説明

プラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペースト

【課題】 溶剤として水系溶剤を用いなくても、非危険物として取り扱うことができ、また、溶剤の量を増やさなくても、均一な厚みを有する塗布膜を得ることができ、焼成しても、Ag電極との反応による変色が起こり難く、高い透過率を有し、しかも、膜厚が薄く、低い誘電率を有する誘電体層を得ることが可能なプラズマディスプレイパネル用誘電形成ペーストを提供することである。
【解決手段】 本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストは、ZnO−B−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストであって、質量百分率で、ガラス粉末30〜60%、無機フィラー粉末0〜40%、熱可塑性樹脂5〜30%、可塑剤0〜10%、溶剤20〜40%であり、熱可塑性樹脂がセルロース系樹脂とアクリル系樹脂からなり、かつ、セルロース系樹脂とアクリル系樹脂の割合が、質量比で5:95〜60:40であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは、自己発光型のフラットパネルディスプレイであり、軽量薄型、高視野角等の優れた特性を備えており、また大画面化が可能であることから、急速に市場が拡大している。
【0003】
プラズマディスプレイパネルは、前面ガラス基板と背面ガラス基板とが一定の間隔で対向しており、その周囲が封着ガラスで気密封止された構造を有している。尚、前面ガラス基板の外面側には、前面ガラス基板を保護するための保護板が貼り付けられ、保護板の上にはカラーフィルタが取り付けられている。また、パネル内部にはNe、Xe等の希ガスが充填されている。
【0004】
上記用途に供される前面ガラス基板には、プラズマ放電用の走査電極が形成され、その上には走査電極を保護するために、10〜40μm程度の誘電体層(透明誘電体層)が形成されている。
【0005】
また、背面ガラス基板には、プラズマ放電の位置を定めるためのアドレス電極が形成され、その上にはアドレス電極を保護するために、10〜20μm程度の誘電体層(アドレス電極保護誘電体層)が形成されている。更に、アドレス電極保護誘電体層上には、放電のセルを仕切るために隔壁が形成され、また、セル内には、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体が塗布されており、プラズマ放電を起こして紫外線を発生させることにより、蛍光体が刺激されて発光する仕組みになっている。
【0006】
一般に、プラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板や背面ガラス基板には、ソーダライムガラスや高歪点ガラスが使用されており、走査電極やアドレス電極には、安価なAgやCr−Cu−Crからなる材料が広く用いられている。また、誘電体層については、ガラス粉末等の粉末成分とビークル(溶剤に熱可塑性樹脂等を溶かしたもの)を混練して作製したペースト状の材料が広く用いられており、このペーストをスクリーン印刷法により塗布し、乾燥、焼成することで形成される。尚、電極を形成したガラス基板への誘電体層の形成にあたっては、ガラス基板の変形を防止し、電極との反応による特性の劣化を抑えるために、500〜600℃程度の温度域で焼成する方法が採られている。それ故、誘電体材料には、ガラス基板の熱膨張係数に適合し、500〜600℃で焼成でき、しかも、電極と反応しないことが求められている。
【0007】
また、透明誘電体層においては、上記特性に加え、高い透明性を有することも求められるため、透明誘電体層を形成するための誘電体材料には、焼成時に泡が抜けやすいことも求められている。
【0008】
上記の要求特性を満たすものとして、特許文献1に示すようなPbO−B−SiO系の鉛ガラス粉末を含むペースト状の誘電体材料が使用されてきたが、近年、環境保護の高まりや環境負荷物質の使用削減の動きから、特許文献2に示すようなZnO−B−SiO系非鉛ガラス粉末を含むペースト状の誘電体材料が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−60272号公報
【特許文献2】特開2008−288003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、プラズマディスプレイパネルには、近年の低消費電力化の流れから、より低い誘電率を有する誘電体層が求められており、比較的容易に低誘電率化が可能な特許文献2に示すZnO−B−SiO系非鉛ガラスで開発が行われている。
【0011】
一般に、プラズマディスプレイパネルにおいては、誘電体層の誘電率を低くすると、静電容量等の他の誘電特性を満足させるために、誘電体層の厚みを薄くしなければならない。
【0012】
