説明

プラズマエッチング装置

【課題】プラズマエッチング装置を提供すること。
【解決手段】基板が載置される基板支持台と、前記エッチング対象となる基板面と隣り合うように配設された電極と、前記基板と隣り合う電極の表面上に形成された誘電膜、及び前記電極と基板支持台との間に電位差を生じさせるための電源手段を備えるプラズマエッチング装置を提供する。このように、基板が載置された基板支持台と基板の端部領域を取り囲む電極との間に電位差を与え、基板と電極との距離を3mm以下にし、且つ、基板と電極との間の領域において局部的にプラズマを生じさせて、基板の端部領域のパーチクル及び薄膜を除去することができ、しかも、基板の上部中心領域にカーテンの役割を果たすガスを吹き付けて基板と電極との間で生じたプラズマが基板の上部中心領域に流れ込む現象を防ぐことができる。さらには、大気圧近くで且つ常温の状態でプラズマを生じさせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマエッチング装置に係り、さらに詳しくは、基板の端部の膜質を除去するために、誘電体バリア放電(DBD;Dielectric Barrier Discharge)または高圧の容量性結合によるプラズマ放電(CCP;Capacitively Coupled
Plasma)を用いるプラズマエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の半導体素子または液晶表示素子の製造工程は、多数の薄膜を蒸着する工程と、これをエッチングしてパターニングする工程を含んでなる。
【0003】
通常、このような薄膜の蒸着とエッチングは、チャンバー内において行われる。チャンバーの基板支持台の上部に基板を載置した状態で、反応ガス、原料ガスなどをチャンバーの内部に吹き込むことにより、基板の上に薄膜を蒸着する。このとき、図1に示すように、基板1の周縁部領域(図1におけるA領域)の上部、側壁部及び下部に薄膜が残留してしまう。この基板の下部に残留している薄膜を除去しないままで工程を行い続ける場合、基板が反ったり、基板の整列が困難になったりするなど、数多くの不都合が発生する。
【0004】
このため、所定のエッチング工程によりこの基板の周縁部領域に残留している薄膜を除去することを余儀なくされている。
【0005】
しかしながら、従来、基板のエッチングは、種々な化学薬品などを用いて行われていた。化学薬品の場合、環境に悪影響を及ぼし、しかも、局部的な洗浄が困難であるという欠点がある。この理由から、新規なエッチング方法についての研究が盛んになされて実際に適用されている。この新規なエッチング方法の一つとして、プラズマを用いる方法がある。
【0006】
ここで、プラズマは、イオンや電子、ラジカルなどよりなるイオン化されたガスの状態を意味するものであって、極めて高温や強い電界、若しくは、高周波電磁界によって生成される。
【0007】
特に、グロー放電によるプラズマの生成は、直流や高周波電磁界により励起された自由電子により行われるが、励起された自由電子はガス分子と衝突してイオン、ラジカル、電子などの活性族を生成する。かかる活性族は、物理・化学的に物質の表面に働きかけて表面の特性を変化させる。このプラズマを用いて基板をエッチングするためには、プラズマの状態をなす領域がチャンバー内において、どの気圧下にあるかで分類することができる。
【0008】
従来、真空に近い低圧下でグロー放電によりプラズマを生じさせて基板をエッチングする低圧プラズマエッチング装置が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。従来の低圧プラズマエッチング装置によれば、基板支持台の上部にインシュレーターを対向配設し、基板支持台とインシュレーターの外周にプラズマの生成のための電極を配設して、ウェーハの周縁部にのみプラズマを生じさせてウェーハの周縁部領域を洗浄していた。
【特許文献1】大韓民国特許第2002−80955号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来のプラズマエッチング装置は低圧下でプラズマを生成するため、必ず低圧状態、つまり、真空密閉された状態で工程を行わなければならない。この理由から、真空チャンバー、真空排気装置などの高価な装備が必要となり、しかも、装置の内部の構成が複雑化するため、装備のメンテナンス及び真空ポンピング時間が長引くという不都合があった。さらに、大気圧の近くで行われる連続工程には適用し難いという不都合もあった。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消するために、大気圧の近くでプラズマを生じさせて基板の端部の膜質を除去することのできるDBDまたは高圧CCP放電を用いたプラズマエッチング装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、本発明は、チャンバーと、前記チャンバー内に設けられると共に、基板を位置付ける基板支持台と、前記基板の端部に対応し、前記基板の端部との間隔が、前記チャンバーの上壁と前記基板との間隔よりも小さい電極と、前記基板支持台に電源を印加する電源手段と、を備えるプラズマエッチング装置を提供する。
