説明

プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1の阻害剤としての置換ピリドカルボキサミド類

本発明は、置換ピリドカルボキサミド類、それらの製造方法、ヒトおよび動物の疾患(特に血栓性障害)の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ピリジンカルボキサミド類、それらの製造方法、ヒトおよび動物における疾患(特に血栓性障害)の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスミノーゲン活性化因子阻害因子−1(PAI−1)は、プラスミノーゲン−プラスミン系における最も重要な調節成分である。線維素溶解系は、酵素前駆体のプラスミノーゲンを含み、これは、2種のプラスミノーゲン活性化因子tPAおよびuPAにより活性型酵素プラスミンに変換される。PAI−1は、組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)およびウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)の両方の主要な生理的阻害因子である。線維素溶解系におけるプラスミンの主要な仕事の1つは、血管損傷の部位でフィブリンを分解することである。しかしながら、線維素溶解系は、循環からのフィブリンの除去を担うのみならず、排卵、胚形成、内膜の増殖、血管新生、腫瘍形成およびアテローム性動脈硬化を含む様々な他の過程にも関与する。
【0003】
血漿PAI−1レベルの上昇は、線維素溶解系の欠陥をもたらす数々の障害および症状と関連する。従って、例えば、血漿PAI−1レベルの上昇は、例えば血管の血流を局所的に損なうか、または、剥がれて血栓形成して下流の血流を塞ぐ血栓の発生を特徴とする、血栓性障害と関連する(Krishnamurti, Blood, 69, 798 (1987); Reilly, Arteriosclerosis and Thrombosis, 11, 1276 (1991); Carmeliet, Journal of Clinical Investigations, 92, 2756 (1993); Rocha, Fibrinolysis, 8, 294, 1994; Aznar, Haemostasis, 24, 243 (1994))。PAI−1活性の中和抗体は、より速い内因性線維素溶解および灌流をもたらす(Biemond, Circulation, 91, 1175 (1995); Levi, Circulation, 85, 305 (1992))。
【0004】
従って、本発明の1つの目的は、ヒトおよび動物における血栓性障害の処置用の新規PAI−1阻害剤を提供することである。
【0005】
本発明の化合物に似た構造は、血栓性障害の処置用のPAI−1阻害剤として、WO03/080060およびWO03/080564に開示されている。とりわけ、WO95/33750は、中枢神経系の障害の処置用の副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニストとして、置換ピリジンカルボキサミド類を開示しており、WO03/061387は、置換ピリジンカルボキサミド類の使用により藻類を制御する方法を開示している。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、式
【化1】

[式中、
Xは、式
【化2】

(式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
#は、酸素原子への結合点であり、
そして、R、R、RおよびRは、相互に独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルである)
の基であり、
Yは、フェニルまたはピリジルであり
(ここで、フェニルおよびピリジルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される)、
nは、0、1、2または3の数であり、
は、フェニルである
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−アルキルスルホニルアミノからなる群から相互に独立して選択される)]
の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物に関する。
【0007】
本発明による化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述する式の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含される実施態様として後述する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(後述する式(I)に包含される化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合に)である。
【0008】
本発明の化合物は、それらの構造によって、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を包含する。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に純粋な構成分を既知の方法で単離できる。
本発明の化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は、全ての互変異性体を包含する。
【0009】
本発明の目的上、好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明の化合物の単離または精製に使用できる塩も包含される。
【0010】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0011】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)、および、アンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0012】
本発明の目的上、溶媒和物は、固体または液体状態で、溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明の化合物の形態である。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。
【0013】
本発明の目的上、断りのない限り、置換基は、以下の意味を有する:
アルキル自体、並びに、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアルキルスルホニルアミノ中の「アルコ(alk)」および「アルキル」は、通常1個なしい6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカル、例えば、そして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルを表す。
【0014】
アルコキシは、例えば、そして好ましくは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシを表す。
【0015】
アルキルアミノは、1個または2個のアルキル置換基(相互に独立して選択される)を有するアルキルアミノラジカル、例えば、そして好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノを表す。例えば、C−C−アルキルアミノは、1個ないし4個の炭素原子を有するモノアルキルアミノラジカル、または、各アルキル置換基中に1個ないし4個の炭素原子を有するジアルキルアミノラジカルを表す。
【0016】
アルキルカルボニルは、例えば、そして好ましくは、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニルおよびn−ヘキシルカルボニルを表す。
【0017】
アルキルアミノカルボニルは、1個または2個のアルキル置換基(相互に独立して選択される)を有するアルキルアミノカルボニルラジカルを表す。C−C−アルキルアミノカルボニルは、例えば、1個ないし3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノカルボニルラジカル、または、各アルキル置換基中に1個ないし3個の炭素原子を有するジアルキルアミノカルボニルラジカルを表す。例えば、そして好ましくは、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、n−ヘキシルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニル、N−エチル−N−n−ペンチルアミノカルボニルおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノカルボニルが挙げられる。
【0018】
アルコキシカルボニルは、例えば、そして好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−ペントキシカルボニルおよびn−ヘキソキシカルボニルを表す。
【0019】
アルキルスルホニルアミノは、例えば、そして好ましくは、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、tert−ブチルスルホニルアミノ、n−ペンチルスルホニルアミノおよびn−ヘキシルスルホニルアミノを表す。
【0020】
ヘテロアリールは、通常5個または6個の環原子を有し、4個まで、好ましくは3個までのS、OおよびNの群からのヘテロ原子を有する芳香族性単環式ラジカル、例えば、そして好ましくは、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジルおよびピリダジニルを表す。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表す。
【0021】
Xを表す基の式中、傍に各々*または#がある直線の終点は、炭素原子またはCH基を表さず、Xが結合しているカルボニル基または酸素原子への結合の一部を形成している。
【0022】
本発明の化合物中のラジカルが置換されている場合、そのラジカルは、断りのない限り、同一に、または異なって、1個またはそれ以上の置換基で置換されていてよい。3個までの同一かまたは異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0023】
好ましいのは、式中、
Xが、式
【化3】

