説明

プラスチック溶融物からペレットを製造するための装置およびプロセス

本発明は、押出によってプラスチック溶融物からペレットを製造するための装置であって、周囲圧力より高い圧力でプラスチック溶融物が押出される多孔板と、プラスチック溶融物がその中に押出されるプロセスチャンバと、多孔板から押出されたプラスチック溶融物のストランドを個々の細粒に切断するための切断装置とを備え、プロセスチャンバにはプロセス流体が充填され、前記装置はさらに、周囲圧力より高い圧力でプロセスチャンバにプロセス流体を供給するポンプ装置を備え、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力が、プロセスチャンバの下流で下げられる装置に関する。本発明によると、プロセスチャンバの下流にエネルギ変換器が設けられ、当該エネルギ変換器は、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体から圧力エネルギの少なくともいくらかを抽出し、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力を下げ、抽出したエネルギの少なくともいくらかを、再利用可能な形態のエネルギに変換する。本発明はさらに、押出によってプラスチック溶融物からペレットを製造するための対応するプロセス、および対応する応用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係るプラスチック溶融物からペレットを製造するための装置、請求項11のプリアンブルに係る対応するプロセス、および請求項13に係る応用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る押出による溶融プラスチックからのペレットの製造の応用分野は、たとえば水中の加熱面プロセスの使用に関するが、これに限定されない。
【0003】
本発明に係る押出による溶融プラスチックからのペレットの製造の別の応用分野は、たとえば溶融プラスチックの液滴化による細粒の製造であり、プロセスチャンバには、加圧ガスが充填され、下部領域内に、加圧プロセス流体を用いて、細粒を収集するための液体槽が与えられる。プラスチック材料の溶融物がプロセスチャンバの上部領域内の多孔板を押し通され、その後、表面張力の影響下でおよび/または振動もしくは他の応力の作用を通じて、プラスチック溶融物の、出てくる、いわば「押出された」ストランドが切断装置の場合と同様に一連の液滴に分散し、冷却剤としても作用し得るガスの影響下でおよび/またはプロセス流体内の浸漬を通じて、当該液滴が冷却または他の反応によって凝固する。
【0004】
水中の加熱面プロセスでは、プラスチック溶融物が、孔が設けられた板、いわゆる多孔板を押出される。典型的に、孔は孔による1つ以上の円を描くように、または環状パターンに配置され、それぞれの中心点が、切断装置のカッター構成の駆動シャフトに整列している。出てくるプラスチックストランドは、多孔板の表面上をほぼ直接的に走るカッター構成によって小さな破片に切断される。カッターとともに運ばれる、通常はプロセス水であるプロセス流体によって、当該破片は次にプロセスチャンバ内の製造場所から除去され、そこで、切断された破片の集中冷却が、およびしたがって凝固が起こる。たとえば水中の加熱面または液滴化プロセスによってこのように製造されたペレットは、プロセス流体によってプロセスチャンバから外へ搬送され、従来はパイプを通じて分離装置に供給され、そこで、十分な保持時間が与えられると、ペレットはプロセス流体から分離され、その後乾燥ユニットに供給される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、プロセスチャンバに出入りするプロセス流体の入口および出口の形状の結果として、ならびに/またはカッター構成およびカッター構成を動かすためのシャフトの結果として、同軸渦がそのような装置のハウジング内に、より特定的にカッター構成の回転軸の周りに、すなわちシャフトの周りに大抵生じ、そこは、そのような渦の中心の低減圧力区域である。中心圧力が、他の処理パラメータにも依存する臨界値を下回った場合、プロセス流体のガス抜けまたは蒸発を招くことがあり、これにより、対応する蒸気泡のためプロセス流体の搬送および冷却性質が大幅に衰える。これは、先行技術の水中の加熱面または液滴化システムの信頼性のある動作の大きな劣化を引き起こす。さらに、蒸気泡が多孔板で直接発生した場合、それによって冷却が低下するため、孔の円の開口部がプラスチック溶融物によって膠着またはゴム接着することがあり、これにより最悪の場合、プラスチックペレットの製造が完全に停止し得る。
【0006】
