説明

プラズマディスプレイパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置

【課題】プラズマディスプレイパネルにおける表示画像の残像現象を軽減し、画像表示品質を向上する。
【解決手段】維持期間において、1つのピークを持つ発光を放電セルで発生する第1の維持パルスと、2つのピークを持つ発光を放電セルで発生する第2の維持パルスとの2種類の維持パルスを発生し、全セル点灯率をサブフィールド毎に検出するとともに部分点灯率をサブフィールド毎に検出し、検出した部分点灯率を領域間で互いに比較して部分点灯率が他の領域よりも大となる最大値領域をサブフィールド毎に検出し、全セル点灯率および最大値領域にもとづき、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの発生パターンを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成されている。そして、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極が形成され、それらデータ電極を覆うように誘電体層が形成され、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁が形成されている。そして、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とを対向配置して密封する。密封された内部の放電空間には、例えば分圧比で5%のキセノンを含む放電ガスを封入し、表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルを形成する。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生し、この紫外線で赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の蛍光体を励起発光してカラー表示を行う。
【0003】
パネルを駆動する方法としては一般にサブフィールド法が用いられている。サブフィールド法では、1回の発光で得られる明るさを制御するのではなく、単位時間(例えば、1フィールド)に発生する発光の回数を制御することで明るさを調整する。そのため、サブフィールド法では、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、それぞれのサブフィールドで各放電セルを発光または非発光にすることにより階調表示を行う。各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
【0004】
初期化期間では、各走査電極に初期化波形を印加し、各放電セルで初期化放電を発生する。これにより、各放電セルにおいて、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成するとともに、書込み放電を安定して発生するためのプライミング粒子(書込み放電を発生させるための励起粒子)を発生する。
【0005】
書込み期間では、走査電極に走査パルスを印加するとともに、データ電極には表示すべき画像信号にもとづき書込みパルスを印加する。そうして、発光を行うべき放電セルに書込み放電を発生し、壁電荷を形成する(以下、この動作を「書込み」とも記す)。
【0006】
維持期間では、サブフィールド毎に定められた数の維持パルスを走査電極と維持電極とからなる表示電極対に交互に印加する。これにより、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生し、その放電セルの蛍光体層を発光させる。これにより、各放電セルを、サブフィールド毎に定められた輝度重みに応じた輝度で発光させる。このようにして、パネルの各放電セルを画像信号の階調値に応じた輝度で発光させて、画像表示領域に画像を表示する。
【0007】
このサブフィールド法では、例えば次のような駆動方法により、階調表示に関係しない発光を極力減らして、表示画像のコントラスト比を高めることが可能である。複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間においては全ての放電セルに初期化放電を発生する全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間においては直前の維持期間で維持放電を発生した放電セルにのみ初期化放電を発生する選択初期化動作を行う。こうすることで、維持放電を発生しない黒を表示する領域の輝度(以下、「黒輝度」と略記する)は全セル初期化動作における微弱発光だけとなり、コントラストの高い画像表示が可能となる。
【0008】
また、表示電極対のそれぞれが表示電極対間に生じる電極間容量を有する容量性の負荷であることに着目し、インダクタを構成要素に含む共振回路を用いた電力回収回路を維持パルスの発生回路として用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術を用いると、インダクタと電極間容量とをLC共振させ、電極間容量に蓄えられた電荷を電力回収用のコンデンサに回収し、回収した電荷を表示電極対の駆動に再利用することができる。したがって、表示電極対に維持パルスを印加する際の消費電力を削減することができる。
【0009】
また、パネルの発光効率を向上するための様々な取り組みがなされている。パネルの発光効率が向上すれば、パネルの輝度を高めて画像表示品質を向上することができる。
【0010】
例えば、放電ガスにおけるキセノンの分圧比を高めることで、パネルの発光効率を高めることができる。しかし、キセノンの分圧比を高めると、放電セルに維持放電を発生する際に、放電セル間での放電発生のタイミングのバラツキが大きくなることが確認されている。そして、このバラツキが大きくなると、維持放電による発光の強度に放電セル毎のバラツキが生じ、パネルに表示する輝度が不均一になりやすいことも確認されている。そこで、パネルに表示する輝度を均一にするために、複数回に1回の割合で立ち上がりの急峻な維持パルスを発生して、放電発生のタイミングのバラツキを低減する駆動方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、放電ガスにおけるキセノンの分圧比を高めると、パネルに静止画像を長時間表示させた後で輝度の高い画像を表示したときに、その静止画像が残像として表示される、いわゆる残像現象が発生しやすくなるという問題も生じる。そこで、残像が発生しやすい画像がパネルに表示されたときに、画像の表示位置を移動して、残像現象を軽減する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公平7−109542号公報
【特許文献2】特開2005−338120号公報
【特許文献3】特開平8−248934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献3に記載された技術を用いれば、画像の表示位置を移動することで使用者に残像を見えにくくし、残像が使用者に認識される程度を軽減することができる。しかし、残像現象そのものが低減されるわけではなく、また、画像の表示位置が移動するため、画像信号に忠実な画像をパネルに表示できない可能性があった。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減して画像表示品質を向上することができるパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のパネルの駆動方法は、走査電極と維持電極とからなる表示電極対およびデータ電極を有する放電セルを複数備えたパネルを、書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて駆動するパネルの駆動方法であって、維持期間において、1つのピークを持つ発光を放電セルで発生する第1の維持パルスと、2つのピークを持つ発光を放電セルで発生する第2の維持パルスとの2種類の維持パルスを発生し、パネルの画像表示面に設けられた全ての放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を全セル点灯率としてサブフィールド毎に検出し、パネルの表示領域を複数の領域に分け、領域毎に、放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を部分点灯率としてサブフィールド毎に検出し、検出した部分点灯率を領域間で互いに比較して部分点灯率が他の領域よりも大となる最大値領域を検出し、全セル点灯率および最大値領域にもとづき、第1の維持パルスと第2の維持パルスとの発生パターンを制御することを特徴とする。
【0016】
これにより、パネルの特性と表示画像とに応じた適切な発生パターンで第1の維持パルスと第2の維持パルスとを発生することが可能となるので、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減して画像表示品質を向上することができる。
【0017】
また、このパネルの駆動方法においては、全セル点灯率および最大値領域にもとづき、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち上がり期間を制御してもよい。これにより、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【0018】
また、このパネルの駆動方法においては、全セル点灯率および最大値領域にもとづき、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち下がり期間を制御してもよい。これにより、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【0019】
また、このパネルの駆動方法においては、連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間を、全セル点灯率および最大値領域にもとづき制御してもよい。これにより、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【0020】
また、このパネルの駆動方法においては、第1の維持パルスと第2の維持パルスとの発生パターンと、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち上がり期間と、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち下がり期間と、連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間とが異なる複数の駆動パターンを設定し、全セル点灯率および最大値領域にもとづきいずれかの駆動パターンを選択して維持パルスを発生してもよい。これにより、パネルの特性と表示画像とに応じた適切な発生パターンで第1の維持パルスと第2の維持パルスとを発生することが可能となり、さらに、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減するとともに残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【0021】
また、本発明のプラズマディスプレイ装置は、走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備え、書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて駆動するパネルと、維持期間において、1つのピークを持つ発光を放電セルで発生する第1の維持パルスと、2つのピークを持つ発光を放電セルで発生する第2の維持パルスとの2種類の維持パルスを発生する維持パルス発生回路と、パネルの画像表示面に設けられた全ての放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を全セル点灯率としてサブフィールド毎に検出する全セル点灯率検出回路と、パネルの表示領域を複数の領域に分け、領域毎に、放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を部分点灯率としてサブフィールド毎に検出する部分点灯率検出回路と、部分点灯率検出回路において検出した部分点灯率を領域間で互いに比較して部分点灯率が他の領域よりも大となる最大値領域を検出する最大値領域検出回路とを備え、維持パルス発生回路は、全セル点灯率検出回路における検出結果および最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、第1の維持パルスと第2の維持パルスとの発生パターンを変更することを特徴とする。
【0022】
これにより、パネルの特性と表示画像とに応じた適切な発生パターンで第1の維持パルスと第2の維持パルスとを発生することが可能となるので、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減して画像表示品質を向上することができる。
【0023】