【0012】
ここで、前記基板の端部は、0.5〜4mmであることが好ましい。
【0013】
そして、前記基板とチャンバーの上壁との間隔は、30〜50mmであることが好ましい。
【0014】
前記電極は、前記基板の上端部に位置する第1の電極と、前記基板の下端部に位置する第2の電極と、を備えることが好適である。
【0015】
このとき、前記電極と前記基板との間隔は、0.1〜5mmであるか、あるいは、1〜1.5mmであることが好適である。
【0016】
もちろん、前記電極の表面に誘電膜が形成されていることが好ましい。
【0017】
前記誘電膜と前記基板との間隔は、0.1〜5mmであることが好適である。
前記基板と対応する前記チャンバーの上壁に非反応性のガスを吹き付ける非反応ガスの噴射ノズルが設けられていることが好ましい。そして、前記電極に反応ガスを吹き付ける反応ガスの噴射ノズルが設けられていることが好適である。
【0018】
ここで、前記基板支持台が昇降可能であって前記基板が出納自在に、前記基板支持台の下部に前記基板支持台の駆動部が設けられていることが好ましい。
上述した前記チャンバー内の圧力は、10〜1,000Torrまたは700〜800Torrに維持することが好ましい。
【0019】
前記電極の下部に磁界形成手段がさらに設けられてもよい。また、前記電極の側面にバリア膜が形成されてもよい。このとき、前記バリア膜は、前記電極の側面から前記基板に向かって延設され、前記バリア膜と前記基板との間隔が0.1〜5mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板が載置される基板支持台と基板の端部を取り囲む電極との間に電位差を与え、基板と電極との距離を3mm以下にし、且つ、基板と電極との間の領域において局部的にプラズマを生じさせることにより、基板の端部領域にできるパーチクル及び薄膜を除去することができる。
【0021】
また、基板の上部中心領域にカーテンの役割を果たすガスを吹き付けて、基板と電極との間で生じたプラズマが基板の上部中心領域に流れ込む現象を防ぐことができる。
さらに、電極の側面と基板との間にバリア膜を形成して、プラズマが基板の上部中心領域に流れ込むことを物理的に防ぐことができ、しかも、基板の上部中心でのプラズマの生成を防ぐことができる。
【0022】
さらにまた、大気圧近くで且つ常温の状態でプラズマを生じさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。しかし、本発明は後述する実施の形態に限定されるものではなく、相異なる形で実現可能であり、これらの実施の形態は、単に本発明の開示を完全たるものにし、且つ、この技術分野における通常の知識を持った者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。なお、図中、同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0024】
図2は、本発明の一実施の形態によるプラズマエッチング装置の概念断面図であり、図3は、図2におけるA領域の拡大断面図であり、そして図4は、この実施の形態の変形例による、図2におけるA領域の拡大断面図である。
【0025】
図2及び図3を参照すると、この実施の形態によるプラズマエッチング装置は、チャンバー10と、基板30が載置される基板支持台20と、前記基板30の端部に隣り合うように配設された電極42、44と、前記電極42、44の表面の少なくとも一部に形成された誘電膜52、54と、前記電極42、44と基板支持台20との間に電位差を与えるための電源手段80と、を備える。
【0026】
また、この実施の形態においては、チャンバー10の一側に、基板30を出納自在(搬出及び搬入自在の意。以下、同じ。)にする別途の出入口(図示せず)が形成されている。そして、基板支持台20が昇降自在であって前記基板30が出納し易くなるように、前記基板支持台20の下部に基板支持台の駆動部21をさらに設ける。要するに、出入口を介して基板30が搬入され、基板支持台の駆動部21により基板支持台20が上昇して搬入された基板30を基板支持台20の上に載置する。
【0027】