(式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
#は、酸素原子への結合点であり、
そして、R、R、RおよびRは、相互に独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルである)
の基であり、
Yが、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される)、
nが、0または1の数であり、
が、フェニルである
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−アルキルスルホニルアミノからなる群から相互に独立して選択される)
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物である。
【0024】
好ましいのは、式中、
Xが、式
【化4】

(式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
#は、酸素原子への結合点であり、
そして、R、R、RおよびRは水素である)
の基であり、
Yが、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される)、
nが、0または1の数であり、
が、フェニルである
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、メチル、メトキシおよびメチルスルホニルアミノからなる群から相互に独立して選択される)
式(I)の化合物、並びに、それらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物である。
【0025】
好ましいのは、式中、
Xが、式
【化5】

(式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
#は、酸素原子への結合点である)
の基であり、
およびRが水素である、
式(I)の化合物である。
【0026】
式中、RおよびRが水素である式(I)の化合物も好ましい。
式中、RおよびRが水素である式(I)の化合物も好ましい。
式中、Yがフェニルである式(I)の化合物も好ましい。
式中、nがゼロの数である式(I)の化合物も好ましい。
式中、Rがフェニルであり、フェニルが1個のトリフルオロメチルにより置換されている式(I)の化合物も好ましい。
【0027】
本発明は、さらに、式(I)の化合物の製造方法に関し、それは、式
【化6】

(式中、XおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化7】

(式中、Xおよびnは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させることを特徴とする。
【0028】
この反応は、一般的に、不活性溶媒中、塩基の存在下、好ましくは室温ないし溶媒の還流の温度範囲で、大気圧下に行う。
【0029】
不活性溶媒の例は、ジオキサン、テトラヒドロフランまたは1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、または、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドもしくはアセトニトリルなどの他の溶媒であり、ジメチルスルホキシドが好ましい。
【0030】
塩基の例は、ナトリウムもしくはカリウムメタノラート、または、ナトリウムもしくはカリウムエタノラート、または、カリウムtert−ブトキシドなどのアルコラート類、または、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドもしくはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド類、または、ブチルリチウムもしくはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、水素化ナトリウムもしくはDBUなどの他の塩基であり、水素化ナトリウムが好ましい。
【0031】
式(II)の化合物は、知られているか、または、式
【化8】

(式中、Rは上記の意味を有する)
の化合物を、式
【化9】

(式中、Xは上記の意味を有する)
の化合物と反応させることにより製造できる。
【0032】
この反応は、一般的に、不活性溶媒中、脱水剤の存在下、必要に応じて塩基の存在下、好ましくは−30℃ないし50℃の温度範囲で、大気圧下に行う。
【0033】
不活性溶媒の例は、ジクロロメタンもしくはトリクロロメタンなどのハロ炭化水素類、ベンゼンなどの炭化水素類、ニトロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルである。これらの溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドが特に好ましい。
【0034】
塩基の例は、例えばナトリウムもしくはカリウムの炭酸塩もしくは重炭酸塩などのアルカリ金属炭酸塩、または、例えばトリエチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基である。
【0035】
これに関して、適する脱水剤の例は、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N'−プロピルオキシメチルポリスチレン(PS−カルボジイミド)などのカルボジイミド類、または、カルボニルジイミダゾールなどのカルボニル化合物、または、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム3−サルフェートまたは2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウムパークロレートなどの1,2−オキサゾリウム化合物、または、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアシルアミノ化合物、または、プロパンホスホン酸無水物、または、イソブチルクロロホルメート、または、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリドまたはO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、または、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、または、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、または、N−ヒドロキシスクシンイミド、または、これらの塩基との混合物である。
【0036】
この縮合は、好ましくは、TBTUをジイソプロピルエチルアミンの存在下で用いて実施する。
【0037】
式(III)、(IV)および(V)の化合物は、これら自体が当業者に知られているか、または、文献からわかる常套の方法により製造できる。
【0038】
本発明の化合物の製造は、以下の合成スキームにより明確にできる。
スキーム1:
【化10】