たとえば、プロセスチャンバに出入りするプロセス流体の入口および出口用のパイプの断面を小さくすることによって、または装置を適切に配置してプロセス流体の柱のある測
地高さを活用することによって、プロセスチャンバ内にプロセス流体のより高い背圧を発生させて、真空の−および最悪の場合はプロセスチャンバのプロセス流体内の蒸気泡の−形成を打ち消すことが可能である。しかし、そのような先行技術の解決策は他の深刻な不利益をもたらす。たとえば、特に断面が小さいパイプの場合、製造実行の特に開始時に細粒の凝集があり得る。なぜなら、スムーズな動作プロセスに必要とされる処理パラメータは、装置の始動直後には達成できないからである。そのような凝集は、送出パイプの詰まりを容易に引き起こし、したがって製造プロセスが完全に停止し得る。実際には、ペレット、システムのサイズ、および処理中のプラスチック材料の種類に依存して、パイプの内径は25から40mm以上であるべきであることが実証されている。十分に幅広のおよび/または特に長いパイプを用いる場合(たとえばプロセス流体の柱のある測地高さを活用するために)、その結果プロセス流体内のペレットの保持時間が対応して増加するという不利益を被ることになり得、したがって冷却効果が大きくなりすぎてしまう恐れがある。この望ましくない結果は、ペレットを乾燥させるためにペレットの固有熱を用いる可能性が妨げられることであり、その結果、乾燥に必要なエネルギを相応のコストで付加的に供給しなければならない。また、いくつかのプラスチック材料の場合、これによって望ましい結晶化プロセスが抑制され、その結果、処理ステップが追加され、大幅なさらなる技術的および金銭的支出が必要となる。
【0007】
単にプロセス流体の流れ、すなわちその流量を増加させる場合、保持時間は短くなるが、この方策により、結果的に上述の中心の泡が発生することになる。なぜなら、中心に生じる真空は、渦の中のプロセス流体の回転速度のほぼ2乗で増加し、したがって中心の泡ができ得るからである。プロセス流体の流量の影響は、切断装置のカッターの回転速度によってさらに増幅される。
【0008】
先行技術においてその応用が既に局所的に限定されている絞り弁があり、これは、絞り間隙の内幅が、製造されるペレット直径の大きさのオーダであるかまたはそれより小さい場合に、送出パイプの断面を局所的に小さく限定することにより圧力を十分増加させることが可能である。しかし、そのような絞り弁は、送出パイプの詰まりという多大なリスクを有するか、またはいずれにせよ引き起し、これはもちろん望ましくない。
【0009】
本発明に係る押出によってプラスチック溶融物からペレットを製造するための装置またはプロセスのさらなる応用は、多孔板の孔からの排出時に一般的な条件下で周囲圧力が十分高くない場合にプラスチック溶融物からガスを抜くことになる物質を含むプラスチック溶融物を処理するシステムに関する。溶融物内のそのような付随物質は、最も単純な場合、プラスチック材料に含まれ得る水であり得る。しかし、それらは、難燃剤、発泡性プラスチック用推進剤、またはプラスチック溶融物自体の望ましいもしくは望ましくない反応製造物などの機能性物質であってもよい。プロセスチャンバ内および下流の送出パイプシステム内の必要な圧力増加の結果として、そのような物質は、プロセス流体のため発生する冷却効果の結果として、製造されるプラスチック溶融物ペレットのガス抜けおよびしたがって膨張が効果的に抑制されるほどにプラスチック溶融物が凝固するまで、プラスチック溶融物内に溶けたままである。
【0010】
文献EP 1 522 395 A2から、流体内の溶融ポリエステル重合体の熱結晶化のためのプロセスおよび装置が公知であり、ここでは、多孔板から押出されて切断装置によって切断された後、対応するプラスチック溶融物のストランドが個々の細粒に切断され、これは加圧プロセス流体内にある時間だけ留まり、この細粒は分離装置によって加圧プロセス流体から分離される。
【0011】
したがってこの発明の目的は、先行技術に関連付けられる不利益を克服する、プラスチック溶融物からペレットを製造するための装置、プロセスおよび対応する応用を提供し、
より特定的に、比較的単純で省エネルギの、およびしたがって経済的な態様で、本質的にすべての動作条件下で安全で信頼性のあるペレットの製造を可能にする装置、プロセスおよび応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、請求項1に記載の特徴を有する装置によって、請求項11に記載の特徴を有するプロセスによって、および請求項13に記載の特徴を有する応用によって達成される。本発明のさらなる実施例が、それぞれの下位請求項において規定される。
【0013】
