説明

プラスチックレンズの製造方法、及び射出成形装置

【課題】射出成形法によってプラスチックレンズを製造するに際し、成形品への異物混入の原因となる微粒子成分が原料樹脂中に含まれていても、成形されたプラスチックレンズに当該微粒子成分に起因する異物の混入を抑制することができるプラスチックレンズの製造方法、及びそのようなプラスチックレンズの製造方法に好適に利用できる射出成形装置方法を提供する。
【解決手段】投入された原料樹脂を溶融、混練して、先端部に形成されたノズル85から射出する加熱シリンダ82に、ノズル85を加熱するノズルヒーターHと、加熱シリンダ82の胴体部を加熱する複数のヒーターH,H,H,Hとを、それぞれ独立して温度制御できるように取り付け、加熱シリンダ82内を移動する初期の段階にある原料樹脂を加熱するヒーターHの加熱温度が最も高い温度となり、かつ、ノズルヒーターHの加熱温度が最も低い温度となるように温度制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形されたプラスチックレンズへの異物の混入を抑制することができるプラスチックレンズの製造方法、及びそのような製造方法に好適に利用できる射出成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、眼鏡用のプラスチックレンズを成形する方法として、ポリカーボネート樹脂やポリアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いた射出成形法が知られている。例えば、特許文献1には、樹脂の収縮による光学歪や面精度の低下を抑制すべく、成形型のキャビティ内に射出充填された樹脂をさらに圧縮して眼鏡用のプラスチックレンズを成形する技術が開示されている。
【0003】
射出成形法にあっては、原料樹脂を加熱シリンダ内で溶融、混練し、溶融状態にある原料樹脂を成形型のキャビティ内に射出充填するが、原料樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂をペレット状に造粒したものが用いられている。ペレット状に造粒された原料樹脂は、加熱シリンダ内で回転するスクリューによって、せん断、粉砕されつつ、せん断熱と加熱シリンダが備えるヒーターからの加熱によって溶融されるが、このような射出成形法に供されるペレット状に造粒された原料樹脂には、その製造工程や、搬送される過程で生じる粉末状の微粒子成分が僅かに含まれており、そのような微粒子成分のなかには、加熱シリンダ内で過剰に熱せられると褐色又は黒色に変色し、図6に示すような着色した異物として、透明なプラスチックレンズ中に混入してしまうものがある。
なお、図6は、原料樹脂に由来する微粒子成分に起因する異物を示す写真であり、当該異物の代表的な三つの例を示している。
【0004】
一方、特許文献2には、原料モノマーの一部が加熱して変色し、異物になる旨が記載されており、特許文献2は、このような異物の発生を抑制するために、原料中に含まれる粒径が15μm以上の微粒子の個数を制御する技術を開示している。このような特許文献2に開示された技術によれば、ペレット造粒時に発生する微粒子の個数を抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−6216
【特許文献2】特開2006−313638
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、眼鏡用のプラスチックレンズの成形に用いられるポリカーボネート樹脂やポリアクリル樹脂は硬質の樹脂であるが、ペレット状に造粒された樹脂粒子が袋詰めにされて搬送される際に、互いに擦れ合うなどして微粒子が発生してしまうことがある。さらに、加熱シリンダ内に投入された原料樹脂は、加熱シリンダ内に配設されたスクリューの回転によって、せん断、粉砕されるが、このときに原料樹脂から微粒子が発生することもある。
【0007】
このような原料樹脂に由来する微粒子成分が含まれている原料を使用して、射出成形法にてプラスチックレンズを製造したときに、かかる微粒子成分が変色してしまうと、製造された透明なプラスチックレンズに着色した異物が混入してしまうことになるが、特許文献2に記載の技術では、ペレット造粒時に発生する微粒子の個数を抑制することができるものの、ペレットを造粒した後に袋詰めされて搬送される過程や、射出成形工程において、原料樹脂に由来する微粒子成分の発生を制御することはできない。
【0008】