また、このプラズマディスプレイ装置における維持パルス発生回路は、全セル点灯率検出回路における検出結果および最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち上がり期間を変更する構成であってもよい。これにより、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【0024】
また、このプラズマディスプレイ装置における維持パルス発生回路は、全セル点灯率検出回路における検出結果および最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち下がり期間を変更する構成であってもよい。これにより、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【0025】
また、このプラズマディスプレイ装置における維持パルス発生回路は、連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間を、全セル点灯率検出回路における検出結果および最大値領域検出回路における検出結果にもとづき変更する構成であってもよい。これにより、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【0026】
また、このプラズマディスプレイ装置における維持パルス発生回路は、全セル点灯率検出回路における検出結果および最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、第1の維持パルスと第2の維持パルスとの発生パターンと、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち上がり期間と、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの立ち下がり期間と、連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間とが異なる複数の駆動パターンのうちのいずれかの駆動パターンを選択して維持パルスを発生する構成であってもよい。これにより、パネルの特性と表示画像とに応じた適切な発生パターンで第1の維持パルスと第2の維持パルスとを発生することが可能となり、さらに、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減するとともに残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質をより向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減して画像表示品質を向上することができるパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態におけるパネルの構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるパネルの電極配列図である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるパネルの各電極に印加する駆動電圧波形の一例を示す波形図である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の一構成例を示す回路ブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態における部分点灯率を検出する領域の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施の形態における維持パルス発生回路の一構成例を示す回路図である。
【図7】本発明の一実施の形態における維持パルス発生回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態における第1の維持パルスの波形形状と第1の維持パルスにより生じる発光の様子を模式的に示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態における第2の維持パルスの波形形状と第2の維持パルスにより生じる発光の様子を模式的に示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態における全セル点灯率および最大値領域と駆動パターンとの関係の一例を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施の形態における各駆動パターンの一例を示す図である。
【図12】本発明の一実施の形態における駆動パターンの一例を示す波形図である。
【図13】本発明の一実施の形態における駆動パターンの他の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
【0030】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。
【0031】
また、保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、パネルの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料で形成されている。
【0032】
背面板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
【0033】
これら前面板21と背面板31とを、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置する。そして、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着する。そして、内部の放電空間には、ネオンとキセノンの混合ガスを放電ガスとして封入する。なお、本実施の形態では、発光効率を向上するためにキセノン分圧を約10%にした放電ガスを用いている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルを放電、発光することによりパネル10に画像を表示する。
【0034】
パネル10においては、表示電極対24が延伸する方向に配列された連続する3つの放電セル、すなわち、赤色(R)に発光する放電セル、緑色(G)に発光する放電セル、青色(B)に発光する放電セルで1つの画素が構成される。
【0035】
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの混合比率も上述した数値に限られるわけではなく、その他の混合比率であってもよい。
【0036】
図2は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして、m×n個の放電セルが形成された領域がパネル10の画像表示領域となる。例えば、画素数が1920×1080個のパネルでは、m=1920×3となり、n=1080となる。
【0037】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について説明する。なお、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法によって階調表示を行う。サブフィールド法では、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。そして、各サブフィールドに輝度重みをそれぞれ設定し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御する。
【0038】
各サブフィールドにおいて、初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する。加えて、放電遅れを小さくし書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(放電のための起爆剤=励起粒子)を発生する。このときの初期化動作には、全ての放電セルに初期化放電を発生する全セル初期化動作と、直前の維持期間で維持放電を発生した放電セルに対して選択的に初期化放電を発生する選択初期化動作とがある。以下、全セル初期化動作を行うサブフィールドを「全セル初期化サブフィールド」と呼称し、選択初期化動作を行うサブフィールドを「選択初期化サブフィールド」と呼称する。
【0039】
書込み期間では、後に続く維持期間において発光させるべき放電セルだけに選択的に書込み放電を発生し、その放電セルに壁電荷を形成する。そして維持期間では、輝度重みに比例定数を乗算した数の維持パルスを発生して表示電極対24に交互に印加する。このときの比例定数を「輝度倍率」と呼称する。こうして、書込み放電を発生した放電セルで輝度重みに応じた数の維持放電を発生し、その放電セルを輝度重みに応じた輝度で発光させる。
【0040】
本実施の形態では、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)で構成し、時間的に後のサブフィールドほど輝度重みが大きくなるように、各サブフィールドはそれぞれ(1、2、3、6、11、18、30、44、60、80)の輝度重みを有する構成とする例を説明する。
【0041】
そして、本実施の形態では、第1SFを全セル初期化サブフィールドとし、第2SF〜第10SFを選択初期化サブフィールドとする。これにより、画像の表示に関係のない発光は第1SFにおける全セル初期化動作の放電にともなう発光のみとなる。したがって、維持放電を発生しない黒表示領域の輝度である黒輝度は、全セル初期化動作における微弱発光だけとなり、パネル10に表示する画像のコントラスト比を向上することが可能となる。
【0042】
なお、本実施の形態は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではない。また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切換える構成であってもよい。
【0043】
本実施の形態では、後述する全セル点灯率検出回路においてサブフィールド毎に全セル点灯率を検出するとともに、後述する部分点灯率検出回路においてサブフィールド毎に部分点灯率を検出する。そして、後述する最大値領域検出回路において部分点灯率が他の領域よりも大となる領域の位置を「最大値領域」として検出し、その検出結果に応じて、維持パルスを制御する。維持パルスを制御する際には、維持パルスを立ち上げるために後述する電力回収回路を動作させる期間(以下、「立ち上がり期間」と呼称する)の長さ、維持パルスを立ち下げるために電力回収回路を動作させる期間(以下、「立ち下がり期間」と呼称する)の長さ、維持パルスの立ち上がり期間と立ち下がり期間とを重複させる期間(以下、「重複期間」と呼称する)の長さ、後述する第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの発生パターン(以下、「パルス配列」と呼称する)を制御する。
【0044】
これにより、表示画像の残像現象を軽減しつつ維持放電を安定に発生して、パネル10の画像表示品質を向上する。この制御方法の詳細については後述するが、以下、まず駆動電圧波形の概要および駆動回路の構成について説明する。続いて、全セル点灯率検出回路および最大値領域検出回路における検出結果に応じて「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」および「パルス配列」を制御する方法について説明する。
【0045】
図3は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。図3には、書込み期間において最初に書込み動作を行う走査電極SC1、書込み期間において最後に書込み動作を行う走査電極SCn(例えば、走査電極SC1080)、維持電極SU1〜維持電極SUn、およびデータ電極D1〜データ電極Dmの駆動電圧波形を示す。
【0046】
また、図3には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形を示す。この2つのサブフィールドは、全セル初期化サブフィールドである第1サブフィールド(第1SF)と、選択初期化サブフィールドである第2サブフィールド(第2SF)である。なお、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形は、維持期間における維持パルスの発生数が異なる以外は第2SFの駆動電圧波形とほぼ同様である。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中から画像データ(サブフィールド毎の発光・非発光を示すデータ)にもとづき選択された電極を表す。
【0047】
まず、全セル初期化サブフィールドである第1SFについて説明する。
【0048】
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜データ電極Dm、維持電極SU1〜維持電極SUnには、それぞれ0(V)を印加する。走査電極SC1〜走査電極SCnには、電圧Vi1を印加する。電圧Vi1は、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧未満の電圧に設定する。さらに、走査電極SC1〜走査電極SCnに、電圧Vi1から電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜電圧を印加する。以下、この傾斜電圧を、「上りランプ電圧L1」と呼称する。電圧Vi2は、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧を超える電圧に設定する。なお、この上りランプ電圧L1の勾配の一例として、約1.3V/μsecという数値を挙げることができる。
