説明

プラスチックパイプ熱融着機

【課題】プラスチックパイプの1本の主管に対し、多数の枝管群を直交状態に加熱融着する手段を提供する。
【解決手段】架台1の、前側に枝管側固定テーブル1Tを、後側に主管側固定テーブル1T´を、両間隔Sを保って設置し、枝管用移動テーブル2を枝管側の固定テーブル1T上に前後摺動可能に、主管用移動テーブル3を主管側固定テーブル1T´上に前後摺動可能に配置し、移動テーブル2上には枝管クランプ装置5を、移動テーブル3上には主管クランプ装置6を配置し、両固定テーブル1T,1T´間の間隔Sには、下方から出没するセットプレート装置5Rを、上方から降下する加熱装置9を配設し、枝管移動テーブル2と主管移動テーブル3の前後進退運動により、降下した加熱装置9の両面で枝管8B群と主管8Aの取付孔8Gとを溶融し、加熱装置9を上昇離脱させて、枝管8Bの端縁ebと主管8Aの取付孔8Gとを押圧融着するプラスチックパイプ熱融着機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水器、給湯器、暖房器などの配管材として使用するプラスチックパイプのヘッダー管と分岐管群とを融着接合する機械に関するものであり、より詳しくは、大口径の主管に、直交形態で小口径の枝管群を、直接熱融着する機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックパイプを接合する手段としては熱融着接合が慣用されており、被覆ソケットを採用する典型例として、図15に示す従来例1がある。
図15の、(A)は加熱融着状態説明図であり、(B)は融着製品の説明図である。
従来例1(図15)は、特許文献1として挙げたものであって、図15(A)に示す如く、金属被覆ソケットの両側から接合管相互を挿入し、クランプでソケットと接合管との挿入状態を保持して外部からガスバーナーで加熱し、図15(B)に示す如く、ソケットと接合管とを一体化するものである。
【0003】
また、従来例2(図16)に示す如く、プラスチック管相互を直接熱融着する方法が提案されている。
従来例2(図16)は、特許文献2として挙げたものであり、図16(A)は主管への穿孔説明図、(B)は主管加熱説明図、(C)は分岐管加熱説明図、(D)は融着作業説明図、(E)は融着製品説明図である。
【0004】
従来例2(図16)は、主管に対して取付孔を、図16(A)に示す如く、治具を用いて、大径の第1の孔と接合対象の分岐管の内径に対応する小径の第2の孔を穿設し、次いで、図16(B)に示す如く、表層部をテフロン加工し、表層部から凸部を突設した主管用加熱具を用いて主管の取付孔を凸部で加熱溶融する。
また、分岐管も、図16(C)に示す如く、テフロン加工した表層部に凹部を配置した分岐管用加熱具を用いて、分岐管を凹部に挿入加熱して分岐管の先端の外周面を加熱溶融する。
【0005】
次いで、図16(D)に示す如く、主管の加熱溶融状態の取付孔に対して、分岐管の加熱溶融状態の先端を嵌入押圧し、分岐管の先端外周面を、主管取付孔の第1の孔の内周面に、分岐管先端面を、主管取付孔の第1の孔の段部に融着接合し、図16(E)に示す如く、主管に対して分岐管を直交接合し、分岐管の先端が主管の第1孔と第2孔との段差部に当接することにより、分岐管先端が主管内部に突出しない形態で、分岐管の内部流路を主管第2の孔と連通して、分岐管と主管とを流路連通するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−171007号公報
【0007】
【特許文献2】特開2007−247869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1(図15)の手法で主管に枝管(分岐管)群を直交接合する場合は、T字形態のソケットを採用し、T字ソケット群を主管に直列状態で挿通配置し、各T字ソケットの枝管用突出部に枝管先端を挿入して、T字ソケットを加熱することとなるが、各枝管の主管への接合位置毎でのT字ソケットの配置は、T字ソケット相互の干渉の問題が生じて、主管への枝管群の密集並列接合は事実上不可能である。
【0009】
また、例え、枝管の所望間隔接合を可能とするT字ソケットを採用しても、各T字ソケットの主管への配置、各枝管のT字ソケットへの挿入、各T字ソケット位置での加熱、等の作業は煩雑である。
従って、従来例1の接合用ソケットを採用する手段では、図14に示す如き、主管に枝管群を、直交状態に、且つ小間隔で接合する製品へは、事実上適用不可能である。
【0010】
また、従来例2(図16)は、主管取付孔群に、直接分岐管(枝管)群を嵌入熱融着するため、主管への枝管の配置間隔は自在であって、図14に示す如き、主管に枝管群を、直交状態に、且つ小間隔で接合することは可能であるが、枝管先端は、分岐管用加熱工具の凹部での熱溶融によって、先端部外周面を溶融し、主管取付孔も、主管用加熱工具の凸部によって第1孔の内周面及び段部を溶融しての、枝管群の主管取付孔への挿入押圧融着となるため、先端部外周の溶融した枝管群の、取付孔内周面の溶融した主管への、手作業による挿入、押圧作業は、熟練を要する困難な作業であり、多数本の枝管の主管への均斉な熱融着は困難である。
【0011】
また、主管用加熱工具と枝管(分岐管)用加熱工具は、別体であって、主管取付孔の加熱溶融作業と枝管先端の加熱溶融作業が別作業であるため、主管側と枝管側の溶融状態管理も、熟練を要する作業である。
本発明は、従来例1(図15)の手法では製造不可能な、図14に示す如き、プラスチックパイプ接合製品を、従来例2(図16)の手法よりも均質性に優れた製品が得られ、且つ従来例2(図16)よりも製造を合理的に機械化したプラスチックパイプ熱融着機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、図1、図2に示す如く、長手方向の両側にポスト1Aを備え、ポスト1Aの前部には枝管側MBの固定テーブル1Tを、ポスト1Aの後部には主管側MHの固定テーブル1T´を、間隔Sを保って備えた架台1上で、長手方向に配置した1本の主管8Aに、複数本の並行枝管8B群を直交当接融着するプラスチックパイプ熱融着機Mであって、図1、図2に示す如く、枝管側MBの固定テーブル1Tは、上面に枝管クランプ装置5を配置した前後移動テーブル2を備え、主管側MHの固定テーブル1T´は、主管8Aを位置規制状態で確保する主管クランプ装置6を上面に配置した前後移動テーブル3を備え、固定テーブル1Tと固定テーブル1T´との間隔Sには、下方から上昇するセットプレート5Eと、上方から下降する加熱装置9とを配置し、上昇したセットプレート5Eで枝管8B群の端縁ebを揃えて枝管8B群をクランプ装置5が保持し、セットプレート5Eの下降後に加熱装置9を降下させ、主管側の移動テーブル3及び枝管側の移動テーブル2を前進させて、加熱装置9の、一側の加熱面10Fで枝管8B端縁eb群を、他側の加熱面10F´で主管8Aの取付孔8G群を加熱溶融し、移動テーブル2と3とを後進させて加熱装置9を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル2及び3を前進させて、枝管8B群の端縁ebを主管8Aの取付孔8G群に嵌入融着一体化するプラスチックパイプ熱融着機である。
【0013】
この場合、架台1は、枝管側の固定テーブル1Tと主管側の固定テーブル1T´とが、間隔Sを保持した形態で、且つ、セットプレート5Eの下降時より高い位置を保持した形態での関係剛構造体であれば良く、典型的には、図13に示す如く、長手方向両側端の溝形鋼ポスト1Aに、ポスト1Aの幅W4を間隔Sとして、ポスト1Aの前側、即ち枝管側、及び後側、即ち主管側に、角鋼材の上桟1C、下桟1D及び縦桟1Eで機枠支持構造体を構築し、上桟1C上の前側及び後側に鋼板を固定して、ポスト1Aの、前側を枝管側の固定テーブル1T、後側を主管側の固定テーブル1T´としたものである。
【0014】
また、各移動テーブル2、及び3の「前進」の意は、移動テーブル2,3が、間隔S(加熱、融着域)内へ突出する相互近接を、「後退」は、間隔Sから後退して相互離反を意味するものである。
また、移動テーブル2及び3の移動手段は、移動量が制御出来る手段であれば良く、典型的には、伸縮ロッドを備えた伸縮シリンダー手段であり、慣用のエアシリンダーを採用すれば良い。
また、加熱装置9は、加熱面10Fが枝管8B群の端縁ebを、加熱面10F´が主管8Aの取付孔8Gを溶解出来れば良く、加熱面10Fは平坦面であり、加熱面10F´は取付孔8Gに嵌入する突起形態であれば良い。
また、加工対象のプラスチックパイプは加熱融着するパイプであれば良く、典型的には、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂(PP−R樹脂)パイプである。
【0015】
従って、本発明によれば、多数の枝管8Bをセットプレート5Eで一度に各端縁ebを揃えてクランプ装置5が保持するため、及び主管8Aの取付孔8Gの溶融と枝管端縁eb群の溶融とが、1個の加熱装置での一度の作業で出来るため、多数本の枝管8B群の1本の主管8Aへの直交融着接合が、均質接合状態の下に、合理的に実施出来る。
【0016】
また、本発明の熱融着機にあっては、セットプレート5Eは、図1に示す如く、両固定テーブル1T,1T´の間隔Sの下方に配置した伸縮シリンダーJ3で上下動させ、上昇したセットプレート5Eが全枝管8Bの端縁ebを位置規制するのが好ましい。
