説明

プラスチックレンズ成形用成形型およびプラスチックレンズの製造方法

【課題】眼鏡レンズ製造工程での枠入れ時の廃棄物量(更には注型重合におけるプラスチックレンズ原料液の使用量)を低減するための手段を提供する。
【解決手段】所定の間隔をもって対向する2つの円形モールド11、12と、前記間隔に挟入された円筒部材4と、前記2つのモールドと円筒部材の周面を取り囲むことにより該モールドと円筒部材との挟入状態を固定するシーリング部材13と、を有するプラスチックレンズ成形用成形型。前記円筒部材は内部に断面形状が非円形の貫通孔を有し、該貫通孔が前記2つのモールドで封止されることにより、プラスチックレンズ原料液注入用キャビティ2が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックレンズ成形用成形型およびこれを使用するプラスチックレンズの製造方法に関するものであり、詳しくは、眼鏡レンズ製造工程での枠入れ時の廃棄物量(更には注型重合におけるプラスチックレンズ原料液の使用量)の大幅な低減が可能なプラスチックレンズ成形用成形型およびこれを使用するプラスチックレンズの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックをレンズ形状に成形してプラスチックレンズを得る方法としては、成形型内でプラスチックレンズ原料液の重合を行う注型重合法が挙げられる。注型重合法では、モールド成形面形状が転写されることにより、レンズ光学面が形成される。
【0003】
注型重合法としては、2つの円形モールド(上型および下型)を環状のガスケットに挿入し、ガスケットと上下型によって形成されたキャビティ(空間)にプラスチックレンズ原料液を注入して重合する方法(特許文献1参照)、2つの円形モールドの周面にテープを巻きつけて形成したキャビティにプラスチックレンズ原料液を注入して重合する方法(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−30431号公報
【特許文献2】特開2007−216665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り2つの円形モールドの周囲を取り囲むことにより形成されたキャビティ内で重合されたプラスチックレンズの形状は円形である。なお、本明細書および本発明では、特記しない限り、形状は平面視形状をいうものとする。
しかしながら、実際に眼鏡を製造する際に眼鏡フレームに枠入れされるレンズの大部分は子午線方向が短く、水平方向が長い。したがって注型重合により得られた円形のプラスチックレンズ(レンズブランクス)の子午線方向の上下端部は切断されて廃棄されているのが実情である。この廃棄される部分に使用されたプラスチックレンズ原料液は実際の眼鏡レンズには不要なものであるため、原料液の使用量を低減し製造コストを抑えるためには、枠入れ時に除去される部分は可能な限り少なくすることが望ましい。また、環境負荷の点からも、枠入れ時の廃棄物量は低減することが望ましい。
【0006】
そこで本発明の目的は、眼鏡レンズ製造工程での枠入れ時の廃棄物量(更には注型重合におけるプラスチックレンズ原料液の使用量)を低減するための手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の廃棄物量およびプラスチックレンズ原料液の使用量を低減するための手段としては、注型重合により成形するレンズの形状を非円形とすることが考えられる。そこで、非円形レンズを成形するために非円形のモールドを使用することが考えられるが、非円形の2つのモールドを正確に位置合わせすることは困難である。
これに対し本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、非円形のキャビティを形成可能な円筒部材をモールド間に挟入することにより、円形のモールドを使用しつつ、非円形レンズが製造可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]所定の間隔をもって対向する2つの円形モールドと、
前記間隔に挟入された円筒部材と、
前記2つのモールドと円筒部材の周面を取り囲むことにより、該モールドと円筒部材との挟入状態を固定するシーリング部材と、
を有し、
前記円筒部材は内部に断面形状が非円形の貫通孔を有し、該貫通孔が前記2つのモールドで封止されることにより、プラスチックレンズ原料液注入用キャビティが形成されることを特徴とする、プラスチックレンズ成形用成形型。
[2]前記貫通孔の断面形状は角丸四角形である、[1]に記載のプラスチックレンズ成形用成形型。
[3]前記シーリング部材は環状のガスケットである、[1]または[2]に記載のプラスチックレンズ成形用成形型。
[4]前記ガスケットは側面にプラスチックレンズ原料液注入口を有し、前記円筒部材は側面周縁部に切り欠を有し、前記注入口と切り欠が連通することにより、前記キャビティ内へプラスチックレンズ原料液を注入するための流路が形成される、[1]〜[3]のいずれかに記載のプラスチックレンズ成形用成形型。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載のプラスチックレンズ成形用成形型のプラスチックレンズ原料液注入用キャビティにプラスチックレンズ原料液を注入し、上記キャビティ内でプラスチック原料液の硬化反応を行うことにより、非円形のプラスチックレンズを得ることを特徴とする、プラスチックレンズの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、円形レンズに比べて枠入れされるレンズ形状に近い形状を有するプラスチックレンズを製造することができる。これにより、枠入れ時の廃棄物量およびプラスチックレンズ原料液の使用量を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の成形型において、2つの円形モールドに挟入される円筒部材の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の成形型の一部を構成するモールドおよびガスケットの一例を示す断面図である。