そこで、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、射出成形工程において、加熱シリンダ内に投入された原料樹脂を溶融、混練する際の加熱条件を制御することによって、原料樹脂中に混在する微粒子成分に起因する異物の混入を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、射出成形法によってプラスチックレンズを製造するに際し、成形品への異物混入の原因となる微粒子成分が原料樹脂中に含まれていても、成形されたプラスチックレンズに当該微粒子成分に起因する異物の混入を抑制することができるプラスチックレンズの製造方法、及びそのようなプラスチックレンズの製造方法に好適に利用できる射出成形装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、射出装置が備える加熱シリンダに原料樹脂を投入する工程と、前記原料樹脂を前記加熱シリンダ内で溶融、混練しながらシリンダ前室83に送る工程と、溶融した前記原料樹脂を前記加熱シリンダの先端部に形成されたノズルから射出して、成形型のキャビティ内に充填する工程とを有するプラスチックレンズの製造方法であって、前記加熱シリンダに、前記ノズルを加熱するノズルヒーターと、前記加熱シリンダの胴体部を加熱する複数のヒーターとを、それぞれ独立して温度制御できるように取り付けて、前記加熱シリンダの基端側に接続されたホッパーから前記原料樹脂が投入される部位を加熱するヒーターに隣接して取り付けられて、前記加熱シリンダ内を移動する初期の段階にある前記原料樹脂を加熱するヒーターの加熱温度が最も高い温度となり、かつ、前記ノズルヒーターの加熱温度が最も低い温度となるように温度制御する方法としてある。
【0010】
また、本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、最も高い加熱温度とされたヒーターと前記ノズルヒーターとの間に位置するヒーターの加熱温度が、前記ノズルに近づくにつれて徐々に低下するように温度制御する方法とすることができる。
【0011】
また、本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、前記加熱シリンダ内で溶融、混練される前記原料樹脂に対する背圧が80〜150kg/cmとなるように、前記加熱シリンダ内に配設されたスクリューを制御する方法とすることができる。
【0012】
また、本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、前記加熱シリンダの先端部に形成されたノズルから射出される前記原料樹脂の容量を、前記シリンダ前室に蓄積された前記原料樹脂の容量の80%以下とした方法とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るプラスチックレンズの製造方法にあっては、前記スクリューの回転数を30〜80rpmとするのが好ましく、前記加熱シリンダの内径Dに対する長さLの比を、L/D≧20とするのが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る射出成形装置は、投入された原料樹脂を溶融、混練して、先端部に形成されたノズルから射出する加熱シリンダを有する射出装置を備えた射出成形装置であって、前記加熱シリンダには、前記ノズルを加熱するノズルヒーターと、前記加熱シリンダの胴体部を加熱する複数のヒーターとが、それぞれ独立して温度制御できるように取り付けられており、前記加熱シリンダの基端側に接続されたホッパーから前記原料樹脂が投入される部位を加熱するヒーターに隣接して取り付けられて、前記加熱シリンダ内を移動する初期の段階にある前記原料樹脂を加熱するヒーターの加熱温度が最も高い温度となり、かつ、前記ノズルヒーターの加熱温度が最も低い温度となるように温度制御されている構成としてある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成形されたプラスチックレンズへの異物混入の原因となる微粒子成分が原料樹脂中に含まれていても、ノズルから射出される原料樹脂中に未溶融の微粒子成分が混在するのを抑止すとともに、当該微粒生成分の溶融を促進することができ、これによって、成形されたプラスチックレンズに当該微粒子成分に起因する異物の混入を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る射出成形装置の実施形態の概略を示す説明図である。
【図2】本発明に係る射出成形装置の実施形態が備える成形型の概略を示す断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】本発明に係る射出成形装置の実施形態が備える射出装置の概略を示す説明図である。
【図6】原料樹脂に由来する微粒子成分に起因する異物を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
[射出成形装置]
図1は、本実施形態に係る射出成形装置の概略を示す説明図であり、本実施形態に係るプラスチックレンズの製造方法は、このような射出成形装置を好適に利用して実施することができる。
【0019】
図1に示す射出成形装置は、パーティングラインPLで分割される可動型1と固定型2とを有する成形型50と、トグルリンク機構65によって成形型50の開閉及び型締めをする型締装置60と、ホッパー81から投入された原料樹脂を射出シリンダユニット82で可塑化、混練、計量してノズル85から射出する射出装置80とを備えている。
【0020】
[型締装置]