誘電体層の厚みを薄くする方法として、誘電体形成ガラスペースト中におけるガラス粉末等の粉末成分の量を少なくして、溶剤の量を多くすることが考えられる。しかしながら、誘電体形成ガラスペーストに用いられる一般的な溶剤は有機系溶剤であるため、溶剤の量が40質量%より多くなると、危険物として取扱われ、製造、保管、輸送等の各工程で制約が生じる。また、誘電体形成ガラスペーストの粘度が低くなりすぎて、ペーストを塗布する上で適切な粘度が得られず、塗布膜を形成する際に液だれ等が生じ誘電体形成ガラスペーストの塗工性が著しく低下する。
【0013】
危険物として取り扱われる事態を回避するために、有機系溶剤の量を40質量%以下に保ち、熱可塑性樹脂であるセルロース系樹脂の量を多くすると、誘電体形成ガラスペーストの粘度が増大しすぎて、塗布膜のレベリング性が低下し、焼成後に、均一な厚みを有する誘電体層が得難くなるという問題が生じる。さらに、脱バインダー性が低下し、誘電体形成ガラスペーストを焼成する際に、ガラス基板上に形成されたAg電極が還元され、誘電体層が黄色に着色(黄変)するという問題が生じる。
【0014】
また、溶剤の一部、若しくは、全てを水系溶剤に置換することも考えられるが、ZnO−B−SiO系非鉛ガラス粉末は耐水性が低いため、ガラス粉末とビークルを混練する際に誘電体形成ガラスペーストが変質したり、焼成した際に高い透過率を有する誘電体層が得られないという問題が生じる。
【0015】
本発明の目的は、溶剤として水系溶剤を用いなくても、非危険物として取り扱うことができ、また、溶剤の量を増やさなくても、均一な厚みを有する塗布膜を得ることができ、焼成しても、Ag電極との反応による変色が起こり難く、高い透過率を有し、しかも、膜厚が薄く、低い誘電率を有する誘電体層を得ることが可能なプラズマディスプレイパネル用誘電形成ペーストを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は種々の実験を行った結果、ZnO−B−SiO系非鉛ガラス粉末を含む誘電体形成ガラスペーストにおいて、熱可塑性樹脂として、セルロース系樹脂及びアクリル系樹脂を一定割合で共存して含有させることにより、上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
【0017】
即ち、本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストは、ZnO−B−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストであって、質量百分率で、ガラス粉末30〜60%、無機フィラー粉末0〜40%、熱可塑性樹脂5〜30%、可塑剤0〜10%、溶剤20〜40%であり、熱可塑性樹脂がセルロース系樹脂とアクリル系樹脂からなり、かつ、セルロース系樹脂とアクリル系樹脂の割合が、質量比で5:95〜60:40であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストは、非危険物として取り扱うことができる。また、ガラス基板上に塗布しても、端部まで平滑な塗布膜を形成することができる。さらに、塗布膜を焼成しても、Ag電極との反応による変色が起こり難く、高い透過率を有し、しかも、膜厚が薄く、低い誘電率を有する誘電体層を得ることができる。それ故、プラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストとして好適である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストは、耐水性の低いZnO−B−SiO系非鉛ガラス粉末を含むペーストにおいて、ガラス粉末と溶剤の量を抑え、しかも、熱可塑性樹脂として、セルロース系樹脂に加えて、誘電体形成ガラスペーストの粘度を著しく増大させることなく、脱バインダー性を促進させる効果を有するアクリル系樹脂を用いている。そのため、水系溶剤を用いる必要がなく、誘電体形成ガラスペーストの変質を抑えることができる。また、溶剤として、水系溶剤を用いなくても、有機系溶剤の量を40質量%以下に維持することができ、非危険物として取り扱うことができる。さらに、ガラス基板上に塗布しても、端部まで平滑な塗布膜を形成することができ、しかも、塗布膜を焼成しても、黄変を抑えることができ、高い透過率を有し、しかも、膜厚が薄く、低い誘電率を有する誘電体層を得ることができる。
【0020】
尚、本発明において使用する熱可塑性樹脂の含有量は、セルロース系樹脂及びアクリル系樹脂を合量で、5〜30質量%の範囲にする必要がある。熱可塑性樹脂の含有量が少なくなりすぎると、ガラス粉末の含有量が多くなり、膜厚の薄い誘電体層が得難くなったり、溶剤の含有量が多くなり、誘電体形成ガラスペーストの塗工性が著しく低下する。一方、熱可塑性樹脂の含有量が多くなりすぎると、焼成時において、脱バインダー性が低下する傾向にあり、ガラス基板上に形成されたAg電極が還元され、誘電体層が黄変しやすくなる。熱可塑性樹脂の好ましい範囲は8〜28質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である。