スキーム2:
【化11】

【0039】
本発明の化合物は、予想し得なかった価値ある薬学的および薬物動態学的効果の範囲を示す。
従って、それらは、ヒトおよび動物における疾患の処置および/または予防用の医薬としての使用に適する。
本発明の化合物の医薬的活性は、PAI−1阻害剤としてのそれらの作用により説明できる。
本発明はさらに、障害、好ましくは血栓性障害の処置および/または予防のための、本発明の化合物の使用に関する。
【0040】
本発明の化合物は、例えば、静脈および動脈の血栓症、肺血栓症、脳血栓症、血栓塞栓症および深部静脈血栓症などの血栓性障害、または、冠動脈心疾患、心細動、肺線維症、嚢胞性線維症、血栓塞栓症の合併症、または、例えば、血栓性卒中および血栓塞栓性卒中などの卒中、または、一過性虚血発作、冠血管処置後の再閉塞および再狭窄(経皮的冠動脈形成術後の再閉塞および再狭窄、冠動脈バイパス術後の再閉塞および再狭窄)、播種性血管内凝固、または、外科手術、例えば、肺塞栓症、卒中、血管の外科手術、血管置換術、ステント設置、器官、組織および細胞の確保(implementation)および移植、または、例えば、心筋梗塞、アテローム硬化性粥腫形成、心梗塞、安定狭心症および不安定狭心症などの心血管障害、または、慢性閉塞性肺疾患、腎線維症、多嚢胞性卵巣症候群、アルツハイマー病、エストロゲン欠乏により誘導される骨溶解、糖尿病、肥満症、慢性歯周炎、リンパ腫、細胞外マトリックスの蓄積に関連する障害、例えば、喘息などの炎症性障害、敗血症性ショック、腎臓の障害、肥満、インシュリン抵抗性、血管新生と関連する障害、または、癌、例えば、白血病、悪性腫瘍、または、感染による血管の損傷、並びに、乳癌および卵巣癌などのuPAレベルの上昇と関連する障害の予防および/または処置に適する。
【0041】
本発明の化合物は、さらに、血栓溶解療法を補助するために、創傷治癒に影響を与えるために、例えば、再狭窄、冠動脈心疾患、脳虚血および末梢動脈閉塞症などのアテローム動脈硬化性血管障害、心不全、高血圧、例えば、喘息、炎症性肺障害、糸球体腎炎、炎症性腸障害などの炎症性障害、および、運動系のリウマチ性障害、例えば、神経変性障害などの変性障害、並びに、骨粗鬆症の予防および処置において、用いることができる。
【0042】
本発明の化合物は、また、透析および液相での血液保存に使用される血液および血液製剤の処理に、特に、エクスビボの血小板凝集のために、用いることができる。本化合物を、線維素溶解能を決定する病院の条件下の化学的血液分析中に、ヒトの血漿に添加することもできる。
【0043】
本発明の化合物は、また、血栓溶解促進剤(prothrombolytic agent)、線維素溶解剤および抗凝血剤と組み合わせて使用できる。
【0044】
本発明は、さらに、障害、特に、上述の病状の予防および/または処置のための、本発明の化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の病状の予防および/または処置用の医薬を製造するための、本発明の化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、心血管的活性を有する量の本発明の化合物を使用することによる、障害、特に上述の病状の予防および/または処置方法に関する。
本発明は、さらに、特に上述の障害の予防および/または処置のための、本発明の化合物を1種またはそれ以上のさらなる有効成分との組合せ中に含む医薬に関する。
【0045】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜もしくは耳の経路で、またはインプラントもしくはステントとして、投与できる。
本発明による化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0046】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明の化合物を迅速かつ/または改変された様式で送達し、本発明の化合物を結晶および/または無定形および/または溶解形態で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、不溶であるか、または遅れて溶解し、本発明の化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤である。
【0047】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または、吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0048】
他の投与経路に適する例は、例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液、スプレー;舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、眼または耳用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0049】
本発明の化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0050】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の化合物を、好ましくは1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0051】
一般に、ヒトの医学および獣医学の両方において、24時間当たり約0.01ないし約700、好ましくは約0.01ないし100mg/体重kgの総量で、必要に応じて複数の単回用量の形態で、本発明の化合物を投与するのが、所望の結果を達成するために有利であると明らかになった。単回用量は、本発明の化合物を、好ましくは約0.1ないし約80、特に0.1ないし30mg/体重kgの量で含む。
【0052】
それにも拘わらず、必要に応じて、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを1日に亘る数回の個別用量に分割するのが望ましいことがある。
【0053】
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0054】
A.実施例
略号:
【表1】

【0055】
出発化合物
実施例1A
2−フルオロ−N−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ニコチンアミド
【化12】