図1に示す射出圧縮成形装置が備える型締装置60は、所定の間隔で架台66に立設された固定ダイプレート61とリヤプレート62との間に複数のタイバー63を架設し、可動ダイプレート64が、タイバー63に案内されて移動可能となるように構成されている。そして、固定ダイプレート61と可動ダイプレート64との間には、成形型50が取り付けられており、リヤプレート62と可動ダイプレート64との間には、トグルリンク機構65が取り付けられている。
これにより、トグルリンク機構65を駆動させると、可動ダイプレート64がタイバー63に案内されて進退し、これに伴って、成形型50の開閉と型締めとがなされるようになっている。
【0021】
ここで、トグルリンク機構65は、図示しないモータに接続されたボールねじ72の回転に伴って、螺着されたクロスヘッド73がボールねじ72に沿って移動するようになっている。そして、クロスヘッド73が可動ダイプレート64側に移動すると、連結リンク74A,74Bによってトグルリンク71A,71Bが直線状に伸びて、可動ダイプレート64が固定ダイプレート61に近づくように移動(前進)する。これとは反対に、クロスヘッド73がリヤプレート62側に移動すると、連結リンク74A,74Bによってトグルリンク71A,71Bが内方へ屈曲して、可動ダイプレート64が固定ダイプレート61から離れるように移動(後退)する。
【0022】
[成形型]
図2は、図1に示す射出圧成形装置が備える成形型50を、その中心軸を通る紙面に垂直な面で切り取った断面を示す断面図であり、図3は、図2のA−A断面図、図4は、図2のB−B断面図である。
【0023】
これらの図に示す例あっては、可動型1の型本体4が、型取付部材16を介して可動ダイプレート64に固定されており、固定型2の型本体8が、型取付部材15を介して固定ダイプレート61に固定されている。これによって、型締装置60の固定ダイプレート61と可動ダイプレート64との間に、成形型50が取り付けられるようになっている。
【0024】
可動型1の型本体4は、二つのインサートガイド部材5と、これらを保持する型板6,7とを有している。インサートガイド部材5の内部には、キャビティ形成部材としてのインサート11が収納されており、インサート11には、成形しようとするプラスチックレンズの一方の面(図示する例では、凹面側の面)に対応する成形面が形成されている。
【0025】
一方、固定型2の型本体8は、二つのインサートガイド部材9と、型板10とを有しており、インサートガイド部材9は、型板10と型取付部材15とによって保持されている。インサートガイド部材9の内部には、キャビティ形成部材としてのインサート12が収納されており、インサート12には、成形しようとするプラスチックレンズの他方の面(図示する例では、凸面側の面)に対応する成形面が形成されている。
【0026】
このような可動型1と固定型2とを有する成形型50は、可動型1と固定型2との間に、可動型1側のインサート11と固定型2側のインサート12のそれぞれに形成された成形面を含むキャビティ3が形成されるようになっている。
なお、可動型1と固定型2との間には、キャビティ3とともに、ゲートGを介して各キャビティ3に接続された樹脂流路としてのランナ49が形成されるようになっている。そして、固定型2の型板10には、ランナ49に直角に接続されるスプルー48を形成するスプルーブッシュ47が取り付けられている。
【0027】
ここで、可動型1側の型取付部材16には、インサート11のそれぞれに対応させて油圧シリンダ19が設けられており、ピストン20に連結されたピストンロッド21が、油圧シリンダ19の一端側に固定されたバックインサート22内を貫通している。そして、それぞれのピストンロッド21の先端に設けられたT字クランプ部材23が、インサート11の背面(成形面が形成された面とは反対側の面)に形成されたT字溝24に係脱自在に係合されている。
【0028】
これによって、成形型50を型開きした状態で、各油圧シリンダ19のピストンロッド21を前進させて、それぞれのピストンロッド21の先端に設けられたT字クランプ部材23をインサートガイド部材5から突出させることで、成形しようとするプラスチックレンズに応じてインサート11を交換できるようになっている。各油圧シリンダ19のピストンロッド21が後退すると、T字クランプ部材23に取り付けられたインサート11は、インサートガイド部材5の内部に収納される。
【0029】
同様に、固定型2側の型取付部材15にも、インサート12のそれぞれに対応させて油圧シリンダ26が設けられており、ピストン27に連結されたピストンロッド28が、型取付部材15内を貫通している。そして、それぞれのピストンロッド28の先端に設けられたT字クランプ部材29が、インサート12の背面(成形面が形成された面とは反対側の面)に形成されたT字溝30に係脱自在に係合されている。
【0030】
これによって、成形型50を型開きした状態で、各油圧シリンダ26のピストンロッド28を前進させて、それぞれのピストンロッド28の先端に設けられたT字クランプ部材29をインサートガイド部材9から突出させることで、成形しようとするプラスチックレンズに応じてインサート12を交換することができるようになっている。各油圧シリンダ26のピストンロッド28が後退すると、T字クランプ部材29に取り付けられたインサート12は、インサートガイド部材9の内部に収納される。