【0021】
また、熱可塑性樹脂におけるセルロース系樹脂及びアクリル系樹脂の割合は、質量比で、セルロース系樹脂:アクリル系樹脂を5:95〜60:40の範囲にする必要がある。
【0022】
セルロース系樹脂は、誘電体形成ガラスペーストの粘度を調整すると共に、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分である。熱可塑性樹脂におけるセルロース系樹脂の割合を、質量比で、5〜60にすることで、誘電体形成ガラスペーストを塗布する上で適切な粘度を得ることができ、端部まで平滑な塗布膜を形成することができる。また、脱バインダー性の低下が抑えられ、黄変を防止することができる。セルロース系樹脂の割合が少なくなりすぎると、誘電体形成ガラスペーストの粘度が低くなりすぎて、誘電体形成ガラスペーストを塗布する上で適切な粘度が得られず、塗布膜を形成する際に液だれ等が生じ誘電体形成ガラスペーストの塗工性が著しく低下する。一方、セルロース系樹脂の割合が多くなりすぎると、誘電体形成ガラスペーストの粘度が増大しすぎて、塗布膜のレベリング性が低下し、焼成後に、均一な厚みを有する誘電体層が得難くなる。また、脱バインダー性が低下し、誘電体層が黄変しやすくなる。熱可塑性樹脂におけるセルロース系樹脂の割合の好ましい範囲は10〜55であり、より好ましくは13〜50である。
【0023】
尚、セルロース系樹脂としては、5000〜200000の質量平均分子量(Mw)を有するものを使用することが望ましい。このような質量平均分子量(Mw)を有するセルロース系樹脂を使用することで、塗布する上で適切な粘度、特に、コーターでの間欠塗布に適した粘度(すり速度が0.4/秒での粘度が20〜60Pa・s)を有する誘電体形成ガラスペーストが得やすくなる。
【0024】
また、セルロース系樹脂としては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が使用可能であるが、特に、エチルセルロースを用いると、コーターでの間欠塗布に適した粘度を有する誘電体形成ガラスペーストが得やすくなる。
【0025】
アクリル系樹脂は、誘電体形成ガラスペーストの粘度を著しく増大させることなく、脱バインダー性を促進させる成分である。熱可塑性樹脂におけるアクリル系樹脂の割合を、質量比で、40〜95にすることで、誘電体形成ガラスペーストを塗布する上で適切な粘度を得ることができ、端部まで平滑な塗布膜を形成することができる。また、脱バインダー性の低下が抑えられ、黄変を防止することができる。アクリル系樹脂の割合が少なくなりすぎると、脱バインダー性の低下を抑える効果が得難くなり、誘電体層が黄変しやすくなる。また、誘電体形成ガラスペーストの粘度が増大しすぎて、塗布膜のレベリング性が低下し、焼成後に、均一な厚みを有する誘電体層が得難くなる。一方、アクリル系樹脂の割合が多くなりすぎると、誘電体形成ガラスペーストを塗布する上で適切な粘度が得られず、塗布膜を形成する際に液だれ等が生じ誘電体形成ガラスペーストの塗工性が著しく低下する。熱可塑性樹脂におけるアクリル系樹脂の割合の好ましい範囲は45〜90であり、より好ましくは50〜87である。
【0026】
尚、アクリル系樹脂としては、2000〜10000の質量平均分子量(Mw)を有するものを使用することが望ましい。このような質量平均分子量(Mw)を有するアクリル系樹脂を使用することで、脱バインダー性が良好で、コーターでの間欠塗布に適した粘度を有する誘電体形成ガラスペーストが得やすくなる。
【0027】
また、アクリル樹脂としては、1種のアクリル単量体(モノマー)を重合させた単独重合体であるアクリル樹脂よりも、2種以上の異なるアクリル単量体(モノマー)を重合させた共重合体であるアクリル樹脂を使用することが望ましい。共重合体であるアクリル樹脂を使用することで、セルロース樹脂及び溶剤との相性が良くなり、分離が起こり難くなる。尚、アクリル単量体(モノマー)としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルモノアクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンジアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル及びグリコールアクリル酸エステル等を用いることができ、これらの中から、2種以上の異なるアクリル単量体(モノマー)を選択し、重合させたものをアクリル樹脂として用いることができる。
【0028】
本発明のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストは、上記の熱可塑性樹脂の他に、ガラス粉末及び溶剤を主成分とする。以下、各成分について説明する。