また、この実施の形態によるプラズマエッチング装置は、エッチング時に生じるパーチクルなどの反応副産物とガスを排気するための排気部70をさらに備える。この実施の形態においては、排気部70は、図示のごとく、基板支持台20の両側の下部領域に形成されていることが好ましい。さらに、前記電源手段80は、RF(radio frequency)電源を生成するRF電源生成部82と、RF電源生成部82と基板支持台20との間に接続されて、これらの電源の整合を取るための整合手段84と、を備える。このため、RF電源はRF電源生成部82において生成され、整合手段84を介して基板支持台20に印加される。
【0028】
前記電極42、44は基板30の端部に対応して配設され、前記電極42、44と基板30の端部との間隔が前記チャンバー10の上壁と基板30との距離よりも小さくなるように配設されることが好ましい。そして、前記電極42、44は一体に形成されてもよく、基板30の搬入と搬出を容易にする目的で別体に形成されてもよい。
この実施の形態によるプラズマエッチング装置においては、基板の端部領域を取り囲むために、電極が2つに分離されて接続される。すなわち、基板30の上面周縁部領域と、側面領域及び下面周縁部領域のパーチクル及び薄膜をプラズマを用いてエッチングするために、基板30の上面周縁部領域の上部に第1の電極42が配設され、基板30の下面周縁部領域の下部に第2の電極44が配設される。このように、第1及び第2の電極42、44と基板30が重なり合う領域においてプラズマが生じる。ここで、第1及び第2の電極42、44の表面には、誘電体膜52、54が形成されていることが好ましい。
【0029】
前記第1の電極42は基板30と同じ形状に製作するが、この実施の形態においては、中空の円形帯状に製作することが好ましい。第1の電極42と基板30が重なり合う領域(基板の端部)の幅は、基板30の上部に素子形成用のパターンが形成されていない領域の幅と同じであることが有効である。また、整列キーが形成される領域の幅と同幅をもって重なり合うことが好ましい。このとき、基板30の端部とは、基板の端から内方に向けて0.5〜4mmの範囲にある領域をいう。
【0030】
ここで、第1の電極42内には、ガス流路41aとガス噴射ノズル41bが形成されている。これにより、外部より注入された反応ガスを電極42、44とエッチング対象となる基板30との間の領域に吹き付けることができる。このとき、反応ガスとしては、Ar、CFなどが用いられる。基板30の端部領域、すなわち、重なり合う領域における前記第1の電極42と基板30との距離(図3におけるT1)は0.1〜5mmであることが好ましく、1〜1.5mmであることがさらに好ましい。これは、本発明のプラズマエッチング装置は大気圧近くで工程が行われるため、電位差を持つ基板30と第1の電極42との距離が前記範囲から外れる場合、プラズマが生じなくなるためである。
【0031】
前記第2の電極44は、チャンバー10の内壁から延設して中空の板状に製作されることが好ましい。この中空の中心領域に基板30の載置のための基板支持台20が位置する。図示のごとく、第2の電極44と基板支持台20は、互いに隔てていることが好ましい。この離隔領域を介して工程副産物やガスが排気部70に抜け出る。このとき、第2の電極44と基板支持台20との離隔間隔(図3におけるT3)は、0.1mm〜100mmであることが好ましい。第2の電極44と基板30が重なり合う領域に誘電体膜52、54が形成されている。第2の電極44は、第1の電極42と対応する長さに形成されることが好ましい。これにより、基板30の下部に形成されている薄膜またはパーチクルを効率よく除去することが可能になる。前記重なり合う領域における第2の電極44と基板30との距離(図3におけるT2)は、0.1〜5.0mmであることが好ましく、1〜1.5mmであることがさらに好ましい。
【0032】
前記第1及び第2の電極42、44は、導電性フレーム60により物理的及び電気的に接続可能である。この実施の形態においては、第1の電極42は、上下動をする導電性フレーム60に結合されていることが好ましい。これにより、基板30がチャンバー10の内部に搬入される場合、導電性フレーム60が上昇して基板支持台20の上に基板30が載置され、その後、導電性フレーム60が下降して第2の電極44と接続され、その結果、第1及び第2の電極42、44を同じ電位レベルにできる。
【0033】
もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の電極44と導電性フレーム60を一体に製作した後、第1の電極42を導電性フレーム60に結合してこれらを同じ電位レベルにしてもよい。このとき、第1の電極42が固定され、一体に形成された第2の電極44と導電性フレーム60が上下動をして基板30の搬入を容易にしてもよく、一体に形成された第2の電極44と導電性フレーム60が固定され、第1の電極42が上下動をして基板30の搬入を容易にしてもよい。また、第1の電極42、第2の電極44及び導電性フレーム60を導電性の物質により一体に形成して、これらを同じ電位レベルにしてもよい。さらに、第1の電極42と導電性フレーム60がチャンバー10と接続され、このチャンバー10により第1の電極42、第2の電極44及び導電性フレーム60が同じ電位を維持してもよい。本発明はこれらの方法に限定されるものではなく、第1の電極42、第2の電極44及び導電性フレーム60を同じ電位に維持できる方法であれば、いかなる方法も採用可能である。
【0034】
また、図2に示すように、チャンバーの側壁61の内下端に第1の電極42と第2の電極44が接続される。チャンバーの上壁62は側壁61の上部領域に形成されて、基板30と一定以上の間隔を隔てている。すなわち、側壁61と基板支持台20によりプラズマが生じないほどの距離以上を隔てている。前記側壁61は中空の円筒状をしていてもよく、円筒の内部の上層に円板状の上壁62が配設されていてもよい。もちろん、側壁61は、複数の円柱または多角柱に製作されてもよく、これらの複数の円柱及び多角柱が円板状または多角板状の上壁62により繋がっていてもよい。
【0035】
そして、上述したように、前記側壁61が所定の厚さの壁を持つ中空の筒状に設けられる場合、前記側壁61内には多数のガス管63、64が形成され、上壁62内には、カーテンガス流路65aと、カーテンガス噴射ノズル65bが形成される。ここで、側壁61に形成された第1ガス管63は第1の電極42のガス流路41aに接続されて反応ガスを供給し、側壁61に形成された第2のガス管64は上壁62の内部に形成されたカーテンガス流路65aと連通されて、カーテンガス噴射ノズル65bを介して上壁62の下部に所定以上の距離だけ隔てて配設された基板30に非反応性のガスを吹き付ける。この非反応性のガスは、基板の未エッチング領域を保護するためのガスカーテンの役割を果たす。本発明はこれに限定されるものではなく、側壁61の側面、すなわち、第1の電極42の領域にガスを吹き付けてもよく、第2の電極44の領域にガスを吹き付けてもよい。
【0036】
これにより、図3に示すように、第1の電極42、第2の電極44により略「コ」状のプラズマ生成空間が形成される。
【0037】
このとき、この実施の形態においては、第1及び第2の電極42、44に接地電位を印加し、基板支持台20にはRF電源を印加して前記プラズマ生成空間にプラズマを生じさせる。すなわち、接地された電極42、44の表面は絶縁体で覆われており、DBDの形でRF電源が基板支持台20を介して基板30に印加されると、基板30と接地された電極42、44との間の領域でのみプラズマが生じる。このとき、チャンバー10内の気圧:10〜1000Torr、内部温度:15〜40℃の条件下でプラズマが生じる。好ましくは、チャンバー10内の気圧は、700〜800Torrである。このように、本発明は、常温下、大気圧近くで工程を行うことができ、しかも、電極42、44の表面の誘電体膜52、54によりアークが生じなくなる。また、基板30の中心領域の上部、すなわち、パターンが形成された基板30の中心とこれより離れている上壁62との領域ではプラズマが生じることがない。これは、DBDを用いて大気圧近くでプラズマを生じさせるためには、電位差を持つ2種類の物質同士の距離を一定の範囲内に留める必要があるためである。これにより、基板30の中心領域の上部には所定の空間が形成され、その結果としてプラズマが生じない。
【0038】
本発明においては、プラズマ生成空間からのプラズマが基板30の中心領域に流れ込むことを防ぐために、基板30の中心領域の上部の上壁62に形成されたカーテンガス噴射ノズル65bを介して基板30の上部に非反応ガスを吹き付ける。これにより、基板30の上部領域の圧力をプラズマ生成空間の圧力よりも高くして、プラズマ生成空間からの副産物がパターンの形成された基板30の中心領域に流れ込むことを防ぐことができる。また、第2の電極42の下部に排気部70を設けて、基板30の下部領域の圧力をプラズマ生成空間の圧力よりも低くし、プラズマ生成空間からの副産物を基板30の下部領域に排気することができる。すなわち、図2の点線のようなガスの流れが生じ、パターンの形成された基板30の中心領域への副産物の流入を抑えることが可能になる。
【0039】
本発明は、プラズマのエッチング率を高めるために、別途の磁場の形成のための磁界形成手段90をさらに備えてもよい。すなわち、図4に示すように、磁界形成手段90により電磁石または永久磁石を第2の電極44の下部に配設してプラズマ生成領域に磁界を印加する。このため、プラズマの活性電子は、磁界形成手段90により形成された磁界に沿って移動する。ここで、磁界形成手段90は、第2の電極44の下部の少なくとも一部の領域に形成される。好ましくは、第2の電極44に沿って円環状の帯状に形成されることが好ましい。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、磁界形成手段90は、第1の電極42に形成されてもよく、導電性フレーム60に形成されても良い。