【0049】
この上りランプ電圧L1が上昇する間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間に、それぞれ微弱な初期化放電が持続して発生する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜データ電極Dm上部および維持電極SU1〜維持電極SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。この電極上部の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
【0050】
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜維持電極SUnには正の電圧Ve1を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を印加する。走査電極SC1〜走査電極SCnには、電圧Vi3から負の電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜電圧を印加する。以下、この傾斜電圧を、「下りランプ電圧L2」と呼称する。電圧Vi3は、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧未満となる電圧に設定し、電圧Vi4は放電開始電圧を超える電圧に設定する。なお、この下りランプ電圧L2の勾配の一例として、例えば、約−2.5V/μsecという数値を挙げることができる。
【0051】
走査電極SC1〜走査電極SCnに下りランプ電圧L2を印加する間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間に、それぞれ微弱な初期化放電が持続して発生する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜維持電極SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜データ電極Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。以上により、全ての放電セルに対して初期化放電を発生する全セル初期化動作が終了する。
【0052】
続く書込み期間では、走査電極SC1〜走査電極SCnに対しては、順次走査パルス電圧Vaを印加する。本実施の形態では、走査電極SC1から走査電極SCnに向かって順に走査パルス電圧Vaを印加するものとして説明を行う。データ電極D1〜データ電極Dmに対しては、発光するべき放電セルに対応するデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。こうして、各放電セルに選択的に書込み放電を発生する。
【0053】
具体的には、まず維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnに電圧Vc(電圧Vc=電圧Va+電圧Vsc)を印加する。
【0054】
そして、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加するとともに、データ電極D1〜データ電極Dmのうちの1行目において発光するべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。このときデータ電極Dkと走査電極SC1との交差部の電圧は、外部印加電圧の差(電圧Vd−電圧Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。これによりデータ電極Dkと走査電極SC1との電位差が放電開始電圧を超え、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生する。
【0055】
また、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を印加しているため、維持電極SU1と走査電極SC1との電位差は、外部印加電圧の差である(電圧Ve2−電圧Va)に維持電極SU1上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。このとき、電圧Ve2を、放電開始電圧をやや下回る程度の電圧値に設定することで、維持電極SU1と走査電極SC1との間を、放電には至らないが放電が発生しやすい状態とすることができる。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に発生する放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電を発生することができる。こうして、発光するべき放電セルに書込み放電が発生し、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
【0056】
このようにして、1行目において発光するべき放電セルで書込み放電を発生して各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作を行う。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜データ電極Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで行い、書込み期間が終了する。
【0057】
続く維持期間では、輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルに維持放電を発生し、その放電セルを発光させる。
【0058】
この維持期間では、まず走査電極SC1〜走査電極SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加するとともに維持電極SU1〜維持電極SUnにベース電位となる接地電位、すなわち0(V)を印加する。書込み放電を発生した放電セルでは、走査電極SCiと維持電極SUiとの電位差が、維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなる。これにより、走査電極SCiと維持電極SUiとの電位差が放電開始電圧を超え、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が発生する。そして、この放電により発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が発生しなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
【0059】
続いて、走査電極SC1〜走査電極SCnにはベース電位となる0(V)を、維持電極SU1〜維持電極SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。維持放電を発生した放電セルでは、維持電極SUiと走査電極SCiとの電位差が放電開始電圧を超える。これにより、再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が発生し、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され、走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに、輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを交互に印加することで、書込み期間において書込み放電を発生した放電セルで維持放電が継続して発生する。
【0060】
そして、維持期間における維持パルスの発生後に、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を印加したまま、走査電極SC1〜走査電極SCnに、0(V)から電圧Versに向かって緩やかに上昇する傾斜電圧を印加する。以下、この傾斜電圧を、「消去ランプ電圧L3」と呼称する。
【0061】
消去ランプ電圧L3は、上りランプ電圧L1よりも急峻な勾配に設定する。消去ランプ電圧L3の勾配の一例として、例えば、約10V/μsecという数値を挙げることができる。電圧Versを放電開始電圧を超える電圧に設定することにより、維持放電を発生した放電セルの維持電極SUiと走査電極SCiとの間で、微弱な放電が発生する。この微弱な放電は、走査電極SC1〜走査電極SCnへの印加電圧が放電開始電圧を超えて上昇する期間、持続して発生する。そして、上昇する電圧があらかじめ定めた電圧Versに到達したら、走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する電圧をベース電位となる0(V)まで下降する。
【0062】
このとき、この微弱な放電で発生した荷電粒子は、維持電極SUiと走査電極SCiとの電位差を緩和するように、維持電極SUi上および走査電極SCi上に蓄積される。したがって、維持放電が発生した放電セルにおいて、走査電極SC1〜走査電極SCn上と維持電極SU1〜維持電極SUn上との間の壁電圧は、走査電極SCiに印加した電圧と放電開始電圧の差、すなわち(電圧Vers−放電開始電圧)の程度まで弱められる。これにより、維持放電が発生した放電セルにおいて、データ電極Dk上の正の壁電荷を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の、壁電圧の一部または全部が消去される。すなわち、消去ランプ電圧L3によって発生する放電は、維持放電が発生した放電セル内に蓄積された不要な壁電荷を消去する「消去放電」として働く。以下、消去ランプ電圧L3によって発生する維持期間の最後の放電を「消去放電」と呼称する。
【0063】
その後、走査電極SC1〜走査電極SCnの印加電圧を0(V)に戻し、維持期間における維持動作が終了する。
【0064】
第2SFの初期化期間では、第1SFにおける初期化期間の前半部を省略した駆動電圧波形を各電極に印加する。維持電極SU1〜維持電極SUnには電圧Ve1を、データ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を、それぞれ印加する。走査電極SC1〜走査電極SCnには放電開始電圧未満となる電圧(例えば、0(V))から放電開始電圧を超える負の電圧Vi4に向かって緩やかに下降する下りランプ電圧L4を印加する。この下りランプ電圧L4の勾配の一例として、例えば、約−2.5V/μsecという数値を挙げることができる。
【0065】
これにより、直前のサブフィールド(図3では、第1SF)の維持期間で維持放電を発生した放電セルでは微弱な初期化放電が発生する。そして、走査電極SCi上部および維持電極SUi上部の壁電圧が弱められ、データ電極Dk(k=1〜m)上部の壁電圧も書込み動作に適した値に調整される。一方、直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を発生しなかった放電セルでは初期化放電は発生しない。このように、第2SFにおける初期化動作は、直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を発生した放電セルに対して初期化放電を発生する選択初期化動作となる。
【0066】
第2SFの書込み期間および維持期間では、維持パルスの発生数を除き、各電極に対して第1SFの書込み期間および維持期間と同様の駆動電圧波形を印加する。また、第3SF以降の各サブフィールドでは、維持パルスの発生数を除き、各電極に対して第2SFと同様の駆動電圧波形を印加する。
【0067】
以上が、パネル10の各電極に印加する駆動電圧波形の概要である。
【0068】
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。図4は、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置1の一構成例を示す回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、全セル点灯率検出回路46、部分点灯率検出回路47、最大値領域検出回路48、および各回路ブロックに必要な電力を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
【0069】
画像信号処理回路41は、入力された画像信号sigにもとづき、各放電セルに階調値を割り当てる。そして、階調値を、サブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。
【0070】
全セル点灯率検出回路46は、サブフィールド毎の画像データにもとづき、パネル10の画像表示面における全放電セル数に対する点灯させるべき放電セル数の割合を「全セル点灯率」としてサブフィールド毎に検出する。そして、全セル点灯率検出回路46は、検出した全セル点灯率をあらかじめ設定した複数の点灯率しきい値(例えば、第1の点灯率しきい値、第2の点灯率しきい値)と比較し、その結果を表す信号をタイミング発生回路45に出力する。