【図3】図1に示す円筒部材を、図2に示すキャビティ内に配置した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[プラスチックレンズ成形用成形型]
本発明のプラスチックレンズ成形用成形型は、所定の間隔をもって対向する2つの円形モールドと、前記間隔に挟入された円筒部材と、前記2つのモールドと円筒部材の周面を取り囲むことにより、該モールドと円筒部材との挟入状態を固定するシーリング部材と、を有する。ここで、前記円筒部材は内部に断面形状が非円形の貫通孔を有する。そして該貫通孔が前記2つのモールドで封止されることにより、プラスチックレンズ原料液注入用キャビティが形成される。
本発明のプラスチックレンズ成形用成形型(以下、単に「成形型」ともいう)は、非円形の貫通孔を封止することにより形成されるキャビティを有するため、該キャビティ内でプラスチックレンズ原料液の硬化反応を行うことにより、非円形のプラスチックレンズを得ることができる。非円形のプラスチックレンズによれば、円形レンズに比べて枠入れ時の廃棄物量を低減することができる。更には、円形レンズ製造時と比べてプラスチックレンズ原料液の使用量も低減することができる。また、円形モールドを使用できるため、従来と光学設計を変えることなく非円形レンズを製造することができる。
以下、本発明の成形型について、更に詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の成形型において、2つの円形モールドに挟入される円筒部材の一例を示す概略図(図1左図は平面図、図1右図は斜視図)である。図1には、断面形状が角丸四角形の貫通孔2を有する円筒部材1を示したが、貫通孔の断面形状は角丸四角形に限定されるものではなく、楕円形、多角形、等の円形以外の各種形状を取ることができる。一般的な眼鏡フレームの形状は、子午線方向に短く、水平方向に長いため、この形状に近似した貫通孔を有する円筒部材を用いることが、廃棄物量のよりいっそうの低減の点から好ましく、この点からは角丸四角形または楕円形が好ましく、角丸四角形がより好ましい。
【0013】
前記貫通孔は、例えば短径(子午線方向)の長さが45〜65mm程度、長径(水平方向)の長さが60〜75mm程度であることが、汎用されている眼鏡フレームの形状に対応可能な非円形レンズが得られるため好ましい。
【0014】
成形されるレンズの肉厚は、前記貫通孔の高さによって規定される。したがって、貫通孔の高さは所望のレンズ肉厚に応じて決定すればよい。また、前記貫通孔を取り囲む円筒部分4の形状は、2つのモールドとともにシーリング部材によって取り囲むことができるように、使用するモールドおよびシーリング部材の形状に応じて決定すればよい。例えばシーリング部材として環状のガスケットを使用する場合には、円筒部分の外径が、円筒部材が挿入されるガスケットの開口部分の内径と略一致するように決定すればよい。
また、図1に示す円筒部材1は、側面周縁部に切り欠3を有する。この切り欠は、プラスチックレンズ原料液の流路の一部をなす。この点については後述する。
【0015】
上記円筒部材は、通常、ガスケットの製造に使用される熱可塑性樹脂を射出成形等の公知の成形方法によって成形することにより得ることができる。上記熱可塑性樹脂としては、成形性、柔軟性、耐熱性、耐モノマー安定性、価格等の観点から、オレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系エラストマーが特に好ましい。オレフィン系エラストマーの具体例としては、低密度ポリエチレンからなるポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレンホモポリマーにゴム成分を微分散させたポリプロピレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびエチレン−アルキルアクリレート共重合体などが挙げられる。前記切り欠は、カッター等で側面周縁部を切断することによって形成することができる。また、後述するように、切り欠に代えて側面に開口を有することもでき、該開口はカッターや穴あけ機の公知の開口手段によって側面に穴を開けることによって形成することができる。
【0016】
本発明の成形型は、上記円筒部材が2つのモールドの間隔に挟入されている点を除き、通常の注型重合で使用される成形型を何ら制限なく使用することができる。即ち、通常の注型重合で使用される成形型のキャビティ内に上記円筒部材を配置することにより、本発明の成形型を構成することができる。このように、従来使用されていた成形型を利用できることは、製造工程の大幅な変更なく非円形レンズを製造できるため有利である。