【0029】
本発明において使用するガラス粉末は、高い耐電圧を有する誘電体層を形成するための成分であり、その含有量は30〜60質量%の範囲にする必要がある。ガラス粉末の含有量が少なくなりすぎると、高い耐電圧を有する誘電体層が得難くなる。一方、ガラス粉末の含有量が多くなりすぎると、膜厚の薄い誘電体層が得難くなる。ガラス粉末の好ましい範囲は31〜57質量%であり、より好ましくは33〜55質量%である。
【0030】
尚、本発明において使用するガラス粉末は、ZnO−B−SiO系非鉛ガラスを基本組成とする。その理由は、比較的容易にガラスの低誘電率化及び低融点化が可能であり、しかも、ガラス基板に適合する熱膨張係数を得やすいためである。
【0031】
また、ガラス粉末は、ZnO−B−SiO系非鉛ガラスの中でも、特に、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、ZnO 1〜10%未満、B 26〜50%、SiO 42超〜52%、NaO 1〜12%、KO 1〜15%、NaO+KO 5〜20%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0.005〜6%の組成を含有するガラスを用いることが好ましい。その組成範囲内のガラスであれば、透明性及び絶縁特性に優れると共に、ガラス化範囲も広く安定で、6.5以下の低い誘電率、630℃の低い軟化点、60〜90×10−7/℃(30〜300℃)の熱膨張係数を有する誘電体層が得やすくなる。
【0032】
本発明において、ガラス粉末のガラス組成を上記のように限定した理由は、次のとおりである。
【0033】
ZnOはガラスの軟化点を下げる成分であり、その含有量は1〜10%未満である。ZnOの含有量が少なくなりすぎると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。また、ガラスの熱膨張係数がガラス基板より大きくなりすぎる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。一方、含有量が多くなると、ガラスのネットワークが緩和して誘電体層の強度が低下する傾向にあり、高い強度を有するガラス基板が得難くなる。また、ガラスの誘電率が高くなる傾向にある。ZnOのより好ましい範囲は1〜9.5%であり、さらに好ましい範囲は2〜8%である。
【0034】
はガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は26〜50%である。Bの含有量が少なくなると、ガラスのネットワークが緩和して誘電体層の強度が低下する傾向にあり、高い強度を有するガラス基板が得難くなる。一方、含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成し難くなる。また、ガラスの耐候性が低下する傾向にあり、誘電体形成ガラスペーストを焼成する際に、脱バインダー性が低下し、高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。Bのより好ましい範囲は29〜38%未満であり、さらに好ましい範囲は30〜37.5%である。
【0035】
SiOはガラスの骨格を形成すると共に、誘電率を低下させる成分であり、その含有量は42超〜52%である。SiOの含有量が少なくなると、ガラスのネットワークが緩和して誘電体層の強度が低下する傾向にあり、高い強度を有するガラス基板が得難くなる。また、ガラスの誘電率が高くなる傾向にある。一方、含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなる傾向にあり、600℃以下の温度で焼成し難くなる。また、ガラスの熱膨張係数がガラス基板より小さくなりすぎて、焼成時にガラス基板に反りが発生しやすくなる。SiOのより好ましい範囲は42.5〜51%であり、さらに好ましい範囲は43〜50%である。
【0036】
尚、誘電体層の強度の低下を抑えながら、誘電率が低く、しかも、高い透過率を有する誘電体層を得やすくするには、B/SiOの値をモル比で0.65〜0.90の範囲となるようにすることがより好ましい。B/SiOの値が小さくなりすぎると、誘電体層の強度が低下する傾向にあり、高い強度を有するガラス基板が得難くなる傾向にある。一方、B/SiOの値が大きくなりすぎると、ガラスの耐候性が低下し、誘電体形成ガラスペーストを焼成する際に、脱バインダー性が低下し、高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。B/SiOのさらに好ましい範囲は0.67〜0.83である。
【0037】