押出によってプラスチック溶融物からペレットを製造するための本発明に係る装置は、周囲圧力より高い圧力でプラスチック溶融物が押出される多孔板と、プラスチック溶融物がその中に押出されるプロセスチャンバと、多孔板から押出されたプラスチック溶融物のストランドを個々の細粒に切断するための切断装置とを備え、プロセスチャンバにはプロセス流体が充填され、当該装置はさらに、周囲圧力より高い圧力でプロセスチャンバにプロセス流体を供給するポンプ装置を備え、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力が、プロセスチャンバの下流で下げられる。たとえば上記のEP 1 522 395
A2から公知の装置とは反対に、本発明によると、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力を下げることが要件とされ、そうでない場合は、そこに記載されているように、まずプロセス流体自身の圧力が下げられ、そこで初めてシステムから細粒が除去されるようにする。本発明によると、プロセスチャンバの下流にエネルギ変換器がさらに設けられ、当該エネルギ変換器は、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体から圧力エネルギの少なくともいくらかを抽出し、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力を下げ、抽出したエネルギの少なくともいくらかを、再利用可能な形態のエネルギに変換する。本発明に係る押出による溶融プラスチックからのペレットの製造の応用分野は、たとえば水中の加熱面プロセスの使用に関し、または代替的に、たとえば溶融プラスチックの液滴化による細粒の製造に関する。
【0014】
本発明は、圧力もある形態のエネルギを構成し、圧力pにおいて体積要素Vに含まれるエネルギEはE=p×Vとして計算されるという考察に特に基づいている。本発明によると、この圧力エネルギの少なくともいくらかが本発明によるエネルギ変換器によって抽出され、別の再利用可能な形態のエネルギに変換される。したがって、上述の先行技術とは反対に、本発明に係るエネルギ変換器を用いると、単純で経済的な態様で、すべての動作条件下でペレットの安全で信頼性のある製造を保証することが可能となる。特に、本発明によると、抽出されたエネルギの少なくともいくらかがプロセスチャンバの下流で再利用可能な形態のエネルギに積極的に変換される、または変換され得るのにも関わらず、十分な圧力が常に利用可能となり得る。
【0015】
上で説明されたような先行技術における背圧の発生−すなわち、たとえばノズルの形態の狭まったパイプ断面、局所的な収縮の使用による、または流体柱圧力を生じさせるシステムの測地高さの差による−は、対照的に、上述のように消極的である、すなわち異なる処理パラメータに調整するのが困難または不可能であるだけでなく、すべての動作条件下で完全に安全で信頼性があるとは限らない。さらに、システムの要素の異なる測地高さなどの先行技術の解決策は、場合によっては多大な構築労力を費やさなければ実現できない。これと対照的に、本発明に係る装置は、本発明に係るエネルギ変換器によって圧力エネルギを積極的に下げることができ、再利用可能な形態のエネルギに変換できるため、すべての上述の利点を有する。
【0016】
再利用可能な形態のエネルギとして、運動量エネルギが特に有利である。
本発明に係るエネルギ変換器は、たとえばタービンであり得る。タービンは、一般的な定義によると、移動流体の運動および圧力エネルギを、たとえばトルクの形態の機械的に
使用可能なエネルギに変換する機械である。これに一般的に相当するものは、たとえば、移動流体の運動エネルギがエネルギ変換に関して従属的な役割しか果たさない蒸気エンジンの駆動シリンダなどの、ピストンエンジンまたは変位機(displacement machine; Verdrangerkraftmaschinen)である。したがって、本発明によると、タービンの場合、プロセス流体の運動エネルギがそれによって角運動量に積極的に変換され得、そのようなタービンの対応する入口案内翼およびインペラの羽根が、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体に固有の運動量がインペラの角運動量に変換されるように配置され得る。このように駆動されるタービンのインペラは次に、たとえば電気ジェネレータを駆動可能な駆動または出力ユニットにシャフトを介して伝えられる。その結果、本発明に係るタービン構成では、必要な背圧を蓄積するために特に狭いパイプ断面を選択することが不要となる。
【0017】
本発明に係るエネルギ変換器は、反対のエネルギの流れ方向を有する可撓性管ポンプの形態であってもよい。一般的に、可撓性管ポンプはその特性の観点から変位機とみなされる。
【0018】