【0031】
また、可動型1の型本体4を可動ダイプレート64に固定するに際して、型本体4は、図3に示すように、第一部材16Aと、第二部材16Bとからなる型取付部材16にボルト17で取り付けられている。このとき、可動型1の型本体4と型取付部材16との間には、ボルト17の外周に挿入された複数の皿ばね17Aが介装されており、可動型1の型本体4と型取付部材16との間に隙間Sが形成されるようになっている。
【0032】
この隙間Sは、成形型50が閉じられた後に可動ダイプレート64がさらに前進し、ガイドピン18でガイドされた型取付部材16が、皿ばね17Aの弾性力に抗して押圧されることにより閉じられるようになっている。これに伴って、図示する例では、型取付部材16に設けられた各油圧シリンダ19が、バックインサート22を介してインサート11を押圧するようになっている。これにより、型締めがなされる際のキャビティ3の容積を可変とし、キャビティ3内に射出充填された原料樹脂をインサート11によって加圧圧縮できるようにしてある。
なお、ガイドピン18は、成形型50の開閉動作もガイドするように、固定型2側に突出して、固定型2に穿設された挿通孔に挿通されるようになっている。
【0033】
また、可動型1側の型取付部材16に設けられた油圧シリンダ19の他端側には、受圧部材32が取り付けられている。そして、型取付部材16に形成された孔33から挿入されたエジェクトロッド34が受圧部材32を押圧すると、油圧シリンダ19、バックインサート22及びインサート11も押圧され、キャビティ3内で成形されたレンズが押し出されるようになっている。
これとともに、型取付部材16の中央には、成形型50の開閉方向と平行に進退可能にエジェクトピン35が配置されている。型取付部材16に形成された孔37から挿入されたエジェクトロッド38によって、エジェクトピン35に取り付けられた受圧部材36が押圧されると、エジェクトピン35が押し出される。
したがって、型開きに際しては、エジェクトロッド34,38を前進させることによって、成形品の取り出しがなされるようになっている。
【0034】
なお、受圧部材32には、図3に示すように、エジェクトリターンピン39の外周に巻回されたばね40のばね力が図3中左向きに作用している。また、受圧部材36にも、図4に示すように、エジェクトリターンピン41の外周に巻回されたばね42のばね力が図4中左向きに作用している。これにより、エジェクトロッド34,38が後退すると、受圧部材32,36も後退して待機位置に戻るようになっている。
【0035】
また、成形型50は、図4に示すように、射出装置80のノズル85を閉塞するノズルシャット機構90を有している。ノズルシャット機構90は、スプルーブッシュ47によって形成されるスプルー48内に突出する遮断部材としてのノズルシャットピン91を有している。このノズルシャットピン91は、接続片92を介して油圧シリンダ93のピストンロッド94に接続されており、油圧シリンダ93は、シリンダ取付板95によって型取付部材15に固定されている。これにより、スプルーブッシュ47にノズル85が圧接した状態において、油圧シリンダ93を駆動させると、ノズルシャットピン91がスプルー48内に突出してノズル85を閉塞し、原料樹脂の逆流を阻止するようになっている。
【0036】
[射出装置]
図5は、図1に示す射出成形装置が備える射出装置80の概略を示す説明図である。図5に示す射出装置80は、先端部にノズル85が形成された加熱シリンダ82を有している。この加熱シリンダ82の内部には、軸88の周面に沿って螺旋状に形成された羽根部87を有するスクリュー86が配設されており、スクリュー駆動部84によって、スクリュー86の回転及び進退移動が制御できるようになっている。
【0037】
また、加熱シリンダ82の基端側には、ペレット状の原料樹脂を加熱シリンダ82内に投入するためのホッパー81が接続されている。ホッパー81から加熱シリンダ82内に投入された原料樹脂は、加熱シリンダ82内で回転するスクリュー86によってせん断、粉砕されつつ、せん断熱と加熱シリンダ82が備えるヒーターからの加熱によって溶融、混練されながら、スクリュー86の先端とノズル85との間に形成されるシリンダ前室83に送られて計量され、その後、射出成形に適した粘度に調整された所定量の原料樹脂がノズル85から射出される。
【0038】
加熱シリンダ82が備えるヒーターとして、加熱シリンダ82の先端部に形成されたノズル85には、ノズルヒーターHが取り付けられている。一方、加熱シリンダ82の胴体部には、その先端側から基端側に向かって順に、ヒーターH,H,H,Hが隣接して取り付けられている。これらのヒーターH,H,H,H,Hとしては、一般にバンドヒーターと称される抵抗加熱ヒーターなどを用いることができる。
なお、図2には、ヒーターH,H,H,H,Hによって加熱される範囲を示しており、ヒーターそのものの図示は省略している。