NaOはガラスの軟化点を低下させたり、熱膨張係数を調整する成分であり、その含有量は1〜12%である。NaOの含有量が少なくなると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、含有量が多くなると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変する傾向にあり、画像が見難くなる問題が生じやすくなる。また、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。NaOのより好ましい範囲は1〜10%であり、さらに好ましい範囲は1〜8%である。
【0038】
Oはガラスの軟化点を低下させたり、熱膨張係数を調整する成分であり、その含有量は1〜15%である。KOの含有量が少なくなると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、含有量が多くなると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変する傾向にあり、画像が見難くなる問題が生じやすくなる。また、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。KOのより好ましい範囲は1〜14%であり、さらに好ましい範囲は4〜12%である。
【0039】
尚、Agとの反応による誘電体層の黄変を抑え、600℃以下の温度で焼成でき、ガラス基板に適合する熱膨張係数を有するようにするには、NaO及びKOを合量で5〜20%にすることがより好ましい。これら成分の合量が少なくなると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、これら成分の合量が多くなると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変する傾向にあり、画像が見難くなる問題が生じやすくなる。また、熱膨張係数がガラス基板より大きくなる傾向にあり、ガラス基板の熱膨張係数と整合し難くなる。これら成分の合量のさらに好ましい範囲は6〜18%である。
【0040】
尚、本発明の誘電体材料をAg電極上に形成する場合、誘電体材料とAgとの反応による誘電体層の変色を抑えるために、上記成分に加え、CuO、MoO、CeO、MnO及びCoOを合量で0.005〜6%含有させることが好ましい。これら成分の合量が少なくなると、誘電体層の変色を抑える効果が得難くなる。一方、これら成分の合量が多くなると、これらの成分による誘電体層の着色が生じやすくなる。これら成分の合量の好ましい範囲は0.005〜5%であり、より好ましい範囲は0.005〜3%である。尚、これらの成分の中でも、CuOは変色抑制効果が最も大きく、CuOを必須成分とすることがより好ましく、この場合、CuOの含有量は、0.01〜3.0%(望ましくは0.02〜2.5%)であることが好ましく、また、MoO、CeO、MnO及びCoOはそれぞれ0〜5%(望ましくは0.01〜3%)であることが好ましい。また、焼成条件の変動によるCuOの変色抑制効果にばらつきが生じる場合には、CuOの含有量を0.005〜0.20%に制限し、CuO、MoO、CeO、MnO及びCoOを合量で0.005〜6%含有させることが望ましい。
【0041】
また、Agとの反応による誘電体層の黄変を抑え、しかも、高い透過率を有する誘電体層を得やすくするには、B/KOの値をモル比で3.3〜5.0の範囲となるようにすることがより好ましい。B/KOの値が小さくなりすぎると、電極にAgを用いた場合、誘電体材料とAgが反応し、誘電体層が黄変する傾向にあり、画像が見難くなる問題が生じやすくなる。一方、B/KOの値が大きくなりすぎると、ガラスの耐候性が低下し、誘電体形成ガラスペーストを焼成する際に、脱バインダー性が低下し、高い透過率を有する誘電体層が得難くなる。B/KOのさらに好ましい範囲は3.4〜4.5である。
【0042】
また、本発明の誘電体材料は、上記成分以外にも、要求される特性を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。例えば、ガラスの軟化点を低下させると共に、熱膨張係数を調整する成分であるMgO、CaO、SrO、BaO及びTiOを合量で15%まで、ガラスの軟化点を低下させるために、CsO、RbO等を合量で10%まで、ガラスを安定化させたり、耐水性や耐酸性を向上させるために、Al、ZrO、Y、La、Ta、SnO、WO、Nb、Sb、P等を合量で10%まで添加することができる。尚、Pはガラスを失透させて、透明な焼成膜を得難くする成分でもあるため、その含有量は6%以下にすることが望ましい。
【0043】
尚、Biは、ガラスの軟化点を低下させる成分であるため、アルカリ金属酸化物成分の含有量を低減させて、Agとの反応による誘電体層の黄変を生じ難くする成分である。しかし、ガラスのネットワークを緩和させて、誘電体層の強度を低下させたり、ガラスの誘電率を大きくしたり、コストを著しく上昇させる成分であるため、その含有量は5%以下にすることが好ましく、より好ましくは実質的に含有しないことである。
【0044】
また、PbOは、ガラスの融点を低下させる成分であるが、環境負荷物質でもあるため、実質的に含有しないことが好ましい。