この場合、セットプレート5Eは、セットプレート装置5Rで駆動するものであり、セットプレート5Eが前後方向の定位置を上下動し、枝管8B群を当接しても変位しなければ良く、セットプレート装置5Rは、典型的には、図8(A)に示す如く、架台1の上桟1Cと下桟1Dとの上下中間位置で、両側のポスト1A間の枝管側MBに差渡し状に剛構造配置した、アングル鋼材の受桟1Lを介して固定した伸縮シリンダーJ3の伸縮ロッドJrに、断面溝型の係止金具5Fを介してセットプレート5Eを固定したものであり、セットプレート5E自体は、厚さ15mm、高さ150mm、長さ1900mmの鋼板である。
【0017】
従って、セットプレート5Eは、剛構造配置されたシリンダーJ3から枝管8B群を配置する位置へ上下動出没し、各プラスチックパイプ枝管8Bを、手作業で順次セットプレート5Eに当接することにより、全枝管8Bの端縁ebもセットプレート5Eの前面で均斉に揃えることが出来、枝管8B群の整列揃え作業が簡便、且つ均質に実施出来る。
そのため、熱融着機に於ける、以降の加熱溶融作業、融着作業等が、各枝管8Bに均斉に適用出来、高品質のパイプ接合製品の提供が可能となる。
【0018】
また、パイプ熱融着機の加熱装置9は、図6(A)に示す如く、枝管8B当接用の加熱面10Fを一側面に、主管8Aの取付孔8G嵌入用融着チップ10A群を突設した加熱面10F´を他側面に備えた融着チップホルダー10の上面に、融着ヒーター11を当接嵌合し、融着ヒーター11の上部に融着バー12を取付け、融着バー12を、ポスト1A間に差渡したヒーターベース1Bに配置した伸縮シリンダーJ1で、枝管側固定テーブル1Tと主管側固定テーブル1T´との間隔Sを上下動させるのが好ましい。
【0019】
この場合、融着バー12は、上方の伸縮シリンダー(エアシリンダー)J1に接続し、下方の融着チップホルダー10及び融着ヒーター11を支持するもので、融着ヒーター11の確保を保証し、且つ伸縮シリンダーJ1の熱変位を保証すれば良く、角筒鋼棒でも良いが、典型的には、長さL12が1940mmで、一辺が60mmの断面正方形鋼棒であり、融着ヒーター11とは、セラミックカラー12Aを介在して、間隔d11(標準:5mm)を保ってボルト12Pで固定し、ボルト12Pの上部も、5mm厚のセラミックカラー12Aを介して融着バー12上面に締着し、融着ヒーター11の上面11Uからの融着バー12への熱伝達、及びボルト12Pからの融着バー12への熱伝達を抑制する。
【0020】
また、融着チップホルダー10は、融着ヒーター11で加熱されて、枝管8B及び主管8Aを加熱溶融するものであるから、融着ヒーター11の熱が効率よく伝達されるのが好ましく、融着チップホルダー10と融着ヒーター11との接触当接は、平滑面仕上げするのが好ましい。
また、ヒーターベース1Bは、伸縮シリンダーJ1を、強固に、変位を生じることなく保持すれば良いため、典型的には、両側の剛構造ポスト1A間に、断面コ字状の9mm厚の鋼製で、両側辺と底辺を備えた、上面開放箱形状のヒーターベース1Bを差渡し状に剛構造固定したものである。
【0021】
従って、加熱装置9は、剛構造体としてのヒーターベース1Bに確保された伸縮シリンダーJ1で変位を生ずることなく所定域を上下動し、伸縮シリンダーJ1の作用で降下した状態で、一側の加熱面10Fでは、枝管8B群の先端ebを、他側面では、加熱面10F´に突出した融着チップ10Aによって主管取付孔8Gを同時に加熱溶融するため、枝管8B群先端ebも主管8Aの取付孔8G群も、均斉当接形態で、均斉な溶融を生じ、各枝管8B群の、主管8Aの各取付孔8Gへの均質な加熱融着接合が可能となる。
尚、この場合、融着ヒーター11と融着バー12との界面にセラミックカラー12Aを介在して、融着ヒーター11から融着バー12への熱伝達を抑制すれば、融着バー12が熱変位を生じなくて、伸縮シリンダーJ1の、設計どおりの上下動が保証出来、融着チップホルダー10の設計どおりの上下動が保証出来る。
【0022】
また、本発明にあっては、融着チップホルダー10は、図6(A)、図7(A)に示す如く、一側面が枝管8B群の端縁eb当接用の平坦加熱面10Fであり、他側面が主管8Aの取付孔8Gに嵌入する融着チップ10A群を着脱自在に突設し、一側の枝管8B当接用の加熱面10F、及び他側の融着チップ10Aの外面がテフロン樹脂被膜10Bを備えたブロック片であり、各融着チップホルダー10群相互を、間隔d10を保って融着ヒーター11に対して摺動可能に配置するのが好ましい。
【0023】
この場合、融着チップホルダー10は、融着ヒーター11と同様のアルミ金属製品であり、典型的に実施する、ポリプロピレンランダムコポリマー(PP−R)樹脂のパイプ8B,8Aの接合時には、融着チップホルダー10の表面温度は、200℃〜210℃の温度域を採用するため、アルミ金属製の融着ヒーター11、及び融着チップホルダー10は、210℃で、長さ1800mmに対して15mmの伸長を生じ、各融着チップホルダー10は、典型的には、長さ(L10)が58mmとし、1個当りの熱伸長0.5mmに抑えて実施し、各融着チップホルダー10間の間隔d10は、典型的には、2mmとした。
【0024】
従って、加熱装置9の加熱稼働中に、融着ヒーター11が熱伸長するが、各融着チップホルダー10は、間隔d10(2mm)で熱伸長が吸収出来、融着ヒーター11の熱伸長に追従することなく、各融着チップホルダー10は、融着ヒーター11上で所定位置に留まり、各融着チップ10Aの、主管8Aの各取付孔8Gへの適切な挿入が可能となる。
そして、各枝管8Bの端縁ebの加熱面10F、及び各融着チップ10Aの主管8A取付孔8Gへの嵌入部、即ち、加熱装置9の各プラスチックパイプとの加熱接触部、がテフロン樹脂被膜10Bを備えているため、枝管8B及び主管8Aの加熱溶融部は、付着欠損を生ずることなく加熱装置9から離反出来る。
【0025】
この場合、主管8A側の加熱部へのテフロン樹脂被膜付与は、加熱面10F´から突出した融着チップ10Aの先端部のみで良いため、従来例2の主管用加熱工具の表層部全面及び凸部全面でのテフロン加工より遥かに小範囲となり、テフロン樹脂被膜の塗着作業面でも、コスト面でも有利である。
しかも、融着チップ10Aは、融着チップホルダー10に着脱自在に突設したため、加熱装置9のメンテナンス、及び対象プラスチックパイプ8B,8Aの径変更に対応する取換えが容易となる。
【0026】
また、本発明の融着チップ10Aは、図7(A),(B)に示す如く、金属製円筒片であって、外周は、融着チップホルダー10の取付孔H10に嵌入する基端円筒部10T”と、中間の大径円筒部10T´と、主管8Aの取付孔8Gの第1の孔H8に嵌入する先端円筒部10Tとを備え、内周は、基端側のボルト挿入用孔HP´と、先端側のボルト頭部着座用の大径のボルト挿入用孔HPとを連通し、先端円筒部10Tの外周面と、先端円筒部10Tの先端面efとを、テフロン樹脂被膜10Bで被覆したものが好ましい。
【0027】
尚、融着チップ10Aは、図11(B)に示す如く、融着チップホルダー10で加熱されて主管8Aの取付孔8Gを加熱溶融するものであるため、熱良導体の金属パイプであれば良く、典型的にはアルミ金属パイプの加工品である。
従って、ボルト10Pで融着チップホルダー10への着脱が容易であるため、融着チップ10Aのメンテナンスが容易で、加工対象パイプ8Aの取付孔8Gの径変更に伴なう融着チップ10Aの取換え作業も容易である。
そして、テフロン樹脂被膜10Bの付与加工も、先端円筒部10Tの外周面及び先端面のみであるから、テフロン加工が簡便、且つ低コストで実施出来る。
【0028】
また、本発明の加熱装置9にあって、融着ヒーター11は、図7(C)に示す如く、アルミ合金成形品であって、下端に嵌合溝11Gを介して嵌合突出部(嵌合突起)11Pをレール形態で備え、内部には、ストレートヒーター11Aを、図6(A)に示す如く、セパレータ11Bを介在して一体化し、融着チップホルダー10は、アルミ合金成形品であって、上面に融着ヒーター11の嵌合突出部11Pを摺動形態で嵌入するための嵌合溝10Gを備え、融着チップホルダー10を融着ヒーター11の下面に密接摺動嵌合するのが好ましい。
【0029】
融着ヒーター11の成形に際しては、ストレートヒーター11Aが型内で浮遊移動するため、図6(A)の如く、型内にアルミ製板状材のセパレータ11Bを係止配置して、ストレートヒーター11Aをセパレータ11Bに挿通保持した状態でアルミ合金を打設すれば、ストレートヒーター11Aは所定位置に埋設出来る。
この場合、ストレートヒーター11Aの、側端からは、電源端子取付部11A´を突出させ、前面(枝管側)からは計測コード11Cを突出させておけば良い。
【0030】
また、融着ヒーター11の融着チップホルダー10との嵌合当接面は、平滑に研磨して熱伝達を良好にしておけば良い。
従って、融着ヒーター11は、融着チップホルダー10と、嵌合突出部11Pが嵌入形態で当接するため、当接面が大となり、全長に亘って所定加熱が達成出来て、融着チップホルダー10に有効に熱伝達出来、しかも、融着チップホルダー10は、長さが短寸(標準:58mm)のブロック片で、且つ、間隔d10(標準:2mm)を保って、融着ヒーター11に摺動形態で配置するため、融着ヒーター11の熱伸長に追従すること無く、個々の、ブロック片としての独自の微少の熱伸長を生ずるので、融着10Aを適正位置に保持出来る。
【0031】
また、本発明の熱融着機にあっては、枝管8B用クランプ装置5は、図8に示す如く、パイプ嵌合溝5G群を上面に平行配置したパイプホルダー5Aを、移動テーブル2の上面に着脱自在に固定し、パイプホルダー5Aの上面に配置した枝管8B群を、伸縮シリンダーJ2によって上下動する押圧板5Bで保持及び開放するのが好ましい。
尚、パイプホルダー5Aは、各枝管8Bを位置規制するものであるから、パイプ嵌合溝5Gは、枝管8Bを嵌合するだけで枝管8Bが定間隔位置となる、断面が円弧溝とすれば良い。
また、押圧板5Bは、各枝管8Bを、単に、嵌合溝5Gに、均斉に押圧出来れば良く、桟材群を間隔配置した簀の子板でも良いが、典型的には、10mm厚のアルミ平板である。