2−フルオロニコチン酸300mg(2.06mmol)を、丸底フラスコ中のジクロロメタン10mlに導入し、TBTU993mg(3.09mmol)を添加する。ジイソプロピルエチルアミン0.539ml(3.09mmol)を滴下して添加し、続いて室温で10分間撹拌し、次いで4−トリフルオロメチルアニリン369mg(2.27mmol)を添加する。混合物を室温で16時間撹拌し、溶媒を完全に除去し、分取HPLCにより残渣を精製する。生成物428mg(理論値の73%)を固体として単離する。
MS (ESIpos): m/z = 285 (M+H)+.
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 10.93 (s, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.29 (t, 1H), 7.92 (d, 2H), 7.75 (d, 2H), 7.54(t, 1H).
【0056】
実施例2A
2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ニコチンアミド
【化13】

2−フルオロニコチン酸300mg(2.06mmol)を、4−フルオロアニリン254.6mg(2.27mmol)と、実施例1Aの製造方法と同様に反応させ、対応するアミドを得る。分取HPLCにより精製し、生成物419mg(理論値の87%)を得る。
MS (TOF): m/z = 234 (M)+.
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ =10.61 (s, 1H), 8.41 (d, 1H), 8.25 (t, 1H), 7.77 (dd, 2H), 7.53 (t, 1H), 7.22 (t, 2H).
【0057】
実施例3A
2−フルオロ−N−フェニルニコチンアミド
【化14】

2−フルオロニコチン酸300mg(2.06mmol)を、アニリン213.4mg(2.27mmol)と、実施例1Aの製造方法と同様に反応させ、対応するアミドを得る。分取HPLCにより精製し、生成物411mg(理論値の92%)を固体として得る。
MS (DCI, NH3): m/z = 234 (M+NH4)+.
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 10.55 (s, 1H), 8.40 (d, 1H), 8.25 (t, 1H), 7.70 (d, 2H), 7.52 (t, 1H), 7.37 (t, 2H), 7.13 (t, 1H).
【0058】
実施例4A
2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)イソ−ニコチンアミド
【化15】

2−フルオロ−4−ピリジンカルボン酸150mg(1.04mmol)を、丸底フラスコ中のジクロロメタン10mlに導入し、TBTU502mg(1.56mmol)を添加する。ジイソプロピルエチルアミン0.272ml(1.56mmol)を滴下して添加し、続いて室温で10分間撹拌し、次いで、4−フルオロアニリン175.4mg(1.56mmol)を添加する。混合物を室温で16時間撹拌し、溶媒を完全に除去し、分取HPLCにより残渣を精製する。生成物196mg(理論値の79%)を固体として単離する。
MS (DCI, NH3): m/z = 251 (M+NH4)+.
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 10.62 (s, 1H), 8.45 (d, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.78 (dd, 2H), 7.66 (s, 1H), 7.24 (t, 2H).
【0059】
実施例5A
2−フルオロ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]イソニコチンアミド
【化16】

2−フルオロ−4−ピリジンカルボン酸150mg(1.04mmol)を、3−トリフルオロメチルアニリン256.9mg(1.56mmol)と、実施例6Aの製造方法と同様に反応させ、対応するアミドを得る。分取HPLCによる精製により、生成物202mg(理論値の68%)を得る。
MS (ESIpos): m/z = 285 (M+H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 10.82 (s, 1H), 8.47 (d, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.03 (d, 1H), 7.83 (m, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.64 (t, 1H), 7.53 (d, 1H).
【0060】
実施例6A
2−フルオロ−N−フェニルイソニコチンアミド
【化17】

2−フルオロ−4−ピリジンカルボン酸1000mg(7.09mmol)を、アニリン792mg(8.51mmol)と、実施例6Aの製造方法と同様に反応させ、対応するアミドを得る。粗製のバッチを飽和クエン酸溶液と混合し、塩化メチレンで3回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、溶媒を完全に除去する。これにより、生成物1.36g(理論値の88%)を得る。
MS (ESIpos): m/z = 217 (M+H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 10.53 (s, 1H), 8.44 (d, 1H), 7.83 (dt, 1H), 7.76 (d, 2H), 7.66 (s, 1H), 7.39 (t, 2H), 7.16 (t, 1H).
【0061】
例示的実施態様
実施例1
4−{[3−({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)ピリジン−2−イル]オキシ}安息香酸
【化18】

4−ヒドロキシ安息香酸46.65mg(0.34mmol)を、乾燥DMSO4mlに導入し、水素化ナトリウム(60%)28.15mg(0.7mmol)を添加する。室温、アルゴン下で10分間撹拌した後、実施例1A由来のフルオロニコチンアミド80mg(0.28mmol)を添加する。混合物を80℃で1時間、120℃でさらに16時間加熱する。水約1mlを注意深く添加し、粗生成物を分取HPLCにより精製する。生成物23mg(理論値の19%)を固体として単離する。
MS (ESIpos): m/z = 403 (M+H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 11.7 (s, 1H), 7.7 (m, 4H), 7.6 (d, 1H), 7.45 (d, 2H), 7.3 (d, 1H), 7.1 (d, 2H), 6.1 (t, 1H).
【0062】
実施例2
4−[(3−{[(4−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}ピリジン−2−イル)オキシ]安息香酸
【化19】