【0040】
以上、DBDを用いた大気圧放電を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、高圧のCCP放電を用いても良い。
【0041】
また、本発明によるプラズマエッチング装置は、電極の側面にバリア膜を形成して電極の側面と基板との間の電子放電を防ぐことができる。以下、図面に基づき、本発明の他の実施の形態によるプラズマエッチング装置について説明する。以下では、上述した実施の形態と重複する説明は省く。
【0042】
図5は、本発明の他の実施の形態によるプラズマエッチング装置の概念断面図であり、図6は、図5におけるA領域の拡大断面図である。
【0043】
図5及び図6を参照すると、この実施の形態によるプラズマエッチング装置は、エッチング空間を持つチャンバー110と、エッチング対象となる基板130が載置される基板支持台120と、前記基板130の端部領域に隣り合うように配設された電極142、144と、前記基板130の上部中心領域と所定の間隔を隔ててカーテンガスを前記基板130の上部に吹き付けるカーテンガス噴射手段190と、電極142、144と基板支持台120との間に電位差を与えるための電源手段180と、前記電極142、144の側面に形成されたバリア膜200と、を備える。
【0044】
前記基板130と接する領域の電極142、144の表面には誘電体膜152、154が形成され、電極142の内部にはガス供給流路141aと噴射ノズル141bが形成されていて、基板130と隣り合う領域内にガスを吹き付ける。
【0045】
この実施の形態においては、基板130の上周縁部領域と隣り合う第1の電極142と、基板130の下部領域と隣り合う第2の電極144とに分離される。ここで、第1の電極142は導電性フレーム160に接続されていてもよく、導電性フレーム160の上下動により第1の電極142と基板130との隣接距離を調節可能であるほか、基板130の搬入と搬出時に基板130が第1の電極142に衝突する現象を防ぐことができる。一方、基板支持台120もまた、上下動により第1の電極142と基板130との隣接距離はもとより、第2の電極144と基板130との隣接距離を調節することが可能になる。ここで、隣接距離は、0.1〜5mm以内であることが好ましい。これにより、基板支持台120に印加された電位は基板130に伝わり、基板130と基板の端部に隣り合うように配設された電極142、144との間の電位差によりその間の領域、すなわち、プラズマ生成領域においてプラズマ生じる。このとき、この実施の形態においては、図6に示すように、電極142、144には接地電源を印加し、基板支持台120にはRF電源を印加する。そして、チャンバー100内の気圧:大気圧近くの700〜800Torr、内部温度:15〜40℃の条件下でプラズマが生じる。
【0046】
以上において、基板130の端部のプラズマ生成領域からのプラズマがチャンバー100の中心領域まで拡散する場合、このプラズマにより基板の上部に形成された薄膜パターンが損傷されることがある。そこで、この実施の形態においては、基板130の上部中心領域、すなわち、チャンバー100の上部領域にカーテンガス噴射手段190を設けてカーテンガスを吹き付け、チャンバー100の下部領域に排気部170を設けてチャンバー100の内部のガスを外部に排気する。これにより、基板130の上部に吹き付けられたカーテンガスは、基板130の上周縁部部、及び基板130の下部を通してチャンバー100の外部に排気され、プラズマがチャンバーの上部領域に拡散することが防がれる。前記カーテンガス噴射手段190としては、シャワーヘッドが用いられる。
【0047】
また、電極142、144の側面にバリア膜200を形成して、電極142、144の側面と基板130との間の電位差により生じうるプラズマを遮断することができる。バリア膜200にセラミックなどの絶縁性物質を用いると、電極142、144の側面と基板130との間の電位差が大幅に低下する。例えば、電極142、144の側面と基板130との間の電位差が10V以上となる場合、絶縁性のバリア膜200を電極の側面に形成すると、両者間の電位差が1V以下に低下し、プラズマの生成を防ぐことができる。そして、バリア膜200を電極142、144の側面から基板130に向けて延設して物理的にプラズマ生成領域(基板の端部)からのプラズマが基板130の中心領域に拡散することを防ぐ。このため、前記バリア膜200を第1の電極142の側面に形成することが好適であり、バリア膜200と基板130との間隔は約0.1〜5mm以内にすることが好適である。バリア膜200と基板130との間隔を0.3〜0.5mm以内にすれば、プラズマの拡散を物理的に遮断することができて一層効果的である。そして、バリア膜200の厚さは、0.3〜10mmであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の基板の問題点を説明するための基板の概念断面図。