【0032】
従って、各枝管8Bをパイプホルダー5Aの各嵌合溝5G内に挿入し、セットプレート5Eを上昇させて、各枝管8Bをセットプレート5Eに当接して枝管端縁ebを揃え、押圧板5Bを降下圧接させれば、各枝管8Bは、端縁ebが揃った状態で、嵌合溝5Gの配置間隔で確保出来、以後、クランプ装置5によって枝管8B群を一体として、加熱装置9への移動テーブル2での前進運動、加熱装置上昇のための移動テーブル2での後退運動、及び移動テーブル2による主管8Aと当接融着のための前進運動等が、枝管8B群に間隔変位を生ずることなく実施出来、枝管8B群の主管8Aとの融着接合作業の、均質化、合理化が可能となる。
【0033】
また、本発明の熱融着機にあっては、主管クランプ装置6は、図9に示す如く、クランプ下台6Bと、伸縮シリンダーJ4で駆動する移動上プレート6Cとから成る把持チャック6Aで主管8Aを位置規制して把持し、チャック転倒伸縮シリンダーJ5が把持チャック6Aを転倒して、主管8Aの取付孔8Gを融着位置に回転転位させるのが好ましい。
この場合、主管8Aの取付孔8Gの「融着位置」とは、枝管8Bの端縁ebと対向する位置でああって、取付孔8Gが前面になった位置であり、主管8Aの「加熱状態位置」でもある。
【0034】
尚、主管クランプ装置6は、主管側の移動テーブル3上に配置されたものであって、移動テーブル3によって前後移動するものであるから、チャック転倒シリンダーJ5は、移動テーブル3に配置すれば良く、典型的には、図1に示す如く、移動テーブル3の後端下面にシリンダー取付用ブラケット15を配置し、移動テーブル3にシリンダー挿入用孔HMを配置して実施する。
【0035】
また、主管8Aの主管クランプ6上への配置は、図9(A)に示す如く、チャック6Aが転倒前であるので、主管8Aの取付孔8Gを上向きに、且つクランプ下台6Bと上プレート6Cとの間に載置して上プレート6Cで当接保持すれば良い。
この場合、取付孔8Gの上向き状態の担保は、チャックをシリンダーJ5で転倒させれば、主管8Aの取付孔8Gが、枝管8Bの対向位置、即ち前面位置となる形態でチャック6Aが把持すれば良く、取付孔8Gの位置決定は、目印に基づく目視下での手動でも可能である。
【0036】
従って、主管8Aの主管クランプ装置6への配置は、チャック6Aの転倒前の状態での実施となるため、取付孔8Gの上向き状態での配置となり、配置作業は、作業性良く正確に実施出来る。
そして、主管8Aの枝管8Bとの加熱融着作業は、主管8Aを把持したチャック6Aの移動テーブル3による前進、後退作業で実施出来るため、適正な温度管理、運動管理の下で、自動的に、且つ均質に実施出来る。
【0037】
また、主管クランプ装置6上での主管8Aの位置規制は、図10に示す如く、チャック6Aに載置した主管8Aに対し、取手7Bの回動操作によって、支持バー7Cに配置したセットピン7Aの主管8Aの取付孔8Gへの嵌入・抜去作用で主管8Aの取付孔8Gを位置規制するのが好ましい。
この場合、主管8Aは長尺であるため、セットピン7Aを備えた支持バー7Cは、間隔を置いて2本配置すれば良く、典型的には、図2に示す如く、熱融着機Mの、長手方向中央(中心線)CLから両側に、各350mmの位置に、2本配置する。
【0038】
従って、チャック6Aへの主管8Aの挿入載置は、図9(A)及び図10に示す如く、チャック6Aの転倒前の、前側に位置するクランプ下台6Bと後側に位置する上プレート6Cとの間のブラケット6D上への投入載置であって、平易な作業であり、取手7Bの回動操作によるセットピン7Aの取付孔8Gへの嵌入も、目視で簡単に実施出来、主管8Aの定位置固定も、セットピン7Aを取付孔8Gに嵌入した状態でのシリンダーJ4による上プレート6Cの前進押圧で確実に保証出来、主管の取付孔8Gを位置規制しての主管クランプ装置6での確保が、簡単な作業で正確に実施出来る。
この場合、図10に示す如く、支持バー7Cは、軸棒7D上で、左右動摺動調整自在、且つ角度調整自在に取付けておけば対象主管8Aの取付孔8Gに好適に対応出来る。
【0039】
また、本発明の熱融着機にあっては、枝管側の移動テーブル2が、図5(A)に示す如く、固定テーブル1T上に配置した伸縮シリンダーJ7で前後動する下テーブル板2Bと、下テーブル板2B上に配置した伸縮シリンダーJ8で前後動する上テーブル板2Aとから成る二重テーブルであり、主管側の移動テーブル3が、図5(B)に示す如く、固定テーブル1T´上に配置した伸縮シリンダーJ6で前後動するテーブル3であり、各伸縮シリンダーJ7,J8及びJ6が、コイルスプリングJsを介して作動するバネ介在伸縮シリンダーであるのが好ましい。
【0040】
この場合、バネ介在伸縮シリンダーとは、例えば図5(B)の如く、空気の入排気部Jaを備えたエアシリンダーJ6の、シリンダー金具Jmから突出する伸縮ロッドJr先端にナット4Mを固定し、袖駆動体(移動テーブル3)に固定したブラケット4Eの外側から有頭ボルト4Pを、ボルト挿入用孔H5を貫通してナット4Mに、コイルスプリングJsを、ブラケット4Fとナット4M間に、介在して螺着し、シリンダーJ6が伸縮ロッドJrを伸長すれば、ボルト4Pは伸縮ロッドJrの剛構造一体化ロッドとして、同時に前方へ伸長するが、被駆動体(移動テーブル3)は、伸縮ロッドJrの伸長及びナット4Mの前進によるコイルスプリングJsの圧縮作用を介してのバネ弾性反撥力により、ブラケット4EのコイルスプリングJsでの押圧力によって前方へ移動するものである。
【0041】
従って、枝管移動テーブル2側にあっては、下テーブル板2Bがバネ介在伸縮シリンダーJ7で移動し、移動下テーブル板2B上で、更に上テーブル板2Aがバネ介在伸縮シリンダーJ8で移動し、主管移動テーブル3も、バネ介在伸縮シリンダーJ6で移動するため、枝管8B及び主管8Aの加熱装置9への前進当接作用は、バネ作用での当接となり、押圧融着作用でも、プラスチックパイプ8Aと8Bとは、弾性押圧力作用での衝突作用を生じ、熱に敏感なプラスチック材に対する温和な衝突作用となる。
【0042】
そして、加熱枝管8Bの加熱主管8Aへの押圧融着作用は、枝管8B群の、下テーブル板2Bのバネ弾性前進に、更に上テーブル板2Aのバネ弾性前進が加わった前進押圧当接作用となるため、枝管8Bの主管取付孔8G内への嵌入押圧は、必要押圧力を弾性的に、順次段階的に付与するものとなり、枝管8Bの端縁ebの、主管8Aの取付孔8G内への融着が、繊細な、時間経過を伴う押圧力作用によって変形を抑制しながら、確実に達成出来る。
【0043】
また、本発明の熱融着機にあっては、枝管8B側の移動テーブル2は、加熱装置9の上昇離脱後、バネ介在伸縮シリンダーJ7で下テーブル板2Bを固定テーブル1Tと1T´との間隔S内へ突出して枝管8B群を主管8Aと対向させ、次いで、バネ介在伸縮シリンダーJ8で上テーブル板2Aを突出させて枝管8B群の端縁ebを主管8Aの取付孔8G内に弾性押圧して、枝管8B端縁ebを取付孔8Gの段部d8に融着させるのが好ましい。
【0044】
この場合、典型的には、バネ介在伸縮シリンダーJ7のストローク長(標準:100mm)よりバネ介在伸縮シリンダーJ8のストローク長(標準:25mm)が小であり、バネ反撥力は、シリンダーJ7よりシリンダーJ8の方が小である。
従って、枝管8B群の主管8Aの取付孔8G内への嵌入押圧作用は、バネ弾性で前進する下テーブル板2Bに、更にバネ弾性で前進する上テーブル板2Aのバネ弾性押圧作用となり、パイプ8B,8Aの相互融着部の押圧変形を抑制した状態での融着作用となって、加熱温度と押圧時間に敏感なプラスチックパイプ相互の直交形態の融着接合が良好に実施出来る。
【0045】
また、本発明の熱融着機にあっては、加熱装置9の融着ヒーター11を温度管理し、主管8A及び枝管8Bの溶融時間及び融着時間と共に、各伸縮シリンダーJ1,J2,J3,J4,J5及び各バネ介在伸縮シリンダーJ6,J7,J8を、タイマーを介在して作動制御するのが好ましい。
この場合、融着ヒーター11の温度、及び溶融時間は、対象プラスチックパイプの材質、太さに対応して最適状態を決定すれば良く、ポリプロピレンランダムコポリマー(PP−R)樹脂製の、肉厚5mmの主管8Aと肉厚1.6mmの枝管8Bを採用する場合は、加熱装置9の表面加熱温度200℃〜210℃、加熱時間は主管8Aが25秒間、枝管8Bが10秒で実施すれば良い。
【0046】
従って、本発明の熱融着機は、枝管クランプ装置5のパイプホルダー5A上への枝管の載置と、主管クランプ装置6の把持チャック6A上への主管8Aの位置決め載置との作業以外の、製品の良否を決定する、加熱、融着等の重要作業は自動制御で機械的に遂行出来るため、主管8Aへの枝管8B群の直交連通接続が、均質性の担保の下に、高い生産性で実施出来る。
そして、所定長さの枝管8B群を1本の主管8Aに直交接続連通した、図14(B)の半製品8Fに、半製品製造時と同様に、各枝管8B群の他端に、再度、主管8Aを直交接続連通すれば、両端の主管8A間に多数本の枝管8B群が連通した、温水循環放熱器用のプラスチック製放熱パネルが得られる。
【発明の効果】
【0047】
プラスチック樹脂材の加熱溶解は、室温、温度、加熱温度によって、生き物のように微妙に変化し、プラスチックパイプ相互の融着連通は、非常に困難な作業であって、融着精度に問題があると、経年耐用中に漏水の問題を生ずるが、本発明の加熱融着機の採用で、主管8Aに対する枝管8B群の直交融着連通作業が、半自動で容易に、且つ、均質精度の下で遂行出来る。
そのため、本発明熱融着機は、従来例1の融着ソケットを採用するパイプ直交接続では製作困難な、枝管8B群を主管8Aに対して、高密度に配置するパイプ接続製品の製造を可能とし、従来例2の如き、プラスチックパイプ相互を、手作業で直接直交接続するパイプ直交接続方法を、半自動的な合理的手法で、且つ、均質、高精度で、高い生産性の下で実施可能とした。
