宜な旋回駆動手段、複数の主クランプ開閉用ロータリアクチュエータ4で回転軸中心O周りに旋回する。
【0022】
なお、クランプの半径方向ストロークst(stroke)は主クランプの開限位置Pと主クランプの閉限位置Qとの半径方向距離の差であり、複数の主クランプの半径方向ストロークstは同じ値である。開限位置Pとは、旋回円盤3の旋回に伴い、回転軸中心Oから最も半径方向に離れた位置にカム従動子2Bが来たときのクランプの位置である。この開限位置Pと回転軸中心Oを結ぶ直線を基準とし、旋回角度を定義する。旋回円盤3を角度αだけ旋回させると、カム溝に係合したカム従動子2Bが閉限位置Qに来る。この旋回円盤3の複数のカム溝は、旋回円盤3の旋回に伴い、それに係合するカム従動子2Bの軸中心Oからの半径方向位置が変わる回転対称な溝とされている。この回転対称な複数のカム溝を有する旋回円盤3を、複数の主クランプ開閉用ロータリアクチュエータ4で旋回させてやれば、複数の主クランプ2が、回転軸中心Oに対して同じ移動量だけ平行移動するクランプ開閉機構が容易に構成できる。その場合、旋回円盤3はその外周にギア3Aを有し、旋回駆動手段4がギア4Aを有する複数の主クランプ開閉用ロータリアクチュエータ4とされ、ギア同士が噛み合う把持力伝達機構を有することが、簡単な構造により十分な把持力を発揮できるので好ましい。このギア4Aを有する主クランプ開閉用ロータリアクチュエータ4は、ケーシング15に固定されている。
【0023】
副クランプの開閉機構は、図1、4に示したように、一側にクランプ爪13Aを有しかつ他側に係合ピン16を介して把持力を伝える長孔状の作用点を有し、さらに一側から他側に至る途中に支持ピン17で支持される支点を有する副クランプ13と、係合ピン16と連結された副クランプ開閉用エアシリンダ14と、で構成されている。
副クランプの開閉機構は、本発明例に限定されないが、リンクアーム機構を採用した方が、回転体として取り付けた副クランプ用エアシリンダ14で複数の副クランプ13を同時に開閉することができ、カム機構を採用した主クランプの開閉機構と併用する点で好ましい。
【0024】
またさらに、プラグを着脱する際、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持効果を高めるには、主クランプ2のクランプ爪2Aはローレット加工が施され、プラグ1に対する摩擦係数を高くしてなる一方、副クランプ13のクランプ爪13Aは平坦に加工されプラグ1に対する摩擦係数を低くしてなることが好ましい。
【0025】
ただし、プラグのたれさがりによってバーの軸心に対し、プラグの軸心が傾いているのを矯正するには、その下方から副クランプ13のクランプ爪13Aを当接させるのが有効である。そのため、プラグ長手方向二点把持ハンド装置の軸受けにケーシング原点近接スイッチ18を設け、プラグを副クランプ13で把持する前に、副クランプ13のある一つが確実にプラグ1の下方に位置するようにする。
【0026】
以上説明したプラグ長手方向二点把持ハンド装置によりプラグを着脱する際、以下のプラグ着脱方法とすることで、プラグサイズによらず、プラグの軸心を回転中心に一致させてプラグを把持するプラグ平行把持が確実に行える。
まず複数の副クランプ13のクランプ爪13Aをプラグ1の根元部よりも先端側の胴部に当接させ、プラグ1の軸心の傾きを矯正する。次いで複数の主クランプ2でプラグ1の根元部を、複数の副クランプ13でプラグ1の胴部を把持し、プラグ1の軸心を回転中心に一致させてから、プラグ1を回転させつつバーに対して前進・後退させる。
【0027】
このようなプラグ着脱方法が行えるプラグ長手方向二点把持ハンド装置により、従来のハンド装置に比べて、プラグ交換失敗率を下げることができる。以下、実施例により、プラグ交換失敗率が従来のハンド装置に比べて低下すること確認した。
【実施例】
【0028】
主クランプおよび副クランプを保持するケーシングの直径が約500mmで、以下のプラグサイズのものを着脱することが可能なプラグ長手方向二点把持ハンド装置を設計・製作した。プラグサイズ:全長L=300mm前後、根元外径D=100mm前後、プラグ重量=30kg前後。
上記のプラグ長手方向二点把持ハンド装置をピアサー圧延ラインに設置した結果、従来のハンド装置を使用していた場合と比べ、プラグ交換失敗率が半減以下となった。
【符号の説明】