【0045】
尚、本発明で言う「実質的に含有しない」とは、積極的に原料として用いず不純物として混入するレベルをいい、具体的には、含有量が0.1%以下であることを意味する。
【0046】
また、ガラス粉末の粒度は、平均粒径D50が3.0μm以下、最大粒径Dmaxが20μm以下のものを使用することが望ましい。いずれか一方でもその上限を超えると、焼成膜中に大きな泡が残存しやすくなり、安定した耐電圧を有する誘電体層が得難くなるためである。
【0047】
本発明において使用する溶剤は、材料をペースト化するための材料であり、その含有量は20〜40質量%の範囲にする必要がある。溶剤の含有量が少なくなりすぎると、ガラス粉末や熱可塑性樹脂の含有量が多くなるため、膜厚の薄い誘電体層が得難くなったり、焼成時において、脱バインダー性が低下して誘電体層が黄変しやすくなる。一方、溶剤の含有量が多くなりすぎると、誘電体形成ガラスペーストの粘度が低くなりすぎて、誘電体形成ガラスペーストを塗布する上で適切な粘度が得られず、塗布膜を形成する際に液だれ等が生じ誘電体形成ガラスペーストの塗工性が著しく低下する。また、ガラス粉末に、耐水性の低いZnO−B−SiO系非鉛ガラスを用いているため、溶剤としては有機系溶剤を用いる必要があり、取扱いが危険物となり、製造、保管、輸送等の各工程で制約が生じる。溶剤の好ましい範囲は21〜39質量%であり、より好ましくは22〜38質量%である。
【0048】
尚、溶剤としては、有機系溶剤であるターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独あるいは混合して使用することができる。
【0049】
また、プラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストは、上記成分以外にも、必要に応じて、可塑剤、無機フィラー粉末等を加えることもできる。
【0050】
可塑剤は、塗付膜の乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、10質量%まで添加することができる。但し、可塑剤の含有量が多くなると、脱バインダー性が著しく低下し、誘電体層が黄変しやすくなるため、0〜5質量の範囲にあることが好ましい。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
【0051】
無機フィラー粉末は、誘電体形成ガラスペーストの流動性、焼結性、或いは熱膨張係数を調整する成分であり、40質量%まで添加ことができる。但し、無機フィラー粉末の含有量が多くなると、十分に焼結が行えず、緻密な膜を形成することが難しくなるため、0〜30質量%の範囲にあることが特に好ましい。また、膜厚の薄い誘電体層が得難くなる。無機フィラー粉末としては、例えばアルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア、コージエライト、ムライト、シリカ、ウイレマイト、酸化錫、酸化亜鉛等を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、セラミック粉末の導入による誘電体層の透明性の低下を避けたい場合は、セラミック粉末の一部または全部が球状のものを用いればよい。ここでいう球状とは、写真での状態観察において、粒子表面に角張った個所がなく、且つ粒子中心から表面全体の半径が±20%以内であるものをいう。また、セラミック粉末は平均粒径が5.0μm以下、最大粒径は20μm以下のものを用いることが望ましい。
【0052】
尚、本発明の誘電体形成ガラスペーストは、前面誘電体もしくは背面誘電体のいずれの用途においても使用することができる。前面ガラス基板用の透明誘電体材料として使用する場合は、上記無機フィラー粉末の含有量を0〜20質量%(好ましくは0〜10質量%)にすることで使用できる。無機フィラー粉末の含有量をこのようにすることで、無機フィラー粉末の添加による可視光の散乱を抑えて透明度の高い焼成膜を得ることができる。また、背面ガラス基板用のアドレス保護誘電体材料として使用する場合は、上記無機フィラー粉末を0〜40質量%(より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%)の範囲で含有させることで使用できる。無機フィラー粉末の含有量をこのようにすることで、高い強度を有する焼成膜を得ることができる。
【0053】
次に、本発明の誘電体形成ガラスペーストを作製する方法を述べる。
【0054】
まず、ガラス粉末、熱可塑性樹脂及び溶剤等を用意する。尚、ガラス粉末は、ボールミルや流体エネルギーミル等を用いて粉砕し、さらに気流分級等により分級して、所定の粒度分布を有するようにしておくことが望ましい。続いて、各成分を所定の割合で混練することによりペースト状の材料を得ることができる。
【0055】