【0048】
また、枝管8B側の固定テーブル1Tと主管8A側の固定テーブル1T´との間隔Sで、下方からのセットプレート5Eの上下動、及び上方からの加熱装置9の降下上昇動を実施するため、熱融着機の小型化を可能とし、多数の枝管8B群を、セットプレート5Eで揃えた状態で枝管クランプ装置5が保持し、枝管8B群を一体として加熱作用、融着作用を実施することで均質性を担保し、枝管クランプ装置5と主管クランプ装置6を、共に、前後動する移動テーブル上に配置して、1個の加熱装置で同時に主管8Aと枝管8B群とを加熱するため、熱効率良く溶融作業が実施出来、対象パイプ材料に適した、加熱温度及び溶解時間で、各移動テーブル2,3を適切に駆動することにより、高精度で高品質の、パイプの直交融着連通品の製作が、作業工程の合理化と省熱エネルギーの下で可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の熱融着機の縦断側面図である。
【図2】熱融着機の左半の上面図である。
【図3】熱融着機の枝管側から見た左半の正面図である。
【図4】熱融着機の主管側から見た左半の正面図である。
【図5】移動テーブル説明図であって、(A)は枝管側移動テーブル2の一部切欠縦断側面図、(B)は主管側移動テーブル3の縦断側面図、(C)はスライドユニット配置構造の縦断正面図、(D)はスライドユニット斜視図である。
【図6】加熱装置の説明図であって、(A)は縦断側面図、(B)は一部切欠正面図である。
【図7】加熱装置の部分説明図であって、(A)は融着チップホルダー及び融着チップの斜視図、(B)は融着チップ装着状態の説明図、(C)は融着ヒーターの斜視図である。
【図8】枝管クランプ装置の説明図であって、(A)はクランプ装置5の配置状態の縦断側面図、(B)はクランプ装置5の一部切欠斜視図、(C)はパイプホルダー5Aの移動テーブルへの取付構造を示す部分縦断正面図である。
【図9】主管クランプ装置6の説明図であって、(A)は主管8Aをチャック6A上に載置した状態の縦断側面図、(B)はチャック6Aが主管8Aを確保して転倒した状態の縦断側面図、(C)は主管クランプ装置の一部切欠斜視図である。
【図10】主管8A及び枝管8Bをセットした状態での、熱融着機の要部縦断側面図である。
【図11】(A)は主管8A及び枝管8Bの加熱状態での、熱融着機の要部縦断側面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図12】主管8Aと枝管8Bとの融着状態での、熱融着機の要部縦断側面図である。
【図13】機枠架台の説明図であって、(A)は全体斜視図、(B)は(A)のB部拡大図である。
【図14】本発明の熱融着機で製作実施する製品の説明図であって、(A)は主管と枝管との部分拡大断面図、(B)は半製品の一部切欠平面図、(C)は完成品の一部切欠斜視図である。
【図15】従来例1の説明図であって、(A)は融着状態断面図、(B)は融着製品断面図である。
【図16】従来例2の説明図であって、(A)は主管の孔開け状態説明断面図、(B)は主管用加熱工具と主管の斜視図、(C)は分岐管加熱工具と分岐物の斜視図、(D)は主管と分岐管の接合作業斜視図、(E)は融着接合状態斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明を、図14に示す放熱器用のパイプ接続製品を製作する加熱融着機に就いての、実施例で詳述する。
尚、図14(A)は主管8Aと枝管8Bとの部分拡大断面図であり、図14(B)は一側の主管8Aに枝管8B群を接続連通した半製品8Fの平面図であり、図14(C)は、図14(B)の半製品8Fの枝管8B群の他端にも、主管8Aを接続連通した、完成品としてのプラスチックパイプパネルの2枚を、更に接続パイプ8Cで連通したプラスチックパイプ製の放熱器である。
【0051】
主管8Aと枝管8Bとは、同一材料の、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂(PP−R樹脂)製パイプであり、この場合、主管8Aは、外径R8が27mm、肉厚tが5mmであり、取付孔8Gとして、図14(A)に示す如く、外面側の第1孔H8を13.2mm径、内側の第2孔H8´を9.8mm径で、段部d8を有する二段形態孔としたものである。
また、枝管8Bは、外径R8´が13mm、肉厚が1.6mmである。
【0052】
〔熱融着機の概要〕
図1は熱融着機の縦断側面図であり、図2は、機械長手方向中心線CLから左右対称構造の機械の、上面左半図であり、図3は、中心線CLから左右対称構造の枝管側の左半正面図であり、図4は、中心線CLから左右対称構造の主管側の左半正面図である。
本発明のプラスチックパイプ熱融着機Mは、図2〜4に示す如く、長手方向中心線CLから左右対称構造であり、図1及び図2に示す如く、両側端のポスト1Aと、上桟1C、下桟1D及び縦桟1Eとを剛構造に構築して機枠を構成し、機枠の上桟1Cの上面に固定テーブル1Tと1T´とを、ポスト1Aの幅間隔を保って、同一レベルで前後に配置して架台(機枠架台)を形成している。
【0053】
そして、架台1上の、枝管側MBの固定テーブル1T上には、上下二重の移動テーブル2を配置して、移動テーブル2上に枝管クランプ装置5を配設し、主管側MHの固定テーブル1T´上には、移動テーブル3を配置して、移動テーブル3上に主管クランプ装置6を配設し、枝管側固定テーブル1Tと主管側固定テーブル1T´との間隔S、即ち、長手方向両側端のポスト1Aの幅W4で生じた間隔S、の固定テーブル1T,1T´間の下方には、上下動するセットプレート装置5Rを配置し、固定テーブル1T,1T´間の上方には、上下動する加熱装置9を配置したものである。
【0054】
そして、枝管8B群を移動テーブル2上のクランプ装置5上に載置し、セットプレート装置5Rによってセットプレート5Eを上昇した状態で、各枝管8Bを、セットプレート5Eに当接してパイプ端縁を揃えてクランプ装置5で確保し、主管8Aも主管クランプ装置6で、セット装置7で位置規制して確保し、セットプレート5Eを下方に引っ込めた後、加熱装置9を降下し、枝管移動テーブル2と主管移動テーブル3の、加熱装置9への前進によって、枝管8B群と主管8Aとを加熱装置9で加熱溶融し、移動テーブル2と移動テーブル3とを後退させて加熱装置9を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル2と移動テーブル3の対向前進で、枝管8B群と主管8Aとを対向前進させて、枝管8B群の先端溶融部と主管8Aの溶融取付孔8Gとを当接押圧して枝管8Bと主管8Aとを融着接合させるものである。
【0055】
〔架台1の構造(図13)〕
架台(機枠架台)1は、各種機構部を配置するための支承枠体であって、図13(A)は、架台1の全体斜視図、図13(B)は、図13(A)のB部拡大説明図である。
即ち、架台1は、図13(A)に示す如く、両側のポスト1Aの枝管側MBと主管側MHとに、上桟1C、下桟1D及び縦桟1Eから成る台枠を構築し、台枠の下桟1D隅下面には高さ調整ボルト1Kを配置し、台枠上には、枝管側固定テーブル1Tと、主管側固定テーブル1T´とを、ポスト1Aのウェブ1A´の幅W4に相当する間隔Sを保って取付け、ポスト1Aの上部間にはヒーターベース1Bを差渡し固定したものであり、機枠架台1の全体形状は、長さL1が2150mm、幅W1が1050mm、ポスト1Aの高さh1が1600mmで、固定テーブル1T,1T´の高さh2が600mmである。
【0056】
ポスト1Aは、慣用の溝形鋼(JISG3192)で、ウェブ1A´の、厚さが9mm、幅W4が150mmで、フランジ1A”の、厚さが12.5mm、幅W4´が75mmで、長さ(高さ)が1550mmであり、下端には、ボルト挿入用孔H1を備えた12mm厚鋼板のアンカープレート1Vを溶接固着し、アンカープレート1Vに高さ調整ボルト1Kを配置し、ウェブ1A´の下端より480mm上方で枝管側に、図1に示す如く、9mm厚の山形鋼の受桟1Lを、セットプレート5E用の伸縮シリンダーJ3の取付材として配置している。
そして、ポスト1Aの両側フランジ1A”の、下端部には、下桟1Dの調整取付用のボルト孔H3を、中間部には、上桟1C調整取付用のボルト孔H2を、上端には、ヒーターベース1B調整取付用のボルト孔H4を配置している。
【0057】
枝管側MB及び主管側MHの台枠は、4.5mm厚で一辺が75mmの慣用の角形鋼管(JISG3466)の上桟1C、下桟1D及び縦桟1Eで溶接構築し、四隅の下桟1D下面には、高さ調整ボルト1Kを配置し、ポスト1Aのフランジ1A”に対し、下桟1Dはボルト孔H3を介し、上桟1Cはボルト孔H2を介して取付け、枝管側MBの上桟1C上には9mm厚の鋼板を固定して固定テーブル1Tとし、主管側MHの上桟1C上にも、9mm厚の鋼板を固定して固定テーブル1T´とし、幅(W2)600mmの枝管側の固定テーブル1Tの前端と、幅(W3)300mmの主管側の固定テーブル1T´の前端との間隔S、即ち両テーブル1T,1T´の対向間隔Sをポスト1Aの幅W4(150mm)で確保している。
また、ヒーターベース1Bは、図1に示す如く、底板1B´と側板1B”を備え、9mm厚で、幅W4が150mm、長さL2が2000mmの溝型鋼であって、両側端に溶着した塞ぎ板1Sを、ポストウェブ1A´とボルト孔H4を介して取付けたものである。
【0058】
〔移動テーブル2,3(図5)〕
図5(A)は、枝管側移動テーブル2の要部縦断側面図、図5(B)は主管側移動テーブル3の要部縦断側面図、図5(C)は移動テーブル2のスライドユニット配置説明図、図5(D)はスライドユニット斜視図である。