例えば、通常の注型重合で使用される成形型は、図2に示すように、レンズの前面(凸面)を形成すべく凹面側に成形面を有する凹面型である第一モールド11、レンズの後面(凹面)を形成すべく凸面側に成形面を有する第二モールド12を有し、環状のガスケット13が両モールドの周面を取り囲むことによって内部にキャビティ14が形成されている。第一モールドおよび第二モールドは、製造治具にて取り扱い可能な非転写面(非使用面17)とレンズの光学表面を転写させるための転写面(使用面16)を有する。使用面16はレンズの光学面形状および表面状態を転写する面である。この成形型では、注入口部15から注入されたプラスチックレンズ原料液が、ガスケット13の側面に設けられた注入口18からキャビティ14内へ導入され、キャビティ14内で硬化反応が行われる。したがって、得られる成形体は、キャビティ14と同様に円形である。
【0017】
一方、本発明の成形型は、キャビティ14に円筒部材が配置されることにより、プラスチックレンズ原料液注入用キャビティ2が形成される。このプラスチックレンズ原料液注入用キャビティの形状は非円形であるため、この中で硬化反応を行うことにより得られる成形体も非円形となる。
【0018】
図3は、図1に示す円筒部材を、図2に示すキャビティ内に配置した状態の断面図である。図3左図は、図1左図のY−Y線における断面図であり、図3右図は、図1左図のX−X線における断面図である。
【0019】
図3右図に示すように、ガスケット側面に設けた注入口18と、円筒部材の側面周縁部に設けた切り欠3を連通させることにより、プラスチックレンズ原料液注入用キャビティ2にプラスチックレンズ原料液を注入する流路が形成される。上記切り欠に代えて円筒部材の側面に開口を形成し、該開口と注入口18とを連通させることによって流路を形成することも可能であるが、位置合わせの容易性の観点からは、円筒部材に切り欠を設けて流路を形成することが好ましい。また、上記のように円筒部材の切り欠または開口とガスケットの注入口とを連通させることにより流路を形成することは、ガスケットと円筒部材の位置決めを容易にするうえでも有利である。
【0020】
以上説明した態様では、2つのモールドと円筒部材の周囲を取り囲むことにより、該モールドと円筒部材の挟入状態を固定するシーリング部材として環状のガスケットを使用しているが、本発明ではガスケットに代えて粘着テープをシーリング部材として使用することも可能である。
【0021】
[プラスチックレンズの製造方法]
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、本発明のプラスチックレンズ成形用成形型のプラスチックレンズ原料液注入用キャビティにプラスチックレンズ原料液を注入し、上記キャビティ内でプラスチック原料液の硬化反応を行うことにより、非円形のプラスチックレンズを得るものである。
本発明のプラスチックレンズの製造方法では、円筒部材の非円形の貫通孔を2つのモールドで封止することで形成されたキャビティ、即ち非円形のキャビティ内でプラスチックレンズ原料液の硬化反応を行うことにより、非円形のプラスチックレンズを製造することができる。前述のように、非円形のプラスチックレンズは、従来の円形レズに比べて枠入れ時の廃棄物量、更にはプラスチックレンズ原料液の使用量を低減できるため、環境面およびコスト面のいずれにおいても有利である。
以下、本発明のプラスチックレンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
【0022】
本発明のプラスチックレンズの製造方法において使用される成形型の詳細は、先に説明した通りである。
【0023】
本発明のプラスチックレンズの製造方法において使用されるプラスチックレンズ原料液(以下、「レンズ原料液」ともいう)は、硬化性成分を含むものであり、通常眼鏡レンズ用プラスチックレンズ基材を構成する各種ポリマーの原料モノマー、オリゴマーおよび/またはプレポリマーを含むことができ、共重合体を形成するために2種以上のモノマーの混合物を含むこともできる。上記硬化性成分は、熱硬化性成分であっても光硬化性成分であってもよいが、注型重合では通常、熱硬化性成分が使用される。レンズ原料液には、必要があればモノマーの種類に応じて選択した触媒を添加することもできる。また、レンズ原料液には、通常使用される各種添加剤を含むこともできる。
【0024】
前記レンズ原料液の具体例としては、例えば、メチルメタクリレートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリウレタンとポリウレアの共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エン−チオール反応を利用したスルフィド樹脂、硫黄を含むビニル重合体等を重合可能な原料液が挙げられる。前記プラスチックレンズ原料液注入用キャビティへの原料液の注入は、前述の流路を通して行うことができる。
【0025】
次いで、キャビティ内へ注入されたレンズ原料液に、加熱、光照射等を施すことにより、レンズ原料液に含まれる硬化性成分の硬化反応を行い非円形のレンズ形状の成形体を得ることができる。硬化反応条件(例えば加熱昇温プログラム)は、特に限定されるものではなく、使用するレンズ原料液の種類に応じて決定すればよい。硬化処理終了後、レンズと密着している2つのモールドを分離(離型)し、更に円筒部材を取り外すことによりプラスチックレンズを取り出すことができる。こうして得られるプラスチックレンズは、フィニッシュレンズ(両面が光学的に仕上げられたレンズブランク)であってもよく、セミフィニッシュレンズ(一方の面だけが光学的に仕上げられたレンズブランク)であってもよい。セミフィニッシュレンズは、表面は光学的に仕上げられた面であり、裏面はレンズ処方値に応じて所望のレンズ度数となるように研磨加工される。
【0026】