反対のエネルギの流れ方向を有するそのような可撓性管ポンプは、可撓性管が完全にまたはある程度までつままれ、このつまみ部分が管に沿ってさらに動かされるという原理に基づいている。したがって、つまみ部分の移動速度および管の残部の断面に依存して、正確に予め定められ得る体積流量が可能となる。予め定められるエネルギ量は、仕事があるエネルギ量に対応する場合の仕事=力×距離という式を用いて、つまみ部分の上流の圧力によって放出される。つまみ部分の直線移動の代わりに、反対のエネルギの流れ方向を有する可撓性管ポンプ構成によって本発明に従って提供され得る円形移動がある場合、同一の考察が当てはまる。
【0019】
従来の意味の可撓性管ポンプ、すなわち本発明のような反対のエネルギの流れ方向を有しないポンプは、モータがシャフトを駆動し、シャフト上で、シリンダ区分の内側に支持される管を2つ以上のピンチシューまたはピンチローラが圧縮するような態様で動作し、管の中身はシャフトの回転移動によって永続的に前方へ押し出される。まず最初に、モータの駆動エネルギが回転移動に変換され、これは次に、管内を搬送されるべき流体を、搬送されるべき流体にある圧力をかけて流す。ここが、本発明が可撓性管ポンプの正反対の使用をするところであり、すなわち本発明によると、可撓性管ポンプ内の内部に含まれる細粒を有するプロセス流体に圧力をかけることによって対応する回転移動がもたらされ、これが出力シャフトで拾い上げられて再利用され得る。たとえば、出力シャフトは発電機に取り付けられ得、タービンの場合または本発明に係る他の考えられるエネルギ変換器の場合にもそうであるように、ブレーキ抵抗を有する周波数変換器または電気エネルギ回復ユニットを付加的に設けることが可能である。
【0020】
本発明に係る反対のエネルギの流れ方向を有する可撓性管ポンプは、詰まりの影響を比較的受けない。なぜなら、進んでいるつまみ部分の領域以外では、管の内幅が深刻に収縮している点がないからである。つまみ部分は、管に沿ってピンチ装置とともに移動し、圧送流入の端で再び完全に開き、その結果、粒子の管への付着の接触圧力またはいずれかの同様の停止の可能性がないので、凝集、またはその結果としてペレット粒子の詰まりがない。
【0021】
一般的に、本発明によると、内部に含まれるペレットを有するプロセス流体の体積流量を、調整される体積流量に関して、およびこうして発生される圧力に関して制御することができ、当該体積流量からの発生圧力に関して本発明に係るポンプ装置の圧送特性を活用して、その駆動を好適に調整することによってエネルギの流れの一定性を監視する。
【0022】
本発明によると、プロセス流体用のパイプは、脈動を減衰および補償するための、好ま
しくは空気チャンバを有する減衰要素を有する。
【0023】
本発明に係るエネルギ変換器は、反対のエネルギの流れ方向を有するギアポンプであってもよく、内部に含まれるペレットを有するプロセス流体に固有のエネルギが、対応する運動量の角運動量への変換によって好適な態様で比較的単純に抽出される。一般的に、ギアポンプはその特性の観点から変位機とみなされる。
【0024】
一般的に、本発明に係る好適なエネルギ変換器はその設計の観点から、公知の遠心ポンプ、ラジアルポンプ、対角ポンプ(diagonal pump; Diagonalpumpen)または軸ポンプにも基づき得る。
【0025】
本発明に係るエネルギ変換の原理は、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体が、たとえば従来の遠心ポンプハウジングと同様のハウジング内へ導かれ、プロセス流体は、必要であれば入口案内翼の助けを借りて、インペラの軸に対して回転運動させられるという事実に基づき得る。内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の運動エネルギは、それによって角運動量に変換される。角運動量は次にインペラに伝えられる。
【0026】
本発明に係る装置は、プロセスチャンバの下流で流れ断面の静止した収縮を本質的に全く有しないことがあり、すなわち、永続的に静止した収縮が存在しない。その結果、対応する構成要素間の有効内幅が、製造プロセスの始動時などのある動作条件下で発生し得る、および予想される凝集の臨界サイズより大きいことが常に可能となり得、その結果、特に好ましい実施例では、装置の閉塞を防止できる。
【0027】
特に、好ましい実施例において上に説明されたような本発明に係るハウジング、入口案内翼およびインペラ、ならびにエネルギ変換器の他の要素の設計は、装置の閉塞の防止に影響を及ぼすことになるが、本発明に係るエネルギ変換器を設けることによって、初めに説明されたような先行技術と比較してこれを単純にかつ経済的に達成することができる。
【0028】