スライドユニット4自体は、図5(D)に示す如く、長尺のアンカーブロック4Dと、アンカーブロック4D上に載置する、上端に断面円形レール4Bを備えた長尺の支持台4Cと、レール4Bに嵌合するための嵌合溝4Gを下面に備え、上面にねじ孔HNを備えたスライドブロック4Aとから構成したものである。
【0059】
移動テーブル2は、厚さ9mm、幅525mm、長さ2000mmの下テーブル板2Bと、下テーブル板2Bと同一の上テーブル板2Aとが、別個独立的に前後移動する二重テーブルであって、下テーブル板2Bは、図5(C)に示す如く、固定テーブル1T上に、前後幅方向にスライドユニットを配置し、支持台4Cとアンカーブロック4Dとをボルト4Pで固定テーブル1T(9mm厚鋼板)上に固定し、スライドブロック4A上に、9mm厚鋼板の下テーブル板2Bをねじ4Nで固定して、下テーブル板2Bを固定テーブル1Tに対して、前後幅方向に摺動可能とし、更に、下テーブル板2B上に、図5(C)の如く、スライドユニット4´を前後幅方向に固定し、スライドユニット4´上に、9mm厚鋼板の上テーブル板2Aを固定し、上テーブル板2Aを、下テーブル板2Bに対して、前後幅方向に摺動可能としたものである。
【0060】
そして、図5(A)に示す如く、固定テーブル1Tと下テーブル2Bとの隙間g2´(標準:75mm)の前部位置で、機械の長手方向中心線CLの左右各650mmには、ストローク長100mmのバネ介在伸縮シリンダー(エアシリンダー)J7を、シリンダーJ7の前後の入排気部Jaを固定テーブル1T上に、ストッパー4Kを介してボルト4Pで固定し、伸縮シリンダーJ7のシリンダー金具Jmから突出した伸縮ロッドJrにナット4Mを取付け、ナット4Mの前部にコイルスプリングJsを配置し、移動下テーブル板2B下面にねじ2Nで下方突設固定したブラケット4Eの前側から、シリンダーボルトJbを、ブラケット4Eのボルト挿入用孔H5を介して、コイルスプリングJs内を貫通して、ナット4Mに螺合固定する。
【0061】
従って、バネ介在伸縮シリンダーJ7は、伸縮シリンダーJ7が伸縮ロッドJrを伸長すれば、ナット4M及びシリンダーボルトJbも一体的に伸長し、ブラケット4Eと一体の下テーブル板2Bは、ナット4Mの前進がコイルスプリングJsを押圧し、コイルスプリングJsの圧縮弾性反撥力がブラケット4Eを押圧して下テーブル板2Bを前進させることとなり、伸縮シリンダーJ7は、伸長初期段階ではシリンダーボルトJbのみを伸長し、引続くコイルスプリングJsの圧縮バネ作用力で、下テーブル板2Bに、ブラケット4EがシリンダーボルトJbの頭部に当接するまで、バネ押圧前進力を付与し、下テーブル板2Bの後退は、シリンダーボルトJbの後退運動で遂行するものとなる。
【0062】
また、図5(A)の如く、下テーブル板2B(9mm厚鋼板)と上テーブル板2A(9mm厚鋼板)との隙間g2(標準:32mm)の前部位置で、機械の長手方向中心線CLの左右各725mmの位置にも、ストローク長25mmの小型のバネ介在伸縮シリンダーJ8を、下テーブル板2B上に固定し、上テーブル板2Aから下方に突設したブラケット4E´のボルト挿入用孔H5´を介して、シリンダーボルトJbをブラケット4E´の前側からシリンダーナット4M´に、コイルスプリングJsを介在して螺合し、伸縮シリンダーJ8に伸長駆動を付与すれば、上テーブル板2AはコイルスプリングJsの圧縮バネ弾撥力で伸長する構造とした。
従って、枝管側の移動テーブル2は、下テーブル板2Bが、固定テーブル1Tに対して、バネ介在伸縮シリンダーJ7のバネ弾性力で前動し、上テーブル板2Aが、下テーブル板2Bに対して、バネ介在伸縮シリンダーJ8のバネ弾撥力で前動する二重移動テーブル構造である。
【0063】
また、主管側の移動テーブル3も、固定テーブル1T´上で、バネ介在伸縮シリンダーJ6のバネ弾撥力によって前後動するものである。
即ち、機械の長手方向中心線CLから左右各650mmの位置で、図5(B)に示す如く、固定テーブル1T´と移動テーブル3との隙間g3(標準:99mm)の固定テーブル1T´上に、ストローク長50mmの伸縮シリンダーJ6の前後の入排気部Jaをストッパー4Kを介してボルト4Pで固定し、移動テーブル3(9mm厚鋼板)の前端3t下面にボルト挿入用孔H5を備えたブラケット4Eをねじ2Nで垂下固定しておき、伸縮シリンダーJ6のシリンダー金具Jmから伸長するシリンダー伸縮ロッドJrの前端にナット4Mを固定し、ブラケット4Eの前側からシリンダーボルトJbを、ブラケット4Eのボルト挿入用孔H5を介して、且つ、ブラケット4Eとナット4M間に介在したコイルスプリングJsを貫通してナット4Mに螺着する。
また、図4に示す如く、移動テーブル3下面と固定テーブル1T´上面との隙間g3には、前後幅方向に、スライドユニット4を配置しておく。
【0064】
〔枝管側クランプ装置5(図1、図8)〕
枝管側クランプ装置5は、外径13mm、肉厚1.6mmの枝管8B群を、先端縁ebを揃えた状態で、所定中心間距離PA(標準:20mm)で確保するものであって、図8(A)は枝管8B群を確保した状態の縦断側面図、(B)は一部切欠斜視図、(C)はパイプホルダー5Aの機械の長さL1方向縦断説明図である。
枝管側クランプ装置5は、図8(B)に示す如く、パイプホルダー5Aと、パイプホルダー5Aに対し、ストローク長が30mmの伸縮シリンダーJ2で上下動する押圧板5Bとから成り、パイプホルダー5Aは、対象枝管8Bの径、配置間隔の変更に応じて準備するものである。
【0065】
パイプホルダー5Aは、両側で枝管クランプサイド5Dと固定し、下面で移動テーブル2の上テーブル板2Aと固定するもので、長さ1840mm、幅(W5)200mmで、厚さ12.5mmのアルミ金属製で、上面には、中心間距離PAが20mmで径13mmの半円状の嵌合溝5Gを備え、下面を、図8(C)の如く、移動テーブル2の上テーブル板2A上にねじ5Nで着脱自在に固着し、長手方向両側端は、図2に示す如く、上テーブル板2A上に載置した枝管クランプサイド5Dと固定している。
【0066】
クランプサイド5Dは、上部中央に欠込み5Kを備え、図2、及び図8(B)に示す如く、両端のクランプサイド5Dの該欠込み5K間に亘って、差渡し状に、鋼製6mm厚で、底板5C´の幅が58mm、側板5C”の高さが30mm、長さが1900mmのC型鋼(溝形鋼)のシリンダー受5Cを、ボルト5P(図2参照)でクランプサイド5Dの上面の欠込み5Kに固定し、シリンダー受5Cの底板5C´には、図2に示す如く、機械の長さ方向中心線CLから左右に、225mm及び675mmの位置に、計4個の、ストローク長30mmの伸縮シリンダーJ2を配置し、シリンダーJ2のシリンダーロッドJrの下端には、図8(A)に示す如く、幅(W5)が200mm、長さ1840mm、厚さ10mmのアルミ平板の押圧板5Bを固定している。
【0067】
〔枝管セットプレート装置5R(図8(A))〕
セットプレート装置5Rは、枝管8B群を枝管クランプ装置で位置確保する前に、パイプホルダー5A上に枝管8B群を載置した後、各枝管8Bの先端(前端)を揃える基準当て板としてのセットプレート5Eを、伸縮シリンダーJ3で上下動させる装置である。
図8(A)に示す如く、シリンダーJ3は、架台(機枠)1のポスト1A間で、枝管側MBに寄せて固定した受桟1Lの水平辺に、機械長手方向中心線CLから各600mmの位置で固定する。
【0068】
そして、伸縮ロッドJrの先端にナット5Mを螺着し、ナット5Mの上方に径12mmのボルト5P´を溶着し、ボルト5P´上に係止金具5Fの底板5F´を溶着し、断面溝型の係止金具5Fの両側板5F”間にセットプレート5Eの下端を嵌入し、ボルト5Pでセットプレート5E下端を係止金具5Fに挟着固定したものである。
この場合、セットプレート5Eは、鋼製で、厚さ15mm、高さ150mm、長さが、クランプ装置5のパイプホルダー5Aの全長をカバーするため1900mmの板材であり、係止金具5Fは、6mm厚の構成溝形鋼で、長さが、図3に示す如く、セットプレート5Eを両側で突出形態で確保する1500mmであり、伸縮シリンダーJ3はストローク長150mmである。
【0069】
〔主管クランプ装置6(図9)〕
主管クランプ装置6は、主管8Aを所定姿勢で把持し、主管8Aに、必要加熱溶融作用、及び枝管8B群との押圧融着作用を付与するものであり、主管8Aを把持するための把持チャック6Aと、チャック6Aを転倒変位させる転倒シリンダーJ5とを備えたものである。
図9(A)は、チャック6Aに主管8Aを載置した状態の縦断側面図であり、図9(B)は、主管8Aを把持したチャック6Aを、加熱作用位置に転倒した状態の縦断側面図であり、図9(C)は、主管クランプ装置6の一部切欠斜視図である。
【0070】
主管把持チャック6Aは、図9に示す如く、クランプ下台6Bと、上プレート6Cと、クランプ下台6Bに対して上プレート6Cを前進又は後退させる伸縮シリンダーJ4とから成り、クランプ下台6Bは、幅43.5mm、厚さ29.5mm、長さ1900mmのアルミ板状材であって、上面Tsの前部には、主管嵌合溝6Gを、主管8Aが前面Fsから若干(標準:3.5mm)突出する形態で嵌合するように備えたものである。
【0071】
そして、長尺(標準:1900mm)のクランプ下台6Bの後面Bsを、一辺30mmで5mm厚の長尺(標準:1900mm)山形鋼の、下受台6Kの前面Kfに当接して、下受台6Bをねじ6Nで固定し、図2に示す如く、機械の長手方向中心線CLから左右に、225mmの位置、及び450mmの位置で計4個の、伸縮シリンダーJ2保持用アングルブラケット6Dを、図9(A)及び図9(C)に示す如く、クランプ下台6Bと下受台6Kとに当接する形態で、クランプ下台6Bにねじ6Nで固定し、アングルブラケット6Dにはストローク長10mmの伸縮シリンダーJ4を取付け、伸縮シリンダーの伸縮ロッドJrの先端には、幅20mm、厚さ12mmで、長尺(標準:1900mm)の板材の上プレート6Cを固定して、クランプ下台6Bに載置した主管8Aを、伸縮シリンダーJ4の伸長によって、上プレート6Cで圧接把持する構造である。