実施例2A由来の2−フルオロニコチンアミド2.89g(12.34mmol)を、4−ヒドロキシ安息香酸2.05g(14.81mmol)および水素化ナトリウム(60%)1.234g(30.85mmol)と、実施例1の製造方法と同様に反応させ、対応するエーテル誘導体をN−メチルピロリドン100ml中に得る。塩化メチレンから再結晶し、生成物4.09g(理論値の94%)を固体として得る。
MS (ESIpos): m/z = 353 (M+H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 12.92 (s, 幅広い, 1H), 10.66 (s, 1H), 8.28 (dd, 1H), 8.14 (dd, 1H), 7.98 (d, 2H), 7.73 (dd, 2H), 7.32 (m, 3H), 7.20 (t, 2H).
【0063】
実施例3
4−{[3−(アニリノカルボニル)ピリジン−2−イル]オキシ}安息香酸
【化20】

実施例3A由来の2−フルオロニコチンアミド80mg(0.37mmol)を、4−ヒドロキシ安息香酸61.32mg(0.44mmol)および水素化ナトリウム(60%)37mg(0.93mmol)と、実施例1の製造方法と同様に反応させ、対応するエーテル誘導体をDMSO(4ml)中に得る。分取HPLCにより精製し、生成物23.5mg(理論値の19%)を得る。
MS (ESIpos): m/z = 335 (M+H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 10.47 (s, 1H), 8.24 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 8.86 (d, 2H), 7.72 (d, 2H), 7.35 (d, 2H), 7.27 (m, 1H), 7.04-7.13 (m, 3H).
【0064】
実施例4
4−[(4−{[(4−(フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}ピリジン−2−イル)オキシ]安息香酸
【化21】

4−ヒドロキシ安息香酸70.77mg(0.512mmol)を、乾燥DMSO4mlに導入し、水素化ナトリウム(60%)42.7mg(1.07mmol)を添加する。室温、アルゴン下で10分間撹拌した後、実施例4A由来のイソニコチンアミド100mg(0.43mmol)を添加する。混合物を130℃で16時間加熱し、冷却後、1N塩酸で中和する。粗生成物を分取HPLCにより精製する。生成物41mg(理論値の27%)を固体として単離する。
MS (ESIpos): m/z = 353 (M+H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 幅広い, 1H), 10.55 (d, 1H), 8.37 (d, 1H), 8.0 (d, 2H), 7.79 (dd, 2H), 7.66 (dd, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.27 (d, 2H), 7.20 (d, 2H).
【0065】
実施例5
4−{[4−({[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)ピリジン−2−イル]オキシ}安息香酸
【化22】

実施例5A由来のイソニコチンアミド100mg(0.352mmol)を、4−ヒドロキシ安息香酸58.3mg(0.422mmol)および水素化ナトリウム(60%)35.2mg(0.88mmol)と、実施例1の製造方法と同様に反応させ、対応するエーテル誘導体をDMSO4ml中に得る。分取HPLCにより精製し、生成物91mg(理論値の62%)を得る。
MS (ESIpos): m/z = 403 (M+H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 12.88 (s, 幅広い, 1H), 10.79 (s, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.24 (s, 1H), 8.0 (m, 3H), 7.61-7.68 (m, 3H), 7.51 (d, 1H), 7.27 (d, 2H).
【0066】
実施例6
(4−{[4−(アニリノカルボニル)ピリジン−2−イル]オキシ}−3−フルオロフェニル)酢酸
【化23】

実施例6A由来のイソニコチンアミド37mg(0.169mmol)を、3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル酢酸34.5mg(0.203mmol)および水素化ナトリウム(60%)16.9mg(0.42mmol)と、実施例1の製造方法と同様に反応させ、対応するエーテル誘導体をDSMO4ml中に得る。分取HPLCにより精製し、生成物6mg(理論値の9%)を得る。
MS (ESIneg): m/z = 365 (M-H)+.
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6): δ = 10.53 (s, 1H), 8.28 (d, 1H), 7.78 (d, 2H), 7.56 (m, 2H), 7.38 (t, 2H), 7.08-7.20 (m, 3H), 7.00 (d, 1H), 3.17 (s, 2H).
【0067】
実施例7
4−{[4−(4−アニリノカルボニル)ピリジン−2−イル]オキシ}安息香酸
【化24】

実施例6A由来のイソニコチンアミド37mg(0.169mmol)を、4−ヒドロキシ安息香酸28mg(0.203mmol)および水素化ナトリウム(60%)16.9mg(0.42mmol)と、実施例1の製造方法と同様に反応させ、対応するエーテル誘導体をDSMO4ml中に得る。分取HPLCにより精製し、生成物39mg(理論値の69%)を得る。
MS (ESIpos): m/z = 335 (M+H)+.
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ = 12.93 (s, 幅広い, 1H), 10.52 (s, 1H), 8.37 (d, 1H), 8.01 (d, 2H), 7.77 (d, 2H), 7.65 (dd, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.39 (t, 2H), 7.27 (d, 2H), 7.15 (t, 1H).
【0068】
B.生理的活性の評価
略号:
【表2】