本発明によると、エネルギ回復装置が設けられ得、これによって、抽出されて変換されたエネルギがポンプ装置に回復され得る。電気的エネルギ回復だけでなく、機械的または油圧式エネルギ回復を提供することも可能である。いずれにせよ、装置全体のエネルギバランスがそれによって大きく向上する。理論上のエネルギバランスでは、エネルギ変換器によって抽出され得るエネルギは、ポンプ装置によって圧力を蓄積するために以前に必要であったエネルギと同じ大きさである。なぜなら実際には、油圧式、機械的および他の損失を考慮に入れなければならず、好ましくは本発明に従って与えられるポンプ、タービンおよび同様の設備の効率は100%とはならず、さらに回転速度にも依存することを考慮しなければならないからである。その結果、本発明に従って与えられるエネルギ回復装置の場合、中間ギア駆動装置がある状況下で全体効率に影響を及ぼす、すなわち、ある程度まで全体効率を向上または悪化させ得るのいずれかである。
【0029】
上述のように、エネルギ回復装置は、機械的、電気的、空気圧式もしくは油圧式のエネルギ回復またはそれらの組合せを提供することができる。
【0030】
本発明によると、エネルギ回復装置は、本発明に係るエネルギ変換器と接続され、このため、エネルギ回復装置は、上で説明された実際のポンプ装置に加えてさらなるポンプ装置に接続され得、これにより、装置全体における油圧式およびいずれかの他の損失を補償することが可能となる。
【0031】
本発明によると、制御ループが設けられ得、これによってプロセスチャンバ内の圧力を、プロセス流体が一般的な温度で蒸発する圧力より若干高いように、好ましくはわずかに
高いように調整可能である。これにより、特に高揮発性プロセス流体を使用する場合に、材料に対する最小応力で、およびその結果特別な信頼度で押出が行われ得るという利点が与えられる。
【0032】
本発明によると、制御ループ、より特定的に直前の段落で説明されたのと同一の制御ループを設けることも可能であり、これによってプロセスチャンバ内の圧力を、プラスチック溶融物に含まれる付随物質が一般的な温度で蒸発する圧力より若干高いように、好ましくはわずかに高いように調整可能である。これにより、特に高揮発性付随物質を有するプラスチック溶融物を使用する場合に、材料に対する最小応力で、およびその結果特別な信頼度で押出が行われ得るというさらなる利点が与えられる。
【0033】
本発明の実施例によると、制御ループは、対応する閉ループ/開ループ制御の可能性を与えるようにエネルギ変換器に、および/または任意でエネルギ回復装置にも接続され得る(または接続されない)。
【0034】
本発明に係るプロセスは、押出によってプラスチック溶融物からペレットを製造するように作用する。本発明に係る押出による溶融プラスチックからのペレットの製造の応用分野は、たとえば水中の加熱面プロセスの使用に関し、または代替的に、たとえば溶融プラスチックの液滴化による細粒の製造に関する。本発明に係るプロセスでは、プラスチック溶融物が製造され、プラスチック溶融物は、周囲圧力より高い圧力で、プロセス流体が充填されたプロセスチャンバ内へ多孔板を通して押出される。多孔板から押出されたプラスチック溶融物のストランドが、特に好ましい実施例では切断装置を用いて個々の細粒に切断され、本発明によると、ポンプ装置が周囲圧力より高い圧力でプロセスチャンバにプロセス流体を供給する。内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力がプロセスチャンバの下流で下げられる。本発明によると、圧力エネルギの少なくともいくらかが、プロセスチャンバの下流に設けられるエネルギ変換器によって、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体から抽出され、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力が下げられ、抽出されたエネルギの少なくともいくらかが、再利用可能な形態のエネルギに変換される。
【0035】
本発明に係る装置に関連した上の記述は、適用可能である限り本発明に係るプロセスにもそれ相応に当てはまる。
【0036】
本発明に係るプロセスでは、抽出されて変換されたエネルギは、本発明に係る装置に関連して上で同様に既に説明されたように、エネルギ回復装置を通じてポンプ装置に回復され得る。
【0037】
本発明によると、上述の特徴を有するプラスチック溶融物からペレットを製造するための装置、および/または上述の特徴を有するプラスチック溶融物からペレットを製造するためのプロセスは、溶融物供給構成および/またはプロセスチャンバ内の圧力が周囲圧力より十分高くなければガス抜けすることになる付随物質を有するプラスチック溶融物の処理に応用される。好ましくは、付随物質を有するプラスチック溶融物は発泡ポリスチレン(EPS)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、添付の図面を参照して、好ましい例示的な実施例に基づいて本発明がより完全に説明される。