【0072】
そして、図9(C)に示す如く、下受台6Kの両端には、5mm厚で、一辺が30mmの正方形の鋼板で、径15mm、長さ25mmの軸6Rを外方に突出した端部プレート6Sを溶接一体化して、端部プレート6Sから外方に軸6Rを一体化突出し、軸6Rを、移動テーブル3の上面に固定した軸受金具6Mで支承し、クランプ下台6B、ブラケット6Dを一体的に固定した下受台6Kを、図2、図4に示す如く、軸受金具6Mで回動自在に軸支している。
尚、軸受金具6Mは、パッキン6Eを介して移動テーブル3上にボルト締着し、軸支円筒部6Uの頂部にはねじボルト6Tを配置し、ねじボルト6Tの締付けで軸6Rの回動を抑制し、ねじボルト6Tを弛めれば、下受台6Kの軸6Rでの回動が可能となるものである。
【0073】
また、図9(B),(C)に示す如く、下受台6Kの、クランプ下台6Bの背面側の、アングル形態の内面を利用して、回動用ブラケット14を機械の長手方向中心線CLから左右に650mmの位置で、ねじ6Nで下受台6Kに固定しておき、図1に示す如く、主管側移動テーブル3の後端下面に配置したシリンダー取付用ブラケット15を介して、チャック転倒シリンダーJ5を取付け、移動テーブル3に開口したシリンダー挿入用孔HMを貫通して、回動用ブラケット14の先端とシリンダー伸縮ロッドJr先端を、アイボルト13Eを介してピボット軸支している。
また、移動テーブル3上の回動用ブラケット14の対応位置には、幅20mm、厚さ10mm、長さ40mmの鋼板片である受台13Aを付設しておく。
【0074】
従って、主管クランプ装置6の関係構造は、図9(A)の主管8Aをチャック6A上に載置する状態、即ち、転倒シリンダーJ5が収縮した状態では、回動用ブラケット14の背面14Bが受台13A上に当接着座して、把持チャック6Aは姿勢が保証されて、チャック6Aは、クランプ下台6Bが前部、上プレート6Cが後部位置で、クランプ下台6Bと上プレート6C間に主管8Aが上方から投入出来る上向き位置、即ち、クランプ下台6Bは、前面Fsが上部、底面Dsが前部位置(図6(A)の位置)を占める姿勢となり、主管クランプシリンダーJ4の作用で上プレート6Cが主管8Aをクランプ下台6Bに押圧保持した状態で、チャック転倒シリンダーJ5が伸長すれば、図9(B)の如く、シリンダーロッドJrが回動用ブラケット14を回動起立して、チャック6Aは、下受台6Kの軸6Rを回動軸とする90°回動によって、前面Fsが移動テーブル前端3tと整合し、且つ主管8Aをクランプ下台6B前面Fsより3.5mm突出させる。
【0075】
〔セット装置7(図10)〕
セット装置7は、主管8Aを、主管クランプ装置6のチャック6A上に載置した状態で、主管8Aの位置を正確に設定するものであって、図2に示す如く、主管側の移動テーブル3上で、機械の長手方向中心線CLから、左右に各450mmで、移動テーブル後端3bより内側100mmの位置に、図10に示す如く、支持台7Eを固定し、支持台7E上に軸棒7Dを回動可能に軸支し、軸棒7Dの長手方向中央(CL線上)に取手7Bを突設し、図2の如く、軸棒7D上の取手7B(中心線CL位置)から左右350mmの位置には、アングル形状の支持バー7Cを軸棒7Dに対して固定し、支持バー7Cの先端に、セットピン7Aを、支持バー7Cから直角に突設したものである。
【0076】
この場合、軸棒7Dに対する、取手7B、支持バー7Cは、共に取付角度が調整出来るように、それ自体慣用の、さや管部材7K手段で固定し、セットピン7Aは、先端形状を主管8Aの取付孔8Gと整合する形状としておく。
従って、図10に示す如く、主管クランプ装置6の、上向き状態でのクランプ下台6Bと上プレート6C間に主管8Aを、取付孔8Gを上向きに載置し、取手7Bで軸棒7Dを回動して、支持バー7Cのセットピン7Aを主管8Aの取付孔8Gに上方から嵌合した状態で、シリンダーJ4の伸長作用によって上プレート6Cを主管8Aに前進押圧し、取手7Bの回動で、セットピン7Aを主管8Aから回動抜脱すれば、主管8Aは、取付孔8Gが上向き状態で把持チャック6Aに把持確保される。
【0077】
〔加熱装置9(図1、図6、図7)〕
加熱装置9は、図1に示す如く、ポスト1A間に差渡し状に配置した溝形鋼のヒーターベース1B上に配置した伸縮シリンダーJ1から垂下したシリンダーロッドJrの下端に、融着バー12、融着ヒーター11、及び融着チップホルダー10を連結配置し、伸縮シリンダーJ1で加熱装置9を枝管側移動テーブル2と主管側移動テーブル3間に降下させた状態で、枝管8B群及び主管8Aを融着チップホルダー10に当接して所定状態に溶融して上昇離脱させるものであり、融着バー12は、図3に示す如く、機械長手方向の中心線CLの左右各450mmの位置で、ストローク長300mmの伸縮シリンダーJ1の伸縮ロッドJr下端と固定している。
【0078】
融着バー12は、図2、図3、及び図6に示す如く、鋼製で、一辺が60mmの断面正方形角材で、長さL12が1940mmであり、長さ方向中心線CL位置から、おのおのの左右対称に計8本の、孔径20mmのボルト挿入用孔H11を貫通し、図6(A)に示す如く、ボルト挿入用孔H11上に、厚さ5mmのつば12Bと内径16mmで厚さ2mmのスリーブ12Tから成る、熱伝導率の小さなセラミックカラー12Aを載置し、下方の融着ヒーター11との間にも、同一のセラミックカラー12Aを介在して、径12mmのボルト12Pで、融着バー12と融着ヒーター11とを締着する。
【0079】
尚、融着バー12には、両端で上方にスライドガイドシャフト12Rを突設しておき、ヒーターベース1Bのガイド孔(図示せず)にシャフト12Rを貫通して、融着バー12の平滑な上下動を達成するようにしている。
従って、融着ヒーター11の上面からの、融着バー12への熱伝達は、セラミックカラー12Aで抑制され、融着ヒーター11からボルト12Pに伝達される熱も、上部のセラミックカラー12Aによって、ボルト12Pから融着バー12への熱伝達が抑制され、融着バー12には、熱変位の抑制された状態で、平滑な上下動を達成する。
【0080】
融着ヒーター11は、図7(C)に示す如く、アルミ鋳造品(AC4Cアルミ合金鋳造品)の断面矩型状体であり、上面11Uには、融着バー12と接続するための径12mmで深さ15mmのねじ孔H11´を備え、両端の上部には欠込み11Eを備え、内部に鋳造一体化したストレートヒーター11Aの端部11A´を、電源端子取付部として突出し、枝管側(MB)の側面(垂直面)11F中央からは、融着ヒーター11の表面温度計測用の計測コード11Cを突出し、計測コード11Cを配電盤内の表示盤に接続するものである。
内部のストレートヒーター11Aは、鋳造時に、型枠内の定位置を保持するように、ストレートヒーター11A挿入用孔H11”を備えたアルミ板のセパレータ11Bを適宜間隔(標準:150mm)で型内に配置して、2本のストレートヒーター11Aを一体化鋳造している。
【0081】
融着ヒーター11は、図7(C)に示す如く、幅W11が60mm、高さh11が67mm、長さL11が450mmであり、上方の融着バー12には、4本の融着ヒーター11を、端辺11Sを当接した直列形態で配置するものであり、下部には、長手方向両側の嵌合溝11Gを介して嵌合突起(嵌合突出部)11Pを形成し、嵌合溝11G及び嵌合突起11Pは平滑面仕上げし、下部に嵌合連結する融着チップホルダー10との熱伝達の向上を図ったものである。
また、内蔵するストレートヒーター11A自体は、供給電力200Vで容量500W用の、径が12mm、長さ400mmであって、2本並列埋設するが、巻付けニクロム線コイル(図示せず)を、中央を粗く、両端を密に捲着して、下部に連結する融着チップホルダー10への伝達熱量が、全長に亘って均斉になるようにしておく。
そして、融着ヒーター11は、図6に示す如く、融着バー12に対して、セラミックカラー12Aを介在してボルト12Pで締着一体化し、図3に示す如く、4本直列の長さL2が1800mmで、欠込み11Eから電源端子取付部11A´の露出した状態に配置する。
【0082】
また、融着チップホルダー10は、図7(A)に示す如く、長尺のアルミ(AL−Mg−Si系6151)製の押出品を適寸に切断したものであり、長さL10が58mm、幅W10が60mm、高さh10が56mmの断面矩形状ブロックであって、上面には、融着ヒーター11の嵌合突起11Pを、全周面が密接形態で摺動嵌入するための、嵌合突起11Pに対応する嵌合溝10Gを備えたもので、枝管側の平坦な加熱面10Fにはテフロン樹脂被膜10Bを塗着し、主管側の加熱面10F´には、下端から上方25mmで、両端から9mm、20mmの位置に、計3個の、径が12.8mm、深さ4mmの挿入用孔H10を、挿入用孔H10から連続する同心の、径が5mmで深さ7mmの、ねじ孔H10´を穿設しておき、融着チップ10Aを、挿入用孔H10を介して加熱面10F´に3個付設する。
【0083】
また、融着チップ10Aは、アルミ製パイプの切削加工品であって、主管8Aの取付孔8G内に嵌入して取付孔8G内を加熱溶融するものであり、図7(A)、図7(B)に示す如く、基端の円筒部10T”は径12.8mm、長さ4mmで、中央の大径円筒部10T´は径が16.6mmで長さ8mm、先端の円筒部10Tは径が12.3mm、長さが6mmであり、前側のボルト挿入用孔HPは径9.8mm、長さ10mmで、引続く後側ボルト挿入用孔HP´は径6mm、長さ8mmであり、総長さL8が18mmの円筒部片である。