【0039】
加熱シリンダ82の胴体部に取り付けられているヒーターH,H,H,Hのうち、ヒーターHは、ホッパー81から原料樹脂が投入される部位を加熱するように取り付けられている。そして、ヒーターHに隣接して取り付けられたヒーターHは、加熱シリンダ82内を移動する初期の段階にある原料樹脂を加熱し、ヒーターHに隣接して取り付けられたヒーターHは、加熱シリンダ82の中間領域を移動する原料樹脂を加熱し、ヒーターHに隣接して取り付けられたヒーターHは、シリンダ前室83に蓄積される原料樹脂を加熱する。
【0040】
これらのヒーターH,H,H,H,Hは、加熱シリンダ82内を移動する原料樹脂に対し、その移動途中の部位ごとに好適な加熱ができるように独立して温度制御されるようになっているが、その具体的な温度制御については後述する。
【0041】
[プラスチックレンズの製造方法]
以上のような射出成形装置を用いてプラスチックレンズを成形するには、まず、トグルリンク機構65を駆動して、クロスヘッド73を前進させ、これによって、成形型50の型閉じを行う。このとき、パーティングラインPLで可動型1と固定型2とが密着した後もさらにクロスヘッド73を前進させて、可動型1の型本体4と型取付部材16との間に形成される隙間Sの間隔を適宜調整することにより、可動型1と固定型2との間に形成されるキャビティ3の容積が、成形しようとするプラスチックレンズの容積に、圧縮代の分だけ拡大された容積となるようにする。
【0042】
次に、加熱シリンダの先端部に形成されたノズル85から溶融状態にある原料樹脂を射出して、スプルー48、ランナ49及びゲートGを経てキャビティ3内に充填する。
このとき、ホッパー81から投入されたペレット状の原料樹脂は、加熱シリンダ82内で回転するスクリューによって、せん断、粉砕されつつ、せん断熱と加熱シリンダ82が備えるヒーターからの加熱によって溶融、混練されながら、スクリュー16の先端とノズル85との間に形成されるシリンダ前室83に送られていき、その後、射出成形に適した粘度に調整された所定量の原料樹脂がノズル85から射出されるのは前述した通りである。
なお、原料樹脂としては、この種のプラスチックレンズの成形に一般に使用されるポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0043】
このようにして溶融状態にある原料樹脂を加熱シリンダ82の先端部に形成されたノズル85から射出するにあたり、加熱シリンダ82の胴体部に取り付けられたヒーターH,H,H,Hのうち、ホッパー81から原料樹脂が投入される部位を加熱するヒーターHは、原料樹脂が溶融しない程度の温度に設定しておくものとする。
加熱シリンダ82内に投入された段階で原料樹脂が急速に加熱されて溶融すると、原料樹脂に付着した水分や、原料樹脂に吸着された気体が離脱して、溶融した原料樹脂中に気泡が発生してしまうおそれがあるためである。
ヒーターHの設定温度は、通常、50〜80℃とすることができる。
【0044】
また、前述したように、加熱シリンダ82内を移動する原料樹脂に対して、その移動途中の部位ごとに好適な加熱ができるように、ヒーターH,H,H,H,Hを独立して温度制御するが、具体的には、射出装置80が備えるホッパー81から原料樹脂が投入される部位を加熱するヒーターHに隣接して取り付けられて、加熱シリンダ82内を移動する初期の段階にある原料樹脂を加熱するヒーターHの加熱温度が最も高い温度となり、かつ、ノズルヒーターHの加熱温度が最も低い温度となるように温度制御する。
【0045】
このようにすることで、加熱シリンダ82内を移動する初期の段階にある原料樹脂を速やかに溶融させて、周囲にある未溶融の微粒子成分を容易に湿潤し、当該微粒子成分の溶融を効果的に促進することができる。その結果、射出成形法によってプラスチックレンズを製造するに際し、成形されたプラスチックレンズへの異物混入の原因となる微粒子成分が原料樹脂中に含まれていても、当該微粒生成分の溶融を促進することによって、ノズル85から射出される原料樹脂中に未溶融の微粒子成分が混在するのを抑止して、成形されたプラスチックレンズに当該微粒子成分に起因する異物の混入を抑制することが可能になる。
【0046】
また、溶融された原料樹脂は、高温にあるほど流動性が向上し、低温になると粘度が増して流動性が低下することから、既に溶融した状態にある原料樹脂がノズル85に向かって熱シリンダ82内を移動するに際して高温状態から低温状態に移行すると、未溶融の微粒子成分は流動性の高い後方の高温領域に分配されやすくなる。これにより、高温領域に分配された未溶融の微粒子成分の溶融が促進されて、原料樹脂の溶融状態を良好ならしめるとともに、ノズル85には未溶融の微粒子成分の混入が抑制された原料樹脂が流れ込み、ノズル85から射出される原料樹脂中に未溶融の微粒子成分が混在するのが抑止されて、成形されたプラスチックレンズに当該微粒子成分に起因する異物の混入を抑制することが可能になると考えられる。
【0047】