【図2】本発明の一実施の形態によるプラズマエッチング装置の概念断面図。
【図3】図2におけるA領域の拡大断面図。
【図4】この実施の形態の変形例による図2におけるA領域の拡大断面図。
【図5】本発明の他の実施の形態によるプラズマエッチング装置の概念断面図。
【図6】図5におけるA領域の拡大断面図。
【符号の説明】
【0049】
10、110:チャンバー
20、120:基板支持台
30、130:基板
42、44、142、144:電極
60:導電性フレーム
70、170:排気口
80、190:電源手段
90:磁界形成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバー内に設けられると共に、基板を位置付ける基板支持台と、
前記基板の端部に対応し、前記基板の端部との間隔が、前記チャンバーの上壁と前記基板との間隔よりも小さい電極と、
前記基板支持台に電源を印加する電源手段と、を備えるプラズマエッチング装置。
【請求項2】
前記基板の端部は、0.5〜4mmである請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項3】
前記基板とチャンバーの上壁との間隔は、30〜50mmである請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項4】
前記電極は、
前記基板の上端部に位置する第1の電極と、
前記基板の下端部に位置する第2の電極と、を備える請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項5】
前記電極と前記基板との間隔は、0.1〜5mmであるか、あるいは、1〜1.5mmである請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項6】
前記電極の表面に誘電膜が形成されている請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項7】
前記誘電膜と前記基板との間隔は、0.1〜5mmである請求項5に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項8】
前記基板と対応する前記チャンバーの上壁に非反応性のガスを吹き付ける非反応ガスの噴射ノズルが設けられている請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項9】
前記電極に反応ガスを吹き付ける反応ガスの噴射ノズルが設けられている請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項10】
前記基板支持台が昇降可能であって前記基板が出納自在に、前記基板支持台の下部に前記基板支持台の駆動部が設けられている請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項11】
前記チャンバー内の圧力は、10〜1,000Torrまたは700〜800Torrに維持する請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項12】
前記電極の下部に磁界形成手段がさらに設けられている請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項13】
前記電極の側面にバリア膜が形成されている請求項1に記載のプラズマエッチング装置。
【請求項14】
前記バリア膜は、前記電極の側面から前記基板に向かって延設され、前記バリア膜と前記基板との間隔が0.1〜5mmである請求項12に記載のプラズマエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−43149(P2007−43149A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203033(P2006−203033)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(504210651)チュサン エンジニアリング コー リミテッド (7)
【Fターム(参考)】