【0084】
そして、先端の円筒部10Tの外周面、及び先端縁ef面には、テフロン樹脂被膜10Bを塗着しておく。
そして、各融着チップ10Aを、図7(B)に示す如く、融着チップホルダー10の挿入用孔H10に基端円筒部10T”を嵌入し、ボルト10Pを挿入用孔HPからねじ孔H10´に螺入固定し、融着ヒーター11への嵌着用の融着チップホルダー10として準備する。
【0085】
融着チップ10Aを一体化した融着チップホルダー10の融着ヒーター11への連結は、図6(A),(B)に示す如く、融着チップホルダー10の上面の嵌合溝10Gを融着ヒーター11Aの下面の嵌合突起11Pに嵌合摺動して配置する。
この場合、1本の長さL11が450mmの融着ヒーター11を4本直列とした長さL3(1800mm)の融着ヒーター11に対し、長さ58mm(L10)の融着チップホルダー10の30個を、隙間ゲージを用いて相互間隔2mm(d10)を保って配置する。
【0086】
従って、長さ58mmの各融着チップホルダー10は、融着ヒーター11が、加熱使用中に、長さ方向に熱伸長(200〜210℃で、長さ1800mmにつき15mm伸長)しても、融着ヒーター11の熱伸長に追従することなく、各58mm長の融着チップホルダー10は、各個独立的に0.5mm伸長するが、相互間隔d10(2mm)で、相互干渉せずに、各個体の熱伸長を吸収し、融着チップホルダー10から突設した各融着チップ10Aの中心間寸法PA(標準:20mm)が、支障の無い程度に維持出来る。
【0087】
〔主管8A及び枝管8B(図14)〕
図14(A)は、本発明の実施に用いる主管8A及び枝管8Bの部分拡大断面図であり、図14(B)は、主管8Aと枝管8Bとを融着した半製品の平面図であり、図14(C)は製品斜視図である。
主管8A及び枝管8Bは、ポリプロピレンランダムコポリマー(PP−R)樹脂製パイプであり、主管8Aは、肉厚5mm、外径(R8)27mmであり、枝管8Bは、肉厚1.6mm、外径(R8´)が13mmで、主管8Aには、中心間距離PAが20mmで、取付孔8Gを配置したものであり、取付孔8Gは、図14(A)に示す如く、第1の孔H8が径13.2mm、第2の孔H8´が9.8mmの同心二段連通孔である。
【0088】
〔主管8Aと枝管8Bとの接合(図10、図11、図12)〕
図1は熱融着機Mの稼動前の縦断面図であって、図10は、主管8A及び枝管8Bの位置決定状態の縦断面図、図11は、主管8A及び枝管8Bの加熱溶融状態の縦断面図、図12は、主管8Aと枝管8Bの押圧融着状態の縦断面図である。
【0089】
図1の状態から図10の状態に至るまでの作業は:
(ア).機械の長さ方向中心線CLから左右各600mmの位置の受桟1L上に配置したセットプレートシリンダーJ3を駆動伸長してセットプレート5Eを上昇させる。
(イ).枝管側MBの移動テーブル2の、上テーブル板2A上に固定したパイプホルダー5A上面の、中心間距離PA20mmで配置した嵌合溝5G群に、枝管8B群を、先端縁ebをセットプレート5E面に当接して、配列する。
(ウ).機械長さ方向中心線CLから、左右に、225mm、450mmの位置で、シリンダー受5C内に配置した枝管クランプ昇降シリンダーJ2の伸長で押圧板5Bを降下して、パイプホルダー5Aと押圧板5Bとで枝管8B群を挟着確保する。
【0090】
(エ).主管側MHでは、図9(C)に示す如く、クランプ下台6B及び上プレート6Cから成るチャック6Aの、下受台6Kの両端の軸受金具6Mの、軸支円筒部6Uの、上面のねじボルト6Tを弛めてチャック6Aを回動自在とする。
(オ).次いで、前面Fsが上向き状態(図9(A))のチャック6Aの嵌合溝6Gに、取付孔8Gを上向きにして主管8Aを配置し、セット装置7の取手7Bの回動によって、支持バー7Cの先端のセットピン7Aを取付孔8G内に嵌入する。
(カ).次に、機械長さ方向中心線CLの左右225mm、450mmの位置に配置したブラケット6D上の主管クランプシリンダーJ4の伸長によって、上プレート6Cの前進により、主管8Aをクランプ下台6Bの嵌合溝6Gと上プレート6Cとで挟着確保して、図10の状態となる。
【0091】
図10の状態から図11の状態までは:
(キ).伸縮シリンダーJ3でセットプレート5Eを降下させる。
(ク).加熱装置9を、伸縮シリンダーJ1で降下させる。
(ケ).主管側MHにあっては、主管取付孔8Gに嵌入したセットピン7Aを、セット装置7の取手7Bの回動により取外し、チャック転倒シリンダーJ5の伸長で主管8Aを確保したチャック6Aを、軸6Rを回動中心として移動テーブル3の前端へ転倒(図9(B)位置)する。
【0092】
(コ).次いで、主管側移動テーブル3を、枝管側に先行して、伸長シリンダーJ6で、スライドユニット4を介して前進させ、加熱装置9の融着チップホルダー10から突出した各融着チップ10Aへ、主管取付孔8Gを嵌合し、図11(B)に示す如く、融着チップ10Aの先端縁efが取付孔8Gの第1孔H8の段部d3に当接した形態で挿入して当接部を溶融する。
(サ).次いで、枝管側の移動テーブル2を、伸縮シリンダーJ7で、スライドユニット4を介して前進させて、枝管8B群の端縁ebを融着チップホルダー10の、平坦なテフロン加工加熱面10Fに当接し、溶融する(図11状態)。
【0093】
この場合、加熱装置9の融着チップホルダー10の加熱面10F,10F´は、200℃〜210℃の適温となるには2時間を要するので、スイッチ入力はタイマー制御する。
また、主管取付孔8Gの溶解は25±2秒で、枝管8Bの溶融は、主管8Aより15秒遅れで、10±2秒行うが、全てタイマーセットで実施する。
尚、上記時間は、室温20℃の条件下であり、室温が20℃以下なら、溶解等に時間増となる。
【0094】
図11の状態から図12の状態までの作業は:
(シ).移動テーブル2を、スライドユニット4を介した伸縮シリンダーJ7の作用で、移動テーブル3を、スライドユニット4を介した伸縮シリンダーJ6の作用で、共に後退させる。
(ス).次いで、加熱装置9を伸縮シリンダーJ1で上昇離脱させ、再度、主管側移動テーブル3を、スライドユニット4を介した伸縮シリンダーJ6の作用で前進させ、枝管側移動テーブル2を、伸縮シリンダーJ7による下テーブル板2Bの前進と、引続く伸縮シリンダーJ8による上テーブル板2Aの前進との二重前進作用で前進させる。
【0095】
この場合、主管側の伸縮シリンダーJ6、枝管側の伸縮シリンダーJ7,J8は、共にバネ介在伸縮シリンダーであって、コイルスプリングの弾性反撥力での前進であるため、主管取付孔8Gの第1孔H8と枝管端縁ebとの当接押圧は、繊細な押圧力の下での実施となり、融着部の変形は最小限に抑制されて、パイプ8A,8B相互の連通の保証された、良好な外見の融着接合となる。
尚、融着時間は、PP−R樹脂のパイプ相互の完全融着冷却のために、120秒にセットして実施する。
【0096】
図12の状態から図1の状態までの作業は:
(セ).パイプホルダー5Aの嵌合溝5Gに嵌合して、押圧板5Bで確保されている枝管8B群を、伸縮シリンダーJ2の収縮作用で押圧板5Bを上昇させて開放し、また、チャック6Aで確保している主管8Aを、伸縮シリンダーJ4の作用による上プレート6Cの上昇で開放し、1本の主管8Aに直行状に枝管8B群が融着一体化した半製品を熱融着機Mから取外す。
(ソ).そして、枝管側移動テーブル2を、下テーブル板2B用の伸縮シリンダーJ7のスライドユニット4を介した作用、及び上テーブル2A用の伸縮シリンダーJ8のスライドユニット4´を介した作用で、主管側移動テーブル3を、伸縮シリンダーJ6のスライドユニット4を介した作用で、おのおの後退させる。
(タ).次いで、主管側のチャック6Aを、チャック転倒伸縮シリンダーJ5の作動でシリンダーロッドJrを収縮することにより、軸6Rを回動中心とする90°回動によりチャック前面Fsを上向きに、即ちチャック6Aを上向きに戻す。
尚、主管8A及び枝管8Bの、溶融時間、融着時間と共に、各伸縮シリンダー群も、タイマーによって制御作動する。
【0097】
〔放熱器の製作(図14)〕
図14(B)は、本発明の熱融着機の実施で製作した半製品の平面図であり、図14(C)は完成品の一部切欠斜視図である。
図14(B)に示す如く、1本の主管8Aに対する枝管8B群の1回目の熱融着作業で、半製品8Fが得られる。
次いで、枝管側のパイプホルダー5Aの嵌合溝5Gに、半製品8Fの枝管8B群を嵌入配置し、主管クランプ装置6側に1本の主管8Aを配置し、1回目の融着作業と同様に、2回目の融着作業を実施することにより、各枝管8B群の両端に主管8Aが融着した、プラスチックパイプ製放熱面81が得られる。
該2枚の放熱面81,82を接続パイプ8Cを介して連続し、主管8Aの端面に閉止板8Eを融着閉止することにより、前後2連の放熱器(放熱パネル)が得られる。
【符号の説明】
【0098】
1 架台(機枠架台)
1A ポスト
1A´ ウェブ
1A” フランジ
1B ヒーターベース
1B´,5C´,5F´ 底板
1B”,5C”,5F” 側板
1C 上桟
1D 下桟
1E 縦桟
1K 高さ調整ボルト
1L 受桟
1M,4M,4M´,5M,13M ナット
1S 塞ぎ板
1T,1T´ 固定テーブル
1V アンカープレート
2,3 移動テーブル
2A 上テーブル板
2B 下テーブル板
4,4´ スライドユニット
4A スライドブロック
4B レール
4C 支持台
4D アンカーブロック
4E,4E´ ブラケット
4G,5G,6G,10G,11G 嵌合溝
4K ストッパー
2N,4N,5N,6N ねじ
4P,4P´,5P,5P´,10P,12P ボルト
5 枝管クランプ装置(クランプ装置)
5A パイプホルダー
5B 押圧板
5C シリンダー受
5D クランプサイド