尚、得られる誘電体形成ガラスペーストの粘度としては、ペーストを塗布する上で、特に、コーターでの間欠塗布する上で、温度が25℃、ずり速度が0.4/秒での粘度が20〜60Pa・sの範囲になるように調整することが好ましい。粘度が低くなりすぎると、塗布膜を形成する際に液だれ等が生じ誘電体形成ガラスペーストの塗工性が著しく低下する。一方、粘度が高くなりすぎると、塗布膜のレベリング性が低下し、焼成後に、均一な厚みを有する誘電体層が得難くなる。
【0056】
次に、本発明の誘電体形成ガラスペーストを用いて誘電体層を形成する方法を説明する。
【0057】
まず、走査電極が形成された前面ガラス基板やアドレス電極が形成された背面ガラス基板を用意し、これらのガラス基板上に、本発明の誘電体形成ガラスペーストをコーターを用いて、塗付し、所定の膜厚(透明誘電体層の場合は40〜140μm、アドレス保護誘電体層の場合は40〜120μm)の塗布層を形成する。続いて、塗付膜を80〜120℃程度の温度で乾燥させる。その後、500〜600℃の温度で10〜30分間保持し焼成することで所定の膜厚(透明誘電体層の場合は10〜35μm、アドレス保護誘電体層の場合は10〜30μm)の誘電体層を得ることができる。尚、焼成温度が低くすぎたり、保持時間が短くなると、十分に焼結が行えず、緻密な膜を形成することが難しくなる。一方、焼成温度が高すぎたり、保持時間が長くなると、ガラス基板が変形したり、電極と誘電体層が反応して、透明性に優れた誘電体層を得難くなる。
【0058】
尚、2層以上の誘電体構造を有する誘電体層を形成する場合、予め電極が形成されたガラス基板上に、下層誘電体形成用ペーストをスクリーン印刷法や一括コート法等によって、膜厚がおよそ20〜70μmとなるように塗布し、乾燥させた後、上記と同様に焼成する。続いて、その上に上層誘電体形成用ペーストをスクリーン印刷や一括コート法等によって膜厚がおよそ40〜140μmとなるように塗布し、乾燥させる。その後、上記と同様に焼成することで得ることができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明のプラズマディスプレイ用誘電体形成ペーストを実施例に基づいて詳細に説明する。
【0060】
表1〜5は、本発明の実施例(試料No.1〜12)及び比較例(試料No.13〜20)をそれぞれ示している。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【0066】
表の各試料は、次のようにして調製した。
【0067】
まず、モル%で表に示すガラス組成となるように原料を調合し、均一に混合した。次いで、白金ルツボに入れて1300℃で2時間溶融した後、溶融ガラスを薄板状に成形した。続いて、これらをボールミルにて粉砕し、気流分級して平均粒径D50が3.0μm以下、最大粒径Dmaxが20μm以下のガラス粉末からなる試料を得た。このようにして得られた各ガラス粉末試料について軟化点、熱膨張係数及び誘電率を評価した。
【0068】
次に、表に示す割合で、ガラス粉末、熱可塑性樹脂及び溶剤等を混合し、3本ロールミルで均一に混練し、ペースト化した。このようにして得られた各ペースト試料について、ペーストの粘度及び塗工性を測定した。
【0069】
次に、上記のようにして得られた各ペースト試料を、コーターを用いて、ずり速度が0.4秒の条件で、Ag電極が形成されたガラス基板上に塗布層を形成し、乾燥後、電気炉で600℃及び620℃で10分間保持し焼成して、誘電体層を形成したガラス基板試料を得た。このようにして得られた各試料について、誘電体層の膜厚、誘電体層の均一性、黄変の度合い及び焼成条件の変動による黄変抑制効果のばらつきを評価した。尚、Ag電極には昭栄化学工業株式会社製のH−4040Aを、また、ガラス基板には、厚み1.8mm、5cm角の日本電気硝子株式会社製PP−8をそれぞれ用いた。
【0070】
表から明らかなように、実施例である試料No.1〜12は、ガラスの軟化点が606℃以下であり、600℃以下の温度で十分に焼成できるものであった。また、熱膨張係数は73〜78×10−7/℃でガラス基板の熱膨張係数と整合するものであり、ガラス基板上に誘電体層を形成しても、焼成時にガラス基板に反りが発生しないものであった。また、誘電率は6.2以下であり低いものであった。さらに、ペーストの粘度は、22〜58Pa・sで、コーターでの間欠塗布に適した粘度であり、優れた塗工性を示すものであった。また、焼成して得られた誘電体層は、膜厚が10〜38μmと薄く、表面に凹みやスジ等がなく、均一なものであった。また、600℃焼成におけるb*が+6.4以下、620℃焼成におけるb*が+7.3以下であり、Ag電極との反応による黄変も殆どないものであった。
【0071】
これに対し、比較例である試料No.13は、ガラス粉末の含有量が少ないため、また、試料No.16は、溶剤の含有量が多いため、試料No.17は、熱可塑性樹脂の含有量が少ないため、試料No.19は、セルロース系樹脂の割合が低く、アクリル系樹脂の割合が多いため、ペーストの粘度が18Pa・s以下と低く、ガラス基板上にペーストを塗布する際に、液だれが生じ、塗工性に劣っていた。