【0071】
具体的には、全セル点灯率検出回路46は、検出した全セル点灯率が第1の点灯率しきい値未満のときには、全セル点灯率は「小」であるという結果を表す信号をタイミング発生回路45に出力する。全セル点灯率が第1の点灯率しきい値以上かつ第2の点灯率しきい値未満のときには、全セル点灯率は「中」であるという結果を表す信号をタイミング発生回路45に出力し、全セル点灯率が第2の点灯率しきい値以上のときには、全セル点灯率は「大」であるという結果を表す信号をタイミング発生回路45に出力する。
【0072】
なお、本実施の形態では、全セル点灯率の最小値が0%、最大値が100%のときに、第1の点灯率しきい値を50%に、第2の点灯率しきい値を80%にそれぞれ設定するものとする。しかし、これらの数値は本実施の形態における一実施例に過ぎず、点灯率しきい値は何らこれらの数値に限定されるものではない。また、点灯率しきい値の数も何ら2つに限定されるものではなく、3つ、あるいはそれ以上であってもよい。
【0073】
部分点灯率検出回路47は、パネル10の画像表示領域を複数の領域に分け、サブフィールド毎の画像データにもとづき、領域毎に、その領域の全ての放電セル数に対する点灯するべき放電セル数の割合を、サブフィールド毎に検出する。本実施の形態では、この割合を「部分点灯率」と呼称する。例えば、1つの領域の放電セルの数が1555200個で、その領域の点灯するべき放電セルの数が777600個であれば、その領域の部分点灯率は50%となる。
【0074】
なお、本実施の形態では、パネル10の画像表示領域を、4つの領域に分けて部分点灯率を検出するものとする。図5は、本発明の一実施の形態における部分点灯率を検出する領域の一例を示す概略図である。図5には、パネル10の画像表示面の様子を簡略的に表す。そして、パネル10内に示す破線で囲まれた各領域が、それぞれで部分点灯率を検出する領域を表す。なお、表示電極対24は、図2と同様に、図面における左右方向に延長して配列されているものとする。また、図5において、パネル10の画像表示領域内に示す破線は、各領域を区別しやすいように補助的に示したものであり、この破線が実際にパネル10に表示されるわけではない。
【0075】
本実施の形態では、図5に示すように、パネル10の画像表示領域を、水平方向に2分割し、垂直方向に2分割した4つの領域(領域A、領域B、領域C、領域D)に分けて、各領域で部分点灯率を検出する。例えば、水平方向に1920画素(放電セル数では1920×3)、垂直方向に1080画素の画素数を有するパネル10であれば、1つの領域は、水平方向に960画素(放電セル数では960×3)、垂直方向に540画素となる。したがって、1つの領域の放電セル数は、960×3×540=1555200となる。
【0076】
最大値領域検出回路48は、部分点灯率検出回路47で検出した各領域の部分点灯率をパネル10の画像表示領域内で互いに比較し、部分点灯率が他の領域よりも大となる領域、すなわち、部分点灯率が最大となる領域をサブフィールド毎に検出する。そして、部分点灯率が最大となる領域の位置を、サブフィールド毎にタイミング発生回路45に出力する。以下、最大値領域検出回路48における検出結果を、単に「最大値領域」とも記す。例えば、図5に示すように各領域を設定した場合、あるサブフィールドにおいて、領域Aの部分点灯率が他の領域よりも大きいという結果が得られれば、最大値領域検出回路48は、そのサブフィールドにおける最大値領域は領域Aであるという信号をタイミング発生回路45に出力する。
【0077】
タイミング発生回路45は、水平同期信号H、垂直同期信号V、全セル点灯率検出回路46の出力、および最大値領域検出回路48の出力にもとづき、各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生する。そして、発生したタイミング信号をそれぞれの回路ブロックへ供給する。
【0078】
このとき、タイミング発生回路45は、全セル点灯率検出回路46の出力および最大値領域検出回路48の出力にもとづき、維持パルスの「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」、「パルス配列」を制御するようにタイミング信号を発生し、走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44に供給する。この詳細については後述する。
【0079】
走査電極駆動回路43は、初期化波形発生回路(図示せず)、走査パルス発生回路(図示せず)、維持パルス発生回路50を有する。初期化波形発生回路は、初期化期間に走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形電圧を発生する。走査パルス発生回路は、複数の走査電極駆動IC(走査IC)を備え、書込み期間に走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルス電圧Vaを発生する。維持パルス発生回路50は、維持期間に走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生する。そして、走査電極駆動回路43は、タイミング発生回路45から供給されるタイミング信号にもとづいて走査電極SC1〜走査電極SCnのそれぞれを駆動する。
【0080】
データ電極駆動回路42は、画像データを構成するサブフィールド毎のデータを、各データ電極D1〜データ電極Dmに対応する信号に変換する。そして、タイミング発生回路45から供給されるタイミング信号にもとづいて各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。
【0081】
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路60および電圧Ve1、電圧Ve2を発生する回路(図示せず)を備え、タイミング発生回路45から供給されるタイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動する。
【0082】
次に、維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の詳細とその動作について説明する。図6は、本発明の一実施の形態における維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の一構成例を示す回路図である。なお、図6にはパネル10の電極間容量をCpと示し、走査パルスおよび初期化電圧波形を発生する回路は省略している。
【0083】
維持パルス発生回路50は、電力回収回路51とクランプ回路52とを備えている。電力回収回路51およびクランプ回路52は、走査パルス発生回路(維持期間中は短絡状態となるため図6には示さず)を介してパネル10の電極間容量Cpの一端である走査電極SC1〜走査電極SCnに接続されている。
【0084】
電力回収回路51は、電力回収用のコンデンサC10、スイッチング素子Q11、スイッチング素子Q12、逆流防止用のダイオードD11、逆流防止用のダイオードD12、共振用のインダクタL10を有する。そして、電極間容量CpとインダクタL10とをLC共振させて維持パルスの立ち上がりおよび立ち下がりを行う。このように、電力回収回路51はLC共振によって走査電極SC1〜走査電極SCnの駆動を行うため、理想的には消費電力が0となる。なお、電力回収用のコンデンサC10は電極間容量Cpに比べて十分に大きい容量を持ち、電力回収回路51の電源として働くように、電圧値Vsの半分の約Vs/2に充電されている。
【0085】
クランプ回路52は、走査電極SC1〜走査電極SCnを電圧Vsにクランプするためのスイッチング素子Q13、走査電極SC1〜走査電極SCnをベース電位である0(V)にクランプするためのスイッチング素子Q14を有する。そして、スイッチング素子Q13を介して走査電極SC1〜走査電極SCnを電源VSに接続して電圧Vsにクランプし、スイッチング素子Q14を介して走査電極SC1〜走査電極SCnを接地して0(V)にクランプする。したがって、クランプ回路52から走査電極SC1〜走査電極SCnに電圧を印加するときのインピーダンスは小さく、クランプ回路52は強い維持放電を発生する際に生じる大きな放電電流を安定して流すことができる。
【0086】
そして、維持パルス発生回路50は、タイミング発生回路45から出力されるタイミング信号によりスイッチング素子Q11、スイッチング素子Q12、スイッチング素子Q13、スイッチング素子Q14の各スイッチング素子の導通と遮断とを切換えて電力回収回路51とクランプ回路52とを動作し、維持パルスを発生する。
【0087】
例えば、維持パルスを立ち上げる際には、スイッチング素子Q11をオンにして電極間容量CpとインダクタL10とを共振させ、電力回収用のコンデンサC10からスイッチング素子Q11、ダイオードD11、インダクタL10を通して走査電極SC1〜走査電極SCnに電力を供給する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧が電圧Vsに近づいた時点で、スイッチング素子Q13をオンにする。これにより、走査電極SC1〜走査電極SCnを駆動する回路を電力回収回路51からクランプ回路52に切換え、走査電極SC1〜走査電極SCnを電圧Vsにクランプする。
【0088】
逆に、維持パルスを立ち下げる際には、スイッチング素子Q12をオンにして電極間容量CpとインダクタL10とを共振させ、電極間容量CpからインダクタL10、ダイオードD12、スイッチング素子Q12を通して電力回収用のコンデンサC10に電力を回収する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧が0(V)に近づいた時点で、スイッチング素子Q14をオンにする。これにより、走査電極SC1〜走査電極SCnを駆動する回路を電力回収回路51からクランプ回路52に切換え、走査電極SC1〜走査電極SCnをベース電位である0(V)にクランプする。
【0089】
このようにして、維持パルス発生回路50は、維持パルスを発生する。なお、これらのスイッチング素子は、MOSFETやIGBT等の一般に知られた素子を用いて構成することができる。
【0090】
維持パルス発生回路60は、維持パルス発生回路50とほぼ同様の構成であり、電力回収回路61とクランプ回路62とを備え、パネル10の電極間容量Cpの一端である維持電極SU1〜維持電極SUnに接続されている。クランプ回路62は、維持電極SU1〜維持電極SUnを電圧Vsにクランプするためのスイッチング素子Q23、および維持電極SU1〜維持電極SUnを接地電位(0(V))にクランプするためのスイッチング素子Q24を有する。電力回収回路61は、電力回収用のコンデンサC20、スイッチング素子Q21、スイッチング素子Q22、逆流防止用のダイオードD21、逆流防止用のダイオードD22、共振用のインダクタL20を有し、維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動するときの電力を回収して再利用する。維持パルス発生回路60のこれらの動作は維持パルス発生回路50と同様であるので説明を省略する。
【0091】
また、図6には、電圧Ve1を発生する電源VE1、電圧Ve1を維持電極SU1〜SUnに印加するためのスイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27、電圧ΔVeを発生する電源ΔVE、逆流防止用のダイオードD30、電圧Ve1に電圧ΔVeを重畳するチャージポンプ用のコンデンサC30、電圧Ve1に電圧ΔVeを重畳して電圧Ve2とするためのスイッチング素子Q28、スイッチング素子Q29を示す。例えば、図3に示した電圧Ve1を印加するタイミングでは、スイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27を導通し、ダイオードD30、スイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27を介して維持電極SU1〜維持電極SUnに正の電圧Ve1を印加する。このときスイッチング素子Q28を導通し、コンデンサC30の電圧が電圧Ve1になるように充電する。また、図3に示した電圧Ve2を印加するタイミングでは、スイッチング素子Q26、スイッチング素子Q27は導通したまま、スイッチング素子Q28を遮断するとともにスイッチング素子Q29を導通してコンデンサC30の電圧に電圧ΔVeを重畳する。こうして、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve1+ΔVe、すなわち電圧Ve2を印加する。このとき、逆流防止用のダイオードD30の働きにより、コンデンサC30から電源VE1への電流は遮断される。
【0092】
なお、電圧Ve1、電圧Ve2を印加する回路は、何ら図6に示した回路に限定されるものではない。例えば、電圧Ve1を発生する電源と、電圧Ve2を発生する電源と、それぞれの電圧を維持電極SU1〜維持電極SUnに印加するための複数のスイッチング素子とを用いて、各電圧を必要なタイミングで維持電極SU1〜維持電極SUnに印加する構成としてもよい。
【0093】