【0029】
L 全長
D 根元外径
O 軸中心
α 角度
st 主クランプの半径方向ストローク
P クランプの開限位置
Q クランプの閉限位置
1 プラグ
2 主クランプ
2A クランプ爪
2B カム従動子(カムローラ)
3 旋回円盤
3A ギア
3B カム溝
4 主クランプ開閉用ロータリアクチュエータ(旋回駆動手段)
4A ギア
5 回転軸
6 主クランプ用スライドガイド(LMガイド)
7 プラグ移動用エアシリンダ
8 ハンドロック用エアシリンダ
9 プラグ回転用サーボモータ
10 ハンドフレーム
11 ハンドスライド(LMガイド)
12 ロボット取り付けブラケット
13 副クランプ
14 副クランプ開閉用エアシリンダ
15 ケーシング
16 係合ピン
17 支持ピン
18 ケーシング原点近接スイッチ
20 ケーシング
21 リンクアーム部材
21A クランプ爪
22 溝付きスライドブロック
23 クランプ用シリンダ
24 ガイドブロック
25 ハンドスライド
26 スライドロック
27 スライドロック用シリンダ
28 プラグ移動用シリンダ
29 プラグ回転モータ
30 ロボット
31 ロボットアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグを着脱するハンド装置において、
前記プラグの根元部を把持する複数の主クランプと、
前記プラグの胴部を把持する複数の副クランプと、
両クランプを開閉可能に保持するケーシングと、
該ケーシングに一側が直結されかつプラグ回転モータに他側が連結された回転軸と、
該回転軸を軸受けで支持するとともに前記プラグ回転モータを搭載したハンドフレームと、を有し、前記ハンドフレームが、ハンドスライドを介して前進・後退可能にロボットアームに取り付けられていることを特徴とするプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
【請求項2】
前記主クランプの開閉機構は、一側にクランプ爪を有しかつ他側にカム従動子を有する複数のクランプと、前記カム従動子と係合してなるカム溝を複数有しかつ回転軸の周りに旋回自在に支持された旋回円盤と、該旋回円盤を回転軸中心周りに旋回させる旋回駆動手段と、で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
【請求項3】
前記旋回円盤はその外周にギアを有し、前記旋回駆動手段がギアを有する複数の主クランプ開閉用ロータリアクチュエータとされ、ギア同士が噛み合う把持力伝達機構を有することを特徴とする請求項2に記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
【請求項4】
前記副クランプの開閉機構は、一側にクランプ爪を有しかつ他側に係合ピンを介して把持力を伝える長孔状の作用点を有し、さらに一側から他側に至る途中に支持ピンで支持される支点を有する複数のクランプと、前記係合ピンと連結された副クランプ開閉用エアシリンダと、で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
【請求項5】
前記主クランプのクランプ爪はローレット加工が施され、前記プラグに対する摩擦係数を高くしてなる一方、前記副クランプのクランプ爪は平坦に加工され前記プラグに対する摩擦係数を低くしてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のプラグ長手方向二点把持ハンド装置によりプラグを着脱するに際し、まず複数の副クランプのクランプ爪を前記プラグの根元部よりも先端側の胴部に当接させ、前記プラグの軸心の傾きを矯正し、次いで複数の主クランプで前記プラグの根元部を、複数の副クランプで前記プラグの胴部を把持し、前記プラグの軸心を回転中心に一致させてから、前記プラグを回転させつつバーに対して前進・後退させることを特徴とするプラグ着脱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−240810(P2010−240810A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95483(P2009−95483)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】