【0069】
本発明の化合物のインビトロでの効果は、以下のアッセイで示すことができる:
1.血漿線維素溶解アッセイ
ラットにおけるプラスミノーゲン活性化因子阻害因子−1(PAI−1)の阻害剤の同定、および、本明細書に記載の物質の活性の定量は、血漿をベースとする線維素溶解アッセイを利用して行う。線維素溶解系の阻害は、α−抗プラスミンまたはα−マクログロブリンによりプラスミンのレベルで、または、PAI−1によりプラスミノーゲン活性化因子のレベルで行うことができる。
【0070】
ヒトα−トロンビンの添加は、いくつかの中間段階を通して、三次元構造のフィブリン網の発達を導く。このフィブリン網は、セリンプロテアーゼのプラスミンにより壊され、これは、事前に不活性な酵素前駆体プラスミノーゲンからプラスミノーゲン活性化因子tPAにより形成される。tPAの活性は、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子−1PAI−1により制御される。PAI−1の阻害は、フィブリン網の溶解速度の増加を導く。
【0071】
アッセイ方法:組換えラットプラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI−1;Molecular Innovations Inc., MI, USA)(最終濃度:8.25nM;50mM HEPES、pH6.2;50mM NaCl;0.1%PEG6000)を、12μlの体積で、100μMないし10nMの濃度範囲の試験しようとする物質または適当な溶媒と共に、96−ウェルのマイクロタイタープレート中、室温で、3分間インキュベートする。ヒト血小板欠乏血漿(Blutspendedienst Deutsches Rotes Kreuz, Hagen, Germany)を、1:3の比でバッファー(150mM NaCl;20mM HEPES、pH7.4)で希釈する。血漿/バッファー混合物183μlをバッチ毎にタンパク質/物質混合物に添加する。次いで、塩化カルシウム(最終濃度:10mM)、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA;最終濃度:7.5nM;Chromogenix, Moelndal, Sweden)およびα−トロンビン(最終濃度:25nM;Kordia, Leiden, Netherlands)の混合物8μlを添加し、激しく混合し、80μl分を2回384−ウェルのマイクロタイタープレートに移す。フィブリン血塊の形成および後続するその溶解に続き、波長405nmで吸光測定する。少なくとも3時間にわたり、2分間隔で、37℃で反応速度を測定する(Tecan Saphire, Tecan Germany GmbH, Crailsheim, Germany)。
【0072】
データの分析:血塊溶解時間(CLT)は、吸光度が最高と最低の吸光度の中間値の吸光度に達する時間である。PAI−1の非存在下で見出されるCLT値を、「0%PAI−1活性」と定義し、8.25nMの存在下のものを「100%活性」と定義する。CLT50値は、血餅溶解時間が2分の1に減少した試験物質の濃度を表す。
【0073】
2.他のセリンプロテアーゼとの選択性の比較
2.1プラスミノーゲン活性化因子t−PAおよびウロキナーゼ
アッセイ方法:物質を、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)およびウロキナーゼに対するそれらの効果に関して特徴解析する。この目的で、PAI−1阻害剤を、ヒトtPA(Sigma Aldrich Chemie GmbH, Taufkirchen, Germany;最終濃度:1nM)またはヒトウロキナーゼ(Sigma Aldrich Chemie GmbH, Taufkirchen, Germany;最終濃度:2.5nM)と共に、50mM TRIS pH7.5、140mM NaClおよび0.1%PEG6000を含むバッファー中、室温で10分間インキュベートする。酵素活性を、特異的ペプチド基質(最終濃度10μM;tPA用に444XF、そして、ウロキナーゼ用に244XF;American Diagnostica)の切断に起因する蛍光の増加として、SPECTRAFluor Plus (Tecan, Maennedorf, Switzerland)で測定する。最高物質濃度は10μMである。
【0074】
分析:物質を添加せずに得られる蛍光の値を、100%に等しいと設定し、次いで、全ての他の値を、この100%と関連付ける。GraphPad Prism コンピュータープログラムを使用して、用量−活性プロットおよびIC50値をこれらの百分率から算出する。
【0075】
2.2.凝固因子FX、FXa、FIXaβ、FVIIa、FXIaおよびセリンプロテアーゼプラスミンおよびトリプシン
アッセイ方法:凝血因子第X因子(FX)、第Xa因子(FXa)、第IXaβ因子(FIXaβ)、第VIIa因子(FVIIa)、第XIa因子(FXIa)およびトロンビン、並びに、セリンプロテアーゼプラスミンおよびトリプシンを試験に使用する。一般的な蛍光発生基質は、I−1100(Boc−Ile−Glu−Gly−Arg−AMC)、I−1575(Boc−Glu(OBzl)−Ala−Arg−AMC HCl)、I−1560(Boc−Asp(OBzl)−Pro−Arg−AMC HCl)およびI−1275(MeOSuc−Ala−Phe−Lys−AMC TFA)と呼ばれる基質である。これらの基質は、全て Bachem (Bubendorf, Switzerland)から入手できる。全実験を50ミリモル(mM)トリス、100mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、0.1%BSA中、pH7.4、室温で実施する。全実験における最終体積は、100マイクロリットル(μl)である。
【0076】
個々の混合物について、10nM FXaを5μMの基質I−1100と、0.3nM FXIaを5μM I−1575と、0.1nMトリプシンを5μM I−1100と、0.002nMトロンビンを5μM I−1560と、そして、0.012nMプラスミンを50μM I−1275と混合する。組合せのアッセイシステムについて、8.8nM FIXaβまたは1pM FVIIaを、各場合で9.5nMのFXaおよび50μMの基質I−1100と混合する。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中の10ミリモル(mM)溶液とする。これらの10mM原液を最初にDMSOで1:5に、次いでアッセイ培地で1:100に希釈する。8回の連続希釈をこの20μM溶液から行い、各々の次の濃度は元の濃度の1/3に相当する。これらの個々の希釈混合物30μlを、この酵素/物質混合物中の最高物質濃度が10μMであり、後続のものが3.3μM、1.1μM、0.37μM、0.12μM、0.04μM、0.012μMおよび0.004μMに相当するように、30μlのセルに添加する。これらの試験物質をこのように希釈し、個々の酵素アッセイ系に添加する。60分間インキュベートした後、酵素のアミド分解(amidolytic)活性を、SPECTRAFluor Plus (Tecan, Maennedorf, Switzerland) において、360nm(励起)および465nm(発光)の波長で測定する。
【0077】