なお、インダクタL10と電極間容量CpとのLC共振の周期、およびインダクタL20と電極間容量CpとのLC共振の周期(以下、「共振周期」と記す)は、インダクタL10、インダクタL20のインダクタンスをそれぞれLとすれば、計算式「2π√(LCp)」によって求めることができる。そして、本実施の形態では、電力回収回路51、電力回収回路61における共振周期が1600nsecになるようにインダクタL10、インダクタL20を設定する。しかし、この数値は実施の形態における一例に過ぎず、各インダクタンスの大きさはパネル10の特性やプラズマディスプレイ装置1の仕様等に合わせて最適な値に設定すればよい。
【0094】
次に、残像現象と、残像現象を軽減するための本実施の形態におけるパネルの駆動方法について説明する。
【0095】
パネルにおける発光効率を高めるために、放電セル内に充填する放電ガスのキセノン分圧を高めたパネル10では、静止画像を長時間表示させたときに、その静止画像が残像として認識される、いわゆる残像現象が発生しやすくなる。残像現象が発生する原因についてはまだ未解明の部分があるが、次のような現象が生じることが残像現象の発生原因の1つと思われる。
【0096】
静止画が連続してパネル10に表示されると、単位時間(例えば、1フィールド)あたりの点灯回数が比較的多い放電セル(点灯状態が連続する放電セル)と、単位時間あたりの点灯回数が比較的少ない放電セル(非点灯状態が連続する放電セル)とが生じる。それらの放電セル間には、放電ガスの成分濃度に偏り(例えば、水蒸気を含む不純ガス等の濃度の偏り)が生じて、放電開始電圧に差が生じることがある。また、点灯状態が連続する放電セルと非点灯状態が連続する放電セルとでは放電セル内の温度に差が生じ、この温度差も放電開始電圧に差を生じさせる一因となる。そして、これらの放電セル間には、放電開始電圧に差が生じることで放電の発生するタイミングに差が生じる。これにより、点灯状態が連続する放電セルと非点灯状態が連続する放電セルとの間に発光強度の差が生じ、輝度差が生じる。これが、残像現象が発生する理由の1つと考えられる。
【0097】
例えば、点灯状態が連続した放電セルの発光強度が、非点灯状態が連続した放電セルの発光強度よりも高くなる場合には正の残像(残像が、その周囲よりも輝度が高い状態で生じること)が発生し、その逆の場合には負の残像(残像が、その周囲よりも輝度が低い状態で生じること)が発生する。そして、静止画像を連続して表示する時間が長くなるほど、残像現象も強く生じる傾向にある。このように、残像現象は、放電セルの発光強度が、その放電セルのそれまでの発光の状態に依存して変化することで発生する現象である。
【0098】
ここで、本発明者は、維持期間において、1つの発光のピークが観測される「1山発光」を生じる維持パルスと、2つの発光のピークが観測される「2山発光」を生じる維持パルスとを周期的に切換えて発生することで、残像現象を軽減できることを実験的に確認した。また、1山放電と2山放電との発生周期、すなわち「パルス配列」と、残像現象の低減効果との間に関連性があることを実験的に確認した。
【0099】
この理由の詳細は不明であるが、1山発光を生じるための比較的強い放電と、2山発光を生じるための比較的弱い放電とを1つの維持期間で混合して発生することで、上記した残像現象の発生原因が緩和されるためと考えられる。そして、残像現象を軽減するのに適した第1の維持パルスと第2の維持パルスの混合比率(発生パターン)は、放電セルの放電特性および駆動負荷の大きさ等に応じて変化するためと考えられる。
【0100】
以下、1山発光を生じる維持パルスを「第1の維持パルス」と呼称し、2山発光を生じる維持パルスを「第2の維持パルス」と呼称する。また、1山発光を発生する維持放電を「1山放電」とも記し、2山発光を発生する維持放電を「2山放電」とも記す。なお、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの詳細については後述するが、2山発光を生じる第2の維持パルスは、第1の維持パルスとは異なる立ち上がり期間を有する。
【0101】
さらに、本発明者は、1山放電および2山放電を安定に発生し、残像現象の低減効果を高めるためには、パネル10に表示される画像の状態に応じて、維持パルスの「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」を制御することが重要であることを実験的に確認した。
【0102】
走査電極SC1〜走査電極SCnを駆動するときに走査電極駆動回路43にかかる駆動負荷、および維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動するときに維持電極駆動回路44にかかる駆動負荷は、点灯する放電セル(以下、「点灯セル」とも記す)の数と、非点灯の放電セル(以下、「非点灯セル」とも記す)の数との比率、すなわち、点灯率によって変化する。点灯セルの数が多くなれば駆動負荷も大きくなり、点灯セルの数が少なくなれば駆動負荷も小さくなる。
【0103】
駆動負荷が変化すると、放電セルに印加する維持パルスの波形形状が変化する。走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44の出力インピーダンスの大きさにもよるが、一般的には、駆動負荷が大きくなると維持パルスの立ち上がりは緩やかになり、駆動負荷が小さくなると維持パルスの立ち上がりは急峻になる。これは、電力回収回路51、電力回収回路61の出力インピーダンスが、クランプ回路52、クランプ回路62と比較して大きいためである。
【0104】
そして、駆動負荷が変化して維持パルスの立ち上がりが緩やかになったり急峻になったりすると、1山発光を発生するための維持パルスで2山放電が発生したり、あるいは、2山発光を発生するための維持パルスで1山発光が発生することがある。そのため、1山発光、2山発光を安定に発生するためには、駆動負荷の大きさに応じて、維持パルスの立ち上がり期間を制御することが望ましい。
【0105】
一方、パネル10においては、全ての放電セルの放電特性が完全に均一になる可能性は非常に低く、放電セルの放電特性は、放電セルの位置によってばらつくことが一般的である。このような放電特性のばらつきが生じるのは、パネル10を製造するときに生じるプロセス上のばらつき等により、全ての放電セルが完全に均一になるようにパネル10を製造することが困難であるためと考えられる。
【0106】
放電特性の1つに、放電セルに印加した電圧が放電開始電圧を超えてから実際に放電が発生するまでの時間遅れ(以下、「放電遅れ」と呼称する)がある。この「放電遅れ」が放電セルの位置によって異なると、全ての放電セルに均一に維持パルスを印加しても、放電セルの位置により、放電が発生するタイミングにばらつきが生じる。
【0107】
そして、放電の発生タイミングが異なると、放電の発生に変化が生じる。例えば、ある放電セルを基準にして2山発光が生じるように維持パルスの立ち上がり期間を設定したとしても、放電遅れの大きさが異なる他の放電セルにその維持パルスを印加すると1山発光が生じるということもありうる。そのような場合、維持放電が局所的に不安定に発生して残像現象の低減効果が局所的に損なわれたり、あるいは、発光強度に局所的な差が生じ輝度のムラが生じたりする可能性がある。
【0108】
そのため、第1の維持パルスの立ち上がり期間、および第2の維持パルスの立ち上がり期間は、放電遅れの大きさを考慮して設定する必要がある。例えば、図5に示した領域A、領域B、領域C、領域Dの各領域で、放電遅れの大きさがそれぞれ異なれば、領域Aのための維持パルス、領域Bのための維持パルス、領域Cのための維持パルス、領域Dのための維持パルスをそれぞれ設定することが望ましい。すなわち、領域Aにおいて1山発光、2山発光を安定に発生するように領域Aを基準にして第1の維持パルス(A)および第2の維持パルス(A)を設定し、領域Bにおいて1山発光、2山発光を安定に発生するように領域Bを基準にして第1の維持パルス(B)および第2の維持パルス(B)を設定し、領域Cにおいて1山発光、2山発光を安定に発生するように領域Cを基準にして第1の維持パルス(C)および第2の維持パルス(C)を設定し、領域Dにおいて1山発光、2山発光を安定に発生するように領域Dを基準にして第1の維持パルス(D)および第2の維持パルス(D)を設定する。
【0109】
そして、例えば、領域Aで1山発光、2山発光を安定に発生することが望ましいと判断できる画像がパネル10に表示されるときには、領域Aを基準にして設定した第1の維持パルス(A)および第2の維持パルス(A)を発生する。このとき、どの領域を優先すべきかは、例えば、領域毎の点灯セルの数を表す部分点灯率を用いて判断することができる。すなわち、部分点灯率が最も高い領域で1山発光、2山発光を安定に発生するように第1の維持パルスおよび第2の維持パルスを発生すればよい。これが、本実施の形態において、最大値領域を検出する理由である。
【0110】
このとき、例えば、領域Aが最大値領域であったとしても、全セル点灯率が高ければ、他の領域においても点灯セル数が多いと推定できるので、他の領域でも安定に1山発光、2山発光を発生できるように考慮する必要がある。そして、上述したように、1山発光、2山発光を安定に発生するためには、駆動負荷の大きさに応じて、維持パルスの立ち上がり期間を制御することが望ましい。
【0111】
これらのことから、本実施の形態では、1山放電および2山放電を安定に発生するために、全セル点灯率および最大値領域にもとづき「立ち上がり期間」を制御する。
【0112】
本発明者は、さらに、2山放電の直後に発生する1山放電が安定に発生するかどうかに、2山放電を発生する第2の維持パルスの立ち下がりの波形形状が影響を与え、1山放電の直後に発生する2山放電が安定に発生するかどうかに、1山放電を発生する第1の維持パルスの立ち下がりの波形形状が影響を与えることを確認した。
【0113】
また、放電セルに放電が発生する際に駆動回路に瞬間的に流れる大電流によって、駆動波形にリンギングと呼ばれる波形歪が発生しやすいことを確認した。維持パルスに大きなリンギングが発生すると、維持放電を不安定にするだけでなく、維持パルス発生回路を構成する各素子に大きな負荷を与えるおそれがある。そのためには、リンギングの発生をできるだけ低減することが望ましい。そして、維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とを重複させる重複期間を設けることでリンギングを低減でき、さらに、重複期間の長さとリンギングの低減量との間に関連性があることをあわせて確認した。
【0114】
これらのことから、本実施の形態では、1山放電および2山放電を安定に発生し、残像現象の低減効果を高めるために、全セル点灯率および最大値領域にもとづき、維持パルスの「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」、「パルス配列」を制御するものとする。
【0115】
具体的には、パネル10の画像表示領域を複数の領域(例えば、水平方向、垂直方向にそれぞれ2分割した4つの領域A、領域B、領域C、領域D)に分けるとともに、全セル点灯率を複数の範囲(例えば、大、中、小の3つ)に分ける。そして、各領域毎に、各領域の放電特性と全セル点灯率の大きさに応じて、1山放電および2山放電を安定に発生し、残像現象の低減効果を高められるように、「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」、「パルス配列」をそれぞれ設定する。
【0116】
例えば、上述の例では、領域Aにおいて、全セル点灯率が小のとき、全セル点灯率が中のとき、全セル点灯率が大のときのそれぞれで、1山放電および2山放電を安定に発生し、残像現象の低減効果を高められるように、「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」、「パルス配列」の各設定値を設定する。領域B、領域C、領域Dについても同様に各設定値を設定する。これらの設定値は実験等を行ってあらかじめ決定しておく。
【0117】
そして、全セル点灯率を検出するとともに、各領域の部分点灯率を検出してどの領域が最大値領域となるかを検出し、それらの検出結果にもとづき各設定値を選択して維持パルスを発生する。例えば、最大値領域が領域Cであり、全セル点灯率が小であれば、領域Cにおける全セル点灯率小のときの設定値を選択し、「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」、「パルス配列」をその設定値に設定して維持パルスを発生する。
【0118】
これにより、画像信号およびパネル10の特性に応じ、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生して残像現象を低減するとともに、残像現象の低減効果をより高めることが可能となる。
【0119】
次に、維持パルスを発生する際の各回路の動作について説明する。
【0120】
図7は、本発明の一実施の形態における維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の動作を説明するためのタイミングチャートである。ここでは、維持パルスの繰り返し周期(以下、「維持周期」と略記する)の1周期分をT1〜T6で示した6つの期間に分割し、それぞれの期間について説明する。また、以下の説明では、スイッチング素子を導通させる動作をオン、遮断させる動作をオフと表記し、図面にはスイッチング素子をオンさせる信号を「ON」、オフさせる信号を「OFF」と表記する。