このため、本実施形態では、ノズルヒーターHの加熱温度を最も低い温度とすることで、原料樹脂がノズル85に到達するまでの間に、未溶融の微粒子成分が流動性の高い後方の高温領域に分配されるようにし、これによって、ノズル85から射出される原料樹脂中に未溶融の微粒子成分が混在するのを抑止しているが、このような未溶融の微粒子成分の高温領域への分配がより確実になされるようにするためには、最も高い加熱温度とされたヒーターHとノズルヒーターHとの間に位置するヒーターH,Hの加熱温度が、ノズル85に近づくにつれて徐々に低下するように温度制御するのが好ましい。
【0048】
また、加熱シリンダ82内の温度を一律に高温に保つのではなく、加熱シリンダ82内を移動する初期の段階にある原料樹脂を高い温度で加熱して、ノズル85側に向かって加熱温度を徐々に低下させるようにすることで、溶融状態にある原料樹脂が必要以上に加熱されてしまわないようにすることができる。その結果、原料樹脂そのものを過剰な加熱によって劣化させるなどの不具合を生じることなく、変色が抑制された良好なプラスチックレンズを製造することができる。
【0049】
なお、以上のようにしてヒーターH,H,H,H,Hを温度制御するにあたり、ヒーターHの設定温度は前述した通りであるが、ヒーターHの設定温度は290〜310℃、ヒーターHの設定温度は280〜290℃、ヒーターHの設定温度は270〜285℃とすることができる。また、加熱シリンダ82の先端部にあるノズル85に取り付けられたノズルヒーターHの設定温度は、270〜285℃とすることができる。
【0050】
また、スクリュー86の回転によって送られてきた原料樹脂は、スクリュー86の先端とノズル85との間に形成されるシリンダ前室83に蓄積され、ここで計量された所定量の原料樹脂がノズル85から射出される。シリンダ前室83は、初期においては明確な容積が形成されておらず、シリンダ前室83に送られてきた原料樹脂が徐々に蓄積されていくともに、スクリュー86が後退することにより、その容積が拡大し、予め定められた量の原料樹脂がシリンダ前室83に蓄積されると、スクリュー86が前進して所定量の原料樹脂がノズル85から射出されるようにする。
【0051】
このとき、ノズル85から射出される原料樹脂の容量は、シリンダ前室83に蓄積された原料樹脂の容量の80%以下とするのが好ましい。シリンダ前室83に原料樹脂が蓄積されていくに際し、溶融状態の良好な原料樹脂は流動性に優れるため、スクリュー86からの背圧によりノズル85側への移動が促進され、シリンダ前室83のノズル85側には溶融状態の良好な原料樹脂が集まりやすく、微粒子成分などが混在する溶融状態が良好とはいえない原料樹脂は、シリンダ前室83の後方に留まる傾向にある。このため、シリンダ前室83に蓄積された原料樹脂の全量を射出することなく、その80%以下とすることで、成形されたプラスチックレンズへの異物の混入をより効果的に抑制することができる。
【0052】
また、スクリュー86は、スクリュー駆動部84によって作動条件が制御されるが、加熱シリンダ82内で溶融、混練される原料樹脂に対する背圧が80〜150kg/cmとなるように、スクリュー86を制御するのが好ましい。スクリュー86からの背圧は、原料樹脂に加わるせん断力に影響し、原料樹脂は、せん断力が大きく加わることで溶融が促進され、せん断により発生した微粒子成分も、既に溶融している原料樹脂により湿潤が促進されて異物として残りにくくなる。
【0053】
また、スクリュウ86の回転数は30〜50rpmであるのが好ましい。スクリュー86の回転数を多くすることにより、加熱シリンダ82内における原料樹脂の溶融、混練が速やかに進行し、未溶融の微粒子成分についても、既に溶解した状態となって原料樹脂中と混練されて、その溶融が促進されるようにすることができる。
【0054】
また、加熱シリンダ82としては、加熱シリンダ82の内径Dに対する長さLの比がL/D≧20となるものを使用するのが好ましい。加熱シリンダ82の内径Dに対して長Lさが短いと、加熱シリンダ82内を進行する原料樹脂の溶融が不足する状態で、シリンダ前室83に到達するおそれがある。上記比率を超える加熱シリンダ82を使用することにより、シリンダ前室83に蓄積される原料樹脂をより確実に良好な溶融状態とすることができる。
【0055】
以上のようにして、加熱シリンダ82の先端部に形成されたノズル85から所定量の原料樹脂を射出するに際し、原料樹脂の射出充填が完了する直前に、クロスヘッド73をさらに前進させる。そして、射出充填が完了した後には、直ちにノズルシャット機構90によってスプルー48内にノズルシャットピン91を突出させてノズル85を閉塞する。これにより、原料樹脂は、圧縮加圧された状態で成形型50内に封じ込められる。
【0056】
このようにすることで、キャビティ3内に射出充填された原料樹脂が圧縮されて、その流動性が低下し、キャビティ3内での原料樹脂の対流が生じないようにすることができる。このため、成形されたプラスチックレンズの表面に異物が露出しにくくなり、表面に異物が露出しないことで、たとえ異物が混入しても、外側から視認されにくくなる。