【0039】
図1は、本発明の実施例に係るペレットを製造するための装置を有するシステム機構の図を示す。
【0040】
図1の詳細Bによって再現されるプラスチック溶融物供給構成によって、なお詳細Bは図3を参照してさらに詳細に説明されることになるが、ペレット化されるべきプラスチック溶融物がペレット化の場所に、すなわち図1の参照符号3によって示される切断装置に供給される。当該切断装置3の実施例は、図7を参照してさらに詳細に説明される。切断装置3によって、または切断装置3内で個々の細粒に切断された後、プラスチック溶融物はプロセス流体4(図1では明示的に図示せず)に入るが、プロセス流体の流れ方向が矢印によって示されているのみであり、プロセス流体は周囲圧力より高い圧力で、通常はポンプである上流のポンプ装置5によってプロセスチャンバ2(図1には図示せず)または切断装置3に供給される。本発明によると、プロセスチャンバまたは切断装置3の下流にエネルギ変換器6が設けられ、これは、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体から圧力エネルギの少なくともいくらかを抽出し、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力を下げ、抽出したエネルギの少なくともいくらかを、再利用可能な形態のエネルギに変換する。エネルギ変換器6は好ましくはタービン、反対のエネルギの流れ方向を有する可撓性管ポンプ、または反対のエネルギの流れ方向を有するギアポンプであり得る。本発明によると、プロセス流体用のパイプには、図1に示されるように、脈動を減衰および補償するための、好ましくは空気チャンバが設けられた減衰要素15が設けられ得る。内部に含まれる細粒を有するプロセス流体から、エネルギ変換器6によって本発明に従って圧力エネルギが抽出された後、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体は分離器8に供給され、ここでプロセス流体が細粒から分離される。細粒は次に、分離されたペレット用の貯蔵部9に運ばれる。プロセス流体4は、プロセス流体用の容器10に収集され、ポンプ回路に戻され、ここにおいて、図1によると、ポンプ装置5の吸引側が容器10に流体接続される。制御ループ14が設けられ得、これによってプロセスチャンバ2内の圧力を、プロセス流体が一般的な温度で蒸発する圧力より若干高いように、好ましくはわずかに高いように、および/またはプラスチック溶融物に含まれる付随物質が一般的な温度で蒸発する圧力より若干高いように、好ましくはわずかに高いように調節可能である。図1に示される本発明の実施例によると、制御ループ14は、対応する閉ループ/開ループ制御を可能にするようにエネルギ変換器6に、および/または任意でエネルギ回復装置7に接続される。図1の詳細Aはエネルギ回復装置7を示し、これは、装置を動作させるために、より特定的にポンプ装置5を駆動するために回復されるべき、本発明に係るエネルギ変換器6によって再利用可能に変換されるエネルギを与える。
【0041】
図2a、図2bおよび図2cを参照して、詳細Aがより詳細に説明される。
図2aから図2cは、図1の詳細Aに係るエネルギ回復装置7の3つの異なる実施例を示す。エネルギ回復装置7は、抽出されて変換されたエネルギをポンプ装置5に回復する。図2aは、電気機械ギア駆動装置を介してエネルギを回復し、インバータを有するエネルギ回復装置7を示す。図2bは、油圧式ギア駆動装置を有するエネルギ回復装置7を示す。図2cは、機械ギア駆動装置を有するエネルギ回復装置7を示す。エネルギ回復装置7のそれぞれの駆動端は各々がエネルギ変換器6に接続され、それぞれのエネルギ回復装置7の出力端はポンプ装置5に接続される。
【0042】
図3は、図1の詳細Bに係るプラスチック溶融物供給構成の2つの異なる実施例を示す。図3aは、駆動装置を有する押出器11を備えるプラスチック溶融物供給構成を示し、溶融物は、溶融ポンプ13を介してその先の図1の切断装置3に供給される。図3bは反応器12を示し、ここから溶融物が溶融ポンプ13を介して図1の切断装置3に供給される。
【0043】
図4は本発明に係るエネルギ変換器6の実施例を示し、当該エネルギ変換器6は、一部分解された斜視図においてタービンの形態である。内部に含まれる細粒を有するプロセス流体4は、接線方向の入口を介してタービンに供給される。タービンのハウジングは、イ