【0121】
なお、図7では、正極性の波形を用いて説明をするが、本発明はこれに限定されるものではない。負極性の波形における実施の形態例は省略するが、例えば、以下の説明の正極性の波形において「立ち上がり」と表現しているものを、負極性の波形においては「立ち下がり」に、「立ち下がり」と表現しているものを、負極性の波形においては「立ち上がり」に、それぞれ読みかえることで、負極性の波形であっても同様の効果を得ることができる。
【0122】
(期間T1)
時刻t1で、スイッチング素子Q13をオフにし、スイッチング素子Q12をオンにする。これにより、走査電極SC1〜走査電極SCn側の電荷は、インダクタL10、ダイオードD12、スイッチング素子Q12を通してコンデンサC10に流れ始め、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧が下がり始める。インダクタL10と電極間容量Cpとは共振回路を形成しているので、共振周期の1/2の時間が経過する頃には走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は0(V)付近まで低下する。例えば、インダクタL10と電極間容量Cpとの共振周期が1600nsecに設定されていれば、時刻t2aから800nsec後には走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は0(V)付近まで低下する。しかし共振回路の抵抗成分等による電力損失のため、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は0(V)までは下がらない。
【0123】
そして、時刻t2bでスイッチング素子Q14をオンにする。これにより、走査電極SC1〜走査電極SCnはスイッチング素子Q14を通して直接に接地され、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は0(V)にクランプされる。
【0124】
(期間T2)
時刻t2bより所定の時間だけ早い時刻t2aで、スイッチング素子Q24をオフにし、スイッチング素子Q21をオンにする。これにより、コンデンサC20に蓄えられた電荷は、スイッチング素子Q21、ダイオードD21、インダクタL20を通して維持電極SU1〜維持電極SUnへ流れ始め、維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧が上がり始める。インダクタL20と電極間容量Cpとは共振回路を形成しているので、共振周期の1/2の時間が経過する頃には維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧は電圧Vs付近まで上昇する。例えば、インダクタL20と電極間容量Cpとの共振周期が1600nsecに設定されていれば、時刻t2aから800nsec後には維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧は電圧Vs付近まで上昇する。しかし、駆動回路の出力インピーダンスや駆動負荷等の影響で、維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧は電圧Vsには到達しない。
【0125】
このように、本実施の形態では、時刻t2aを時刻t2bより所定の時間だけ早くすることで、期間T1と期間T2とが重複する重複期間(期間T1’)を設けている。
【0126】
そして、時刻t3でスイッチング素子Q23をオンにする。これにより、維持電極SU1〜維持電極SUnはスイッチング素子Q23を通して直接に電源VSへ接続され、維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧は電圧Vsにクランプされる。
【0127】
(期間T3)
期間T3では、スイッチング素子Q23をオンに維持して、維持電極SU1〜維持電極SUnの電圧を電圧Vsに保つ。また、スイッチング素子Q14をオンに維持して、走査電極SC1〜走査電極SCnを0(V)に保つ。
【0128】
(期間T4〜期間T6)
走査電極SC1〜走査電極SCnに印加される維持パルスと維持電極SU1〜維持電極SUnに印加される維持パルスとは同じ波形であり、期間T4から期間T6までの動作は、期間T1から期間T3までの動作を走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとを入れ替えて駆動する動作に等しいので説明を省略する。
【0129】
なお、スイッチング素子Q12は時刻t2b以降、時刻t5aまでにオフにすればよく、スイッチング素子Q21は時刻t3以降、時刻t4までにオフにすればよい。また、スイッチング素子Q22は時刻t5b以降、次の時刻t2aまでにオフにすればよく、スイッチング素子Q11は時刻t6以降、次の時刻t1までにオフにすればよい。また、維持パルス発生回路50、維持パルス発生回路60の出力インピーダンスを下げるために、スイッチング素子Q24は時刻t2a直前にオフにすることが望ましく、スイッチング素子Q13は時刻t1直前にオフにすることが望ましい。また、スイッチング素子Q14は時刻t5a直前にオフにすることが望ましく、スイッチング素子Q23は時刻t4直前にオフにすることが望ましい。
【0130】
維持期間においては、以上の期間T1〜期間T6の動作を、必要なパルス数に応じて繰り返す。このようにして、ベース電位である0(V)から電圧Vsに変位する維持パルスを、表示電極対24のそれぞれに交互に印加して放電セルに維持放電を発生する。
【0131】
次に、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスについて説明する。
【0132】
図8は、本発明の一実施の形態における第1の維持パルスの波形形状と第1の維持パルスにより生じる発光の様子を模式的に示す図であり、図9は、本発明の一実施の形態における第2の維持パルスの波形形状と第2の維持パルスにより生じる発光の様子を模式的に示す図である。図8、図9において、上図は維持パルスの波形形状を表し、縦軸は電圧を、横軸は時間を表す。また、下図は発光の様子を表し、縦軸は発光強度を、横軸は時間を表す。
【0133】
まず、図8に示す第1の維持パルスについて説明する。なお、維持パルスの発生に用いる各回路の動作は図6を用いて説明した通りであるので、詳細は省略する。また、以下では、維持パルス発生回路50を例に挙げて説明をするが、維持パルス発生回路60における動作も同様である。
【0134】
(期間T11)
時刻t11で電力回収回路51の動作を開始して、走査電極22に印加する電圧を上昇させる。図6で説明したように、このときの電圧上昇は、コンデンサC10と電極間容量CpとのLC共振によるものなので、クランプ回路52による電圧上昇と比較して、緩やかなものとなる。
【0135】
本実施の形態では、第1の維持パルスは、1山発光を生じる維持パルスとする。そのために、電力回収回路51から走査電極22に電圧を印加している最中に放電が発生しないように、第1の維持パルスの立ち上がり期間である期間T11の長さを設定する。すなわち、電力回収回路51から走査電極22に印加する電圧が放電開始電圧を超える前の時刻t21で、走査電極22に電圧を印加する回路を、電力回収回路51からクランプ回路52に切換える。
【0136】
(期間T21)
クランプ回路52によって走査電極22が電圧Vsにクランプされると、放電セルに印加される電圧は一気に放電開始電圧を超える。これにより、放電セルに強い放電が発生する。
【0137】
こうして、第1の維持パルスを印加する放電セルで1山発光が生じる。
【0138】
(期間T31)
時刻t31で、走査電極22を駆動する回路を、クランプ回路52から電力回収回路51に切換え、走査電極22の電圧を下降させる。
【0139】
(期間T41)
時刻t41で、走査電極22を駆動する回路を、電力回収回路51からクランプ回路52に切換え、走査電極22の電圧を0(V)にクランプする。
【0140】
本実施の形態では、このようにして第1の維持パルスを発生する。
【0141】
次に、図9に示す第2の維持パルスについて説明する。
【0142】
(期間T21)
時刻t12で電力回収回路51の動作を開始して、走査電極22に印加する電圧を上昇させる。
【0143】
本実施の形態では、第2の維持パルスは、2山発光を生じる維持パルスとする。そのために、電力回収回路51から走査電極22に電圧を印加している最中に1回目の放電が発生するように、第2の維持パルスの立ち上がり期間である期間T12の長さを設定する。すなわち、電力回収回路51から走査電極22に印加する電圧が放電開始電圧を超えるまでは、走査電極22に電圧を印加する回路を、電力回収回路51からクランプ回路52に切換えないようにする。
【0144】
ただし、図6で説明したように、このときの電圧上昇は、コンデンサC10と電極間容量CpとのLC共振によるものなので、クランプ回路52による電圧上昇と比較して、緩やかなものとなる。そのため、この放電は比較的弱い放電となり、この放電による発光も比較的弱い発光となる。
【0145】
また、この放電により、瞬間的に大量の放電電流が電力回収回路51から走査電極22に流れる。電力回収回路51の出力インピーダンスは、クランプ回路52と比較して大きいため、この放電により、走査電極22の電圧が一時的に降下する(図面には、詳細を示さず)。
【0146】
(期間T22)
走査電極22に印加する電圧が放電開始電圧を一度超えた後の時刻t22で、走査電極22に電圧を印加する回路を、電力回収回路51からクランプ回路52に切換える。
【0147】
クランプ回路52によって走査電極22が電圧Vsにクランプされと、放電セルに印加される電圧は、再度、放電開始電圧を超える。これにより、放電セルに2回目の放電が発生する。ただし、1回目の放電により壁電荷の一部が消費されるため、2回目の放電は、1回目の放電よりは強い放電となるが、1山放電よりは弱い放電となる。そして、この放電による発光は、1回目の放電による発光よりは強く、1山放電による発光よりは弱い発光となる。
【0148】
こうして、第2の維持パルスを印加する放電セルで2山発光が生じる。
【0149】
(期間T32)
時刻t32で、走査電極22を駆動する回路を、クランプ回路52から電力回収回路51に切換え、走査電極22の電圧を下降させる。
【0150】
(期間T41)
時刻t41で、走査電極22を駆動する回路を、電力回収回路51からクランプ回路52に切換え、走査電極22の電圧を0(V)にクランプする。
【0151】
本実施の形態では、このようにして第2の維持パルスを発生する。
【0152】
そして、本実施の形態では、期間T11、期間T31、期間T12、期間T32、および、図7に示した期間T1’、期間T4’を、全セル点灯率および最大値領域に応じて変更する。また、維持パルスのパルス幅(時刻t11から時刻t41までの期間、および、時刻t12から時刻t42までの期間)を一定に保つために、期間T11、期間T31、期間T12、期間T32に応じて、期間T12、期間T22を変更する。
【0153】
なお、本実施の形態においては、第1の維持パルスでは1山放電が発生するように、第1の維持パルスの立ち上がり期間である期間T11を400nsec〜550nsecの間で設定している。また、第2の維持パルスでは2山放電が発生するように、第2の維持パルスの立ち上がり期間である期間T12を600nsec〜750nsecの間で設定している。また、第1の維持パルスの直後の第2の維持パルスで2山放電が安定に発生するように、第1の維持パルスの立ち下がり期間である期間T31を750nsec〜1000nsecの間で設定している。また、第2の維持パルスの直後の第1の維持パルスで1山放電が安定に発生するように、第2の維持パルスの立ち下がり期間である期間T32を550nsec〜800nsecの間で設定している。また、このときの維持パルスのパルス幅は、例えば、2700nsecである。そして、リンギングの発生を低減して維持放電をより安定に発生するように、重複期間である期間T1’、期間T4’は0nsec〜150nsecの間で設定している。
【0154】
図10は、本発明の一実施の形態における全セル点灯率および最大値領域と駆動パターンとの関係の一例を示す概略図である。図10において、横軸は最大値領域を、縦軸は全セル点灯率を表す。なお、図10を用いて説明する例では、パネル10は、図5に示したように(領域A、領域B、領域C、領域D)の4つの領域に分けられ、第1の点灯率しきい値は50%、第2の点灯率しきい値は80%に設定されているものとする。
【0155】
本実施の形態では、全セル点灯率が小(全セル点灯率が第1の点灯率しきい値未満)のときには、最大値領域が領域Aであれば第1駆動パターンで維持パルスを発生し、最大値領域が領域Bであれば第2駆動パターンで維持パルスを発生し、最大値領域が領域Cであれば第3駆動パターンで維持パルスを発生し、最大値領域が領域Dであれば第4駆動パターンで維持パルスを発生する。
【0156】
また、全セル点灯率が中(全セル点灯率が第1の点灯率しきい値以上かつ第2の点灯率しきい値未満のときには、最大値領域が領域Aであれば、第5駆動パターンで維持パルスを発生し、最大値領域が領域Bであれば第6駆動パターンで維持パルスを発生し、最大値領域が領域Cであれば第7駆動パターンで維持パルスを発生し、最大値領域が領域Dであれば第8駆動パターンで維持パルスを発生する。