分析:物質を添加せずに得られる蛍光の値を、100%に等しいと設定し、次いで、全ての他の値を、これらの100%と関連付ける。かくして、異なる日に実施した実験を比較することが可能である。GraphPad Prism コンピュータープログラムを使用して、用量−活性プロットおよびIC50値をこれらの百分率から算出する。
【0078】
2.3セリンプロテアーゼの阻害
2.3.1α−抗プラスミン
α−マクログロブリンの他に、セリンプロテアーゼ阻害剤α−抗プラスミンは、セリンプロテアーゼプラスミンを阻害できる。
アッセイ方法:ヒトα−抗プラスミン(Sigma-Aldrich Chemie GmbH, Taufkirchen, Germany;最終濃度:50nM;50mM TrisHCl pH7.3;200mM NaCl;0.2%BSA)を、10μlの体積で、濃度範囲100ないし10μMの試験しようとする物質または適切な溶媒と共に、96−ウェルマイクロタイタープレートにて、室温で5分間インキュベートする。各バッチにつきヒトプラスミン (Merck Biosciences, Schwalbach/Taunus, Germany;最終濃度:5nM)20μlをα−抗プラスミン/物質混合物に添加し、37℃で15分間インキュベートする。次いで、蛍光発生プラスミン基質I1275(Bachem, Weil am Rhein, Germany;最終濃度:15μM;50mM TRIS pH7.3、200mM NaCl;0.02%BSA)を添加する。37℃の温度で40分間インキュベートした後、蛍光シグナルを測定する(Tecan Saphire, Tecan Deutschland GmbH, Crailsheim, Germany;励起:360nm;発光:465nm;ゲイン50)。
【0079】
データ分析:α−抗プラスミンの非存在下で見出された蛍光の値(465nmでの発光)を、「0%阻害」と定義し、50nMの存在下のものを「100%阻害」と定義する。IC50値は、放出される蛍光が2分の1に減少する試験物質の濃度を表す。
【0080】
2.3.2α−抗トリプシン
セリンプロテアーゼ阻害剤α−抗トリプシンは、セリンプロテアーゼトリプシンを阻害できる。
アッセイ方法: ヒトα1-抗トリプシン(Sigma-Aldrich Chemie GmbH, Taufkirchen, Germany; 最終濃度:2μM;50mM TrisHCl pH7.3;100mM NaCl;5mM塩化カルシウム;0.5%BSA)を、10μlの体積で、濃度範囲100ないし10μMの試験しようとする物質と共に、または、適切な溶媒中、96−ウェルマイクロタイタープレートにて、室温で5分間インキュベートする。各バッチにつきヒトトリプシン (Sigma-Aldrich, Taufkirchen, Germany; 最終濃度:500nM)20μlをα−抗トリプシン/物質混合物に添加し、37℃で15分間インキュベートする。次いで、蛍光発生トリプシン基質I1100(Bachem, Weil am Rhein, Germany;最終濃度:1μM;50mM TRIS pH7.3、200mM NaCl;0.02%BSA)を添加する。37℃の温度で40分間インキュベートした後、蛍光シグナルを測定する(Tecan Saphire, Tecan Deutschland GmbH, Crailsheim, Germany;励起:360nm;発光:465nm;ゲイン50)。
【0081】
データ分析:α−抗トリプシンの非存在下で見出された蛍光の値(465nmでの発光)を、「0%阻害」と定義し、2μMの存在下のものを「100%阻害」と定義する。IC50値は、放出される蛍光が2分の1に減少する試験物質の濃度を表す。
【0082】
本発明の化合物の血栓性障害の処置への適合性は、以下の動物モデルで示すことができる:
本発明の化合物を、線維素溶解がPAI−1−依存的メカニズムにより媒介される血栓症モデルで調べることができる(Clozel, J Cardiovasc Pharmacol 12:520-5 (1998); Levi, Circulation 85:305-12 (1992); Biemond, Circulation 91:1175-81 (1995); Friederich, Circulation 96:916-21 (1997)と比較せよ)。さらに、それらのインビボでのPAI−1活性の阻害または減少に関して、本発明の化合物を特徴付けることが可能である(Crandall, BBRC 311:904-908 (2003)比較せよ)。
【0083】
本発明の化合物の半減期を、以下のアッセイで示すことができる:
インビボでの明白な半減期を決定するために、試験物質を様々な製剤化組成物(例えば血漿、エタノール、DMSO、PEG400など)またはこれらの可溶化剤の混合物に溶解し、雄の Wistar ラットに静脈内投与する。投与量は、0.1ないし1mg/kgの範囲にある。血液サンプルを、カテーテルを利用して、または、屠殺血漿として、26時間に及ぶ期間における様々な時点で採取する。試験サンプル中の物質の定量的測定は、血漿中で調節した較正サンプルを用いて、その血漿中で行う。血漿中に存在するタンパク質を、アセトニトリルを用いる沈降により除去する。次いで、それらのサンプルを、逆相カラムを使用するHPLCにより、2300 HTLC システム(Cohesive Technologies, Franklin, MA, USA)で分画する。HPLCシステムを、ターボイオンスプレーインターフェースを介して、API 3000 Triple Quadropole 質量分析計 (Applied Biosystems, Darmstadt, Germany)と組み合わせる。血漿濃度の時間経過を、確証された動態解析プログラムを使用して分析する。
【0084】
C.医薬組成物の例示的実施態様
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF, Ludwigshafen, Germanyより)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg。直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。ガイドラインとして、打錠力15kNを打錠に使用する。
【0085】
経口用懸濁剤:
組成:
実施例1の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel (FMC, USA のキサンタンガム)400mgおよび水99g。
経口用懸濁剤10mlは、本発明の化合物の単回用量100mgに等しい。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0086】
静脈内投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物1mg、ポリエチレングリコール400 15gおよび注射用水250g。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコール400と共に水に撹拌しながら溶解する。溶液を濾過滅菌(孔直径0.22μm)し、無菌条件下で、加熱滅菌した点滴瓶に分配する。これらを点滴ストッパーおよびクリンプキャップで密封する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
Xは、式
【化2】