ンペラの羽根を有するインペラを収容し、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体は、径方向に内側に運ばれ、タービンのハウジングカバーの軸方向の出口を介して排出される。図4に係るタービンを通過する際、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体4は、運動量移行によってタービンのインペラの羽根に圧力エネルギを伝え、それによってインペラを、およびしたがってタービンの出力部を駆動し、その結果、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体4の圧力が下げられ、抽出されたエネルギの少なくともいくらかが、本発明に従って再利用可能な形態のエネルギに変換される。
【0044】
図5は、本発明に係るエネルギ変換器6のさらなる好ましい実施例、すなわちギアポンプの断面図を示す。本発明によると、このギアポンプは反対のエネルギの流れ方向を有し、すなわち、これは実際はポンプとして用いられず、ギアポンプを通って流れる際、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力が当該ポンプを動かし、この動き、すなわちギアポンプの対応する歯車の回転運動がその後再利用可能となる。
【0045】
図6は、本発明に係るエネルギ変換器6のさらなる好ましい実施例、すなわち反対のエネルギの流れ方向を有する可撓性管ポンプを示しているが、可動性管ポンプは上で既に説明された。
【0046】
図7は、部分的に破断された側面図における切断装置3の実施例を示す。プラスチック溶融物が多孔板1を介してプロセスチャンバ2に供給される。プロセス流体が、周囲圧力より高い圧力で、図7の矢印によって示されるように上からプロセスチャンバに流れ込む。プロセスチャンバにはプロセス流体4が完全に充填される。内部に含まれる細粒を有するプロセス流体4は、出口を介してプロセスチャンバ2から排出される。プロセス流体の流れ方向は図7の矢印によって示される。切断装置3はさらに、シャフトによって電気モータに接続されるカッターヘッドを有し、これにより、プロセスチャンバ2内に押出されるプラスチック溶融物のストランドが個々の細粒に切断される。
【0047】
本発明に係る装置、本発明に係るプロセス、および本発明に係る対応する応用によって、すべての動作条件下でのペレットの信頼性のある製造を安全に保証する単純で経済的な手段が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る装置を有するシステム機構の図である。
【図2a】図1の本発明に係る詳細Aの実施例を示す図である。
【図2b】図1の本発明に係る詳細Aの実施例を示す図である。
【図2c】図1の本発明に係る詳細Aの実施例を示す図である。
【図3a】図1の詳細Bの実施例を示す図である。
【図3b】図1の詳細Bの実施例を示す図である。
【図4】本発明に係るエネルギ変換器の第1の実施例を示す図である。
【図5】本発明に係るエネルギ変換器の第2の実施例を示す図である。
【図6】本発明に係るエネルギ変換器の第3の実施例を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係る切断装置の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出によってプラスチック溶融物からペレットを製造するための装置であって、周囲圧力より高い圧力でプラスチック溶融物が押出される多孔板(1)と、プラスチック溶融物がその中に押出されるプロセスチャンバ(2)と、多孔板から押出されたプラスチック溶融物のストランドを個々の細粒に切断するための切断装置(3)とを備え、プロセスチャンバ(2)にはプロセス流体(4)が充填され、前記装置はさらに、周囲圧力より高い圧力でプロセスチャンバ(2)にプロセス流体(4)を供給するポンプ装置(5)を備え、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体(4)の圧力が、プロセスチャンバ(2)の下流で下げられ、
プロセスチャンバ(2)の下流にエネルギ変換器(6)が設けられ、前記エネルギ変換器(6)は、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体(4)から圧力エネルギの少なくともいくらかを抽出し、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体(4)の圧力を下げ、抽出したエネルギの少なくともいくらかを、再利用可能な形態のエネルギに変換することを特徴とする、装置。
【請求項2】
エネルギ変換器(6)はタービンであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
エネルギ変換器(6)は、反対のエネルギの流れ方向を有する可撓性管ポンプであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