【0157】
また、全セル点灯率が大(全セル点灯率が第2の点灯率しきい値以上)のときには、最大値領域がどの領域であるかにかかわらず、第9駆動パターンで維持パルスを発生する。これは、全セル点灯率が高い状態では、最大値領域以外の領域における部分点灯率も高いことが予想されるため、最大値領域を優先して駆動パターンを設定するのではなく、全領域で安定に1山放電、2山放電が発生するように各設定値を設定することが望ましいためである。
【0158】
そして、各駆動パターンでは、上述したように、領域毎の放電特性を考慮して、1山放電、2山放電が安定に発生するように各設定値を設定し、残像現象の低減効果を高められるように「パルス配列」を設定する。
【0159】
次に、各駆動パターンの具体的な設定例について説明する。図11は、本発明の一実施の形態における各駆動パターンの一例を示す図である。図11には、第1駆動パターンから第9駆動パターンまでの各駆動パターンにおける「第1の維持パルスの立ち上がり期間」、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」、「パルス配列」および「重複期間」の各設定値の一例を示す。なお、全ての駆動パターンにおいて、電力回収回路における共振周期は1600nsecに設定され、各維持パルスのパルス幅は2.7μsecに設定されているものとする。
【0160】
また、「パルス配列」において、「X」は第1の維持パルスを表し、「Y」は第2の維持パルスを表す。例えば、「パルス配列」における「XYYY」とは、第1の維持パルスを1回発生した後、第2の維持パルスを3回連続して発生することを表す。そして、維持期間では、この発生パターンを繰り返して、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスを発生する。
【0161】
図11に示す例では、第1駆動パターンは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を400nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を600nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を1000nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を800nsec、「パルス配列」を(XYYY)、「重複期間」を100nsecとする。
【0162】
第2駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を450nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を650nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を950nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を750nsec、「パルス配列」を(XYYY)、「重複期間」を0nsecとする。
【0163】
第3駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を450nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を650nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を950nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を750nsec、「パルス配列」を(XXYYY)、「重複期間」を50nsecとする。
【0164】
第4駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を450nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を600nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を950nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を800nsec、「パルス配列」を(XYY)、「重複期間」を50nsecとする。
【0165】
第5駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を500nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を700nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を800nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を600nsec、「パルス配列」を(YXYYY)、「重複期間」を50nsecとする。
【0166】
第6駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を450nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を750nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を850nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を550nsec、「パルス配列」を(XXYYY)、「重複期間」を50nsecとする。
【0167】
第7駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を550nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を750nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を750nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を550nsec、「パルス配列」を(XYYYX)、「重複期間」を100nsecとする。
【0168】
第8駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を550nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を750nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を750nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を550nsec、「パルス配列」を(XYXYYY)、「重複期間」を100nsecとする。
【0169】
第9駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を450nsec、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を650nsec、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を750nsec、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を550nsec、「パルス配列」を(XYYYY)、「重複期間」を150nsecとする。
【0170】
なお、これらのデータは、例えば、プラズマディスプレイ装置1内に記憶装置(図示せず)を設け、その記憶装置に保存しておけばよい。あるいは、プラズマディスプレイ装置1内にあらかじめ設けられた記憶装置(例えば、プラズマディスプレイ装置1内に設けられたマイクロコンピュータが利用するための記憶装置等)を利用する構成であってもよい。そして、タイミング発生回路45は、全セル点灯率および最大値領域にもとづき、その記憶装置から駆動パターンの各設定値を適切に読み出し、読み出した設定値にもとづき維持パルス発生回路50および維持パルス発生回路60を制御するようにタイミング信号を発生するものとする。
【0171】
図11に示した第1駆動パターンの各設定値にもとづき維持パルスを発生すると、図12に示すような波形となる。図12は、本発明の一実施の形態における駆動パターンの一例を示す波形図である。
【0172】
図11に示した第1駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を400nsecに設定し、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を1000nsecに設定し、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を600nsecに設定し、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を800nsecに設定し、「重複期間」を100nsecに設定する。そして、第1の維持パルスを走査電極22に印加した後、第2の維持パルスを3回連続して発生し、維持電極23と走査電極22とに交互に印加する。これを1つの繰り返し周期として第1の維持パルスおよび第2の維持パルスを発生する。
【0173】
また、図11に示した第3駆動パターンの各設定値にもとづき維持パルスを発生すると、図13に示すような波形となる。図13は、本発明の一実施の形態における駆動パターンの他の一例を示す波形図である。
【0174】
図11に示した第3駆動パターンでは、「第1の維持パルスの立ち上がり期間」を450nsecに設定し、「第1の維持パルスの立ち下がり期間」を950nsecに設定し、「第2の維持パルスの立ち上がり期間」を650nsecに設定し、「第2の維持パルスの立ち下がり期間」を750nsecに設定し、「重複期間」を50nsecに設定する。そして、第1の維持パルスを走査電極22と維持電極23とに1回ずつ印加した後、第2の維持パルスを3回連続して発生し、走査電極22と維持電極23とに交互に印加する。これを1つの繰り返し周期として第1の維持パルスおよび第2の維持パルスを発生する。
【0175】
他の駆動パターンにおいても、図12、図13に示した維持パルスの発生パターンと同様に、各設定値にもとづいた波形形状となるように第1の維持パルスおよび第2の維持パルスを発生し、設定された「パルス配列」にもとづく繰り返し周期で第1の維持パルスおよび第2の維持パルスを走査電極22と維持電極23とに印加する。
【0176】
なお、図11に示す各設定値およびパルス配列は、第1の維持パルスで1山放電が安定に発生し、第2の維持パルスで2山放電が安定に発生し、かつ、残像減少の低減効果を高められるように、駆動負荷や各領域における放電特性を考慮して実験等にもとづき設定したものである。したがって、本発明は、各駆動パターンの設定値およびパルス配列が何ら図11に示した数値およびパルス配列に限定されるものではない。各駆動パターンにおける各設定値およびパルス配列はパネル10の特性やプラズマディスプレイ装置1の仕様等に応じて最適に設定することが望ましい。
【0177】
以上示したように、本実施の形態においては、1山放電を発生する第1の維持パルスおよび2山放電を発生する第2の維持パルスを周期的に切換えて発生し、残像現象の発生を低減する。その際、第1の維持パルスおよび第2の維持パルスの「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」の各設定値、および「パルス配列」の少なくとも1つが異なる複数の駆動パターンを設ける。さらに、パネル10の画像表示領域を複数の領域に分け、各領域の部分点灯率を検出するとともに全セル点灯率を検出し、検出した部分点灯率にもとづき最大値領域を検出する。そして、最大値領域および全セル点灯率にもとづき、複数の駆動パターンのうちの1つを選択し、選択した設定値にもとづく「立ち上がり期間」、「立ち下がり期間」、「重複期間」、「パルス配列」で第1の維持パルスおよび第2の維持パルスを発生する。これにより、パネルの特性と表示画像とに応じた適切な発生パターンで第1の維持パルスと第2の維持パルスとを発生することが可能となり、さらに、第1の維持パルスによる1山放電および第2の維持パルスによる2山放電を安定に発生することが可能となるので、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減するとともに残像現象の低減効果を高めて、画像表示品質を向上することが可能となる。
【0178】
なお、本実施の形態では、各フィールドがそれぞれ全セル初期化サブフィールドを有する構成を説明したが、本発明は何らこの構成に限定されるものではない。例えば、全セル初期化サブフィールドを有するフィールドと全てのサブフィールドを選択初期化サブフィールドとするフィールドとを周期的に切換えて発生する構成であっても、本実施の形態に示した構成を適用することは可能であり、上述と同様の効果を得ることができる。
【0179】