5E セットプレート
5F 係止金具
5K,11E 欠込み
5R セットプレート装置
6 主管クランプ装置(クランプ装置)
6A チャック(把持チャック)
6B クランプ下台
6C 上プレート
6D アングルブラケット(ブラケット)
6E パッキン
6K 下受台
6M 軸受金具
6R 軸
6S 端部プレート
6T ねじボルト
6U 軸支円筒部
7 セット装置
7A セットピン
7B 取手
7C 支持バー
7D 軸棒
7E 支持台
7K さや管部材
8 放熱器
8A 主管(パイプ)
8B 枝管(パイプ)
8C 接続パイプ
8E 閉止板
8F 半製品
8G 取付孔
9 加熱装置
10 融着チップホルダー
10A 融着チップ
10B テフロン樹脂被膜
10F,10F´ 加熱面
10T 先端円筒部(円筒部)
10T´ 大径円筒部(円筒部)
10T” 基端円筒部(円筒部)
11 融着ヒーター
11A ストレートヒーター
11A´ 電源端子取付部(端部)
11B セパレータ
11C 計測コード
11P 嵌合突起(嵌合突出部)
12 融着バー
12A セラミックカラー
12B つば
12R スライドガイドシャフト(シャフト)
12T スリーブ
13A 受台
13E アイボルト
14 回動用ブラケット(ブラケット)
15 シリンダー取付用ブラケット(ブラケット)
81,82 放熱面
CL 機械長手方向中心線(長さ方向中心線、中心線)
d10,S 間隔
eb 端縁
ef 先端面
g2,g2´,g3 隙間
H1,H2,H3,H4,H5,H5´,H11,HP,HP´ ボルト挿入用孔(挿入用孔、ボルト孔)
H10´,H11´,HN ねじ孔
H11” ストレートヒーター取付孔
H8,H8´,H10 取付孔
HM シリンダー挿入用孔
J1,J2,J3,J4,J5 伸縮シリンダー(シリンダー、エアシリンダー)
J6,J7,J8 バネ介在伸縮シリンダー(シリンダー、エアシリンダー)
Ja 入排気部
Jb シリンダーボルト
Jm シリンダー金具
Jr 伸縮ロッド(シリンダーロッド、ロッド)
Js コイルスプリング
M 熱融着機
MB 枝管側
MH 主管側
PA 中心間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両側にポスト(1A)を備え、ポスト(1A)の前部には枝管側(MB)の固定テーブル(1T)を、ポスト(1A)の後部には主管側(MH)の固定テーブル(1T´)を、間隔(S)を保って備えた架台(1)上で、長手方向に配置した1本の主管(8A)に、複数本の並行枝管(8B)群を直交当接融着するプラスチックパイプ熱融着機(M)であって、枝管側(MB)の固定テーブル(1T)は、上面に枝管クランプ装置(5)を配置した前後移動テーブル(2)を備え、主管側(MH)の固定テーブル(1T´)は、主管(8A)を位置規制状態で確保する主管クランプ装置(6)を上面に配置した前後移動テーブル(3)を備え、固定テーブル(1T)と固定テーブル(1T´)との間隔(S)には、下方から上昇するセットプレート(5E)と、上方から下降する加熱装置(9)とを配置し、上昇したセットプレート(5E)で枝管(8B)群の端縁(eb)を揃えて枝管(8B)群をクランプ装置(5)が保持し、セットプレート(5E)の下降後に加熱装置(9)を降下させ、主管側の移動テーブル(3)及び枝管側の移動テーブル(2)を前進させて、加熱装置(9)の、一側の加熱面(10F)で枝管(8B)端縁(eb)群を、他側の加熱面(10F´)で主管(8A)の取付孔(8G)群を加熱溶融し、移動テーブル(2)と(3)とを後進させて加熱装置(9)を上昇離脱させた後、再度、移動テーブル(2)及び(3)を前進させて、枝管(8B)群の端縁(eb)を主管(8A)の取付孔(8G)群に嵌入融着一体化するプラスチックパイプ熱融着機。
【請求項2】
セットプレート(5E)は、両固定テーブル(1T),(1T´)の間隔(S)の下方に配置した伸縮シリンダー(J3)で上下動させ、上昇したセットプレート(5E)が全枝管(8B)の端縁(eb)を位置規制する、請求項1に記載のパイプ熱融着機。
【請求項3】
加熱装置(9)は、枝管(8B)当接用の加熱面(10F)を一側面に、主管(8A)の取付孔(8G)嵌入用融着チップ(10A)群を突設した加熱面(10F´)を他側面に備えた融着チップホルダー(10)の上面に、融着ヒーター(11)を当接嵌合し、融着ヒーター(11)の上部に融着バー(12)を取付け、融着バー(12)を、ポスト(1A)間に差渡したヒーターベース(1B)に配置した伸縮シリンダー(J1)で、枝管側固定テーブル(1T)と主管側固定テーブル(1T´)と間隔(S)を上下動させる、請求項1又は2に記載のパイプ熱融着機。
【請求項4】
融着チップホルダー(10)は、一側面が枝管(8B)群の端縁(eb)当接用の平坦加熱面(10F)であり、他側面が主管(8A)の取付孔(8G)に嵌入する融着チップ(10A)群を着脱自在に突設し、一側の枝管(8B)当接用の加熱面(10F)、及び他側の融着チップ(10A)の外面がテフロン樹脂被膜(10B)を備えたブロック片であり、各融着チップホルダー(10)群相互を、間隔(d10)を保って融着ヒーター(11)に対して摺動可能に配置した、請求項3に記載のパイプ熱融着機。
【請求項5】
融着チップ(10A)は、金属製円筒片であって、外周は、融着チップホルダー(10)の取付孔(H10)に嵌入する基端円筒部(10T”)と、中間の大径円筒部(10T´)と、主管(8A)の取付孔(8G)の第1の孔(H8)に嵌入する先端円筒部(10T)とを備え、内周は、基端側のボルト挿入用孔(HP´)と、先端側のボルト頭部着座用の大径挿入用孔(HP)とを連通し、先端円筒部(10T)の外周面と、先端円筒部(10T)の先端面(ef)とを、テフロン樹脂被膜(10B)で被覆した、請求項4に記載のパイプ熱融着機。
【請求項6】
融着ヒーター(11)は、アルミ合金成形品であって、下端に嵌合溝(11G)を介して嵌合突出部(11P)をレール形態で備え、内部には、ストレートヒーター(11A)を、セパレータ(11B)を介在して一体化し、融着チップホルダー(10)は、アルミ合金成形品であって、上面に融着ヒーター(11)の嵌合突出部(11P)を摺動形態で嵌入するための嵌合溝(10G)を備え、融着チップホルダー(10)を融着ヒーター(11)の下面に密接摺動嵌合した、請求項4、又は5に記載のパイプ熱融着機。
【請求項7】
枝管(8B)用クランプ装置(5)は、パイプ嵌合溝(5G)群を上面に平行配置したパイプホルダー(5A)を、移動テーブル(2)の上面に着脱自在に固定し、パイプホルダー(5A)の上面に配置した枝管(8B)群を、伸縮シリンダー(J2)によって上下動する押圧板(5B)で保持及び開放する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のパイプ熱融着機。
【請求項8】
主管クランプ装置(6)は、クランプ下台(6B)と、伸縮シリンダー(J4)で駆動する移動上プレート(6C)とから成る把持チャック(6A)で主管(8A)を位置規制して把持し、チャック転倒伸縮シリンダー(J5)が把持チャック(6A)を転倒して、主管(8A)の取付孔(8G)を融着位置に回転転位させる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパイプ熱融着機。
【請求項9】
チャック(6A)に載置した主管(8A)に対し、取手(7B)の回動操作によって、支持バー(7C)に配置したセットピン(7A)の主管(8A)の取付孔(8G)への嵌入・抜去作用で主管(8A)の取付孔(8G)を位置規制する、請求項8に記載のパイプ熱融着機。
【請求項10】
枝管側の移動テーブル(2)が、固定テーブル(1T)上に配置した伸縮シリンダー(J7)で前後動する下テーブル板(2B)と、下テーブル板(2B)上に配置した伸縮シリンダー(J8)で前後動する上テーブル板(2A)とから成る二重テーブルであり、主管側の移動テーブル(3)が、固定テーブル(1T´)上に配置した伸縮シリンダー(J6)で前後動するテーブル(3)であり、各伸縮シリンダー(J7),(J8)及び(J6)が、コイルスプリング(Js)を介して作動するバネ介在伸縮シリンダーである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の熱融着機。
【請求項11】
枝管(8B)側の移動テーブル(2)は、加熱装置(9)の上昇離脱後、バネ介在伸縮シリンダー(J7)で下テーブル板(2B)を固定テーブル(1T)と(1T´)との間隔(S)内へ突出して枝管(8B)群を主管(8A)と対向させ、次いで、バネ介在伸縮シリンダー(J8)で上テーブル板(2A)を突出させて枝管(8B)群の端縁(eb)を主管(8A)の取付孔(8G)内に弾性押圧して、枝管(8B)端縁(eb)を取付孔(8G)の段部(d8)に融着させる、請求項10に記載のパイプ熱融着機。
【請求項12】
加熱装置(9)の融着ヒーター(11)を温度管理し、主管(8A)及び枝管(8B)の溶融時間及び融着時間と共に、各伸縮シリンダー(J1,J2,J3,J4,J5)及び各バネ介在伸縮シリンダー(J6,J7,J8)を、タイマーを介在して作動制御する、請求項10又は11に記載のパイプ熱融着機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−188655(P2010−188655A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36711(P2009−36711)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(396027108)株式会社テスク (68)
【Fターム(参考)】