プロセス流体用のパイプは、脈動を減衰および補償するための、好ましくは空気チャンバを有する減衰要素(15)を有することを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
エネルギ変換器(6)は、反対のエネルギの流れ方向を有するギアポンプであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
プロセスチャンバ(2)の下流で流れ断面の静止した収縮が本質的に全くないことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
エネルギ回復装置(7)が設けられ、これによって、抽出されて変換されたエネルギがポンプ装置(5)に回復され得ることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
エネルギ回復装置(7)は、機械的、電気的、空気圧式もしくは油圧式のエネルギ回復またはその組合せを提供することを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
制御ループ(14)が設けられ、これによってプロセスチャンバ(2)内の圧力を、プロセス流体(4)が一般的な温度で蒸発する圧力より若干高いように、好ましくはわずかに高いように調整可能であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
制御ループ(14)が設けられ、これによってプロセスチャンバ(2)内の圧力を、プラスチック溶融物に含まれる付随物質が一般的な温度で蒸発する圧力より若干高いように、好ましくはわずかに高いように調整可能であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
押出によってプラスチック溶融物からペレットを製造するためのプロセスであって、プラスチック溶融物が製造され、プラスチック溶融物は、周囲圧力より高い圧力で、プロセス流体が充填されたプロセスチャンバ内へ多孔板を通して押出され、多孔板から押出され
たプラスチック溶融物のストランドが切断装置によって個々の細粒に切断され、ポンプ装置が周囲圧力より高い圧力でプロセスチャンバにプロセス流体を供給し、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力がプロセスチャンバの下流で下げられ、
圧力エネルギの少なくともいくらかが、プロセスチャンバの下流に設けられるエネルギ変換器によって、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体から抽出され、内部に含まれる細粒を有するプロセス流体の圧力エネルギが下げられ、抽出されたエネルギの少なくともいくらかが、再利用可能な形態のエネルギに変換されることを特徴とする、プロセス。
【請求項12】
抽出されて変換されたエネルギは、エネルギ回復装置を通じてポンプ装置に回復されることを特徴とする、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか1つに記載のプラスチック溶融物からペレットを製造するための装置、および/または請求項11もしくは12に記載のプラスチック溶融物からペレットを製造するためのプロセスの応用であって、
付随物質を有するプラスチック溶融物がそれらで処理され、付随物質は、溶融物供給構成および/またはプロセスチャンバ内の圧力が周囲圧力より十分高くなければガス抜けすることになることを特徴とする、応用。
【請求項14】
付随物質を有するプラスチック溶融物は発泡ポリスチレン(EPS)であることを特徴とする、請求項13に記載の応用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−537345(P2009−537345A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510311(P2009−510311)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003780
【国際公開番号】WO2007/131613
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(594143628)アウトマティック・プラスティックス・マシーナりー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (9)
【氏名又は名称原語表記】AUTOMATIK PLASTICS MACHINERY GMBH
【Fターム(参考)】