その後、両面が光学的に仕上げられたプラスチックレンズは、眼鏡店において、または眼鏡店からの受注を受けた製造メーカーによって、眼鏡フレームの枠形状に縁摺加工され、次いでヤゲン加工される。その前後に反射防止膜、撥水膜等の所望の性能を付与するための機能性膜を、必要に応じて公知の方法でレンズ上に成膜することができる。縁摺加工され、必要に応じて機能性膜が形成されたレンズを眼鏡フレームにはめ込むことにより、眼鏡が完成される。本発明で製造されるプラスチックレンズの形状は、前述のように、円形レンズと比べて枠入れされるレンズの形状に近いため、上記縁摺加工において不要な部分として除去され廃棄される部分の量を大幅に低減することができる。
【実施例】
【0027】
以下に、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
(1)円筒部材の成形
オレフィン系熱可塑性樹脂であるポリエチレンエラストマー(住友化学社製エクセレンFX)を用いて、断面形状が角丸四角形(短径52mm、長径72mm)である貫通孔を有する円筒部材(外径81.5mm、高さ17.5mm)を射出成形により得た。
成形した円筒部材側面の周縁部にカッターによって切り欠を形成した。
以上の工程により、図1に示す形状の円筒部材を得た。
【0029】
(2)成形型の組み立て
上記(1)で得た円筒部材を、上記と同様のポリエチレンエラストマー製の環状のガスケット内に挿入した。この際、ガスケット側面の注入口と切り欠が一致するように位置決めした。その後、ガスケットの開口に2枚のガラスモールドを嵌め込むことにより、図3に断面図を示す成形型を組み立てた。
【0030】
(3)プラスチックレンズの成形
上記(2)で得た成形型を、ガスケットの注入口部が鉛直上方を向くように配置した後、注入口部からジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)の原料液を、円筒部材貫通孔を2枚のモールドで封止することにより形成したプラスチックレンズ原料液注入用キャビティ内に導入し、該キャビティが満たされた後に、所定の重合プログラムに従って硬化反応を行った。硬化反応終了後、成形型からレンズを取り出した。
【0031】
実施例1において、成形型から取り出したレンズの形状は、円筒部材の貫通孔と同様の形状、即ち、短径52mm、長径72mmの角丸四角形であった。即ち、非円形レンズを得ることができた。得られたレンズの厚さは、上記円筒部材の高さと同様であった。この非円形レンズから眼鏡フレームの枠形状に応じて不要な部分を除去し、眼鏡フレームに枠入れすることにより、眼鏡を完成させることができる。
例えば上記ガスケットに2枚の円形モールドを嵌め込み組み立てた成形型により成形される円形レンズは、ガスケット取り出し時には直径約80mm程度であり周縁部のバリ等を除去すると直径75mm程度となる。この円形レンズと比べると、上記非円形レンズの体積は約35%少ない。したがって体積が少ない分、1枚のレンズを得るためのプラスチックレンズ原料液の使用量を低減することができ、また、その分だけ枠入れのための縁摺加工において除去、廃棄される量を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、眼鏡レンズの製造分野に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔をもって対向する2つの円形モールドと、
前記間隔に挟入された円筒部材と、
前記2つのモールドと円筒部材の周面を取り囲むことにより、該モールドと円筒部材との挟入状態を固定するシーリング部材と、
を有し、
前記円筒部材は内部に断面形状が非円形の貫通孔を有し、該貫通孔が前記2つのモールドで封止されることにより、プラスチックレンズ原料液注入用キャビティが形成されることを特徴とする、プラスチックレンズ成形用成形型。
【請求項2】
前記貫通孔の断面形状は角丸四角形である、請求項1に記載のプラスチックレンズ成形用成形型。
【請求項3】
前記シーリング部材は環状のガスケットである、請求項1または2に記載のプラスチックレンズ成形用成形型。
【請求項4】
前記ガスケットは側面にプラスチックレンズ原料液注入口を有し、前記円筒部材は側面周縁部に切り欠を有し、前記注入口と切り欠が連通することにより、前記キャビティ内へプラスチックレンズ原料液を注入するための流路が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ成形用成形型。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ成形用成形型のプラスチックレンズ原料液注入用キャビティにプラスチックレンズ原料液を注入し、上記キャビティ内でプラスチック原料液の硬化反応を行うことにより、非円形のプラスチックレンズを得ることを特徴とする、プラスチックレンズの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−245830(P2011−245830A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124271(P2010−124271)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(509333807)ホヤ レンズ タイランド リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】HOYA Lens Thailand Ltd
【Fターム(参考)】