【0072】
また、試料No.14は、ガラス粉末の含有量が多いため、試料No.15は、溶剤の含有量が少ないため、試料No.18は、熱可塑性樹脂の含有量が多いため、試料No.20は、セルロース系樹脂の割合が多く、アクリル系樹脂の割合が低いため、ペーストの粘度が62Pa・s以上と高かった。また、誘電体層の表面には凹みやスジ等が発生しており、均一性にも劣っていた。さらに、試料No.14については、誘電体層の膜厚も42μmと厚く、静電特性等を満足しないもの思われる。
【0073】
尚、ガラスの軟化点については、マクロ型示差熱分析計を用いて測定し、第四の変曲点の値を軟化点とした。
【0074】
ガラスの熱膨張係数については、各ガラス粉末試料を粉末プレス成型し、600℃、10分間焼成した後、直径4mm、長さ20mmの円柱状に研磨加工し、JIS R3102に基づいて測定し、30〜300℃の温度範囲における値を求めた。尚、プラズマディスプレイパネルに用いられているガラス基板の熱膨張係数は83×10−7/℃程度であり、誘電体材料の熱膨張係数が73〜83×10−7/℃であれば、ガラス基板の熱膨張係数と整合し、ガラス基板上に誘電体層を形成しても、焼成時にガラス基板に反りが発生しないものとなる。
【0075】
誘電率については、各試料を粉末プレス成型し、600℃、10分間焼成した後、2mmの板状体に研磨加工し、JIS C2141に基づいて測定し、25℃、1MHzにおける値を求めた。
【0076】
ペーストの粘度については、粘度計を用いて、温度が25℃、ずり速度が0.4/秒における値を求めた。
【0077】
塗工性については、ガラス基板上にペーストを塗布する際に、液だれが生じなかったものを「○」、液だれが生じたものを「×」として示した。
【0078】
誘電体層の膜厚については、非接触式段差計を用いて膜厚を測定した。
【0079】
誘電体層の均一性については、誘電体層の表面を目視で観察し、誘電体層の表面に凹みやスジ等が認められなかったものを「○」、凹みやスジ等が確認できたものを「×」として示した。
【0080】
黄変の度合いについては、誘電体層の色調を色彩色差計にてb*値を測定し評価した。尚、b*値が大きくなるほど、黄色に変色していることを示す。
【0081】
焼成条件の変動による黄変抑制効果のばらつきについては、600℃及び620℃で焼成した際のb*値の差を求め評価した。尚、b*値の差が大きくなるほど、焼成条件の変動が大きくなると黄変抑制効果のばらつきが大きくなることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZnO−B−SiO系ガラス粉末からなるプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペーストであって、質量百分率で、ガラス粉末30〜60%、無機フィラー粉末0〜40%、熱可塑性樹脂5〜30%、可塑剤0〜10%、溶剤20〜40%であり、熱可塑性樹脂がセルロース系樹脂とアクリル系樹脂からなり、かつ、セルロース系樹脂とアクリル系樹脂の割合が、質量比で5:95〜60:40であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペースト。
【請求項2】
ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、モル百分率で、ZnO 1〜10%未満、B 26〜50%、SiO 42超〜52%、NaO 1〜12%、KO 1〜15%、NaO+KO 5〜20%、CuO+MoO+CeO+MnO+CoO 0.005〜6%含有するガラスからなることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペースト。
【請求項3】
25℃、1MHzにおけるガラス粉末の誘電率が6.5以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペースト。
【請求項4】
温度が25℃、ずり速度が0.4/秒での粘度が20〜60Pa・sであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペースト。
【請求項5】
ガラス基板上に形成されたAg電極と接する誘電体層の形成に用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のプラズマディスプレイパネル用誘電体形成ガラスペースト。

【公開番号】特開2011−54505(P2011−54505A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204212(P2009−204212)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】