また、ズルシャットピン91を突出させてノズル85を閉塞することにより、原料樹脂をキャビティ3内に射出充填した後において、ノズル85とキャビティ3との連通が遮断されるので、シリンダ前室83内に異物が残留していたとしても、これがキャビティ3内に入り込まないようにすることができる。
【0057】
その後、圧縮加圧された状態のまま成形型50内に封じ込められた原料樹脂を冷却すると、キャビティ3に射出充填された原料樹脂は、加圧圧縮された状態で冷却が進行していくにつれ、固化、収縮していき、所定の容積のプラスチックレンズが成形される。そして、トグルリンク機構65のクロスヘッド73を後退させて成形型50の型開きを行うが、この型開きに際して、エジェクトロッド34,38を前進させて、成形されたプラスチックレンズの取り出しを行う。
【実施例】
【0058】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0059】
[実施例1]
ペレット状のポリカーボネート樹脂(帝人株式会社製:商品名パンライト)を原料樹脂として使用し、前述した射出成形装置によりプラスチックレンズを成形した。本実施例において成形したプラスチックレンズは、凸面側ベースカーブ;700BC、凹面側曲率:R69、レンズ中心厚さ12.5mm、レンズ外周厚さ13.5mmとした。
【0060】
また、加熱シリンダ82の胴体部に取り付けたヒーターH,H,H,Hと、ノズル85に取り付けたノズルヒーターHを温度制御するにあたり、ヒーターHを80℃、ヒーターHを290℃、ヒーターHを285℃、ヒーターHを280℃、ノズルヒーターHを280℃に設定した。
また、加熱シリンダ82は、内径40mm、長さ800mm(長さ/径=20.0)、圧縮比が2.0のものを使用し、スクリュー86の駆動条件は、回転数を50rpmとし、背圧を150kg/cmとした
また、ノズル85から射出される原料樹脂は、シリンダ前室83に蓄積された原料樹脂の80%となるようにした。
【0061】
プラスチックレンズの成形数は1000以上とし、その中で原料樹脂に由来する微粒子成分による異物が発生する割合を算出した。異物の検出は、光源からの光をプラスチックレンズに透過させてスクリーンに投影する拡大投影法にて行い、微粒子成分に起因する形状で、かつ、20μm以上の直径に相当する大きさのものを異物と認定した。その結果を表1に示す。
【0062】
[比較例1]
実施例1と同様の原料樹脂を使用し、前述した射出成形装置によりプラスチックレンズを成形した。本実施例において成形したプラスチックレンズは、凸面側ベースカーブ;700BC、凹面側曲率:R69、レンズ中心厚さ10mm、レンズ外周厚さ8.8mmとした。
【0063】
また、加熱シリンダ82の胴体部に取り付けたヒーターH,H,H,Hと、ノズル85に取り付けたノズルヒーターHを温度制御するにあたり、ヒーターHを80℃、ヒーターHを270℃、ヒーターHを270℃、ヒーターHを275℃、ノズルヒーターHを275℃に設定した。
また、加熱シリンダ82は、内径36mm、長さ720mm(長さ/径=20.0)、圧縮比が2.0のものを使用し、スクリュー86の駆動条件は、回転数を30rpmとし、背圧を100kg/cmとした
また、ノズル85から射出される原料樹脂は、シリンダ前室83に蓄積された原料樹脂の90%となるようにした。
【0064】
実施例1と同様にして、成形されたプラスチックレンズに原料樹脂に由来する微粒子成分による異物が発生する割合を算出した。その結果を表1に併せて示す。
【0065】
[比較例2]
実施例1と同様の原料樹脂を使用し、前述した射出成形装置によりプラスチックレンズを成形した。本実施例において成形したプラスチックレンズは、凸面側ベースカーブ;700BC、凹面側曲率:R69、レンズ中心厚さ10mm、レンズ外周厚さ8.8mmとした。
【0066】
また、加熱シリンダ82の胴体部に取り付けたヒーターH,H,H,Hと、ノズル85に取り付けたノズルヒーターHを温度制御するにあたり、ヒーターHを80℃、ヒーターHを290℃、ヒーターHを290℃、ヒーターHを295℃、ノズルヒーターHを295℃に設定した。
また、加熱シリンダ82は、内径40mm、長さ800mm(長さ/径=20.0)、圧縮比が2.0のものを使用し、スクリュー86の駆動条件は、回転数を30rpmとし、背圧を100kg/cmとした
また、ノズル85から射出される原料樹脂は、シリンダ前室83に蓄積された原料樹脂の80%となるようにした。
【0067】
実施例1と同様にして、成形されたプラスチックレンズに原料樹脂に由来する微粒子成分による異物が発生する割合を算出した。その結果を表1に併せて示す。
【0068】
【表1】

【0069】
以上の結果から、加熱シリンダ82内を移動する初期の段階にある原料樹脂を加熱するヒーターHの加熱温度が最も高い温度となり、かつ、ノズルヒーターHの加熱温度が最も低い温度となるように温度制御した実施例1において、微粒子成分に起因する異物の発生が抑制されることが確認できた。