なお、本実施の形態では、パネル10の画像表示領域を水平方向、垂直方向にそれぞれ2分割した(領域A、領域B、領域C、領域D)の4つの領域に分けて各領域の部分点灯率を検出する構成を説明したが、本発明は何らこの構成に限定されるものではない。例えば、パネル10の画像表示領域を水平方向にのみ2分割する、あるいは垂直方向にのみ2分割し、2つの領域で部分点灯率を検出してその大小を比較する構成であってもよい。あるいは、パネル10の画像表示領域を水平方向、垂直方向にそれぞれ3分割して9つの領域に分け、最大値領域を検出する構成としてもよい。あるいは、パネル10の画像表示領域をそれ以上の領域に分ける構成としてもよい。部分点灯率を検出する領域をどのように設けるかは、パネル10の特性やプラズマディスプレイ装置1の仕様等に応じて、最適に設定すればよい。
【0180】
なお、複数の領域で部分点灯率が互いに同じ数値となって最大値領域に相当する領域が複数になることも考えられる。そのような場合に対処するために、どの領域を優先して駆動パターンを選択するかということをあらかじめ設定しておくことが望ましい。
【0181】
なお、本実施の形態では、第1の維持パルスと第2の維持パルスとを発生する構成を説明したが、第1の維持パルスおよび第2の維持パルス以外の他の維持パルスをあわせて発生する構成であってもよい。
【0182】
なお、本実施の形態では、全セル点灯率を小、中、大の3つの範囲に分けて各駆動パターンを設定する構成を説明したが、本発明は何らこの構成に限定されるものではない。例えば、全セル点灯率を小、大の2つの範囲に分けて各駆動パターンを設定する構成であってもよく、あるいは、全セル点灯率を4つ以上の範囲に分けて各駆動パターンを設定する構成であってもよい。全セル点灯率をいくつの範囲に分けるかは、パネル10の特性やプラズマディスプレイ装置1の仕様等に応じて、最適に設定すればよい。
【0183】
なお、走査電極駆動回路43においては、1つの走査ICが複数の走査電極22を駆動するため、走査IC毎に駆動負荷を検出することが望ましい。また、データ電極駆動回路42においては、1つのデータ電極駆動ICが複数のデータ電極32を駆動するため、データ電極駆動IC毎に駆動負荷を検出することが望ましい。したがって、部分点灯率を検出する領域を設定する際には、領域間の境界線が1つの走査IC上または1つのデータ電極駆動IC上に設けられないように、走査ICおよびデータ電極駆動ICを基準にして設定することが望ましい。
【0184】
なお、本実施の形態では、電力回収回路51、電力回収回路61のそれぞれにおいて、1つのインダクタを共通に用いて維持パルスの立ち上がりと立ち下がりとを発生する構成を説明したが、複数のインダクタを設け、維持パルスの立ち上がりと立ち下がりとで異なるインダクタを使用する構成としてもかまわない。
【0185】
なお、本実施の形態では、消去ランプ電圧L3を走査電極22に印加する構成を説明したが、消去ランプ電圧L3を維持電極23に印加する構成とすることもできる。あるいは、消去ランプ電圧L3に代えて、いわゆる細幅消去パルスにより消去放電を発生させる構成としてもよい。
【0186】
なお、本発明における実施の形態に示した各回路ブロックは、実施の形態に示した各動作を行う電気回路として構成されてもよく、あるいは、同様の動作をするようにプログラミングされたマイクロコンピュータ等を用いて構成されてもよい。
【0187】
なお、図3に示した駆動電圧波形は実施の形態における一例を示したものに過ぎず、本発明は、何らこれらの駆動電圧波形に限定されるものではない。
【0188】
また、本発明における実施の形態は、走査電極SC1〜走査電極SCnを第1の走査電極群と第2の走査電極群とに分割し、書込み期間を、第1の走査電極群に属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第1の書込み期間と、第2の走査電極群に属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第2の書込み期間とで構成する、いわゆる2相駆動によるパネルの駆動方法にも適用させることができ、上述と同様の効果を得ることができる。
【0189】
なお、本発明における実施の形態は、走査電極と走査電極とが隣り合い、維持電極と維持電極とが隣り合う電極構造、すなわち前面板に設けられる電極の配列が、「・・・、走査電極、走査電極、維持電極、維持電極、走査電極、走査電極、・・・」となる電極構造のパネルにおいても有効である。
【0190】
なお、本発明における実施の形態において示した具体的な各数値は、表示電極対数1080の42インチのパネルの特性にもとづき設定したものであって、単に実施の形態の一例を示したものに過ぎない。本発明はこれらの数値に何ら限定されるものではなく、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて最適に設定することが望ましい。また、これらの各数値は、上述した効果を得られる範囲でのばらつきを許容するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、パネルにおける表示画像の残像現象を軽減して画像表示品質を向上することができるので、パネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置として有用である。
【符号の説明】
【0192】
1 プラズマディスプレイ装置
10 パネル
21 前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25,33 誘電体層
26 保護層
31 背面板
32 データ電極
34 隔壁
35 蛍光体層
41 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路
46 全セル点灯率検出回路
47 部分点灯率検出回路
48 最大値領域検出回路
50,60 維持パルス発生回路
51,61 電力回収回路
52,62 クランプ回路
C10,C20,C30 コンデンサ
Cp 電極間容量
Q11,Q12,Q13,Q14,Q21,Q22,Q23,Q24,Q26,Q27,Q28,Q29 スイッチング素子
D11,D12,D21,D22,D30 ダイオード
L10,L20 インダクタ
VS,VE1,ΔVE 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査電極と維持電極とからなる表示電極対およびデータ電極を有する放電セルを複数備えたプラズマディスプレイパネルを、書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて駆動するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
前記維持期間において、1つのピークを持つ発光を前記放電セルで発生する第1の維持パルスと、2つのピークを持つ発光を前記放電セルで発生する第2の維持パルスとの2種類の維持パルスを発生し、
前記プラズマディスプレイパネルの画像表示面に設けられた全ての前記放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を全セル点灯率としてサブフィールド毎に検出し、
前記プラズマディスプレイパネルの表示領域を複数の領域に分け、前記領域毎に、前記放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を部分点灯率としてサブフィールド毎に検出し、検出した前記部分点灯率を前記領域間で互いに比較して前記部分点灯率が他の領域よりも大となる最大値領域を検出し、
前記全セル点灯率および前記最大値領域にもとづき、前記第1の維持パルスと前記第2の維持パルスとの発生パターンを制御することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項2】
前記全セル点灯率および前記最大値領域にもとづき、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち上がり期間を制御することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項3】
前記全セル点灯率および前記最大値領域にもとづき、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち下がり期間を制御することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項4】
連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間を、前記全セル点灯率および前記最大値領域にもとづき制御することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項5】
前記第1の維持パルスと前記第2の維持パルスとの発生パターンと、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち上がり期間と、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち下がり期間と、連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間とが異なる複数の駆動パターンを設定し、前記全セル点灯率および前記最大値領域にもとづきいずれかの駆動パターンを選択して維持パルスを発生することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項6】
走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備え、書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて駆動するプラズマディスプレイパネルと、
前記維持期間において、1つのピークを持つ発光を前記放電セルで発生する第1の維持パルスと、2つのピークを持つ発光を前記放電セルで発生する第2の維持パルスとの2種類の維持パルスを発生する維持パルス発生回路と、
前記プラズマディスプレイパネルの画像表示面に設けられた全ての前記放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を全セル点灯率としてサブフィールド毎に検出する全セル点灯率検出回路と、
前記プラズマディスプレイパネルの表示領域を複数の領域に分け、前記領域毎に、前記放電セルの数に対する点灯させるべき放電セルの数の割合を部分点灯率としてサブフィールド毎に検出する部分点灯率検出回路と、
前記部分点灯率検出回路において検出した前記部分点灯率を前記領域間で互いに比較して前記部分点灯率が他の領域よりも大となる最大値領域を検出する最大値領域検出回路とを備え、
前記維持パルス発生回路は、前記全セル点灯率検出回路における検出結果および前記最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、前記第1の維持パルスと前記第2の維持パルスとの発生パターンを変更する
ことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項7】
前記維持パルス発生回路は、
前記全セル点灯率検出回路における検出結果および前記最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち上がり期間を変更することを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項8】
前記維持パルス発生回路は、
前記全セル点灯率検出回路における検出結果および前記最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち下がり期間を変更することを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項9】
前記維持パルス発生回路は、
連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間を、前記全セル点灯率検出回路における検出結果および前記最大値領域検出回路における検出結果にもとづき変更することを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項10】
前記維持パルス発生回路は、
前記全セル点灯率検出回路における検出結果および前記最大値領域検出回路における検出結果にもとづき、前記第1の維持パルスと前記第2の維持パルスとの発生パターンと、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち上がり期間と、前記第1の維持パルスおよび前記第2の維持パルスの立ち下がり期間と、連続する2つの維持パルスの立ち下がり期間と立ち上がり期間とが重複する重複期間とが異なる複数の駆動パターンのうちのいずれかの駆動パターンを選択して維持パルスを発生することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−58436(P2012−58436A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200654(P2010−200654)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】