(式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
#は、酸素原子への結合点であり、
そして、R、R、RおよびRは、相互に独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルである)
の基であり、
Yは、フェニルまたはピリジルであり
(ここで、フェニルおよびピリジルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される)、
nは、0、1、2または3の数であり、
は、フェニルである
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−アルキルスルホニルアミノからなる群から相互に独立して選択される)]
の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物の1つ。
【請求項2】
式中、
Xが、式
【化3】

(式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
#は、酸素原子への結合点であり、
そして、R、R、RおよびRは、相互に独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシカルボニルまたはC−C−アルキルアミノカルボニルである)
の基であり、
Yが、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニルおよびC−C−アルキルアミノカルボニルからなる群から相互に独立して選択される)、
nが、0または1の数であり、
が、フェニルである
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルアミノカルボニルおよびC−C−アルキルスルホニルアミノからなる群から相互に独立して選択される)
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物の1つ。
【請求項3】
式中、
Xが、式
【化4】

(式中、*は、カルボニル基への結合点であり、
#は、酸素原子への結合点であり、
そして、R、R、RおよびRは水素である)
の基であり、
Yが、フェニルであり
(ここで、フェニルは、1個ないし2個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲンおよびC−C−アルコキシからなる群から相互に独立して選択される)、
nが、0または1の数であり、
が、フェニルである
(ここで、フェニルは、1個ないし3個の置換基により置換されていてもよく、ここで、置換基は、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、メチル、メトキシおよびメチルスルホニルアミノからなる群から相互に独立して選択される)
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物の1つ。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物の製造方法であって、式
【化5】

(式中、XおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物を、式
【化6】

(式中、Xおよびnは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【請求項5】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
血栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を、さらなる有効成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物を、少なくとも1種の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項10】
血栓性障害の処置および/または予防のための、請求項8または請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
医薬的に有効な量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物または請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の医薬を投与することによる、ヒトおよび動物における血栓性障害の制御方法。

【公表番号】特表2009−502756(P2009−502756A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521893(P2008−521893)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007148
【国際公開番号】WO2007/028456
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】