実施例1においては、ヒーターHの加熱温度を最も高い温度とすることで、原料樹脂が加熱シリンダ82内を移動する初期の段階で微粒子成分の溶融が促進されることに加え、加熱シリンダ82内を移動する原料樹脂中に未溶融の微粒子成分が残っていても、ノズルヒーターHの加熱温度を最も低い温度とすることで、原料樹脂がノズル85に到達するまでの間に、未溶融の微粒子成分が流動性の高い後方の高温領域に分配され、これによって、ノズル85から射出される原料樹脂中に未溶融の微粒子成分が混在するのを抑止できたと考えられる。
【0070】
一方、比較例1及び比較例2においては、微粒子成分に起因する異物の検出が多く見られた。
【0071】
比較例1においては、加熱シリンダ82全体の加熱温度が280℃未満であったため、原料樹脂の溶融が遅れてしまい、その結果、微粒子成分の溶融が進行せず、原料樹脂中に混在する未溶融の微粒子成分の割合が増加してしまい、さらに、ノズルヒーターHの加熱温度が最も高い温度に設定されていることから、原料樹脂がノズル85に到達するまでの間に、原料樹脂中に含まれる未溶融の微粒子成分を分離できなかったと考えられる。
【0072】
また、比較例2においては、加熱シリンダ82全体の加熱温度が290℃以上であったため、微粒子成分の溶融は進行したものと思われる。したがって、異物が検出された割合は、比較例1よりも少ない。しかしながら、比較例1と同様に、ノズルヒーターHの加熱温度が最も高い温度に設定されていることから、原料樹脂がノズル85に到達するまでの間に、原料樹脂中に含まれる未溶融の微粒子成分を分離できなかったと考えられる。
【0073】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、異物の混入が抑制された良好なプラスチックレンズを成形する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0075】
3 キャビティ
50 成形型
80 射出装置
81 ホッパー
82 加熱シリンダ
83 シリンダ前室
85 ノズル
86 スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出装置が備える加熱シリンダに原料樹脂を投入する工程と、
前記原料樹脂を前記加熱シリンダ内で溶融、混練しながらシリンダ前室に送る工程と、
溶融した前記原料樹脂を前記加熱シリンダの先端部に形成されたノズルから射出して、成形型のキャビティ内に充填する工程とを有するプラスチックレンズの製造方法であって、
前記加熱シリンダに、前記ノズルを加熱するノズルヒーターと、前記加熱シリンダの胴体部を加熱する複数のヒーターとを、それぞれ独立して温度制御できるように取り付けて、
前記加熱シリンダの基端側に接続されたホッパーから前記原料樹脂が投入される部位を加熱するヒーターに隣接して取り付けられて、前記加熱シリンダ内を移動する初期の段階にある前記原料樹脂を加熱するヒーターの加熱温度が最も高い温度となり、かつ、前記ノズルヒーターの加熱温度が最も低い温度となるように温度制御することを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
【請求項2】
最も高い加熱温度とされたヒーターと前記ノズルヒーターとの間に位置するヒーターの加熱温度が、前記ノズルに近づくにつれて徐々に低下するように温度制御する請求項1に記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項3】
前記加熱シリンダ内で溶融、混練される前記原料樹脂に対する背圧が80〜150kg/cmとなるように、前記加熱シリンダ内に配設されたスクリューを制御する請求項1又は2のいずれか一項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項4】
前記加熱シリンダの先端部に形成されたノズルから射出される前記原料樹脂の容量を、前記シリンダ前室に蓄積された前記原料樹脂の容量の80%以下とした請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチックレンズの製造方法。
【請求項5】
投入された原料樹脂を溶融、混練して、先端部に形成されたノズルから射出する加熱シリンダを有する射出装置を備えた射出成形装置であって、
前記加熱シリンダには、前記ノズルを加熱するノズルヒーターと、前記加熱シリンダの胴体部を加熱する複数のヒーターとが、それぞれ独立して温度制御できるように取り付けられており、
前記加熱シリンダの基端側に接続されたホッパーから前記原料樹脂が投入される部位を加熱するヒーターに隣接して取り付けられて、前記加熱シリンダ内を移動する初期の段階にある前記原料樹脂を加熱するヒーターの加熱温度が最も高い温度となり、かつ、前記ノズルヒーターの加熱温度が最も低い温度となるように温度制御されていることを特徴とする射出成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−139868(P2012−139868A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293078(P2010−293078)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】